COMMUNE 2005/11/01(No.355 p48)

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11月号 (2005年11月1日発行)No.355号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉 ブッシュを追いつめる決起

□「崇高な使命とは何?」シーハンさんが訴える
□AFL−CIO分裂の底流にある新潮流運動
□ノースウエスト整備士裏切り許さずスト貫徹
□戦争と民営化が引き出したハリケーン大災害
・資料 ニューオーリンズの災害は不可解である
・資料 ブッシュが被災地域の賃金法を抹殺

●翻訳資料1 ノースウエスト航空スト支援3文書
●翻訳資料2 インド・ホンダ労働者への襲撃を弾劾する

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/非正規・特殊雇用労働者を殺すな−−室田順子

    鉄建公団訴訟反動判決

三里塚ドキュメント(8月) 政治・軍事月報(8月)

労働月報(8月)  闘争日誌(7月)

コミューン表紙

   民営化は地獄の道

  総選挙の結果は、小泉自民党の圧勝に帰した。8月日の参院本会議8日での郵政民営化否決に対して、小泉は議会的ルールを踏み破って解散・総選挙に踏み切った。そして旧来の自民党のあり方を破壊し、党内対立をもバネに郵政民営化にイエスかノーかを踏み絵的に迫るというファシスト的手法で突破を図った。「改革を止めるな」「官から民へ」という単純化したワンフレーズを繰り返し、民営化に反対するものは人にあらずという空気をつくり出していった。マスコミもそれに一役買った。日本経団連は全面的に自民党推薦で動いた。奥田は選挙結果について「軸がぶれなかったのがよかった」と、小泉が民営化一本で勝負したことをたたえた。この選挙は、危機を深める日本の支配階級=独占ブルジョアジーのための選挙だった。
 この衆院解散・総選挙の過程を通じて日本の政治過程がファシスト的反動化への坂を転がり始めたことを、激しい危機感と反発力をもって受けて立たなければならない。小泉の狙いは、戦争のできる国家づくりにある。そのために民営化の攻撃を強め、労働組合を破壊しょうとしている。小泉が言うように、郵政民営化は突破口なのだ。小泉は公務員労働者を目の敵にし、民間労働者と分断しようとしている。自民党の反対派も野党も、この階級的な批判はまったくない。郵政労働者に攻撃を集中し、リストラ・首切り・賃下げ・労働強化は当たり前にしようとするのが郵政民営化である。それはすべての労働者にとって地獄の道なのだ。ブルジョアジーの利益のために、公務員労働者に犠牲を集中することを許してはならない。
 民営化の帰結は、107人の命を奪ったJR尼崎事故であり、米ハリケーン大災害である。アメリカ・ハリケーン 「カトリーナ」のもたらした大災害は、実に深刻な意味を持っている。世界中どこへでも人殺しの軍隊を送ることができ、大量破壊兵器で焼き尽くす力をもった最大の帝国主義であるアメリカが、国内の災害に対してまったく救援の物資を送ることもできず、救助することもできず、9・11反米ゲリラの被害をはるかに上回る被害になすすべがない。運河も交通手段も民営化され、ニューオーリンズの住民(大半が黒人の貧困層)の命がないがしろにされた結果なのだ。徹底的に民営化が進んだ社会がどういうものになるかをハリケーン大災害は示している。ブッシュに対する怒りは今や全米で沸騰しつつある。
 今こそ、帝国主義に対する根底的な批判を怒りの闘いとして爆発させて行く時である。イラク侵略戦争を継続し、中国・朝鮮侵略戦争を米帝とともに準備する日本帝国主義。その小泉=奥田路線、戦争と民営化・労組破壊の攻撃に村する闘う労働者の回答は、11・6全国労働者総決起集会の1万人結集による成功である。闘う労働者の団結で小泉が繰り出すあらゆる反動攻撃を真っ向から打ち破ろう、という1万人の闘いが結集したら、ひとつの化学変化が生まれる。連合が10月定期大会で決定的な改憲勢力化を図っていることと対決し、巨大な階級的な労働運動の隊列をつくろう。この集会は同時に、国際連帯闘争である。昨年以上に、韓国・民主労総ソウル地域本部とアメリカILWUローカル10の労働者が多数参加しょうとしている。帝国主義にノーをたたきつける国際プロレタリアートの大結集をかちとろう。(た)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料-1

