第90回一斉行動に立つ 水田「基盤整備」動向に警鐘

週刊『三里塚』02頁(1054号02面01)(2020/12/28)


第90回一斉行動に立つ
 水田「基盤整備」動向に警鐘

(写真 市東さん宅離れで朝の打ち合わせ【12月13日】)

 12月13日、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援連の仲間は、90回目の空港周辺情宣一斉行動に立ち上がった。
 午前8時半、成田市天神峰の市東孝雄さん宅離れに集まった仲間は朝の打ち合わせを行った。
 東峰の萩原富夫さんが参加者に呼びかけた。
 「請求異議控訴審判決を前に今年最後の一斉行動です。成田空港会社(NAA)は収入が激減し、経営破綻に向かっている中、なぜ農地を取り上げるのかと訴えよう」 さらに、天神峰の隣の東峰地区住民が同じ農民の立場から、市東さんが農業を続けられることを求める要望書を11月30日付で裁判所に提出したことを報告した。

農業破壊許すな

 白桝の伊藤信晴さんは、空港機能強化の攻撃と一体で農地(田んぼ)の集約をするための基盤整備を進めようという国と町の動きについて警鐘を鳴らした。集まった仲間からは、「成田用水の二番煎(せん)じだ」「耕作放棄地を企業が集約する動きが他でも始まっている」「機能強化による移転で『通い農業』を強制し、農家を困らせ農地を安く買い叩く動きは許せない」「機能強化で移転が進めば部落の維持が難しくなることや耕作放棄地が増えることを危惧する農家も多い」などの声が上がり、農家の苦境に付け入ろうとする新たな動向を確認した。
 市東さんは、前日に行われた機動隊指揮所弾劾行動の労をねぎらった。
 この日用意された反対同盟ニュース第85号は、市東さんの農地取り上げ強制執行を許さないために東京高裁と千葉地裁での連続するデモと傍聴を呼びかける内容だ。
 戦前の寄生地主制から戦争に至った歴史を反省し、農地は耕す人が所有することが最も適当と戦後農地解放が行われた地平を逆転させてはならない。市東さんの耕す権利を守ることは全農民の未来のかかった問題だ。
 しかも、成田空港は今や破産寸前だ。今期の業績予想は784億円の大赤字。旅客数は昨年度の1割に満たない。
 地域住民の声欄では、「必要ない空港のために市東さんの農地を奪ってはならない」「ガソリン車の販売規制が検討されている中で飛行機ならいいというのか」という意見が紹介されている。
 一同、反対同盟ニュースを手に担当地域へと飛び出した。

市東さんを応援

 芝山町や多古町の移転対象地区での家屋等の査定や大規模な遺跡調査が行われる中、「機能強化を進めるよりコロナ対策にお金を使うべきだ」との声が多数寄せられた。
 同盟ニュースを毎回楽しみに読んでいるという住民からは、「赤字なのに飛行場を造ることはない」と先に声をかけられた。破綻の危機に立つNAAがあくまでも機能強化を進めようとしていることへの危機感は地域に充満していた。
 「空港は赤字状態で地域の雇用は結局守られていない」「第3滑走路を造ったとしても収益が上がると思えない。赤字を拡大するだけ」
 また、目前に迫った市東さんの農地裁判の判決を案じ、応援と激励の声も複数寄せられた。
 午後4時半、再び離れに集まった仲間は一日の集約を行った。市東さんの農地取り上げ阻止に向け、体制を強化して闘うことを確認した。
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