2008年7月21日

屈服和解拒否し解雇撤回貫こう 国労全国大会に向け訴える

週刊『前進』06頁(2352号2面1)(2008/07/21)

屈服和解拒否し解雇撤回貫こう
 「平成採」の怒りと結びJR体制打倒の決戦へ
 国労全国大会に向け訴える

 国鉄1047名闘争は今、重大な危機にある。7月14日の鉄建公団訴訟控訴審で、東京高裁が裁判外での和解を勧告し、冬柴国交相が「解決に向けて努力する」との談話を出したことを受け、和解の動きが急速に進み始めた。JR体制との闘いを放棄し、解雇撤回の原則を投げ捨てた4者・4団体路線のもとで進められる和解が、きわめて屈辱的なものになることは明らかだ。しかし、国労本部と鉄建公団訴訟原告団指導部は、7月30、31日に静岡県伊東市で開かれる国労第76回定期大会で、この和解へ突進しようと策している。1047名闘争は、この和解策動を打ち破り、解雇撤回に向けて立ち上がるのか否かをめぐる重大な攻防に入ったのだ。4者・4団体路線を打ち破り、職場で団結を固めてJR体制を打倒する第2次国鉄決戦の路線を確立することが、今大会の重大な課題として浮上した。この攻防に勝ち抜き、動労千葉の組織拡大闘争の前進に続いて、JR体制下で怒りを燃やす「平成採」の青年労働者をマルクス主義青年労働者同盟のもとに組織することこそ、第2次国鉄決戦の軸である。

 第1章 4者・4団体路線は完全破産

 福田政権がその命運をかけて強行した洞爺湖サミットは、労働者階級の激しい決起を引き出すことによって逆に帝国主義の墓穴に転化した。動労千葉の呼びかけのもと、6月29日に代々木公園に結集した労働者は、警察権力と激突して渋谷大デモを革命的行動として貫徹した。札幌現地でも戦闘的な集会とデモがかちとられ、日本の階級闘争は新たな激動過程へと突入した。
 帝国主義の最後の延命策である新自由主義の攻撃は、全世界で打ち破られつつある。それはまさに、プロレタリア世界革命が間近に迫っているということだ。韓国では、米国産牛肉輸入再開問題をきっかけにイミョンバク政権打倒を掲げた100万人規模のデモが闘われ、民主労総のゼネストが打ち抜かれた。ヨーロッパ各国では、公共部門や医療労働者を中心とする数十万人のゼネストが激発している。
 これらの闘いはいずれも、労働者階級の闘いを体制内に押しとどめようとする既成の労働運動指導部の反動を、現場労働者が職場に依拠した団結でぶち破ったことによりかちとられた。
 こうした時代は、あらゆる勢力をふるいにかけずにはおかない。
 日本において闘う労働運動の結集軸となってきた国鉄1047名解雇撤回闘争は、この情勢にあるからこそ、重大な岐路に立っている。あくまで解雇撤回を掲げて国家権力やJR資本との非和解的な激突を貫くのか、権力・資本に頭を垂れて闘いの旗を降ろすのかをめぐって、鋭い分岐が現れているのである。
 4者・4団体路線のもとで、国労本部は「いざ撤退というときにも一糸乱れず機敏に行動する」(週刊金曜日、高橋伸二委員長)と言い放ち、1047名闘争の早期終結願望を隠さない。鉄建公団訴訟原告団指導部もまた「年内または年度内に解決しなければ闘争としても賞味期限切れ」と言って、国労本部に唱和している危機的状態だ。
 国鉄1047名闘争は本来、全労働者の怒りを束ね、労働者階級解放に向けた壮大な闘いに発展させる結節点に位置している。
 現に今、国鉄分割・民営化を皮切りに始まった新自由主義の攻撃の中で、一切の権利を奪われ「ワーキングプア」状態を強制された青年労働者の反乱が、いたるところで始まっている。国鉄闘争が階級的原則に立ちきった闘いとして発展し、労働運動の最先頭に立つならば、日本において数百万人規模のゼネストを実現することは必ずできる。
 ところが4者・4団体路線を推進する者たちは、労働者階級が持つ力への確信を失い、ただひたすら政府やJRにすがりついて、敗北的和解に向けて走り出した。
 98年5・28反動判決に屈服した国労本部が00年5月4党合意の受け入れに行き着いたように、鉄建公団訴訟の05年9・15判決への屈服が4者・4団体路線を生み出した。9・15判決は解雇撤回を拒否し、国鉄時代に停職6カ月以上または停職2回以上の処分を受けた者はJR不採用となって当然だとした反動判決だった。1047名を分断するこの判決を受け入れたところから、4者・4団体路線は出発している。
 だが、こうした裁判所依存路線の破産は、今年3月13日の鉄道運輸機構訴訟判決によってすでに全面的に明らかになっている。この判決は、解雇撤回を求めた原告の訴えを、時効を盾にことごとく退けた。
 にもかかわらず、4者・4団体路線を推進する者たちは、またしても裁判所の和解勧告に依拠して、「最後の機会」とばかりに屈服的和解にのめり込んでいる。
 だが、21年にわたる解雇撤回闘争を闘ってきた闘争団員全員を、こんな道に引きずり込むことなど断じてできない。和解絶対反対を貫く闘争団員と現場組合員の決起でこの策動を打ち破ってこそ、1047名闘争の勝利は切り開かれる。