  ノースウエスト航空スト支援3文書

 丹沢 望訳  

 【解説】

 ノースウエスト航空の整備士組合(AMFA)は現在、会社側による4400人の組合員の半数の解雇、26%にも及ぶ賃下げ、医療費労働者負担の大幅引き上げ、、年金の確定給付型から確定拠出型(不確定給付型)への移行というすさまじい組合潰し攻撃と対決してストライキ闘争を闘い抜いている。
 8月20日にストに突入して以来、会社側は事前に準備していた1500人のスト破りを動員して、AMFAの労働者の闘いを叩き潰そうとしてきた。9月8日には、会社側は、スト前に組合に求めていた1億7600万jの賃金削減を、2億300万jに引き上げ、解雇数もAMFA組合員の約2分の1から3分の2に引き上げるというエスカレートした提案を行い、9月13日までに提案が受け入れなければ代替整備士の本採用を始めると宣言した。
 だが、労働者側はこの提案を断固としてけ飛ばし、、ピケットラインを強固に維持し、スト破り整備士が泊まるホテル前で送迎バスを阻止する行動を行うなど、9月12日の時点で24日目のストを貫徹している。団結も固く、スト参加の4400人の整備士のうち、これまでに職場復帰したのはわずか5人である。
 翻訳資料1では、AMFAの闘いが、労組破壊に全面的に踏み込むアメリカの資本家階級との闘いにおいていかに重要な位置を占めているかを明らかにする3つの文書を掲載する。
 一つ目の文書は、AMFAとの連帯の闘いを全アメリカの労働者に呼びかけ、その最先頭で闘っているILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏のピケットライン防衛の呼びかけである。
 それはAMFA支援の闘いが、24年前の航空管制官労組(PATCO)のストライキの敗北を教訓化し、ランク・アンド・ファイルの労働者の団結を打ち固める上で決定的な意義をもつことに明らかにしたものだ。
 二つ目の文書は、9月5日のレーバー・デイ(労働者の日)にサンフランシスコ国際空港で行われたスト中のAMFAの労働者と、数百人の航空産業労働者、ILWUローカル10とローカル34の組合員の連帯集会に関するスティーブ・ゼルツァー氏の報告である。
 この日の集会は航空労働者ストライキ支援委員会の主催で開かれたもので、AMFAの労働者を支援する陣形を決定的に拡大強化する上で重要な意義をもつものだ。
 ゼルツァー氏の報告は、連帯の闘いの広がりとその質の高さを生き生きと描き出している。
 三つ目の文書は、労働運動活動家のリー・サスター氏の論文で、AMFAの整備士の闘いがアメリカの全労働者階級にとっていかに重要な意味を持っているかを明らかにしたものである。

