ZENSHIN 2000/04/03(No1951 p06)

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週刊『前進』(1951号1面1)

 小渕・自自公政権とファシスト石原打倒!

 介護保険絶対反対の全国運動を

 名護市民の基地反対の声に応え沖縄サミット粉砕の大奔流を

 労働運動の新潮流の大躍進の時

 介護保険制度の四月実施は目前に迫った。だが、労働者人民に大増税を強制し、福祉を奪い、高齢者やその家族に死ねという介護保険制度は絶対に中止する以外にない。七・二一体制(沖縄サミット厳戒体制)としてある日帝・国家権力の弾圧体制を吹き飛ばし、「今世紀中に中核派の根絶を」などと空叫びする反革命カクマルを粉砕し、日本共産党を始めとする野党の敵対を打ち砕き、革命的時代精神を発揮して、二〇〇〇年決戦−衆院選決戦に突き進もう。沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止闘争の爆発をかちとろう。

 第1章 〈革命的時代精神〉でさらに蜂起的決起を

 三月十七日、戦後最速のスピードで二〇〇〇年度予算が強行成立させられた。他方、自民党は、予算成立と同時に予定していた選挙対策本部の設置を見送り、小渕は記者会見で「現段階で解散は特に念頭にない」と、六月以降またはサミット後に総選挙を先送りすることを表明した。
 小渕・自自公政権が解散に踏み切れない最大の理由は、今回の総選挙で労働者階級人民の怒りが噴き出すことへの恐怖、動揺、たじろぎである。あえて言えば、警察や自衛隊の不正・腐敗問題などへの小渕のおどおどした対応は、その表面的ことがらにすぎない。自自公翼賛体制とファシスト石原都知事に真っ向から対決する勢力が革共同以外にはない中で、しかし日帝・小渕はただ一点、延命しすぎた帝国主義体制への人民の革命的反乱に恐怖して、解散権を行使できないでいるのだ。
 逆にこのことは、二〇〇〇年の総選挙のかつてない大きさ、画歴史性、歴史的結節環性を突き出すものである。そして同時に、沖縄サミット攻撃を貫徹しなければならないというギリギリの死活性をも示している。沖縄サミットを前にして、米帝を始め他の帝国主義諸国に対して、日帝のぶざまな姿をさらけ出すことは、日帝にとって死を意味するということだ。
 しかし、今回の総選挙という試練を突破した後の自自公政権は、恐るべき超反動政権に変貌(へんぼう)するだろう。一気に沖縄基地の強化、有事立法・改憲へと突き進む。賃下げ・首切りの大失業攻撃を強め、社会保障制度を解体し、労働者人民への犠牲転嫁を激化させることは間違いない。
 これを打ち砕くために何よりもこの歴史的戦場になる衆院選決戦に、闘う人民の全力を結集させなければならない。労働者人民は闘いの場を求めており、真に闘う労働者の党、労働者人民の代表の登場を願っているのだ。
 自自公翼賛政権とファシスト石原を打ち倒す勢いと迫力で、この歴史を画する衆院選決戦、二〇〇〇年決戦に真正面から挑もう。

 第1節 延命した帝国主義の危機

 このような次期衆院選の決戦性は、現在の情勢をどうとらえ、二十一世紀をどう展望するのか、という問題と一体の問題である。
 世界経済は、二九年型世界大恐慌過程へと突入している。今年冒頭から、ニューヨーク株式市場におけるダウ平均株価は激しく乱高下し、米帝経済のバブル崩壊の接近を示しつつある。米帝と世界のブルジョアジーは、米帝経済のバブル崩壊が大恐慌へと発展することにおびえ、争闘戦とブロック化、戦争への動きを強めている。
 これに対応して米帝は二〇〇〇年国防報告などで、「世界のリーダーシップのよりどころは軍事力」「日本経済の劇的な収縮となれば、軍事的伝統を復活させる保守的リーダーが出てきて、日米間の安全保障の合意を破棄するだろう」と、対日争闘戦の激化と世界戦争の宣言を発している。
 他方、ヨーロッパではEUの大不況と大失業を背景にファシストが台頭、オーストリアではハイダー・自由党主導の極右連立内閣が発足して人民の大規模な抗議デモが闘われるなど、三〇年代的危機の様相をあらわにしている。また、ロシアではチェチェン侵略戦争の強行を継続しつつロシア危機ののりきりをかけて、プーチン体制の確立を推し進めようとしている。
 この中で、台湾総統選が行われ民進党の陳水扁(ちんすいへん)氏が当選、五十年続いた国民党支配が崩壊した。このことは中国スターリン主義の危機を加速させ、中台情勢、米中関係の一層の緊迫化をもたらすだろう。さらに、南朝鮮・韓国では民主労総を主力として民主労働党が創設され、四・一三総選挙に向かって南朝鮮人民の闘いが力強く展開されている。
 このような恐慌と戦争の危機の中で日帝は、帝国主義の延命をかけて国家的大改造とも言うべき歴史を画する攻撃をかけている。新ガイドライン・有事立法・改憲攻撃、沖縄サミットと沖縄新基地建設の攻撃、「日の丸・君が代」強制と「教育改革」攻撃、介護保険制度導入・社会保障制度解体攻撃、そして労働者人民への大失業攻撃など、労働者人民の命を奪う攻撃を全面的に激化させている。
 帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制が今、音を立てて崩れつつある。現情勢は、死滅しつつある資本主義の姿を現している。帝国主義はあまりにも延命しすぎたのだ。時代はまさに社会主義の前夜にあると言わなければならない。
 われわれは今、世界史的な転換点に立っている。ここで人類史の自然成長的発展に終止符を打ち、本来の人間史の開始としてのプロレタリア世界革命に向かって強く踏み出さなければならない。その闘いはもちろん平和のうちにではなく、世界恐慌と世界戦争的危機の爆発がもたらす戦後世界体制のすさまじい崩壊過程、大激動の過程をとおしての闘いとなる。
 まさに人類史の未来をかけた二〇〇〇年決戦として、闘う気概と革命的時代精神を新たに燃やしてともに総決起しよう。

 第2章 介護保険めぐる闘いは革命の戦略的課題

 緊迫する二〇〇〇年決戦の課題は何か。
 第一に、介護保険制度絶対反対の全国的大衆運動を爆発させるために徹底的に闘うことである。四月一日からの一つひとつの行動、必死の闘いが必ず情勢を変える。大衆決起の力で、介護保険制度を撤回させることはまったく可能だ。(3面論文参照)
 三月十一、十二日に毎日新聞が行った全国電話世論調査では、介護保険制度に「期待しない」と「あまり期待しない」を合わせて五二%と、半数を超えた。また、制度の先行きについては「非常に不安」と「多少は不安」を合わせて実に八六%に上った。
 また日本世論調査会が三月四、五日に実施した調査では、介護保険制度が「定着すると思う」がわずか一二%、「中身が変わっていくと思う」が五五%、「制度そのものが変わっていくと思う」が二八%で、定着しないだろうと思う人が実に八〇%を超えたのだ。介護保険制度で心配に思っていることは(複数回答)、「保険料が高くなる」が五七%でトップ、以下「サービスより営利を求める事業者が出てくる」が三二%、「希望するサービスが受けられなくなる」が二六%、「認定の結果、給付対象から外される」が一八%、「一割負担に耐えられなくなる」が一八%であった。
 さらに四月以降、人民の不満や怒りが爆発する情勢になることは必至だ。
 こうした中で、杉並区では、「住民説明会」なるものが区の主催ですでに二十回ほど開かれている。このような「説明会」を行うのは東京二十三区で杉並区が唯一であり、その狙いはただ一つ、反対運動の発展を事前に封じ込めるためだ。最近の「説明会」では、区側が「反対のための質問をするな」と高圧的に叫んで区民の切実な声を抑えつけにかかっている。これに対して区民の怒りと決起が激しく高まっている。
 こうした中で、介護保険を推進している日本共産党を許すことができない。日共は「(介護保険制度への)修正案を出しました」というビラをまき、あちこちで「絶対反対の運動はやめろ」と妨害に出ている。さらに、「石原都知事の外形標準課税に大賛成です」と得意げに宣伝している。日共は「介護保険制度そのものには反対しない」とすでに議会で明言しており、小渕・自自公政権とファシスト石原の極悪の先兵になり果てている。日共との徹底対決が決定的となった。
 介護保険制度をめぐる労働戦線での闘いが重大になっている。介護保険制度導入を率先して働きかけてきたのは、自治労であり連合だ。その自治労本部が、ケアマネジャーをやるにあたっての「指導」として「相手への思いやりはアマチュア主義。プロに徹して短時間で作業を行え。低賃金で文句を言うな」などと叫んでいる。これを許しておいたら、被介護者とその家族も、介護労働者も痛めつけられ、殺されてしまう。
 介護保険制度問題は労働運動の戦略課題そのものだ。闘う労働者は闘いの最先頭に立ち、自治労・連合と対決して、介護保険制度反対を掲げる大々的な労働者の運動を巻き起こそう。
 闘いはこれからだ。人民一人ひとりの思いと行動がひとつに集まり、その輪を大きく全国に広げることができたら、介護保険制度・社会保障制度解体の攻撃を粉砕することができる。そのために行動に立とう。そしてその先頭に立つ労働者人民の真の代表=長谷川英憲氏を国会に送り出そう。
 「介護保険制度絶対反対。一切の自己負担をなくし、全額公費負担で。必要な人に誰でも必要な介護を、十分な介護制度の確立を」の要求を掲げて、大衆運動の嵐を巻き起こそう!

 第3章 本土-沖縄で4、5月沖縄闘争の大高揚へ

 第二に、名護ヘリ基地建設阻止闘争と結合して、沖縄サミット粉砕の大決戦に突き進むことだ。
 三月二十二日、日帝国家権力は、沖縄を始め全国八十カ所への不当捜索を強行し、二人の闘う同志を不当逮捕した。そのうち、名護市民とともに新基地建設反対を沖縄現地で闘う全学連の同志に対して、「非公然活動家」というデマすら流している。沖縄サミット弾圧そのものである。
 日帝権力がこの時点で家宅捜索・逮捕を強行したのは、国家暴力でおどせば人民の闘いを分断し、弱らせることができると考えているからだ。だが、まったく間違いだ。沖縄人民の怒りの火に油を注ぐだけだ。この弾圧の正体を沖縄人民の中に持ち込み、怒りのバネに転化して闘いぬこう。
 日帝・小渕政権は、沖縄人民、名護市民にさまざまな形でサミット歓迎を強制し、辺野古への新基地建設を押しつけようとしている。しかも“サミット歓迎”の名のもとに、日本共産党も社民党も、日帝支配階級の思惑どおりに、「名護市長リコールをサミット後に行うべきだ」と主張して、サミットまでの闘争圧殺に手を貸している。
 沖縄・名護市でのサミット開催は、安保廃棄を凍結し、「日の丸・君が代」法制化の水先案内人となった日共の大転向などに助けられて、沖縄人民の闘いを黙らせるために設定された攻撃である。そして、普天間基地の名護移設=新基地建設が米軍に強制されたものではなく、“沖縄人民に望まれてするもの”という形で新基地建設を確定してしまおうという卑劣きわまりない攻撃である。日帝は、日米新安保ガイドライン体制の強化・確立、有事立法と改憲への突破口を開こうとしているのだ。
 しかも小渕政権は、世界の帝国主義諸国を相手に、世界に名だたる沖縄闘争を鎮圧する帝国主義として、戦後的制約を突破して戦争国家に変貌する帝国主義として、サミットの場でアジアの勢力圏化と朝鮮・中国侵略戦争の発動を宣言しようとしている。
 この攻撃に全面加担しているのが、既成の野党だ。民主党や社民党はもとより、日共もまた政府や稲嶺県政と同じような文句で「沖縄から世界へ平和の発信を」とうたい、沖縄サミットの成功を心底祈っている。こうした野党の裏切り・敵対と正面から対決し、名護市民の基地反対の声にこたえて、沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止への大奔流(ほんりゅう)を巻き起こそう。
 サミットに向け沖縄圧殺のために権力が渡航を制限しようとしていることを断じて許してはならない。反革命カクマルの妨害を粉砕して、全国、全世界から沖縄に結集し、闘うアジア人民と固く連帯して、沖縄サミットの場を「基地全面撤去、名護への新基地建設絶対反対」「沖縄サミット粉砕、日帝のアジア侵略を許すな」の闘いの爆発に転化させよう。
 そのためにもこの四−七月、本土と沖縄で沖縄闘争の爆発をかちとろう。
 三・二六闘争をかちとり、三里塚生活破壊道路四月着工阻止へ闘おう。着工時は現地に駆けつけよう。

 第4章 ベアゼロ・賃下げ攻撃粉砕し階級的反撃を

 第三に、二〇〇〇年春闘の階級的発展をさらに切り開き、労働運動の新潮流を形成・拡大する闘いを断固として推進することだ。
 二〇〇〇年春闘は三月十五日、金属労協加盟の自動車、電機、鉄鋼、造船重機の主要四業種の経営側が一斉に回答した。造船重機がベースアップゼロを回答、その他もわずか五百円前後のベアとなった。続いてNTT、電力もベアゼロで妥結した。ベア水準は過去最低で、賃上げ率は三年連続で過去最低を記録した。資本は「国際競争力確保・総人件費抑制」の攻撃をますます強めてきている。
 いったい連合はいつまで、ベアゼロ回答や賃下げ攻撃に屈服するつもりなのか。それでは世界恐慌が爆発したら、労働者は死ねということにしかならない。連合中央や全労連中央ときっぱり決別し、打倒し、今こそ闘う新潮流の大躍進をかちとるべき時である。
 今年の春闘は、ベアゼロ、実質賃下げの一方で「雇用春闘」とも言われてきた。しかし連合などの「雇用春闘」とは、「雇用確保」のためには、首切り・リストラをいったん推し進める、というとんでもない反動的なものだ。
6面につづく

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週刊『前進』(1951号1面2)

 ゛大幅賃上げ、貨物ゼロ回答打破″

 動労千葉が春闘第一波スト

 定年延長を求めて JR総連解体へ意気高く

 動労千葉は三月二十三日、史上最低水準の二〇〇〇年春闘情勢を切り裂く渾身(こんしん)の第一波ストライキに決起した。検修関係を中心とした日勤の組合員、営業関係の全組合員を対象者として、九十一人の組合員が午後三時を期して勤務終了時までのストに突入した。午後六時から千葉市の蘇我勤労市民プラザ大ホールで開かれた第一波スト貫徹総決起集会には三百二十人が結集し、団結の力と熱気がみなぎった。
 あいさつに立った中野洋委員長は、冒頭、金属のベア五百円からベアゼロ、NTTのベアゼロを導いた連合を批判し、「動労千葉の任務は重大だ」と指摘。そして「JRをめぐる焦点は貨物のゼロ回答を打破することだ。もう一つは、年金改悪に伴う定年延長だ。JR東労組はシニア社員制度を妥結したが、JR東日本は定年を延長しない。全面外注化する関連企業に再雇用するだけ。JR東にはひとつのデメリットもない。試験で差別・選別する。妥結しない組合は対象としない。しかも外注化とセットだ。この提案を聞いて怒り心頭に発している。こういうことをやるJRは末期症状だ。必ずや敵に一泡吹かせ、組織拡大をする。JR体制を打破するうねりをつくろう」と訴えた。
 来賓あいさつでは、会社解散・業務委託による解雇を撤回させた民間の労組の代表が、動労千葉の支援も得てかちとった勝利を報告し、大きな拍手を浴びた。
 中江昌夫船橋市議、水野正美勝浦市議、動労千葉弁護団のあいさつを受け、君塚正治副委員長が貨物の超低額回答打破に向けた交渉状況を報告し、「貨物の赤字は労働者がつくったものではない。分割・民営化がつくった」と述べ、第二波ストへの決意を表明した。
 田中康宏書記長が基調報告を行い、ストの課題を鮮明に提起した。
 @大幅賃上げ、特に貨物の超低額回答打破へ、労働組合はこう闘うべきだということを示すストを闘う。AJR東労組が妥結した「シニア制度」の協定を許さず、あくまでも定年延長を求めて闘う。合理化・外注化に反対し、不当労働行為を根絶する闘いだ。千四十七人と強制配転者をなんとしても原職に戻す。
 そして、今春闘を「組織拡大春闘」と位置づけ、「崩壊の危機に脅える東労組、貨物労組を解体し、組織を拡大する。その時、貨物の問題、シニアの問題も決着する」と訴えた。
 さらに、三月二十八日の貨物を中心とした第二波の半日スト、「シニア制度」を利用した組織破壊と差別・選別粉砕へ新たな闘いを構え、貨物支部を除くシニア(五十歳以上)の全組合員を対象とした学習会で闘う態勢をつくり、四月にストを含む闘いを設定したいと提起。「きょうは、闘いの始まりだ。さらに闘いを継続する」と訴えた。
 各支部代表が壇上に並んで次々と決意表明し、「シニア協定は絶対に許せない」「新組合員獲得の手ごたえがある」「本線乗務員もストに入れたい」などと訴え、固い団結を示した。
 動労水戸もこの日、ストに決起した。

