団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1043号01面05)(2020/07/13)


団結街道


 私が軍隊慰安婦について最初に考えるきっかけとなったのは辺見庸『もの食う人びと』(角川文庫)だ▼1994年にソウルの日本大使館前で抗議の割腹自殺を図ろうとした元軍隊慰安婦と食事を共にして辺見が聞いた、将校が来る前にコンドームをみんなでしゃがんで小川で洗ったことが一番情けなく、つらかったとの話が胸に刺さった▼当時、元「慰安婦」が次々と声を上げはじめていたにも関わらず、「慰安所」に通った人が相当数いたはずの祖父の代の人々から、この問題についての話を聞いたことがないことが疑問だった。大学時代に受けた介護実習で、戦争の記憶と共に「慰安所」について、実習生に「懐かしさ」を込めて語る施設の高齢者に出会った。居並ぶ兵士たちが口々に「早くしろ」と声をかけていたと聞き、私は絶句した▼ジャーナリストのむのたけじさんが語った『戦争絶滅へ、人間復活へ』(岩波新書)。「慰安所」設置のいきさつと日本軍兵士の様子が具体的に生々しく述べられている。兵士らは殺すか殺されるかという恐怖の中、人間からケモノになった。家族にさえ話せない「本当の戦争」に戦慄を覚えた▼軍隊慰安婦問題を扱った映画『主戦場』は必見だ。インタビューに答える櫻井よしこ、杉田水脈、ケント・ギルバートらの「目は口ほどにものを言う」姿、日本会議の加瀬英明の「語るに落ちる」あまりにデタラメな姿をぜひ見ていただきたい。
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