2008年10月 6日

ロマ人の指紋を採取 イタリア 極右政権に怒り爆発

週刊『前進』08頁(2362号8面4)(2008/10/06)

ロマ人の指紋を採取
 イタリア 極右政権に怒り爆発

 今年4月の総選挙で復活したイタリアのベルルスコーニ極右政権がロマ人(ジプシーと呼ばれてきた)だけを対象に「指紋採取」するという前代未聞の政策を強行、イタリア—全世界で抗議が巻き起こっている。
 ベルルスコーニ内閣には、「移民排斥」を掲げるファシスト政党・北部同盟から4人が入閣しており、その一人がマローニ内務相である。もう一つのファシスト政党・国民同盟も閣内協力をしている。
 マローニ内務相は5月11日、公に「すべてのロマ人のキャンプはただちに撤去されなければならない。居住者は国外追放されるか投獄される」と発言。この排外主義扇動の2日後、約60人の群衆がナポリのロマ人キャンプを火炎瓶で襲った。
 6月8日、数千人のロマ人がローマ市内でデモに立ち上がった。全世代にわたる人びとが「ロマ人を犯罪者扱いするな」などと書かれたプラカードを掲げて行進した。あるロマ人は「今日はロマ人にとって偉大な日だ」と語った。
 6月28日、マローニ内務相が子どもを含むロマ人居住地すべての住民の指紋採取を行う計画を発表した。ヨーロッパ全体で1200万〜1300万人のロマ人がいるとされる。そのうち約15万人がイタリアに在住、その半分がイタリア国籍を持つ。7月3日から人口調査と指紋採取が始まり、ミラノ、ナポリ、ローマと行われている。
 イタリアを含む世界各地でロマ人への指紋採取に対する抗議の声が高まった。ところが9月4日、EUの執行機関、欧州委員会は、イタリア政府の指紋採取政策を支持することを公式に表明した。全世界で一層の憤激が巻き起こっている。

 第1章 階級的労働運動で分断打破を!

 イタリア労働運動は2002年以来、ベルルスコーニ政権とその新自由主義政策、イラク参戦政策と対決してきた。02年4月16日には労働憲章改悪に反対して1300万人(労働者の90%)がゼネストを闘った。公共機関、鉄道、工場、商店、すべてを止めた。03年にはローマで2月200万人、3月300万人がイラク反戦デモに決起した。03年10月26日には3大労組が年金制度改悪反対のゼネストを行った。
 06年にベルルスコーニ政権は打倒されたが、今年復活した。しかし、世界金融大恐慌情勢の中でイタリアの経済危機は深刻だ。05年から06年にかけて貿易赤字額が2倍以上に膨れ、07年10〜12月期のGDP成長率は前期比マイナス0・4%だ。
 今年7月6〜7日、24時間の鉄道ストが闘われた。ローマを始めイタリア全土で地上の公共交通のほぼすべてが停止。べルルスコーニ政権をぎりぎりと追いつめている。
 労働者階級の闘いを切り崩し、分断し、排外主義、差別主義に屈服させようとする攻撃と闘うことができるのは階級的労働運動の発展である。
 (投稿・城山 豊)