空港拡張差止裁判 成田機能強化は違法だ 住民・地権者の新提訴、併合へ

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週刊『三里塚』02頁(1191号02面01)(2026/09/14)


空港拡張差止裁判
 成田機能強化は違法だ
 住民・地権者の新提訴、併合へ



(写真 弁護士会館で報告集会)
(写真 大寄久裁判長)


 千葉県庁デモに続いて9月8日、千葉地裁民事第3部(大寄久=ごうより・ひさし裁判長)で空港拡張差し止め裁判が開かれた。この裁判は、三里塚芝山連合空港反対同盟が、被告の国と成田空港会社(NAA)に対し 滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(10年)という二つの変更許可処分の違法性を追及し、飛行の差し止めを求める「第3誘導路裁判」として始まった(第1事件)。これに、成田の「さらなる機能強化」に伴う国の施設変更許可(20年)の無効確認と現在行われている一切の工事の差し止めを求める訴訟が加わった(第2事件)。
 そして昨年10月、機能強化で騒音被害が一層深刻になる成田市、芝山町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民30人が原告となり、国・NAAに対し機能強化と新滑走路建設差し止めを求めて提訴し(第3事件)、本裁判に併合された。
 さらに本年8月24日、7人の住民(芝山町の第3滑走路予定地の地権者を含む)が同じ内容で提訴し(第4事件)、本裁判への速やかな併合を求めている。
 本裁判は2010年の提訴から16年をへて、空港周辺住民の怒りを総結集し、機能強化・強制収用攻撃を直接撃つ訴訟へと進化してきたのだ。
 60を超す傍聴席を埋めて開廷。大寄裁判長は「第4事件」を併合する意向を明言した。

低騒音機のうそ

 続いて、横芝光町の住民Aさんが意見陳述を行った。(要旨別掲)
 Aさんは成田A滑走路の南側直下に住む住民で、1978年の開港以来騒音に苦しめられ、2023年に「眠れる夜と静かな朝をとり戻したい」という思いで、稲敷、成田、芝山、横芝光の4市町の仲間とともに原告となり、夜間飛行差し止めと損害賠償を求める裁判を起こし、昨年にこの空港拡張差し止め裁判の原告となった。
 離着陸が午後11時までだった時はなんとか午前6時まで睡眠をとることができたが、19年に「運用時間1時間延長」が決められ、深夜0時まで大型貨物機や旅客機が上空を飛ぶようになると11時に就寝できなくなり、健康を蝕まれていった。
 NAAは「低騒音機しか飛んでないから問題ない」というが、それがまったくうそであることをAさんは騒音調査記録を示して強調した。
 自宅に防音工事も行われたが、母屋は床下が高く、窓や屋根に工事をしても床下から騒音が入り効果がない。機能強化の説明会が16~17年に行われたが、一方的に空港拡張の経済的必要性をNAAが述べ立てるだけで、住民の意見など何一つ聞こうとしない。
 日本の内陸空港では運用時間がおおむね午前7時から午後9時が基本とされており、世界でも夜間、早朝の飛行は禁止されている。そして現在のB滑走路よりも7㌔も近い場所に第3滑走路ができれば、旧横芝町地区は広範囲に激しい騒音にさらされることになる。
 最後にAさんは、近隣の住民とともに訴訟に加わった経緯を述べ、「私たち住民には、自分の命を守る基本的人権が保障されている。裁判官は私たちの切実な声に耳を傾け、成田空港の大拡張を認めた施設変更許可が違法で無効な処分であることを認めてほしい」と訴えた。
 続いて反対同盟顧問弁護団が、提出した準備書面に関連して、成田機能強化による航空機発着増加に伴い、温室効果ガス及び大気汚染物質の排出量の増加が懸念され、大々的な環境破壊が促進されることについて強く警告した。これに裁判長は内容も聞かずに時間制限をかけようとした。
 次回期日を12月15日、次々回を来年2月12日と確認してこの日は閉廷。
 千葉県弁護士会館で報告集会が伊藤信晴さんの司会で開かれた。