 第1節 JR貨物本社に国労が行動

 国労は三月二十三日、全国の貨物組合員ら約三百人を結集して、東京・飯田橋のJR貨物本社前の抗議行動を行い、「ベアゼロを許すな」「二十万円の生活改善資金を出せ」と訴えた。国労本部は千四十七人問題を口実にスト放棄方針を出しているが、「いろんな理由で大衆行動を抑制するのではなく、断固闘う」と訴える発言もあった。
 二十二日から国会前座り込みに決起している闘争団の第四九次上京団も参加し、連帯を表明した。

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週刊『前進』(1951号2面1)

 「シニア協定」でJR東労組が大裏切り

 定年延長を拒否し再就職の斡旋のみの「雇用確保」

 業務の外注化と完全に一体 連合上回る反労働者性

 三月一日、JR総連・東労組=カクマルがJR東資本と締結した「シニア協定」は、国鉄分割・民営化以降の裏切りの集大成であり、国鉄方式の大リストラ攻撃をさらに拡大させる、日本労働者階級全体に対する大裏切りだ。それは、六十歳以降の定年延長でも雇用延長でもなく、関連会社への再就職をあっせんするというものにすぎない。JR東労組=カクマルは、これを「六十歳以上の雇用確保実現」「第二の『雇用安定協約』」などと叫び立て、「ぬきんでた」制度だとうそぶいている。だがこれはとんでもないペテンである。そればかりか、JR東労組=カクマルは、連合の先を行く資本の先兵となり、ファシスト労働運動として徹底的に純化することで延命しようとしているのだ。「シニア協定」を徹底弾劾し、今こそJR総連=カクマルを打倒し、国鉄決戦に勝利しよう。

 第1章 カクマルが生き残るため差別・選別をあおる卑劣さ

 二〇〇〇年春闘は、金属労協(IMF―JC)への集中回答でベアゼロからベア五百円、NTTのベアゼロなど、史上最低の水準となっている。二〇〇一年度からの厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げに続き、報酬比例部分の賃金スライド凍結、給付額五%カットなどの年金制度の大改悪が狙われ、さらに介護保険制度導入による四十歳以上の月平均二千円の保険料負担など、労働者階級の生活を直撃する攻撃が相次いでいる。
 今春闘では、年金支給開始年齢の引き上げに伴う六十歳以上の雇用問題という形で、社会保障制度解体攻撃との闘いがひとつの焦点となっている。すでに電機連合の大手組合を始め、さまざまな形態での「雇用延長」が合意されている。だがそれらは(「定年延長」の富士電機も含め)、五十五歳以降の賃金ダウンを伴う反労働者的な制度でしかない。
 こうした中でJR東資本とJR東労組が妥結した「シニア雇用に関する協定」なるものは、電機などと比べても実に犯罪的なとんでもない制度である。今春闘における最悪の攻撃と言っても過言ではない。

 第1節 「在職条件改善」もペテン

 第一に、「雇用確保」や「在職条件改善」などのペテン性である。
 @まず、JR東は定年延長もJRでの雇用延長も完全に拒否したのだ。そして、六十歳定年以降の雇用を希望する労働者に対して「グループ会社等(グループ会社、関係会社及び一般会社)において再雇用の機会を提供する制度」によって関連会社などへの再就職をあっせんするだけだ。
 電機などですら、その企業の責任での雇用延長であるのに、JRは六十歳以降の雇用について一切の責任をとらないのだ。
 Aしかも、単なる再就職あっせんではない。なんと、四十年以上も国鉄―JRで働いてきた労働者に再就職先の「採用試験」を受けろというのである。断じて許せない。それも一回受けて落ちたら、もう一回だけは別の会社を受けさせてやるというだけなだ。
 「シニア協定」と同時に交わされた「今後の雇用の基本に関する覚書」(東労組はこれを「第二の『雇用安定協約』」と称している)は、「国鉄改革とその後の十数年間を中核として担った意欲ある真面目なシニア社員の定年退職後の実質的な『雇用の確保』という重要な目的を持つもの」としている。JR東労組はこれをもって「雇用を保障できるのは国鉄改革を担ったJR東労組組合員だ。他労組組合員の雇用保障はJR東労組への加入しかないことがはっきりした」(新宿支部ニュース)などとうそぶいている。
 資本と一体となって差別・選別をあおり、他労組解体を主張するなど、まさに国鉄分割・民営化への加坦に匹敵する大裏切りだ。
 B「シニアの在職条件を改善するという『ぬきんでた』もの」というのもまったくのペテンである。これは、五十五歳以上、五十七歳以上の基本給のダウンが、それぞれ八五%から九〇%、七八%から八〇%になることを言っているのだが、そもそも五十五歳以上で基本給が大幅ダウンする制度は、JRが十三年前に他企業に先がけて導入したものにほかならない。
 電機などでは「雇用延長」と引き換えに一〇―一五%賃金が引き下げられるが、JR東は、雇用延長を拒否して賃金ダウンの制度は(わずかの引き下げ幅の縮小だけで)そのままだというのだから、「ぬきんでて」悪いのだ。
 それに、五十七歳以上の基本給二%改善も、月四十万円として八千円に過ぎない。「五十七歳原則出向廃止」に伴う月二万五千円の出向手当の廃止を含めれば大幅賃下げなのだ。

 第2節 分割・民営化以来の大攻撃

 第二に、この「シニア協定」は、実は第二の分割・民営化とも言うべきJR本体の大合理化=外注化とセットで強行されるということだ。ここに攻撃の重大性とJR東労組=カクマルの大裏切りの核心がある。
 JR東資本は許せぬことに、“六十歳未満の部分は就業規則化するが、定年後の「再雇用の機会の提供」については、協定を締結しない組合所属の社員は対象にならない”としている。
 その「シニア協定」には、「『グループ会社等への鉄道事業業務等の一部の委託』を更に深度化して着実に推進する」という文言が入っている。なんと業務の委託=外注化を労働組合が積極的に推進することを協定化しなければ、「再雇用の機会」すら与えないというのだ。
 この「グループ会社等への鉄道事業業務の一部の委託」とは、すでに昨年一月二十九日にJR東労組とJR東資本が結んだ「大量退職期を迎える中での高齢者の雇用に関する覚書」で合意していたものなのだ。これを六十歳以上の雇用問題と抱き合わせで押しつけてきているのだ。
 今、JR東が進めようとしている業務の外注化はまさに業務全般におよぶ大攻撃である。すでに駅業務の委託化が進行し、構内作業や検修、「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」でのマルタイ作業を含む施設部門の全面的な外注化が画策され、車掌や運転士の一部までも外注化の対象にされようとしている。
 要するに、管理部門と主要な運転部門以外はほとんど外注化するというのだ。鉄道業務のあり方を抜本的に再編する大攻撃である。
 ここで重大なことは、「シニア雇用」と「外注化」をセットで進めることで、総額人件費の大幅削減を狙っていることである。日経連の言う「雇用ポートフォリオ」(基幹的従業員を一割にし、多様な雇用形態にすること)をJRに貫徹しようとしているのだ。
 再雇用先の賃金は、JR東が設定する最低基準で、週四十時間のフルタイムの場合、年百九十二万円だ。JR東はハーフタイム(週二十時間)をできるだけ活用したいとしており、その場合は九十六万円である。
 しかも、JRは一銭も出さず、関連会社も超低賃金で労働者を確保できる。年収六百―七百万円の労働者を、わずか年収二百万円程度の労働者に置き換えることができる。三分の一以下に人件費を抑えられるのだから、資本にとってはまさに「濡れ手であわ」だ。
 まさに松崎が提唱してきた「賃金半減」のJR版ワークシェアリングを極限化させたものなのだ。
 しかも、雇用形態は一年以内の有期雇用契約で、更新できる保証はない。関連会社も他の民間会社も再編・整理を進める中、労働者は、いつ首を切られるかもわからない不安定雇用のもとで、より労働強化を強いられるのだ。

 第2章 「JRには雇用責任なし」という仕組み作りに加担

 第三に、以上の攻撃は、まさにJR東が今日の資本攻勢の最も凶悪なやり方を最先頭で推進するものであり、国鉄分割・民営化がその後の資本攻勢の先がけとなったように、これから全産業に拡大する攻撃の先鞭(せんべん)をつけるものであるということだ。
 JR東の「シニア協定」は、再雇用先をあっせんするのみで、試験を受けて採用されなくてもJR東は一切責任をとらない、というデタラメなものである。改革法二三条によって国鉄分割・民営化にあたってJRに雇用責任なしとしたように、今度は再雇用にあたってJRに雇用責任なしという仕組みを作ったのだ。
 雇用されないのは労働者にエンプロイヤビリティ(雇用され得る能力)がないからだ、という日経連の攻撃を最も悪辣(あくらつ)に推進するものだ。
 こんなことを平気でやれるのは、まさにJR資本―カクマル結託体制だからだ。今後、他企業の「雇用延長」問題をめぐっても、JR東にならった攻撃が強行されるだろう。
 さらに、昨年の産業再生法、民事再生法に続き、「商法改正案」=会社分割法案と「労働契約承継法案」が今国会に提出されている。これらは、弱肉強食の資本の論理で企業の整理を進め、「企業組織変更」の名のもとにリストラ・首切り攻撃を一挙に拡大するものである。「労働契約承継法案」は、会社分割に伴う転籍には「本人同意不要」としている。新会社に労働条件も含めた労働契約が承継されるとしても、どの範囲の労働者が移るかは資本が勝手に決めるのであり、労働者の権利破壊、労組破壊を徹底的に進めるものだ。そして会社分割をいかに安易に強行するかが目的なのだ。
 まさに、国鉄方式の大リストラの拡大である。

 第1節 「対立劇」演じて大裏切り

 JR総連・東労組とカクマルが演じている「対立劇」も、実はこうした大裏切りを強行するためのものだったのだ。つまり、一方で「JR総連=カクマル」規定の重圧に追いつめられ、他方でカクマル過疎支配の危機に陥る中で、こういう攻撃を資本と一体となって強行できるのはカクマルだけだ、連合以上に資本にとって役に立つ存在だ、とJR東と日帝資本全体にアピールし、生き延びようということなのだ。
 だいたい、「JR東労組のダラ幹」などと言っているカクマルよ! その後の『解放』紙上で「独占資本の労働力確保に奉仕する『勤務延長制度』要求」などと「鉄鋼労連の労働貴族」を批判したりしているが、鉄鋼労連の要求でさえ「希望する従業員」の「従前の勤務を延長する」ものである。「JR東労組のダラ幹」が妥結した中身は、それ以下ではないのか。なぜこれを批判しないのか!
 しかし、このような攻撃はJR体制の危機と矛盾を一層拡大し、必ずやその破綻(はたん)に行き着く。
 JR東では、約七万九千人のうち今後十年間で約三万人が定年に達する「大量退職期」を迎える。毎年約三千人が退職するが、新規採用数は約千四百人である。単純計算で十年間に一万六千人の削減(約二〇%)だ。しかも、分割・民営化前からの新規採用停止によって三十歳代半ばまでの労働者が極端に少ない年齢構成になっている。
 そのために特に問題になるのが技術継承である。JR東は、「シニア協定」の目的として「シニア社員のノウハウの活用」と「円滑な世代交代」を挙げているが、それは当面の業務に必要な要員を低賃金で確保するという虫のいい話だ。それは「成果」どころか、分割・民営化の破綻を取り繕おうとするものでしかない。だが、外注化して技術力をもった労働者をほうり出してしまえば、技術継承などできない。
 それはますます、鉄道会社として列車を運行し、保守・整備し、安全を維持する能力を崩壊させずにはおかない。安全崩壊そのものだ。しかも、国労や動労千葉の組合員に対する差別・選別を続ければ、より深刻化するのは必至である。
 そして昨年二月の山手貨物線の五人の下請け労働者の触車死亡事故のように、再雇用される労働者に犠牲が集中されるのだ。
 しかも、事故の責任が関連企業とその労働者に押しつけられ、JRは責任をとらないのだ。これはJR東労組の組合員とて例外ではない。
 したがって、JR東労組の組合員も含めて怒りの反乱は不可避である。

 第2節 JR本体労働者の総反撃を

 国鉄当局は八五年に、国鉄分割・民営化に賛成・協力する動労などとの雇用安定協約を延長し、国労や動労千葉との同協約を破棄したが、それで動労組合員の雇用が守られたわけではない。高齢の動労組合員のほとんどがカクマルによって退職に追い込まれたのだ。いくら「第二の『雇用安定協約』」と強弁しようとも、「シニア協定」はJR東労組組合員にとっても地獄の道なのだ。
 問われているのは、「シニア協定」をも利用した国労・動労千葉解体攻撃に対する総反撃である。動労千葉はこの課題を含めて第一波ストに断固決起した。 「シニア協定」問題に現れているのは「国鉄改革完遂」=「完全民営化」の危機と破綻である。そして国鉄分割・民営化の最大の破綻点は千四十七人問題であり、闘争団の不屈の闘いの継続である。国労闘争団とJR本体の労働者の闘いが一体となって前進する時、解雇撤回・地元JR復帰とJR総連=カクマル打倒、結託体制打倒がかちとられるのだ。
 「シニア協定」によるJR総連=カクマルの大裏切りを断じて許すな! JR総連=カクマルを徹底追撃して、国鉄決戦の勝利へ勇躍闘い抜こう。

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週刊『前進』(1951号2面2)

 『会社分割2法案』粉砕を

 国家的リストラの仕上げ労組破壊と首切りが狙い

 小渕内閣は三月十日、会社分割制度を創設する「商法等の一部を改正する法律案」と、分割に伴う労働関係の規則を定める「会社の分割に伴う労働契約等の承継に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。
 この二つの法案こそ、危機に追い詰められた日本帝国主義が金融再生法、産業再生法、民事再生法など国家的大リストラ攻撃を次々と繰り出してきたその総仕上げともいえる大攻撃だ。
 特に「労働契約承継法案」は、国鉄分割・民営化型の攻撃を全産業に仕掛けるとんでもない法案だ。賃下げ春闘をストライキで跳ね返す闘いと結んで、反動二法案を粉砕しよう。

 第1節 不採算部門切り離し倒産首切り

 会社分割制度の創設とは、現在の商法では会社分割ということが想定されておらず、興銀・富士銀・第一勧銀の合併に見られるような巨大合併や分社化、営業譲渡など企業の大再編に対応できないとして、経団連が「産業競争力強化に向けた第一次提言」の中で強く要求してきたものだ。
 日帝はアメリカ帝国主義との争闘戦に身構えて戦後的な労働者支配の転換を決断した。その中身を包括的に打ち出したのが、経済戦略会議が九九年二月に発表した「樋口レポート」だ。
 そこで企業再編策として@過剰設備の廃棄、A倒産法制の改定、B株式交換制度等の導入、C会社分割制度の導入を挙げている。
 これらは、@産業再生法、A民事再生法、B昨年夏成立の商法改定、としてすでに法律化している。最後に残ったのがCの会社分割法制の創設のための今回の商法改定なのだ。
 資本が会社分割で実際に狙っているのは、不採算部門を切り離して倒産させてしまうことだ。そこに働く労働者は、丸ごと首を切られることになる。また、組合活動家だけを分社化して切り離し、その会社を倒産させることで、組合つぶしにも使おうとしている。

