ZENSHIN 2000/03/20(No1949 p06)

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週刊『前進』(1949号1面1)

 介護保険制度絶対反対

 福祉切り捨てと大増税容認する日共打倒せよ

 警察=公安委解体が人民の声だ

 小渕訪沖阻止3・25羽田闘争へ

 JR総連=カクマル打倒へ攻勢を

 三月闘争はきわめて重大である。神奈川県警に続く新潟県警のでたらめ極まる不正と腐敗、日帝の統治能力の破産を示した警察庁と国家公安委員会。この問題で日帝・小渕政権を追い詰め、小渕・自自公政権打倒、解散・総選挙に追い込み、選挙決戦に勝利しよう。そのための最大の切り口として介護保険の四月実施を阻止する大衆的闘いを巻き起こそう。沖縄・普天間基地の名護移設を阻止するために岸本市長のリコールをなんとしても切り開こう。小渕訪沖阻止の三・二五羽田闘争に立とう。三・二六三里塚全国総決起集会へ全国から総結集をかちとろう。春闘を国鉄決戦を先頭に切り開こう。危機を深めるカクマル=JR総連打倒へ大攻勢をたたきつけよ。

 第1章 警察の腐敗と不正居直る小渕許すな

 米帝経済のバブル的高揚は、今やかつてない崩壊の始まりへと突き進んでいる。このバブルの崩壊は必ず世界大恐慌の本格的爆発へ発展する。それが引き起こす日帝やEU、新植民地主義体制諸国の経済の危機、分裂とブロック化は図り知れないものとなる。中でも日帝の経済的危機は世界で最も激しいものである。日帝はすでに経済・財政上のコントロールの力を失ってしまっている。どんなに財政赤字を積み上げ、国債を乱発しても経済を安定的成長の基盤に乗せることはできない。そして大増税とインフレ政策と戦時財政に突き進むしかなくなっている。
 また、恐慌の激化は帝国主義間争闘戦を限りなく激化させ、米帝の一極的軍事的政治支配への行動とそれに対する日帝の必死の対抗的行動を激化させる。
 アジアをめぐる最大の戦争的危機が深まり、激化している。米帝は中国スターリン主義の「台湾白書」を口実に軍事的・政治的介入を強めている。空母キティホークが横須賀から台湾海峡海域に派遣された。米・日帝国主義の朝鮮・中国侵略戦争はいよいよ歴史的に切迫しているのだ。
 このような世界史的うねりの中で日帝は帝国主義の最も弱い環として死の苦悶(くもん)にあえいでいる。そしてそこからの脱出のために、自自公翼賛政治体制のもとで、基地強化と沖縄圧殺のために普天間基地の名護移設を強要し、改憲・有事立法攻撃を強め、労働者人民への搾取と収奪の政策を強行し、教育改革、「日の丸・君が代」強制の攻撃などの大反革命を強行しようとしている。
 この日帝が今、警察と国家公安委員会の問題で人民の怒りに包囲されている。
 昨秋の神奈川県警の一連の事件に続いて、新潟県警の事件で警察の反人民性と極限的腐敗がより鮮明になった。新潟県警本部長は、九年間行方不明だった女性が監禁されていたところを発見されたという重大事態の報告を受けながら、警察庁関東管区警察局長の接待を優先させ、県警本部に戻らなかった。関東管区の監察なるものが実は「雪見酒・かけマージャン・白鳥見物」の官官接待でしかなかったことが暴かれた。女性の発見時のうその発表も重大な問題だ。
 この女性はそもそも朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致(らち)されたという排外主義キャンペーンで処理されていた。その一方で、行方不明で発見された女性自身の人権や命は一顧だにしていないのだ。
 そして事態はそれにとどまらず、保利国家公安委員長(自治相)と国家公安委員会がこれに対する処分を行わなず、うそをついていたことで、政府の危機が一層深まっている。
 しかも小渕は三月八日の国会で「新潟県警本部長は運が悪かった」と保利を擁護した。なんという発言だ。保利の罷免にとどまらず、小渕内閣そのものの総辞職に値する発言だ。
 日帝は、警察権力の腐敗を正すと称して結局は国家警察化、治安警察の強化をもってより反動的にのりきろうとしている。そもそも警察権力とは、治安弾圧と人権抑圧をこととする組織なのだ。警察・公安機構は即刻解体すべき反人民的な組織なのである。今や警察と国家公安委は解体せよというのが人民の声だ。警察の腐敗弾劾、警察権力の肥大化、治安弾圧体制強化反対、小渕政権打倒を真っ向から掲げて闘おう。
 七・二一体制(沖縄サミット厳戒体制)のもとで、人民のあらゆる闘いのきざしに対する弾圧が強められる。過剰警備、監視と弾圧に対する怒りを爆発させ、粉砕しよう。腐りきった警察に、人民の生活に土足で踏み込む盗聴の権限を与える組織的犯罪対策法(盗聴法)の施行を許すな。廃止をかちとろう。
 われわれは新年に二〇〇〇年を衆院選決戦、沖縄サミット決戦、労働運動の新潮流運動の発展の三大決戦として闘うこと、政治闘争を@衆院選勝利、A二〇〇〇年沖縄サミット粉砕・普天間基地の名護移設阻止、B有事立法・改憲攻撃粉砕、Cガイドライン体制の実体的発動阻止(臨検新法粉砕、PKF凍結解除阻止、「日の丸・君が代」強制粉砕など)、D三里塚暫定滑走路建設阻止の五本柱で闘うこと、労働運動では国鉄、自治労(都労連)、全逓、教育労働者の四産別を先頭に闘うことを確認した。この大方針を、対カクマル戦勝利と党勢拡大闘争と一体となって闘うことが今日ますます重要になっている。
 われわれは、総選挙で長谷川英憲氏を東京八区(杉並)で押し立てて国政に初挑戦する。全力でここをこじ開けることによってこそ日本革命への突破口を切り開くことができる。われわれの選挙綱領は、われわれの戦略的総路線を実現するスローガンである。
 日帝の侵略戦争と大失業の攻撃を粉砕することを訴え、日本共産党、社民党をのりこえて闘う唯一の革命的勢力として登場することが求められている。小渕・自自公政権と真っ向から対決し、ファシスト石原都知事と対決し、その打倒を訴えて闘おう。
 石原の外形標準課税の提案は、銀行に対する人民の怒りにのっかって、実際は全業種・全国一律の課税に道を開き、中小企業と労働者人民に大打撃を与える攻撃であり、ファシスト的なパフォーマンスなのである。石原はこれをテコとして、東京都の財政対策の大半を労働者・都民へのリストラ、賃下げ、福祉の切り捨てとしてやりきろうとしているのだ。
 この石原の政策にほとんどの勢力が賛意を示し、マスコミは喝采(かっさい)を送っている。とりわけ許せないのは、日本共産党が石原の外形標準課税提案を支持し、なんと「政府は知事の妨害をするな」と言って石原応援団の役を買って出ていることである。石原の打倒が衆院選勝利にとってもカギをなしている。

 第2章 「介護は権利だ」を全面否定する制度

 われわれは、今次総選挙に臨む政策として、介護保険絶対反対を中心テーマとして闘っている。これは人民の生きるためのいのちの要求であり、絶対にゆるがせにできないものである。
 今日進行していることは、帝国主義が行き詰まり、帝国主義国家の経済、財政が成り立たなくなり、なおかつ独占資本を救済し、戦争のできる国家への道を突っ走るために、福祉制度を解体し、国家としての責任をほうり出そうとしているということだ。介護保険制度とは、国家が介護の体制から最大限手を引き、財政支出を減らし、介護事業を金もうけのビジネスに委ね、金のないものは介護を受けられなくても仕方ない、とするものだ。
 以下に挙げる主要な問題点を見ただけでも、介護保険制度がこの上ない悪制度であり、絶対中止以外にないことは明白である。
 第一。高額の保険料の全人民からの強制的な取り立てであり、大増税そのものだ。これは「第二の消費税」である。わずかな年金からも無慈悲に天引きされる。四十歳以上のすべての人が有無を言わせず払わされた上、ほとんどの人が掛け捨てになる。さらに不払いなら介護の給付を受けられず、健康保険証も取り上げるという強制を伴った取り立てなのである。
 第二。この高い保険料・利用料では高齢者の広範な層が、介護保険制度そのものからはじき出されてしまう。介護サービスを充実させようとすれば利用料がアップし、払えない人は介護を受けられなくなるのだ。一番介護を必要とする人びとをはじき飛ばす制度など絶対に許せない。
 第三。「要介護認定」はデタラメなコンピューター判定の上に、第二次判定もわずか三、四分のいい加減なものだ。調査自体が高齢者の自尊心を傷つけ、必要な介護を受けさせないものとなる。介護を切り捨てるための認定制度は廃止すべきだ。
 第四。特養(特別養護老人ホーム)から一万五千人もの高齢者を追い出す制度である。また病院や老人保健施設からも数万人の高齢者が追い出される。
 6面につづく

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週刊『前進』(1949号1面2)

 各地で「日の丸・君が代」闘争

 教職員と生徒 卒業式で強制を拒否

 「日の丸・君が代」の法制化をテコとして、学校現場への強制の攻撃が強まっている。だがこれに対する教育労働者、生徒、保護者の反撃が二、三月の卒業式をめぐって全国各地で爆発している。今回は投稿二本を紹介します。(編集局)

 第1節 大阪の5高校で校長を圧倒

 大阪では、二月二十三日に「日の丸・君が代」おしつけ反対北摂集会が百二十人の参加で開かれた。教育労働者が多数結集し、生き生きとした闘いの報告が行われた。
 続く二十四日から高校の卒業式が全国一早く始まった。高校では、日教組が職場で少数派であるにもかかわらず、職場の団結をつくりだし校長を圧倒して闘った。教育労働者と生徒・保護者、労働者市民の共同の闘いがくりひろげられた。
 A高校 職員会議で式場内での「日の丸」掲揚を断念させられた校長が、「君が代」を式次第に入れテープを流し、生徒や教職員などに強制的に歌わせようとしてきた。しかし、卒業生、在校生とも誰ひとり立たず、保護者も何人かが退席し、起立を拒否。ほとんどの教職員は退場した。
 B高校 新任の校長が職員会議決定をひっくり返して「日の丸・君が代」の強制を狙ってきた。これに対して教職員代表が校長交渉で校長を追いつめ、「日の丸」は玄関ポールに、「君が代」は卒業式開始前(生徒入場前)にテープを流すということに押し返した。「君が代」では教職員全員が退場し、保護者も何人かが退場した。教職員はリハーサルと式当日にビラをまき強制反対を訴えた。
 C高校 「日の丸」を校庭ポールに掲げ、「君が代」を式次第に入れず、式内にテープを流した。開式の前に教頭が「強制はしない。自由です」と言いながら強行した。しかし、式の冒頭に卒業生代表が「自分たちの卒業式に自分たちの意見が入れられないのはおかしい。式の内容を決めるのは私たちです」と意見表明した。卒業式会場には憲法前文と教育基本法前文が、張り出された。
 「君が代」には、ほぼ全員が起立を拒否した。教職員は担任を除いて、全員が退席。保護者も半分が起立を拒否した。卒業生は自分たちで選んだ歌を歌った。
 D高校 「君が代」を式当日早朝に断念に追い込み、「日の丸」は学校の屋上のポールに校長が一人で揚げざるをえなかった。校長は、すきあらば強行しようと狙ってきたが、教職員がこれを許さなかった。
 E高校 グラウンドのポールに「日の丸」を掲げ、「君が代」を式の中で歌わせようとしてきた。教職員は反対のビラをまき、生徒、保護者に訴えた。生徒は全員が「君が代」を拒否。うち二十人以上が退席した。教職員も全員退席した。保護者も半分近くが座ったままで、斉唱を拒否した。(教育労働者R・M)

 第2節 東京・国立の感動的な闘い

 三月五日、東京都国立市の一橋大学で開かれた「卒業式・入学式の『日の丸・君が代』を考える集い」に参加した。
 国立市では市内十一の小中学校の全部で「日の丸・君が代」が実施されていない。教職員組合の粘り強い闘いがこの地平を築いてきた。卒業式の様子がビデオで上映された。小学校も中学校も、卒業式は同じフロアでの対面方式で、周囲には卒業生が描いた絵や、在校生がつくった壁画が飾られている。歌、合奏など卒業式の全体が、子どもたちの自主性を大きく引き出すようにつくられている。本当に感動的だった。
 こうした卒業式がつくりだされてきた根底には教育労働者の「子どもたちを再び戦場に送らない」決意が込められているのだ。
 集会では、山住正己前都立大総長の講演や、親・教師・学生などからの現場報告が生き生きと行われた。
 国立でも日帝・文部省による強制の攻撃と、それと連動した右翼の策動が強まっているが、教育労働者と地元の市民はこれと対決して闘っている。(I・M)

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週刊『前進』(1949号1面3)

 カクマルの襲撃を完全粉砕

 横国大合格発表

 三月六日、横浜国立大学の合格発表が行われ、ここで対カクマルの革命的武装自衛戦争の重大な勝利がかちとられた。
 この日、マル学同中核派横国大支部と全学連の闘う学生は、断固として情宣活動に決起し、「経済自治会」の反革命防衛隊として動員されたカクマル中央JAC二十人弱のこそくな襲撃を断固として迎え撃ち、徹底した実力反撃−逆襲戦をたたきつけたのだ。五月テーゼ下の対カクマル武装自衛戦争の真価が遺憾なく発揮された。
 さらにカクマルの襲撃を合図にして露骨に学内に配備された神奈川県警公安、機動隊の弾圧策動を未然に封殺し、受験生へ沖縄サミット決戦への決起と「経自」カクマルの一掃を訴える宣伝活動を貫徹した。
 今回襲撃を企てたJACこそ九六年法大襲撃、九八年富山大襲撃を始め、昨年も人民の闘争への介入と破壊、襲撃的な反革命ビラまき、白色テロ策動に直接手を染めてきたやからだ。絶対に許すことのできない極悪ファシスト分子の中心勢力である。
 しかし、この連中ですらひとたび闘う学生が階級的怒りに燃えて反撃に立てば、お話にならないくらいに脆弱(ぜいじゃく)なことが明らかとなった。指揮者の合図で、形だけでも突っ込んでこれるのはなんと半分以下。わが部隊の強烈な戦闘意志と実力反撃にたちまち戦意を喪失して、背を向けて大あわてで逃げ出したのである。なんとぶざまなことか。
 二〇〇〇年決戦こそカクマル完全打倒の好機である。過疎支配の絶望的危機に突入したJR総連=カクマルを大衆的に包囲・解体せよ。沖縄サミット決戦のまっただ中でカクマルを打倒せよ。
 反ファッショ解放戦争の大衆的爆発をつくりだし、衆院選決戦、大衆闘争、大学、拠点をめぐる接近戦に勝利しよう。

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週刊『前進』(1949号2面1)

 東峰生活破壊道路着工阻止!

