2010年5月17日

屈辱的な「解決案」断固拒否を 4・26国労臨大が示したものは何か

週刊『前進』06頁(2439号3面1)(2010/05/17)

屈辱的な「解決案」断固拒否を
 「国鉄改革完遂」の先兵となり改憲攻撃に加担する国労本部
 4・26国労臨大が示したものは何か

 4月26日の国労臨時大会で国労本部は、4月9日に政府が示した「国鉄改革1047名問題の解決案」を受け入れた。彼らは1047名闘争を最後的に圧殺しただけでなく、「国鉄改革完遂」の先兵となることを政府・JR資本に誓ったのだ。これは、戦後労働運動の歴史を画する重大な事態だ。だが、この大反動に抗して、「国鉄分割・民営化に反対し、1047名の解雇撤回闘争を支援する全国運動」が提起され、6・13大集会が呼びかけられた。これは、国鉄闘争を新たな段階に押し上げる決定的な闘いだ。国労本部が臨大で政府「解決案」の受け入れを決定しようが、1047名闘争はけっして終わらない。解雇撤回を貫く新たな闘いの力強い登場は、労働運動全体を革命的に塗り替えるチャンスの到来を示している。

 雇用・年金ゼロ受け入れ生活援助金・物販も停止

 4月26日の国労臨大を前後して、国労本部や鉄建公団訴訟原告団幹部らは、闘争団員に対し、政府が示した解決条件のすべてを受け入れたと表明させる承諾書の提出を迫った。これは国鉄分割・民営化に反対して闘ってきた闘争団の人生そのものを否定させ、権力と資本の奴隷となることを誓わせる許し難い攻撃だ。
 さらに国労本部は、闘争団への生活援助金の支給停止と、物販会社「アルバ」の解散方針を決定した。ついに国労本部は、闘争団の糧道を断つ暴挙に踏み込んだのだ。
 政府「解決案」には、「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと。したがって、今回の解決金は最終のものであり、今後一切の金銭その他の経済的支援措置は行われないこと」「JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できないこと」と記されている。
 雇用と年金はゼロ、解決金も鉄建公団訴訟判決で示された「慰謝料」に涙金をプラスしただけの「解決」を押しつけられ、加えて生活援助金も物販も打ち切られたら、闘争団はどうして生きていくことができるのか。
 4者4団体幹部は今なお「JRを中心とした雇用を獲得する」などとうそぶくが、「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない」と敵階級に誓った彼らは、もはや雇用を政府やJRに哀願することさえできない立場に追い込まれている。
 国労本部は、闘争団員を大恐慌下で路頭に迷わせるとともに、その組合員資格さえ剥奪(はくだつ)して、単一体としての国労を解体し、JR連合に合流する反動的もくろみをあらわにした。臨大方針に言う「JR産別の企業内組合として社会的責務を自覚した未来志向の国労運動」とは、そういう意味だ。
 こんな「解決」に心底納得している闘争団員・国労組合員は一人もいない。すでに、3人の国労闘争団員が「解決案」を拒否し、解雇撤回まで闘う姿勢を公にした。これに続き、屈辱的「解決案」を受け入れた4者4団体幹部への闘争団員・国労組合員のすさまじい怒りは必ず爆発する。

