気候危機の真実に迫る 資本主義こそ自然環境破壊の元凶 国家間の資源争奪戦が激化の一途 破滅的大災害が全世界に拡大中

週刊『三里塚』02頁(1120号02面03)(2023/09/25)


気候危機の真実に迫る
 資本主義こそ自然環境破壊の元凶
 国家間の資源争奪戦が激化の一途
 破滅的大災害が全世界に拡大中

(写真 大雨によってダムが決壊、大洪水で1万人以上の死者を出したリビア東部のデルナの様子)


 「地球沸騰時代」「気候崩壊」----こう呼ばれるくらい今夏は記録的な酷暑となった。6~8月の世界の平均気温は16・77度で、平年を0・66度上回った。今年7月の平均気温は観測史上最高を記録した。日本でも熱中症による搬送数や死亡・労災件数は、例年の規模をはるかに上回った。誰もが「最も暑い夏」を体感したであろう。
 この中で、国土の3分の1を喪失させた昨年のパキスタン水害に続き、2023年も未曽有の気候大災害が発生し続けている。(別表)
 リビアにおいては9月現在、政治危機、インフラ崩壊とあいまって大洪水の犠牲者数が1万人を超えて拡大している。
 もはや「自然災害」と呼ぶレベルではない。気候危機は「近い将来」に起きることではなく、今現在進行形だと言わざるを得ない。

技術超高度化の競争に明け暮れ

 マスコミは連日、「例年にない記録的暑さ」を連呼するが、その原因を報道することは少ない。気候危機の問題を扱っても「全人類が取り組むべき課題」であるかのように宣伝される。まったくのデタラメだ。
 地球上のエコシステム(生態系・自然環境)を破壊し、異常気象と災害を生み出しているのは、資本主義の矛盾そのものにある。貧富の格差とCO2排出量は相関関係にあり、世界の全所得者のトップ0・1%の77万人だけで、世界全体の4%を排出している(『世界不平等レポート』22年版)。気候を破壊している張本人は、ブルジョアジーなのだ。労働者階級人民に「排出量に気をつけろ」「節約しろ」と責任転嫁される話では全くない。
 言うまでもなくブルジョアジーにとって、地球環境よりも利潤追求が優先される。あくなき利潤追求と生産拡張に突き進む資本主義の生産様式そのものが問題なのだ。「産業革命」以降、資源の略奪・独占、大工業の発達と生産力の拡大、労働者人民への搾取と収奪はともに重なり合って進んできた。
 19世紀以降、資源と市場をめぐる国家間の領土の分割・再分割戦が激化し、世界規模の戦争が爆発する帝国主義の時代を迎えた。
 そして21世紀の今日、新自由主義政策の満展開と破産のもとで帝国主義諸国(と中ロ)は、恒常的に国内の強権統治と対外的戦争を身構えながら、日々更新される生産力統御の技術開発、情報収集・解析、通信技術などの超高度化競争に、体制の延命をかけて明け暮れることになった。それは資本家とその国家を、エネルギー・資源・希少金属などの新たな争奪戦に駆り立て、土地を奪い、自然と人間との物質代謝を根本からひずませ、自然環境の破壊・汚染を一層進めている。

「脱炭素」掲げて原発進める岸田

 この環境破壊の極限的形態が戦争だ。ウクライナ戦争では両軍で50万人もの兵士が死亡するほどの激しさで、森林・地形・河川・海洋・生態などへの破壊と汚染もまた進んでいる。全世界に展開されている軍隊のCO2排出量は全体の約5・5%と言われるが、現実の戦争が勃発するとより激化する。ウクライナ戦争の1年間で、約8300万㌧のCO2が排出された(東京都の排出量を上回る)。この戦争の渦中で、燃料が高騰し化石燃料資本が過去最大の利益を得ている。戦争とともに全世界で、化石燃料回帰が起き始めている。
 自然破壊への人民の怒りに直面する国や政府は「気候・環境対策」「脱炭素」「グリーンニューディール」を叫び、幻想をあおっている。それらの美辞麗句の正体は、いわゆる「グリーンウォッシュ」「環境ビジネス」であり、資本主義の延命手段だ。
 すでに帝国主義諸国と中国スターリン主義、ロシアの間での資源獲得競争・争奪戦はすさまじい勢いで進んでいる。
 2050年に世界で消費する電力の総量は、現在の約8倍になると言われている。すでに現在、EV化、半導体などの最先端産業で、希少金属の資源略奪が激化している。こうした中での為政者たちが唱える「環境」は一切がまやかしだ。
 ウクライナ戦争下で22年に開かれたCOP27(国連気候変動枠組第27回締約国会議)は、化石燃料と原子力産業のロビイストが過去最多人数参加し、パリ条約で決めた気候変動対策の公約を骨抜きにした。気温上昇を1・5度以下に抑えるとの「国際社会の約束」は絶望的となった。
 CO2排出量世界4位の日本帝国主義=岸田政権は今や「脱炭素」を掲げながら、原発推進に大きく舵を切り、放射能汚染水の海洋放出を強行した。原発こそ人類の存続そのものを脅かす最悪の地球環境破壊であり、絶対に許されない。

戦争止めよう!労働者に権力を

 もはや人間の生存基盤を破壊するまでに至った資本主義を直ちに終わらせなければならない。
 世界各地で多くの先住民や環境活動家が、開発企業が雇う殺し屋たちに銃口を向けられながら、命がけで立ち上がっている。とりわけ、アマゾンの森林破壊に対して、ブラジルでは先住民が中心となって、ボルソナロ前大統領を退陣に追い込み、開発計画を撤回させる運動が高揚している。
 ブルジョアジーの良心・理性に期待し、資本主義の枠内での対処することはもはやできない。
 労働者階級人民の力で一刻も早く戦争を止め、帝国主義を打倒し、労働者の権力をうちたて、資本主義的生産様式を終わらせ、社会主義を実現すること。たとえ困難に見えても、これが最も現実的な自然環境破壊・気候危機を食い止める道なのである。
(是永真琴)
------------------------------------------------------------
2023年の主な気候災害
1月 南スーダンの洪水で4万7700平方㌔浸水
2~3月 アフリカ南東部をサイクロンが襲い1千 人死亡
4月 インド、バングラデシュ、タイで「アジア最 悪」熱波。44℃超える猛暑
5月 バングラディシュのロヒンギャ・キャンプを サイクロンが襲い145人死亡
5月 イタリアで半年分の雨が1日半で降り注ぎ洪 水。3万6千人が家を失う
5月 ルワンダ西部、降雨と洪水で130人死亡
7月 カナダ森林火災で9万平方㌔が焼失
7~8月 中国河北省の豪雨・洪水で死者・行方不 明200人以上。150万人避難
8月 ハワイ・マウイ島の山火事で97人死亡
9月 リビアで大雨・洪水。死者1万1千人、行方 不明1万人を超える

このエントリーをはてなブックマークに追加