 ボスのためにピケットラインを越えるな ジャック・ヘイマン 05年8月18日

空港労働者のピケットラインを尊重しよう!
ボスのためにピケットラインを越えるな!
航空技術者との連帯を!
PATCOの敗北を繰り返すな!
一人への攻撃はみんなへの攻撃だ!
 アメリカの労働運動は7月のAFL−CIOの分裂以来、最も重要な試練に直面しているのかもしれない。ノースウエスト航空は、航空機整備士と客室乗務員の組合に対する宣戦布告を行った。会社側は、1000人のスト破り整備士を雇い、訓練するために1億jを使ったと公然と自慢している。ノースウエストはストライキをせざるをえないようにするために、巧妙な提案を作ってきた。すなわち、労働力の50%削減、賃金の26%カット、20%の割り増し掛け金の支払いを強要することによる医療手当の削減、15年間の年金凍結などの提案である。雇用者側は、交渉を全面的に拒否している。ストライキ決定の最終期限は8月19日に設定されている。
 労働者にとっては、どん欲な雇用者と労働組合との闘争においては行動選択は簡単だ。だが、AFL−CIOの分裂した両翼のどの部分の指導部も、航空労働者への支援を行うために一歩踏みだそうとはしなかった。これは恥ずべきことだ!彼らは、24年前のPATCOのストライキの壊滅的な敗北から何も学ばなかったのだろうか?1981年、航空管制官組合に所属する管制官たちは、レーガンの要請で、逮捕され、手錠をかけられて投獄された。空港の組合員たちはPATCOのピケットラインを越えていった。今問題になっていることは、自分たちや組合に関係のないことだと考えたからである。AFL−CIOのニセ指導部はピケットラインを防衛するために労働者を動員することは一切しなかった。その代わりに彼らは、飛行機に乗らないようにという皮肉な呼びかけを行った。これは悲劇的結果をもたらした。重要な運輸産業の一組合が破壊され、以後、すべての労働者がこの敗北の影響を受けた。組織労働者の数は12%に低下した。企業の泥棒貴族やその腰巾着の裁判官たちは、交渉で取り決められた年金を、法的に罰せられることなく、労働者から取りあげた。今日、ストライキは野球界では見られるが、自分たちの利益を守るために労働者によって組織されたものはまれだ。
 ノースウエスト航空側からの挑発に関して、元ILWU副委員長のリッチ・オースティンは、最近、ILWUのランク・アンド・ファイルの討論リストに以下の内容を提起した。「何年も前に、レーガンがPATCOを潰すと脅した際に、ILWU国際組合の委員長のジム・ハーマンは、AFL−CIO会長のレーン・カークランドと何人かの他の組合の委員長に手紙を書いた。彼は、レーガンがこの脅しを実行しようとした場合に、職場放棄を含む労働組合の統一行動を行うことを呼びかけた。カークランドは他の組合委員長と同様に、保身に走った。彼らは全員雲隠れしてしまった」。AFL−CIOのスウィーニー会長や分裂した組合の指導者でSEIUのアンディー・スターンや、チームスターズのジェームズ・ホッファーはこれと異なった行動をとるであろうか?
 ストライキが行われた場合、労働者はもう一度PATCOのような敗北を許すことはできない。今回は、AMFAが標的として狙われている。他の組合が狙われるのも確実だ。アメリカの組織された労働運動が生き残れるか否かが、ピケットラインという線上にかかっている。
 すでにノースウエスト側は、ストライキがもたらす重大な安全上の問題があるにもかかわらず、会社に営業を許可することによって組合潰しを援助しようとしているブッシュ政権と取引を行っている。
 旅客は、客室の圧力関係の機械の異常を原因とする最近のギリシャの旅客機の墜落事故の場合のように、このような策略の犠牲者になるであろう。これは西海岸の港湾労働組合の2002年の交渉の例に非常によく似ているように思える。ブッシュと民主・共和両党の政治家は、「港の安全保障」について叫んではいたが、誰一人として、パシフィック・マリティム社が、協約交渉で争っていた港湾労働者をロックアウトするためにいつ西海岸の全港湾を閉鎖するかを見通した者はいない。そしてブッシュは、交渉中の会社側を支援するためにロックアウトの打撃から回復しつつあったILWUにタフト・ハートレー法を適用した。空港のストライキは「国家の安全保障」への脅威だと主張する政府や政治家のいかなる試みも、デタラメな主張として対決しなければならない。ノースウエスト航空はストライキを挑発し、誠実に交渉することを拒否した。サンフランシスコのあるAMFAの組合役員が述べているように、「政府は会社側とイコール(一体)だ」。
 もしノースウエスト側が航空貨物を、船舶、トラック、鉄道に振り替えた場合、それらに従事する労働者は問題となっている貨物を扱うのを拒否すべきである。一つの問題は、ノースウエスト航空の整備士の交渉代表権解除の選挙でAMFAに負けたIAMが、AMFAの整備士のストライキ行動を支援することを拒否したことである。これは近視眼的であるだけでなく、裏切り的な行為である。整備士の敗北は、全航空業とその他の産業の組合の破壊をもたらすだろう。労働者の団結によってのみ、スト破りと、スト破り集団の結集、組合破壊を阻止でき、労働運動を再建することができる。
 労働者の団結は空から降ってくるものではない。それは労働者によって組織されなければならない。AMFAのピケットラインが設置されたら、それを支援しよう。そして、自分達の支部や労働者評議会、その他の労働者の組織をストライキ支援に立たせよう。それは全ての組合にとって死活の問題だ。

