2010年3月 8日

ギリシャ300万人ゼネスト

週刊『前進』06頁(2430号5面2)(2010/03/08)

ギリシャ300万人ゼネスト
 「社会機能が完全に停止」革命が現実の課題に

 ギリシャの労働者の決起がEU体制を根底から揺さぶっている。ギリシャの労働者は全ギリシャ社会主義運動(PASOK)政権の発表した公務員の賃金凍結、増税や年金支給年齢の引き上げなどを含む緊縮財政政策に反対し、2月10日に行われた50万人の公務員ゼネストに続き、2月24日、さらに民間労働者200万人が加わり、300万人(人口の4分の1)が参加する空前のゼネストを打ち抜いた。「社会機能が完全に停止」した。

 回答は資本家との戦争だ!

 公共・政府事務所、学校、大学、病院、空港に加え、鉄道、バス、フェリーも全国的にストップし、税関や裁判も停止、アクロポリスなど考古学や旅行の遺跡などもすべて閉まった。報道は停止し、翌日のすべての新聞が休刊した。首都アテネでは約5万人がデモを行い、青年たちは機動隊と激しく闘い抜いた。
 ゼネストに参加した労働者は口々に「政府はわれわれが歴史的に闘いとってきた8時間労働制を破壊しようとしている」「危機の責任は金権政治家にある」「銀行や金持ちを救うためにどうして労働者が犠牲を払わなければならないのだ」「労働者の回答は資本家との戦争だ」「われわれは国境を越えて団結しなければならない」と訴えている。世界大恐慌の進展で資本主義の破産が明らかになる中で、労働者人民の革命的なエネルギーが大爆発しているのだ。
 ギリシャの国家破産的な危機と労働者の大反乱はPIIGSと呼ばれるポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインをはじめEU全体に波及し始めている。EU主要国の英、独、仏でもストが頻発している。
 財政破綻の責任を労働者にかぶせようとしたパパンドレウ政権は、EUの指導を受けつつも、労働者の反乱から逃れるために、批判の矛先をEU主要国、特にかつてギリシャを侵略したドイツに向け、排外主義をあおることで労働者の怒りをそらし、ギリシャの資本主義体制を防衛しようと必死になっている。
 またギリシャのブルジョアジーは、ついに統一通貨ユーロからの離脱までささやき始めた。ギリシャは、あらゆる意味でユーロ・EUの矛盾の最大の爆発点だ。

 体制内左派の制動打ち破る

 他方でゼネストを「指導」している二つの労働組合全国組織、ギリシャ公務員連合(ADEDY=75万人)とギリシャ労働総同盟(GSEE=200万人)も、そもそもEU加盟や民営化攻撃を進めてきた歴代PASOK政権を支えてきた。組合指導部は、PASOK政権への労働者の怒りに突き動かされ、さらなる反対行動に言及しながら、基本的に現政権とギリシャ国家、ギリシャ資本主義を支持している。
 実際、ゼネストを指導したGSEEの指導部は「今回のゼネストはギリシャ政府を批判するのではなく、政府への援助を引き出すために市場や投機家やEUに圧力をかけた」と説明している。ADEDYの指導者も「緊縮財政が公的部門ではなく社会全体にかかわるものなら、国を危機から脱出させるために組合を動員する」と語っている。
 ギリシャ階級闘争も、体制内左派政権とそれを支える労働組合指導部との激しい路線闘争に直面している。かつてない革命情勢において労働者階級の指導部、革命の指導部の問題こそが決定的に問われているのだ。
 日本での3・20ワーカーズアクション主催のイラク反戦7周年デモは、ギリシャをはじめとするヨーロッパの労働者人民の革命的な決起と連帯する歴史的な闘いになろうとしている。青年労働者・学生を先頭に、総力決起で渋谷の街頭を制圧しよう!