 第2節 労働契約承継法は労組破壊法だ

 この会社分割法制創設と一体の大攻撃が「労働契約承継法案」だ。
 労働省は、産業再生法や民事再生法成立の際の衆参両院での付帯決議に基づいて「企業組織変更に係る労働関係法制等研究会」を開催して法案を作ったと言って、あたかも企業再編時の労働者保護法であるかのごとく言っているが、とんでもないペテンだ。付帯決議そのものが、自自公主導で提案されたものであり、けっして労働者の権利侵害に配慮したものではない。
 法案では分社化時に労働組合の同意は必要ないとしており、労働法の観点がまったくない。問題にしているのは、労働三権確立以前の戦前に制定された民法との整合性だけである。しかも、企業の合併や営業譲渡についての立法措置は必要ないと言っている。
 民法六二五条第一項には「使用者ハ労務者ノ承諾アルニ非サレハ其権利ヲ第三者ニ譲渡スコトヲ得ス」との規定がある。これを会社分割に適用すれば、新会社に転籍になる労働者一人ひとりの同意が必要になる。それだと簡単に分社化できないから、「その類推適用がないことを明確にする」のが立法の目的だと言うのだ。たとえ形式的であっても現在行われている転籍時の本人同意すら踏みにじるとんでもない攻撃だ。
 すなわち法案では、分割された新会社に移行する労働者のうち分割される業務に従事している労働者についてはそれまでの労働条件などが包括承継されることになるので同意が必要ない、としている。同意が必要ないということは、会社分割・転籍攻撃に拒否権がないということだ。
 これだと、不採算部門の労働者が分社化・転籍攻撃を受けても、分社化時に労働条件さえ同じなら拒否できないことになる。しかし資本は、分社化時だけは以前の労働条件をペテン的に維持したとしても、やがては労働条件を切り下げ、最後的には不採算部門を整理するために倒産・解雇攻撃を仕掛けてくる。むしろ資本はそのためにこそ分社化するのだ。

 第3節 職場闘争と団結で反動法阻止へ

 このような超ど級の攻撃にどのように闘うか。
 第一に、分社化関連二法案粉砕の闘いに決起し、職場における闘う団結を強めることだ。また、たとえどんな反動的な法律ができようと、職場に持ち込ませない闘いをやることだ。
 第二には、国鉄決戦を先頭に、戦争と大失業攻撃に対決する闘う労働運動の新しい潮流の登場をかちとることだ。今こそ「資本主義にノーといえる労働運動」の復権をかちとろう。
 第三には、現在JRでは第二の分割・民営化攻撃がかけられている。これこそ分社化関連二法攻撃そのものだ。「シニア協定」でこの攻撃の先兵を買って出たカクマル=JR総連を解体・打倒しよう。ファシスト労働運動を一掃して労働者の権利を守ろう。

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週刊『前進』(1951号2面3)

 三一闘争

 ゛団交で争議解決″

 支える会が1周年集会

 三月十三日夜、東京・文京区民センターで「三一書房労組を支える会結成一周年総会」と「闘争報告集会」が連続して開かれ、出版産別を中心に首都圏の闘う労働者約百五十人が参加し大成功した。
 最初に支える会の一周年総会が開かれた。その中で支える会の会員数が目標の千口達成直前にあり、今後は千五百口達成を目指して闘うと報告された。
 その後、闘争報告集会に移った。最初に三一労組の三角忠委員長が主催者あいさつで、「当該の団結をさらに強化し、負けない闘いから勝つ闘いへ、知恵と力とできればお金をお願いしたい」と支援を訴えた。
 続いて基調報告を小番伊佐夫書記長が行い、「この三月に向けて大きな動きが出てきている。経営間の争いがどう決着しようとも、三一労組が結成以来の団体交渉で獲得してきた労働協約を遵守させ、団結権、団体交渉権、争議権を主張し、団交で争議を解決するよう求めて闘う。すべては経営と労働組合の力関係である。支援とともにこの苦難をのりこえ、闘争勝利に向け闘い続ける」と堂々と決意を表明した。
 また、「三一闘争を支援する表現者の会」を代表して、作家の別役実さんと宮崎学さんが支援と激励のアピールを行った。
 弁護団から、藤田正人弁護士と鈴木達夫弁護士、学習院大学元教授の宮島尚史弁護士が報告を行った。
 鈴木弁護士は、「不当労働行為責任をだれが負うべきかが大問題になっている。これから逃げ回るために法的制度までできようとしている。しかしわれわれは事実に注目し、不当労働行為救済命令を確実に手にする」と、決意表明した。
 宮島弁護士は、「三一闘争は、労働問題の縮図のような争議だ。向こうがどんな強力な武器を持ってこようと、産業再生法、民事再生法の悪用を職場に入り込ませないぞと、闘いで示すところに三一闘争の意義がある」と、熱烈に訴えた。
 連帯のあいさつが国労と都労連の労働者、全金本山の長谷武志委員長からなされた。三一労組の闘いは広範な闘う労働組合から支持されている。
 圧巻は争議団紹介だった。首都圏の出版産別のすべての争議団が壇上にずらりと並び、それぞれが自己紹介と決意を表明した。闘う労働者の姿が全参加者の共感を呼んだ。
 出版労連の本部役員が、「登壇した争議団を誇りに思う。日産の労働者がゼネストで闘えば日本の世の中は確実に変わる。私も皆さんとともに闘う」と発言。
 そして、三一労組全員が壇上に並び、それぞれが決意を語った。一人ひとりの発言に会場から激励の拍手がわきおこった。
 最後に団結ガンバローで三月二十三日の都労委闘争への決起を誓い合った。
 この日までに地上げ屋の岡部清ら四人が三一書房取締役を辞任していることが判明した。動揺を開始した鈴木経営を追撃しよう。

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週刊『前進』(1951号2面4)

 広島交流センター

 ストで満額獲得を

 マツダ労働者にビラ

 広島県労組交流センターの仲間は、JC回答日の三月十五日早朝、JR向洋駅前でマツダ労働者への宣伝活動を行った。
 マツダは現在、米フォードに事実上吸収される中で激しい資本攻勢をかけている。経営陣は、マツダの心臓部である宇品工場(広島市南区)の五つのラインのうち二つを廃止するという大リストラ計画を発表し、ベアも限りなくゼロに抑え込もうとしてきた。これに対してマツダ労組は、二十六年ぶりにストライキを構えて春闘に突入した。
 トップ交渉にまで登り詰め、六千七百円の賃上げ(定昇込み、昨年並み)で妥結したものの、マツダ労働者の怒りは連合指導部を突き上げ、日経連路線との対決へと向かった。
 「満額獲得・スト貫徹」を呼びかける広島県労組交流センターのビラは、マツダ労働者の手から手へと渡され、読まれた。現場組合員の怒りの爆発に恐怖した連合指導部は、「『スト貫徹』とは組織介入だ」と弱々しくつぶやきながらやってきた。圧倒的なマツダの現場労働者は、連合指導部の統制をはねのけて二〇〇〇年春闘を闘ったのだ。
 いや、闘いはこれからだ。リストラ計画をめぐる攻防は、まだ序曲にすぎない。マツダとフォードを揺るがす大ストライキの爆発は不可避だ。大失業攻撃と闘う労働者の決起は始まったばかりだ。 (M・G)

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週刊『前進』(1951号3面1)

 4月実施中止を 介護保険は絶対ノーだ

 高齢者介護を切り捨て

 40歳以上は4月から大増税

 絶対反対のこれだけの理由

 介護保険制度の四月実施強行がいよいよ目前に迫ってきた。高額の保険料と利用料を取りながら、高齢者から介護を奪い、多くの高齢者を死に追いやる介護保険制度はなんとしてもやめさせなければならない。たとえ日帝が実施を強行しても、多くの高齢者とその家族の怒りが爆発し、大混乱に陥ることは不可避である。四・一行動を突破口に全力で決起して介護保険絶対反対の大衆的闘いを巻き起こそう。

 第1章 福祉費の削減狙い人民から強制徴収 −滞納者に重い制裁

 今こそ介護保険制度の反人民性をすべての人民の前に暴き出し、大衆的な怒りの爆発で絶対に廃止に追い込まなければならない。
 介護保険制度が「介護の社会化」「社会で介護を支える」ものだというのはまったくのペテンだ。介護保険制度の狙いは、何よりも日帝が老人福祉、老人保健制度に支出する財政を大幅に削減することにある。
 現在、老人福祉の財政は国が五〇%、都道府県と市町村がそれぞれ二五%を負担している。これを介護保険の保険料で五〇%を負担し、国は二五%(うち五%は調整交付金であり、実質は二〇%)、都道府県と市町村がそれぞれ一二・五%の負担にしようとするものである。また老人保健制度のうち医療保険にかかわる部分の財政は現在、医療保険からの資金が五〇%を負担しており、国は三三%、都道府県と市町村はそれぞれ八・三%を負担している。これを介護保険が五〇%を負担し、国は二五%、都道府県と市町村は一二・五%の負担にしようというものである。
 これで国の財政負担は約三千七百億円軽減され、医療保険の負担は二兆二千七百億円軽減されるのだ。
 介護保険は、こうして国や地方自治体の財政負担を軽減する一方で、その負担を四十歳以上のすべての人民から保険料の形で強制的に徴収するのである。四十歳から六十四歳までの第二号被保険者は医療保険とあわせて徴収し、六十五歳以上の第一号被保険者については月一万五千円以上の年金がある人については年金から天引きするという過酷なものである。
 これについて大蔵省は「今受けている年金は削れない。でも保険料を年金から天引きし、利用者から一割負担をとるのだから削ったと同じ効果がある」と、介護保険がまさに高齢者からの収奪に狙いがあることをあけすけに語っている。
 しかも介護保険制度には保険料滞納者に対する制裁が設けられており、介護が必要となって申請しても、保険料が滞納あるいは未納だと保険給付が九割から七割に引き下げられ(三割の自己負担、いったん全額を支払い後から七割分が返ってくる)、さらには保険給付を受けられなくなる。また国民健康保険法(第九条)が改悪されており、保険料の滞納者は健康保険証を取り上げられ、医療も受けられなくなる。介護保険料と健康保険料を有無をいわさず強制的に取り立てようというのである。完全に「保険」に名を借りた増税なのだ。
 お金がなくて介護保険の保険料を滞納した人が、利用料をいったん全額払って介護サービスを受けるというようなことは不可能なのである。

 第2章 要介護認定の制度は切り捨ての手段 −「自立」は給付外に

 介護保険はこのように労働者人民に高齢者介護の財政負担を転嫁する一方で、介護そのものは徹底的に切り捨てる。介護保険による介護を受けるには、三つのハードルを越えなければならない。
 第一には、すでに述べた保険料を支払わなければ介護を受けられなくなるということである。第二には要介護認定を受けなければならない、第三には高額の利用料を払わなければならないということである。
 第二のハードルである要介護認定を受けなければ介護保険によるサービスを受けられないということは、介護の切り捨てそのものである。
 要介護認定の調査は、八十五項目の心身の調査が行われ、コンピューターによる第一次判定と要介護認定審査会による第二次判定で行われる。こうした心身の状態だけで要介護認定を行うこと自身に重大な問題がある。さらに要介護認定によって「自立」「要支援」から要介護1〜5と七段階にランクわけすることも大きな問題である。その人がどれだけの介護を必要としているかは、独居だとか、家族が昼間働いているとか、近くに商店がないとか、いろいろな生活条件によってまったく異なってくる。心身の状態だけで決められるものではない。
 これまでの認定の結果では全国で六%の人が「自立」と認定されている。これは、本人や家族が介護が必要だからと申請したにもかかわらず拒否されたということである。その多くは、これまですでに自治体の調査によって介護が必要であると判断されて介護を受けてきた人たちなのだ。
 要介護認定で「自立」と判定されれば介護保険の給付を受けることができない。「要支援」と認定されても特別養護老人ホームなど施設での介護を受けることはできないのである。
 〈Aさんの場合〉
 「自立」と判定されたAさんは八十歳の男性で、三年前に妻を亡くし一人暮らしをしている。過敏性腸症候群、慢性胃炎、腎機能障害、気管支ぜんそくなどの病気を持っており、不眠を伴う自律神経失調症にも悩まされている。自分一人では家事ができない状態で、家事援助ヘルパーに週二回来てもらっており、休日には近くの市に住んでいる息子のつれあいが炊事、洗濯、掃除などをし、また週一回の訪問看護を受け、かろうじて独居生活を維持している。
 Aさんは、ホームヘルパーが来てくれることで生活していけると希望を見いだしていたが、要介護認定で「自立」と判定され、ショックで病状が悪化し入院してしまった。Aさんは介護認定の不服申し立てを検討しているが、それにより「要支援」と認定されても費用負担は現在の六・五倍以上の六千五百円になってしまう。現在は月千円の負担で済んでいるAさんが、今後この負担をしなければならなくなるのである。

 第1節 要介護度低いと排除される

 要介護認定を受けても介護保険によるサービスが受けられるとは限らない。居宅介護サービス事業者や介護保険施設が営利事業となることによって、要介護度の低い人は事業者によって排除されてしまうのである。これは要介護度のランクによって受けられるサービスの限度額に差があること、施設介護であれば介護報酬が違うという仕組みによって引き起こされる重大な問題である。
 すでに要介護度の低い人が「小間切れのサービスはできません」と直接にサービス提供を断られたケースや、「ヘルパーの数が足りないのでできません」と適当な理由を付けて断られたケースが続出している。施設の場合も、申請、調査の段階ではデイサービスの利用者を囲い込んでおきながら、認定結果が要介護2だったためによその良心的な施設にその利用者を押しつけようとするケースが起こっている(要介護2までと3以上では一日の介護報酬が二千八百円以上違う)。
 要介護認定を受けても介護保険のサービスを受けられないということは、介護を受ける権利はないということなのである。
 このように要介護度が高いほど営利企業の利益が上がるという仕組みは、企業にとっては利用者の状態を重くした方が金もうけになるということである。しかも介護事業の経費は人件費が主要な部分を占めており、利潤をあげるためには人件費を削るのが一番の方法となる。これはパートなどの不安定雇用化と人員削減に直結する。介護労働者は重労働を強制され、必然的にサービスの質は低下する。そしてサービスの質が低下し、利用者の状態が重くなれば、企業としてはもっともうかるという構造になるのである。

 第3章 介護水準維持すれば利用料は数倍に −介護のビジネス化

 第三のハードルは、高額の利用料を払わなければならず、低所得の人は金がないために利用できないということである。介護保険の説明を聞いて、とてもその費用を払えないということで、認定を受けること自体をあきらめる人が大量に出ている。さらに要介護認定を受けてケアマネジャーにケアプランを立ててもらった結果、利用料の負担ができないということで介護を受けることをあきらめるケースが続出している。
 〈Bさんの場合〉
 Bさんは八十歳代半ばの男性で、妻(七十歳代)、息子(四十歳代)と同居しており、借家住まいで家賃は六万円、息子さんは「障害」のために就労できず無収入である。二人分の国民年金月約十二万円で生活している。Bさんの病名は変形性脊椎(せきつい)症、脊椎損傷などで重度の医学管理が必要だ。二週間に一回の往診、週一回の訪問看護で介護は妻が行っているが、自宅にふろがないため週一回ずつのデイケア、デイサービスが不可欠である。
 Bさんは要介護5と認定されたが、デイサービスを受けていた施設の「こんなサービスが受けられます」という説明に怒り、「サービスを受けられる余裕がどこにあるのか。四月からの負担が心配でサービスを削りたい」とデイサービスを断った。これまでの負担は月約七千六百円だったのに対し、介護保険になれば同じサービスを受けようとすれば負担は一万七千六百三十一円になる。すでにデイサービスを断っているので、その分を差し引いても一万三千十円の負担だ。介護保険はBさん一家の生活を直接破壊するものなのである。
 これまでの高齢者介護は、所得に応じて利用料を払うことになっており、約八割の人が基本的に無料になっている。介護保険制度では、在宅のホームヘルプサービスでは各サービスによって決められた介護報酬単価の一割を自己負担することになり、特別養護老人ホームや老人保健施設、療養型病床群の施設介護ではそれぞれの要介護度に応じて設定された単価に基づいて一割の利用料を払わなければならない。
 介護保険は、介護認定を受けてもその要介護度ごとに利用限度額が設定されている。それを超えた分については全額自己負担しなければならない。しかも利用限度額で受けられる介護はきわめてわずかであり、すでに介護を受けている人がこれまでの介護水準を継続しようとすれば、負担額は何倍にもなってしまう。
 介護を必要とする多くの高齢者が、介護を受けることで生きがいを見いだしてきた現実がある。一週間に三回とか四回とかデイケアあるいはデイサービスに通うことによって、それがなければ寝たきりになってしまう高齢者が生きがいをもって生活していくことができている。デイケアでゲームをしたり、習字をしたり、絵を描いたりする、そうした他の人とともに過ごす時間の中で生き生きとした表情を取り戻し、生きる力がわいてくるのである。
 訪問介護にしても、そこで介護に来たヘルパーとの会話をとおして他の人とのかかわりを持ち、生きる喜びを感じるのである。わずか三十分の介護ではそうした「おしゃべり」をする時間の余裕はどこにもない。
 介護保険による利用料の自己負担と利用限度額の設定は、必要な介護を削ることを余儀なくさせ、それによってこうした介護のあるべき姿を破壊してしまうものなのである。
 すでに介護保険制度が実施されているドイツでは、高齢者への虐待が横行している。介護保険制度が実施されれば必ずそうなるのである。介護ビジネスの参入によってサービスが向上するどころか、高齢者の状態を一層重くする高齢者虐待の制度なのである。

