新やぐら控訴審での意見陳述

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週刊『三里塚』02頁(1075号02面01)(2021/11/08)


新やぐら控訴審での意見陳述

やぐらは市東さんの生活を守る盾
 反対同盟 萩原富夫さん

 10・20新やぐら控訴審での萩原富夫さんの意見陳述を紹介します。(要旨)
    ◇
●反対同盟の立場
 反対同盟は結成以来、一貫して成田空港建設に反対してきました。当初、隣町の富里に計画されていましたが、住民の猛烈な反対運動で頓挫。そこで政府は、県知事とだけ相談して閣議決定に持ち込みました。まさに寝耳に水の決定だったのです。
 私の義父の萩原進事務局次長は、反対運動のはじめは国や千葉県などへの陳情に120回も行ったそうです。しかし全く相手にされず門前払いで、大変悔しい思いをしたと聞きました。
 この問答無用の空港建設の手法のために、農民はことあるごとに体を張って闘わざるをえませんでした。外郭測量からボーリング調査などに対して、座り込んで作業に抵抗する農民を機動隊がごぼう抜きにして、殴る蹴るの暴行を働くようになりました。その後、機動隊の暴力が常態化したそうです。詳細は萩原進著『農地収奪を阻む』にありますので読んでください。
 空港建設は機動隊の暴力を背景に、強引に進められたことによって私達農民と空港会社との間には深い溝ができました。反対同盟の「一切の話し合い拒否」「農地死守」「実力闘争」という闘いの原則は、政府・空港公団の暴力的手法によって生まれた抵抗の哲学なのです。
●農業・地球を破壊
 食料自給率の低下と地球温暖化への対策が求められる中、成田空港は航空機の長距離移動によって二酸化炭素を大量に生み出し、地球温暖化を促進する拠点になっています。
 航空需要の拡大の見込みも必要性も無いにもかかわらず、新たに1000㌶もの土地を買収し、住民を追い出し、農業と環境を破壊し、さらに騒音被害を拡大して住民をさらに苦しめようとしています。
 政府の観光立国政策は破産しています。巨大空港建設の時代は終わったのです。農業破壊に飽き足らず地球環境まで破壊する成田空港は廃港にするべきです。
●土地取得は違法
 空港会社は反対同盟の所有する工作物を収去せよと言いますが、そもそもの土地買収が耕作者である市東家に無断での農地法違反の暴挙であり、農民として絶対に認められません。
 私は市東さんと共に「三里塚産直の会」の生産者として野菜の生産と流通を担っています。無農薬の微生物豊かな私達の農地は、一朝一夕に作れるものではなく、長年の努力のたまものです。消費者会員にとっても死活的な農地なのです。
 現在、政府の政策によって廃業する農家が続出しています。このままでは日本の農業は壊滅してしまいます。食料生産を守るためには、空港やダム、原発や軍事基地など環境破壊につながる政策を、一刻も早くやめなければなりません。市東さんの農地は貴重な優良農地です。どんな野菜でも作ることができます。
 倒産目前で先行き不透明で、将来必要なくなる成田空港に、市東さんの農地を明け渡すことはできません。
●市東さんの農地を守る
 空港会社は市東さんの意思が変わらないとみるや、営農のための市道を封鎖し、第3誘導路を建設。市東さん宅と農地を分断し、居宅と天神峰の農地を鉄板フェンスで囲い込みました。
 とんでもない人権侵害であり、地上げ屋のような悪質な嫌がらせに他なりません。市東さんと私達の怒りは増すばかりです。社会的にも法的にも絶対に許されません。
 反対同盟の看板とやぐらは、空港会社の人権侵害と無法な空港建設を告発するとともに、市東さんの人権と生活を守る盾になるものです。市東さんの農地と一体のものであり、「市東さんの農地を守る」という反対同盟の決意そのものです。だから絶対に撤去することはできません。

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