 第2章 青年獲得できる労働運動に

 日本において新自由主義攻撃の突破口となった国鉄分割・民営化も、今や完全にその破産をあらわにしている。尼崎事故に示される重大事故の続発は、その最たるものだ。また、分割・民営化以来、継続されてきたJR資本とJR総連の結託体制が、ついに崩壊の時を迎えている。JR総連カクマルを補完物とすることによって成り立ってきたJR体制にとって、これはその存立にかかわる事態である。さらに、要員問題の矛盾も爆発し始めた。
 まさにJR体制打倒のチャンスが来ているのだ。動労千葉を始めとするJRの現場労働者の闘いと、1047名闘争の不屈の展開こそが、分割・民営化から21年目にしてJRに大破産を強制したのである。
 この現実を階級的立場からとらえきった動労千葉は、JR体制と真っ向から激突し、勝利をたぐり寄せている。昨年秋の大会で、「国鉄分割・民営化との攻防に基本的に勝利した」と宣言した動労千葉は、その攻防に最終的な決着をつけるため、直ちに平成採の青年を組織する新たな挑戦を開始した。今春闘では、「ライフサイクル深度化」の攻撃に対してストライキを構えて反撃し、傘下の青年労働者の駅への強制配転を阻止した。この動労千葉に今、続々と平成採の青年労働者が結集しつつある。
 動労千葉に新たに加入した青年は、「将来のことを考えると不安はありますけど、不安を払拭(ふっしょく)するためにも、まず自分が何かをしないと変わらない。指をくわえて見ているだけでは前に進まない」と語っている。
 JR資本が強いる競争と分断の攻撃の中で、青年労働者は闘いと団結を激しく求めている。人間性を奪い尽くすJR資本や、それと結託したJR総連=東労組への激しい怒りを抱いている。その怒りと結びつき、ひとつに束ねた時にJR体制は打倒できる。
 駅業務の全面外注化を前提に、輸送職の養成を意図的に怠ってきたJR資本が、そのつけを平成採の運転士の駅への強制配転でのりきろうとするのが「ライフサイクル」攻撃だ。労働者をたらい回しにするこんなやり方に、怒りが噴出しないはずがない。
 動労千葉への青年労働者の結集は、JRの労働運動が大再編の時代に入ったことを告げ知らせた。資本=カクマル結託体制を始め、労働者の決起を抑えてきたあらゆる反動が、青年の怒りによって吹き飛ばされる新たな情勢が始まったのだ。
 動労千葉がついにこの情勢を切り開いたのは、00年以降、一挙に激化した第二の分割・民営化攻撃——外注化を軸とした極限的な合理化攻撃と根底的に対決してきたからだ。とりわけ、尼崎事故後、反合・運転保安闘争路線を再確立し、安全運転闘争を始めとする闘いを、階級的団結を打ち固めて貫いてきたからだ。
 その対極に国労本部の裏切りと転落の歴史がある。4党合意を受け入れた国労本部は、1047名闘争に敵対し、鉄建公団訴訟原告を統制処分にかけ、これに抗議した組合員を5・27臨大闘争弾圧で国家権力に売り渡した。そして、包括和解でJRとの闘いを最終的に投げ捨てたのだ。
 資本と闘わない労働組合では、平成採には見向きもされない。JR体制打倒、1047名闘争勝利のカギは、平成採の怒りの決起をつくり出すことにある。そのチャンスがようやく到来したこの時、勝利の道を自らふさいでいるのが4者・4団体路線にほかならない。
 勝利の道は、平成採を結集できる階級的労働運動を生み出すことだ。

 第3章 5・27弾圧粉砕し本部打倒を

 国労5・27臨大闘争弾圧被告団は、動労千葉とともに4・26尼崎現地闘争を成功させ、サミット決戦を青年労働者や学生とともに担った。
 被告団は、弁護団を再編し、階級的な裁判闘争を貫く新たな闘いに踏み出している。それは、1047名闘争が4者・4団体路線へと転落していく中で、動労千葉と並ぶ階級的労働運動を国労の中につくり出すために闘われた5・27闘争の原点を再確立するために、必要不可欠な選択だった。その厳しい決断を貫く中で、被告団は協会・革同の体制内労働運動の牙城(がじょう)である国労の中に、階級的労働運動の核となる存在として登場したのである。
 5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、1047名解雇撤回闘争、JR体制打倒の闘いと一体であり、その勝利は被告団と国労共闘が階級的労働運動の実践者となることによってこそ切り開かれる。現に、国労本部がJR資本との闘いをもことごとく圧殺している中、これに憤る国労組合員は、被告団とともに闘う道を選択しつつある。さらに、5・27臨大闘争弾圧との闘いは、1047名闘争を階級的に立て直す軸となるべき闘いだ。
 JR体制の崩壊が進む中で、JR東日本は「グループ経営ビジョン2020−挑む−」を発表した。JR東日本はそこで、「収益拡大」のために「不断の創造的破壊が必要」であり、「人材育成と人事・賃金制度を戦略的に見直す」と言っている。その核心は団結の解体だ。だが、それは平成採を始めとしたJR労働者のさらなる怒りをかき立てずにはおかない。
 1047名闘争は、その怒りの結集軸となった時にこそ輝かしい歴史的勝利を手にできる。今大会で1047名闘争終結の策動を真っ向から打ち破り、国労本部を打倒して、国労を青年労働者の怒りと結ぶ階級的な労働組合に変革しよう。