農地強奪・強制執行攻撃に怒りのデモを 12・17東京高裁(請求異議控訴審判決)-12・21千葉地裁(耕作権裁判)へ 成田空港今こそ廃港に

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週刊『三里塚』02頁(1052号01面01)(2020/11/23)


農地強奪・強制執行攻撃に怒りのデモを
 12・17東京高裁(請求異議控訴審判決)-12・21千葉地裁(耕作権裁判)へ
 成田空港今こそ廃港に

(写真 反対同盟先頭に「農地取り上げ強制執行を許可するな!」と東京高裁を包囲するデモ【10月22日】)


 米大統領選挙でトランプが打倒された。階級闘争は先鋭化し、内乱的対立はますます深まる。日本において新自由主義の暴力性と真っ向から対決し、勝利してきた動労千葉と三里塚芝山連合空港反対同盟の労農連帯の闘いの質をあらゆる職場・キャンパスに広げよう。航空バブル崩壊で破綻の危機にあえぐ成田空港を今こそ廃港に追い込もう。今号では、10・22請求異議控訴審での、市東孝雄さんの最終陳述、石原健二さん、内藤光博さんの補佐人陳述を紹介する。農地取り上げの不当性を広く深く訴え、12・17東京高裁―12・21千葉地裁に駆けつけよう。


 成田空港は今や破産寸前だ。全日空の国際線は羽田へ。客が消えた空港施設は巨大な負債に。コロナは第3波で一日の感染者数は連日過去最大を更新。航空需要の復活は望むべくもない。にもかかわらず、成田空港会社(NAA)は市東さんの農地強奪をもくろみ、東京高裁は請求異議控訴審で反動判決を下そうとしている。
 3代百年、命にも等しい農地がなぜ奪われなくてはならないのか。「へ」の字に曲がった誘導路を直線にするためだとNAAは言う。しかし、誘導路が曲がることを百も承知で無理やり建設を強行したのはNAAの側だ。盗人猛々しい言い分は認められない。
 市東さんは、NAAが収用裁決申請を取り下げ農地を強制的に奪われることがなくなったことから天神峰に戻ってきた。
 ところがある朝、NAAが畑の地主になったことを新聞で知る。誠実に耕し地代を払い続けてきたにもかかわらず「不法耕作の男」と書かれた。地主に払ってきた地代は一体何だったのか。NAAと地主がぐるになって行った詐欺そのものだ!
 NAAは父親の東市さんから無断で「底地を地主から買った」という。だが、戦後一度たりとも耕作者の同意のない農地の売買・転用が認められたことはない。ところが、成田市農業委員会、千葉県農業会議は転用認可を強行し、県知事は農地の賃貸借契約の解除の許可を出した。
 さらに許しがたいのは裁判所だ。農地法裁判一審・多見谷裁判長は、「二度と強制的手段を用いない」という公約について「話し合いが頓挫した場合は別」とNAAが言ってもいないことを判決に付け加えたのだ。高裁・最高裁も追認した。
 裁判と並行して、NAAは200億円をかけ3本目の誘導路を建設。距離は3倍、時間にして4倍かけなければ、市東さんは畑に行けなくなった。一切相談はなく、それどころか工事のための看板設置に抗議した市東さんを不当逮捕した。
 そして、何より許せないのは、精魂込めて安全で美味しい野菜をつくり、消費者に届けることに誇りと喜びを持っている市東さんの生き方を踏みにじろうとしていることだ。金で生き方を譲らない市東さんと共に農地を守り、「命より金」の社会を根本から変えよう。
 天神峰で畑を耕し続けると語る市東さんの農業への思いと国・NAAへの怒りを共有し、12・17東京高裁―12・21千葉地裁デモに立ち上がろう。

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畑とられてなるものか
 反対同盟・敷地内天神峰 市東孝雄さん

(写真 南台でセロリの収穫に励む市東さん)

 自分がなぜ訴えられているのか、今もまったくわかりません。祖父・市太郎の開墾から100年。うちは代々、地道に畑を耕してきました。空港がやってくるまで、地主との間になんの問題もなく畑をつくってきたんです。
 ところが、今から17年前に突然、空港会社が地主だと名乗り出ました。早朝に機動隊を連れてきて、建物全部に「公示書」をはりました。畑を耕す親父に隠して空港会社は畑を買い上げ、地代は元の地主に受け取らせていたのです。その後、計画にはなかった誘導路をつくり、家と畑は空港に囲まれました。

小作農にも権利

 畑を取り上げる裁判が始まり、私の生活は一変しました。空港会社の要求は、私に「農業をやめろ」「農地を取り上げる」というものでした。
 私は小作農ですが、たとえ小作農だとしても耕し続ける権利があります。違いますか?
 農地法は「農地と耕作者の地位を守る」ための法律です。そもそも親父に内緒で農地を売り買いすることは違法じゃないですか! 
 農家を守るはずの「農地法」を盾に、農地を取り上げる不当は決して自分だけの問題ではないはずです。負けるわけにはいきません。
 いま、成田空港はガラガラです。家のそばの誘導路を使うLCCの2社が撤退しました。今はとても静かです。
 政府は、私たちに「新しい生活様式」に変えろと言いますが、一番変わらなければならないのは、空港と航空会社だと思う。
 そもそも、コロナの以前に航空需要の予測がデタラメでした。拡張計画に何の説得力もありません。
 これでも裁判所は、「農地取り上げの強制執行」をさせる気ですか!

