第3誘導路裁判 弁護団がNAAを弾劾 機能強化は戦争加担

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週刊『三里塚』02頁(1087号01面03)(2022/05/09)


第3誘導路裁判
 弁護団がNAAを弾劾
 機能強化は戦争加担


 4月22日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で、第3誘導路裁判が開かれた。
 この裁判は、反対同盟が国とNAAに対し、基本計画を無視して行った平行滑走路=暫定B’滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という、二つの「変更許可処分」の違憲・違法性を追及し、B’滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めているもの。2011年3月29日の初弁論から11年超の裁判となっている。
 この日は両陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、弁護団が意見陳述を行った。
 最初に弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が立ち、軍事空港としての成田の本質を鋭く追及した。1966年の閣議決定直後、自民党政府は国会での野党からの質問に対し、「米国が新東京国際空港の軍事的使用を要請してきた時は断ることができない」むね回答していた。そして現在、プーチン・ロシアによるウクライナ侵略戦争が続いている中で、米・NATOが大量の武器をウクライナに提供し、日本政府もヘルメット・防弾チョッキを供与して事実上の参戦国となっていることを強く批判した。そうした中で、米日帝国主義の中国侵略戦争が極めて切迫し、安倍前首相は「敵中枢への攻撃」もあからさまに口にしながら戦争をあおり、岸田政権は沖縄・南西諸島における自衛隊基地建設とミサイル配備を進めている。成田の機能強化は決して無関係ではなく、有事の際には成田も必ず軍事使用にされるだろう。葉山弁護士はこれらのことを指摘し、「成田は民間空港を標榜(ひょうぼう)していても、機能強化は間近に迫った侵略戦争への加担である」と弾劾した。
 さらに弁護団が次々と立ち、空港の存在そのものを問う批判をたたきつけた。新型コロナパンデミックのもとで世界の航空需要は激減し、もはや回復など見込めないことによって機能強化推進論の根拠が完全に失われている。空港の騒音被害は機能強化によって拡大・深刻化し周辺住民の健康と命を破壊することは明らかだ。「基本計画」を無視して変更を重ねて空港施設を継ぎ足し建設してきた上、今や機能強化と称して3000㍍の新滑走路を建設し敷地の2倍化を進めるなど到底許されない。もともと豊かな農業生産地域としてあった北総一帯を空港拡張によって一層破壊することには何らの「公共性」もない。
 10人も居並ぶ国とNAAの代理人は沈黙を決め込んでいる。
 裁判長は、次回期日を7月8日と指定し閉廷した。
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