2010年3月 8日

東京「日の丸・君が代」闘争 不起立で日教組本部打倒へ

週刊『前進』06頁(2430号3面3)(2010/03/08)

東京「日の丸・君が代」闘争
 北教組弾圧に怒りを爆発させ不起立で日教組本部打倒へ

 03年「10・23都教委通達」から7年目の3月を迎えた。今春の「日の丸・君が代」闘争は、大恐慌下で戦争反対を貫く闘いとして、そして民主党・連合政権打倒の闘いとして、さらにその意義が明らかになっている。

 相次ぐ反動判決職場から反撃を

 東京の「日の丸・君が代」不起立闘争をめぐる控訴審段階の裁判闘争で、東京高裁の反動判決が相次いでいる。
 1月28日、不起立を理由に定年退職後の嘱託採用を拒否された都立高の教育労働者13人が訴えた「嘱託不採用撤回裁判」の控訴審判決が下された。原告の訴えをいずれも退け、また一審判決が唯一、不採用を「裁量を逸脱、濫用したもの」と認めて1人あたり約210万円(1年分の賃金相当額)の賠償を都に命じた点も覆した、超反動判決である。
 2月23日には、不起立を理由に嘱託採用などの職を奪われた教育労働者10人が訴えた「『君が代』解雇撤回裁判」の控訴審判決が東京高裁で下された。原告の訴えを全面的に退けた、一審判決に続く超反動判決だ。
 しかし、「日の丸・君が代」闘争の勝敗は判決で決められるものではない。勝負どころは職場である。攻撃の最大の狙いが日教組つぶし・団結破壊である以上、職場から団結を打ち固めて不起立闘争を広げよう。

 政権の懐に飛び込んだ日教組

 北教組への不当弾圧はついに委員長代理、書記長、会計委員らの不当逮捕にまでいたった。北教組は「日の丸・君が代」攻撃に組織的抵抗を続けている日教組内の唯一の単組である。弾圧の狙いは、北教組をたたきつぶし、日教組を最後的に解体することだ。北教組は「逮捕は不当な組織弾圧。組織一丸となってたたかっていく」と発表し、逮捕された北教組役員は黙秘を貫いている。
 これに対して、絶対許せないのが日教組本部の対応だ。日教組書記長の岡本が逮捕当日に発表した談話は「子どもや社会に不信感を抱かせることにつながり、深くおわび申し上げます」というものだ。ふざけるな!
 小沢が民主党幹事長続投を決めた時、幹事長代理・輿石(山梨県教組元委員長)は「最後までぶれずに小沢さんを守ったのはおれだ」と胸を張った。小沢を「守る」ことには全力を挙げ、北教組弾圧には一言も抗議せず、鳩山・小沢の先兵として弾圧を推進しているのだ。日教組本部は完全に政権の懐に飛び込んだ。本当に骨の髄まで腐り果てている!
 1月23日の日教組全国教育研究集会の全体集会では、日教組本部の招待で58年ぶりに文科省政務官・高井美穂があいさつし、委員長の中村譲は文科省との「パートナーぶり」をアピールした。
 本部は08、09年と2年連続で東京の「日の丸・君が代」リポートを全国教研から排除し、不起立被処分者の参加を禁じた。今年はさらに、会場内で組合員が本部に異を唱えることをすべて禁じようと必死になった。
 事前の全国教文部長会議では「全体集会・分科会の緊急対応等について」という文書を配って意志一致した。「激しい野次や不規則発言などを行う者に対しては『退場』を命じる」「横断幕を掲げたり、拡声器を使用したり、ビラを配布したり、署名を求めたり、威嚇をしたりするなどの抗議を展開しようとする場合は、警察に通報する」。さらに「担当者は、リポーター・参加者等から日教組の方針等について質問があっても答えない」というものだ。
 しかし強権的な弾圧態勢を突き破って、組合員の怒りは噴き出した。労組交流センター教育労働者部会は会場前で横断幕を掲げて演説し、ビラを配って教研参加者と大合流した。全体集会では組合員が高井政務官と中村委員長の眼前に「教員免許更新制いますぐ撤廃」「日の丸・君が代強制は再び戦争への道」の抗議ボードを掲げた。人権教育や平和教育など多くの分科会で「日の丸・君が代」リポート排除に抗議する発言が相次いだ。
 本部はなぜこれほど必死になって「日の丸・君が代」闘争を排除するのか? 「日の丸・君が代」闘争こそ教育労働者と政府・文科省との非和解性の象徴であり、現場組合員が圧倒的に支持する闘いだからだ。この闘いを完全にたたきつぶさなければ「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを引き下ろすこともできず、日教組の翼賛団体化は完成しないのだ。
 北教組弾圧に怒りを爆発させて、1047名闘争解体と軌を一にした弾圧を打ち破ろう。今春不起立で反撃に立とう。

