2009年4月 6日

3・29三里塚 農地強奪攻撃と貨物機事故に怒り “現闘本部裁判を実力で闘う”

週刊『前進』08頁(2386号3面1)(2009/04/06)

3・29三里塚 農地強奪攻撃と貨物機事故に怒り
 農地死守の原則貫き廃港へ
 “現闘本部裁判を実力で闘う”

 3月29日、三里塚全国総決起集会が反対同盟の主催で開かれ、快晴の空のもと、会場となった天神峰の市東孝雄さんの畑は全国から結集した1580人の労働者・農民・学生で埋め尽くされた。農地強奪攻撃と危険極まりない欠陥空港への強い怒りが、この日の闘いを爆発させた。日本帝国主義打倒へ向け、三里塚43年の不屈の闘いの真価が今こそ発揮される時だ。

 第1章 「決戦の三里塚」に

 集会場は動労千葉の動輪旗を先頭に組合旗、大学旗、のぼりなどが林立し、「決戦の三里塚」にふさわしい熱気があふれた。正午から婦人行動隊の宮本麻子さんの司会で集会が始まった。
 森田恒一さんが開会宣言を行い、「私はもうすぐ92歳だが、市東さんの土地取り上げの代執行が行われる事態になれば先頭に立って粉砕する」と決意を表した。
 北原鉱治事務局長が主催者あいさつに立ち、「今日の参加者は非常に多い。自らの手でこの社会を変えようとする労働者・農民がこれだけ多く集まった。学生は大学キャンパスを自分の手に取り返せ。三里塚は君たちの未来のために闘う」と高らかにアピールした。
 続いて萩原進事務局次長が基調報告を行った。「成田空港での3月23日の米貨物機事故は欠陥だらけの空港としての現実を突きだした。ウインドシアによるオーバーランの大事故は03年1月にも起きている(注)。われわれの43年の闘いが空港の惨めな現実を強制している。暫定滑走路北延伸阻止、市東さんの農地を守る闘いから、この成田を廃港へ追いつめていこう」と怒りを込めて訴えた。
 さらに「①天神峰現闘本部裁判を実力闘争として闘おう。仲戸川裁判長の常軌を逸した訴訟指揮を許さない。②農地収奪を粉砕し、市東さんの農地を守る陣形を構築しよう。”農地死守・実力闘争”で闘おう。③農地法改悪と闘い、全国農民の決起をつくりだそう。④成田の軍事空港化を阻止しよう」との鮮明な闘争方針を打ち出し、秋の10・11全国集会へのさらなる大結集を呼びかけた。この基調報告に全参加者が奮い立ち、拍手を送った。
 続いて動労千葉の田中康宏委員長が特別報告に立った。「動労千葉は闘いの原則を曲げず、国鉄分割・民営化攻撃と闘いぬいたことによって今日勝利の展望を開いている」と結成30年の核心的総括を明らかにした上で、3月25日の鉄建公団訴訟の反動判決を満身の怒りを込めて断罪した。「不当労働行為があったと認めながら『解雇は有効』だって? 冗談じゃない! 絶対に認められない。4者4団体が『政治解決』の幻想をあおることをもう許さない。道州制でこれから公務員360万人に『いったん解雇し再雇用』という同じ攻撃が襲いかかろうとしている。今こそ労働運動の原点に帰るときだ」と体制内労働運動指導部の責任を厳しく追及し、反対同盟との労農連帯を一層打ち固めて闘うことを明らかにした。
 次に関西実行委の永井満さん、山本善偉さんが発言。永井さんは「関西は当初から反対同盟に学んできた。三里塚とともに関空の軍事空港化阻止を闘う」と表明した。
 反対同盟事務局の鈴木謙太郎さんが「農地法改悪阻止・農民アピール」(別掲)を読み上げた。
 さらに沖縄からの現地報告として読谷村議の知花昌一さんが登壇し、「沖縄の闘いのために三里塚から学ぶ」とあいさつした。

