明日も耕す 農業問題の今 種苗法改悪と育苗新法 国と大企業の支配強化
週刊『三里塚』02頁(1182号02面05)(2026/04/27)
明日も耕す 農業問題の今
種苗法改悪と育苗新法
国と大企業の支配強化

(写真 種の支配は戦時体制作りの一環)
衆院憲法審査会が開始され、国家情報会議設置法案、スパイ防止法案、国旗損壊罪など戦争に突撃する高市政権に対して大衆的怒りが爆発している。「戦争国会」と対決する上で、農業をめぐる法案も見過ごせない。
今国会には農業の構造転換に必要な財源を確保するための法案や、米の需給安定に向けた「食糧法の改正案」など農業関連で8本の法案が提出されている。
その中でも、日本のタネのあり方を大きく変えてしまうの法案が「種苗法改正法案」と「重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案」(育苗新法)だ。 どちらも4月3日に閣議決定され国会に提出された。
海外市場にらみ
種苗法改悪案は、国内で開発された重要品種の海外流出防止策の強化などが盛り込まれている。効力の範囲を広げ、海外に持ち出す目的での種苗の保管を禁止した。
持ち出しを禁止する一方で、今回の改悪では逆に外向けに日本の種苗を海外に売るためのしくみを導入している。
日本の種苗を使う海外の生産者には、日本の出荷時期には出荷させないライセンスを結ばせて、日本からの農産物の輸出と日本からの種苗輸出を両立させるというのだ。
日本政府と企業がアジアなどの農産物市場を支配しようという魂胆だ。
さらに「育成者権」の有効期限を10年延長して35年(樹木40年)にする。これは品種保護条約の加盟国の中でも最長だが、開発者(育成者)の権利だけを保護するもので、農民のタネの権利は一切無視されている。
地方の権限否定
育苗新法は、気候変動などに対応する新品種の開発・普及に向けた新たな法案で、国が目指す品種の特徴などをまとめた基本方針を策定し、それに沿って自治体や民間企業などが開発・普及を進めるというものだ。だが、新法の下で国が基本方針を定め、地域を問わない広域品種の育成が目標となり、それに沿った種苗を民間企業が行えばどうなるか。
地方自治体が持つ農業試験場などのインフラを民間企業に提供することが義務化され、長く日本のタネを支えてきた公的な種苗事業は完全に解体される。
地方自治体の種子条例や農地保護の権限が国の上位法によって無効化され、市町村は企業の計画に合わせて地域の農業計画を変更する義務を負わされることになる。
例えば、国の認定を受けた企業が「種苗工場」を建てたいと言えば、市町村は地元の優良農地をコンクリートで固める(農地転用)ことを拒めなくなってしまう。新たな農地強奪にもつながるものだ。
2つの法案は、種苗の保護や気候変動対策にかこつけて、種苗・育苗における国家と大企業の支配を格段に強めるもので、戦時体制づくりそのものだ。
戦争国会粉砕・高市政権打倒に立ち上がろう。