 サンフランシスコでのノースウエスト航空・AMFAの労働者のストライキ支援集会の成功 ―― 労働者間の連帯を作り出す重要な第一歩  スティーブ・ゼルツァー05年9月5日

 2005年のレーバー・デイ(労働者の日)には、サンフランシスコの国際空港でノースウエスト航空のAMFAのストライキ中の整備士たちに、数百人の他の航空産業労働者が合流した。ILWUローカル10のトレント・ウイリス委員長などのストライキ支援者は、集会で発言し、ILWUローカル10とローカル34の数十人の組合員も集会に参加した。アメリカン・エアライン、ユナイテッド・エアラインの整備士や客室乗務員も、集会に参加しただけでなく、連帯発言もしている。ウイリスは、他の組合でも同様のことが起きる可能性があるので、ノースウエスト航空の整備士の支援を怠たらないようにすべきだと、当該以外の労働組合に対して警告を発した。彼はまた、諸組合は空港を閉鎖する力を持っていること、そしてそうした行動が必要になるかもしれないということについても発言した。
 サンフランシスコに拠点を置くPFAA(客室乗務員労組)代表で、ノースウエスト航空の数千人の客室乗務員を代表するジョアンナ・カゼミは、数人のストライキ支持者が、ピケットラインを支持したとして自宅待機にさせられ、ノースウエスト航空側がスト破りの客室乗務員を使っていることを報告した。
 彼女はまた、ノースウエスト航空がアジア航路に乗り組むアメリカ居住の客室乗務員を、より低い待遇で賃金の安いアジア居住の客室乗務員に替えることも狙っているとも発言している。
 これは、すでに中国航路のノースウエスト航空機の整備の外注化という形で起きていることである。この航路の航空機はアメリカの基準賃金よりもかなり低い賃金の整備士によって整備されることになるであろう。
 アウトソーシング問題は、筆者と、UAW(全米自動車労組)−NWU(全国ライター労組)1981支部の委員長のジャック・ラスムスによって提起されている。ラスムスは、この5年間に800万以上の雇用がアウトソーシングされたこと、そしてその多くが組合員にとって給料の高い職種であったことを報告している。
 1万7000人の組合員をもつ独立組合の大学職員組合連合の交渉委員であるクローデット・ベギンは、自分たちの組合が労働協約なしに労働していると報告した。また彼女は、ノースウエスト航空のAMFAのストライキに対する彼女の組合とカリフォルニア大学の組合連合の支持を獲得したことも報告している。
 特記すべきなのは、IAM(機械工組合)のスト労働者と組合役員がこの支援集会に参加したことだ。IAM、NWA、COFPS(書記・事務・船舶・乗客サービス従業員労組)の苦情委員会議長とともに連帯挨拶をしたジャニス・シスコは、整備士への攻撃によってあらゆる部門の労働者が脅迫されていると述べた。彼女は、スト中のグルメ社の食事調理労働者を支援して空港を封鎖した際のヒースロー空港の労働者の行動を支援したとも報告している。
 この集会には、スト中のIAM1546支部のショップ・スチュワードで機械工のナット・コートニーも参加した。コートニーは、彼と13人の自動技術専門家が、バークレー・ホンダの新しいオーナーによって配置転換されたため、6月13日以降、ストライキに入っていることを報告した。彼は、31年間働いたので数年後に引退できると考えていたが、新しいオーナーは法律を公然と破ってこの組合員の機械工を再雇用することを拒否したと述べた。
 彼は、AMFAとIAMの整備工の支援に参加し、彼らの闘いは自分たちの闘いと同じものだと発言している。
 AMFAの第9地方評議会のジョー・プリスコ議長は、いかなる組合が関与したものであろうとも、AMFAは全てのピケットラインを原則的に支持するだろうと宣言した。彼はまた、彼らの支部員はスト中のボーイングIAM整備工と連帯し、ボーイング社によってUAL(ユナイテッド・エアライン)に送られるスト破りの修理作業をしないという、最近彼らの支部で決議された連帯文を読み上げた。
 この重要な連帯集会には、ベイ・エリアのAFL−CIOと「勝利のための変革」の指導者たちは参加しなかった。サンフランシスコの労働組合評議会の事務局書記長のティム・ポールソン、アラメダの労働組合評議会の事務局長のシャロン・コーニュ、サン・マテオの中央労働組合評議会の事務局長のシェリー・ケスラーらの欠席が目立った。
 ILWUローカル10代表のジャック・ヘイマンやUAW2244支部の代表のカロリーン・ルンドは、ノースウエスト航空のAMFAに対し、労働組合評議会の集会に参加することを呼びかけたが、これに対しアラメダの労働組合評議会は、公式にストライキに賛同した。闘争をあらゆる手段をもって回避しようとしていたコーニュは、彼女が執行委員会の決議をとったところ、執行委員会はストライキ支持の決議をあげたと代議員たちに対して述べている。
 ジョン・スウィーニー執行部は05年8月15日、AFL−CIOに所属するすべての労働組合評議会と州本部に対し、ノースウエスト航空・AMFAのストライキ労働者へのいかなる連帯行動も行わないという覚書を送った。これは、AMFAの敗北は、自分たちの労働条件や生活水準を低下させると見ている労働者たちの感覚とは明白に異なるものである。
 全航空産業の労働者のこの闘いへの参加は、ノースウエスト航空・AMFAの整備士はこの産業に従事する仲間たちから孤立していないということを示す重要な徴候である。
 この集会は新たに結成された航空労働者ストライキ支援委員会にとって重要な一歩を進めるものとなった。ローカル9とのデモ計画を支援したこの委員会は、定期的に会合を持っている。また、多くの空港労働者や他の組合員たちが支援を強化するためにこの委員会に加盟している。