 第4章 福祉の責任を放棄人民に分断と犠牲 −保険ならざる保険

 現行の医療保険は、病気になり保険証をもって病院に行けばそれで保険による治療を受けることができる。ところがすでに見たように、介護保険では介護が必要になっても介護認定を受けて認定されなければ保険による介護を受けることができない。保険ならざる保険なのだ。この「保険制度」としたことの中にきわめて悪らつな狙いが込められているのだ。
 一つには、一般財源からの支出であれば福祉・介護の充実が直接政府の政策として問題となることに対して、「保険」にすることによって保険料との関係へと歪曲しようと狙っているのである。軍事費や銀行救済の公的資金の投入など、財政の使い方として問題となることを避けようとしている。「介護は金で買うもの」としてビジネス化し、福祉・介護にかかわる政府の責任を完全に放棄するということなのだ。
 だが介護は労働者人民の生きる権利であり、政府には全面的に保障する義務があるのだ。
 二つには、介護を必要とする人がその充実を要求すると、介護保険では保険料の引き上げに転嫁し、保険料の引き下げを要求すれば介護の切り下げに転嫁しようということなのだ。利用者と被保険者を対立させて労働者人民を分断支配し、人民にいっさいの犠牲を転嫁しようとするこの攻撃を絶対に許してはならない。
 労働者階級が介護保険制度の廃止と必要な介護の国による保障の要求を階級的な戦略課題として据えて、この分断攻撃をうち破り、逆に日帝に対する全人民的な怒りの爆発に転化していかなければならない。

 第5章 介護は生きる権利、いのちの要求だ! −全労働者の課題に

 福祉の現場では今、介護をになってきた労働者の「介護が破壊されてしまう」という怒りの叫びが上がっている。介護をになってきた労働者のこの怒りをすべての労働者が自らのものとして共有することによってこそ、介護保険絶対反対の闘いが巨大なうねりとなる展望が開かれる。
 介護や福祉が労働者階級の闘いの獲得物であるという場合、それはけっして抽象的なものとしてあるのではなく、福祉の現場で介護に携わってきた労働者が、利用者の生きるための切実な要求にこたえる中で、その実践と闘いの中で築いてきたものである。
 これまでの高齢者介護も、けっして国・政府が積極的政策としてやってきたものではない。高齢者の孤独死の問題などをとおして、地域住民が自治体に要求し、訪問介護が始まったのである。八〇年代以降の日帝の老人福祉に対する基本姿勢は、中曽根の「老人福祉は枯れ木に水をやるようなもの」という発言に端的に示されている。国は予算を出してきたにすぎないのが実状だ。多くの高齢者が介護を必要としている現実があり、政府がこれを拒否した場合には広範な人民の怒りが沸騰するということを恐れて、渋々認めてきたというのが本質である。
 今、日帝はこの高齢者介護を切り捨て、社会保障制度全体を解体しようとしている。日帝が生き残るために、資本が生き残るために福祉を解体し、高齢者に対して死ねというような制度を導入しようとしていることに対して、労働者人民の怒りの大爆発をかちとらなければならない。
 日帝は一九八〇年代以降相次いで法人税率を引き下げて大企業を優遇し、さらには所得税の最高税率を引き下げて金持ちを優遇してきた。その一方で消費税を導入し、その税率を三%から五%に引き上げて大衆収奪を強めてきたのである。その上さらに、消費税より逆進性の強い介護保険料で労働者人民から収奪しようとしているのである。
 介護保険制度反対の闘いを労働者階級の闘いの戦略的課題として据えきらなければならない。まさに介護保険制度で直接問われているのは、国のあり方そのものなのである。日帝・資本が生きるために金のない高齢者は死ねというこの介護保険制度導入の攻撃に対して、労働者階級人民の生きる権利、基本的人権、いのちの要求として介護保険制度を絶対に中止させなければならない。
 必要な人に必要な介護を求める闘いは帝国主義の打倒にまで行き着く闘いである。「福祉は権利、介護はいのちの要求」というスローガンを全労働者階級のものとして闘おう。

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週刊『前進』(1951号3面2)

 大増税・インフレ・戦時財政 戦争と破滅に突き進む日帝

 政府予算成立を弾劾する

 自自公政権は、三月十七日の参院本会議で二〇〇〇年度政府予算を強行成立させた。予算成立のスピードは昨年をも超えて史上最速となった。労働者人民の生活を破壊し、戦争への道を押し開く反動予算の成立を徹底的に弾劾する。

 第1節 天文学的な長期債務残高

 この予算の最大の特徴は、膨大な国債乱発に依拠した破滅的で反人民的な予算だということだ。日帝は、その行き着く先が何であろうと、ただ目の前の危機をのりきるために、国家の総破産と戦争につながりかねないこうした財政運営にのめり込むほかになくなっている。
 日帝は、この巨大な財政赤字を結局は労働者人民に対する大増税とインフレ政策、戦時財政化で突破する以外にない。銀行を始めとする大資本救済のためにつくり出された赤字は、社会保障と福祉の抜本的解体など、すべて労働者人民に押し付けられようとしているのだ。
 だがそれは、資本家どもがもはや社会を支配し統治する資格も能力も失ったということだ。歴史的命脈の尽きた資本主義・帝国主義を打倒すべき時が来ているのである。
 二〇〇〇年度予算は戦後最悪の赤字予算である。国債の新規発行額は三十二兆六千百億円と戦後最大になり、二〇〇〇年度末の国債発行残高は三百六十四兆円に達する。国と地方自治体を合わせた長期債務残高は六百四十五兆円、GDPの一・三三倍にもなる見通しだ。これは、G7を構成する帝国主義諸国の中では、イタリアを抜いて世界最悪の水準である。まさに日帝は、「二流、三流の帝国主義」への転落を突きつけられている。アメリカの債券格付け会社ムーディーズは、ここぞとばかりに日本国債の格付け引き下げの検討に着手した。対日争闘戦の観点から、日帝の弱点を情け容赦なく突いたのだ。
 小渕の首相就任以来、新規国債の発行額は総額で八十三兆五千億円にも上る。財政赤字拡大への歯止めは完全に失われた。
 自自公は、大資本救済のために野放図な財政支出を繰り返してきた。この予算で銀行には新たに十兆円が投入され、銀行への公的資金投入は七十兆円に達する。さらに公共投資も拡大する。だが、いくら財政出動をしても、不況はさらに深まるばかりである。
 経済企画庁の統計でも昨年十月−十二月期のGDPは二期連続のマイナス成長、年率で前期比五・五%の大幅減となった。政府は「設備投資は回復している」と言うが、個人消費は低迷したままであり、何よりも過剰資本・過剰生産力は何ひとつ解決されていない。
 こうした中で、自民党政調会長の亀井静香らは、予算成立直後に早くも「補正予算を組め」と叫び始めている。赤字放漫財政は、今や日帝経済の中に完全に組み込まれてしまったのだ。

 第2節 消費税率10%へのアップも

 だが、巨大な財政赤字は、日帝にとってももはや放置できない水準に達している。だから日帝は、その一切を労働者人民に押し付けるための新たな攻撃にのりだそうとしているのだ。
 その第一は、労働者人民への大増税である。三月十六日、財界と連合幹部らがつくる社会経済生産性本部は、「消費税率を早期に一〇%に引き上げるべきだ」とする提言を打ち出した。消費税率のアップが、その具体的な数字も含めて公然と語られ始めたのだ。
 こうした大増税攻撃の突破口にあるのが、都知事・ファシスト石原による外形標準課税の導入だ。
 すでに自自公は、巨大な財政赤字を口実に社会保障や福祉予算の大幅な削減に踏み込んでいる。介護保険制度の強行実施を始め、年金制度や医療保険制度の改悪攻撃などである。
 資本救済のためには膨大な金をつぎ込みながら、人民の切実な要求に対してはわずかな予算さえ徹底的に切りつめるのである。その上、消費税まで上げられたら、資本攻勢が吹き荒れる今日、労働者人民の生活は文字どおり成り立たない。
 第二に、今日、支配階級の中から「調整インフレ」論が急速に台頭しつつあることだ。“インフレが進行すれば、その分国債の実質的な価値は下がり、政府の債務返済負担は軽減される。企業の債務についても同様の効果があるから、景気回復にもつながる”というわけである。
 「調整インフレ」論者は、日銀が年率一〜二%程度のインフレ目標を設定して通貨供給量の拡大を図るべきだなどと言う。しかし、インフレ率を「調整」することなど絶対にできない。今日、日銀は異常きわまるゼロ金利政策で金融を超緩和し、資金をジャブジャブに供給しているが、その意図に反して銀行による企業への貸し出しは縮小を続けている。これを無理やりインフレ状態へもって行けば、今度は逆に誰にも止められない激烈な悪性インフレが進行するしかない。
 こんなことが実際に行われたら、社会は大崩壊し、労働者人民の生活は根底から破壊されてしまう。人民が爪(つめ)に火をともして蓄えたささやかな預貯金さえ、まったく無価値にされてしまうのだ。

 第3節 歯止めのない大軍拡の道へ

 第三に、二九年型世界大恐慌過程が進行する中での巨大な赤字財政は、戦時財政化を急速に引き寄せているということだ。
 二〇〇〇年度末の国の債務残高はGDPの一・〇九倍となる。これは一九四二年と同様の水準だ。戦時下のこの膨大な財政赤字は、戦後の猛烈なインフレを引き起こし、人民が強制的に買わされた国債は紙くずと化した。
 すでに今日の国家財政は、赤字の規模という点では戦時と同じレベルに突入している。同時にそれは、実体的にも戦争中心、軍需中心の経済構造の形成を激しく促進するものとなる。
 アメリカの株価は年初以来、一万jを割ったり、乱高下を繰り返している。全世界がアメリカのバブル崩壊におびえ、浮き足立っている。それが現実化した途端に、二九年型世界大恐慌の地肌はむき出しとなり、世界経済のブロック化と収縮化、帝国主義間争闘戦の激化が急速に進むのだ。
 こうした中で米帝は、中国大乱情勢を見据えつつ、対日争闘戦を激化させ、朝鮮・中国侵略戦争の発動へと突き進もうとしている。これに対して日帝は、日米新安保ガイドライン体制を形成し、必死で危機の打開と延命の道を探っている。昨年五月のガイドライン法の成立は、日帝の国家のあり方を「戦争のできる国家」へと大きく転換させるものであった。
 こうした中で、日帝の財政規律は根底において溶解しているのである。軍事予算の際限ない拡大への歯止めは、すでに大きく取り外されている。事実、二〇〇〇年度予算には「不審船」対策のためのミサイル艇整備費や、空中給油機導入のための調査費、対核・生物化学兵器部隊の創設に向けた予算などが盛り込まれた。「専守防衛」の建前は、すでに予算の面でも公然と踏みにじられている。
 こんな反人民的で破滅的な予算を、自自公はまともな審議もせずに無修正で通過させたのである。民主党や日本共産党も、何ひとつ抵抗することなく予算の成立に手を貸した。
 だが、労働者人民の反乱は必ず巻き起こる。資本家どもは、膨大な財政赤字の犠牲を人民に押し付け、福祉切り捨てと大増税の介護保険制度の四月実施を強行し、生きるすべまで奪おうとしているのだ。衆院選決戦勝利、自自公政権と石原都政打倒へ巨大な闘いをつくり出そう。

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週刊『前進』(1951号4面1)

 広島全県で「日の丸・君が代」強制を拒否

 「僕たちは着席します」

 中学生が抗議行動に決起

 広島全県で、高校(前号報道)に続いて中学校における「日の丸・君が代」強制反対の闘いが高揚した。
 新聞報道によると、新市(しんいち)町中央中学校では、「日の丸」を撤去させ「日の丸・君が代」のない卒業式を闘いとった。府中市の各中学校では、これまでどおり「『君が代』斉唱」はなく、城西、向島、安浦、十日市、高屋の各中学校などで、卒業生や在校生のほとんどが着席した。全県の学校で、教職員、生徒、保護者が断固着席するなど、徹底抵抗が貫かれた。
 ここでは、焦点となっている東広島市高屋中学校の闘いを紹介する。三月十一日に行われた高屋中学校の卒業式は、「国歌斉唱」の声がかかるや、卒業生が一斉に着席を始め、卒業生三百人の七割が静かに波状に着席した。その闘いは、三月十六日の朝日新聞で次のように報じられた。
 哲君は式当日の朝、同級生の修君と、紙に書いた言葉を読み上げた。二週間前から二人で練った言葉だった。
 僕たちは「国歌斉唱」の時に着席します。なぜ、着席するのかをみんなには知っておいてもらいたいので、これから発表します。これまで授業でやってきたように、かつて「日の丸」「君が代」は、どんな「日本人としての自覚」をつくったのでしょうか。他国を、他民族を侵略し、占領し、土足で踏みつけて恥じない。それどころか、そうすることが「お国のため」「天皇陛下のため」と信じて疑わない。大日本帝国臣民を作り出してきたのではないでしょうか。この事実は、時代が変わっても変えられないはずです。しかし、日本政府は、これらの事実をねじまげて、過去を反省せずに法制化してしまいました。これは許されないことだと思います。これが反対する理由の一つです。
 もう一つは、国旗、国歌の強制ということです。国や県は、決して強制はしないと言っていますが、卒業式というみんなが一斉に同じことをしなければならない空気の中で拒否することはとてもつらいと思います。それ自体が強制だと思います。世の中にはいろいろな考えを持った人がいるので、そういう少数の意見を聞かないで、法制化したからと言って、学校に押しつけてはいけないと思います。卒業式は僕達のものです。国家権力が立ち入るものではありません。このような考えから、国歌斉唱に反対し、その意志表明として着席します。
 一気に読んだ。教室が一瞬シーンとなり、「おおー」どよめきが上がった。一人の級友が手を挙げて「じゃあ、みんな座ればいいの?」。哲君は「自分で決めてね」と答
えた。「担任の先生に責任はかからんの?」と心配する声もあった。「あくまでぼくらの意志じゃけん」。(文中仮名)
 卒業制作のステンドグラスを覆うように、今年から「国旗」が掲揚されたその前で、生徒たちは座った。
 卒業式後、辰野教育長に報告し恫喝された校長は、十三日、高校の合格通知を受け取りにきた卒業生のうち生徒会の代議員や班長三十人を個別に呼んで調査を行った。教職員をとおして「『斉唱』時に起立したか着席したか」「着席した理由は」「真剣な考えでやったのか」「授業での『日の丸・君が代』が影響しているのか」などと尋問し、「自分の意志ではない」と言わせる方向に誘導し、結果を生徒名を記して報告させた。「着席した十九人のうち、二人が『自分の意志で着席した』と答え、他の十七人は『高校の卒業式で生徒らが着席した様子などテレビで見て』『ほかの人が着席したから』と答えた」などという結果から、生徒たちの着席は、「付和雷同の行動」「自分の意志ではない」と決めつけた。翌十四日には、卒業生全員を登校させ、「周りにつられて着席したのはよくない」と恫喝した。ついに辰野教育長は、生徒に対する「調査・是正」指導にまで踏み込んだのだ。
 辰野教育長は卒業式・入学式を前にして、中学校や小学校における「君が代」の指導、音楽の担当教員による式での伴奏を行うよう徹底した。これに対して広教組は、担当教員への強制をやめるよう申し入れ、分会では未加入教職員も含む教職員が必死で抵抗し、保護者も強制反対の申し入れやビラまきを行い、息づまる攻防が最後まで続いた。
 特に東広島市では、校長会が辰野の手先となって、「『日の丸』は平和のシンボル」「『君が代』の『君』は天皇と国民」「式の厳粛をそこなう行動はするな」と「国旗掲揚・国歌斉唱」を迫った。
 この中で中学生たちは、「『日の丸・君が代』NO」「自分たちの未来は自分たちで開く」と渾身(こんしん)の決起を始めたのだ。それは校長や一部の屈服した教職員への弾劾であり、闘う教育労働者への「先生頑張って」という激励であり、たくましい戦闘宣言である。
 この闘いに恐れをなし、巻き返しを図ろうと生徒個人個人を押さえ込むやりかたは、まさに戦前の特高警察のような人民監視だ。
 しかしそんなやり方は、絶対に通用しない。早速、当該の中学校、県教委、東広島市教委には、抗議が殺到している。
 中学生の保護者たちは「調査や指導は『君が代』に対する生徒の表現の自由も侵す。子どもを一人の人間としてとらえられない校長の態度は理解できない」「思想信条の自由を認めようとしない学校の姿勢は許せない」と抗議している。
 広教組は「『座ったか』『どう思ったか』と聞くことや事後指導することは、子どもと教職員の力関係において子どもに精神的圧迫を与えるものだ」と書記長の談話を発表し、十六日申し入れ行動を行った。
 県教委には「とめよう戦争への道!百万人署名運動広島県連絡会議」(代表 北西允広島大学名誉教授)の抗議文が提出された。東広島市教委へは、百万人署名運動連絡会議が訪れ抗議した。県議会予算特別委員会では、被爆者で元広教組委員長の石田明議員が、「『日の丸・君が代』での調査は、子どもの心に動揺を与える。内心にこんなに踏み込んでいいのか」と辰野教育長を徹底追及した。
 広教組・広高教組の闘いは、すべての労働者人民の闘いへと今、大きく広がろうとしている。闘えば勝てる。闘えば未来が開けるのだ。全国で広教組・広高教組の闘いに続こう!

