明日も耕す 農業問題の今 有機農業に新たな息吹 若い新規就農者増加中

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週刊『三里塚』02頁(1080号02面05)(2022/01/24)


明日も耕す 農業問題の今
 有機農業に新たな息吹
 若い新規就農者増加中


 農林水産省によれば、日本の有機農業取扱面積の全耕地面積に対する割合は0・5%で、世界的に見れば非常に立ち遅れている。しかし、地域や草の根の取り組みは着実に広がりを見せている。
 数字に示されるとおり、日本における有機農業はまだまだわずかなものだ。しかし、少ないながらも取り扱い面積や農家数はかなりのスピードで増加している。
 統計調査も少なく全体像はつかみにくいが、例えば農水省の推計で、2005年は8764戸だったものが、2010年には1万1859戸に増加している。5年間で35%の増加だ。
 また、取扱面積は2009年から2018年までの10年間で16万3000㌶から23万7000㌶に増加している。
 少し古いが、2010年に全国農業会議所がおこなったアンケートでは、新規就農希望者のうち、「有機農業をやりたい人」は65・1%で、「有機農業に関心がある人」を含めると92・7%にもなる。有機農業は若い就農者から支持され、選択する農業としてある。「消滅の危機」とまで言われる日本農業全体の現状とは違った、新しい息吹が有機農業にはある。

しくみを活かす

 このように有機農業が広がるのはなぜか。政府が喧伝するような輸出農業、金もうけの農業とは違った魅力が詰まっているからだ。
 有機農業はオーガニック・ファーミングの邦訳とも言えるが、歴史的には1971年に一楽(いちらく)照雄さんの提唱によって「有機農業研究会(現・日本有機農業研究会)」が創設され、有機農業という言葉が誕生した。
 一楽さんは「天地有機(天地機有り)」という言葉から「有機」と名づけたという。「機」は「しくみ」の意味で、天地有機は「自然のしくみを活かす」ということだ。有機農業は自然との共生を理念とするもので、農薬や化学肥料の不使用や有機物の投入で事足りるものではない。
 さらに有機農業は、多くの場合「産直」「提携」など、人と人とのつながりをつくっていく。
 これだけで言い表せるものではないが、近代化農業への厳しい批判から出発した理念が有機農業にたずさわる人々に脈々と受け継がれ、経済成長・金もうけ第一とは違う生き方・農業のあり方として共感を広げている。

「産直」「提携」を

 だから、RNA農薬やゲノム編集など安全軽視のイノベーションとは相容れない。
 政府の掲げる「有機農業」は、理念をすっ飛ばして技術だけ取り込もうというものだ。脱炭素と同様に、世界の時流にのって競争に勝ち抜こうというだけにすぎない。
 有機農業は新自由主義の対極にある。政府による中身の改変を許さず、未来への希望として取り組みを推し進めていこう。「産直」「提携」を広げていこう。
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