COMMUNE 2004/01/01(No335 p48)

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1月号 (2004年1月1日発行)No335号

定価 315円(本体価格300円)


〈特集〉 アメリカ労働運動の歴史(下)

口はじめに
□反共主義と労資協調で階級闘争圧殺の先兵化
 ・危機に瀕するアメリカ労働運動
 ・米階級闘争の激動期への突入

□90年代に開花した新潮流運動の源流と発展期
 ・労働運動再建に向かっての模索
 ・既成労組内の改革の闘い
 ・新たな戦闘的な労働運動の開始

□戦闘的労働運動と新潮流を牽引したILWU

●翻訳資料アメリカ港湾労組の発言
国際労働運動 南朝鮮・韓国/11・9民主労総が5万人大会 室田順子

    11・9全国労働者集会

三里塚ドキュメント(10月) 政治・軍事月報(10月)

労働月報(10月)  闘争日誌(9月)

コミューン表紙

  立て万国の労働者

 「万国のプロレタリア、団結せよ!」。マルクス、エンゲルスが『共産党宣言』の結語としたスローガンが、スターリン主義によってゆがめられ汚されてきた長い歴史を経て、ついに21世紀の初頭に鮮やかによみがえった。3労組の呼びかけで今年6回目になる11・9全国労働者総決起集会は、米英日帝のイラク侵略戦争、自衛隊のイラク派兵という情勢の中で、韓国・民主労総の代表、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)の代表を招いた、日米韓の国際連帯集会として大高揚した。闘う者同士の強いきずなを何度も確認しあった。ともにスクラムを組んで「インターナショナル」を歌った時、参加者みんなが「労働者に国境はない」という古くからの標語を思い出し、まさにそのとおりと実感した。武者震いする感動的な集会だった。

 何よりも、とてつもなく巨大な意味をもっていることは、この同じ9日に、民主労総が盧武鉉政権の労働弾圧に抗議して5万人の「全国労働者大会」を開き、デモでは火炎瓶、鉄パイプで機動隊と激突するという闘いをやりぬいた、そのソウル本部から本部長を始め3人の幹部が日比谷の集会に参加したということだ。盧政権に対して5人もの労働者が次々と自ら命を絶って抗議している。その階級的激突性は、極限的なところにまで至っている。そのさなかの訪日は、日本の戦闘的労働者の闘いとの連帯に民主労総がかけているということである。いまだどんなに規模が小さくとも、ここにだけ展望があるのだ。日本の戦闘的労働者に対する限りない援助である。しっかりと肝に銘じ、闘いの陣形を飛躍的に強化・拡大しなければならない。

 11月9日に行われた総選挙は、低い投票率、小選挙区制という制度に助けられて自民党などの与党が「絶対安定多数」を占める結果となった。今回は民主党が自由党を吸収して消費税増税も改憲も認める翼賛選挙となった。だが、自民党は森のもとでの前回選挙よりも議席を減らし、けっして支配を安泰にしたわけではない。社民党の壊滅的な敗北、日本共産党の1ケタ台への転落に助けられ、小泉は「改革路線は支持された」と称して、さらに帝国主義の危機の中での反動攻撃を進めてくるに違いない。この攻撃に対置するものは、戦闘的労働運動の新しい潮流をつくり、社・共に代わる闘う労働者党をつくる闘い以外にない。11・9翼賛選挙に対して掲げられた「労働者の投票所は日比谷野音だ」の闘いの中に唯一の闘いの活路がある。

 最大の緊迫した課題は、イラク派兵攻撃を阻止する闘いだ。イラク人民の民族解放・革命戦争は、とどまることなく強まっている。それは米英帝のイラク侵略戦争と占領支配がいかにイラク人民を踏みにじり、我慢ならないものであるかを表している。そのイラクへの自衛隊派兵は、イラク人民に銃口を向け、「攻撃された」と言ってイラク人民を殺すことになるのだ。米帝の不正義の侵略戦争に武装して加担するものだ。11月12日、イラク南部のナシリアでイタリア軍施設に対して壮絶な自爆攻撃が敢行され、大量の死者が出た。これは、自衛隊が派兵を予定しているサマワから80`の地点であり、「南部は安全」と言ってきた当局の言辞がまったくデタラメであることを暴いた。だが、日帝は動揺しつつも「殺し殺される軍隊」への転換を図るためになんとしても派兵を強行しようとしている。大衆的な反撃で絶対阻止しよう。(た)

