2010年4月12日

時効の廃止・延長を許すな 国家刑罰権の拡張狙う

週刊『前進』06頁(2435号6面3)(2010/04/12)

時効の廃止・延長を許すな
 デッチあげ弾圧強化へ国家刑罰権の拡張狙う

 時効制度の廃止や延長を盛り込んだ刑事訴訟法の改悪案が今国会に提出された。人を死亡させた罪のうち、殺人罪など、最も重い刑が死刑となっている12の罪については時効を廃止する。傷害致死など最高刑が無期懲役以下の罪については、時効期間をこれまでの2倍に延長する。さらに、過去に起きた事件であっても新法の施行までに時効が未成立の場合はさかのぼって適用される、というものである。
 鳩山政権はこの法案を3月12日に閣議決定し、4月1日から参院法務委員会での審議を開始した。衆院より先に参院での審議を先行させたのは、今国会で他の法案に優先して必ず成立させるという方針をとっているからだ。早ければ5月の連休明けにも超スピードで成立させ、公布と同時に施行することが狙われている。
 この時効制度の廃止・延長は、警察国家化と治安弾圧体制の決定的なエスカレーションに道を開く、絶対に許せない攻撃だ。「犯罪被害者遺族の要求に応える」などと言うが、本当の目的はそこにはない。国家の刑罰権の拡張による、警察・検察権力の肥大化・強権化こそが狙いである。
 現行憲法は戦前の歴史の反省の上に立って、国家権力の発動に対して一定の制約を加えている。警察がほしいままに人を逮捕・拘禁することを禁じる「人身の自由」に関する諸規定や、拷問や残虐な刑罰の禁止、被疑者・被告人の防御権の保障などがそれである。だからこそ日帝は、この制約を取り払って警察権力に再び戦前同様の強大な権力を持たせることを、憲法9条の撤廃と並ぶ改憲攻撃の重要な柱として、一貫して追求してきた。裁判員制度の導入を頂点とする一連の「司法改革」攻撃も、その本質はここにある。
 今回の時効制度廃止の策動も、まさにそうした攻撃の一環にほかならない。そのために「被害者の心情」を利用し、報復論を徹底的にあおることで、「治安を乱す者」への社会的リンチを組織しようとしているのだ。
 実際に、時効の廃止が警察の捜査にどういう影響を与えるのか。
 「DNA型鑑定など科学鑑定の進展により、時が経過しても鑑定資料と被告人との同一性判断ができるようになった」ということが法改悪の理由として出されているが、まったくのデタラメだ。足利事件は、警察鑑定の「証明力」など信用できないことを満天下に暴いた。つい最近も、神奈川県警がDNA型鑑定の検索データの入力ミスにより、無実の人を逮捕しようとしていた事実が明るみに出たではないか。そもそも捜査資料の半永久的保存・管理の体制など存在しない。警察自身がそのことを認めている。
 時効の廃止・延長が現実に、そして確実に引き起こすことは、冤罪の多発、デッチあげ弾圧の乱発である。警察・検察はこれまでも、治安の維持に必要なら無実の者をそれと承知で「犯人」に仕立て上げることを平然とやってきた。時効廃止は、この警察・検察に、より一層のデッチあげのやりたい放題を可能にさせるものでしかない。何十年も経ってから突然身に覚えのない罪で逮捕された場合、被疑者・被告人の側がアリバイなど自己の無実を立証することはきわめて困難になるからだ。
 鳩山政権が法案の成立を急ぐ理由は、日帝の政治支配の崩壊的危機がもはや一線を越えて深まっているからだ。大恐慌下で激化する大失業と戦争の攻撃に対し、労働者階級人民の怒りは今や臨界点に達している。国鉄決戦の爆発が6000万労働者、2000万青年労働者の一大反乱の引き金を引くことは不可避だ。さらに沖縄で、三里塚で、法大で、追いつめられた日帝は最後はむきだしの国家暴力に訴えるしかない。これに対して、70年闘争時のような大衆的実力闘争が再び大爆発することを、日帝ブルジョアジーは死ぬほど恐れている。
 民主党・連合政権はこの日帝の手先となり、労働者階級人民の闘いの発展を圧殺するために、治安弾圧体制の全面的強化にのりだそうとしているのだ。時効廃止はその決定的な一環だ。しかも法務大臣の千葉景子を始め、旧社会党からの転向者や社民系勢力がそのお先棒をかついでいることは断じて許せない。徹底弾劾して闘おう。国鉄・沖縄・三里塚・法大決戦の大前進で、一切の反動的あがきを粉砕し、民主党・連合政権打倒へ突き進もう。5・18裁判員制度廃止全国集会(日比谷公会堂)に集まろう。