 3・26三里塚に全国総結集を

 成田暫定案=軍事空港粉砕へ

 革共同はこの三月、衆議院選挙闘争に組織の総力をあげて決起している。このただ中で、三月決戦において三・二六三里塚集会は、決定的に重視して取り組む闘いである。三・二六は三里塚決戦であるとともに七月沖縄サミット粉砕に向けた総決起集会だ。全国から総決起しよう。

 第1章 三里塚と沖縄は一体の闘い

 新ガイドライン法の強行以後、日帝は政治、経済、社会体制を侵略参戦体制にくみかえる攻撃に全面的に踏み切っている。衆議院解散−総選挙は日帝にとって一大反革命攻撃として位置づけられている。階級支配の全面的な転換を図り、資本攻勢と一体で介護保険導入など社会保障制度切り捨ての攻撃や教育基本法改悪−「日の丸・君が代」強制によるイデオロギー攻撃など、歴史を一変させる諸反動への屈服を迫り、これまで以上に強権的なボナパルティズム政権の確立をもって一気に戦争国家の確立へと突進しようとしている。
 労働者人民にとって二○○○年決戦の最重要の環に総選挙決戦があることは明らかである。
 日帝は労働者階級人民の反戦闘争拠点に対して反動的決戦を構え、たたきつぶそうと襲いかかっている。その焦点が沖縄普天間基地の名護移設と沖縄サミット強行による沖縄圧殺、成田暫定滑走路強行による三里塚闘争解体攻撃である。
 侵略戦争を遂行するためには労働者の戦争動員が不可欠であるが、そのためには先行的に労働者階級人民の反戦意識の圧殺・解体が必要である。それゆえ日帝は沖縄米軍基地の維持強化への踏み込みと、これを阻止する反戦・反基地闘争、軍事演習阻止闘争を鎮圧解体し、戦後反戦意識を解体しようとしている。
 労働者階級人民にとって、この拠点をめぐる闘いは絶対に引くことのできない攻防線である。われわれは三里塚と沖縄を侵略参戦を阻止する階級攻防の戦略拠点として位置づけて、全力で闘いぬかなければならない。

 第2章 戦略空輸担う軍用滑走路に

 成田の暫定滑走路建設の攻撃は、朝鮮・中国−アジア侵略戦争に向けた巨大軍事空港建設の攻撃である。
 現代の戦争の特質は、戦略空輸の比重の巨大さにある。海外に展開する米将兵の九九%は航空機で移動する。うち七○%以上が民間航空機を使用する。アメリカの航空企業は保有機を有事に無条件で提供する契約を政府と交わしている(CRAF、民間予備航空隊)。いまや民間航空機と航空インフラを動員しないで、現代の侵略戦争は考えることができない。
 第一に成田空港は、戦略爆撃機B52や超大型輸送機C5Aが武器弾薬を満載して出撃できる四千b滑走路をもつ本土で唯一の空港である。
 第二に、右に述べた現代戦の特質に明らかなように、米帝の戦争体制は民間の施設機能、民間機を徴発することを大前提にしていることから、民間空港であることと兵站(へいたん)基地化は矛盾するどころか平時において国際民間空港であることが必要条件であるとさえいえる。米軍当局が「八空港六港湾」を指定するにあたって、「民間パイロットが習熟している」ことを成田の適格理由としたことには、こうした根拠があったのである。
 第三に、朝鮮侵略戦争において日本本土は後方支援基地となるが、首都圏におけるその中軸拠点は、座間基地(在日米陸軍司令部と兵站司令部=第十七地域支援司令部、神奈川県)と米軍横田基地(第五空軍司令部)、横須賀基地(在日米海軍司令部)である。成田空港は朝鮮侵略作戦計画5027発動の中枢を担うこれらの基地と一体になって兵站部門の中軸をなす。五○年朝鮮戦争では、横浜港が横須賀の軍港と一体の軍事物資搬入の一大基地になったが、成田空港がこれに代わる兵員物資の一大集積地になるのである。
 成田暫定案で、反対同盟住民を敷地内から追放して用地を強奪すれば、三千七百b軍用滑走路として完成する。それは成田を横田基地をもしのぐ一大軍事基地に変貌(へんぼう)させるものである。

 第3章 東峰をめぐる5月の決戦

 暫定滑走路建設は、現在小見川県道トンネル化のための掘削工事、天神峰谷地の地盤工事が強行されている。そしてこの四月に県道トンネル化のための迂回(うかい)道路に着工する。これは東峰の居住地域に対する決定的な攻撃である。公団は「四月工事用フェンス−五月迂回道路着工」として工事計画を明らかにしているが、われわれはフェンス工事の開始をもって東峰生活破壊道路(県道迂回道路)の着工とみなす。これこそ住民追い出し攻撃であり、暫定案攻撃の本質そのものだからだ。
 暴力性と住民敵視政策は認可された計画案に明白である。暫定滑走路南端から民家まで三百五十b。着陸機の飛行高度は民家上空四十b。神社に至ってはオーバーラン帯からわずか六十bである。しかも北側進入灯は用地が確保できず三百九十b滑走路に食い込み、実際の滑走路長は千七百九十bしかない。危険きわまる欠陥施設である。ここ一カ月のうちに三沢基地と丘珠空港(札幌)でオーバーランの事故が発生し、青森空港で滑走路上の事故が起きたが、こうした事故を顧みない成田暫定案は未必の故意の殺人滑走路である。
 さらに進入灯が鶏舎をまたいで設置される。市東孝雄氏宅から数十b足らず先には変形誘導路を計画しており、ジェット噴射の排ガスと大騒音が生活を襲う。このような滑走路などはほかにない。
 これらに象徴される暫定案は、着陸帯幅や進入灯−保安施設など、安全のための設置基準において、国際民間航空機関(ICAO)の国際標準をも踏み破る常軌を逸したずさんな計画なのである。
 日帝がこのような焦りに満ちた暴力的攻撃に踏み切った理由は、暫定案では滑走路として有効に機能しないからである。住民を追い出して、最低三千三百b滑走路にしなければ、国際空港として対応できない。

 第4章 暫定案は航空政策破産の道

 暫定滑走路が二千百八十bのままで固定すれば、ストレートに航空政策の破綻(はたん)である。米帝は「成田問題は日本の非関税障壁」と公言して激しく空の開放を迫っている。成田を視察した米運輸長官スレーターは、暫定案を三千七百b(軍用)滑走路にしろと発破をかける一方、都知事・石原の「米軍横田基地返還」発言を逆手にとって、横田の軍民共用化を重視するとの認識を示した(二月二六日)。これは、二○○二年のオープンスカイ(国際航路の自由化)のための日米航空交渉(来年四月再開)に向けて、「成田が遅れ羽田も国際化しないなら、アメリカは横田を軍民共用にして乗り入れるぞ」という圧力である。
 運輸省は三月二日、羽田空港発着の国際便の運行(日米独の大手航空五社が申請していた)について、関西国際空港経由とは言え、ついに認可する方針を発表した。これは事実上の羽田国際化の開始である。昨年十二月三日の暫定案着工の翌日には羽田空港の夜間早朝の国際線運行の解禁が発表された。これ以降、羽田の国際化と首都圏第三空港計画がこれまでのタブーを破って一気に動きだしている。
 日帝運輸省・公団は成田の政策破綻を、侵略参戦体制構築のための治安弾圧政策とガイドラインに基づく基地(空港)整備の中で、反動的に突破しようとしているのである。それが四月東峰生活破壊道路の着工であり、軒先工事で敷地内農民をたたき出そうとする凶悪な攻撃なのである。

 第5章 3・26で臨戦体制を構築へ

 三里塚闘争は日帝の侵略政策と真っ向から対決し、現に粉砕している最大最強の実力闘争拠点である。
 三・二六三里塚全国集会の第一の課題は、三里塚反対同盟との血盟にかけて、四月東峰生活破壊道路着工粉砕の臨戦体制をうちかため総決起することである。四−五月現地攻防に絶対に勝利しなければならない。日帝運輸省・公団は、生活と営農破壊の脅威で農民を屈服させようとしている。その凶悪な攻撃に果敢に立ち向かう反対同盟・敷地内農民の闘いをわれわれのものとし、守り支えることが重要である。
 第二の課題は、七月沖縄サミット粉砕・名護市長リコール運動に向かう沖縄闘争への決起集会として闘いぬくことである。三里塚−沖縄決戦集会として闘いぬくのである。
 第三の課題は、衆議院解散−総選挙情勢に対応し、長谷川英憲氏の必勝へ総決起することである。
 第四の課題は、反革命カクマルを始めとする闘争破壊分子の三里塚潜入を断固として粉砕することだ。
 三・二六三里塚に全国からの総決起を訴える。

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週刊『前進』(1949号2面2)

 JR東労組 「シニア協定」で大裏切り

 「雇用確保」は大ペテン

 賃下げ・不安定雇用を容認

 JR総連=カクマルは、断末魔の危機にあえぎながら、新たな大裏切りを強行し、国労・動労千葉解体を狙うファシスト的策動に打って出てきた。
 三月一日、JR東労組はJR東会社の「シニア社員に関する諸制度について(修正)」の提案を受け入れ、「シニア雇用に関する協定」を締結した。JR東労組は、これを『緑の風』同日付号外で「六十歳以上の雇用確保実現」と宣伝している。同時に、「国鉄改革とその後の十数年間を中核として担った意欲ある真面目なシニア社員の定年退職後の実質的な『雇用』の確保という重要な目的を持つもの」などとする「今後の雇用の基本に関する覚書」を締結し、それを「第二の『雇用安定協約』」だと称している。
 これらは、五十歳以上の「シニア社員」の労働条件と、年金の満額支給開始年齢の段階的引き上げに伴う六十歳定年以後の雇用確保の問題であるが、JR東会社による定年延長拒否と賃金引き下げ、不安定雇用化、総額人件費削減をのんだ大裏切りなのだ。

 第1章 再雇用をあっせんするだけ

 JR東労組は次の五点を「主な成果」としている。
@年功序列型賃金にもとづく長期雇用システム確立
A年金支給開始まで雇用保障
B平成13年度(2001年度)から57歳原則出向廃止
C55歳以上の労働条件改善
55歳〜 85%→90%
57歳〜 78%→80%
D55歳以上の昇職・昇格試験受験可能
 そして「(電機連合などに比べて)東労組の妥結した内容は……『ぬきんでた』もの」と言っている。このペテンを徹底的に暴かなければならない。
 まずCで、基本給の引き下げ幅を五十五歳以上で五%、五十七歳以上で二%縮めたが、およそ「改善」などと言えるものではない。そもそも賃金引き下げを全面的に承認したのだ。しかもBで、これまで出向者に支払われていた月額二万五千円の出向手当が廃止になる。六十歳まで原職にとどまれるとしても、従来の出向手当を含めた賃金とほとんど変わらない。
 したがって、@で「年功序列型賃金にもとづく長期雇用システム確立」などと言っているが、年功賃金破壊そのものなのだ。
 次に、Aの「年金支給開始まで雇用保障」についてだが、ここに最大のデマとペテンがある。
 JR東会社は定年延長もJRでの雇用延長も拒否し、従来から希望者に行われていた「関連会社への再就職のあっせん」をするということでしかない。
 「覚書」での「実質的な『雇用』の確保」というあいまいな表現の中に、そのペテンが透けて見える。
 「協定」によれば、「グループ会社等(グループ会社、関係会社及び一般会社)において再雇用の機会を提供する制度」を新設する。JR東会社は、「再雇用希望者」に対して再雇用の場を知らせ、再雇用に関する手続き等の補助(必要な場合、助言も)を行うだけである。しかも、採用試験を実施し、不合格となった者には一回に限り再雇用の場を知らせるというのみだ。さらに一年以内の有期雇用契約で、労働条件は再雇用先の就業規則によるとし、賃金もJR東会社が最低基準を設けるだけだ。雇用延長とはほど遠いのだ。
 電機などは少なくとも自らの企業の責任で雇用を延長するが、JR東は再雇用の場を紹介するだけで、あとは一切責任をとらない。何が「ぬきんでた」だ。
 しかも、この攻撃は、実は「保守部門の全面外注化」攻撃と一体である。要するに、JR東本体を大合理化し、外注化する関連会社を再雇用先にしようというのである。そこに高齢者を低賃金・不安定雇用で差し出し、総コストの削減、総額人件費の削減を強行しようとしているのだ。連合などの言うワークシェアリング以下であり、電機などよりも悪らつな賃下げ・不安定雇用化、さらに高齢者への労働強化の攻撃にほかならない。

 第2章 国労解体狙う不当労働行為

 さらに重大なことは、「雇用を保障できるのは国鉄改革を担ったJR東労組組合員だ。他労組組合員の雇用保障はJR東労組への加入しかないことがはっきりした」(JR東労組新宿支部ニュース)と、国労・動労千葉解体のテコにしようとしていることである。
 「東労組組合員だけの雇用が保障される」などというのは、資本に不当労働行為をけしかける許しがたい言辞だ。だが、東労組組合員の「雇用保障」自体も大ペテンなのだ。
 Dで「五十五歳以上の昇職・昇格試験受験可能」をねじ込んだが、これも国労組合員などへの差別の強化だ。それによって国労組合員を恫喝し、また東労組内部をも国労よりもましだと言って恫喝するものだ。
 結局、カクマルだけが生き残ろうとする、とんでもないファシスト的策動なのだ。このことを見抜いて断固対決するなら、必ずやカクマルの過疎支配を打ち破り、JR東労組を破綻と崩壊に向かわせることできるのだ。
 以上のように、三・一妥結の中身は、国鉄分割・民営化とそれ以降十三年間のJR総連=カクマルの大裏切りの集大成とも言うべきとんでもない代物である。
 また、「JR総連はカクマルではない」などと見え透いた「対立劇」まで演じなければならないほどに危機に陥ったJR総連=カクマルとJR労資結託体制の断末魔のあがきを示すものである。
 これらのペテンと大裏切りを怒りをもって弾劾し、今こそJR総連=カクマル打倒、国鉄闘争勝利へ総決起することを訴える。

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週刊『前進』(1949号2面3)

 医療制度の抜本的改悪許すな

 健康保険法・医療法の改悪は社会保障全面解体への攻撃

 第1章 介護保険導入と一体の攻撃

 政府・厚生省は、健康保険法改悪案を閣議決定し(二月十八日)国会に提出した。また医療審議会の答申を受け(二十一日)、医療法改悪案を今国会に提出しようとしている。
 これは四月介護保険の強行を突破口とする社会保障制度の解体攻撃の一環である。労働者階級人民から医療を受ける権利を奪い、無限の負担増を押しつける今次改悪への怒りを介護保険闘争の爆発へと集約し、闘いをまきおこさなければならない。
 健康保険法改悪案の重大な内容は、@老人医療費に定率一割負担を導入する、A保険料率の上限から介護保険料分を除外して「青天井」にする、というものであり、二〇〇〇年七月からの施行となっている。
 四月からの介護保険制度の強行で、高齢者は介護と医療を奪われ、さらに老人医療費の一割負担で追い討ちをかけられるのだ。
 厚生省の説明は、「介護保険は一割負担だから医療費も一割負担が当然」という論理である。介護保険制度導入をテコに戦後かちとってきた老人医療の全面的な解体に手をつけてきたのだ。七十歳以上の高齢者から保険料をとり、一割負担させるという恐るべき攻撃である。
 さらに高齢者の医療は高齢者だけの独自の保険でやれ、自己負担せよという「独自の高齢者医療制度」のための布石でもある。
 日帝・厚生省は介護保険制度強行の四月に合わせて、この制度を導入しようとしてきたが、人民の反対の声を恐れて先送りしてきた。四月に介護保険を強行し、少し時間を置いてこれに着手しようというのだ。
 こんな理不尽な攻撃が許せるか。なぜ高齢者がこんな目に合わされなければならないのか。長い間社会を支え、過酷な労働や環境などで病気や障害を持った高齢者が医療や介護を受けることは当然の権利である。社会の責任であり、国家に保障すべき義務がある。高齢者から医療を受ける権利を奪う改悪に断固反対していかなければならない。
 さらに重大なのは、健康保険料率の上限規定から介護保険料分を除外することである。
 現行健保法では、組合健保の保険料は賃金の一〇〇〇分の九五(政管健保は九一)を超えてはならないと決めている。健保料を無限に引き上げられては労働者の生活は成り立たないからだ。労働者階級が、国家や企業と闘った結果として成り立っている取り決めである。労使折半の制度とともに労働者階級が生活を守るために闘いとった権利なのだ。
 だが介護保険の導入によって健保料に介護保険料が上乗せされると、一〇〇〇分の九五(九一)を超えてしまい、健保法違反になることが問題になっていた。
 今回の改悪は介護保険料を健保と別建てにして、労働者階級から介護保険料を青天井で無限に取れるようにするものである。さしあたり一%前後で始まる予測であるが、上限を定めていないため、三年ごとの見直しでうなぎ登りに上げられることは必定である。健保法が、労働者階級にとってのまったく新しい恐るべき収奪−負担増の法律と化してしまうのである。
 今、労働者階級は戦争と大失業の攻撃のもとで、重税にあえいでいる。所得税、住民税、消費税、年金(税)、健保料、そしてこの青天井の介護保険料がのしかかって来るならば、もはや労働者階級の生活は成り立たない。生きていけなくなるのだ。怒りをもって健保法改悪反対の闘いに立ちあがろう。
 健保法改悪とセットで出されている医療法の今次改悪案は、高齢者を医療から排除する介護保険制度に対応したものである。