 

 

翻訳資料

 アメリカ港湾労組の発言

 村上和幸訳 

【解説】

 11月9日の全国労働者総決起集会で、日韓米の戦闘的労働運動は国際連帯のきずなを固く結んだ。資本攻勢とイラク侵略戦争、さしせまる朝鮮侵略戦争という情勢下で、この意義ははかりしれない。
 ここでは、国際連帯をさらに強めるために、最近のILWUローカル10=wa=(第10支部)の指導者の発言、文章を掲載する。ローカル10は、ILWU本部の所在地サンフランシスコの支部だ。11・9で発言されたミヤシロ氏のローカル34もサンフランシスコだ。
 資料の第一は、ローカル10書記長(当時)クラレンス・トーマス氏が昨年9月に訪仏した時の発言で、イラク戦争に向かうブッシュ政権が、ILWU破壊のためにタフト・ハートレー法を適用していくという緊迫した情勢下で必死に連帯を訴えている。
 第二、第三は、ローカル10役員ジャック・ヘイマン氏のチャールストン・ファイブ闘争(後述)の報告だ。
 アメリカの港湾労働者は、東海岸はILA、西海岸はILWUと別の労組に組織されている。ILWUは階級的だが、ILAは労資協調だ。ILAは、今もブッシュ政権の戦争を賛美し、積極的に支持している。そのILAの中から、階級的に闘う潮流が台頭してきた。
 恐怖にかられた支配階級が、チャールストン港ILA支部のピケットラインを襲撃し、騒擾罪をデッチあげて5人を逮捕した。ILA本部は、この大弾圧に沈黙した。逆にILWUは、ローカル10を先頭に間髪入れず東海岸のチャールストンに駆けつけ、ともにピケに立ち、機動隊・州兵の襲撃からILA支部を守った。同時に、チャールストン5事件の発端となった攻撃をかけてきた船会社の荷役ボイコットを西海岸で貫徹し、それを全世界に広げた。そしてリバプール港の闘いに対する既成指導部の裏切りを乗り越える国際的な港湾労働運動の新潮流の登場が勝ち取られている。
………………………………………

