群馬で<戦争と食料>講演会 市東さんが決意 「信念曲げずに闘う」

週刊『三里塚』02頁(1096号02面01)(2022/09/26)


群馬で<戦争と食料>講演会
 市東さんが決意
 「信念曲げずに闘う」

(写真 群馬集会で発言に立つ市東孝雄さん【9月18日】)

(写真 「守る会」がカンパを手渡した)


 9月18日、群馬県高崎市で、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんを招き、「戦争と食料」講演会が開かれた(主催・農業を考える9月集会実行委員会)。10・9三里塚全国集会を目前に控え、三里塚と群馬との連帯を一層強める集会として大成功した。
 群馬・市東さんの農地を守る会の大塚正之さんが、開会のあいさつを述べた。日本が戦争への道を進む今、成田が兵士や武器を運ぶ基地となることに警鐘を鳴らし、今年の集会テーマを「戦争と食」と設定したことを明らかにした。
 続いて来賓のあいさつとして、全国農民会議共同代表の小川浩さんが発言した。世界戦争と食料危機の切迫を解き明かし、「戦争をやることでしか生き延びられない社会は一刻も早く変えるべきだ」と断言。日本農業の危機の現状を語り、三里塚と労農連帯に希望があることを訴えた。
 一般社団法人「高階(たかはし)文庫」代表理事の高階ミチさんが、「戦争中の食べ物」と題して講演を行った。自らの体験と重ね、人々が河川敷を耕し、木の実や野草を採るなどして苦労して必死に食料を確保していた戦時下の食料事情を紹介した。戦争終結を迎えた時の感慨を「国破れて山河あり」と述べ、大地の大切さを感じつつ、農業実践を続けていることを語った。
 「戦争と食料」と題したメインの講演を、田島俊昭さんが行った。1929年大恐慌から第2次大戦に向かう中で、絶望的な食糧危機が全国の農村部を襲い、物資、燃料、食料、牛馬など一切が戦争に徴発され働き手も動員されていく状況を克明に解き明かした。そして現代において、食料自給率の低下と食品物価の高騰があいまって、すでに「庶民が十分に食べられない現実」が切迫し、実際の戦争へと一続きになっていることを語った。さらに凋落(ちょうらく)著しい成田の現状を報告し、軍事空港化を許さず、市東さんと連帯して闘うことが、農業と安全な食物を守る道だと強調した。

100年耕す農地

 三里塚現地闘争本部が用意したビデオが上映され、9・4現地闘争の様子や市東さんの畑の作物の現況が映し出された。
 ここでいよいよ市東さんが登壇。祖父の代から100年耕してきた農地について、NAAが底地を買い取ったと称して卑劣な手口で市東さんを追い出そうとしていることを、静かな怒りを湛えながら批判した。「私はおやじの遺言に従い、農家を継ぐと決めて帰ってきた。お金がほしくてやってるわけじゃない。後から来たのが空港です」
 そして9・2新やぐら裁判の「仮執行宣言」付きの控訴棄却判決を弾劾し、「付けない理由が見当たらないから付けた」との判決の言い草を断罪した。
 「しかしいちいち気落ちしては先へ進めません。まだまだ畑は元気です。私も元気なうちはやります! 私だけの問題ではなく日本農民すべての生き方がかかっています。反対同盟と私は、自分の信念を曲げずに闘っていきます」と力強い決意を述べた。会場全体がこれに大きな拍手で応えた。
 さらに2人の現闘本部員が発言し、この秋から開始されようとしている大規模自然破壊のB滑走路北延伸工事との闘い、完全無農薬有機野菜の産直運動の拡大などを真剣に訴えた。
 会場からは、地元の町長、県議会議員のあいさつ、さらに職場闘争の勝利的前進を報告する群馬合同労組の組合員の決意表明などが続いた。職場で安倍国葬への怒りがあふれているとの報告には共感の拍手が湧いた。
 最後に群馬合同労組の清水彰二委員長が、A職場での不当解雇撤回の勝利を報告し、三里塚・動労千葉と共に闘ってきた組合の17年の歴史を振り返りながら、安倍国葬反対、10・9全国集会への決起を呼びかけた。
 閉会後に交流会が開かれ、参加者は市東さんを囲み、心を開いて語り合った。最後に大塚さんが農地を守る会の会費とカンパを市東さんに手渡し、熱い連帯を表した。

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