 第2章 医療法改悪で入院不可能に

 日帝は介護保険の強行と同時に、医療の抜本改悪を行おうとしてきた。しかし介護保険への労働者人民の怒りの大きさに恐怖し、まず介護保険を強行し、時間差をもうけて徐々に医療制度の改悪を実行していくように軌道修正してきた。大衆的反対の大きさとともに、日本医師会との利害対立があり、また総選挙直前情勢での自民党内の思惑もからんで曲折を経てきた。
 今回政府・厚生省が国会提出を決断したことは、この医療制度抜本改悪に大きく踏み出すことを意味する重大事態である。
 今回の医療法の改悪案は@病院のベッドを「一般病床」と「療養病床」に区分する、A「一般病床」の看護職員の配置基準を「入院患者三人に一人」とする(現行は四人に一人)、Bそれを満たせない病院は「療養病床」(六人に一人)に移行させる、C違反する病院には、改善命令や業務停止命令が出せる、D医師免許取得後、全員に臨床研修を義務づける(医師は二年、歯科医師は一年以上)というものだ。
 日帝は医療費を削減するために、最大のターゲットを入院部門にしぼってきた。これまで医療費を引き上げて患者の受診抑制を図るなどさまざまな攻撃をしてきたが、結局受診率は下がらない。これは今日の日帝社会で労働者人民はそれほど病んでいるという証明である。医療を必要としているのだ。ついに日帝は医療費を削減するために、病院の入院ベッドを削減する攻撃に出てきたのである。
 前記@ABCの目的は、一般病床は費用がかかる、全国で百二十万床ある病院ベッドのうち一般病床を約半分の六十万床に減らすという恐るべき攻撃である。そのために中小の一般病院は経営が成り立たないようにしてつぶしてしまうというものである。すでに労働者とその家族が闘病している病院からの患者のたたき出しが始まっている。これが介護保険の強行と同時に労働者階級に襲いかかっている現実である。
 今回は見送られているが、このうえに一般病床には平均在院日数の縛りがかかってくる。入院期間が二十一日以内(さらには十四日以内へ)でなければならないということが厚生省の予定の方針である。
 労働者階級は、入院してゆっくりと闘病や療養もできなくなる恐るべき攻撃なのである。
 さらに臨床研修の義務化は、かつての悪名高い「インターン制度」の復活、いやそれ以上の改悪である。二年以上の研修を終了しない医師は保険医にさせないというものだ。厚生省は「これで二兆円の医療費が削減できる」ともくろんでいる。医師の研修とか医療の質の向上というのは名ばかりで、実はあくまでも医療費の削減に眼目があるのだ。しかも厚生省はこの二年間の研修の費用は健康保険費でまかなうと言っている。何もかも労働者人民に負担を押しつける許しがたいものである。

 第3章 臨床研修義務化反対に立て

 戦後、青年医師は「インターン制度」のもとで無給労働を強制され、さらに長い大学医局での徒弟的制度に苦しめられてきた。医学生=青年医師の営々たるインターン制度廃止の運動は、一九六八〜九年の医学部闘争から全国学園闘争となって燃え広がり、七〇年安保=沖縄闘争と結合して発展する中で、ついにインターン制度の廃止を実現したのである。
 三十年後の今日、このインターン制度を拡大して復活させようとしていることは、日本の医療制度上も最大級の攻撃と言わねばならない。日帝が歴史を逆転させようとすることなど断じて認めることはできない。
 全国の医学生、青年医師よ。立ち上がろう。インターン制度復活を許すな。
 介護保険との全国的闘いと結合し、医療の大改悪、社会保障制度解体の攻撃をぶち破ろう。
 日帝は、介護保険を一切の攻撃の突破口と位置づけている。介護保険強行のあとには、医療・福祉・年金を改悪していく攻撃が待ち構えている。介護保険から社会保障制度が解体されようとしているのである。
 したがって介護保険をストップさせる闘いは、労働者階級の生きる権利をめぐる闘いである。戦後労働者階級がかちとってきた一切の権利がかかっている。
 労働者階級はむざむざと野垂れ死にさせられてはならない。生存権は人民の根源的要求である。日帝がこの生存権さえ否定し、奪おうとするのであれば、立って闘おうではないか。現に介護保険への怒りは地に満ちている。階級の苦しみと怒りを力ある決起へと転化し、介護保険四月実施をストップさせる一大運動へと発展させていこう。

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週刊『前進』(1949号2面4)

 「日の丸・君が代」強制を許さないつどい

 ゛今が反撃のチャンス″

 各地の闘いの持ち寄り400人

 三月二日、「『日の丸・君が代』強制を許さないつどい」に参加した。東京・八丁堀にある労働スクェア東京に約四百人が集った。(写真)
 呼びかけ人あいさつで都立大学前総長の山住正己さんが、「敗戦直後に『日の丸・君が代』を変えることができなかった無念さ」にふれ「さまざまな行動を展開しよう」と訴えた。
 続いて東大教授の小森陽一さんが「『日の丸・君が代』押しつけを考える」と題して講演を行った。「卒業生たちが資料が欲しいとやってきた。今まで『日の丸・君が代』が国旗・国歌だと信じてきた。それが国会論議で国旗でも国歌でもなかったと分かったというわけ。今がこの問題を議論できる絶好機だ」と述べ、「日の丸・君が代」押しつけへの反撃を訴えた。
 その後の会場からの発言が圧巻だった。作家の宮崎学さんは「異端であり続ける、それが抵抗だ」。横浜市高教組委員長は、教育現場の闘いとガイドライン闘争を重ね「発動させない闘い」を訴えた。高一の女子生徒は「私たちを無視しないでと政府に訴えたい。もっと真実を知りたい」ときっぱり。千葉県高教組書記長は「『日の丸・君が代』強制反対で一致し闘っている」と、新聞の意見広告、大田前沖縄県知事を招いた県民集会の成功を報告。また激しい右翼の攻撃と闘う国立市からは三・一二市内集会・デモへの結集が呼びかけられた。
 婦人民主クラブ全国協からは「昨日、すばらしい卒業式の闘いがある高校で闘われました」と、教組と生徒、保護者、地域が一体となった闘いが報告された。卒業式の前に校長がか細く「君が代斉唱」と言った途端、一人の先生が立ち上がり、腕を上げて「『日の丸・君が代』の強制に反対です」と叫んだ。一斉に卒業生や在校生から拍手が起こり「君が代」はかき消され全員座ったままだった。
 婦民全国協は朝からチラシを配り、「日の丸・君が代」に反対しようと声をかけた。生徒たちからも「先生を支持してるよ」「私は歌わないよ」と声が返ってきたというのだ。
 すべての発言が現在進行形の闘いの報告だった。参加者が持ち寄った闘いのエネルギーが倍増した集会だった。〔投稿 宮下 彩〕

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週刊『前進』(1949号3面1)

 ファシスト石原と対決し衆院選決戦へ

 高齢者と「障害者」狙い撃ち福祉をバッサリと削る石原

 なんと10項目788億円も削減

 第1章 所得制限強化と制度の全廃

 石原が都知事に就任して初めて編成し、三月都議会で審議中の二〇〇〇年度都予算案の最大の特徴は、大幅な福祉破壊と、都職員の賃下げ・大リストラである。都の財政危機を口実に介護保険実施と一体のものとして高齢者や「障害者」を狙い撃ちにし、都民の税金を日帝資本の利潤追求のための臨海副都心開発や大型道路建設などに集中しようとしているのだ。
 高齢者や「障害者」の自立支援、生活助成のために都が実施している福祉十施策の切り捨ての影響は、年を追うごとに深刻になる。そして激変緩和措置が終了する二〇〇六年度には、現行制度を継続した場合と比べて年額七百八十八億円が削られ、四十万人が対象から外されてしまう(都の試算、表参照)。実に許せないことだ。
 例えば、重度心身障害者手当は現在月額六万円だが、所得制限が導入されると経過措置として毎年二万円ずつ減額され、三年後(二〇〇三年度)にはゼロになる。未成年の「障害者」がいる家庭では、その七割が対象外になるという(アンケート調査)。
 また心身障害者医療費助成や児童育成手当も、所得制限の強化でどちらも六割が対象外となり、支給されなくなる。六十五歳以上のいわゆる「寝たきり老人」に対する高齢者福祉手当は月額五万五千円だが、これも三年後には全廃される。
 石原知事は、「高齢者の可処分所得は多い。麦飯を食べて死ぬわけじゃない」という暴言をあちこちで繰り返している。だが、都が実施した「高齢者の実態調査」(一九九五年度)でも、年収二百万円に満たない高齢者世帯が五二・七%に達しているのだ。

 第2章 「障害者」抹殺のファシスト

 「障害者」や高齢者が家族とともに生きていくためには、栄養チューブなどの器具や栄養補助食品、おむつなどの必需品のために多額の費用がかかる。都の手当は絶対になくてはならないものだ。その月々の五〜六万円の手当がなくなることが、どれほど厳しい攻撃か。財政危機や介護保険制度の実施を口実にこれまで実施してきた制度を一方的に廃止することは、まさに「障害者」や高齢者の命を奪う暴挙なのだ。
 昨年九月十七日、石原知事は府中市の重度心身障害者施設「都立府中療育センター」を視察した際に、「ああいう人ってのは人格あるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかな」と、断じて許せない「障害者」差別発言を行った。その際、さらに石原は「かけてるお金も大変なもの。こういうことやってるのは日本だけでしょうな」「やっぱりそれ(経済性)を考えざるをえない人もいるでしょう」「永久に採算合わないだろう」などと、繰り返し発言しているのだ。
 自治体の仕事は、けっして金もうけのためにあるのではない。都民の福祉のために、都民の税金を使うのは当然のことだ。だが、ファシスト石原には、こうした考えは一ミリもない。日帝資本の利潤追求こそが一切であり、それに役立たないものはすべて切り捨てていこうとしているのだ。
 石原はまさに、弱肉強食の生存競争をあおり立て、高齢者や「障害者」、子どもを育てながら働く女性らが、とうてい生活していけないような社会状況をつくりだそうとしているのだ。
 大失業攻撃と賃下げ、介護保険制度の強行と東京都の福祉切り捨て、そして年金改悪や高齢者医療制度の改悪などが、折り重なって労働者人民の生活を襲おうとしている。そして、弱肉強食の生存競争の行きつく先は、戦争だ。
 こんな攻撃に黙っていたら、本当に殺されてしまう。今こそ労働者人民は団結し、小渕・自自公政権打倒、石原ファシスト都政打倒のために総決起しよう。
 衆院選決戦に総決起し、長谷川英憲氏(東京八区)の当選をかちとり、総翼賛状況をぶち破る革命的国会議員の登場をかちとろう。

 都の福祉施策見直しによる影響
 施策 2000年度時点の対象人数・金額 見直し後増減(2006年度)
・シルバーパス    87万人   11万人
 (対象者は増加)  154億円  ▼11億円
・高齢者医療費助成  43万人  ▼43万人
           272億円  ▼272億円
・高齢者福祉手当    6万人  ▼6万人
           391億円  ▼391億円
・心身障害者医療費助成  15万人  ▼4万人
           243億円  ▼84億円
・ひとり親家庭医療費助成  16万人   ±0人
           35億円  ▼3億円
・乳幼児医療費助成(対象者は拡大)  17万人   4万人
           39億円   9億円
・重度心身障害者手当   1.1万人  ▼0.2万人
           79億円  ▼10億円
・心身障害者福祉手当   12万人  ▼0.8万人
           224億円  ▼17億円
・児童育成手当(障害/育成)    13万人  ▼0.3万人
           213億円  ▼9億円
  削減の総計          ▼約40万人
                 ▼788億円
             (▼はマイナス)

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週刊『前進』(1949号3面2)

 ストップ介護保険

 現場の労働者に聞く −3−

 特養ケアワーカー Cさん

 一番先にリストラ強行

 転落や窒息事故が多発

 ――どういう仕事をしていますか。
 特別養護老人ホームで介護福祉士をしています。ケアワーカーです。私のところは民間の社会福祉法人で、百床あります。それでショートステイが六床。あとデイサービスをやっています。

 第1章 ■正職員を減らす

 うちのホームは、一昨年の十月からもう介護保険の準備を始めて、経営コンサルタントを入れていろいろやっている。一番先にやったのはリストラです。正職員を減らしてパートを導入したんです。
 それまでも家政補助でパートさんは入れていたんですけど、介護についてはパートは入れていなかったんです。それを、まず入浴介助のパートを入れたんですね。ケアワーカーは、厚生省の基準では利用者四人に対して一人で、それを東京都が補助して、三人に一人になっていたんですよ。四人に一人なんていったら業務が回らない。だからそれをパートで補う。
 自然退職者を補わないという形でだんだん減らしていって、日中六人か七人はいたんですよ、それを一日に四人にしたんですね。入浴日とか食事時だけパートさんを雇う。
 結局、それでももたなくて、食事時間を縮めたんです。前は朝の八時に食事で、昼が十一時半、夕方五時半が夕食だった。それを朝の食事を九時、昼を十二時にして夜を五時にした。
 それでも人手が足りない。食事関係に一番時間がかかる。特に私のフロアーは重度の人のフロアーなんです。嚥下(えんげ=飲み下し)困難な人がたくさんいて、食事介助が大変なんです。ちょっと間違うと詰まって死んじゃうような人がいっぱいいる。
 それで朝食事をとって、昼はおやつ程度にして、夜は普通にして、食事を二食にすると言ったんですよ。それを試した。試すとは言えないものだから、園長が、「お年寄りはそんなに食べない。今の食事はお年寄りの体に合ってない。だからお年寄りの体に合った食事を出す」とか言って、一日二食にすると言った。昼をちょっとしたバナナとか飲み物程度で、おなかの減る元気な人にはパンをちょっとあげるぐらいの、おやつ程度の食事にした。
 それをちょっとの間始めていた。だけど朝は家族が来ないけど、昼は家族が来るのね。そこでおやつみたいな食事をしていたら、「何なんだ」という話になるじゃない。昼はまずいと思ったんじゃないの。それで朝を簡素な食事にして、昼と夜は普通食にするというふうになった。食パンとカフェオレとか牛乳、あとはゼリーみたいなもの。それぐらいの食事で。それは二カ月ぐらい続けて終わって一応もとの食事になったんですが、食事時間帯だけは変えなかった。

 第2章 ■経管栄養で朝食

 だけど朝は早番も減らされたので、人手が足りない。だって二人、三人しかいない。どうやって人減らしを解決したかというと、経管栄養に使う高カロリー食の缶詰があって、その高カロリー食を朝食に導入して、それが朝食なんです。嚥下困難で、寝たきりの人はそれを飲ませてる。
 それを夜勤の朝の仕事にして、それを飲む人を八人くらいつくった。飲ませるといってもすぐには飲まないから、すごい時間がかかるんです。「ごっくん」っていうのが大変なわけ。普通に介助したら三十分くらいかかる、一人につき。だからベッドを寄せて、四人くらいを鳥のエサをやるみたいに回りながら食べさせる。普通食を食べる人を少なくして、職員を少なくしている状態なんです。
 ――それで問題は起きないんですか。
 正職員を減らしてから事故は増えました。転落とか、目が届かないために。入浴の時にストレッチャーから転落した。それは百歳のおばあちゃんだったけど、なぜか打撲だけで骨が折れなかった。あと、もう一人ストレッチャーから転落した人がいた。それも支えていて、コールで呼ばれて、ぱっと目を離した時にどーんと落ちた。何人かの目があれば防げる事故ってあるんです。
 それと、嚥下困難でものが詰まった窒息事故が二つあって、二人とも命はとりとめたんだけど。たまたま気がついたんでその人たちは助かった。看護婦さんと職員で逆さまにして、ものを取り出したからよかった。「もうダメかと思った、チアノーゼがすごくて」とみんな言っていた。
 それは運良く助かったけど、満足に自立して食事をとれる人は数えるほどしかいなくて、その全部に目を配れって言ったって限界があるんです。職員の人数が少ない限り、そういう事故は起こって少しも不思議じゃない。

 第3章 ■介護が否定され

 日常業務も、減らされたことで最低の業務しかできなくなりました。おむつ交換とか、食事介助、トイレ介助とか、基本的な業務をやるだけで手一杯です。前は、お習字しましょうとか、自分の生きがいを見つけてもらおうということで、遊んだりとか、風船投げをしましょうとか、職員がいる時はいろんなことがやれてたんですけど、そういうものも一切できなくなった。ボランティアの人が時々来てくれて、読み語りとか、そういうのがたまにある。寝たきりの人は、一日中天井を見ているしかないんですよ。
 でも一生懸命起こしてるんですけどね。寝たきりにさせないというんで一生懸命になってたんです。一日に最低一回はベッドから起こして、外の空気に触れさせてあげようとやってたんですよ。職員数が減らされてから、もうそんなことやっていられなくなった。
 結局何が重労働かと言って、利用者の移乗が無茶苦茶大変なんですよ。体がかちんかちんに硬直している人がいっぱいいますから、一人でやったら危ないような人がいっぱいいる。前は二人で移乗をやっていたんです。でも人がいないから危険を承知で一人でやるしかない。それは利用者にとっても危険だし、職員にとっても腰痛のもとで、すごい負担なんです。
 それでも起こしてる方なんですよ。寝たきりにさせないようにしようと、「食事だけは食堂で、食事だけは食堂で」って必死になって起こしてる。だけど、それはこっちにとってはものすごい負担になる。だから利用者に良いことをしようと思っても、自分の体の維持も最低限だから、やっぱり前に比べて減った。
 だから本当にその人に合った介護を、とやってきたことが今、全部否定されています。介護保険は残存能力があったら、かえってマイナスで、リハビリなんかしない方がいいわけですから。介護度が重くなればなるほど金が与えられるという話だから、リハビリもしないようになりますね。本人は良くなりたい人もいるし、リハビリをやってもらった方がいいっていう人もいるけど、施設の方ではやりたがらなくなりますね。
 (この項つづく)

