ルポ・成田空港ターミナルの今 相次ぐ欠航、店舗は休業・撤退 旅客激減、「駐機場」の様相

週刊『三里塚』02頁(1048号02面01)(2020/09/28)


ルポ・成田空港ターミナルの今
 相次ぐ欠航、店舗は休業・撤退
 旅客激減、「駐機場」の様相

(写真   第1ターミナルの窓から見えるずらりと並んだANAとJALの機体が危機の深さを物語る)

(写真 空港からの撤退が決まった店舗の入り口は石膏ボードで被われ、工事がすでに始まっていた)

(写真 「巡回警備中です」と空港内を走行するセコムロボットX2)

(写真 今年度は店を閉めると決めたABCマートでは棚の商品が片づけられていた)


 約3カ月にわたって閉鎖された成田空港のB滑走路の再開から2カ月。前代未聞の事態に危機を深める政府は「GoToトラベル」など必死の巻き返しを図っている。果たして成田に利用客は戻ってきたのか? 本紙記者が空港内の状況を取材した。
 9月半ば、成田空港周辺にある空港利用者向けの駐車場の一つに車を止めた。
 この辺りでは地主から借りて営業している駐車場が多く、空港利用客の激減で大手3社以外の駐車場はほぼ全て閉鎖。利用客は10分の1以下に。大手が経営していた空港から最も近い駐車場は月200万円の賃貸料を地主に払っていたそうだが、撤退を決断し、看板は黒く塗りつぶされた。
 駐車場が用意したバスに一人乗り込み、第2ターミナルで降車。空港内巡回バスに乗り換え、第3ターミナルへ。
 現在、成田の国内線は日航も全日空も全便運休中で再開の見通しも立っていない。LCC(格安航空会社)のジェットスターJ、ピーチ、春秋航空が飛ばしているだけだ。第3ターミナルにカウンターを構えるチェジュ航空は、グアム、ソウル、釜山と成田を結んでいるがすべて欠航。一便も飛んでいない。
 フードコートにはそれなりに人が滞留しているが、以前とは比較にならない少なさだ。
 再びバスに乗り第2ターミナルへ。発着を知らせる大きな案内表示板には欠航の文字が並ぶ。第2ターミナルで開いている店舗は9店舗。セブンイレブンを除き、いずれも時短営業だ。(最も遅くまで開いているマクドナルドでも19時まで)
 各店舗前に張られた臨時休業のお知らせには4月1日を皮切りに、6日〜、8日〜、9日〜、10日〜、11日〜と書かれ、ドミノ倒しのように休業に入っていた様子がわかる。さらに、○○日までと書かれた上に紙を何回も重ねて張った形跡のある張り紙も多数。現在ではすべて「当面の間」となっている。
 東京2020オフィシャルショップの棚からはすべての商品が撤去されていた。
 続いて第1ターミナルへ移動。案内板を見ると22店舗が営業中だ。5月から店を開けたという「ブルーブルージャパン」の店員は「服は不要不急だけど、こんなときだからこそおしゃれを楽しんでほしい」と語ったが、周りの店は閉まったままだ。靴の「ABCマート」は、棚から商品を撤去する作業のまっただ中で、今年度いっぱいは休業を決めたという。
 石膏ボードで囲われたところは撤退を決めた店舗で、すでに12店舗が閉店している。8月1日〜22日の売り上げは前年同月比で95%減。NAAは賃料の1年分の減免を決めたが、それで客が戻るとは到底思えない。
 4月20日からターミナルの一部も閉鎖されたままで、見学デッキの出入り口も閉鎖中だ。第1ターミナルの窓からは多くの機体が並び駐機場と化した空港の実態がよくわかる。空港内外の大量失職がいよいよ始まる。

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