農地強奪強制執行を弾劾する 2・15天神峰 市東さん先頭に怒りの実力闘争 反対同盟 徹夜の抗戦 全学連が機動隊を撃破・粉砕

週刊『三里塚』02頁(1106号01面01)(2023/02/27)


農地強奪強制執行を弾劾する
 2・15天神峰
 市東さん先頭に怒りの実力闘争
 反対同盟 徹夜の抗戦
 全学連が機動隊を撃破・粉砕

(写真 ライトを点け天神峰農地を踏みにじる大量の機動隊をやぐら上から全学連が徹底弾劾【2月15日】)

(写真 機動隊を前にスクラム組む市東さん、伊藤さん、太郎良さん)

(写真 機動隊暴力と体を張って闘いバリケードを押し返す全学連)

(写真 機動隊へダイブする萩原さん)

(写真 宮本さんが機動隊を徹底弾劾)


 三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地に対し、成田空港会社(NAA)は2月15日夜、ついに強制執行に踏み切った。マスコミは意図的に「反対運動のやぐら・看板を収去するもの」と強調したが、市東さんという一農家の農地をつぶし、営農に必要な建物を破壊し、生まれた時から慣れ親しんだ場所を奪う強盗的暴挙に他ならない。夜陰に乗じて執行を「円滑かつ確実に」(田村明比古NAA社長)済ませようとした敵の狙いは打ち砕かれ、岸田政権の悪逆非道が暴き出された。不当逮捕された3人の仲間の奪還へ全力を挙げよう。
 マスコミが「15日にも執行」と報じたことで反対同盟は緊急行動を呼びかけ、支援者が前夜から未明にかけて天神峰現地に続々と結集した。15日午前3時、約50人が市東さん宅中庭でたき火を囲み集会を開いた。
 最初に市東さんが、「いつかは来るということで構えてきましたが、今日がその日となりました。でも闘いは今日で終わるわけではありません。今日皆さんそれぞれができることをやってほしい。なるべくけがをしないように」とあいさつした。
 この言葉を受けて、反対同盟各氏、全学連の若者たちから年配者まで、一人ひとりがこの日に臨む決意と覚悟を述べた。決戦本部長の太郎良陽一さんを中心に、戦術や行動方針などを確認し、任務配置に就いた。
 夜が明けてくる午前6時に、旧小見川県道に全員が並び、決起集会を行った。一帯を覆う冷気が「強制執行実力阻止!」「農地死守!」の叫びで震えた。関西から徹夜で駆けつけた学生、東京、神奈川などの各地区の車両が続々と結集する。
 午前、午後と計4回の集会が開かれた。
 反対同盟の萩原富夫さん、伊藤信晴さん、宮本麻子さん、木内敦子さんがそれぞれ闘いの決意を表明。動労千葉の組合員も関道利委員長を先頭に午前中から駆けつけ、反対同盟と固いスクラムを組んで労農連帯の気概を表した。全学連の学生たちはそれぞれ、実力阻止の先頭に立つ決意を自らの言葉で熱く語った。
 午後4時、市東さん宅中庭で、すいとん・あんかけうどん、焼きそばなどがふるまわれた。参加者は舌鼓を打ちつつ、決戦に向け英気を養った。
 午後5時15分、萩原さんが日没までの勝利を宣言し、来るべき翌朝の攻防に備え夜の態勢に入ろうとした矢先、NHKが唐突に「今夜に執行」と報じた。

夜間に襲撃!