強制収用許さず

 意見陳述を行ったAさんが「書面を読んでるうちに興奮して突っ走ってしまったが、なんとか終わった」と感想を述べ、空港行政と騒音への怒りの深さを表した。
 さらに弁護団がそれぞれ発言し、第3滑走路予定地の地権者を含む住民がこの裁判に合流する意義の重大さを確認し、ともに強制収用攻撃を打ち破ることを訴えた。
 成田市のBさん、稲敷市のCさんも傍聴した感想を述べ、Cさんは自らが騒音で健康を破壊され心臓手術を受けた時の苦しさを語り、「みなさんの力がないと勝てません」と奮起を促した。
 最後に伊藤さんが10・11全国集会への大結集を呼びかけた。
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大拡張、騒音激化許されない
 横芝光町Aさんの意見陳述

 私の自宅は成田空港A滑走路南側からの飛行ルートのほぼ真下にあります。手を伸ばせば届く感じがするくらいの低い高度です。
 法律的には移転地区の中にあり移転補償の対象になりますが、江戸時代から数百年続く農家ですし、ここは私自身も慣れ親しんだ場所であり自宅や納屋の他に田畑や山林がありますから到底移転する気持ちにはなりません。
 私はずっと航空機騒音に悩まされてきました。2019年10月以降私は、午後11時頃から床にはいって眠ろうとしても何回ものひどい騒音で起こされてしまうので、結局11時頃から寝ることは全く不可能になりました。
 成田空港会社は、「低騒音機しか飛んでいないから問題はなくなった」というような言い方をします。しかし、低騒音機と呼ばれているB747、A380という機種は実際には大変うるさいのが現実です。
 裁判官の方々が私の自宅で一晩を過ごしてもらえば、実際には防音工事がまったく効果がなく、現実の飛行機騒音がひどいことをすぐ理解できると思います。
 住民への説明会の持ち方とその内容も、まったく納得できるものではありませんでした。ただ一方的に経済的必要性を述べたてて空港拡張を主張するだけであり、空港周辺の地元住民の意見を何一つ聞こうとはしないものでした。
 住民が最も問題視していた夜間の飛行時間の拡張については、説明会での時間が無くなったとして、住民の意見も聞かないままで終わってしまいました。
 内陸空港で深夜早朝、飛行機を飛ばすのは成田空港だけです
 日本の内陸空港では、離着陸できる時間は大阪国際空港の7時から21時が基本です。
 また世界に目を向けても、米国やEU諸国はもちろん、たとえばオーストラリアのシドニー国際空港などは海に面しているにもかかわらず夜の11時から翌日の朝6時まで飛行禁止となっていると聞きます。
 成田空港の午前0時半から5時の4時間半という離着陸制限は明らかに短すぎます。これでは航空機騒音によって空港周辺の住民の命が理不尽に奪われることになります。
 今、成田空港会社と国は一体となって、C滑走路拡張用地の買収が進まないから土地収用法に基づく事業認定・強制収用で土地を取り上げると宣伝しています。
 しかし、政府と当時の空港公団は建設過程で取られた非民主的で暴力的な手法を反省し、「用地取得のために、あらゆる意味で強制的手段を用いない」旨を表明しました。これは全社会に向けて行った公約です。再び強制収用を行うことは認められるわけがありません。
 裁判所は、私がこの裁判で求めている「2020年1月の空港施設変更許可処分」の無効を認定して、成田空港会社と国が行おうとしている「土地収用法に基づく事業認定・強制収用による土地取り上げ」を止めさせるために動いて下さい。このことを私は裁判官の良心に強く訴えたいと思います。
 私が訴えている〈夜だけは寝かせてほしい〉〈空港拡張による一方的で理不尽な住民追い出しは認められない〉〈成田空港を大拡張する空港施設変更許可処分は無効です〉という主張は、私たち空港周辺住民の基本的人権を行使しているものだと思っています。成田空港施設変更許可が違法で誤っており無効な処分であることを是非とも認めていただけるように強くお願い申し上げます。

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