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週刊『前進』(1951号4面2)

 大激動の中国・台湾情勢

 「中国大乱」への扉開く台湾国民党支配の崩壊

 米日帝の侵略戦争攻撃粉砕を

 坂本千秋

 三月十八日の台湾総統選で、野党・民主進歩党(民進党)の陳水扁(ちんすいへん)が当選し、与党・国民党は第三位に転落、惨敗した。国共内戦で蒋介石が台湾にその政権を移して以来、過去半世紀にわたる国民党の一党独裁支配が劇的に崩壊したのである。この歴史的事態は、中国スターリン主義を決定的に揺さぶり、その体制的危機爆発の扉を開こうとしている。米帝と日帝はこの情勢に激しく身構え、台湾海峡への軍事介入と朝鮮・中国侵略戦争への策動をますます強めている。オーストリアの極右連立政権登場に震撼(しんかん)するヨーロッパに続き、東アジアにおいても、一九三〇年代的な階級的大激動の時代がついに本格的に開始されたのだ。

 第1章 50年間の独裁政治倒した台湾総統選

 三月十八日、台湾は、全島を挙げた興奮のるつぼと化した。五月二十日退任予定の李登輝の後を継ぐ台湾の新総統(大統領に相当)に、野党・民進党の陳水扁が初当選を果たし、戦後五十余年にわたって台湾を支配してきた国民党から権力の座を奪い取ったからである。
 選挙は陳水扁と、国民党公認候補の連戦、さらに公認争いに敗れて国民党を除名され無所属で出馬した宋楚瑜(そうそゆ)の、有力三候補の間で争われ、陳が宋を大接戦の末に打ち破って勝利した。これに対して李登輝が正式に後継者に指定していた現副総統の連戦は、陳に二百万票もの大差をつけられて惨敗した。
 一夜明けた十九日には、数千人の群衆が李登輝の辞任を要求して国民党本部を包囲し、警官隊と衝突した。反李登輝の騒乱は、二十日には台湾全土に拡大した。台湾政治の頂点にあって強大な独裁権力を握り続けてきた総統に対する公然たる批判が、しかもこのような激しい形で噴き出したことは前代未聞である。
 この抗議行動を前にして、李登輝は、九月に臨時党大会を開いて党主席を辞任すると発表した。さらに宋楚瑜は、国民党に代わる新党の結成を宣言、かつて蒋介石・蒋経国父子の時代に党と国家の要職を独占しながら李登輝体制下で党内非主流派に転落していた外省人(大陸出身者)の糾合に動き出している。今や国民党の大分裂も避けられないという情勢に突入した。
 事態の核心は、半世紀にわたる国民党政権の強権的支配とその不正・腐敗に対する台湾人民のせきを切った怒りの爆発が、国民党をついに政権の座から引きずり下ろしたという点にある。

 第1節 白色テロルと金による支配

 まず、台湾人民にとって国民党とは何であったかをはっきりさせよう。
 国民党政権は、一九四五年の日帝の敗戦と台湾人民の植民地支配からの解放もつかの間、中国大陸からのりこんで台湾の新たな支配者となり、一党独裁の反共軍事政権として人民の頭上に君臨してきた政権である。その出発点は、一九四七年台湾人民の二・二八蜂起に対する血の圧殺と人民大虐殺にある。
 「イヌ(日本人)去りてブタ(国民党)来たる」――日帝支配からの解放と中国への復帰に歓喜した台湾人民の前に登場した蒋介石の政府と軍は、しかしその歓喜を絶望に変える存在以外の何ものでもなかった。彼らは日帝が残した資産をもっぱら自らの私腹を肥やすために接収し、人民には略奪と暴力をもって臨んだ。四七年二月二十八日、人民の怒りは国民党政権に対する蜂起に発展し、これへの残虐きわまりない鎮圧・報復により数万人が虐殺され、二週間にわたって台湾全島が血の海に沈められた。
 以来、人口の二〇%にも満たない「外省人」(その大半は中国共産党との内戦に敗れて台湾に移住した蒋介石直系の軍・国民党関係者とその一族)が富と権力を独占し、台湾で生まれ育った「本省人」を差別し支配する構造が定着した。戒厳令の継続と「党禁」=国民党以外の政党の結成禁止、軍と秘密警察の白色テロルによる恐怖政治がこれを支えた。二・二八蜂起の犠牲者は闇から闇に葬られ、その死を悼むことさえ禁止された。蒋介石の死後は息子の蒋経国が独裁者の地位を継承した。
 これに対して台湾人民は知識人を先頭に、国民党政権の軍事独裁と「大陸反攻」政策へのアンチテーゼとして、民主化と台湾の自決を要求する新たな闘いに立ち上がった。七九年の政治雑誌『美麗島』の創刊と知識人らの公然たる民主化闘争への決起(美麗島事件)はその頂点である。この時弾圧を受けた人びとの中から、今日の民進党の母体が生みだされた。
 八七年の蒋経国による戒厳令解除と「上からの民主化」の開始、八八年李登輝の総統就任に始まる国民党の権力構造内部における本省人の進出は、こうした中で政治支配の危機に直面した国民党中枢が、むきだしの軍事独裁という旧来の形態をもはやそのまま維持できなくなってきたことの現れである。だが、政権の反人民的・強権的な本質は何ひとつ変わってはいない。
 むしろ、暴力団と金権に依拠した政治(黒金政治)の腐敗は、李登輝体制のもとでますます進んだのである。蒋介石時代からの国営企業の党資産化に加え、党営企業を設置して公共投資の受け皿とし、そこに発生するばく大な利権で私腹を肥やすことが横行した。さらには党営の投資会社を設立して株式投機や不動産投機にのりだし、露骨なインサイダー取引によって濡れ手に粟(あわ)のぼろもうけに走ってきた。
 これら党営企業の数は九八年末で三百社を超え、その純資産は六百八十三億元(約二千二百五十四億円)と言われている。李登輝が国民党内の主流派にのしあがることができたのは、この党営企業から入る巨額の政治資金を一手に独占してきたことによるものだ。
 他方で、労働者人民に対しては徹底した搾取と収奪の政策を展開し、昨年九月の台湾中部大地震の被災者に対しても、何の対策もとらないという悪らつな態度を取り続けてきた。総統選に先立つ三月十一日、被災地の人民二千人が台北市内で政府の無策を糾弾するデモ行進を行ったが、国民党の市長はこれをいったん不許可にした。
 この国民党支配に対する台湾労働者人民の積年の怒りが、総統選を水路として、今や一斉に噴き出し始めたのだ。「この社会を変えたい」という人民のせっぱつまった思いと決起こそが、台湾の歴史を塗り替える巨大なうねりとなって国民党を追いつめ、総崩壊のふちにたたき込んだのだ。だがそれは、これから始まる一層の階級的大激動のほんの入り口にすぎない。
 すでに台湾の政治と社会は総統選を転換点に、巨大な流動と再編のまっただ中に突入した。議会(立法院)では二百二十五議席中七十議席と完全な少数派にとどまる民進党は、超党派による連合政権樹立を呼びかけているが、政局の安定が得られる可能性はまったくない。外省人と本省人との歴史的な対立・矛盾をも背景とした台湾支配層内部の分裂と抗争、全政党をまきこんだ権力闘争のさらなる激化は避けられない。
 そして何よりも、ここに新たに開始された台湾労働者人民の闘いは、その苦闘の中から民進党をものりこえて、台湾と全中国のプロレタリアート人民の真の階級的利害を体現し、帝国主義とスターリン主義をともに打倒する新たな革命的政治勢力の成長と登場を、必ずや準備するものとなるであろう。その時、全情勢はさらに一変していくのだ。

 第2章 中台関係の激変に脅える江沢民体制

 台湾総統選とその結果は、中国スターリン主義にきわめて大きな衝撃を与えている。八九年、東西ドイツを分かつ「ベルリンの壁」の崩壊は、ソ連・東欧スターリン主義の大崩壊の引き金を引いたが、台湾における国民党支配の崩壊―中台関係の激変は、中国スターリン主義にとってまさにこの、ベルリンの壁崩壊にも匹敵する決定的な位置をもっているのである。
 何よりも、台湾における国民党政権の倒壊は、中国スターリン主義がその上に成り立ってきた第二次大戦後の中台関係の基本的な枠組みを、その最も根底的なところで突き崩すものであるということだ。
 戦後の中台関係の本質は、国共内戦(=中国革命)の特殊な継続としての中国大陸における共産党支配と台湾における国民党支配、この両者の対峙・対決構造にある。米帝は一九五〇年の朝鮮戦争を契機に、台湾に逃れた蒋介石政権への政治的軍事的テコ入れを行い、対中国の反共軍事基地国家として育成することで、朝鮮南北分断支配と並ぶ帝国主義の戦後アジア支配のかなめとした。
 七〇年代以降の米帝の対中政策の転換・「米中接近」は、ソ連スターリン主義との(核)軍事対決と対日争闘戦を一体的に推進するための、中国スターリン主義との一定の取引関係の形成にあり、その限りで台湾政権の利害を部分的に抑え込むというものでしかなく、反共・反中国という米帝の基本的立場を変えるものではまったくなかった。

 第1節 ゛中台対峙゛の維持と再生産

 他方において、中国人民の偉大な民族解放・革命戦争の毛沢東主義的歪曲として成立した中国スターリン主義は、そのスターリン主義反革命の本質ゆえに不可避に生みだされる内外の危機と矛盾をのりきるテコとして、中台間の政治的軍事的な対峙・対決構造の維持と再生産を絶対不可欠としてきたのだ。国民党による台湾支配はその意味で、中国スターリン主義の反人民的な国家体制をいわば裏側から支える補完物であったと言っていい。
 今日、ソ連崩壊後の残存スターリン主義・中国の体制的危機の全面的な深まりと、その危機をついた米帝、日帝による中国スターリン主義国家の究極的な転覆をもかけた朝鮮・中国侵略戦争策動が急速に激化する中で、江沢民体制にとっては「台湾解放」を国是とする「一つの中国」政策をあくまで掲げ続けることが、体制の存亡にかかわるものとなっている。
 この中で中国スターリン主義は、「一国二制度」という新たな台湾統一方針を打ち出し、帝国主義による台湾の取り込みと反共軍事基地としての再強化を許さず、逆に中国スターリン主義の制圧圏下に積極的に組み込むことに全力を挙げている。帝国主義の戦争重圧に追いつめられる中で、統一のために必要なら公然たる武力行使も辞さないという焦りに駆り立てられてきているのだ。
 また経済的にも中国は、台湾経済との間に今日、切っても切れない相互依存の関係を深めている。台湾企業の対中投資は、大型投資や香港などを経由しない直接投資が規制されている中で、すでに外資全体の一割近くを占め、さらに増大の傾向にある。中台貿易は過去十年間に年平均三二%の増加率を示し、九九年には過去最高の二百五十八億jに達している。
 こうした中で国民党政権が崩壊し、「台湾の独立」をも公然と掲げる民進党が政権の座につくことは、中国スターリン主義にとっては「台湾の失陥」にも等しい事態として、絶対に阻止しなければならないものだったのである。中国による「台湾白書」の発表と、中国指導部による陳水扁への名指しの攻撃、「台湾独立は戦争を意味する」という中国軍のむきだしの軍事恫喝は、まさにそうした絶望的な危機感と焦りの表明にほかならない。

 第3章 全土にスターリン主義支配との激突

 台湾総統選が中国スターリン主義に巨大な衝撃を与えているいまひとつの問題は、戦後五十年続いた国民党支配体制を台湾人民が実際に打倒し、転覆したことが、中国スターリン主義に対する全中国人民の大反乱の歴史的引き金を引くことだ。彼らは今、その現実性をまざまざとつきつけられ、恐怖のどん底にたたき込まれている。
 三月十八日以降、中国当局は、「台湾の独立を許すな」というそれまでの激しい宣伝・扇動をぴたりと中止した。さらに北京大学の学生を先頭とした街頭デモへの動きに対し、「社会不安につながる」としてデモの禁止を通達した。
 どんな動機に基づくものであろうと、たとえ官許のデモであったとしても、大衆の自主的な政治的行動をいったん許すならば、たちまちのうちに第二の天安門事件に発展しかねない。中国スターリン主義の政治支配の危機は、すでにそこまで深まっているのだ。スターリン主義の強権的な政治支配体制をあくまで維持しつつ、経済面では資本主義の弱肉強食の原理を全面導入し満展開させることによって当面する危機の打開をはかるという、反人民的な政策のもたらす矛盾は今や耐えがたいほどに増大してきている。
 三月五日から十五日にかけて開かれた全人代(中国全国人民代表大会)での報告によれば、国有企業改革でレイオフ(一時解雇)された労働者は昨年千百七十四万人に達し、昨年末時点で六百五十万人が再就職できず、しかもその一割に相当する六十〜七十万人が行政当局の財政難によって最低生活費の支給すら受けられない状態にあるという。このほかに五百七十万人の完全失業者(最低生活費の支給はない)が都市におり、農村には内陸部を中心に七、八千万人の出稼ぎ労働者が、出稼ぎ口を失ったまま滞留している。
 二月二十五日には、中国東北部の遼寧省で、工場閉鎖に抗議する一万人の労働者デモが警官隊と衝突、多数の車が焼き払われ、二百人が死傷するという大闘争が発生した。その十日前には湖北省から中央政府への直訴に上京した農民が、天安門広場で爆弾を抱えて抗議の自殺をする事件が起きている。同様の激しい闘いが連日、全土で発生し、その中で法輪功などの気功集団や各種の宗教団体が、弾圧にもかかわらずますますその勢力をひろげている。まさにかつての清朝末期にもひとしい、中国社会の自己崩壊がすでに始まっているのである。
 さらに、チベットを始め中国内諸民族に対する中国スターリン主義の大国主義的な民族抑圧への怒りも、一層爆発してきている。
 これら中国人民の怒りは、生活苦への怒りであると同時に、人民の苦しみをよそに汚職・腐敗の泥沼にどっぷりとつかった中国スターリン主義官僚とその支配にこそ向けられているのだ。この問題が中国共産党の一党独裁支配の根幹を揺るがしかねないことに恐怖した党中央は、地方・下級の党と政府幹部を中心に、昨年一年間で六千三百人を汚職で摘発、解任した。だがこれがアリバイにすぎないことは明白であり、全人代での検察報告・司法報告にはともに四分の一を超える大量の批判票が集中した。
 朱鎔基が政府活動報告で大々的に打ち出した「西部大開発」の計画も、経済格差を縮小するどころか、沿海部に続いて巨大な農村部を抱える内陸をも、帝国主義資本を先頭とした利権集団や投機師の前にそのエサとして差し出し、人民の生活を一層破壊し食い物にしていくものでしかない。これへの怒りが、労働者と農民のさらなる大決起に発展していくことは明らかだ。

