芝山町に空港絶対反対の声響く 第3滑走路と騒音拡大許すな 「第2ラウンド」宣言し現地闘争

週刊『三里塚』02頁(1109号01面01)(2023/04/10)


芝山町に空港絶対反対の声響く
 第3滑走路と騒音拡大許すな
 「第2ラウンド」宣言し現地闘争

(写真 「機能強化粉砕!」反対同盟を先頭に芝山町をデモ行進【3月26日】)

(写真 太郎良決戦本部長の音頭で団結ガンバロー三唱)


 岸田政権は大軍拡予算を成立させ、沖縄・南西諸島へのミサイル配備を推し進め、ウクライナ戦争―中国侵略戦争へと突き進んでいる。成田空港会社(NAA)はこれと軌を一にして更なる機能強化と一体の『新しい成田空港』構想を発表し、兵站(へいたん)拠点としての巨大軍事空港建設の意志をいよいよ鮮明にさせている。今こそ空港絶対反対の闘いが必要だ。「成田空港機能強化粉砕!騒音拡大許すな!」を掲げた芝山現地闘争が3月26日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で芝山文化センターで行われた。成田市天神峰の市東孝雄さんの農地への2・15強制執行に対する怒りに燃えて、全国から330人が参加し、「第2ラウンド」の勝利を誓い合った。

機動隊撃破の映像に拍手

 冒頭にビデオ「天神峰農地強奪強制執行との激闘の記録」が上映された。大量の警察・機動隊を動員したむき出しの国家暴力による2・15強制執行、それを迎え撃った反対同盟と労働者・学生・人民の実力闘争の映像を、参加者は固唾をのんで見守った。全学連が機動隊を撃破するシーンに何度も拍手が湧いた。
 婦人行動隊の宮本麻子さんの司会で集会が始まり、最初に3月10日に急逝された反対同盟顧問弁護団事務局長の葉山岳夫さんに、全員で黙祷をささげた。
 東峰の萩原富夫さんが、発言に立った(発言別掲)。「体を張って実力で闘う三里塚の姿勢を日本と世界に示した意義は大きい。市東さんの耕作権裁判に勝利しよう。騒音訴訟に立ち上がる住民と協力し、反対同盟は『空港絶対反対』で闘う。成田の軍事空港化を許さない」と鮮明な方針をあらためて示した。
 続いて「市東さんの農地取り上げに反対する会」と「群馬・市東さんの農地を守る会」が発言した。群馬の労働者は、太郎良さんの「今自分の闘いをしっかりやることが連帯だ」との言葉に励まされ、職場での団交に臨んだことを語った。
 全国農民会議共同代表の小川浩さんは「市東さんへの強制執行は、国家権力が黒幕、裁判所が指示役、機動隊を実行役とする強盗行為だ」と激しい怒りで断罪した。そして、日本の農業危機と全世界的食糧危機の現状を説き、「労働者階級と連帯し新たな農民運動をつくる」と決意を表した。
 2・15を最先頭で担った決戦本部の6人が登壇した。逮捕・弾圧を打ち破って戦列に復帰した全学連の3人が並び、今井治郎さんが杉並区議選に勝利し、広島G7サミットを粉砕し、「今度こそ強制執行を止めてやろう」と決意を述べた。
 熱い注目の中、市東さんが発言に立った。「農地を取られることは命をもぎ取られた感じだが、残っている畑がある。『闘魂ますます盛んなり』、明るく闘っていきましょう!」
 市東さんの不動の決意と覚悟に全参加者が胸を打たれ、拍手が続いた。
 続いて反対同盟顧問弁護団の2人が、葉山弁護士の闘いを引き継いで、空港の手先と化した裁判所と闘い耕作権裁判に勝利することを誓った。
 連帯のあいさつの最初に動労千葉の関道利委員長が立った。「農地強制収用の目的は成田の軍事利用と反対同盟つぶしだ。戦争国家化に向けた攻撃は私たちの職場でも『労組なき社会化』攻撃としてかけられている。今こそ階級的労働運動が必要だ。それを示すため3・18―19ストに立ち上がった」と誇り高く報告し、今後も車の両輪として進むことを誓った。
 関西実行委の発言に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部執行委員の西山直洋さんは、「和歌山事件」での大阪地裁での逆転無罪判決の勝利を報告し、三里塚の実力闘争を若者の間に広げようと訴えた。

