2010年5月17日

「公務員庁」設置を許すな 賃金2割削減狙う

週刊『前進』06頁(2439号3面2)(2010/05/17)

「公務員庁」設置を許すな
 賃金2割削減へ「労使合意」狙う

 民主党は4月22日、参院選マニフェスト(政権公約)原案に「公務員庁」設置方針を盛り込んだ。4月9日の国鉄1047名問題「解決案」に続く公務員労働運動解体のための新たな攻撃だ。
 民主党はマニフェストを5月末に完成させ、来年の通常国会に公務員庁関連法案を提出しようとしている。公務員庁と労組の交渉で労使合意・協定を結び、国家公務員の総人件費2割削減のマニフェストを貫徹することが直接の狙いだ。
 さらに自治労、日教組など公務員労働運動を最後的に解体・変質させ、戦争・改憲、道州制(地域主権)、東アジア共同体の先兵に仕立てようとしている。だがこれらは連合の協力なしにはできない。
 国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回の新たな大運動、安保・沖縄闘争、反合・安全闘争を軸とする職場闘争の爆発で動労千葉派が連合から労働運動の主導権を奪い、鳩山民主党・連合政権を打倒しよう。公務員庁設置、道州制・民営化、公務員360万人首切りを粉砕しよう。

 地域主権改革と360万人解雇

 鳩山民主党・連合政権は現在、地域主権改革(道州制導入)・公務員360万人首切りに向かって地域主権戦略会議を開くとともに地域主権改革関連法案、公務員制度改革関連法案を国会で審議している。公務員の労働基本権の回復(一部)については「2011年6月までに法案を準備できるよう努力する」と4月6日に仙谷国家戦略相が述べた。独立行政法人を対象とする事業仕分け第2弾も行われた。国の出先機関を全廃して地方に移管することを前提に、来年の国家公務員の新規募集を半分にする方針も決められた。
 他方、国の監督・指導のもと泉佐野市など21の早期財政健全化団体が財政健全化計画を実行に移し始め、公務員・住民負担増、公務員人件費削減、労組破壊の攻撃を強めている。
 このなかで公務員庁設置方針が打ち出された。公務員庁は、国家公務員幹部職員人事を一元管理する内閣人事局とは別に内閣に置かれる。現在、定員管理を行っている総務、財務の両省の一部を統合し、給与・手当・退職金の規定などを見直すとともに、担当大臣と労組が交渉当事者となる。
 人事院が廃止され、公務員庁が設置されると、担当大臣と労働組合の直接交渉で賃金(基本給、手当、年金)が決まることになる。人事院の仕事は公務員共通の研修や官民の給与比較の研究などの分野に限定される。
 民主党は昨年の衆院選で「非現業」の公務員に労働基本権のうち争議(スト)権と団体交渉権の一部である協約締結権を付与することを公約に掲げる一方で、国家公務員の総人件費の2割削減を打ち出した。それを公務員庁設置による労使交渉をとおして実現しようとしているのだ。つまり労働基本権回復と引き換えに公務員賃金大幅引き下げ、360万人首切りの道州制(地域主権)を労使合意の名で労働者にのませるということだ。
 すでに自治労本部は、民主党・連合政権を支え国・自治体財政を健全化するために組合員=公務員労働者は賃下げ・首切りをのんで協力しろと迫っている。昨年の熊本大会で自治労は労働者階級の生活と権利、利益を守り要求する労働組合であることをやめ「公共サービス」の提供をとおして「社会的責任」を果たす団体に転換することを宣言した。その前の5月には2割削減の標準的公務員給与表を提案した。それを作った自治労労働局長・江崎孝が参院選の自治労組織内候補だ。ブルジョアジーの側に階級移行し、鳩山民主党政権の反動諸政策を組合権力を使って労働者に押しつける自治労本部を打倒しなければならない。

 職場闘争復権し自治労本部倒せ

 ギリシャの公務員労組をはじめとるす労働者は今年5回のゼネストに決起し、パパンドレウ社民政権の公務員賃金・人員削減、年金削減、増税などの緊縮財政策に実力で対決している。米カリフォルニア州の労働者・学生も財政破綻を理由にしたシュワルツェネッガー知事の公務員・教育労働者大量首切り・賃下げ、学費大幅値上げの攻撃に100万人の3・4教育ゼネストをたたきつけた。なぜ汚職と腐敗にまみれた資本家政府がつくった財政破綻のつけを労働者は払わなければならないのか、と怒りを爆発させている。ここには反戦と祖国敗北主義=プロレタリア国際主義の精神が流れている。
 「財政再建」を理由に民営化・外注化、公務員賃金2割削減、非正規職化など、労働者を犠牲にして帝国主義の延命を図る鳩山・民主党政権を国鉄大運動と沖縄決戦の爆発で打倒しよう。国鉄1047名問題「解決案」と同様、公務員人件費2割削減のための公務員庁設置に心から賛成する公務員労働者などいない。公務員攻撃の先兵に成り下がった自治労・自治労連本部打倒へ、6・13大集会に結集し、階級的労働運動で席巻しよう。