 「夜に執行だと!?」
 怒りをたぎらせ、いったん帰路についた人々も現地に取って返した。天神峰上空にはヘリコプターが旋回し、旧小見川県道沿いに並んだマスコミが市東さん宅に向けてカメラを構え続けている。
 市東さんを先頭に反対同盟と支援は路上でスクラムを組み、敵を迎え撃つ態勢をとった。
 夜8時、高級乗用車が開拓組合道路に駐車すると、看板上で監視していた全学連の同志がこれを即座に執行官と判断し、鋭く笛を鳴らした。ほぼ同時に市東さん宅向かいの警察「前線指揮所」から数百人の機動隊がなだれこんだ。機動隊は数の勢いで反対同盟のスクラムを破り、市東さんをも押し倒して団結街道に突入した。たちまち肉弾戦に発展し、怒号とシュプレヒコールが飛び交う。機動隊の盾と生身の人間が激しく衝突する音が絶え間なく響いた。
 当事者の市東さんをはじめ、誰も執行官の宣言を確認していない。(執行官はニュース映像を撮るためにのみ畑に向けて宣言しただけで市東さんにはしていない。)
 警察はこの日のために用意した鉄製の伸縮式車両阻止柵(通称ジャバラ)を団結街道奥まで暴力的に展開して街道遮断地点で固定し、市東さん自宅と天神峰農地を分断した。このジャバラを公道側にも展開して農地を完全に囲い込み、中で座り込む人びとを排除していく作戦だ。
 農地側から外に押し出された市東さんを、報道記者が取り囲みマイクを向けた。「いきなり機動隊が突っ込んできて2度も倒された。執行官と会わせろと言ったら『今呼ぶ』などと言ってたが、全然会っていない。こんなやり方は認められないし間違っている。国民の権利を守らず、国策の名のもとに自分たちのやりたいようになんでもやる、そういう国の姿勢が俺は大嫌いだ。自分たちが正しいと言うなら、暗くなってからではなく堂々と昼間やればいい。それができないのは、NAAに正義がないということだ」と強い憤りをたたえて訴えた。そして「今農地に多くの警察官が足を踏み入れていますが」との質問に答えた。「やはり忍びないし許せないです。そういう私たち農民の気持ちなんてNAAは全然分かっていないですよ。野菜などの作物は私たちにとって子どもと一緒。それを踏みつぶされたりするというのは、悲しいし納得できるものではありません」
 集会や援農で多くの人びとが慣れ親しんできた天神峰農地と中庭に、複数の重機が搬入され、破壊と強奪が次々と進められていった。絶対に許すことはできない!
 反対同盟は実力闘争の先頭に立って機動隊を押し返し、各所でマイクを握って仲間を激励した。萩原富夫さんは、ジャバラを乗り越えて機動隊の阻止線を強行突破し、執行阻止を試みた。
 全学連が満身の怒りを込めて立ち上がった。女子学生を先頭に完全武装の機動隊に素手で挑みかかり、鉄拳を浴びせ装備をはぎ取り、阻止線を各所で突き崩した。透明の盾、指揮棒、ヘルメットなどが奪い取られ打ち捨てられた。全学連はジャバラを格好の攻撃対象にして、機動隊を押しまくり圧倒した。破壊された継ぎ目から突入を繰り返し、あるいは個別の機動隊員を引きずり出して、地面にたたき伏せた。

やぐら死守戦

 旧県道に面して建つ反対同盟看板の頂上部には、寒風吹きすさぶ中を2人の学生が籠城(ろうじょう)し「やぐら」と化している。2人は旗を振り、渾身の戦闘的アジテーションを続けた。
 市東さん宅前の全学連部隊は2人の名前を呼びかけ、必死のエール交換を続けた。警察は高所作業車を導入。暴力的に排除するつもりだ。
 執行開始からすでに8時間、氷点下で体力と体温を奪われながらも残った気力のすべてを集中し、2人は作業車のバケットで迫ってきた機動隊との徹底抗戦を貫いた。午前4時半ころに「公務執行妨害」で逮捕。抑えつけられた2人を乗せた作業車が目の前を通過し、機動隊指揮所の中へ。
 再び全学連の怒りが爆発し、ジャバラを乗り越え、防戦一方の機動隊をさんざんに打ちのめした。警察はたまらず一人を不当逮捕した。
 市東さん宅離れの屋根の上でも解放派を中心に、高所籠城の闘いが夜が明けてなお続けられた。それぞれがこの日のために蓄えた力をすべて出し尽くし、15日未明から通算して30時間以上に及ぶ実力闘争を貫いた。
 16日の朝、市東さんは「悔しい結果ですがこれが終わりではありません。これからも共に闘いましょう」と強く訴えた。

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