2009年9月21日

裁判員制度は廃止しかない 10・2全国集会に集まろう

週刊『前進』06頁(2408号6面2)(2009/09/21)

裁判員制度は廃止しかない
 10・2全国集会に集まろう
 強制動員に広がる人民の怒り

 「裁判員制度はいらない!大運動」が主催する「裁判員制度はやっぱりいらない!10・2全国集会」が10月2日夜、東京・四谷区民ホールで開かれる(要項別掲)。この間の全国各地での第1号裁判員裁判に対する闘いを集約し、「制度廃止」に向けて新たな段階を戦取する、その起点となる重大な全国集会である。10・11三里塚—11月1万人結集に向けて、10・2集会の大成功をともにかちとろう。会場を満杯にする大結集を組織しよう!

 廃止の展望開く全国の闘い

 第一に、この間の全国的な闘いは、裁判員制度廃止への展望を圧倒的に切り開いている。最高裁・法務省・日弁連はマスコミを使って“裁判員制度の意義が発揮され始めた”などと懸命に宣伝しているが、本音は危機感でいっぱいなのだ。
 8月3日の全国第1号の東京地裁から始まった裁判員裁判に対して、東京、さいたま、青森、神戸、大阪、山口、福岡、千葉、津、高松で弁護士や労働組合を先頭に抗議闘争が闘われた。これまで実施された裁判員裁判のほとんどに対してである(9月15日現在)。絶対反対派の存在と闘いが各地で報道され、「裁判員を拒否し一緒に闘おう」という呼びかけが響いた。
 さいたまでは「裁判員を拒否した」と声をあげる候補者も生まれた。津では当日の面接で7人が辞退を表明した。各地裁はそれぞれ50〜100人に呼び出し状を出したにもかかわらず、裁判までにその半分以上が辞退。神戸では6人、高松では8人など、当日も出頭に応じない人が続出している。すでにこの時点で「出頭を拒めば過料10万円」という強制が粉砕され、拒否して闘う機運が大衆的に生まれているのだ。
 この間の裁判員裁判は、起訴事実そのものには争いがない、いわゆる“情状”だけが問題になる事件を選んでいる。裁判員の拘束日数も2〜3日間だ。にもかかわらず、これほどの反発や拒否が広がっているのだ。さいたまの裁判員は「4日もやった東京地裁の裁判員はすごい」「もう1日やっていたら倒れていたかも」「非常に重くて苦しい制度」「疲れた、もういい」と言っている。
 だが、裁判員裁判の全国的実施は、8月で2件、9月で14件、10月で22件の予定という圧倒的な少なさだ。本来なら毎月150〜200件のペースで裁判員裁判をこなさなければならない。千葉ではすでに約60件の裁判員裁判対象事件が起こっており、パンクは必至だ。全国的にも否認事件など複雑な事件は11月以降からであり、制度の破綻はもっと浮き彫りになる。この意味からも、10月初めの全国集会の意義は大きい。
 裁判員裁判の問題性が明らかになるにつれ、弁護士の中からも「刑事裁判の体をなしていない」「被告人の弁護がまともにできない」「ひどすぎる」などの怒りの声があがっている。東海3県(愛知・三重・岐阜)の弁護士は200人以上が名を連ねて「裁判員制度の速やかな廃止を求める声明」を発した。裁判員制度は絶対に許せない、廃止しかないと、闘いを求める多くの弁護士とともに、全国各地でしっかりとした運動陣形をつくっていこう。10・2集会をその跳躍台にしよう。

 改憲と戦争を阻止する闘い

 第二に、裁判員制度粉砕の闘いは改憲阻止の闘いそのものである。11・1労働者集会への1万人結集の闘いと一体であり、大失業と戦争を強制してやまない資本主義・帝国主義とその支配階級と徹底対決する大闘争の一環である。
 高山俊吉弁護士は本紙2406号のインタビューで、「不安を背景に、『現代の赤紙』で市民を動員し、『公』のために市民に市民を監視させ取り締まらせる。……心の中に権力が踏み込んで、最基底部から『国を守る気概』をつくりだす」ことが裁判員制度の狙いであると述べている。また「『簡易・迅速・重罰』は戦争に臨む司法の最大の特徴です。“兵隊さんが前線で戦っているときに、銃後で人権だの民主主義だのと言っているわけにはいかない”ということ」だと、裁判員制度の本質を言い切っている。まさに裁判員制度は、労働者人民一人ひとりを戦時国策の担い手に強制動員するものであり、それ自体が改憲・戦争国家化なのである。この点を今一度鮮明にさせて闘っていこう。
 さらに高山弁護士は、「自民党が大半の国民から絶縁状を突きつけられている状況と、裁判員制度が嫌だという人が八十数%いる状況は、けっして無関係ではありません。雪崩を打つような基底部からの情勢変化がここに見えます」「裁判員制度ほど権力の危機をリアルに示すものはありません」「自民党政権がついに崩壊したこの時を、私たち一人ひとりが主体的に立ち上がる歴史的なきっかけにしたい」と訴えている。そうだ。裁判員制度を廃止に追い込むまで闘い抜かれるこの闘争は、労働者人民が民主党・連合政権の仮面をはぎとり、さらに決定的・主体的決起をかちとっていく「決定的水路」と必ずなっていくのだ。
 裁判員制度絶対反対の闘いを貫き、各地で一層大衆的な運動をつくりだそう。「裁判員制度はやっぱりいらない!10・2全国集会」に大結集しよう!