 トーマス書記長のパリでの演説

 クラレンス・トーマス 2002年9月27日

 ボンスワール〔こんばんは〕…
 ILWUは1946年のフランス港湾労働者の活動を決して忘れません。その時フランス港湾労働者はトルーマン大統領に、「米海軍、陸軍を荷積みに使うなら、われわれはスト破りによって荷積みされたものと見なし、荷揚げを拒否する」と通告しました。
 この強力なメッセージによって、トルーマンは軍をストを破るために使うことをあきらめて、撤退せざるをえなくなりました。こうした労働運動の連帯こそ、現在必要になっているのです。再びILWUは雇用者との闘いばかりでなく、ブッシュ政権との闘いに直面しているからです。
 この5カ月間、ILWUと太平洋海事協会(PMA)は、衝突含みの交渉に臨んできました。ブッシュ政権の介入で、事態はさらに悪化しました。ブッシュ政権は9月11日の悲劇的出来事を口実に、労組が厳しい闘いで勝ち取ってきた成果に攻撃をかけています。
 交渉の初めのころ、国土安全保障省長官トム・リッジは、本部委員長に電話をかけてきました。なぜ、秘密警察のトップが団体交渉に関する事柄にかかわるのか? この電話は、政府が雇用者の側に立って協約を提示するばかりではなく、ILWUを粉砕することに体重をかけていくという、ILWUに対する密かな脅迫ではないか。
 ILWUは、政府と対決した長い歴史を持っています。
▼ILWUは、他の組合よりはるかに早く、1964年にベトナム戦争への反対を打ち出しました。
▼1974年にILWUは、チリの民主的に選出されたサルバドール・アジェンデ大統領がCIAに後押しされた軍事政権に転覆された後で、チリの貨物船に対する国際ボイコットに加わりました。
▼80年、同様のボイコットを、エルサルバドルの独裁政権に向けた貨物船に対して行いました。
▼84年、私の所、ローカル10は、アパルトヘイト国家だった南アフリカから来た船の荷揚げを拒否しました。この行動が、全国的・国際な運動の火付け役になり、アパルトヘイト政府の最終的な崩壊につながりました。
▼99年4月24日、ムミア・アブ・ジャマル解放のための全国抗議行動に連帯して、ILWUは西海岸の全ての港を閉鎖しました。
 この輝かしい進歩的な歴史、そしてわれわれが西海岸全体の荷動きを支配している事実のために、ブッシュ政権は、「テロリズムに対する終りなき戦争」を開始したばかりか、ILWUに対する戦争をも開始したのです。
 1934年、ILWUは、西海岸全域にわたるストを行いました。それ以前は、われわれの組合は、当該の支部による協約交渉を行うことを余儀なくされていました。西海岸全域にわたる協約はなかったのです。ブッシュ政権は、ILWUを1934年以前に引き戻そうとしています。しかし、そんなことは起こさせません!
 われわれは、労組活動家として、組合員の良い賃金、良い労働条件のために交渉する義務があるだけでなく、あらゆる労働者と被抑圧人民の経済的社会的正義の推進の責任をも持っていることを理解しています。
 テロリズムとの戦争は、労働者の権利に対する戦争です。われわれの市民的自由に対する戦争です。グローバルな資本主義の諸目標を支援するための戦争です。
 最後に、次のシュプレヒコールを皆さんと一緒にやりましょう。
 “An injury to one is an injury to all!” さあ一緒に “An injury to one is an injury to all!”〔一人への(権利)侵害は、皆への(権利)侵害だ〕
 私の翻訳させてください。
 “Une attaque contre un est une attaque contre tous!” 〔一人への攻撃は、皆への攻撃だ!〕
 メルシ〔ありがとう〕