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週刊『前進』(1949号3面3)

 石原の外形標準課税に反対

 中小零細企業に壊滅的打撃

 労働者にはリストラ賃下げ

 都知事・ファシスト石原は二月二十三日からの都議会に、銀行への外形標準課税のための条例案を提出した。これは労働者人民にとって「歓迎」すべきものか。否である。石原の新税は、全国・全業種にわたる外形標準課税化に道を開くものだ。戦時型の大増税であり、福祉切り捨て、大リストラ攻撃と一体だ。外形標準課税に反対し、ファシスト石原と闘うことを訴える。

 第1章 全企業・全国一律の導入への突破口

 石原が行おうとしている外形標準課税とは、@大手銀行など三十の金融機関を対象に、地方税のひとつである事業税を業務粗利益(一般企業の「売上高」に相当する)に応じて課税する、A税率は三%とし、年間で約千百億円の税収増を図る、B二〇〇〇年四月一日から五年間の時限措置とする、などというものだ。
 事業税は現在、電気、ガス、生保、損保を除いて基本的には企業や自営業者の所得に対して課税されている。だから、所得のない赤字企業には課税されない。
 今日、大手銀行の大半は、「不良債権処理のため赤字になった」として事業税を納めていない。バブルに踊って巨大な不良債権の山を築き上げ、七十兆円もの税金を国家から注入されながら、まともに税金も払わない銀行に対して、労働者人民の怒りが向かうのはまったく当然だ。
 だが、石原の外形標準課税を「銀行をこらしめる痛快事」と礼賛することは絶対にできない。石原の狙いは、大銀行への労働者人民の怒りをファシスト的にかすめ取るスタンドプレーで、景気に左右されない安定財源を確保することにあり、これは結局は全国・全業種に外形標準課税を導入し、人民への大増税に道を開くことになるからだ。
 外形標準課税とは、企業が黒字であるか赤字であるかには関係なく、給与総額とか売上高、資本金、事業所家屋床面積などを基準にして税を課す。これが全業種に適用されれば、今日の大不況をなんとか耐えしのいでいる町工場などの中小零細業者、商店などの自営業者は、大増税によって次々となぎ倒されてしまう。また、それによって結局は、資本による労働者へのリストラ・首切り攻撃を一層激化させるのである。
 石原は、あたかも国に盾突いて地方自治体の権利を主張するかのようなポーズで外形標準課税をぶち上げた。だが、外形標準課税をなんとしても導入したいという点で、小渕・自自公政権と石原の思惑は基本的に一致している。
 自民党税調と政府税調は、石原のこうした突出を奇貨として、さっそく「全国一律・全業種への外形標準課税適用」を打ち出した。その先頭に立っているのが、石原の息子で自民党税調メンバー、杉並が選挙区の石原伸晃だ。
 小渕による野放図な国債乱発・赤字放漫財政は、国家財政の破産とも言える事態を生み出している。日帝にとってこれは、結局は労働者人民に対する大増税とインフレ政策、戦時財政化で突破する以外にない。だから日帝は、不況の時でも無慈悲に税金をむしり取れる外形標準課税を、消費税に続いてなんとしても導入しようと必死なのである。
 外形標準課税はそもそも戦時税制という性格をもっている。売上高に課税する方式は、一八九六年に「日清戦争」で増大した軍事費をまかなうために、営業税という名称で導入された。それは、戦後になって所得に課税する現在の方式に改められた。その後も日帝・自民党は外形標準課税への転換を何度も策動したが、その都度、中小企業などの反対で粉砕されてきた。
 石原は、自自公がやりたくてもできなかった外形標準課税への突破口を、ファシスト的手法でこじあけようとしているのだ。
 今日、石原の反動的ブレーンどもや政府の外形標準課税導入論者は、口をそろえて「所得に課税する現行制度では努力した企業が報われない」だの、「赤字企業に課税しない今の方式では淘汰(とうた)されるべき旧来型産業が延命してしまう」などと叫んでいる。
 二月二十三日、石原は都議会での施政方針演説で、「中小企業の一様な保護育成を図ってきたこれまでの産業政策を転換する」「自立した個人が創意をいかし、リスクへの挑戦と成果が評価される社会を築き上げることが大切だ」などと発言した。弱肉強食をあおり、中小企業の切り捨てを露骨に表明したのである。

 第2章 福祉を切り捨てて大企業の救済狙う

 外形標準課税は、こうした石原の反人民的な産業政策の一環に位置づけられている。中小零細企業に壊滅的打撃を与え、労働者人民に賃下げ、リストラをもたらすこの税制を、断じて認めてはならない。
 石原は、銀行への大衆的怒りを逆手に取り、「庶民の味方」づらをして外形標準課税を打ち出した。だが、ファシスト・石原が労働者人民のためになることをやるはずがない。そもそも、石原自身が銀行と結んでバブルをあおった自民党政治家の一人だったのだ。
 しかも外形標準課税によって銀行から徴収される千百億円は、労働者人民、都民のためには一銭も使われない。
 それどころか石原は、都の二〇〇〇年度予算案で、@都職員の人員削減で五百八十億円を削減し、さらに賃金カットで七百億円を削る、A福祉事業の切り捨てなどで千百七十億円を削る、Bシルバーパスの有料化など都民からの収奪の強化で百二十億円の増収を図る、との方針を出した。
 その一方で石原は、臨海副都心開発などには引き続き一兆円もの財政を投入し続けようとしている。銀行から集められた税金は、結局はゼネコンや銀行のふところに舞い戻っていくだけだ。大資本を救済し、その生き残りを図るために、人民をどこまでも犠牲にするのが石原都政の本質だ。
 そして石原は今、「銀行にも負担を求めたのだから、都民や職員も痛みを分かち合うべきだ」などという反動的理屈を振りかざして、都民や都で働く労働者に、さらなる犠牲を強いようとたくらんでいる。
 これは、都労連の階級的団結を解体し、昨年十一月のストライキの地平を覆そうとする攻撃だ。石原は、「給与削減は二年と言わず三年でも四年でも」などとうそぶき、都労連との合意を真っ向から踏みにじろうと策している。さらに、四年間で五千人の職員を削減するとした「財政再建プラン」を大幅に前倒しして、二〇〇〇年度だけで二千百三十八人もの削減を強行しようとしている。
 こうした中での外形標準課税の強行は、「財政危機突破」を口実にすれば、都労連との合意など簡単に破棄できる、そもそも労組の意見など聞く必要はない、という状況をつくり出そうとするものだ。これを許さず、さらに団結を固めて闘い抜こう。
 このように、外形標準課税に労働者人民の利益となるものは何ひとつない。絶対阻止する以外にない。
 他方、今や石原は、憎むべき戦争挑発者としての姿をむき出しにしつつある。雑誌『諸君!』三月号で、石原は「中国を分裂させよ」などと言い放った(前号既報)。現職の都知事が、こうした公然たる内政干渉、侵略主義と排外主義の言辞をはくこと自体、絶対に許してはならない。
 石原は、米帝と対抗して朝鮮・中国侵略戦争を遂行し、「大東亜共栄圏」を再形成せよと叫ぶ極右ファシストだ。そのために首都・東京から戦争のための「国家改造」を推し進めようとたくらんでいる。

 第3章 ファシスト的手法のパフォーマンス

 今回の銀行への外形標準課税導入も、ファシストの手法そのものだ。かつてナチス・ヒトラーは、金融資本への大衆的な怒りを逆手にとり、ペテン的な「現状変革」を訴えて権力を握り、侵略戦争に突入していった。日本でも、北一輝や青年将校らによるファシズム運動が、「反財閥」を掲げて三井合名理事の団琢磨や高橋是清蔵相を襲撃し、中国侵略戦争−日米戦争への道を押し開いていったのだ。この歴史を断じて繰り返すことはできない。
 ところが今日、都議会は、石原の外形標準課税に対して自民党から共産党に至る全政党がこれを賛美しているという恐るべき翼賛状態にある。共産党に至っては、「国は知事の政策を妨害するな」と叫び立てているありさまだ。
 だが、石原に労働者人民を屈服させることなど断じてできない。石原は、次々と攻撃を振り下ろしながらも、それが引き起こす人民の怒りを恐れている。だから石原は、派手なパフォーマンスで人民の支持を取り付けようとするのである。
 だが、石原都政の福祉切り捨て、首切りと賃下げの攻撃は、必ず労働者人民の大反撃を呼び起こす。四月に実施されようとしている介護保険への怒りは煮えたぎりつつある。怒りの矛先は、自自公とともに、この攻撃のファシスト的な先兵である石原都知事と石原伸晃にも向けられている。
 自自公と石原を打倒する最大の決戦場は衆院選だ。人民の怒りを真に体現して闘う長谷川英憲氏の勝利をなんとしてもかちとろう。石原の外形標準課税と、それをテコとした大増税、福祉切り捨て、大リストラを断じて許さず闘い抜こう。

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週刊『前進』(1949号3面4)

 〈投稿〉

 「団結」と「展望」

 3労組よびかけ 春闘集会で確信

 二月二十六、二十七日、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の呼びかけで「二〇〇〇年春闘勝利! 学習・交流集会」が静岡県熱海市で開かれました。二回目の三労組呼びかけの春闘集会には全国の労組活動家ら百五十二人が集まり、盛りだくさんの集会でした。(写真)
 私は動労千葉を支援する会の一員として参加し、結集した労組が資本や連合の春闘解体攻撃に抗して創造的に闘う春闘を展開していることに、「たたかう労働組合の全国ネットワーク」の大きな発展の展望を強く感じました。その豊かな内容は短い文章ではとても言い尽くせませんが、そのキーワードは“団結”と“展望”だと思います。
 国労闘争団から三人の労働者がかけつけ、それぞれが今日の国労のあり方を問いながら、闘争団切り捨てを許さず、JR総連との組織戦に立ち上がり、ILO勧告を履行させて解雇撤回・地元JR復帰をかちとる決意を表明しました。
 一つ目の講演を、元学習院大学教授で弁護士の宮島尚史さんが「産業再生法、民事再生法、分社化などの攻撃といかに闘うか」と題して行いました。宮島さんは、一連の「再生」法の本質が資本だけの「生き残りと再生」に向けてのあがきであることを暴き、「二十一世紀には資本主義の再生ではなくて、労働運動の再生と労働者社会をつくりあげる希望とプライドをもって闘おう」と訴えました。
 二つ目は、東京東部労働組合の足立実さんが「水平線が見えてきた――情勢の見方について」と題して講演。「水平線から必ず赤い太陽が上がってくるように、二十一世紀に人民の闘いが次から次に起こる」と勝利の展望を語り、「階級の解放のためにやってやろうじゃないか!ということだ」と呼びかけました。
 二日目に行われた三組合の提起では、@関生支部から集団交渉と共同雇用保障、日々雇用労働者の賃上げ・雇用拡大や失業者の組織化、A港合同から倒産争議、産業再生法・民事再生法の先取り攻撃との闘いや、賃金差別と闘い団結権を基本とする春闘、B動労千葉から、社会のあり方と労働運動のあり方を問い、労働運動の再生と国鉄闘争勝利をめざす組織拡大春闘――など、それぞれ特色ある闘いが報告されました。
 討論を受けて、まとめと閉会のあいさつを行った動労千葉の中野洋委員長は、「資本主義の命脈が尽きた」と喝破した上で、今春闘を「世直し春闘」と位置づけ、「労働者の首を切り、世の中を悪くするやつらはわれわれに権力を渡しなさい、と言える気概を持たなければならない」と提起しました。そして、沖縄闘争や「日の丸・君が代」闘争などを闘い、地域や産別でのネットワークづくりを進め、今年の十一月集会には掛け値なしに五千人結集を実現しようと訴えました。
 (東京 K・T)

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週刊『前進』(1949号4面1)

 ゛差別徹底糾弾の嵐を″

 解同全国連

 奈良で初の全国大会

 ゛差別の洪水″絶対許さぬ

 狭山・住宅・介護で闘う

 部落解放同盟全国連合会の第九回全国大会が三月五、六日奈良市で開催された。奈良は全国水平社運動の発祥の地。この地で初めて開く大会に全国から千三百十五人が参加し、吹き荒れる部落差別攻撃に対して、差別徹底糾弾闘争の嵐のような爆発で対決していくこと、この闘いをとおして三百万部落民の生活と団結を守り、部落完全解放をかちとっていく画期的な運動方針が打ち出された。飛躍をかけて断固たる闘いに踏み出した解同全国連と固く連帯し、狭山闘争、階級的共同闘争をともに闘いぬこう。

 第1節 瀬川委員長が団結呼びかけ

 大会は八年前の創立大会以来の熱気に包まれた。創立から八年間に獲得してきた地平を基礎として、これからいよいよ三百万部落大衆の団結組織として本格的に飛躍しようという“新生”の気運が全体にみなぎっていた。
 初日(五日)は、奈良県文化会館を会場にして開催された。舞台正面には「全国に差別徹底糾弾の嵐を」という今大会のテーマと、闘う全国連の若者たちを描いた大きな絵が飾られ、大会を盛り上げた。
 早朝からバス・車で続々と全国から結集し、会場を埋めた部落大衆、共闘参加者がいまや遅しと開会を待った。正午過ぎに開会が宣言された。解放歌の歌声が響く中、三十本を超える各支部荊冠旗が、しっかりと旗手に握られて登壇し、演壇を飾った。
 主催者を代表してあいさつに立った瀬川博全国連委員長は、「自自公政権のもとで、洪水のように部落差別が起きている。解同本部派が狭山闘争を始め差別糾弾闘争をまったく闘わなくなった中で、国会でも宮沢蔵相のような部落差別発言が公然と行われている。『日の丸・君が代』、介護保険制度、住宅家賃値上げなど部落の生活を破壊する攻撃を絶対に許せない。全国連のもとに団結して闘おう」と訴え、大会の成功をともにかちとることを呼びかけた。
 続いて開催地奈良を代表して、南畑安太郎大会運営委員長があいさつした。南畑さんは「ようこそ奈良へ。きょうこそ輝かしい夜明けの日だ。全国連はきょう生まれ変わる。きょうだい一人ひとりが主人公となってつくりあげる運動に生まれ変わる。このきょうだいの姿を見てくれ。大会で解放運動の行く末を議論し、本当の団結をつくりあげていこう」と熱を込めて呼びかけた。
 来賓が一人ひとり紹介された。三里塚反対同盟の木内秀次さん、動労千葉の田中康宏書記長、小西弘泰高槻市議、都政を革新する会の長谷川英憲元都議らがあいさつし、連帯して闘う決意を表明した。
 長谷川さんは、この間全国連から寄せられた選挙闘争への推薦と熱い支援に感謝を述べるとともに、部落解放、労働者解放の未来をかけて衆院選に挑戦し、必勝を期して闘う決意をきっぱりと表明した。
 革命的共産主義者同盟から天田三紀夫書記長が立ち、「部落解放の勝利まで革共同のすべてをかけてともに闘う」「差別をなくし、社会を変革していく労働者階級自己解放闘争をさらに強化し発展させる」との革共同の決意を述べ、衆院選闘争への全国連の支援を訴えた。
 大会では、沖縄闘争との連帯が強く打ち出された。沖縄から、住民の基地絶対反対の意志を踏みにじる米軍基地建設計画と闘う名護市辺野古のヘリポート建設阻止協議会・命を守る会の代表が参加して現地の闘いを報告し、「全国連の皆さんが闘っている差別の問題が沖縄の基地問題の根幹にもある」「日米安保は必要だが基地は引き受けないというこんなデタラメな国、国民のために沖縄はずっと虐げられてきた」と怒りを込めて訴えた。さらに、「沖縄基地の問題は沖縄だけの問題ではない。全国の全人民の一人ひとりの問題として取り組んでいただきたい。日本を変えようではありませんか」と語った。
 参加者は心からの連帯の気持ちと決意を込めて、大きな拍手でこたえた。