 第4章 戦争と革命の時代に突入したアジア

 今や、台湾情勢の激動とその中国大陸への波及は、残存スターリン主義・中国の体制的危機の大爆発、「中国大乱」情勢への突入があらゆる面で不可避であることを示している。
 二〇〇〇年がまさに、中国情勢を噴火山とする東アジアの革命的激動に向かっての、壮大な歴史の分岐点であることがいよいよ、決定的に明らかになってきたのである。
 米帝、日帝を始めとする国際帝国主義は、この情勢に直ちに反応し、政治的軍事的に介入し、帝国主義による新たな「中国分割」と、アジア支配をめぐる帝国主義間争闘戦にうって出ようと激しく身構え始めている。
 とりわけ米帝は、中国スターリン主義に一層の重圧を加え、ぐらぐらに揺さぶり、アジア情勢全体へのコントロールを強めつつ、日帝の中国侵略とアジア勢力圏化策動を先制的にたたきつぶすためにも、朝鮮・中国侵略戦争への突入を本気で準備しつつある。それが米・日・中・ロを始めとした東アジアにおける軍事大国・核大国をすべて巻き込んだ世界大戦級の大戦争に発展すること、ひいてはヨーロッパ諸国をも含めた世界戦争=第三次世界大戦に行きつくことを完全にみすえて、その準備に本格的に入り始めている。
 これに対して日帝は、一九三〇年代的危機の本格的な爆発を前にして、国内政治支配と侵略戦争体制形成上の絶望的な立ち遅れをつきつけられ、文字どおり帝国主義としての死の苦悶(くもん)にのたうち回っている。その中から、なんとしてもこの立ち遅れを突破し、アジアにおける最も凶暴な侵略帝国主義として躍り出ようとしている。
 都知事・ファシスト石原の、中国や北朝鮮への敵意と帝国主義的民族排外主義、侵略思想をむきだしにした許すことのできない極悪の言動は、その先兵の役割を担うものだ。絶対に許してはならない。
 そして何よりも、日米新安保ガイドラインと沖縄基地をめぐる闘いが、今日の朝鮮・中国危機、アジア危機爆発の中で決定的な戦略的位置をもつことをあらためて確認しよう。闘う朝鮮・中国・アジア人民との真の連帯をかけて、衆院選と沖縄、労働戦線をめぐる二〇〇〇年の三大決戦、とりわけ沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止の決戦に総力決起し、その絶対勝利をかちとろう。

 ■戦後の中台関係■
1945年 日帝の敗戦と解放。国共内戦突入
1947年 台湾人民の2・28蜂起とその圧殺
1949年 中華人民共和国成立、蒋介石は台湾へ敗走
1950年 朝鮮戦争突入。米は蒋介石政権に経済・軍事援助開始
1965年 中国で文化大革命始まる。中ソ対立、ベトナム戦争激化。
1971年 米が対中政策を転換。中国が国連加盟、台湾は脱退
1972年 ニクソン米大統領訪中。日中国交回復・日台断交
1975年 蒋介石死去
1979年 中国が改革・開放政策に転換。米中国交回復、米台断交・台湾関係法制定。台湾で美麗島事件
1981年 中国が「一国二制度」を含む台湾統一の9項目提案
1987年 台湾で戒厳令解除
1988年 蒋経国死去、李登輝が総統就任
1989年 中国天安門事件
1995年 李登輝訪米
1996年 台湾初の総統選で李登輝当選。中国がミサイル演習、米は空母派遣
1997年 香港返還。江沢民訪米
1999年 台湾大地震。マカオ返還
2000年 台湾総統選で国民党惨敗

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週刊『前進』(1951号5面1)

 迫る有事立法攻撃に反撃を

 新ガイドライン発動のために自自公が改憲とセットで策動

 戦争体制づくり阻止せよ

 有事立法攻撃が強まっている。改憲攻撃と一体で進んでいる。革共同は「二〇〇〇年一・一アピール」で有事立法・改憲攻撃粉砕の歴史的大闘争に直ちに突入することを宣言した。二〇〇〇年決戦の政治闘争の柱の一つとして、日本階級闘争の最大の政治決戦として闘うことを訴えた。有事立法・改憲攻撃は、新ガイドライン発動の攻撃だ。日本帝国主義の朝鮮・中国侵略戦争突入を具体的に想定した攻撃である。敗戦帝国主義としての戦後日本のすべてを反動的に転覆しようというのだ。「戦争をする国家」として必要なあらゆるものを備えるとするものだ。有事立法・改憲阻止決戦を、九九年ガイドライン決戦を何十倍、何百倍もの大闘争としてぶち抜くために準備を強めなくてはならない。そのために、有事立法攻撃の現段階がどうなっているかを明らかにする。

 第1章 小渕が訓示「有事法制制定は避けて通れぬ」

 「自衛隊が任務を有効、円滑に遂行するための施策を検討する必要があり、有事法制は避けて通れない」「有事法制は……平時においてこそ、備えておくべきだ」。これは、三月十九日に行われた防衛大学校の卒業式で、小渕が訓示した言葉だ。日帝が有事法制策定の衝動に突き動かされていることを示す言葉だ。しかも、彼らは焦りに焦っている。
 これに先立って、自自公三党は有事立法攻撃をさらに一段と強め始めていた。
 もともと自自公三党は、連立政権合意書(九九年十月)で、@有事法制の立法化、A領域警備についての法整備、BPKF本体業務の凍結解除のための早急な法的措置、CPKO以外の国連活動(多国籍軍への参加だ!)に参加・協力するための法整備、を課題に挙げ、「法律改正等を通じその実現を図る」とした。むろん、D臨検新法の早期成立合意は前提になっていた。昨年新ガイドライン戦争法を強行成立させた時に、成立させられなかったあの臨検新法である。これらを推進するために、自自公三党安全保障プロジェクトチームを設置した。
 だが、これらは自自公連立政権発足後、何ひとつ実現していない。世界大恐慌過程の深まり、日帝危機の泥沼的進展、日米争闘戦の破局的激化を背景に、今や日帝は焦りと危機感を強めている。そこから凶暴な有事立法・改憲攻撃を繰り出してきているのだ。
 三月八日、自自公三党安保プロジェクトチーム座長会は、@有事法制制定を政府に求める、APKF参加凍結解除のためPKO法改正を行うことを打ち出した。有事立法とPKF参加凍結解除を先行させるという決定だ。
 これを受けて、三月十六日、自自公政策責任者会議は、政府に対して@有事法制制定、APKF参加凍結解除のための法改悪を申し入れた。こうした動きと並行して、防衛庁は交戦規則(ROE)(*)策定に本格的に着手することを発表した。自衛隊は、新ガイドラインの発動に向けて、有事立法の策定を前提にして、具体的な戦争の準備に突入したのだ。
 新ガイドラインの発動とは、日帝が帝国主義国家として、朝鮮・中国侵略戦争に突入することである。自衛隊が朝鮮・中国に侵略出兵し、国内をわがもの顔でのし歩くことだ。沖縄を中心として日本全土を出撃・兵站(へいたん)・補給・訓練の基地とし、全土を臨戦態勢にすることだ。そして、この侵略戦争に労働者人民を総動員することなのだ。
 そのために、日帝国家は戦争遂行のために障害となるような憲法・法律を停止し、戦争に反対する労働者人民を牢獄にたたき込むことができる「法的根拠」を必要としているのだ。それが有事立法だ。これと一体で「戦争をしない国家」を前提にしている憲法を破棄したいという日帝の衝動は高まるばかりだ。日帝の残虐きわまりないアジア侵略戦争−第二次世界大戦を総括した労働者階級人民は「二度と侵略戦争をさせてはならない」と心に誓ってきた。その日帝が再び侵略戦争を強行しようとしている。どんなことをしても、阻止しなくてはならない。
 「二〇〇〇年一・一アピール」で提起したように、有事立法・改憲決戦は、戦後政治史を根底から塗り替える攻撃との歴史的大決戦となる。階級闘争の一切合切をかけた決戦に必ず発展する。有事立法攻撃の強まりに全力で反撃に立ち上がろう。
(*)交戦規則=ROE自衛隊が出動して武力行使する時に、部隊の行動要領や武器使用する基準、武器の種類などを具体的に定めたもの。

 第2章 有事立法準備と一体化して進む軍事演習

 有事立法攻撃の速度が上がっている。きわめて重大なことは、すでに「有事法制法案」が準備されていることだ。それは、防衛庁が中心となって一九七七年八月から進められてきた「有事法制研究」をとおして準備されている。自自公体制とそのもとでの翼賛国会に「法案」が提出されるなら一気呵成(かせい)に強行成立させられてもおかしくない情勢にある。このことを危機感を込めて全人民に訴えなければならない。
 それと同時に、九九年ガイドライン決戦をはるかに上回る労働者人民が決起すればそれを粉砕できることも明らかだ。労働者人民の有事立法・改憲決戦への総決起を訴えよう。
 すでに自衛隊は、有事法制の存在を前提に演習を行っている。昨年十月二十七−二十九日に日本原演習場(岡山県)で陸上自衛隊第八普通科連隊が行った戦闘訓練がそれを示した。
 「情勢が緊迫している」段階では、敵の侵攻に備えて、部隊は数日前から障害物の有刺鉄線を各所に張り巡らし、身を隠して機銃掃射するための塹壕(ざんごう)を幾重にも掘った。後方には資材が運び込まれ、仮設の指揮所などが構築された。さらに四輪駆動車やトラックが通れるよう山道を整備拡幅する。山道づたいに武器弾薬を積んだ車両が結集する。
 ところが現行法では自衛隊法一〇三条が規定する、自衛隊出動時の物資の収用、土地の使用などに関する政令がなく、自衛隊は塹壕を掘ったり、指揮所の構築はできない。また、部隊が展開する場所によっては、海岸法・河川法・森林法・自然公園法などによって、木材の伐採はできず、土地の形状変更も制限されているため、陣地構築などを勝手にはできない。
 また、道路法によって、道路や橋を自衛隊が許可を受けずに補修できない。火薬類の運搬に関する総理府令によって、夜間の火薬類の運搬が禁止されているため、昼夜を問わず弾薬輸送をすることができない。
 「戦闘開始」段階では、午前三時、暗視ゴーグルを着けた部隊は、偽網で迷彩を施した四輪駆動車やトラックに乗り込む。行動は隠密が原則で、車は無灯火のまま発進した。激しい交戦の末、負傷者が後方地域に設けられた野戦病院に収容されたという想定だ。
 ここでも道路交通法によって夜間無灯火通行や車両への擬装は禁止されている。医療法は病院設備の構造設備を決めているので自衛隊が勝手に野戦病院をつくることができない。
 訓練項目には入っていないが、戦闘地域周辺の住民を避難させることも想定している。だが、そのための法律は何もない。
 また、二月に行われた日米統合共同演習では、「不審船で侵入したゲリラが公共施設を爆破したり、職務質問の警察官を射殺したりしたため、首相が治安出動を命じた」ことを想定して演習を行った。ここでも自衛隊は治安出動で限定されている武器使用の基準を超えた武器使用が前提とされている。「不審船対策」として進めている海上自衛隊の「特別警備隊」や「初動対処部隊」の新設・配備は、有事立法や領域警備法制定の先取りそのものだ。「不審船」の口実があれば武力行使は自由に行ってよいとするものなのである。
 このように自衛隊は、現行法を無視して戦争の準備を進めている。それを誇示して、一日も早く有事法制を制定せよと反動的に主張しているのだ。
 自自公政権が国会に提出する「有事法制」は、現行法の規定で戦争遂行の障害になる規定に「自衛隊の行動の自由」を保証する例外規定を設けるか、「自衛隊の行動の自由」を正面から掲げた条項を設けるかになるだろう。いずれにしても日帝国家が、戦争優先・軍事統制、国益第一・私権制限を貫くことのできる「法的根拠」を求めて、有事立法=戦時立法制定に突進し始めたのである。
 戦後階級闘争の全蓄積をかけて、これを粉砕しなければならない。

 第3章 朝鮮・中国侵略戦争に全体重かける日帝

 世界大恐慌過程下で深まる危機ののりきりと日米争闘戦での敗勢の巻き返しをかけて日帝は、朝鮮・中国侵略戦争参戦体制の構築=新ガイドライン体制の構築に乗り出している。その最大の階級的攻撃が、有事立法・改憲攻撃だ。
 自自公体制とその先兵・ファシスト石原は、日帝国家の侵略戦争国家への転換をかけた攻撃を矢継ぎ早にかけている。この攻撃の前に、民主党も日本共産党も完全に屈服している。「国家存亡の危機を救え」「国益を守れ」と祖国防衛主義を大合唱し有事立法・改憲攻撃を容認している。また、帝国主義的労働運動に完全に転落した連合とファシスト・カクマル=JR総連は、日帝の朝鮮・中国侵略戦争にもろ手を挙げて賛成し、協力を誓っている。
 こうした階級的現実は、何を示しているのか。労働者階級が日帝の侵略戦争攻撃に屈してしまったことを意味するのか。そうではない。二〇〇〇年決戦一〜三月の闘いは、労働者階級人民は心の底からの怒りと危機感でいっぱいだということを示した。介護保険四月実施阻止の闘い、名護新基地建設阻止の闘い、国鉄決戦の前進、三里塚闘争の勝利へ向かっての前進、「日の丸・君が代」闘争の大爆発がそれを示している。
 「二度と侵略戦争を許さない」という戦後労働者階級人民の誓いは厳然と生き、闘いを求めている。問題は、労働者人民の先頭でその怒りと危機感を体現する指導部であり、「連帯し、侵略を内乱へ」「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」を掲げて闘いを牽引(けんいん)する革共同に一切がかかっている。
 日帝の朝鮮・中国侵略戦争への突入攻撃と真正面から対決する二〇〇〇年の階級決戦に立ち上がろう。衆院選決戦必勝に全力で立ち上がろう。七月沖縄サミット粉砕・名護新基地建設実力阻止決戦に立とう。沖縄人民と連帯した本土における沖縄闘争の爆発のために全力を尽くそう。沖縄とともに、三里塚軍事空港建設実力阻止決戦に勝利しよう。介護保険制度を突破口とする社会保障制度解体攻撃を粉砕しよう。国鉄決戦を牽引車に、労働運動の新潮流の前進をかちとろう。
 こうした二〇〇〇年決戦の課題を戦闘的に打ち抜きつつ、その中に有事立法・改憲阻止を貫き通して闘おう。日帝の危機と絶望的凶暴化を見据え、有事立法・改憲攻撃粉砕の百万人民の総決起をかちとろう。
〔井場啓史〕

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週刊『前進』(1951号5面2)

