団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1134号01面06)(2024/04/22)


団結街道


 普段は胸に畳んでいるが、胸がつまり、胸が裂けるような現実に対し、胸を打ち、胸に響き、胸に染み、胸が躍り、胸がすくような記事がひしめく、「刺さる」新聞にしたいと常々考えている。だが、実際は難しく胸が痛い▼「刺さる」という表現は2015年の新語だそう。もともとある「胸に突き刺さる」から「心に刺さる」を経て、心が取れて「刺さる」だけで使われようになったようだ。ただ、胸に突き刺さるは悲痛な感情を表すが、心に刺さるは感動や共感といったプラスの感情を意味する▼似た新語に「エモい」がある。心が揺さぶられ何とも言えない感じを表す2016年の新語だ。最近、データや根拠を前面に出さず、価値判断も示さないエピソード重視の「ナラティブで、エモい記事」が目立つことを批判する記事を朝日新聞デジタルで見た。ナラティブとは「語り」のこと▼確かに「エモい記事」はバズる(好意的な注目が集まる)。だが、新聞の役割(権力を監視し、社会に警鐘を鳴らし、正しい方向に教え導く)とはズレている▼他方で、いくら正しくても楽しくなければバズらないことも真理。バズることが正しいことではないはずなのに、バズらせることを優先することで、正しさと楽しさの関係が逆転し、楽しいことが正しいことになりがちなのが現代のSNS社会だ▼労働者階級の立場に立つ価値判断を明確にし、かつ痛快な新聞づくりに励みたい。
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