 土壇場にきたノースウエスト航空 ――整備士ストは、すべての組合にとって重大な意味をもつ  リー・サスター(Zネット) 05年8月25日

 ウオールストリートとホワイトハウスに支援されたノースウエスト航空が、ストに突入している整備士の組合を破壊しようとしているのに対して、組織労働者側は準備ができているであろうか?
 8月20日の4400人の航空整備士労組(AMFA)のストライキは、こういう率直な質問を突きつけた。だが、この夏のAFL−CIOのシカゴ大会で分裂した2派に属する諸組合は、AMFAに支払うべき借りがあったが、支援を行うことを拒否した。
 AFL−CIOのジョン・スウィーニー会長に忠誠を誓う国際機械工組合(IAM)は、組合員に対してAMFAのピケットラインを越えることを指示しただけでなく、AMFAの仕事の一部を代わって行うことも指示した。
 最近のユナイテッド航空での場合のように、いくつかの代表権投票でAMFAに負けたIAMのトーマス・バッフェンバーガー委員長は、ノースウエストや他の航空会社の譲歩要求に対して対決するよりも、AMFAを解体することのほうに関心を示している。1998年にノースウエスト航空でストライキを行った航空パイロット組合はスト破りの整備士が整備した航空機を操縦している。
 AFL−CIO側では、このスト破り行為を正当化する理由を与えてバッフェンバーガーの協力に報いている。ストライキ開始以前には、AFL−CIOの組織部長のスチュワート・アッカフは、AMFAを「裏切り者の、他労組切り崩し組織」と非難し、AMFAは「労働組合の仲間ではない」とも付け加えた。
 IAMも同様の発言をしており、AMFAの組合員は技能の低い労働者に対してエリート的な態度をとっていると非難した。AMFAの個人主義的な職能組合主義は、産別組合主義的連帯からの後退ではあるが、IAMの役員は重大事故を次々と処理してきた自分たちの組合から整備士たちが離れていく意志決定を行ったことに関しては自分たちを責めるしかない。
 結局AFL−CIOが、1981年にストライキを行ったPATCOという組合の航空管制官への支援を差し控えるために使ったのも、この「エリート主義」という同様の非難であった。ロナルド・レーガン大統領が1万500人のストを行っていた管制官を解雇し、その組合を破壊した際に、これらの管制官は見捨てられた。その時以来、アメリカの組合指導者たちは、このようなことが二度とおきることを許さないと厳粛に誓ったのである。
 だが、それはAMFAが関与する領域を除いてのことであった。第一期の任期の最初の頃に航空産業でのストライキを禁止することを約束したジョージ・W・ブッシュは、ノースウエスト航空のロビイストから豊富な情報提供を受けた後、スト禁止のゴーサインを出した。
 こうして、02年に西海岸の港湾労働者をロックアウトした際に、ブッシュが反組合的なタフト・ハートレー法を適用して以来、最も直接的に労働紛争にホワイトハウスが介入する事態となった。
 9・11以降、最も重大な関心が払われていると思われていた航空の安全保障は、ストライキを粉砕するという課題に比べてはるかに低い優先性しか与えられていないのである。
 他方、ニューヨーク・タイムズが書いているように、ウオール・ストリートはAMFAがストに突入するのを応援した。金融界は、ノースウエスト航空の経営陣の、18カ月以上にもわたって準備されたスト破り動員戦略は、失敗しようがないものだと見ていた。
 ノースウエスト航空は、1998年以降すでにAMFAの雇用を半分に削減していた。ストライキが開始されると、会社側は、飛行機を清掃する865人のAMFA組合員が以後削減されると発表し、さらに近いうちに整備士に対してもそういう措置を取るだろうということをほのめかした。