 第2節 糾弾の全国連への飛躍かけ

 続いて議案の提起に移り、楠木吉秀事務局長が九九年度活動報告と二〇〇〇年度運動方針を提案した。楠木さんは九九年度の闘いが、七・八狭山再審棄却に対する日比谷公園連続座り込み・東京高裁徹底糾弾闘争、同和住宅家賃値上げ反対闘争、瀬川選挙=東大阪市議選闘争など戦闘的に闘われたことの意義を確認した上で、「しかし、今われわれは、これまでの苦労をも予行演習としてしまうような大きな飛躍に挑戦しなければならない」として、新年度の運動方針を全面的に提起した。
 楠木さんは、世界が戦争と大失業の時代に入ったこと、この中で解同本部派の全面屈服をテコとして、部落差別が国家によって公然とあおられていることを弾劾した。「部落の青年たちは、就職や結婚という人生の節目で部落差別を受け、お年寄りは福祉の切り捨てで孤独と不安にさいなまれ、おじちゃん、おばちゃんは仕事や暮らし、子どもの教育で悩み苦しんでいる。支配者は『差別がなくなったから同和対策を打ち切る』と言うが、どうしてそんなことが言えるのか。とんでもないことだ」と怒りを込めて弾劾した。
 そして、「七十八年前の全国水平社創立の原点に立ち返って、相手が警察だろうが軍隊・大資本・裁判所であろうが、地の底から噴き出す部落大衆の怒りを結集して差別徹底糾弾に立とう」「全国連が、差別の洪水をたたき割るまさかりとなろう。本大会で“糾弾の全国連”として登場しよう」と力強く呼びかけた。そのために「大衆を主人公とする全国連らしい組織・機関への抜本的改善をかちとり、全国連の自己変革をかけて思いっきり村の中へ入ろう」と訴えた。

 第2章 部落大衆の中へ

 中田書記長が講演
 続いて中田潔書記長が「全国連とは何か」と題して、一時間にわたる講演を行った。
 中田さんは、部落差別と闘う全国連の綱領的立場・内容を、非常にかみくだいた、わかりやすい言葉で展開した。「部落民は仕事でも結婚でも、何をしても、どんなに努力しても差別され、マイナスの評価しか受けない。天皇制の強化のもとで『血筋・家柄』という差別が強まっている。そして身分的差別を使って今の日本の体制が成り立っている」と厳しい差別の現実を明らかにした。そして「部落のみんなが『差別はあかん』と声を上げていく力強い運動をつくろう」「差別を許さない闘いこそが全国の部落民の怒りと結びつき、団結をつくりだす。今こそ部落大衆の中へ」と訴えた。
 またこの差別徹底糾弾闘争は、狭山闘争が示しているように、労働者階級の心を揺り動かし、労働者を差別と闘う陣営に獲得し、それによって労働者階級自身の解放の闘いをもよびさますものであることが、鮮明にされた。
 議案提起と中田さんの講演をとおして、今大会における差別糾弾闘争の新たな提起が、部落民自主解放の魂と力を解き放ち、差別の根源に迫っていく壮大な方針であることが浮き彫りにされた。参加者は確信を深め大きな拍手でこたえた。
 小森勝重狭山闘争本部事務局長が、この間東京高裁の大反動と闘ってきた狭山再審闘争の取り組みを報告した。そして、無実の石川一雄さんと固く連帯して、何としても狭山異議審闘争の勝利を開くために狭山百万人署名運動を強力に推進し、狭山パンフの学習に全力で取り組み、三・二七高裁要請行動、五・二三闘争、七・八原審棄却一周年闘争に総決起することを呼びかけた。
 続いて各地の闘いの報告が行われた。長野の中学生が命がけの部落民宣言をして学校中を揺るがす狭山署名運動の嵐を巻き起こしていること、荒本の高校生が「おれたちの卒業式に『日の丸・君が代』は許せん」と決起して、校長や教員との事前の話し合いでついに阻止したこと、全国に広がる住宅家賃値上げ反対闘争や、介護−生活防衛闘争など、生き生きとした闘いの報告が行われた。

 第1節 熱気あふれた分科会の討論

 大会二日目は、なら一〇〇年会館を主会場に三つの分科会(@糾弾闘争、A住宅・要求闘争、B介護保険闘争)と全体集会が行われた。分科会では、愛媛の狭山百万人署名運動、広島の病院の解雇・差別事件糾弾闘争、奈良の全逓労働者への部落差別事件糾弾闘争などが怒りをもって報告された。また家賃大幅値上げ反対の供託・裁判闘争の取り組み、介護保険反対闘争の取り組みが報告され、活発な討論が行われた。
 午後一時から再度総結集して、全体集会を開いた。活動報告・運動方針案、会計報告、役員人事案などを全体の拍手で確認し、新役員を代表して石川辰衛副委員長が「役員が先頭で旗を振って闘う。スクラムを組んで前進しよう」と訴えた。
 さらに狭山、「日の丸・君が代」、同和住宅家賃、介護保険、沖縄に関する五本の決議が満場の拍手で採択された。
 最後に亀井広敏副委員長が閉会あいさつを行い、「二日間、本当に皆さん生き生きとしていた。大会は閉じるが運動は今からだ。断固闘おう!」と高らかに呼びかけて歴史的な九回大会の全日程をかちとった。

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週刊『前進』(1949号4面2)

 3・26三里塚全国集会へ

 反対同盟インタビュー 〉下〈

 暫定滑走路つくらせぬ

 反対同盟事務局次長 萩原 進さん

 ――まず、三・二六全国集会の歴史的な意義と反対同盟の意気込みをお聞きしたいのですが。
 三・二六は日本の階級闘争にとっても、三里塚闘争にとっても、二〇〇〇年前半の大きな山場になった。
 まず何よりも衆議院選挙がある。衆議院選挙では、自自公路線をこのまま許してしまうのか否か、翼賛国会の現状を許すのか否か、が問われている。「一体全体あれが本当に民主主義なのか」という民衆の怒りを爆発させる時だ。少数意見も、聞いたというだけで一切無視して力で押し切るようなやり方を絶対に許してはならない。三里塚闘争勢力は、衆院選でも長谷川英憲さんを国会に送りだして自自公路線を阻まなくてはならない。
 それと同時に、新ガイドラインのための成田空港建設としてある暫定滑走路建設を、反対同盟は絶対につくらせないことを天下に明らかにする。これが三・二六に課せられた課題だし、それができれば大きな意義を持つに違いない。
 ――沖縄の闘いもいよいよ正念場ですが、三里塚闘争にとってもこの沖縄との連帯が重要なテーマですね。
 自自公路線は、新ガイドラインをもって戦争への道を突っ走り始めた。反対するものに対しては力ずくでも抑え込んで、戦争体制をつくろうとしている。その姿が露骨に現れているのが、名護市への新米軍基地の建設と三里塚の暫定滑走路建設だ。日本の民衆すべてにこれを許してしまうのかどうかが問われている。
 そういう意味で、沖縄の闘いと本土の三里塚の闘いこそ二〇〇〇年の行方を決める重大な位置を持つものになる。三月から始まって五月、七月と爆発させていかなければならない。三里塚こそ本土において、沖縄と心底から連帯して新ガイドラインを粉砕していく。
 ――三里塚闘争にとって、今年は暫定滑走路攻撃との攻防に勝利することが最大の課題となっていますが、この暫定滑走路建設はどのような攻撃でしょうか。
 政府・運輸省、公団はあくまで当初計画の平行滑走路の建設が目的。その平行滑走路計画が破産したから窮余の策として出してきたのが暫定滑走路計画だ。もともと、平行滑走路のための用地の確保が破産したから敵は断念したんだ。では暫定滑走路でその用地の確保ができるようになるのかと言えば、何一つ変わらない。初めから、その破産は決まっているのだ。
 だから敷地内地権者に対して、暫定を打ち出し、工事を始めて追い出そうとする。暫定計画とは国家暴力で農民をたたき出す計画にほかならない。
 ――とんでもないことを計画していますね。
 そう、暫定など滑走路としては使い物にならないことははっきりしている。だのに、そのための工事だと言って道を勝手に変える。そこにフェンスを張り巡らせる。現に今生活に使っている道路を封鎖してなくしてしまう。ジェット機を飛ばすぞ、といってフェンスで囲い、照明を取り付ける。何にもなかったところを生活できないようにしてしまうためにこんなことをやろうとしているのだ。
 こんなことがどうして許しておけるのか。だが、敵はこれ以上の攻撃はしようにもできないということが大事なことだ。ここで勝てば三里塚闘争は歴史的勝利を手にすることができる。
 ――三里塚闘争の勝利の展望と全国の労働者人民への決起の呼びかけをお願いします。
 もはや日本の支配階級はこれまでどおりにはやっていけなくなった。六百五十兆円もの大赤字、借金を抱えて、これまで支配者にこびを売っておこぼれをもらってきた連中も切り捨てられる時代になったということだ。つまり、日本の社会はますます左右の分岐がはっきりしてくる。この左右の分岐を沖縄の闘いと三里塚の勝利に結びつけていく。何よりも労働者階級との連帯の強化で勝利していくことが必要だ。

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週刊『前進』(1949号4面3)

 自治体労働運動の課題と方針

 春闘・都労連決戦を闘い石原打倒・衆院選勝利へ

 日米新ガイドライン法下で、小渕・自自公政権は侵略戦争体制への移行の攻撃をかけてきている。連合は「新政治方針」で安保防衛政策を転換し、そのもとでカクマルは「対案」をとおして戦争協力を表明した。こうした情勢にわれわれは、自自公翼賛体制とその先兵石原打倒の総選挙に打って出る。また名護新基地建設阻止・沖縄サミット粉砕、日経連路線と対決し果敢に春闘に取り組み、新潮流労働運動を推進する。その上に立って以下、当面する自治体労働運動の課題と方針を提起する。

 第1章 今春闘をストで闘い抜こう

 自治労は、一月二十七日から熱海で開いた第一二〇回中央委員会で、二〇〇〇年「景気回復・地方財政危機突破春闘」方針を決定した。
 日経連は、国際競争の激化を理由に総額人件費の抑制を主張し、労働分野の規制緩和による労働条件の引き下げや、税・社会保険料の企業負担の軽減のための行財政改革徹底化と公務員定数・給与の削減を狙っている。自治労は、これに対して地方財政危機下で組合が先頭になって自治体改革(=行革)を進め、介護保険制度の四月からの円滑な実施と地域の介護基盤の確立のために努め、セーフティネットとして自治体を再構築するなどの反労働者的方針を決定し、その先兵役を買って出たのだ。
 九九年の賃金確定闘争は都道府県を軸に平均二・四%の賃金削減となった。これは中曽根臨調行革以来の公務員賃金への攻撃の到達点であり、さらに公務員の賃下げが日経連の春闘方針=民間賃下げ攻撃のテコとなった。さらに、職員給与引下げ条例制定を要求する住民直接請求や議会の介入によるベア勧告の見送り、労使交渉の住民ヘの公開提案など、労使合意による賃金・労働条件の決定制度を根底から否定しようという、反動「住民」の組織化も進められている。
 こうした時に、公務員連絡会は「緊急避難的には賃下げもいたしかたなし」とし、その中核をなす自治労は、賃金決定システムとしての人事委員会機能の確保と勧告にある高齢者再任用制度の条例化と福祉職給料表の導入を決めた。
 労働者にとって、賃下げとは生存できない状態をつくりだすことだ。今こそ人事院勧告に依拠してきた賃闘を打破し、官民の分断を超えた統一春闘を、労働基本権に基づいてストライキで闘い抜こう。

 第2章 地方行革とリストラ許すな

 地方財政は、公債費十四兆二千億円、借金総額百八十七兆円(二〇〇〇年度)
を含め巨大な財源不足に陥っており、地方自治体の財政硬直化と破綻(はたん)はいよいよ明白となった。また、地方公務員の総数は 三百二十三万二千百五十八人で一万七千三百三十六人減と五年連続の減員となり、人口に対する公務員比率はアメリカの半分、イギリス・フランスの三分の一となった。日本の公務員が多いというのは完全なデマである。にもかかわらず財政危機を口実に、総人件費の抑制と称して、人員削減、欠員不補充、臨時職員の導入、民間委託にともなう劣悪な労働条件を強制されている。民間委託化の事業者の選定が不透明で、行政と事業者の役割分担の責任をめぐるトラブルが相次いでいる。また、改悪労働者派遣事業法の施行により、派遣労働を港湾運送、建設、警備を除く全業種に拡大した。
 こうした中で、連合は「新たなワークルール」を提唱し、これに呼応して自治労は「職場におけるワークルール」運動を開始した。また北海道庁職は、組合が雇用創出のためのワークシェアリングを提案するに至っている。政府は公共事業における民間資本の導入のためにPFI推進法(プライベート・ファイナンス・イニシィアティブ)を成立させたが、これが一層事態を混乱させている。
 地方財政危機の責任は労働者にはない。それは秋闘をとおして行政も確認したことである。財政危機をなぜ組合が救済する必要があるのか。これでは企業倒産攻撃には絶対に勝てない。「資本主義にノー」という立場が徹底して問われる。動労千葉、港合同、関西生コンの三労組の闘いに深く学ぼう!
 リサイクル法の成立や水道法の改悪にともなう水道事業の民営化、上下水道の統廃合による人員整理や、ガス事業の民間譲渡が始まる。都市交通も例外ではない。こうした中で自治労、日教組などが主催した学校給食全国集会や、現業全国統一春闘をめざして労組春闘代表者会議がもたれた。社会福祉協議会(社協)・福祉公社、福祉施設、保育所などの社会福祉法人労組は、介護保険を口実にした社協の介護事業からの撤退を許さず、ホームヘルパーの雇用を守る闘いを進める決議をあげた。
 地方分権一括法にともなう社会保険事務所の身分移管は社会保障制度の根幹を揺るがすものである。昨年三月の「公務員制度調査会」報告、四月の「地方公務員制度研究会」報告は、不安定雇用の増大化と人事評価システムの見直しなどを制度化しようとしている。今国会には、地方公務員法、社会福祉事業法、雇用保険法の改悪など重要法案がかけられる。確定拠出型年金の導入、診療報酬制度や薬価基準の見直し、高齢者医療制度の見直しなどの医療保険制度の改悪とともに断固として反対しよう。

 第3章 自治体の戦争協力の拒否を

 重厚かつ大胆な統一戦線を駆使して、名護新基地建設阻止・沖縄サミット粉砕への広範な自治体労働者の決起をかちとろう。
 平和市民連絡会などはサミットを包囲・直撃する闘いを準備している。五月の沖縄闘争や七月サミット包囲現地闘争への大量動員を実現することがかぎである。沖縄サミット粉砕決戦は国際的反戦闘争を全世界に向けて発信する闘いとなる。
平和運動フォーラムに結集する自治労組合員に反基地闘争のうねりをつくり、左転回させ、陸・海・空・港湾労組二十団体とともにガイドライン体制粉砕、自治体の戦争協力拒否の闘いをつくりだそう。
 「日の丸」掲揚に関して自治体にも調査が入った。公務員職場での「日の丸・君が代」攻撃との闘いが重要になっている。広教組・広高教組の闘いを教訓に教育労働者とともに闘おう!
 方針は鮮明である。
 第一に、衆院選決戦に勝利し、都知事・ファシスト石原を先兵とする自自公翼賛体制を打倒することだ。プロレタリア革命の立場から社会保障問題に接近し、介護保険四月実施阻止の大衆的爆発をつくりだそう。
 第二に、国会前座り込みに入った国労闘争団と結合して、春闘へ決起することである。人勧体制を左から打破する公務員賃闘を構築することである。春闘から夏の確定闘争への闘いはすでに開始された。
 第三に、岸本名護市長リコール運動を「ヘリ基地反対協」「命を守る会」「二見以北十区の会」とともに担い、巨大な反戦反基地陣形をサミット粉砕闘争と結合していくことだ。七十万人署名運動を推進しよう。
 第四に、すべてを革共同の党としての量的質的拡大に結びつけることである。
 都労連決戦を全力をあげて闘おう。すでに全国で行革リストラとの正面激突が開始され、血を流してかちとった勝利も報告されている。都知事石原との闘いは全国自治体での闘いの帰趨(きすう)を決する。石原は二月十六日に、九九秋闘ストと都民広場座り込みを理由にして五百二十九人の大量不当処分を強行した。処分を恐れず、いっそう鮮明に石原と対決することこそ回答である。人事考課制度=新勤評導入阻止、三月都高教ストを貫徹しよう。自治体労働者委員会はその先頭で闘う。
 〔マル青労同 自治体労働者委員会〕

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週刊『前進』(1949号5面1)

 有事立法・改憲阻止の大闘争へ

 9条破棄の狙い露骨に示す憲法調査会の論議弾劾する

 日帝の侵略戦争の衝動と一体

 二〇〇〇年一月に衆参両院に設置された憲法調査会で本格的な「改憲論議」=改憲攻撃が始まっている。憲法調査会設置を突破口に、日本帝国主義の総力をあげた改憲に向かっての一大反革命運動が開始されたのだ。改憲とは日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争発動、新ガイドライン、有事立法と表裏一体の関係にある歴史的な大攻撃である。二〇〇〇年決戦の第一級の闘争課題として、闘うアジア人民と連帯し、ただちに有事立法・改憲阻止の歴史的闘争への決起を開始しよう。

