2009年12月14日

韓国 “労組抹殺”にゼネスト決意

週刊『前進』06頁(2420号1面2)(2009/12/14)

韓国 “労組抹殺”にゼネスト決意
 韓国労総の裏切りに怒り

 鉄道労組の勝利

 韓国の全国鉄道労組は3日、8日間に及んだ歴史的ストライキを勝利的に総括し、4日朝から現場復帰した。
 3日午後6時、キムギテ委員長は、「私たちはすでに半分は勝利した。正当なストライキにあらゆる不法で対抗したホジュニョン社長と官僚の責任を明確に問う」と宣言、「しばらく現場に戻り、第3次ストライキを準備しよう」と呼びかけた。
 鉄道公社による一方的な団体協約破棄に対し11月26日から無期限ストライキに突入した鉄道労組は、必須維持業務を遂行する合法ストを貫いた。これに対し、鉄道公社側は初日から代替要員を投入する不当労働行為に終始した。スト期間中に配置された代替要員は6千人を超え、しかもほとんどが現場経験がまったくない鉄道大学生や軍人、70歳を超えた退職者であり、日を追うごとに鉄道運行の危険性が高まっていった。
 しかも、11月30日には警察はキムギテ委員長ら指導部15人の逮捕令状を請求、翌12月1日には逮捕令状を入手して鉄道労組本部などに家宅捜索を強行し、鉄道労組のサーバーを押収するという暴挙に及んだ。
 さらに鉄道公社はスト中断後も組合員864人を職位解除し、委員長以下12人の労組幹部の懲戒に着手した。告訴した190人余りの組合員の懲戒も検討中という大弾圧に出ている。しかし、代替輸送を拒否した貨物連帯を始め、インターネットなどでもイミョンバク政権への怒りが増大するとともに、闘う鉄道労組ストへの共感と支持が大きく広がっている。

 公共連盟が宣言

 11月30日、懸案事項の「複数労組許容の窓口一本化」と「労組専従賃金禁止」をめぐって韓国労総が態度を豹変(ひょうへん)させた。チャンソクチュン委員長は、「原則として労組専従の賃金は組合自らが負担するよう努力する」「専従者が多すぎないようにし、専従者が労使共生を促進する仕事をするようにする」と言い、複数労組問題については、百八十度逆の「複数労組許容反対」を表明した。
 韓国労総は10月15日の臨時代議員大会で全会一致で与党ハンナラ党との政策協議を破棄し、ゼネストで闘うことを決議。30日まで行われた組合員投票ではゼネスト賛成票が80%に上っていた。
 今回の韓国労総指導部の裏切りに対して、組合員から一斉に怒りが噴出した。公共連盟は、「労働者を代表するもう一つの軸である民主労総との協調をさらに強め、労働組合を否定して一方的に労使関係を破綻させる政府と資本に対し、われわれの要求が貫徹されるまで強力に闘う」と宣言した。

 公務員労組攻防

 新たにヤンソンユン委員長を選出した全国統合公務員労組は11月28日に代議員大会を開き、名称を「全国公務員労働組合」と改め、設立申告のための規約を確定した。ヤン委員長は、「団結と統合の精神でイミョンバク政権と闘っていこう」と呼びかけた。
 しかし、12月1日に設立申告を行った公務員労組に対し、行政当局は3日にヤン委員長を解雇、翌4日、設立申告を突き返すとともに全国53支部の組合事務室を暴力的に閉鎖するという暴挙に打って出た。
 4日午後、記者会見を行った公務員労組は、「これは『労組抹殺行為』だ」と弾劾し、「組合員の自主的な権利を守り、『国民のための公務員労組』を守るため、さらに強い抵抗と全面的な実践を展開する」と決意を明らかにした。12日には全国公務員労働者大会を開催する。
 民主労総はイミョンバク政権の労組抹殺攻撃と闘う本格的な対政府闘争に入った。8日には、ソウル市ヨイドにある国会前で「密室野合糾弾、民主労組死守、イミョンバク政権退陣決意大会」を開いた後、指導部がヨイド文化広場でテント座り込み闘争に突入した。
 韓国階級情勢は12月から2010年へ、待ったなしのゼネスト情勢に突入した。民主労組抹殺攻撃に、巨大な反撃が始まったのだ。