明日も耕す 農業問題の今 農地を奪い倉庫群建設へ 動き出した成田規制緩和

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週刊『三里塚』02頁(1108号02面05)(2023/03/27)


明日も耕す 農業問題の今
 農地を奪い倉庫群建設へ
 動き出した成田規制緩和


 千葉県による成田空港周辺地域での土地利用規制緩和の方針を受けて、オーストラリアに拠点を置く国際的な不動産会社「グッドマングループ」は、多古町の農地を活用し、国際的な航空物流施設を整備すると発表した。
 前回取り上げた「地域未来投資促進法」に基づく規制緩和が早くも動き出した。
 グッドマングループとはオーストラリアをはじめ、世界14カ国で、物流施設を中心とした事業用不動産の所有、開発、運用を行っている企業だ。
 同社のグレゴリー・グッドマンCEOは3月16日、多古町の平山富子町長、成田空港会社(NAA)の田村明比古社長と県庁を訪れて、熊谷俊人知事と会談し、空港一体型航空物流拠点の開発計画を進めると発表した(写真)。
 物流拠点を造るのは、空港の東側に隣接する畑や山林など計70㌶で、B滑走路とC滑走路予定地の間に位置する。C滑走路新設に合わせて2029年の完成をめざす。
 成田空港周辺の土地活用のために、千葉県は国家戦略特区の指定による規制緩和を目指してきたが、2月、地域未来投資促進法に基づく方針への転換を発表した。
 農水省の同意を得て地域を指定すれば、農業目的の利用しかできないはずの「農用地区域」も、規制緩和で農地転用ができる。戦略特区の場合は事業ごとに首相の承認が必要だが、同法を活用すると知事の権限で認定が可能になり、時間もかからない。

豪企業呼び込み

 報道によれば、1年以上前から知事の側近が投資を呼び込むため、グッドマンの首脳と内々に交渉を重ね「空港周辺の開発を全面的に支援する」と伝えてきたという。
 つまり千葉県が一昨年1月に出した国家戦略特区提案に合わせて、すでに具体的な話が進んでいたのだ。だから熊谷県知事は規制緩和の実現に血道を上げ、促進法に飛びついたのだ。
 計画区域には農地や住宅もあり、今後地権者との交渉に入るという。
 まず企業との合意がなされ、それに基づいて法律の適用が変更され、規制が緩和される。優良農地として守られるはずの地域が、一転して例外地域に指定され、買収攻撃でズタズタにされるということだ。許せない!

物流=兵站拠点

 NAAの田村社長は「国際競争力の強化につながり、東アジアのハブ空港になるため非常に重要」と説明し、熊谷知事は「成田を核とする国際的な産業拠点の形成を目指すのに、航空物流拠点の整備は不可欠」と強調した。
 だが、仮に物流拠点が整備され、機能強化が思惑通りに実現したとしても、航空貨物取扱量は香港国際空港や仁川国際空港に遠く及ばない。ハブ空港などという絵に描いた餅は、破綻必至だ。
 滑走路と物流基地の整備は、軍事における兵站(へいたん)基地としての整備につながる。新たな農地強奪を許すな!

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