 第1章 「3〜5年で改憲」と具体的日程示す

 これまでの憲法調査会では、自民党や自由党の議員が口をそろえて「来年の通常国会終了後をめどに中間報告書を国民に示すべき」(自民党の小山孝雄)、「三年目に新しい憲法の概要を示し、五年目には制定をはかるべきだ」(自由党の野田毅)と具体的な改憲日程を提示している。
 自由党の平野貞夫にいたっては「緊急事態が起きて憲法改正の必要が生じた場合、調査会が終わらなくても改正できるとの確認が必要だ」と朝鮮侵略戦争が勃発した場合にはクーデター的に改憲すべきであるとさえ公言している。
 また新聞、雑誌、テレビ番組に憲法調査会のメンバーの国会議員をはじめ、小沢一郎自由党党首や鳩山由紀夫民主党代表、石原慎太郎東京都知事が連日登場し、改憲の一大キャンペーンを開始している。
 現行憲法の施行後、国会に憲法を専門に論議する場が設けられたのは初めてである。かつて「改憲」を主張した鳩山一郎政権下で行われた選挙(五五年衆院選、五六年参院選)では、改憲反対勢力が両議院の議席の三分の一以上を占め、岸政権時に内閣に設置された憲法調査会は、六〇年安保闘争の高揚の中で、賛否両論併記の報告書を出さざるをえず、五〜六〇年代改憲策動は基本的に粉砕された。その後も自民党の政綱は「自主憲法制定」を掲げ続け、改憲を狙ってきたが、結局解釈改憲を重ねるにとどまってきた。
 四七年の現行憲法の施行以来、改憲策動は続いてきた。しかし、今日の改憲攻撃は、日本帝国主義が新安保ガイドライン体制をもって侵略戦争に主体的に参戦するという歴史的決断を背景にしているという点でこれまでの改憲攻撃とはまったく次元の違う攻撃である。改憲は、即朝鮮・中国侵略戦争の発動という関係にある。
 日帝は、昨年の新ガイドライン法制定後、組織的犯罪対策法、「日の丸・君が代」法、団体規制法の制定や、陸上自衛隊「対ゲリラ特殊部隊」の導入、臨検時に殺傷射撃を認めることなどの方針化、三里塚暫定滑走路建設の攻撃、普天間基地移設=名護新基地建設攻撃など、参戦体制づくりを急ピッチで進めている。
 だが新安保ガイドラインをもって侵略戦争の参戦体制を構築しようとする日帝にとって決定的な壁となっているのが現行憲法なのである。特に第九条の〈戦争の放棄〉〈戦力不保持〉の規定が重大な制約となっている。ここから侵略戦争発動のためには、何としても改憲しなければならないという日帝の衝動が噴き出しているのだ。
 二月八日に米国防総省が発表した二〇〇〇年の米国防報告は、東アジア十万人米軍体制の維持を宣言し、北朝鮮による弾道ミサイル開発の脅威を強調、中国が二〇一五年以降、米国の競争相手になりうると指摘している。米帝は強大な侵略戦争体制を構築し、残存スターリン主義北朝鮮・中国に対する侵略戦争を発動し、対日争闘戦に勝ち抜こうとしている。帝国主義間争闘戦において軍事政策が現実に決定的な問題になっている。米帝は日帝の戦後的制約を突きまくり、日帝を補完的に最大限動員しようとしているのである。
 ここにおいて日帝が現行憲法体制をそのままにして、戦争の勃発といった事態になった場合、対米争闘戦において帝国主義としては死とも言えるような敗北を喫する。日帝にとって改憲は文字どおり死活のかかった問題なのである。

 第2章 自衛隊侵略出兵の法的な根拠づくり

 日帝が新安保ガイドライン体制をもって侵略戦争に主体的に参戦するということは、自衛隊が朝鮮半島や中国大陸に出動し、武力行使、すなわち再び戦争を展開するということである。
 そのためには、自衛隊が国内においても海外へも自由に無制限に行動できなければならない。この「法規的根拠」を与えるものこそ、有事立法であり、現憲法の停止、解体なのだ。
 ここから日帝の改憲攻撃の最大のターゲットは、憲法九条、すなわち〈戦争放棄〉〈戦力不保持〉〈交戦権の否定〉の破棄に向けられているのだ。
 自民党や自由党は、「村山富市元首相は自衛隊を憲法は認めるといったが、解釈改憲ですますことは正しいのか」(自民党の中島真人)と社民党を恫喝し、九条破棄に向けて露骨に攻勢を強めている。
 「湾岸戦争後の局地紛争に、国際社会の一員として日本がどうかかわるのか」(中島)、「安全保障や危機管理の規定は国際的に共通の基準が考えられるべき」(野田)と、今日の帝国主義間争闘戦において戦争のできない帝国主義は生き残れないという強烈な危機感を背景に、他帝国主義、とりわけ米帝のように戦争のできる憲法にすべきだと主張している。
 また「自衛隊は誰が見ても軍隊なのだから(憲法の条文で)『戦力保持』を明記すべきだ」(鳩山)と、これまで解釈改憲で形成してきた自衛隊の存在を居直り、憲法の方が間違っているのだと、〈戦力不保持〉の規定を破棄して、帝国主義軍隊の保持として明記しろと要求している。
 さらに「北朝鮮の不審船が領海を侵しても撃沈も拿捕(だほ)もできない」(小山)と、自衛隊は何をやってもいいといわんばかりで、武力行使=交戦権の容認を要求している。
 小沢一郎が『文芸春秋』(九九年九月号)で発表した「日本国憲法改正試案」では、「もはや個別的自衛権や集団的自衛権だけで自国を守ることは不可能。地球規模の警察力により世界秩序を維持するしかない」から、憲法に「兵力の提供を含むあらゆる手段を通じ、世界平和のために積極的に貢献しなければならない」というくだりを加えるべきだと主張している。
 小沢は敗戦帝国主義である日帝が現実的に戦後的制約をどう突破するのかという問題に対して、多国籍軍や国連軍に「兵力」を提供するという形式で自衛隊の海外派兵や武力行使、交戦への道を開こうとしているのである。
 要するに、戦争を肯定し九条を破棄し、戦争をする「法的根拠」となる憲法をもつということなのだ。

 第3章 日共の転向粉砕し壮大な階級決戦を

 日帝による改憲攻撃はナチス・ドイツの「ベルサイユ体制打破」にも匹敵する中央突破攻撃としての激しさをもって行われている。
 第一次世界大戦で敗戦したドイツ帝国主義は、ベルサイユ条約によって海外植民地を失い、ばく大な賠償金を課せられ、軍備は厳しく制限された。二九年世界大恐慌後、大不況に襲われたドイツで、ナチスは「ベルサイユ体制打破」を掲げ、労働者階級を血の海に沈め、権力を掌握、三五年にベルサイユ条約の軍備制限事項を一方的に破棄し、翌三六年にはドイツ軍がラインラントを占領、世界は第二次世界大戦へと突き進んでいった。
 敗戦帝国主義である日帝にとっても、日本労働者階級人民にとっても、改憲とはそれくらいの重さを持つ問題なのである。
 対米関係においては、アジアでの軍事的覇権をかけて米帝と抗争していくことを公然と宣言するものである。米帝にとって現憲法は、第二次世界大戦において、総力戦で膨大な犠牲を払って、日帝を軍事的に粉砕し勝利したことの結果としてあり、敗戦した日帝も現実主義的な延命策としてそれを積極的に受け入れていったものなのである。その意味で改憲とは敗戦帝国主義日本の戦勝帝国主義アメリカへの再挑戦をほとんど直接的に意味するのだ。
 アジア人民が絶対反対の壮大な反日帝闘争に立ち上がることも不可避である。
 特に今回強調しておきたいのは、日本労働者階級人民にとって、戦後憲法とは、第二次世界大戦の総括にかかわる問題だということである。戦後憲法とは、戦後革命の高揚と敗北、その妥協の産物であるという点は押さえる必要はあるが、同時に「もう二度と侵略戦争はしてはならない」「体を張ってでも戦争は阻止する」という労働者階級人民の人生史レベルの主体的な切実な決意・総括としてあるということである。これが戦後の日帝のあり方を規制してきたのである。
 これらは昨年のガイドライン闘争の過程においてもその一端がはっきりと示されている。日帝の改憲攻撃の野望を徹底的に暴露し、この労働者階級人民の主体的な侵略戦争反対の決意に依拠し、憲法闘争を組織していくことが核心である。
 ところが、社民党や日本共産党は無残なまでの無力性と転向ぶりを示している。「ここぞとばかりに改憲派が攻撃しようとしている意図を肌で感じる」「憲法改正は、将来は理論的にはあってもいい」(伊藤茂・社民党副党首)、「民主主義が熟してくる中、国民合意のもとで憲法を変えることはあると思う」(志位和夫日本共産党書記局長)と、改憲反対を闘うどころか、いつ改憲賛成に転じようかと伏線を張る始末である。日共は日帝の改憲攻撃の意図を暴露して闘うどころか「国の自衛権はある」とさえ主張している。
 カクマル=JR総連は、昨年のJR総連の軍事輸送協力宣言、「連合新政治方針への対案」などを通じて自衛権・自衛隊、新安保ガイドライン、改憲に賛成する立場に完全に移行した。
 改憲派は「当時の日本人は食うのに精一杯で憲法どころではなかった」「GHQに押しつけられた」「現憲法は現実と合っていない」などとペテン的な改憲キャンペーンを行っている。社民党や日共の無力性や転向という現実の中で、こうした反動キャンペーンが物質力をもつのだ。
 改憲をめぐって戦後最大の階級決戦となるのは不可避である。日帝にとっても、決戦回避やごまかし、ペテンだけでは突破できない階級決戦性をもつテーマなのである。
 革共同が日本帝国主義の改憲攻撃の意図を徹底的に暴露し、これまでと次元を画する宣伝・扇動を展開し、労働者階級人民の先頭に立って闘うならば、憲法闘争は戦後最大の階級決戦として爆発することは間違いない。日本労働者階級人民はそのような主体的決意も、闘う意欲も力も持っているのである。ただちに有事立法・改憲阻止の闘いを開始しよう。
 カクマル=JR総連のエセ憲法闘争を粉砕し、憲法闘争を発展させよう。
 革命的国会議員の存在は憲法闘争を何倍も豊かに発展させる。四月にも迫る衆院選決戦に総決起し、長谷川英憲氏の当選かちとれ。
 〔片瀬 涼〕

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週刊『前進』(1949号5面2)

 2000年米国防報告

 朝鮮・中国への侵略戦争発動と世界的な軍事覇権確立の野望

 二月八日米国防総省は二〇〇〇年の年次国防報告を米議会に提出、これを発表した。この国防報告で、アメリカ帝国主義は二〇一五年までの世界の動向を見通し、これへの対応を全世界に明らかにした。そこで米帝は、二十一世紀においても「米国が世界唯一の超大国」であるとして、全世界に軍事的覇権を確立することを内外に宣言した。そのための軍事戦略として、「二地域戦域戦争同時対応能力の強化」を掲げた。とりわけ、アジアにおいては朝鮮・中国侵略戦争態勢の強化を公然と唱えている。その中心実体は、日米安保体制の強化=新ガイドライン体制の構築であり、沖縄米軍基地の強化にほかならない。それは、日米争闘戦の激化を背景に日帝の安保・沖縄政策をより一層侵略的で反動的な方向へと向かわせる。アジア人民、沖縄人民と連帯して、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争を内乱に転化する闘いを強めよう。

 第1章 世界規模の軍事的関与の継続を宣言

 「二十一世紀を前に、米国はダイナミックで、不確実な安保状況と相対している」(引用は、ことわりのないものはすべて米国防報告)。これが、今日の米帝の世界認識である。
 米帝は、米バブル経済の破裂が、より本格的で全面的な世界大恐慌を引き起こすことに震え上がりつつ、これに全力で身構えようとしている。世界大恐慌の爆発は、帝国主義が相互に生き残りをかけて、争闘戦を果てしなく激化させる。排他的な勢力圏の構築−ブロック化が帝国主義間の対立を非和解化し、軍事的激突にまで煮詰まっていく。
 世界経済のブロック化は世界経済の収縮と大不況の長期化をもたらす。これは一方で、残存スターリン主義、旧スターリン主義の体制的危機を抜き差しならぬものにする。他方で、新植民地主義体制諸国に破局的危機を強制する。それらは帝国主義の支配、スターリン主義の支配からの解放を求める人民蜂起を不可避とする。
 これらの総体、すなわち戦後体制の最後的崩壊の局面を、米帝は「ダイナミックで不確実な安保状況」と言い表している。米帝は自らの言葉で、世界大恐慌が爆発し、世界でプロレタリアート人民が世界革命を求めて蜂起する時代、帝国主義が生き残りをかけて抗争−戦争する時代、世界革命か世界戦争かの時代が到来したと言っているのだ。そこから、「米国は今後数年で、安保面での重大な挑戦に直面する」と言い切っているのである。
 そして「地球規模の大国である米国には今日、ライバルはいない」、だから米帝は、「世界規模で政治的、軍事的な関与を続けていく」と述べている。これは、米帝が世界に軍事的覇権をうち立てることを宣言したものだ。米帝の排他的世界支配の野望をむき出しにしているのである。
 その野望を達成するために「(朝鮮半島と中東を想定した)二つの戦域で発生する侵略をほぼ同時に抑止・打破する能力が不可欠だ」とする。これは、第二次世界大戦においてヨーロッパ戦域でドイツ、イタリアを打ち破り、アジア太平洋戦域で日本を打ち破った米帝の軍事戦略を思い起こさせるものだ。
 「世界規模の大国」は米帝ただ一つ、日本やドイツは、あくまでも「地域の大国」にすぎないと強調している。残存スターリン主義諸国(中国や北朝鮮など)を転覆し、帝国主義の支配のもとに組み込んでいく、あるいは旧スターリン主義諸国(ロシア、中東欧諸国など)や新植民地主義体制諸国の崩壊や革命などの動乱を圧殺し、帝国主義の支配のもとに再び組み込んでいくには、米帝のコントロール、主導権が絶対的条件だと唱えている。
 米帝はユーゴスラビア侵略戦争を強行している最中にも「他の戦闘が起こる可能性がある地域(朝鮮半島そのものだ!)への影響を常に検討してきた」結果、「他の任務に就いている部隊を二カ所の主要紛争地域へ転用できることの自信を得た」と、同時に二カ所で侵略戦争遂行が可能であることが証明されたと結論を出した。そのうえで、「同時に抑止・打破する能力」を一層強化することを打ち出したのである。
 米帝は世界に軍事的覇権をうち立てるために、ドイツ帝、日帝を補完的に動員しつつ、さらに一層アジア太平洋と中東欧・ロシア・中央アジア、中東への侵略戦争態勢を強化することを宣言したのである。

 第2章 東アジアでの米軍10万人体制の堅持

 米帝は、これまで同様、「東アジア地域は米国の国益にとって死活的」と、ここでの軍事的覇権確立を重要な柱として打ち出した。
 「二〇一五年以降、中国とロシアは米国の競争相手となり得る。中国経済は急速に成長し、人民解放軍は近代化と能力向上を続けている」「北朝鮮は依然として、著しく予測不可能な脅威の元となっている」と米帝のアジアにおける軍事的覇権確立にとって、中国と北朝鮮を「脅威」とあげつらっている。これは米帝が中国・朝鮮への侵略戦争の戦略を確立したことを示すものだ。米帝は中国をめぐる巨大な大乱情勢の醸成を前に、危機と矛盾の大爆発を収拾するために必死で対応しつつ、対中国スターリン主義の大戦争を構えることなしには中国情勢をコントロールできないという判断に立ったのである。
 「中国・台湾紛争」に介入するために、「東アジアでは領土論争が紛争の潜在的要因となっている」と言い、台湾総統選をめぐる中国スターリン主義の動向をにらみつつ、軍事介入の機会をうかがっている。
 さらに、「北朝鮮の軍事力は東アジアの最も重大な脅威」と書き、「(北朝鮮などの)『ならず者国家』が国際社会に公然と反抗し、共通の権益を脅かした場合、米国は制裁や限定的攻撃などで軍事力を行使する」と朝鮮侵略戦争をいつでも発動すると戦争恫喝を加えている。米帝は、自らの帝国主義的侵略的な軍事力の行使を粉飾するためには、いつでも(北朝鮮スターリン主義などの)「脅威」を言い立てる。それどころか、自ら「脅威」をデッチあげてでも軍事力行使の口実としてきたのだ。
 米帝は、あからさまに中国・朝鮮侵略戦争態勢を維持・強化し、それを現実に発動することを軍事的覇権確立のための戦略として、内外に打ち出しているのである。そしてそのために、「米軍の東アジアにおける前方展開はアジア太平洋地域の安定をもたらし、米国の国益になる」とした。しかも、「東アジア太平洋地域では現在、米国は兵力十万人を駐留させている。同盟国と協力しながら、この駐留体制を維持する」と明言。ここでも「東アジア米軍十万人態勢堅持」の理由に、「北朝鮮の軍事的脅威」を持ち出している。
 そして、「アジアの安保政策では、日本との安保同盟がかなめである」とし、米帝の朝鮮・中国侵略戦争を日米新ガイドラインの発動として行うことを明示したのである。