 チャールストン5集会の報告

  ジャック・ヘイマン 2001年6月21日

 6月9日、サウス・カロライナ州の州都コロンビアで約5000人が「チャールストン5釈放!」を要求してデモをした。チャールストン5とは、ILAローカル1422の4人の黒人労働者とILAローカル1771の1人の白人労働者がチャールストン港でピケをして、逮捕・自宅軟禁され、5年の刑に処せられようとしている事件だ。デモ参加者たちは、ジョージア、テネシー、フロリダ、ノース・カロライナ、ミズーリ、イリノイ、ニューヨークの諸州からバスを連ねてやって来た。遠方のシアトルやタコマからも多くの若い労組活動家が集まった。海外からさえ数人参加している。組合は、ILA、ILWU、MEBA〔船舶機関士などの組合〕、IBT〔チームスターズ、陸運を中心とした労組〕、UAW〔全米自動車労組〕、UMW〔統一鉱山労組〕、郵便関係、都市交通関係の諸労組、ミシガン、サウスカロライナ、ニューヨーク、ジョージアのAFL-CIO地域評議会などだ。
 ジョージア、サウス・カロライナ、フロリダのILA支部は圧倒的に黒人が多く、このあいだタラハシー〔フロリダの州都〕で抗議行動を行った。11月の大統領選挙で警察が黒人の投票を妨害するために道路封鎖をしたからだ。
 デモの先頭には、サンフランシスコのILWUローカル10のパレード隊が誇り高く旗指物をかざして行進した。
 1年半前、サウス・カロライナ警察機動隊が組合のケン・ライリー委員長を警棒で殴打して乱闘をもたらしたのと同様に、憲法修正第1条で定められた権利にもとづいて抗議行動をしたチャールストン5を州司法長官チャーリー・コンドンが不当にも起訴したことは、全労働運動の怒りをかきたてた。彼は、州の反労組法制を守るために、港湾労働者を「もっともっと牢屋に入れろ」と叫んだ。彼の背後には、民主党の州知事ジム・ホッジがいる。ホッジは、大企業と右翼大統領ブッシュの圧力を受けて、ライリーの州港湾管理委員会への指名を撤回させた。サウス・カロライナでは、挑発は目新しいことではない。南軍は、ここで、チャールストン港にある連邦軍のサムター砦に対する攻撃で、南北戦争を勃発させたのだ。そして、連邦軍〔北軍〕が南北戦争に勝利したように、労働組合運動はこの階級戦争に勝利していくであろう。
 チャールトン港での場合と違い、コロンビアでは警察はデモ隊との距離をかなり取ってきた。しかし、デモの初めには、ILWUパレード隊の港湾労働者行進のシンボルとして使う装飾的な手鉤を警察が押収するという例のない動きにでて、緊張が走った。パレード隊は、白黒縞のシャツ、黒のジーンズ、白い帽子という伝統的ユニフォームで登場した。蒸し暑い天候にもかかわらず、数千のデモが生き生きと規律をもって州議会議事堂に向かって行進した。そこには南軍旗がひるがえり、デモ隊の上を不気味な暗雲が覆った。警察の狙撃隊が議事堂の屋根の上にいた。これは奴隷制の旗を引きずりおろす者がいたら、銃撃するために配備されていたのだという。
 デモと集会の主催者はサウス・カロライナ州AFL-CIOと「プログレッシブ・ネットワーク」だ。発言者は、牧師、政治家、著名人、黒人組織のリーダー、労組役員などだった。残念なことに、ペンシルベニア州の死刑囚監獄で苦しんでいる黒人政治犯ムミア・アブ・ジャマルの連帯のメッセージは演壇から読み上げられなかった。彼は「州の権利侵害と司法の弾圧に抗議し、チャールストン港湾労働者釈放のための戦いを支持します。憲法修正第1条の集会と抗議の権利を守り、踏みにじられた協約の順守を求めて戦う権利を守るこの労組の戦いを全勤労人民は支持して団結すべきです」と述べていた。組織労働者を代表して発言したのは、AFL-CIO副議長リンダ・チャベス=トンプソン、ILWU本部委員長ジム・スピノサと同副委員長ボブ・マケラス、ILA委員長ジョン・バウアーズおよび鉱山労組のセシル・ロバーツであった。チャールストン5支援集会にバウアーズが顔を出したのは、警察の襲撃があって以来これが初めてだ。だがバウアーズは偽善的にも、必要ならチャールストン5とともに監獄に入ると述べた。彼のさえない演説に対して、ILAの一般組合員とILWUの港湾労働者は数分間、大声で「港を閉鎖しろ!」と叫んだ。ジム・スピノサは、ILWUはチャールストンの港湾労組が要請することなら何でもやると発言した。
 リバプールの戦闘的な港湾労働者の闘争から誕生した国際港湾労働者協議会(IDC)に所属しているスウェーデンの港湾労組の委員長ビヨルン・ボルクは、世界中の港湾で連帯行動日が闘われるであろうと述べた。IDCに所属するスペインの組合、「コオルディナドーラ」こそ、デンマークの海運会社ノルダナに対して闘いをおこし、チャールストンの港湾労組が協約を勝ち取ることを助けたのだ。ILWUの港湾部会は、投票を行って、第1回の公判日を国際行動日とし、またILAに東西両海岸を閉鎖することを呼びかけると決定するという歴史を画する一歩を踏み出した。公判は、8月の終りに設定されるようだ。
 デモと集会は、チャールストン5防衛の最初の大きな労働者大衆行動だった。さらに重要なことは、両海岸の一般組合員が出会ったことだ。われわれは共通の問題を話し合った。チャールストン闘争に火をつけたノルダナのような世界的な船主からの攻撃、特に東海岸・メキシコ湾岸の港での労組のない会社による港湾作業などについて話した。長く別れていた兄弟のように抱き合った。そして、次の行動、史上初の全国港湾統一行動の組織化について真剣に語り合った。協約のためにではなく、労組がピケをはる基本的権利という原則のための統一行動だ。
 両海岸の港湾労働者は、「一人への攻撃は、皆への攻撃」で一致した。