 白井朗は革命党を警察権力に売る反革命的腐敗分子だ

 反革共同の「書簡」を断罪する

 (一)
 わが同盟から脱落し、権力に投降して階級移行をとげ、公然と反革命活動を開始した白井朗(ペンネーム山村克)に対する闘いは、『共産主義者』一二三号における政治局声明の発表と「白井自己批判書」公開、および本紙一九四四号の西山論文をもって白井に決定的な打撃を与えている。
 さらにわれわれは、白井の反革命性を際立たせている決定的事実を怒りをもってここに暴露する。白井は、昨年七月に反革命パンフ二冊と民族問題に関する反革命的著書を発行するにあたって、前進社に対して実に許しがたい書簡を送ってきた。二十七ページの長文の手紙が言っていることは、要するに自分の著作の発行を妨害しないでくれ、妨害したら革共同の指導部に関する情報を日帝・警察権力にばらすぞ、という憎むべきものである。
 「私の著作の刊行にあたった出版社にたいして、いっさいの妨害を断じて拒否する。万一いかなる形にせよ、出版社にたいして、お前さんたちの手で妨害が加えられるならば、或いは脅迫・恫喝のことばによる暴行を加えるならば、私はただちに以下の処置をとる」
 その内容は、第一は、清水議長の「健康と住居の安全にたいして、パンフの暴露以上のはるかに高いレベルの暴露をおこなう」、第二は、対カクマル戦で権力の指名手配攻撃が続いている事件で、その「責任者」の名前の「暴露をためらうことなくおこなう」というものである。しかもすでにその「文書を作成し終わり、すぐに社会的に暴露する準備が完全にできている」と言い放ったのである。
 なんということか。これは白井が国家権力の意識的な手先=スパイそのものに転落したことの明白な自白でなくて何であろうか。
 第一の「パンフの暴露以上のはるかに高いレベルの暴露」とは、権力に重要な情報をたれ込むぞ、権力の革共同弾圧にとって役立つ情報をばらすぞ、ということだ。第二の点は、権力のデッチあげ指名手配に積極的に協力し、わが同志を差し出すということである。
 白井朗は、革共同とすべての党員が、権力の破防法攻撃、指名手配攻撃、デッチあげ弾圧を打ち破り、非合法・非公然の体制を守り、党を守って闘ってきたことを踏みにじって、革命党を警察権力に売り渡すと公言したのだ。しかもその文書=権力への報告書を作成し終わったというのだ。全党員と支持者・協力者による長期にわたる営々たる闘いの総体に真っ向から敵対することを表明したということだ。白井自身、かつては政治局員としてこれらの闘いに守られてきたことへの一片の感謝の念も、そこにはないのである。
 白井は、問題が何か革共同内部あるいは左翼内の路線・理論をめぐる対立であるかのように装おうとしているが、右のことをみればそんなものではないことは明々白々ではないか。古今東西、これほどあからさまな敵権力へのたれ込みを予告・実行する者が左翼内部の一分派であったためしはない。どこの世界に自分の本を出版したいがために、革命党を警察に通報して、権力弾圧を引き出そうとするものがいるか。これは左翼内部の対立ではありえないことなのである。白井にとって日帝・警察権力は敵ではないのだ。これはかつての黒田寛一の大川スパイ事件と並ぶ犯罪である。
 こうして白井はバリケードの向こう側に行き、敵権力のスパイ分子に成り下がったことを自ら告白したのである。白井は、底無しに腐敗した革命党破壊分子、現代の「イスカリオテのユダ」に転落したのだ。
 (二)
 『共産主義者』一二三号で公開した白井の一九九三年二月の自己批判書を読めば、白井の今日の言動がいかにかつての自分自身をも裏切るものであるかは明白である。この自己批判は、革命家とりわけ指導部の自己批判としてはきわめて不徹底かつ不十分なものであるが、文字に残されているという点で決定的なものである。
 白井はこの自己批判について討議する会議から逃亡したが、その逃亡にあたって「欠席届け」として「政治局の同志が、今後小生がおかしな活動をはじめたと判断されれば、自己批判書を公表して下さって結構です。……自己批判書を公表して下されば、小生に賛同してついてくる同志などひとりもいない、ありえないことは明々白々です」などと書いていたのだ。
 この自己批判書にあるように、白井が自ら「組織原則違反」「政治局破壊行為」を犯したと具体的に自己批判し、「私みずからがボルシェビキ的な党的なあり方の破綻(はたん)をきたした」として、「全政治局員の指導のもとに党の道徳と規律を守り、たたかいぬく」と誓っていることは紛れもない事実である。
 ところが白井は、まとまった自己批判を一度は書いておきながら、さらに本格的な自己批判に進むことに恐怖して逃亡・脱落した。しかも、いったん自己批判したものを撤回するという実に卑劣な態度をとったのだ。その際、白井は、この自己批判は「偽装転向だった」とうそぶいたのである。この一言に、この男の卑劣さが全面的に露呈している。「自己批判したふりをした」などということが、およそ革命家のとる態度ではないことは明白である。「偽装転向」などという苦し紛れの言い逃れをした瞬間に、白井は根本的なところで党から脱落し階級移行したのである。
 (三)
 白井はわが同盟指導部を「カクマル主義者」とか「スターリン主義者」とかののしっているが、まったく見当はずれである。
 白井の反革命パンフと反革命本の発行は党内の誰ひとり獲得することはできなかった。これに最も喜び、飛びついたのが日帝国家権力とともに、ほかならないファシスト・カクマルだった。ガイドライン闘争や組対法闘争で反革命的介入を図ろうとして手痛い敗北を喫し、危機を深めていたカクマルは、この白井の反革命的転落を材料に何か革共同に傷をつけられるのではないかと、はかない望みを抱いたわけだった。
 黒田を始めとして異様な興奮状態に入ったカクマルは、これを使って大騒ぎすれば革共同に打撃を与えられるのではないかと錯覚して、考えられるあらゆる卑劣な策動を試みた。白井パンフを抜粋コピー・マスプリし各方面にばらまき、白井の宣伝役を買って出た。
 カクマルは、それだけではなく、白井を装って「第三パンフ」(青パンフ)を発行し、革共同に対するデマ攻撃を満展開した。しかし、われわれはこれが白井の反革命攻撃に乗じた悪質なデッチあげであり、白井なら絶対に言わないことを並べていることがカクマルによる偽造の証拠であることを暴いて、カクマルの浅はかな策動を粉砕した。
 さらにカクマルは、百万人署名運動を推進している人びとに対して「白井政治局員を支持する会」なる名前で革共同の中に分派があるかのように装ってデマビラを送りつけ、運動に混乱を持ち込もうとした。
 われわれはこのようなカクマルの策動と闘い、打ち破ってきた。われわれは絶対に許さない。徹底的にカクマルの悪行を暴露し、今や空前の危機に陥っているカクマル=JR総連の打倒に突き進むものである。
 同時に、このようなカクマルの革共同破壊攻撃に利用されその手先の役割を果たしている白井を絶対に許さない。本多書記長虐殺を始め数限りない反革命襲撃をもって革共同破壊攻撃を続けてきた現代のナチス=ファシスト・カクマルと同列の反革命に、ついに白井は転落したということなのだ。革共同の創立時のメンバーであることを権力に高く売り込んでいる白井よ。その反革命ぶりはあまりにも惨めだ。自分の存在と行いのおぞましさ、罪深さをお前の全身をもって認識しなければならないのだ。

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週刊『前進』(1951号5面3)

 2000年日誌 阻もう! 戦争への動き

 3月15日〜22日

 陸自が組織的な隠ぺい工作

 自衛隊が「交戦規則」策定へ

●地位協定上問題なしと河野外相 河野洋平外相が外交防衛委員会で米軍機が沖縄県の要請を無視して石垣空港に飛来したことについて「米軍と空港の関係当局が所要の手続きと調整を行ったものと承知しており、地位協定上、問題はない」と述べた。(15日)
●十区の会が説明会求める
 ヘリ基地いらない二見以北十区の会のメンバーが、岸本建男市長と十区の住民による説明会の早期開催を求めた。(15日)
●陸自、組織的に隠ぺい
 陸上自衛隊の幹部自衛官による違法射撃事件に絡み、陸上自衛隊の上層部が事件発生の直後から違法な射撃を知りながら、組織的に事件の隠ぺいを図っていたことが明らかになった。関係者によると、まず所属する第一空挺団が供述調書を作成。数日後、東部方面総監部の人事部が事件発覚による自衛隊の威信失墜を懸念して隠ぺい可能と示唆した報告書をつくった。その翌日、陸上幕僚監部服務班が事件の概要を陸幕僚長に報告。最終的に事件を表面化させない訓戒処分とする案を人事部がつくって東部方面総監部上層部の了承を受けたという。(15日)
●北部振興でヒアリング
 普天間飛行場の移設に伴う北部振興策について、政府の実務者レベルで組織する北部振興プロジェクトチームが十二市町村からのヒアリングを実施した。市町村側の要望は道路やゴミ処理施設などを振興策の例として提示、ハコ物や既存の補助制度でも実現できる事業が並んだ。(16日)
●嘉手納ラプコン返還
 コーエン米国防長官が小渕首相、河野外相、瓦防衛庁長官とそれぞれ会談、嘉手納ラプコン(航空機進入管制システム)を「米軍の運用上の所用が満たされることを前提に返還する」と条件付で日本側に返還する考えを表明した。米軍普天間飛行場の代替施設の使用期限十五年問題については瓦長官、河野外相とも「昨年末の閣議決定に基づき、対処する」との方針を改めて伝えただけ。(16日)
●海自が初動対処部隊配備
 海上自衛隊が、舞鶴地方総監部(京都府)など日本海側を警備区域とする三つの地方総監部に、主力部隊に所属する「初動対処部隊」を新たに配備していたことが明らかになった。この部隊は緊急時に、ヘリコプター搭載の新鋭護衛艦一隻を二時間以内に出動させる。(16日)
●有事法制検討を申し入れ
 自民、自由、公明の与党三党が政策責任者会議で、与党安全保障チームが先に合意した「有事法制の検討を開始するよう政府に求め、国連平和維持隊(PKF)への参加凍結解除の法整備を図る」などの内容を了承、青木官房長官を通じて首相に伝えた。(16日)
●自衛隊「交戦規則」策定へ 防衛庁は、自衛隊が日本有事などで武器を使用する際の基準となる「交戦規則(ROE)」の策定を開始することを決めた。ROEは、憲法九条で国の交戦権が否定されていることを背景に、本格的な策定が見送られてきた。(16日)
●使用期間限定せず コーエン米国防長官が記者会見で、普天間飛行場の代替施設の使用期限十五年問題について「安全保障のニーズは現状の脅威によって規定されるものであり、人為的に限定されるものではない」と使用期限の設定を拒否。同時に「日本側もそうした政策を支持している」と述べた。(17日)
●地元と折衝する気はないと岸本 開会中の名護市議会で宮城康博氏(自治の風)の「久志、豊原、二見以北十区で住民説明会を開くべきだ」との指摘に、岸本市長は「私は信念に基づいて決断した。それを覆すために地元と折衝する気はない」と述べた。(17日)
●「有事法制は必要」と小渕 小渕首相が防衛大卒業式の訓示で、有事法制について「自衛隊が任務を有効、円滑に遂行するための施策を検討する必要があり、有事法制は避けて通れない問題だ」との考えを表明した。(19日)
●「期限問題未解決なら白紙」 岸本名護市長は市議会で、米軍普天間飛行場代替施設の十五年の使用期限問題について、着工前にこの十五年問題が解決しない限り、「代替施設は着工すべきでない」との考えを示した。また「ヘリコプター以外の使用には断固反対する」と述べた。(21日)
●「国防省」法案、自由単独提出も 自由党は常任幹事会で、防衛庁を独立した「国防省」に昇格させるための法案について、与党各党による共同提出が見送られた場合、自由党単独で提出する方針を決めた。これまでのところ公明党が一応反対の姿勢。(21日)
●もんじゅの危険性否定
 福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」をめぐり、地元住民が国に原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟と、核燃機構に建設・運転の差し止めを求めた民事訴訟の判決で、福井地裁は、国の安全審査は妥当だとして原告の訴えを退けた。(22日)

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週刊『前進』(1951号6面1)

 「司法改革」攻撃を打ち破れ

 戦争・恐慌の時代に対応して戦後司法の反動的転覆狙う

 司法制度改革審議会は、昨年七月二十七日の第一回会合以来審議を開始し、十二月二十一日に司法改革の方向性を「論点整理」として発表した。司法制度改革審議会は、ガイドライン関連法や組対法などと同じく第一四五通常国会で成立した司法制度改革審議会設置法に基づいて内閣に設置された機関だ。委員には、元日弁連会長でありながら安田弁護士不当逮捕に道を開いた現内閣特別顧問の中坊公平、組対法制定や少年法改悪の中心人物で東大法学部教授の井上正仁、第二破防法を発動した公安審委員長・藤田耕三、日本財団会長・曽野綾子など名うての反動的人物がそろっている。審議会は年内に中間報告を発表し、来年の七月までには内閣に最終意見を述べるとされている。闘うアジア人民と連帯し、有事立法粉砕・改憲阻止の闘いと一体のものとして司法改革を粉砕しよう。

 第1章 戦争国家づくりへ改憲の攻撃と一体

 司法制度改革審議会の設置は、一九九八年六月の「司法制度特別調査会報告−二十一世紀の司法の確かな指針−」(自民党)、五月の「司法制度改革についての意見」(経団連)、十二月の「中間報告」(経済戦略会議)、そして九九年一月の「司法制度改革の検討事項」(法務省)を踏襲する、危機にかられた日帝の一大反動攻撃である。改憲に向けた一大攻撃が今年一月から衆参両院での憲法調査会の「改憲論議」として始まったが、司法改革は「三権の一翼を担う司法改革の重要性」として位置づけられ、改憲と一体の、侵略戦争を遂行できる国家改造そのものである。
 日帝・小渕政権の目指す司法改革とは、日米新安保ガイドライン攻撃と一体の、侵略戦争遂行のために「この国のかたち」を抜本的に作り替えようとする大攻撃である。「国民が利用しやすい司法の実現」とか「陪審・参審制度」や「法曹一元制度」などまったくのペテンでしかない。
 司法改革の狙いは、一方で、国内市場をめぐる米帝の対日争闘戦的規制緩和要求にさらされながら、それと対抗して大企業が経済活動を自由に展開できるように、自由に使いやすい司法を目指すものである。すなわち、「市場原理・規制緩和・自己責任の理念は時代の要請である」「行政に甘えるな」などと、あらゆる戦後的諸権利を人民から奪い取り、一切の犠牲を労働者階級にしわ寄せする攻撃である。
 他方で、沖縄人民を始めとする人民の巨大な政治的決起と、生きてゆくために闘わざるをえない労働者階級とその家族を暴力的にたたきつぶすために、戦後的な刑事・民事司法の抜本的な転換を強行し、司法の強化=警察・検察権限の強化を狙うものである。
 戦後五十余年、戦争のできない帝国主義は、もはや帝国主義として存立できない局面に立たされている。このことを衝撃的に日帝ブルジョアジーに突きつけたのは、九一年のイラク・中東侵略戦争と、米帝クリントン政権による「経済安保戦略」(=経済力の回復を第一級の国家安全保障戦略として、必要とあらば侵略戦争に訴えて世界市場を力ずくでもぎりとる)の発動であった。以来十年間、日帝支配階級は政治的に動揺し、分裂・抗争をくりひろげながら、日帝・橋本政権による日米新安保ガイドライン締結と「六つの改革」へ、日帝の侵略戦争国家への国家改造へ、本格的に着手していった。
 九八年に入って急速に前面化した行政改革などの「六つの改革」攻撃の本質は、恐慌と戦争の時代に対応した日帝の戦後的あり方の反動的転覆と大再編にあった。その核心は、戦後階級関係そのものの全面的な暴力的破壊と解体にある。審議会の発表した『論点整理』は、日帝・橋本政権の「六つの改革」を全面的に賛美し、司法改革は「その最後のかなめ」であると位置付けている。
 また、司法改革の狙いとして「世界に展開する個人や企業等の安全とその権利をいかに保護していくのか」と「国際化と司法の役割」を強調している。これは、アジアを日帝の勢力圏に暴力的に囲い込むために、「国際仲裁センターの充実」「アジア諸国等への法整備の支援」の名で、アジア人民に対するすさまじい搾取と収奪、民族解放闘争の圧殺を強行しようとするものにほかならない。
 アジア人民との連帯かけて司法改革を粉砕しなければならない。