 第3章 名護新基地の永久使用の権利を要求

 米帝はアジアにおいて、朝鮮・中国への侵略戦争をあくまでも米帝のコントロール、主導権のもとで、日帝を補完的に動員することで遂行することを内外に明らかにした。米帝にとっては、日帝のアジア勢力圏化の野望をうち砕き、アジアにおいて排他的軍事的覇権を確立し、日帝をそのもとに組み敷こうとするものであることは明らかだ。
 それは、日帝にとって、帝国主義としての生き残りをかけて、再び朝鮮・中国−アジア侵略の道を歩む以外にいかなる選択も残されていないことを突きつけるものだ。すでに日帝は、アジア勢力圏化の野望をかけた、独自の朝鮮・中国−アジア政策の展開に踏み出している。だが、日帝は現実的には日米安保同盟政策以外にとるべき軍事・外交政策を持ち合わせていないのだ。日米安保体制のもとで、新ガイドラインを発動して、日帝の主体的能動的な朝鮮・中国−アジア侵略戦争への参戦を果たそうとしているのである。
 とは言え、日帝は日米安保体制の中において、日米間の力関係を少しでも有利なものにしようと狙い始めている。そうしたものとして、在日米軍駐留経費削減を米帝に要求し、名護新基地の使用期限問題の交渉を持ちだしたのである。
 このことに米帝は激甚に反応した。国防報告発表と同時に、フォーリー米駐日大使が朝日新聞に投稿し、在日米軍駐留経費は日米同盟によるアジアの帝国主義支配のための戦略的経費であって、無条件に支払うべきコストである、断じて「思いやり」などではないとした。そして、間髪を入れず二月十五日、石垣空港への普天間基地の米海兵隊のヘリコプターや空中給油機の強行着陸を行い、厚木基地でのNLP(夜間発着訓練)を強行した。米軍はこれらは「日米地位協定第五条に基づく当然の権利」と主張し、日帝の力関係変更要求を拒否し、「日米同盟での義務の履行」を日帝に要求したのだ。
 したがって、米国防報告が「東アジアの兵力十万人態勢を当面維持する」「東アジアにおける前方展開こそ米国の利益」と断言したことは、日米安保体制の最大実体である沖縄米軍基地こそ軍事戦略の根幹をなすものであり、とりわけ名護新基地に使用期限を設定することなど問題にならないと日帝に突きつけたものなのである。米帝は、日帝に対して「安保同盟の義務を果たせ。日帝の責任で名護新基地をつくれ」と迫っているのである。
 米国防報告は、米帝が朝鮮・中国侵略戦争の戦略を確立し、そこに新安保ガイドライン発動として日帝を動員すること、そのために沖縄米軍基地の強化・永久化を打ち出したものにほかならない。日帝は新安保ガイドラインを発動して、朝鮮・中国侵略戦争に踏み出し、沖縄人民に米軍基地の強化・永久化を押しつけようとしている。その攻防の焦点こそ、名護新基地建設阻止の闘いである。
 闘うアジア人民、闘う沖縄人民と連帯して、日帝の侵略戦争を内乱に転化しよう。二〇〇〇年決戦を闘いぬこう。
 〔稲垣太介〕

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週刊『前進』(1949号5面3)

 2000年日誌 阻もう! 戦争への動き

 3月1日〜7日

 小渕が25、26日に沖縄訪問

 F15が嘉手納からサウジへ

●米軍ヘリ、石垣空港への着陸中止 米軍普天間基地所属の米軍機が石垣空港に再着陸を計画していた問題で、米軍側が那覇防衛施設局に「予定を取りやめる」と伝えた。フィリピンから帰還するヘリ四機は強襲揚陸艦「ベローウッド」に搭載され、普天間基地に戻る。(1日)
●軍港移設で市長が見解
 浦添市議会三月定例会で、宮城健一市長が施政方針演説で、那覇軍港の浦添移設について「市民感情からしてもコンセンサスがえられない」と述べたが、「民港として整備し、軍港の一部機能を移設する」と従来の姿勢を強調した。(1日)
●15年期限と無関係と稲嶺
 県議会の二月定例会で、「政府の技術支援グループは『耐用年数を四十年以上』としており、知事の言う十五年期限は根拠がない」との追及に、稲嶺恵一知事は、「四十年というのは政府案の海上へリポートを想定したものであり、十五年問題とは関係ない」と居直った。(1日)
●特殊武器研究官を設置
 防衛庁が核兵器、化学兵器など特殊武器に対する防護策を研究する「特殊武器研究官」を設置する方針を決めた。(1日)
●祝日法改悪案国会提出へ
 昭和天皇誕生日の四月二十九日を「みどりの日」から「昭和の日」に改め、「みどりの日」を国民の休日の五月四日に移す祝日法改悪案が今国会に議員立法で参院に提出される。四月中にも成立させようとしている。(2日)
●7月20日に「宮中晩さん会」 沖縄サミットの前日の七月二十日にサミット参加首脳を招いた宮中晩さん会を開くと青木官房長官が発表した。(2日)
●沖縄新法プロジェクトチーム初会合 沖縄振興法などの具体化を図るための事務レベル組織、新法制プロジェクトチームが内閣内政審議室沖縄問題担当室で初会合を開いた。@北部振興のもとで示された新たな沖縄振興計画を担う沖縄振興新法、A代替施設の移設先・周辺地域の振興事業に必要な法制整備、B跡地利用対策にかかる諸法制整備などを検討する。(2日)
●小渕が3月25日訪沖 青木官房長官が記者会見で小渕首相が三月二十五、二十六日の両日沖縄を訪問すると発表した。(3日)
●「新基地計画策定時期は未定」 青木官房長官が参院予算委員会で普天間飛行場代替施設の工法問題について「工法、具体的な設置場所も含めて基本計画の策定を行うことにしている」と説明し、計画策定の時期については「現地点では申し上げる状態にない」と述べた。(3日)
●F15戦闘機中東へ 米軍嘉手納基地の第一八航空団・第四四戦闘機中隊所属のF15戦闘機十二機がイラク上空に設定された飛行禁止空域を監視する「サザン・ウオッチ作戦」に参加するため、サウジアラビアに向け出発した。嘉手納基地所属部隊が同作戦に参加するのは初めて。在沖米軍基地が中東までを作戦範囲としていることがあらためて浮き彫りになった。(3日)
●参院憲法調査会自由討議
 参院憲法調査会が二回目の自由討議を行い、二十人の委員が意見を述べた。「平和主義といっても、自衛隊の存在をどう位置づけるのか」(鴻池祥肇、自民党)、「村山富市元首相は自衛隊を憲法は認めるといったが、解釈論議ですますことは正しいのか」(中島真人、自民党)など九条改悪の要求が続出。(3日)
●与党3党が有事立法着手申し入れ 自民、公明、自由三党の与党安全保障プロジェクトチームが、日本への武力行使を想定した有事法制の整備に着手するよう近く政府に申し入れることで合意した。(3日)
●「憲法改正五年後発議を」と山崎拓 自民党の山崎拓元政調会長が講演で、「憲法改正を目的とする政権が当然出てくる。憲法調査会が五年以内に結論を出すと言っており、五年後には憲法改正の発議を(衆参両院の総議員の)三分の二以上の多数でやらなければならない」と述べた。
(4日)
●朱中国首相が日本の「極右」を警戒 中国の第九期全国人民代表大会(全人代)で朱鎔基首相が「ごく少数の極右勢力が中日関係を妨げ、破壊していることを警戒しなければならない」と述べた。(5日)
●支援部隊430人もサウジへ 三日にF15戦闘機十二機がサウジアラビアに向け出発したのに続き、これを支援する部隊四百三十人もサウジアラビアへ向かった。嘉手納基地の部隊は九六年十月以来、イラク上空の飛行禁止区域の監視のため派遣されてきたが、米空軍が創設した「航空遠征軍」として初の定期の作戦行動であるという点がこれまでと大きく異なる。「航空遠征軍構想」は日米安保再定義後の嘉手納基地の役割強化、「グローバル化」につながるという懸念が広がっている。(7日)

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週刊『前進』(1949号6面1)

 1面からつづく

 第五。福祉は権利であり基本的人権の問題であり、憲法でも保障されているものだ。ところが、国家がこの責任を放棄し、民間営利事業に委ねるというのだ。とんでもないことだ。民間のシルバービジネスは金もうけなのだ。そうでなければ成り立たない。金のもうかる介護しかしないに決まっている。シルバービジネス依存は、施設からの追い出しや介護の拒否が横行し、高齢者の大量殺人を必ずもたらす。
 第六。介護保険制度の本質は、家族が介護せよというものであり、「介護の社会化」はまったくのうそだ。「家族介護は美風」(亀井自民党政調会長)とし、「家事援助はぜいたく」と決めつけて制限しようとしている。これは家族への介護の押しつけであり、女性への差別的犠牲の転嫁である。家族破壊を激しく引き起こすものだ。
 第七。「障害者」介護の切り捨て、悪化が大々的に引き起こされる。公費制度(措置制度)を解体し、憲法二五条に規定されている生存権、「障害者」の生存権を否定する。「福祉は金で」の攻撃を強めることは、結局「価値なき命」として「障害者」を抹殺していくことになる。
 第八。介護保険の導入は、全面的な社会保障制度解体攻撃の突破口だ。医療制度改悪、年金改悪などの攻撃が介護保険に続いて始まっている。
 第九。介護や福祉は人民の権利だ。国家は労働者人民の血と汗の上に成り立ってきたのだから、高齢者介護などは国家の責任で行うことは当然のことだ。基本的人権の問題なのだ。あってもなくてもいいものではないのだ。貧しければ仕方がないということはとんでもないことなのだ。労働者人民がゼネストで決起すれば必ず勝利できる。財政赤字うんぬんは問題にならない。大企業・独占にとって必要なら国が破産するくらいの赤字国債も平気で発行しているではないか。介護のための費用など比べものにならないくらい少ない。国は他の反人民的な支出を削って出すべきなのだ。
 これらの基本的な介護保険制度の問題点をみれば、介護保険制度絶対反対、介護保険制度四月実施中止以外にないことは明白だ。「@介護保険制度の四月実施中止、A一切の自己負担をなくし、介護は全額公費負担で、B必要な人に誰でも必要な介護を。十分な介護制度の確立を」の三本のスローガンを一体のものとして掲げて、大々的な宣伝戦に入っていかなければならない。
 日本共産党と民主党は介護保険推進勢力だ。日共を打倒し前進しよう。
 杉並で始まっている介護保険四月実施中止を求める十万人署名運動を発展させよう。労働者人民の大衆的な闘いの発展で必ず介護保険をつぶすことはできる。この確信をもって運動を広げよう。

 第3章 名護新基地阻止へ岸本打倒に全力を

 普天間基地の県内移設=名護新基地建設を沖縄人民に強要している張本人である小渕が、三月二十五、二十六日に訪沖することを発表した。名護市部瀬名のサミット会場のみならず、ヘリ基地を建設しようとしている辺野古現地まで乗り込もうとしている。絶対に許せないことである。東京と名護で小渕訪沖阻止の闘いを巻き起こそう。
 名護への新基地建設を受け入れた稲嶺知事と岸本市長は、名護市民、沖縄人民を日帝に売り渡した。最新鋭垂直離着陸機MV22オスプレイを配備する新基地は、アジア侵略の最新の基地となるのだ。基地の誘致は侵略戦争=アジア人民の虐殺への積極的加担以外の何ものでもない。そしてまた侵略発進基地とは、逆に標的にもなるということであり、第二の沖縄戦への道だということである。沖縄がこんな形で戦争に加担することは、沖縄の歴史上なかったことなのだ。「ぬちどぅ(命こそ)宝」「二度と戦争を許さない」と誓った沖縄人民として絶対に認めることはできないのだ。
 小渕訪沖への怒りを爆発させ、岸本市長リコールを必ずかちとろう。
 有事立法・改憲の動きがきわめて警戒すべき段階にきている。三月三日、与党三党の安保プロジェクトチームが政府に対して有事立法の整備に着手することを申し入れた。衆参両院の憲法調査会では、改憲は自明の前提のように扱われ、第九条を改定することが次々と主張されている。事態を重視して闘おう。
 三・二六の三里塚全国総決起集会への大結集をかちとろう。暫定滑走路(実は三千七百bの平行滑走路)建設を阻止する闘いは、成田の侵略兵站(へいたん)基地化を粉砕する最前線の闘いである。不屈の三里塚反対同盟とともに成田軍事空港建設を阻止しよう。

 第1節 カクマル打倒へ好機到来

 日経連「労問研」報告のもとで、賃下げ、首切り・リストラ攻撃との闘いが重大化している。春闘を、連合、全労連の裏切りをのりこえ、新潮流の飛躍をかけて闘わなければならない。
 JR東労組=カクマルは「第二の雇用安定協約」を締結したと称して、「雇用延長」問題で他産別に先駆けて大裏切りを行った。JR総連=カクマルを打倒し国鉄決戦に勝利しよう。
 国鉄を先頭に春闘をストライキで闘おう。
 卒業式での「日の丸・君が代」強制の攻撃に対して、全国で反撃の闘いが巻き起こっている。教育労働者、生徒、地域住民の結合した力で、戦争への動員攻撃=「日の丸・君が代」強制粉砕の闘いを三月卒業式・四月入学式で貫こう。
 部落解放同盟全国連合会の第九回全国大会は初めて奈良の地で開かれ、歴史的な成功をかちとった。解同本部派の融和主義への総転向に抗して差別徹底糾弾の旗を掲げ、狭山再審闘争を軸にさらに部落解放闘争の前進をかちとっていこう。
 ファシスト・カクマルはかつてない危機に陥っている。JR総連がカクマルの「介入」を非難し、それに対してカクマル反革命通信『解放』が植田「議長」の反論声明を載せるというペテン的な「対立」劇が演じられているが、これはカクマル=JR総連の延命のための絶望的あがきである。
 JR総連なしにカクマルは存立できないし、またカクマルの反革命支配力なしにJR総連はJR総連たりえない。そのJR総連とカクマルが「対立」するなどということはカクマル=JR総連にとって危急存亡の危機を意味するのだ。植田は、ビラまきを非難することは「階級的犯罪行為以外のなにものでもない」とJR総連「ダラ幹」を攻撃しているが、「階級的犯罪」と言いながら、どうしてJR総連と闘わないで、「JR総連の組織破壊と闘う」と言ったり、「JR総連の強化」を呼び掛けたりするのか。カクマル=JR総連打倒へ大攻勢を!
 権力の七・二一体制を打ち破ろう。団体規制法(第二破防法)の発動を許すな。盗聴法を廃止せよ。神奈川県警、新潟県警と続く警察の腐敗と不正と犯罪は、「こんな権力にこれ以上権限を与えたら人民の生活は破壊される」という広範な怒りを生み出している。警察権力と公安委は解体せよ。非合法・非公然の闘いを強め、権力の弾圧をはねのけ、党を防衛・強化しよう。
 無実の罪で二十五年も囚(とら)われている星野文昭同志に対する再審棄却決定は、七・二一体制のもとでの沖縄闘争に対する攻撃でもある。怒りを爆発させ異議審闘争に立とう。迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を弾劾し、超長期未決勾留の四同志の即時保釈をかちとろう。
 衆院選決戦勝利へ三月闘争を全力で闘いぬこう。

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週刊『前進』(1949号6面2)

 日本版401k導入許すな

 年金を「自己責任」化して雇用と老後の生活を破壊

 日帝・小渕内閣は三月三日、確定拠出型年金(日本版401k)法案を閣議決定し、国会に提出した。今国会での成立、来年一月からの導入が狙われている。「日本版401k」こそ、終身雇用制と結びついていた企業年金・退職金制度を解体し、労働者を資本の好き勝手な首切り攻撃にさらすものであり、公的年金制度解体攻撃の突破口を開くものだ。労働者階級の雇用と退職後の生活破壊を許してはならない。