ありえぬ「空港との共生」

 「市東さんの農地を守る沖縄の会」の発言に続き、福島の椎名千恵子さんが3・11反原発福島行動の成功を報告した。全国農民会議共同代表で酪農家の鈴木光一郎さんの連帯メッセージを、同福島支部の吾妻和位さんが紹介し、「三里塚で機動隊をぶち破った力で、日本の核武装をも視野に入れた福島第一原発の汚染水海洋放出を阻止しよう」と呼びかけた。
 婦人行動隊の木内敦子さんがカンパアピールを行い、「若い人たちの実力闘争が勇気と希望を与えてくれた。反対同盟は闘いの第2ラウンドに入る」と宣言した。
 反対同盟事務局員の伊藤信晴さん(芝山町白桝在住)は、空港機能強化策を厳しく弾劾した。「四者協議会(NAA、国交省、千葉県、周辺9市町)は空港機能強化推進と反対同盟つぶしをもくろんできた。中でも前芝山町長の相川勝重は最も市東さんの農地取り上げを要求した人物。だが2・15闘争でその狙いを完全に打ち砕いた。戦争を絶対に阻止するために機能強化攻撃と闘う」
 続いて空港周辺地域の住民2人が登壇し、成田空港の飛行差し止めを求める提訴に踏み切ることを明らかにした。
 集会は大詰めを迎え、決戦本部長の太郎良陽一さんが登壇した。闘い半ばで生涯を閉じた北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長ら諸先輩の志と闘いを継ぐ闘いを実現したことを確認し、「闘魂を固め、隊列を大きくしてがんばろう」と訴え、団結ガンバロー三唱をリードした。
 反対同盟を先頭に直ちにデモに出発。「空港との共生・共栄」とは真逆の姿を示している芝山町一帯に「第3滑走路建設阻止」の訴えを響かせ、「反対同盟の歌」を斉唱しつつ周回デモを貫徹し、「第2ラウンド」の勝利を誓った。

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闘魂ますます盛んなり 集会発言

団結の力で敵を追いつめた
 敷地内天神峰 市東孝雄さん

 残念ながら強制執行はされました。しかし最高裁判決から6年、反対同盟も太郎良さんのがんばりと全国の皆さんの支援と、座り込み、泊まり込みという形で権力側には相当な圧力がかかっていたと思います。6年も向こうは執行はできなかったのはそのためだと思っています。
 NAAは、あらゆる意味で強制的な手段を用いないと言っていながら、結局は夜中にこそこそやることしかできなかった。やはり皆さんの本当の団結の力で追い込んだからだと思います。
 私にとって農地がなくなるということは、命をもぎ取られたという感じでありますが、まだ残っている畑があります。旬の野菜を消費者のみなさんに届けおいしいと言っていただけることが私の喜びです。ですから、これからも耕し続けます。
 反対同盟は車の両輪として40年以上、動労千葉と共に闘ってきました。そして関西生コン支部、港合同といった労働組合との団結。市民運動、学生運動、国策との闘いで頑張っている方々と共にこれからも闘っていきます。福島、沖縄、三里塚を一つの闘いとしてこれからも闘います。「闘魂ますます盛んなり」の言葉を大事に、また明るく闘っていきましょう!