 もしノースウエストの経営者側が勝利すれば、他の航空会社も同様の削減を要求したり、何年にも及ぶレイオフと、低賃金の非組合の整備工場へのアウトソーシングによって作り出された失業中の整備士のプールに依拠してストライキを挑発するであろう。
 たとえストライキがノースウエスト航空を破産させても、航空業界には希望の一筋の糸がある。破産審査法廷の判事は間違いなく、USエアウエイとユナイテッド航空で起きたように、この産業の労働コストをさらに低下させる諸譲歩を行わせようとするであろう。もし、ノースウエスト航空や他の航空会社が結局この業界から撤退することになれば、この産業の過剰能力は削減され、生き残った会社の利益は改善するであろう。
 結局、AMFAのストライキは、比較的少数の労働者が参加するだけであれば、航空産業にあまり大きな影響を与えないであろう。このストライキは、AMFAを含む航空労組が、譲歩を受け入れることによって徹底的な闘争を回避しようとはしなかったという事実を浮き彫りにした。だが、経営者は、適当な時期が来たと判断するまで総力闘争の時期を延期したにすぎないのだ。
 もしAMFAが敗退すれば、同様の猛攻撃が航空業やその他の組合を待ち受けているのだ。
 これは、分裂した「勝利のための変革」連合の指導者たちが、断固たる交渉をうまく進め、AMFAの闘いの正当性を擁護することによって、AFL−CIOに当たっていたスポットライトを奪い取る理想的な機会であるように思われる。ところが、そのかわりに彼らは沈黙したのだ。
 チームスターズのジェームズ・ホッファーは、02年にサウスウエスト航空の整備士が所属組合をチームスターズからAMFAに替えたということがあるため、ブッフェンバーガー以上にAMFAが勝利を得ることに熱心ではない。(チームスターズは同年にはノースウエスト航空の客室乗務員を代表する権利を奪われ、独立組合のプロフェッショナル客室乗務員労組(PFFA)にとってかわられた。この組合もAMFAのピケットラインを越えている)
 こうした競争という問題以外にも、AMFAの孤立には別の要因もある。他の航空労組の指導者が仕事が削減され、年金が消滅させられ、賃金や諸手当が削減されているのに、反撃についての単なるはったりや大言壮語ですませている時に、この組合がストライキに乗り気であったことだ。
 ブッフェンバーガーのような組合指導者の計算では、いくつかの航空会社を破産させかねないストライキの危険を冒すよりも、経営者との「パートナーシップ」を維持するために譲歩を受け入れるほうがよいということだ。このような組合官僚にとっては、組合同士で、あるいは全航空業界で、譲歩攻撃との闘いと雇用を守る闘いを組み合わせる戦略は、思いもよらないものなのだ。
 彼らは、最近イギリスのブリティッシュ・エアウエイズで見られた連帯行動を再現することなど夢にも考えない。そこでは、小グループの労働者によるフード・サービス契約会社の前でのピケットラインが全航空業務を停止させたのである。
 このような闘いは、アメリカでも合法的に行うことができる。運輸はアメリカでは私的部門の産業であり、そこでは第2次ボイコット行動は合法である。というのはこの産業はタフト・ハートレー法ではなく鉄道労働法によって管理されているからである。
 ピケットは航空産業全体の営業を停止させるかたちで合法的に拡大することができる。だが、公式の組合間の連帯のかわりに、上層の組合役員によって指令されたスト破りが見られる。
 幸運なことに、ピケットラインそのものにおいては、反応は良い。他の組合から来た整備士や組合活動家は、アメリカ全土のいくつかの空港でAMFA支援に立ち上がっている。ストライキ支援委員会が北西部のハブ都市のデトロイト、ミネアポリスや、サンフランシスコで結成されている。
 ランク・アンド・ファイルの組合員と組合活動家は、この闘いを大きな賭けと感じており、勝利するために必要な連帯を築くために活動している。