 第1章 企業の年金支払義務を免除

 確定拠出型年金制度案のうち「企業型」とは、保険料を労資折半で負担する公的年金と違い、資本が全額負担する企業年金(私的年金)である。(表参照)
 従来の企業年金(厚生年金基金、適格退職年金)が受け取り時に決められた金額の支払いを資本に義務づける「確定給付型」であるのに対し、「確定拠出型」では、資本は毎月決められた金額を拠出するだけで支払いに対して責任がない。積立金を、労働者個々人が金融機関の提示する運用プランの中から「自己責任」で選択して運用し、将来受け取る年金額は、その結果次第でゼロになる可能性もあるという年金制度ならざる年金制度である。
 「日本版401k」とはアメリカの年金プランのひとつ「401kプラン」をまねたものである。それは「内国歳入法四〇一条(k)項」に定められた条件を満たしている企業年金だが、実際は年金というよりは貯蓄に近いと言われている。それは、企業の拠出と同時に労働者も拠出し、積立金は投資信託などで運用され、アメリカの株価押し上げの一因とも言われている。だが、バブルが崩壊し、株価が暴落すれば、年金も消えてなくなるきわめて投機的な制度である。
 日帝はこれにならい、「自己責任」の名のもとに年金の積立金の運用リスクを労働者個人に負わせ、企業の責任を免除するとんでもない制度を導入しようとしているのだ。
 この「自己責任」という考え方こそ、失業の原因を資本の責任ではなく、労働者に負わせるエンプロイヤビリティ(雇用される能力)論と同様の反動的イデオロギー攻撃だ。
 「401k」は、何よりも今日の日帝資本による労働者への大量首切り、賃金切り下げ攻撃を大々的に推し進めるものとなる。
 現在、経済戦略会議の答申「樋口レポート」や日経連労問研報告に基づき、産業再生法や民事再生法や企業分割法制の創設など、戦後の「終身雇用・年功賃金制度」解体攻撃が矢継ぎ早に打ち出されている。日帝は戦後の労働者支配を抜本的に転換し、労働者総体を不安定雇用と、労働条件の劣悪化、低賃金状態にたたきこもうとしているのだ。
 企業年金は、終身雇用を前提とし、資本が長期にわたって退職金を積み立てるための制度であり、労働者の立場からすれば、本来支払われるべき賃金の一部だ。終身雇用と結びついた従来の企業年金・退職金制度を維持しては「雇用の流動化」攻撃を進めることができない。松下電器で昨年から始まった退職金前払い制度のように、退職金制度解体攻撃が激化している。
 資本は、従来の企業年金を解体して退職金制度をなきものにしつつ、「401k」は転職時に年金積立金を持ち出すことが可能だと宣伝することで、首切り・転職攻撃をフリーハンドでやろうというのだ。

 第2章 公的年金制度の解体と一体

 二九年型世界大恐慌の現実化の進行過程の中、労働者階級へ未曽有(みぞう)の大失業と戦争の攻撃が襲いかかってきている。日帝は医療・福祉・年金など戦後社会保障の全面的な解体を強行しようとしている。
 公的年金制度の改悪攻撃は、介護保険制度導入とならんでその頂点をなす攻撃だ。今ひとつの大攻撃こそ「401k」を突破口にする企業年金・退職金制度の解体攻撃である。
 「樋口レポート」は、基礎年金は、消費税の増税による税方式、厚生年金などの報酬比例部分は完全民営化し、全面的に私的年金制度にするなどと、とんでもないことを言っている。
 それは、年金における企業負担をゼロにし、しかも基礎年金は「死なない程度」に削減、あとは「自己責任」で勝手に積み立てを行え、企業も国家も労働者の老後には責任を取らないという、資本主義社会において労働者階級が闘って確立してきた年金制度という考え方そのものの解体を意味する攻撃である。現在国会で焦点になっている年金改悪法案は、その突破口になっているのだ。
 「日本版401k」の中には、このような「樋口レポート」の凶暴性が激しく渦巻いている。
 企業年金の積立金の運用利回りが、予定運用利回り五・五%を大きく下回り、莫大(ばくだい)な差損が発生、来年三月の退職給付会計制度の導入でそれが一気に表面化すると言われている。だがバブル経済の時期には、運用利回りは五・五%をはるかに上回り、生じた莫大な差益で企業は投機を行っていた。そのくせ利回りが低下してくるや、差損を大声で問題にしているのだ。
 企業年金解体攻撃は、すでに激しく進行している。
 その第一は、各企業の厚生年金基金を解散させる攻撃だ。厚生省は九九年度だけですでに十一基金の解散を認可しており、解散基金の数は三年連続で二ケタとなっている。
 第二の手口は、総額人件費の削減の一環として厚生年金基金給付水準の引き下げ攻撃だ。トヨタは昨春闘で年金の積み立て不足を理由に引き下げを労組に提案し、二〇〇〇年度からの引き下げを申請している。九九年度までに七十四基金、二〇〇〇年度は約百基金が給付水準を引き下げる。
 文字どおり「公的年金も退職金ももらえなくなる」事態が現出するのだ。

 第3章 401k賛成の電機連合

 電機連合は「401k」に全面賛成している。「当面するデフレ構造危機からの脱出策と我々の二十一世紀運動戦略」という九八年十二月に発表された歴史的裏切り文書で、「やり直しのきく人生」と題して、「基礎年金は消費税方式」「企業内では退職金前払い、年金の二階建て部分の個人化など制度にポータビリティを持たせる」「個人年金として、財形(日本型401k)を拡充する」などと、「樋口レポート」とまったく同じ主張がならんでいる。まさに「経営者と共通意識」(電機連合鈴木委員長発言)そのものであり、許してはならない。
 介護保険制度四月実施阻止と一体で、「日本版401k」反対の闘いに立ち上がろう。

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週刊『前進』(1949号6面3)

 廃止署名実行委

 盗聴法廃止を訴え

 腐敗警察の盗聴許せぬ

 三月五日午後一時から東京・有楽町のマリオン前で、盗聴法の廃止を求める署名実行委員会の二回目の街頭宣伝が行われました。
(写真)
 実行委員会の労働者や学生、市民は、工夫をこらしたかぶりものを身につけ、盗聴法廃止を訴えるビラを配布しました。警察腐敗に焦点をあて、「こんな警察に『盗聴法』―許せますか」と問いかけたビラに対する関心は高く、用意した千枚では足りなくなるほどでした。その場でビラを読んだ女性や家族連れなどが次々に署名に応じ、一時間半の間に五十筆近い署名が寄せられました。
 呼びかけ人の海渡雄一弁護士が駆けつけてマイクを握り、腐敗した警察に盗聴権限を与えてはならないと熱弁をふるいました。
 実行委員会の労働者や市民も次々にマイクの前に立ち、盗聴法の問題点を明らかにして廃止署名への協力を熱く訴えました。新潟県警と監察責任者との「温泉マージャン」を痛烈に皮肉るマージャン卓を使った看板も登場し、街行く人々の注目を集めました。
 法律制定後も、次々に明らかになる警察腐敗によって、労働者市民の盗聴法(組対法)への怒りと危惧(きぐ)は高まるばかりです。この日の街宣をつうじ、この怒りを廃止運動へ大きく組織していくことが必要だし、可能だということを痛感させられました。
 (投稿 H・Y)

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週刊『前進』(1949号6面4)

 戦争法の発動阻止へ

 陸海空港湾労組20団体がシンポ

 三月四日午後、陸海空港湾労組二十団体の呼びかけで「THE SYMPOSIUM 新ガイドラインの発動を阻止しよう!」が東京・九段会館で開かれ、三階席まで満杯の千三百人が集まった。(写真)
 ガイドライン法の成立は、労働運動を大きくふるいにかけている。労働者の魂にかけて戦争協力拒否を貫く労組がある一方、JR総連を先頭に連合は有事立法や改憲さえ唱えている。沖縄サミットや名護新基地建設の攻撃など、自自公の戦争政策がますます強まる今、労組が戦争反対で大きく結びつくことが必要だ。
 陸海空港湾労組二十団体は、宗教者とともに昨年五月二十一日の明治公園での大集会を呼びかけ、成功させた。そうした労組が、再び結集して新たな闘いに踏み出そうとしている。
 集会は、国鉄のうたごえの合唱から始まった。二十団体を代表して開会のあいさつをした国労の中央執行委員は、「ガイドライン法の発動を許さない世論の結集を」と訴えた。
 続いて、作家の井上ひさしさん、全日赤労連の太田千枝子さん、軍事評論家の前田哲男さん、海員組合の平山誠一さんがパネルディスカッションを行った。
 太田さんは、北海道矢臼別での米軍実弾演習に際して、米軍の軍医が毎回、周辺の病院を視察に来ている事実を紹介し、戦争準備が進められていることへの警鐘を鳴らした。会場からの発言では、国が企業に助成金を出して従業員を即応予備自衛官に志願させている実態が報告された。ガイドラインのもとに職場を組み敷く攻撃が進行している。
 一方で、こうした攻撃との闘いも開始されている。平山さんは、「戦争に安全な後方などないことは船乗りが一番よく知っている」と述べた上で、戦争に対して海員組合は次のような原則で対応していると発言した。@どんなに賃金が高くても危険地域には就航しない。A武力で船は守れない。加害者にならないことが被害者にならない最大の保障だ。B危険地域への就航に対し個人も拒否権を持つことを労使で協定した。
 そして、「ガイドライン発動を許さない、ぶあつい闘いを」と訴えた。
 これらの発言を受けて、前田さんが「ガイドラインが実効性あるものとなるのは、労働組合が解体された時だ。ガイドライン法を発動させない具体的な取り組みを」と呼びかけた。
 その後、「有事立法を阻止し、戦争協力を拒否し、新ガイドライン法の発動を許さず、その廃止を求める運動を一層強めることを確認する」という三・四シンポジウム・アピールが満場の拍手で採択された。
 闘いを妨害するためにのみ会場近くに押しかけたカクマルに一指も触れさせず、集会はガイドライン法を絶対に許さない大きな闘いへの出発点をつくりだすものとなった。
   (投稿 須川宏明)

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週刊『前進』(1949号6面5)

 排外主義と闘う A 入管闘争の課題

 ガイドラインの一環

 改悪入管法施行

 「不法在留罪」新設が柱

 二月十八日に施行された「不法在留罪」新設を柱とする改悪入管法を徹底的に弾劾しなければならない。九七年に続く今回の入管法改悪こそ、まさにガイドライン体制構築の一環であり戦時入管体制の確立を狙った攻撃としてある。

 第1節 入管弾圧が激化

 「施行後に一斉摘発がある」「新たに罰金三十万円を取られる」などと不安を募らせた滞日外国人労働者が日本を脱出しようと各地の入管に出頭し、「帰国ラッシュ」が生じたとマスコミでは報道された。だがこれは、施行前に逃げ出さなければ何が起こるかわからないと、外国人労働者らを恐怖に駆り立てた過酷な弾圧の結果なのである。
 日帝・法務省入国管理局は施行前に意図的にすさまじい入管弾圧を強行した。
 昨年十一月一日から二十六日、東京入管は「首都圏における入管法違反外国人の集中摘発」を実施した。期間中に千三百二十四人を逮捕するという大弾圧だった。十一月九日には警察と合同で、茨城、栃木、埼玉、東京、千葉、神奈川で三十三カ所に立ち入り調査、一日では最高の百六十三人の大量逮捕を強行した。
 一月二十六日には長野市で、中国残留孤児の家族を装って不正に入国していたとして、中国人四家族二十人が入管法違反(不法上陸と不法残留)容疑で逮捕され、入管に収容される事件が起きた。
 四家族は、中国黒龍江省出身の四十三歳から一歳までの男女で、うち三人は日本で生まれている。子どもの権利も家族の結合も、外国人には一切認めないという入管弾圧である。
 以上はほんの一例だが、日帝・法務省は、不安や恐怖に直結する物質力をもった凶暴な弾圧を在日・滞日外国人とその家族に意図的に加え、それを排外主義的にキャンペーンしながら、今回の改悪入管法施行に至ったのだ。
 以下、その改悪内容を見ながら、改悪入管法の狙いを明らかにしていこう。

 第2節 「難民流入」対策

 改悪点の第一は、「不法在留罪」の新設(七〇条二項関係)である。「不法入国または不法上陸」(有効なパスポート等を持たずに入国したり、持っていても上陸の許可を受けずに上陸した場合など)後、引き続き在留を続けた場合、その在留そのものを「犯罪」とするというもので、時効はない。これまでの「不法入国罪」(三年以下の懲役もしくは禁固または三十万円以下の罰金)は三年で時効となっていた。
 日帝・法務省は「不法在留行為は適正な出入国管理の実施を妨げているのみならず、我が国の社会、治安に悪影響を及ぼしている」と述べているが、実際には「朝鮮半島からの大量の避難民が日本に流入し在日朝鮮人と結びついて日本有事になる」(九七年梶山発言)ことへの予防反革命的対応なのである。
 改悪点の第二は、退去強制処分を受けた者の再上陸拒否期間をこれまでの一年から五年間に延長したことである。(五条一項九号)
 改悪前も一年で再上陸が認められるケースは少なく、三年から四年以上、再入国できなかった。今回の五年への延長は事実上、半永久的に再入国を拒否することを意味する。この点は昨年の国会審議でも、国際結婚の家族的結合を破壊する攻撃として大問題化し、「在留中に生じた家族的結合等の実情を十分考慮すること」という付帯決議がつけられた。しかし日帝・法務省は自由裁量権を振りかざし、強制力のある国会の付帯決議をも平然と踏みにじっているのである。
 第三は、再入国許可の有効期間が、「一年を超えない範囲内」から「三年を超えない範囲内」に延長されたことだ。(二六条三項)

 第3節 再入国許可制度

 在日外国人が日本から出国する場合、再入国許可が必要とされる。それは、歴史的な存在である在日朝鮮人・中国人など特別永住者も例外ではない。
 かつて独裁政権下の韓国で不当な弾圧を受けた在日朝鮮人が、一年以内に日本に戻ることができずに在留資格をはく奪される事態が繰り返された。なぜ永住権をもちながら出国の度に再入国許可を受けなければならないのか。永住権さえ再入国許可制度によって奪うことができるのだ。
 ここにも同化か追放かの入管体制が貫かれている。再入国許可制度そのものが粉砕の対象だ。
 再入国許可期間の延長は「法務大臣の自由裁量」とそれに基づく「恩恵」という側面とともに、もうひとつの側面がある。実は今、日帝の入管体制が、陸続と続くアジア人労働者の闘いに追い詰められ、機構・職員ともにパンク状態だということである。
 入管法二四条による退去強制は、九三年に年間七万人を超え過去最高を記録、その後、五万人を前後して推移してきた。この五万人が、現在の入管体制で対応できる限界とも言える。さらなる強制送還のために業務の再編を推し進めようというのだ。ここを突破し、ガイドライン体制の一環としての入管体制を確立できるかどうかが、日帝にとっての死活問題になっている。
 そもそもアジア人労働者の激増は、日帝のアジア侵略によって引き起こされたアジア諸国の経済危機−体制危機が生み出した事態にほかならない。日帝の入管体制を突き破って闘うアジア人民と連帯しよう。

 第4節 「周辺事態」想定

 改悪入管法の施行直前、二月十六日から始まった自衛隊と在日米軍による日米共同統合指揮所演習は、「周辺事態」を想定した初の演習として行われた。「朝鮮半島有事」が「日本有事」に発展するという演習のシナリオは、“まず不審船が出現し、海上自衛隊に海上警備行動命令が出される”ところから始まる。
 すでに九七年六月施行の改悪入管法では、「密航対策」と称して「不法入国者等蔵匿・隠避罪」「集団密航助長罪」などを新設、日本に実力渡航して来る朝鮮人、中国人やアジア人民を日本社会からさまざまに援助することを弾圧するというのだ。九七年改悪は、朝鮮・中国侵略戦争を想定し、大量に生み出されるであろう難民を上陸させないで、水際で捕捉(ほそく)し追放するための法整備だったのである。
 「不審船キャンペーン」を展開しながら着々と海上警備行動−臨検への道が開かれている。「不審船」発見、即、発砲が狙われている。その時、その銃は誰に向けられるのか。朝鮮・中国−アジア人民だ。
 海上保安庁は郵政省とともに「不審船」目撃情報の緊急通報用に「一一八番」開設(五月一日予定)を決めるなど、日本人民に排外主義的加担を迫っている。
 米日帝の朝鮮・中国侵略戦争によって生み出される大量の避難民が、在日朝鮮人・中国人や日本の労働者人民と合流することに日帝は恐怖し、憎悪を募らせている。避難民を海上で、水際で阻止すること、もしも阻止できなかった場合にも「摘発」を可能にするために外登証の常時携帯制度を堅持し、不法在留罪を新設したのだ。ガイドライン発動を前提に改悪入管法は施行されたのである。
 今こそ日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争阻止へ、闘うアジア人民との連帯をかけ入管闘争に立とう。
 次回は、入管法改悪と同時に強行された外登法改悪の問題点に迫る。
  (室田順子)

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