成田夜間飛行差止行政訴訟 「騒音被害の審査基準を示せ」 国の資料隠しを追及

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週刊『三里塚』02頁(1178号02面02)(2026/02/23)


成田夜間飛行差止行政訴訟
 「騒音被害の審査基準を示せ」
 国の資料隠しを追及

(写真 裁判報告会【17日】)


 成田空港夜間飛行差し止め請求行政訴訟の第10回口頭弁論が2月17日、千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で開かれ、傍聴しました。
 この裁判は、成田市、芝山町、多古町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民が国を相手取って成田空港の深夜早朝(午後9時から午前7時)の離着陸禁止を求めているものです。
 冒頭、成田市の原告・Aさんが意見陳述に立ちました。(要旨別掲)
「騒音のために小・中学校も郵便局も農協もなくなり、残っているのは駐在所だけ」「これは人権問題です。眠れる夜と、静かな朝を取り戻したい」の訴えに傍聴席から惜しみない拍手が送られました。
 続いて弁護団が、難解で趣旨が不鮮明な国の主張を的確に整理しつつ、徹底追及しました。中でも、「(発着枠拡大について)国は4者合意があると繰り返し言及しているが、4者合意は住民を含めた真摯な合意の場ではない。原告は騒音によって日々、傷つけられているのだ。4者合意で国交大臣の航空法上の義務が免責されるかのような書き方は金輪際やめてもらいたい!」との力強い追及に、傍聴席からも「そうだ!」との声が上がりました。
 国は前回、「事業計画の許認可にあたって、騒音被害について具体的な審査基準はなく、審査もしていない」と驚くべき主張を行いました。裁判所は、「最高裁も審査するのが航空法上の義務と言っている」と再検討を促していました。
 今回、国がしぶしぶ出した準備書面でも結局、どのような審査基準があり、騒音被害をどう考慮し、審査しているのか。肝心なことが何一つわからないもので、出してきた証拠の資料は項目すら略したものでした。
 弁護団からの追及に促される形で、裁判長は国に主張を明確化すること、資料も隠さずに出すことを求め、閉廷。
 次回期日は、5月15日(金)11時開廷です。
(土屋栄作)
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学校も郵便局もなくなり
 成田市Aさんの意見陳述

 A滑走路の真下にあたり騒音がうるさい地区に住んでいます。
 1978年開港当時は、飛行機の飛ぶ時間が朝6時から夜23時までに制限されており、それでよいと思い、反対運動には参加していません。
 しかし、徐々に約束が破られ、2019年にはA滑走路は例外的に24時半まで、B滑走路は24時までの発着が可能になりました。23時以後まで飛行機が飛ぶと一回の騒音で目が覚め、なかなか寝付けず不眠に苦しむようになりました。
 発着時間の変更を行うために、空港会社や国、市が「説明会」を開催し、理解を求めてきました。私たちは必ず参加し、制限してほしいと繰り返し求めてきました。しかし、「説明会」は住民の話を検討する場ではなく、何を言ってものれんに腕押し。もっと早く裁判を起こしておけばよかったと思っています。
 私の子どもたちは別の地域に出て行き、遊びに来た孫たちは飛行機の音がすると怖がっています。地区の多くの家庭で同じことが起こり、若い人たちはみんな出て行ってしまいました。小中学校も移転となり、郵便局も農協も引っ越しました。残っているのは駐在所だけ。結局、人間の住める場所ではなくなって、出ていくことのできる住民は全員追い出されてしまった。私のように土地と強く結びついている住民は出ていくこともできず、騒音を我慢して生活してきたのですが、もう我慢の限界を超えています。多くの住民に睡眠障害が発生している。これは人権問題です。私たちは眠れる夜と静かな朝を取り戻したいだけなのです。公正・公平な裁判を期待します。

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