体張る闘いを全世界に示し
 敷地内東峰 萩原富夫さん

 今完成したDVDを初めて見て興奮が甦りました。真っ暗な中で、みんなでこんなジャバラのバリケードなんか許せないと、ぶち当たったり、押したり引いたり、肉弾戦をやり切りました。本当に寒い中、駆けつけていただいたみなさん、ありがとうございました。
 僕があのジャバラの上に乗ってダイビングしている映像もありました。この状況を打開しなきゃいけないと思って、必死で乗り越えて機動隊の上に飛び込んでやろうと、飛んだんです。あれから本当にハチャメチャな状況になりまして、力いっぱいみんなで闘いました。
 3名の学友が逮捕されましたけども、大けがすることもなく無事に私たちのもとに戻ってくれていることを本当によかったと思います。
 大衆的にみんなで力を合わせて闘うということを私たちはやり切りました。体を張って闘う実力闘争、権力を前にして絶対ひるまない、あきらめない、逮捕も恐れず闘う。そういう姿勢、闘いを日本全国、そして世界の人々に見せることができことがとても大きなことだったと思います。
 市東さんの耕作権裁判がまだあります。これを粘りに粘って勝ちたい。
 この芝山でも騒音から生活を守ると住民が訴訟に立ちます。私たちは断固として絶対反対の立場で闘います。住民の皆さんはそれぞれの立場からの闘いがある。それを別々に考えるのではなく、共に闘っていきたい。
 軍事空港化のための「新しい成田空港」を許さない闘いを、皆さんとともに反戦闘争として一生懸命がんばっていきます。

資本主義に負けない三里塚
 反対同盟決戦本部長 太郎良陽一さん

 本当にみんながんばり、今の段階で精一杯やれることはやった。しかし、やられました。これを突破するのは悔しさを味わった俺らしかいない。
 反対同盟が築いてきた実力闘争、国家権力には絶対に負けない、やっつけてやるんだという闘いを何としても引き継ぎたいというのが私の決意でした。みなさん決戦本部に集まってあれだけの闘いをやりぬいてくれてありがとうございます。
 しかし、闘いはこれからです。成田空港をグローバルな流通拠点として資本主義の発展に使おうということは許せない。われわれにとって大事なのは空港ではなく、農地、自然、環境、家族、人間のつながりです。これをずたずたにして金もうけだけをしていればいいという資本主義のやり方に対して、三里塚闘争は根本から反対してきた。金持ちのためなら人を殺しても構わない、戦争をするという問題も、資本主義の究極の問題であります。これらを貫いた問題としての三里塚をもう一度見つめ直してほしい。
 市東さんの決戦で実現した、いろんな組織、党派、市民団体含めて団結して全力で闘う組織をもっともっと大きくしていきたい。そうでないと勝てない。世の中を変えられない。
 自分の地域で精一杯三里塚闘争を作りあげ、金には負けない、資本主義には負けない、新しい世の中を切り開く拠点を、全国に作りあげようじゃありませんか。

内乱的闘いを全国に広げる
 全学連 今井治郎さん

 市東さんの農地が奪われてしまったことは本当に悔しいし、NAAと国家権力の暴挙に対して怒りに堪えません。しかし、市東さんが「第2ラウンドの闘い」を開始し、天神峰で農地を耕し続けていることが大きな勝利です。反対同盟の運動をつぶそうというNAAの思惑を完全に粉砕しました。
 全国から多くの学生が現地に駆け付け、24時間の座り込み、宣伝活動、時には農作業を担いました。国家権力との闘いを肌感覚でつかみ、農地の豊かさに触れ、生活が一体となった闘いを57年にわたって続けてきた闘いの偉大さを学び、人民自身が政治と暴力を奪還する中に社会を変える力があることをつかみ、この農地を全力で守りたいという欲求が生まれ執行当日の体を張った闘いにつながりました。
 三里塚は岸田政権による大軍拡、日米による中国侵略戦争との最先端の攻防です。岸田とバイデンは、反対同盟をつぶして成田の軍事利用を明確に狙っています。成田の巨大軍事拠点化阻止の闘いは戦争を止めるための最重要の課題です。
 人民の内乱的な闘いが求められています。戦争絶対反対を貫くほらぐちともこ杉並区議の選挙戦に勝利し、5月のG7広島サミットを粉砕する闘いをさらに多くの青年・学生を組織しながら闘い抜く決意です。そしてその力をもって、今度こそ強制執行を止めてやろうじゃありませんか。

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