2009年9月14日

自治体丸ごと民営化の実態 八尾市の全事業が対象

週刊『前進』06頁(2407号2面3)(2009/09/14)

自治体丸ごと民営化の実態
 八尾市の全事業が対象
 分断破り職場決起始まる

 「行政サービスを金で買え」

 八尾市の田中市長のマニフェストは次の三つだ。
 ●「行政はサービス産業である」
 ●「最小の経費で最大の効果をあげる」
 ●「市民の税金を1円たりとも無駄にしない」
 要は、生存権は地方自治と関係ない、サービスなんだから金で買えということだ。
 そして3年間で53億2400万円を減らす「行政改革プログラム」を開始した。学校や教育、医療、ゴミや飲み水、斎場まで「本当に市が実施しなければいけないサービスかどうか」を調べ、800の事業全部を民営化の対象にしたのだ。
 ①歳入を17億5800万円増やす。市税や国保料・家賃・保育料など、払えない人からも取り立てる。受益者負担を撤底して有料化や値上げをする。土地の売却。市の郵便物などに広告を出す。
 ②歳出を35億6600万円減らす。民営化や窓口の派遣労働者への置き換え、定数削減、賃下げ、福利厚生の見直しなどで人件費総額を減らす。

 保育所民営化と幼保一元化

 保育所民営化は5園で終わりではない。さらに、幼保一元化で幼稚園まで含め全部が民営化・廃止の対象だ。学校も「規模の適正化」の名のもとに統廃合を検討している。また、飲み水までが金次第に変えられようとしている。火葬料の値上げ、放課後児童室の有料化、さまざまな減免制度の廃止が強行された。
 公営住宅は土地建物を民営化し更地にして売り飛ばす計画だ。労働者を一生ローン漬けにする持ち家政策も恐慌で破綻した。競売にかけ借金だけ背負わせ、たたき出す。今や空き家だらけだ。逆さまじゃないか!

 屈服する体制内労組指導部

 だが、多くの労働組合の指導部は屈服し、自分が生き残るために市長に率先協力している。
 特別勤務手当のカットや保険料の負担増などと闘わずにズルズル後退し、夏季一時金の0・2カ月カット(平均7万円)に行き着いた。また、この3年で112人(4年前からの合計で212人。10人に1人!)も解雇される。
 最大の問題は、これが職員の「意識改革」攻撃と一体で行われていることだ。去年1年で600回の職員会議、1700の改善提案がなされた。業績評価のための加点制・両方向評価・自己目標の設定なども、一人ひとりをバラバラにして労組の団結をズタズタにする意図的な攻撃だ。市は、今はまだ管理職に限定されている業績給を全職員に拡大しようとしており、昇任昇格試験を増やしている。

 「生きさせろ」と怒りが噴出

 意識改革などくそくらえだ。労働組合指導部が屈服している中で、市がやっている全職員アンケートですら、労働者は「人員不足」(29・1%)と「業務過多」(23・8%)をあげて労働強化、行革を弾劾している(40%超)。
 市は定数を削減し、派遣やアルバイトなど「多様な任用形態」を導入した。保育所の民営化、運転・電話交換・学校事務員などの外部委託、窓口の派遣への置き換えなどで、非正規職が全職員の3分の1にまでされた。
 非正規化された労働者は怒っている。「月給制が日給制に、日給制が実労働時間給に変えられた」「同じ責任で同じ仕事をしているのに、これでは食べていけない」「任用が違うというが、それをつくったのは誰だ」
 この中で嘱託の給食調理員や訪問看護師たちは立ち上がっている。八尾市は正規職との分断、住民との分断を持ち込み労働者の要求を踏みにじっているが、それを打ち破る決起が始まったのだ。

 市立病院職員は過労死寸前

 全国に先駆けて04年、八尾市立病院にPFIを導入し、事務・管理部門を民営化し、今年地方公営企業法の全部適用にした。「経営の効率化」の名のもと、去年、病院は史上最大の「売り上げ」を記録した。病床利用率90%を目標に、「収益確保」「コスト削減」で作り出したのだ。
 はっきりさせよう!
「全適」は道州制=民営化・労組破壊そのものだ。公務員身分といいながら別個の賃金表を設定し、新規採用からドンドン賃下げだ。医療事故が起これば、責任は全部、現場労働者に押しつけられる。大手保険会社が医師、看護師に高額な医療事故保険をかけさせ食い物にする。
 八尾市・田中市長の丸ごと民営化攻撃は、道州制攻撃だ。絶対反対の職場闘争を巻き起こし、11月1万人の労働者の団結を登場させよう。