2008年4月28日

帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る ①

週刊『前進』10頁(2341号4面2)(2008/04/28)

帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る ①
 アフリカ資源争奪戦
 石油とレアメタル狙う
 「構造調整」で再植民地化

 7月洞爺湖サミットを世界の労働者の団結の力で粉砕しよう。世界の帝国主義強盗の頭目どもにプロレタリア世界革命の宣言をたたきつけてやろう。サミットは、帝国主義間の争闘戦の場だ。表向きは話し合いだが、その裏にあるのは世界の資源・市場・勢力圏をめぐる主導権争いである。それは究極的には世界戦争に行き着く。世界を貧困と飢餓に陥れながら世界戦争に転落していく帝国主義を打倒しよう。
 今回の洞爺湖サミットの議題とされているのは、米住宅バブル崩壊に伴う世界金融危機=世界金融大恐慌への対策、「温暖化ガス対策」、イラクを始めとする戦争問題、アフリカ問題、世界食糧危機への対策などである。今号からこれらを徹底批判していきたい。
 まずアフリカ問題をとりあげる。アフリカ人民は「構造調整」という新自由主義攻撃によって飢餓と貧困にさらされている。日本の職場で団結して新自由主義と闘うこと、それはアフリカを始め世界の労働者人民の帝国主義打倒の闘いとつながっている。
 00年の九州・沖縄サミットで初めて日本がアフリカ代表を呼んで以来、アフリカ問題がサミットの議題となってきた。アフリカの石油や稀少金属(レアメタル)を強奪するのが狙いだ。サミットはその主導権争いの場となっている。
 帝国主義はサミットのたびに「最貧国の債務帳消し案」を宣伝する。これは大嘘(うそ)だ。実際はアフリカ諸国の対外債務は増え続けている。
 そもそも80年代に帝国主義は、「構造調整」という外資への規制の撤廃、規制緩和・民営化を強制した。アフリカ48カ国中36カ国で「構造調整」が強行された。その本質は、帝国主義による再植民地化だ。新自由主義のアフリカ版だ。その結果、生活できなくなった人びとは自給用穀物の生産にすがるしかなくなった。それが劣等地での耕作の拡大、土地生産性の一層の低下、穀物不足を引き起こした。「構造調整」という新自由主義こそ、アフリカの飢餓と貧困の元凶だ。
 帝国主義はこういう再植民地化の上に、資源を奪おうとしている。過去10年で発見された原油埋蔵量のうち27%をアフリカが占めている。埋蔵量は世界の10%にも上る。ナイジェリア、リビアなど従来の産油国に加え、赤道ギニア、チャド、スーダン、アンゴラなどで原油採掘が増大している。また、稀少金属も、兵器だけでなく近年はハイテク製品に欠かせない素材になっている(図参照)。こうした資源に帝国主義国と中ロが殺到しているのだ。
 ブッシュは、この2月にアフリカ5カ国を歴訪した。ベネズエラなど南米産油国が反米化しており、しかもあてにしていたロシアも国内油田開発で外資排除の動きを強めている。肝心の中東原油も、イラク侵略戦争の泥沼化で万全ではなくなった。そこで米帝はアフリカ産原油を奪おうとしているのだ。「米国の原油輸入に占めるアフリカ産の比率は15年には25%に達し、サウジアラビアを抜く」との予測すらある。
 米帝はアフリカへの軍事介入を強めている。「アフリカの角」の戦略拠点であるエチオピアには米軍事顧問団が派遣されており、エチオピアの米大使館は世界最大級の米大使館になる見通しだ。そのほかの国々も含めて、10年までにアフリカ諸国の軍兵士計4万人を訓練する計画を実施中である。また、今年9月には6番目の地域統合軍であるアフリカ軍を発足させる。
 欧州帝国主義諸国はもともとアフリカの宗主国である。英「アングロ・アメリカン社」は、20世紀初頭から現在に至るまで、南アのダイヤモンド・金を独占的に支配し続けてきた。EU15カ国の天然ガスの21%強がアルジェリア産である。天然ガス輸入先ではロシア、ノルウェーに次いで多い。欧州帝国主義も、ロシア産天然ガスへの依存から脱却しようとしており、アフリカの原油・天然ガスの獲得にしゃにむになっている。
 昨年末にEUは、AU(アフリカ連合)と7年ぶりの首脳会議を開き、FTA(自由貿易協定)を追求し始めた。また、06年には、内乱の続くコンゴにEU軍部隊を派兵することを決めた。
 アフリカ原油の争奪戦で突出しているのは中国だ。中国が95年以降にアフリカで得た油田権益は15カ国29件に上る。中国が輸入する原油の3割はアフリカ産になっている。中国もまた、スーダンのダルフールに展開する国連のPKOに工兵部隊を派遣している。
 ロシアも05年からアフリカ外交を復活させ、06年にはプーチンが南アを訪問している。

 第1節 資源国家戦略の体なさない日帝

 日帝は、05年の国連安保理改革で常任理事国になることを狙い、アフリカ諸国を買収しようとしたが、ものの見事に失敗した。日帝は、エネルギー政策でもアフリカ政策でも国家戦略が体をなさない「最弱の環」だ。
 しかも日本経済は、ハイテク部品・製品を主力にしてきており、レアメタルが必須不可欠になっている。現在はレアメタルを中国に依存しており、今や「日本産業のアキレス腱」だ。福田首相は昨秋の就任に際し資源外交を「最重要課題」と強調し、11月には甘利経産相が南アとボツワナを訪問した。狙いは、南アのプラチナなどレアメタルにある。しかし、どんなにあがいても日帝が資源を確保できるほど甘くはない。
 19世紀末の帝国主義によるアフリカの分割と植民地化からすでに百年以上がたつ。独立が相い次ぎ「アフリカの年」と言われた1960年から50年近くにもなる。そして今、またしても帝国主義はアフリカに襲いかかっている。帝国主義の世界支配を転覆しないかぎり、こうした実質的な植民地支配が世紀を超えて続くのだ。帝国主義を打倒するしかない。
 帝国主義によるアフリカの資源略奪を許すな!アフリカ・世界人民を一層の貧困と飢餓に陥れるサミットを粉砕しよう!
 (島崎光晴)