 

翻訳資料

 翻訳資料-2

 インド・ホンダ労働者への襲撃を弾劾する

 ――記者会見声明 05年7月27日

 土岐一史 訳

 【解説】

 日本の自動車・オートバイメーカーのホンダは、現在インドでも生産を行っている。そこでは、ホンダは低賃金で労働者を酷使し、組合結成もストも団体交渉も認めないなど植民地主義剥きだしの経営を行っている。
 ここに訳出した資料は、ホンダの違法行為の実態を明らかにするとともに、インド労働者のホンダ資本との正当な闘いを弾圧するインド政府・警察を弾劾したものである。それはホンダの労働者と連帯する広範な統一戦線であるホンダ・マズドール連帯委員会によって発表されたものである。
 インドの巨大市場をめぐる帝国主義間の激しい争闘戦のなかで、日帝資本も急速にインドに進出し、労働運動を激しく弾圧しているが、それに対するインド労働者の組織的闘いも開始されている。この資料はその一端を明らかにするものとして貴重な資料である。
 ホンダ・マズドール・エクジュッタ委員会は、ホンダオートバイ・スクーター・インド株式会社の争議労働者への国と警察の弾圧を強く弾劾し、犯罪に手を染めた警察官への即座の抗議行動、負傷した労働者への医療支援、争議労働者への一切の告発の取り下げを要求する
 05年7月27日(ニューデリー)――ホンダ・マズドール・エクジュッタ委員会の旗のもとに集まった、デリーに本拠地を置く労働組合、民主的権利を要求する組織、女性団体、学生団体、諸個人は、7月25日と26日にハリヤナ州グルガオンで起きた、ホンダオートバイ・スクーター・インド株式会社の争議労働者とその家族への警察の野蛮な襲撃を強く弾劾する。

 警察はおとがめなし

 7月26日にグルガオン市民病院を訪れた連帯委員会のメンバーは、7月25日の警察のラティ【インドの警察の警棒】を使った襲撃で負傷した、労働者と労働者の家族への国と警察の手荒な扱いの目撃者である。「争議労働者とその家族を暴力的に弾圧している国と警察がおとがめなしなのはショッキングなことだ。全国メディアや著名人が市民病院にいたにもかかわらず、病院に親戚や同僚を捜しにきていた労働者やその家族を警察は暴力的に襲撃するのをやめなかった」と、最高裁判所弁護士で連帯委員会のメンバーでもあり、病院の訪問団に参加したヴリンダ・グローヴェルは話している。
 市民病院への訪問と労働者やその家族へのインタヴューによって、連帯委員会の訪問団は次の事実をつかんだ。
 新しく結成された労働組合、ホンダオートバイ・スクーター従業員組合(05年5月29日登録)の指導者をはじめとする多数の負傷労働者が、病院や地元警察署からいなくなっていること
 頭部に重傷を負ったり骨折をした負傷労働者への医学的配慮が不充分であること
 地方政府や警察の協力が一切なく、争議労働者とその家族への警察の敵対行為が続いていること