 民主党・連合政権の正体あらわ

 鳩山政権のもとで「日の丸・君が代」強制攻撃がエスカレートしている。10月には、11月12日の天皇在位20年式典当日に「各省は国旗掲揚。各学校、会社、その他一般でも国旗掲揚するよう協力を要望する」と閣議決定した。これを受けて文科省は学校での「日の丸」掲揚を強制した。
 11月5日の衆院予算委員会では鳩山が「国旗・国歌は国民にとって大変大事なもの。小中高校で必要な時に『日の丸・君が代』を掲げるよう指導する」、文科相・川端も「国旗・国歌の意義をしっかり教え、音楽では歌えるよう指導する。学校では国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するのが学習指導要領だ。文科省はこの趣旨も踏まえて対応していく」と述べた。
 また鳩山は3月1日、北教組弾圧に触れて「教職員は聖職者であるべきだ」とし、教育公務員特例法を改悪して罰則規定を設けることを検討すると表明した。北教組弾圧に続く、教育労働者への全面攻撃宣言である。
 民主党・連合政権は、自民党以上に露骨な日教組つぶし・「日の丸・君が代」闘争つぶしに出てきている。今春の不起立は民主党と連合の結託体制を打ち破る闘いだ。

 米NEAサイトが不起立に連帯

 「日の丸・君が代」闘争をめぐる国際連帯はさらに広がっている。
 NEA(全米教育協会=組合員約320万人の全米最大教組)は2月、全組合員にメールされるサイトにおいて、日本の教育について「愛国主義の強制」と題した記事を掲載した。「公立学校の学校行事において国旗『日の丸』に敬礼し、国歌『君が代』を斉唱することが絶対的に要求されている。東京都は命令に従わない教員たちに厳しい処分を科している。数百人の教員たちが起立して国歌を歌うことを拒否したことで停職や賃金カットなどの処分を受け、多くの訴訟を起こしている」と報告している。
 07年の11月集会に参加したアーリーン・イノウエさん(校内の軍国主義に反対する連合の代表)が昨夏のNEA全国大会で提案した「日本の教育の自由に対する攻撃の情報を公にする」という決議を実践したものだ。
 戦争・教育の民営化と闘うアメリカを始め各国の労働者が不起立闘争に熱いエールを送っている。団結して闘おう。
 03年「10・23通達」から7年間、都教委は累積加重処分や解雇恫喝などあらゆる手段で抵抗を根絶しようとしてきた。

 7年間の勝利に確信持ち闘おう

 しかし東京では不起立闘争がずっと続き、毎年新たな不起立者が登場している。不起立者の団結は全国に大きく広がり、闘う日教組をよみがえらせるランク&ファイル運動として発展している。
 さらに闘う労働組合を取り戻す闘いとして、大恐慌に立ち向かい、教育の民営化・非正規化・労働強化と対決する闘いとして、戦争協力拒否闘争として、「日の丸・君が代」闘争の路線的深化をかちとった。この路線のもとに青年教育労働者の自己解放的な決起をかちとることこそ、日教組本部打倒へ突き進む最大の力だ。
 7年間の闘いに確信を持ち、職場にあふれる怒りを解き放って、今春卒・入学式で「日の丸・君が代」不起立を闘いぬこう!