明日も耕す 農業問題の今 促進法で農地転用を推進 戦略特区破綻で方針転換

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週刊『三里塚』02頁(1105号02面03)(2023/02/13)


明日も耕す 農業問題の今
 促進法で農地転用を推進
 戦略特区破綻で方針転換


 成田空港の機能強化を後押しするために国家戦略特区による規制緩和をめざしてきた千葉県は、方針を転換して「地域未来投資促進法」(以下、促進法)に基づく規制緩和を進めると公表した。

 千葉県の国家戦略特区提案は、2022年度内に結論を出すと言われていたが、1月31日に開かれた国家戦略特区ワーキンググループで方針転換が明らかにされた。
 さっそく農林水産省は空港周辺の農地が促進法の対象になるとする通知を出し、県は空港のゲートや高速道路のインターチェンジ、国道交差点の周辺を物流施設整備の「重点促進区域」に設定する方針だという。
 熊谷俊人千葉県知事は「成田空港周辺の特殊性を認めた全国初の規制緩和で、こちらの方がわれわれにとってはスペシャルだ」とコメントした。
 県の担当者も「特区という看板はなくなったが、実務上のメリットは大きい」と言う。

ハードルが低い

 2017年7月31日に施行された促進法は、「地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、相当の経済的波及効果を及ぼす民間事業者等を支援するもの」だという。 市町村及び都道府県が基本計画を作成し、国が同意する。計画に基づいて事業者が策定した「地域経済牽引事業計画」を都道府県知事が承認という流れの地域整備法だ。
 促進法によって優良農地転用規制の例外が拡大する。自治体が計画を策定することで農振地域内の農地が企業用地として転用できる。
 特区は首相を議長とする諮問会議で選ばれるが、促進法では農水相の同意があれば、自治体レベルで区域を設定できるのだ。
 そもそも促進法の活用は、「国家戦略特区よりこっちの方がハードルが低い」と前回のワーキンググループ会合で農水省が提案したものだ。
 しかし、出席した委員は「国家の重要事項に係るものだから、国家戦略特区を適用するのが筋だ」とこだわり、この日は平行線に終わった。

ビジネスが第一

 熊谷知事も最初は農水省の提案に半信半疑だった。だが、「ビジネスをする側にとって投資ができる環境」が担保されるなら、「国家戦略特区でも何でも結構」と言いなしていて、農水省提案に乗る道を選んだのだ。
 破綻した国家戦略特区にしがみつかなくても規制緩和されればそれでいいと。だが、「国家プロジェクト」の空港機能強化がらみで、地域整備の法律適用は、あまりにもデタラメではないか。
 知事は、「この案件以外も含めて、将来にわたって農振除外等が極めて速やかに実現できる地域であるという担保」を求めていて、さらなる拡大をねらっている。なし崩しの規制緩和を許してはならない。
 金もうけ第一で農地と農業をないがしろにする熊谷を許すな! 国、県一体となった新たな農地強奪を打ち砕こう。
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