 中曽根が「解決案」絶賛こんなものに従えるか

 4・9政府「解決案」の提示とともに、国交相の前原誠司は、「国鉄改革は、国民に対して大きな成果をもたらした」「国鉄改革には……未解決の課題が残されています」「国鉄改革の完遂に全力を挙げてまいります」という談話を出した。「解決案」を受諾した以上、国労は「国鉄改革完遂」の先兵になれと叫びたてたのだ。
 これは、4者4団体幹部が一切の闘いを放棄し、組合員の抵抗を抑圧して、すべてを与党3党と公明党に「白紙委任」してきたことの当然の結果だ。それが、闘争団と国労組合員の誇りを泥靴で踏みにじるような、屈辱的「解決案」を引き出したのだ。
 4者4団体幹部が「白紙委任」した4党代表者のうち、国民新党幹事長の自見庄三郎は中曽根康弘直系の極反動だ。4者4団体幹部は、1047名の命運を国鉄分割・民営化の張本人である中曽根にゆだねたのだ。
 国労臨大で自見は「4日前に中曽根元首相と会い、今回の『解決案』を見せたところ、『よく解決できたな』『政権交代がよい形で現れた』と喜んでおりました」といけしゃあしゃあと発言した。こんな人物の「来賓あいさつ」を、代議員はヤジ一つ飛ばさず拝聴したのだ。ここにこの臨大の異様さが現れている。
 国鉄分割・民営化を前に、中曽根は「行革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と言い放った。その後も「国労が崩壊すれば総評が崩壊することを明確に意識して国鉄改革をやった」と繰り返し述べている。
 これに国労本部は最後的に屈服し、「国鉄改革完遂」を突破口に改憲に突き進むという敵階級の野望に道を開いたのだ。
 今、大恐慌のただ中で、ギリシャを始め全世界で労働者階級の闘いが巻き起こっている。米軍基地撤去を求める沖縄の労働者人民の闘いは、民主党・連合政権と激突して貫かれている。この闘いに、国労本部ら4者4団体幹部は敵の先兵となって襲いかかったのだ。

 100万の支援陣形へ獲得戦に打って出よう

 1047名闘争の行方は、100万人といわれる国鉄闘争支援陣形を始め、労働者階級全体の命運を決める位置にある。
 国労臨大直後の4月28日、都労連執行部は「JR不採用問題解決に向けた都労連コメント」を出し、「長期の闘いの中では、多くの困難もあったが、『4者・4団体』として団結して闘ってきたことが、政府の責任で『政治解決』の扉を開けさせることができた。このことは多くの争議を闘う仲間に勇気と激励をあたえ、日本労働運動の未来を指し示すものである」と表明した。
 これは、雇用ゼロで闘争団を切り捨て、国労に「国鉄改革完遂」の先兵となることを誓わせた今回の「解決案」を「勝利」と言いくるめるとんでもないペテンだ。断じて許せないのは、「4者4団体の団結」が「政治解決の扉を開いた」としていることだ。4者4団体はそもそも、解雇撤回の原則を貫く動労千葉争議団を排除することによって結成された。だから4者4団体は解雇撤回の原則を平然と投げ捨て、政府やJRと自ら対決することも一切せず、ついにはすべてを4党に「白紙委任」した。その結果が今回の「解決案」だ。
 都労連執行部は、そのすべてが正しかったと強弁している。彼らは、民主党・連合政権のもとでますます激化する道州制導入−公務員労働者360万人解雇攻撃に屈服し、民営化の先兵となる道を選択したのだ。
 これは、戦後労働運動の絶滅を狙う支配階級に呼応した、ただならない転向と投降だ。国労本部の裏切りが、こうした事態を促進しているのだ。
 だが、既成労組幹部のこの裏切りに対し、傘下組合員の怒りが噴出しないわけがない。100万国鉄闘争支援陣形に分け入り、獲得する闘いに打って出る時が到来した。その武器は動労千葉物販、NIPPO物販だ。

 6・13大結集で勝利の展望開け

 新たに呼びかけられた「国鉄分割・民営化に反対し、1047名の解雇撤回闘争を支援する全国運動」は、敵階級と4者4団体幹部による国鉄闘争解体攻撃を打ち破り、労働運動全体を革命的に塗り替える闘いだ。
 この闘いの根底には、JR東日本の検修業務外注化4月実施を阻んだ動労千葉の勝利がある。また、運転士登用差別を打ち破り、ハンドルを取り戻した動労水戸の勝利、暴力行為等処罰法を打ち砕いた国労5・27臨大闘争弾圧被告団の勝利がある。団結して闘えば、労働者は勝つことができる。今やJRの青年労働者の怒りは噴き出し、JR体制は安全を崩壊させながら破産をさらけ出している。JR資本との徹底対決を貫けば、1047名の解雇を撤回させることはできるのだ。
 24年に及ぶ1047名闘争が屈辱的「解決案」で終わることなどあり得ない。勝利の展望が示されれば、闘争団と国労組合員は絶対に決起する。新たな全国運動は、闘争団・争議団とJR本体の分断を打ち破り、勝利の展望を指し示す闘いだ。
 6・13大集会に結集し分割・民営化絶対反対・解雇撤回を貫く1047名闘争の鮮烈な登場を敵階級にたたきつけよう。