ウソはつかない

 正しいものは正しい、ウソはつかない。私はそういう仕事をしてきたつもりです。
 親父は「空港に反対するものは正直でなければいけない」と言っていました。そうでなければ、反対運動はできないし、無農薬・有機農業もできないんです。一番大事なものは、人と人との信頼関係です。
 畑見学に子どもを連れて多くの家族がやってくる。「おいしいね」と言って食べてくれる。自分は安全で美味しい野菜作りに精魂込める。こういうつながりこそが、自分の宝です。
 私の農地がつぶされたら萩原さんと一緒に作ってきた産直も終わりです。長い時間をかけて作ってきた消費者との関係も失ってしまいます。「デタラメばかりの空港に畑をとられてなるものか」という気持ちです。
 私は裁判長に言いたい。
 土は生きている。土を殺すな。コンクリートの下にするな。
 俺の仕事と誇りを奪わないでくれ。農業をおろそかにしてはならない。強制執行を許可しないでほしい。
 どんなことがあろうと、私は天神峰の畑を耕し続けます。

人の命を育む農業
 元立教大学教授農業経済学 石原健二さん

 「市東さんが営む『小農・家族農業』には成田空港を上回る高い公共的価値がある」という観点から意見を述べ、一審判決の誤りを指摘します。
 今年のノーベル平和賞は、飢餓の現場に食料を届ける「国連世界食糧計画」(WEP)に決まりました。新型コロナウイルスの感染拡大で飢餓が世界中に広がっています。飢餓は武力紛争を発生させ、武力紛争は飢餓を生み出します。この悪循環を断ち切るために働くWEPの努力が評価されたのです。食料の安定的な供給が世界の平和の根本であることは明らかです。
 WEPの活動と密接に関連する「小農・家族農業」を護る運動は新自由主義への対抗策として08年に始まりました。
 「世界食糧危機」への対抗策として国際農民組織のビア・カンペシーナが「農民の権利宣言」を発表。17年の国連総会で、「家族農業の10年」の設置を決定。19年には「国連家族農業の10年」が開かれ、同年、新潟で開かれたG20の農相会合宣言にも「家族農業」「小規模農業」が併記されました。資本主義が極限まで発展した現代社会でも、「世界の農場の9割以上が家族農業で、それが世界の食料の8割を生産している」のです。この世界の動きは市東さんの農業は高い公共的価値を持っていることを明らかにしています。
 しかし、日本は正反対の道を歩いてきました。日欧EPAと日米貿易協定が発効し、農産物の輸入が急増。多くの農家が存亡を迫られています。
 しかし、日本の農業は市東さんが行っている有機・産直運動に真の希望があります。安心・安全な食を守り、「人の命を育む農業」を守り存続させることが日本の農業を守る唯一の道です。
 一審判決の誤りは、農業の公共性を著しく軽視した点にあります。最も象徴的なのが「権利の安定性に一定の限界がある借地」という誤った認定です。世界の「小農・家族農業の保護」の動きを無視したのです。
 私は裁判官に対して、「もっと儲けたいという空港会社の欲望のために、生活の糧である大切な農地を奪うことが許されるのか」「市東さんの立場に立って考えてほしい」と訴えます。
 今、新型コロナのパンデミックで、日本の食料自給と空港の経営実態に光が当てられ、これまでのあり方からの脱却が迫られています。空港のためにかけがえのない農地をつぶし廃業に追い込む強制執行など論外です。

許されぬ権利濫用
 専修大学教授憲法学 内藤光博さん

 本件における民事強制執行は、権利の濫用(らんよう)にあたり違法・違憲であるとともに、過酷執行に該当する。
 民法1条3項は、民法の基本原則として「権利の濫用は、これを許さない」と規定している。
 民法学説では具体的な権利の濫用の事例として以下の5類型を挙げている。①権利の社会性に反し、権利の行使として是認することのできない行為、②加害の目的をもってないし不当な利益を得る意図でなす権利の行使、③著しい損失が相手方に生ずるような権利の行使、④不誠実な手段・経緯により取得・帰属する権利の行使、⑤自己の以前の行為に矛盾・抵触する権利の行使。
 第1に、本件強制執行は「公約」違反による「権利の濫用」にあたる。訴訟に至る経緯を見ると、政府および空港公団(現NAA)が土地収用法に基づく農地の収用が不可能になったことを受けて計画的に仕組んだ「強制執行の代替措置による農地取得行為」とみることが自然である。
 政府および空港会社の「公式謝罪」と「強制手段の放棄」の公約に違反する。これは類型の①②④⑤に該当し、明らかに「権利濫用」であり違法と言える。
 第2の「権利の濫用」は憲法上の「営農権」の侵害という点である。強制収用の対象農地は耕作地の73%。奪われると廃業を余儀なくされる。農地という「生存権的財産」のはく奪、営農という職業および労働(勤労)する権利の消失であり、市東さんの「営農権」の侵害を意味する。
 このことは第1に、最低限の生活を営む権利が損なわれることで基本的人権の根源的侵害をもたらす。
 第2に、営農権の侵害は、憲法22条の「職業選択の自由」から派生する農業の遂行の自由が損なわれる。単に生活を維持するということためだけでなく、「個人の尊厳」を根底から否定することにつながる。憲法27条の労働(勤労)の権利・自由を損なう。
 強制執行は生存基盤を奪い、職業選択の自由と労働権を侵害し、将来に生きる意欲を奪い、市東さんが「人格的自律の存在」であろうとすることを根底から否定する「過酷執行」であり、農業従事者としての尊厳を侵す憲法13条に反する違憲違法な行為である。

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400万円カンパ集めよう
〈郵便振替〉
 00130―0―562987 三里塚芝山連合空港反対同盟
〈銀行口座〉
 みずほ銀行成田支店 普通預金  2074135 イトウノブハル

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