 NHRCへ請願

 こうした目撃証言に基づいて、連帯委員会のメンバーはインド人権委員会(NHRC)に請願書を提出した。それは、(NHRCが)今回の事件に関する独自の審査委員会を設置すること、負傷した労働者を全員釈放し、彼らへの告発を取り下げること、負傷した労働者に充分な医療を提供すること、労働者への重大な襲撃に関与した警察官を停職処分にすること、負傷労働者に適正な賠償金を支払うことを要求するものである。

 ホンダ経営側の違法行為

 05年6月27日、会社は違法なロックアウトを宣言し、いかなる形の組合結成、スト、団体交渉も行わないとする約定に署名するよう労働者に迫った。「この手の会社の違法行為は、インド労働法にあるように完全に違憲であり、労働者が組織したり抗議したりする基本的権利を侵害するものである」と「民主的権利のための諸民族組合」のナグライ・アドヴェは語っている。会社は労働者に、仕事に戻りたかったら、この「違憲書類」に署名するよう労働者に迫った。労働者がスト中だった7月23日にさえ、会社は2000人以上の労働者に、いかなる「不行跡」にも関与せず、「生産目標」をすべて達成することを求めた「善行」約定に署名させた。

 労働者の憤激

 労働者の抗議を呼び起こした7月25日と26日の事件は、組合結成、賃金、工場内での倫理に反する行為、女性や特定職種の労働者への無礼、日本人社員による労働者の虐待といった問題に対する、労働者の積年の不満を反映するものである。「労働者の主張によると、04年12月、ある日本人経営スタッフが工場で労働者を蹴りつけた。これが労働者を憤激させ、ついに当事者が労働者に謝罪するよう圧力を加えられた」と、訪問団のメンバーの一人で、「メーナトカシュ・マズドール・モルチャ」党【モルチャはインドの反政府デモという意味】のスフビルは述べている。

 経済成長か、労働権か

  ちなみに、ハリヤナ州マネスワル工業地帯一帯は、この4年間、前例のない数の自動車産業、特に日本企業からの直接投資がおこなわれてきた。「この手の国と警察の弾圧は、海外投資と政府の経済成長計画が、労働者階級が起こしたいかなる形の争議や権利問題も、過酷な弾圧と暴力に直面するのだという明確なメッセージを送ろうとしている政府の外国投資と経済成長計画との関係で見ておかれるべきである。」と、ハザード・センターのラリト・バトラは言っている。
 ホンダ・マズドール・エクジュッタ委員会のメンバーはまた、この事件についての報道で、日本公使のエノキ・ヤスユキ氏がおこなった声明を強く弾劾する。この声明では、今回の事件について彼は、労働者の争議は、「海外直接投資先としてのインドのイメージを損なうものであり、日本の経営者に否定的なイメージを与えるものだ」と述べた。
「自国企業にインドの労働法を尊重するように要請し、グルガオンの企業の違法行為を調査するのではなく、日本政府が自国企業と共謀して、インド政府に自国市民の野蛮な弾圧を強行するように圧力をかけているのは恥ずべきことだ」と連帯委員会のメンバーは述べている。
 「ここ2、3日の現在進行中の事件からも、政府の最近の声明からも、政府が日本の政府や企業の圧力に屈しているのは明々白々だ」
 デリーに本拠地を置くグループだけでなく、全国から闘争団体、民衆運動団体、労働組合がホンダ労働者に対する支援を拡大している。

 【以下、支援団体を列挙 略】