 チャールストンの祝勝…と今後

  ジャック・ヘイマン 2002年3月25日

 2年近くもの闘いの末、米国の組織労働者の運動は、限定的ではあるが、明確な勝利をもぎり取った。01年11月14日の公判期日が近づき、また世界中の港湾労働組合が抗議の港湾封鎖を宣言する中で、“チャールストン5”に対する騒擾罪告訴が取り下げられたのだ。00年1月19日、チャールストンの港湾労働者たちは、労組を排除した荷役から自分たちの雇用を守るためにピケをはっていた。そこを600人の機動隊が襲撃したのだ。

 世代交代

 勝利祝賀の前日、3月1日に、ILAローカル1422は新しい組合ビルを開設した。ハイアリングホール〔労組の管理の就労斡旋所〕、大集会室、組合事務室が機能的に使えるようになっている。
 チャールストンの労働運動と公民権闘争の指導的な人格であったアイザイヤ・ベネットの葬儀がこの日の朝に行われたということが参加者に知らされたので、この日の祝賀は厳粛な雰囲気だった。ベネットは1946年の戦闘的なタバコ労働者のストライキの組織者だった。港湾労組の顧問弁護士、アーマンド・ダーフナーは、ILAローカル1422のケン・ライリー委員長と彼の支持者たちが指導部になったことは“世代交代”の象徴的出来事だと指摘した。南北戦争直後の時期からずっと、チャールストンの黒人港湾労働者は、戦闘的労働組合の闘争の前衛だ。アイザイヤ・ベネットの最良の伝統を継承して、彼らは奴隷制の旗=南軍旗*を州議会議事堂からを引きずりおろす闘いを続けている。そして、今日のチャールストン5の勝利は、南部の「働く権利」諸州*全体で未組織労働者を組織する第一歩だ。
 *〔南北戦争の南軍側だったサウスカロライナ州は、今も南軍旗を州議会議事堂に掲げている。この旗は、現在もKKK等の白人至上主義テロ団体の旗印でもある〕
 **〔「働く権利法」を採用した諸州のこと。労組員のみを雇用する労働協約(ユニオンショップ、クローズドショップ)が「働く権利」を侵害するとして、これを禁止する立法運動が、資本と右翼勢力によって各地で行われている〕

 勝利の祝賀

 3月2日、チャールストン5の支持者たちが喜びにあふれて会場を埋め尽くした。立席だけの会場だ。南部一帯の労組活動家、そしてILAの東部やメキシコ湾岸のさまざまな支部の組合員がいた。このかん増大している一般組合員の反対派運動――「港湾労働者連合」――の多くの支持者がいた。港湾労働者連合は、つい最近、盛大な大会を開いたところだ。ライリーは、港湾労働者連合のリーダーのひとりだ。
 これまでチャールストンの港湾労働者との連帯行動を行ってきた西海岸のILWUの港湾労働者や世界各地の港湾労働者が今、チャールストンで開催される国際港湾労働者協議会(IDC)の総会のためにチャールストンに来ていたが、彼らもこの祝賀会に出席した。
 祝賀会のハイライトは、スペイン港湾労組のトップで、IDCの代表世話人でもあるフリアン・ガルシアからケン・ライリーへの「連帯の盾」の贈呈だった。その中には、彼がバレンシアでノルダナ社の船の船長に渡した00年3月14日付けの手紙のコピーも入れられていた。その手紙は、ノルダナ社の船は、スペインで荷揚げしようとするのであれば、熟練した組合員沖仲士によって荷積みされねばならないと要求したものだ。その直後、チャールストンの港湾労組はノルダナ社との間で協約を締結することができた。このノルダナ社こそ、チャールストン港でILAの港湾労働者をスト破り会社であるWSI社で置き換えようとして最初に挑発した会社だった。
 ジョン・バウアーズILA委員長もベニー・ホランド副委員長も、チャールストンの港湾労働者を称えた。バウアーズ委員長は、ILAのチャールストンの支部〔ローカル1422及び1771〕の裁判費用のために、彼がニューヨークで集めた寄付金を渡すことを約束した。だが、チャールストンの勝利は、バウアーズの地元、ILA大西洋地区本部のバルチモア港と対照的だ。バルチモアは、ILA港湾労働者がノルダナ社と協約を結べていない唯一の港だ。恥ずべきことに〔バルチモアでは〕ノルダナの船は、いまだスト破りによって荷役作業が行われている。
 ILWUのスピノサ委員長は、他のILWU本部役員とともに、ライリーに16万7千ドルの小切手を裁判費用として渡し、スト破り団による訴訟が終了するまで支援することを約束した。ライリーは、ILWUの模範的な役割、特にローカル10が即座にチャールストンの組合のピケットラインの支援にかけつけたことに、常に感謝してきた。
 もうひとつのハイライトは、ローカル1422の組合員たちによるケン・ライリー委員長とロバート・フォード副委員長への、闘争指導を称える盾の贈与だった。南カルフォルニア・チャールストン5防衛委員会は、統一農場労働者労組の指導者、セサール・チャベスとドロレス・ウエルタの肖像を贈った。他のチャールストン5防衛委員会とAFL-CIOは、全国的なキャンペーンに熱心に取り組んだことを評価された。