 第2章 農地裁判勝利訴え

 市東孝雄さんの登壇で集会の熱気は最高潮を迎えた。市東さんは三つの農地裁判を全力で闘いぬいてきた自信にあふれ、「私は自分の畑を耕すことで、農家切り捨てに対し闘う」と揺るぎない決意を表し、拍手と歓声がひときわ高く響いた(発言要旨別掲)。
 市東さんとともに登壇した「市東さんの農地取り上げに反対する会」井村弘子共同代表、農民の会員、「群馬・市東さんの農地を守る会」の方々が市東さんとともに闘う決意を述べた。この中で北総の農民は、農業切り捨て政策を厳しく批判し、「農地法による農地取り上げは、全国農民にかけられた攻撃と連動している。大木よねさんへの代執行のようなことを繰り返させてはならない。腹を固めて市東さんを守る」と決意を表した。
 反対同盟顧問弁護団が勢ぞろいし壇上に並んだ。最初に葉山岳夫弁護士が仲戸川裁判長の忌避却下、裁判強行、ビデオリンク方式での証人調べ、反対同盟側証人の採用取り消しなどの暴挙を具体的に挙げて「裁判官としての自殺行為」と弾劾し、4月23日の現闘本部裁判への傍聴・支援の結集を呼びかけた。さらに各弁護士が決意を表明した。
 婦人行動隊の鈴木加代子さんが「農地を守り、軍事空港にはさせない」とカンパアピールを行った。
 住民団体・共闘団体の決意表明に移り、部落解放同盟全国連、婦人民主クラブ全国協議会、障害者、山谷・福日労の各代表が発言した。婦民全国協の西村綾子代表は「女性労働者の現場に吹き荒れる攻撃の中で労働者も家族も怒りが煮えたぎっている。こんな社会をひっくり返して、生きられる社会を」と訴えた。
 全学連の織田陽介委員長は、「成田を廃港にするしかない。市東さんの農地強奪、農地法改悪は道州制攻撃そのものだ。資本家は内定を取り消された学生を”在庫”と呼んでいる。労働者・農民・学生の決起は一つのものだ」と訴え、4・24法大闘争への結集を呼びかけた。
 集会の締めくくりに事務局の伊藤信晴さんが集会宣言を読み上げ、太郎良陽一さんがスローガン採択とガンバロー三唱を行った。
 長蛇のデモ行進が北総台地を力強く進んだ。この日の大結集に圧倒された機動隊が、一人の青年労働者に襲いかかり不当逮捕した。これに対する抗議闘争が猛然と爆発し、弾圧態勢を破り翻弄(ほんろう)しながら、参加者は攻防の焦点である天神峰字南台の市東さんの耕作地までの実力デモを貫徹した。

 第3章 労農連帯で大結集

 3・29三里塚闘争は、大恐慌のもとで全世界の労働者・農民・学生・人民が陸続とデモ、スト、実力闘争に立ち上がっている革命情勢と完全に一体で闘いぬかれた。三里塚現地の全国集会としては、近年を圧倒的に上回る大結集がかちとられた。
 3月23日の米貨物航空機の事故は労働者・農民の闘いに追いつめられた「世界で最も危険な空港」としての成田空港の大破産を露呈した。こんな欠陥空港、軍事空港のために農民が丹精込めて耕してきた農地を奪うことなど断じて許さない。この怒りが、集会・デモを終始貫いた。それは職場でリストラ、賃下げ、解雇、雇い止めと闘う「生きさせろ!」の労働者の叫びと一つのものだ。
 三里塚闘争43年の不屈の歴史が、市東さんの鮮明な決意が、そして反対同盟と動労千葉のきずなを中心とする労農連帯が、敵を追いつめていることがあらためてはっきりした。そうであればこそますます成田空港会社(NAA)と千葉地裁は結託して、暫定滑走路北延伸、市東さんの耕作地強奪のためになりふり構わぬ攻撃をさらに激化させるだろう。望むところだ! 
 「農地死守・実力闘争」の原則を貫いて闘うことこそ勝利のかぎである。
 天神峰現闘本部裁判、市東さんの農地裁判を全力で支援し、傍聴に駆けつけよう。仲間を誘い、援農や現地調査に訪れよう。労農連帯・国際連帯の力で三里塚の勝利を実力で闘いとろう!
 (注) 03年1月の事故
 1月27日、暫定滑走路に着陸したソウル発成田行きのエアージャパンB767—300型機が、追い風の中で速度超過のまま着陸しオーバーラン、滑走路南端を超えて約70㍍暴走し、過走帯を10㍍超え航空灯火をなぎ倒し、東峰神社の目の前約50㍍の草地でようやく停止した。事故当日は、風の速度や方角が急変する「ウインドシア」と呼ばれる状態だった。空港公団総裁・黒野匡彦は会見で、滑走路の短さについて質問されても答えず居直りを決め込んだ。