団結街道裁判 赤字800億円 成田の惨状暴く 市とNAAを徹底追及

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週刊『三里塚』02頁(1075号01面03)(2021/11/08)


団結街道裁判
 赤字800億円 成田の惨状暴く
 市とNAAを徹底追及


(写真 内野俊夫裁判長)


 11月5日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で団結街道裁判が開かれた。
 団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)は、市東さんにとって、自宅と南台の耕作地を直線で結ぶ、日々の農作業に必要不可欠の道路であった。また、一般的にも利用者が多い重要な交通路であった。この生活道路を成田市は、2010年6月に夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、土地を格安で成田空港会社(NAA)に売り飛ばしそこに第3誘導路が建設されたのだ。その違法性を徹底追及するのがこの裁判だ。
 開廷早々、弁護団は準備書面の陳述に立った。
 新型コロナの感染拡大のもとで、航空業界の不況はますます深刻化している。米ユナイテッド航空1万6千人、アメリカン航空1万9千人のリストラ計画が明らかとなり、ANAも社員を3500人減らす方針だ。
 日本政府は「感染対策か経済か」で揺れながら、結局資本家の金もうけ優先の立場をあらわにしているが、この歴史的不況から抜け出せない。頼みの綱として異例のスピードで「実用化」されたワクチンは、接種を事実上の治験にしており、効果にも安全性にも疑問が突きつけられている。
 航空需要回復の期待は打ち砕かれ、成田空港の20年度通期決算は、800億円を超える未曽有の赤字決算となっている。ところが、NAAに対する「国からの財政支援」は、20年度だけで「B'滑走路の延伸及びC滑走路の新設をはじめとする、更なる機能強化事業の着実な実施に向けた」融資など計4300億円が投入される。到底返済不可能な金額であり、機能強化を進めること自体、無意味で論外だ。
 団結街道の廃道許可処分が重大な誤りだったことは明白だ!
 また弁護団は、第3誘導路建設新設を確認した09年7月29日の四者協議会(国土交通省、千葉県、空港周辺9市町、NAA)に至る経緯を追及してきた。これに対し被告の成田市は、「市とNAAとの間で事前に会議を実施していたはずだが、その回数、日時、場所、出席者、内容などについては調べたが不明」と回答してきた。ふざけるのもいい加減にしろ! 会議の記録を市が隠ぺいしていることは明らかだ。弁護団は「反論書」をたたきつけ、関連文書の提出を要求し、市に再度の釈明を求めた。そして、道路法をも無視して「政治案件」として廃道を進めた最高責任者であり、すべての事情を知る小泉一成成田市長の証人尋問が不可欠であると強く主張した。
 内野裁判長は、市とNAAの代理人の不誠実な対応を容認し、今回も市長を証人として呼ぶかどうかについて結論を出さず、次回期日を3月8日として閉廷を告げた。
 千葉県弁護士会館で、報告集会が開かれた。弁護団が法廷のやりとりを解説。小泉市長の証人調べを要求してすでに4年もたつが、結論を先送りにし続けていることに批判が集中した。

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