 人種差別的弾圧との労働運動の闘争

 翌3月3日、新しい組合ビルで最初の労働運動討論会が開かれた。「労働運動の人種差別に対する闘争とムミア・アブ・ジャマル解放闘争」がテーマだった。
 ライリーが、彼のきょうだいオナード・ライリーや、フィラデルフィアのILA支部のロイス・アダムス、そして私〔ヘイマン〕を発言者として紹介した。発言者たちは、人種差別に対する闘争、人種間の壁を解体して労働者を統一する闘争は、労組を組織する闘いと不可分一体に結びついている、特に南部ではそうだ、と述べた。ペンシルベニア州の死刑監獄に不当に投獄されている黒人政治犯ムミア・アブ・ジャマルを解放する闘争は、この抑圧的な資本主義社会――北部でも南部でも――における人種差別的な刑事司法システムを暴き出している。
 この討論会は、レーバー・ビデオ・プロジェクトのスティーブ・ゼルツァーの司会で行われ、来月、インターネット上で放映される。

 国際連帯の強化――結合する絆

 1週間の祝賀行事の最後に、国際港湾労働者協議会(IDC)の第1回総会が開催された。そのハイライトはチャールストン5闘争の勝利に示された国際連帯を通じて勝ち取られたILWUのIDCへの加盟だった。この新たな戦闘的港湾労働者の国際組織の誕生の元は、6年ほど前の果敢なリバプール港湾労働者の闘争の敗北にある。諸組合の報告の中には2つの共通のテーマがあった。第1は民営化および「自由貿易」――労働組合や環境法制などの「制約」からの自由――の名で続けられている労働者への挑戦的な資本攻勢だ。こうした攻撃はEU港湾規制緩和指令〔本誌前号参照〕、NAFTA〔北米自由貿易協定〕やWTOに体現されている。第2はシアトル、イェーテボリ、ケベック市、ジェノバで行われた資本の利益を守るための政府の流血の弾圧だ。さらに、港湾海運安全保障法などの苛烈な立法は、港湾の軍事化に向けた露骨な独裁的な動きだ。
 数週間前に、太平洋海事協会(PMA)会長は、労働組合破壊的な協約をILWUが受け入れないなら02年7月1日をもってILWUの労働者をロックアウトすると脅迫してきた。マフィアの凶悪なヒットマンが「有無を言わせぬ取引」を申し込んでくるような態度だった。これが彼の団体交渉の作法だというなら考え直したほうがいい。チャールストンの勝利した闘争や2週間前のバルセロナ50万人の圧倒的な反資本主義デモは、波止場で組織労働者の職場を守るILWUの闘いが、今も国内的にも国際的にも十分な支援を得られることを、船主、海運会社に思い知らせているのだ。
 チャールストン港湾労働者防衛労組委員会議長 ジャック・ヘイマン