推進派の手先に堕した朝日新聞 「第2の開港/成田秘話」連載 住民の被害深刻化を無視
週刊『三里塚』02頁(1174号02面04)(2025/12/22)
推進派の手先に堕した朝日新聞
「第2の開港/成田秘話」連載
住民の被害深刻化を無視

(写真 亀井静香運輸大臣と握手する石毛博道【1994年10月】)
12月上旬、朝日新聞に「第2の開港/成田秘話」と題する記事が5回にわたって連載された。機能強化=「第2の開港」プロジェクト推進のお先棒を担ぐキャンペーンとして怒りに堪えない内容である。
思惑・打算・利権
成田空港は最初から、農民のかけがえのない農地を機動隊の暴力で踏みにじり奪って造られてきた。そして今も地元住民を農業破壊と移転強要で脅し、けたたましい騒音と振動で圧迫し、事故と落下物の危険にさらし、生活と健康を破壊し続けている。日本帝国主義は成田を巨大軍事空港建設として位置づけ、国策として暴力的に遂行してきた。このような成田の本質から人々の目をそらせ、空港の拡張・発展に明るい未来が約束されているかのようなゆがんだ情報をふりまくのがこの朝日の連載である。
「秘話」と銘打ち「舞台裏を明かす」ような体裁をとっているが、登場人物は議員・政治家、県知事や周辺市町の首長、空港公団総裁、NAA社長、そしてかつての反対同盟員で裏切り者に転落した石毛博道、相川勝重(前芝山町長)などの推進派に限られる。彼らの語りをつなぎ合わせて、「成田がたどってきた苦難の歴史」のようなものをでっち上げている。そしてその時々の思惑に左右されながら利権・打算で動いてきたことをあからさまに認め、批判・疑問を投げかけることもない。今やその成田が国家戦略の中軸に据えられて機能強化が進められようとしていることを、この記事はある種の「高揚感」をもって宣伝している。
地元の住民を無視し苦しめてきたこと、今後一層苦しめようとしていることは「解決すべき課題」にされ一片の反省もない。「解決」どころか空港の拡張は、被害の深刻化、被害地域の拡大であり、空港周囲を「人の住めない場所」にすることだ。
「地元の要望」!?
とりわけ第3滑走路計画が「地元からの要望」として現れ具体化してきたかのように描いていることを、絶対に許すことはできない。機能強化策=第3滑走路建設は、危機に立つ日本帝国主義の深部から発せられた、日帝の延命と戦争国家化へ向けてのより強化された国策だ。「元反対派」の肩書きを持つ石毛、相川はこれに自己を一体化させ、最悪の先兵に成り果てているのだ。その罪は万死に値する。この朝日連載は、反対同盟と市東さんの存在に一言も触れられない。それは、閣議決定からおよそ60年にわたり反対同盟が非妥協でこの国策に立ちはだかり敢然と阻んできたという厳粛な事実に向き合えない、敵の弱点と言えるだろう。
このような提灯記事を載せるに至った朝日新聞は、日帝ともに打ち倒され滅ぼされるべき存在であることを確認する。
(田宮龍一)