 第2章 弁護士会翼賛化のための「規制緩和」

 小渕自自公政権は、司法改革の方向性について、弁護士会の変質・翼賛化と治安の強化の二つの方向を強調している。そして、司法改革の具体的な項目の第一番目に掲げているのは「弁護士のあり方」である。
 具体的には、「市場原理の時代では、企業活動に伴う紛争が増大する」として、大企業の「円滑な経済活動」のために弁護士の大幅増員が必要だという。あるいは、法令などの解釈・運用、法案の立案のため内閣や自治体、国会議員のスタッフへの弁護士の登用などのためにも、弁護士の需要が増大しているというのだ。そして、ブルジョアジーに奉仕する大量の弁護士創出のためには、社会的弱者のために闘い、人権擁護を使命とする弁護士会を変質させることが必要だとし、それを司法改革の核心的狙いとしている。
 弁護士の大幅増員とは、司法試験合格者の増大や、司法修習制度の撤廃で大幅増員しようとしているだけではない。現行弁護士法の弁護士資格付与の例外規定の拡大や、公職との兼職と営利を目的とした企業の使用人となることの禁止の撤廃などで、企業や内閣および自治体など、文字どおり日帝ブルジョアジーに奉仕する弁護士の一挙的増大を狙っているのである。アメリカに習った「ロースクール方式の導入」もその一環である。さらに、企業内で法律事務を担当する司法試験を経ていない者にも弁護士資格を与え、弁護士が営利企業の社員として働くことを認めようというのだ。
 弁護士の隣接業務と言われている司法書士や弁理士、税理士、行政書士にも法律事務ができるような弁護士の法律事務独占の見直しや、紛争処理機関として裁判所以外の行政機関による準司法機関、準司法手続きの拡充も叫ばれている。
 さらに、弁護士業務の営利企業化を促進する広告規制緩和や弁護士事務所の複数化・法人化も企まれている。
 要するに、弁護士会にも「規制緩和」を行い、弱肉強食の論理を貫徹させよういうのである。これらは、手弁当で人権擁護のために闘う弁護士が淘汰(とうた)され、逆に、大資本や国や自治体などの行政、巨大法律事務所の社員弁護士が大半となる結果をもたらす。このような雇われ弁護士では人権擁護意識は希薄となる。それは、人権擁護を使命とする弁護士会に変質をもたらし、弁護士自治を解体する攻撃である。
 明治憲法下では、司法権は天皇の名の下に行使され、弁護士会も司法大臣の認可を必要とし、監督官庁は検事正、懲戒権者は裁判所であった。治安維持法違反事件を弁護した布施辰治弁護士らは懲戒裁判で弁護士会を除名され、自らも治安維持法で逮捕された。弁護士会も大政翼賛勢力に転落していった。
 この戦前の歴史の深刻な反省から、戦後「基本的人権の擁護と社会正義の実現」を使命とし、国家権力の介入を受けない、弁護士自治を確立した弁護士法がかちとられた。ところが、こうした弁護士自治に対して、「弁護士会は国民の代表である国会の統制下におかれるべきであるから弁護士会に『国会への説明責任』を課すべきである」とか、「弁護士の懲戒は外部機関によるべき」などと主張して、弁護士自治を破壊しようとしているのだ。
 結局のところ、「弁護士のあり方」の変革とは、弁護士会の変質と解体であり、弁護士自治の破壊は基本的人権を擁護するために闘う弁護士のみならず、すべての人民に対する攻撃である。とりわけ、闘う人民に対する人権抹殺の攻撃であり、絶対に許してはならない。

 第3章 人権擁護投げ捨て治安重視の司法へ

 日帝・小渕政権の司法改革の狙いの核心は、戦後司法から人権擁護を投げ捨てた治安重視の戦時司法への転換である。
 そのための具体的な内容として、捜査権限の強化のための司法取引、付帯私訴や時効制度の見直しがあげられている。
 司法取引とは、被告側が有罪を認める代わりに検察側が起訴の一部を取り下げたり罪状の軽減を行う制度であるが、これは黙秘権の侵害・抹殺である。付帯私訴とは、被害者の加害者に対する損害賠償の民事裁判を、被告人の刑事裁判と一緒に審理する制度であるが、これは、最初から「被告人は有罪」という前提に立つということである。「被害者の人権を守れ」と称して、被告人の防御権を制限する「犯罪被害者保護法」立法化の動きと同様に、被告人の「無罪推定の原則」を否定するものであり、現行の憲法と刑訴法を原理的に転換する改悪である。
 刑期途中の仮釈放が認められている無期懲役の代わりに、仮釈放を認めない終身刑の導入は、死刑廃止に道を開くものではなく「無期懲役」の重罰化でしかない。そして、「一審の審理だけで長期間かかるのは国民の司法への信頼を傷つける」として、被告の防御権を制限して裁判を迅速化する刑事司法の改悪を強行しようとしている。
 治安強化のための司法改革は、それだけではない。弁護人の、憲法・刑訴法で保障された被疑者・被告人の人権を擁護する闘いを、警察の捜査を妨害する違法な弁護活動として非難している。例えば、被疑者に対する違法・不当な勾留決定に対して、勾留理由開示公判を請求したり、準抗告して争うことを「各種権利を濫用する弁護士」であるとか、黙秘を指示する弁護士に対しては「真相解明の捜査活動を不当に妨害する弁護活動」などとして懲戒処分にするというのだ。
 戦後の人民の闘いの中で、人権擁護をその使命とする弁護士とその闘いの果たしてきた役割は大きい。拘禁二法を何度も廃案に追い込まれた国家権力は、その闘いを「法制度の枠を逸脱した弁護士会」と非難している。とりわけ、革命党と人民に対する弾圧を粉砕する弁護士の闘いに、国家権力は根底的な打撃を受けているのである。
 闘う弁護士とともに司法改革を絶対に阻止しよう。
〔村上進一〕

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週刊『前進』(1951号6面2)

 名護に連帯し4千人

 日比谷で新基地反対集会

 三月十七日夜、東京・日比谷野外音楽堂で「三・一七沖縄・名護に新たな米軍基地をつくらせない大集会」が行われた。普天間基地の名護移設とサミットをめぐって緊迫した攻防の沖縄に連帯して、寒空の下、四千人が参加した。国労を始めとする労組が結集する中で、反戦共同行動委員会は七月沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止を力強く訴え、参加して闘った。
 ファシスト・カクマルは集会破壊を狙って登場したが、参加者からビラを破り捨てられ、「盗聴のカクマル」と弾劾され、意気消沈していた。
 主催者のあいさつの後、来賓の島袋宗康沖縄社会大衆党委員長が「沖縄県民の心を本土の人が受けとめ、大きな運動をつくっていく必要がある」とあいさつした。土井たか子社民党党首は「忍草母の会に『筋の立った闘いをしましょう』と呼びかけられました。これを自らに言い聞かせながらみなさんとともに闘う決意を固めます」とあいさつ、不破哲三日共委員長は名護のリコール運動に言及すらせず、日共が沖縄サミット協力・推進派であることを自己暴露した。
 「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」代表の金城睦さんと「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」代表代行の東恩納琢磨さんが沖縄から駆けつけた。
 金城さんは「あえて沖縄の名護でサミットを開く政治的な意図は明らかです。沖縄基地を再編・強化・固定しようしている。コソボで戦争をやった帝国主義の頭目たちの巨大な目的を見抜く必要がある。サミット期間中、嘉手納基地を包囲する闘争を計画しているので参加を訴えます。今までは日米政府連合対沖縄県民という感じがしたが、これからは全国の民衆が心を寄せて、手を取りあってがんばろう。勝利するまでがんばろう」と強く訴えた。
 東恩納さんは「私たちは(九七年十二月の)市民投票でイヤと言った。今回は工法も場所も明示せず、ただ辺野古ありきとなっている。市長に説明求めても会ってくれない。沖縄で起こっていることを知らないのは罪、知っていて広めないのも罪だ。現場に来て見てください」と呼びかけた。
 沖縄から本土人民への切実な訴えに、参加者は本土でも必ず闘いを爆発させようとあらためて決意した。
 北富士忍草母の会が沖縄との連帯をかけて参加したことが司会から紹介された。連帯あいさつでは、世界自然保護基金日本委員会自然保護室次長の花輪伸一さんが「東海岸のジュゴンは絶滅寸前。今、ジュゴンは『辺野古に基地をつくれば、もっと大きな災いがあるだろう』と警告している」と語った。
 韓国の駐韓米軍犯罪根絶運動本部などの連帯メッセージが紹介され、集会決議を採択。シュプレヒコールの後、一坪反戦地主会関東ブロック、各労組などがデモに出発した。百万人署名運動も旗を掲げ、名護新基地建設阻止を訴えた。

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週刊『前進』(1951号6面3)

 何、これ?!

 カクマル『解放』 仰天の闘争方針

 ファシスト・カクマルの反革命通信『解放』はこのところJR総連問題で気もそぞろで、トップ論文も無内容な文章が連続している。執筆する方も紙面が埋まればいいという気持ちで書いているし、読む方もどうせそんなものだと観念しているのが見え見えだ。
 それにしても三月十三日付けのトップ論文の結論にはぶっとんだ。「大衆収奪の一挙的強化と改憲に突進する小渕政権を打倒せよ!」などとタイトルだけはもっともらしいが、中身はまったく空無である。何より驚くのは、その結論である。
 「われわれは、……〈日米共同作戦体制の強化反対! 憲法改悪反対!〉の反戦・反安保の闘いや、〈『日の丸・君が代』の法制化反対! 組織犯罪対策法・団体規制法の制定反対!〉の国内反動化を阻止する闘いとむすびつけてたたかうのでなければならない」
 え? この新聞いつのだ? と思わず見直すと「二〇〇〇年三月十三日」となっている。まじめに闘争している人には自明だが、この三つの法律はとっくに成立してしまっているのだ。「日の丸・君が代」法は昨年八月九日、組織的犯罪対策三法は同八月十二日、団体規制法(第二破防法)は同十二月三日に成立させられている。
 これらの法案の制定に反対して全力で闘った人民は、今、卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制攻撃との闘い、組対法(盗聴法)発動前の廃止をめざす闘い、団体規制法の発動に対する闘いを闘っている。
 カクマルのトップ論文では、およそ左翼陣営では当たり前のこの初歩的なことが自明でないどころか、今春の闘争方針として「制定阻止」を今ごろ掲げているのだ。
 昨年の組対法制定に反対する闘争の際には、国会前の闘いに介入しようとしたJR総連=カクマルが、シュプレヒコールで「組対法改悪反対」などと言って、なんのために来ているかも分かっていないことをさらけだして大ひんしゅくを買ったが、今度の『解放』はそれを上回る、まれに見る超ど級の方針である。
 要するに、カクマルにはこれらの反動立法との闘いが、左翼の仮面をかぶるための不可欠のテーマであることまでは認識しているが、本気で闘ったことがないために、今どんな状況にあるかなどまったく上の空だということだ。
 カクマルの闘争方針なるものは、常に人民の闘いに介入し、破壊するための方便でしかないことを自己暴露してしまったものとして、これは長く記憶にとどめ、断罪しなければならない。(U)

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週刊『前進』(1951号6面4)

 投稿

 革共同集会初参加の感想聞いて学ぶ

 首都圏・労働者 A

 初めて集会に誘い参加した地域のひとと集会の感想を討論し、私自身非常に刺激をうけました。
 印象に残ったことを聞くと、このひとから、「警察が多かったこと。長期獄中闘争を支える家族の発言と支援者の取り組みに感動し、また革マル派との内ゲバ(ママ)が避けて通れないことなのだと痛感した。本気で国政選挙へ挑戦していること、沖縄闘争のイメージがパアッとひろがったことが、特に印象にのこり、また感激しました」という感想がありました。
 さらに聞くと、以下の感想が返ってきました。
 「指名手配されながら四半世紀にわたってその仲間を守り切って時効にしたというのは、仲間を大事にするその組織力というか、歴史の中でしか知らない革命党というリアルさを感じました」「平和運動の中で国労の人たちと話すことがあり、千人以上の人の首を切って、いまもその復職を邪魔しているのが革マル派だということを聞いていましたが、今日の話で、あらためてこういう妨害者との闘いは必要なことなのだなと思いました」「石原への批判は、よくぞ言ってくれたと思います。銀行に税金をかけるってあれ、おかしいとは思っていたんだけど、その理由をうまく言えなかったのが良く分かった。あとハイダーを批判して、石原を批判しないことは、本当に私が言ってほしかったことです。その石原の一族を相手に国会議員に出るというのは、新左翼の運動もついにここまで登って来たかというか、もうそれだけでうれしくなりました。地元の方が本気で当選させようとしている姿に感激しました。これは当選させたいなあと思いましたね」
 「沖縄のことではショックをうけたことがあります。基調報告で『今沖縄で起きている現実は、三○年代ヨーロッパ階級闘争の中でのスペイン内戦のようなものだ…全国の力で現状をこじ開けろ』ということが言われたでしょ。私は沖縄の人にもっと頑張ってほしいと思っていたんです。名護の市長選挙や県知事選挙でなんで負けたんだろう、と思ってたんです。でもスペイン内戦の話をされて、ああ私が間違っていたんだってわかりました。一九三六年に始まったスペイン内戦には、全世界中から支援や義勇軍が集まったわけだけれど、いまでも私はなんでもっと多くの義勇軍が駆けつけられなかったんだろうと、守れなかったんだろうと思っていましたから。全国の力をここに注いで守らなければいけないんだ、と感じています」
 「あと、介護保険のところで『高齢者介護もまともにできないのならそれは国家として失格だ。資本主義の寿命がつきたということであり、労働者階級が社会の主人公にならなければならない時代になった』という意味のことを言っていたでしょ。大きな考え方の根っこのようなところで、ガラッとかえられたような感じです」
 私としては気軽に「感想は?」と聞き始めたことだったのですが、意見交換して行く中で私自身が見過ごしてたものに気づかされたように感じました。
 このひとの感想のあれこれに通底しているのは革命党の問題なのだと思います。それは超長期獄中闘争を闘う同志を絶対に奪還する党でなければならないということであり、二重対峙・対カクマル戦突入以来のわれわれの正しさと、だからこそ今日の新たな闘いに絶対に勝利しなければならないということです。
 さらにスペイン内戦は勝利の路線をめぐって直接・間接に革命と反革命が激突した、すぐれて革命の指導部と指導路線の問題だったわけで、今日の沖縄における闘いの側の苦闘とまったく同じです。
 この現在のわれわれの“党の途上性”を突破する核心問題としても、今次衆議院選挙に勝利していきましょう。課題の解決の過半はこの勝利の中に宿っています。

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週刊『前進』(1951号6面5)

 1面からつづく

 同時に、「ワークシェアリング」=雇用の分かち合いへの唱和によって、総額人件費の削減(賃下げ)を推し進めるものだ。とりわけカクマル=JR総連が率先する「ワークシェアリング」論は、雇用を口実にして賃下げを進めるためのものであり、粉砕の対象だ。
 春闘の核心は賃金闘争である。労働者の団結による賃金闘争が終わったかのような宣伝は大ウソである。
 さらに許せないことは、この「雇用春闘」が、賃下げと年金改悪を始めとする戦後社会保障制度の解体を一挙に推し進めるものだということである。年金支給年齢を引き上げるなどの残酷な攻撃と一体となって「雇用春闘」が言われている。春闘を年金支給年齢までの雇用延長問題にずらし高齢者雇用問題にして、現在進行している「解雇=再雇用」という形の賃下げ・不安定雇用化、雇用条件の劣悪化を当たり前のことにしようとしているのだ。
 企業の危機、国家財政の危機のもとでは労働者の首を切るのが当然なのか。否だ。連合が唱える「社会のセーフティネット」論(首を切られても別の雇用が可能なシステムづくり)など超反動的だ。首を切られた後の再雇用がどんなに悪条件を強いられ、賃金が下げられているか、現実を見れば明らかではないか。
 賃上げは労働者階級の生活と生存と団結のために絶対不可欠の要求であり、闘いである。この立場を貫かず、「会社維持のため」「景気回復のため」と言って資本と同じ立場に立っていると、企業危機を理由に首を切られ、賃金を下げられる。これまで闘いとってきた賃金体系を壊され、団結も解体され、労働者が一方的に貧困と失業と生活苦を強いられる。動労千葉のように原則的にストライキで闘うべきなのだ。
 労働者の団結の力で賃上げをかちとる思想と闘いを復活させよう。業績主義・成果主義賃金など断じて認めてはならない。資本主義・帝国主義の危機の中では、労働者は闘わなければ生きていけない。労働者の力は労働者の団結にある。二〇〇〇年春闘で徹底的に賃金闘争を闘い、労働者性・階級性の自覚を高めて、団結を強めて闘っていこう。
 賃下げ、賃金体系の改悪、雇用条件の改悪攻撃との対決をとおして、すでに開始されている不安定雇用労働者の闘いの組織化、争議団闘争、失業労働者の闘いの組織化の前進もかちとりつつ、国鉄決戦を先頭に、本格的な戦争と恐慌の時代の「資本主義にノー」と言える労働運動をつくり出そう。今こそ新潮流運動を大発展させよう。

 第1節 JR総連の大裏切り弾劾

 JR総連=カクマルの「シニア協定」締結の大裏切りを断罪し、国労・動労千葉解体、第二の分割・民営化推進の反革命策動を粉砕して、国鉄決戦勝利を切り開こう。
 日帝・小渕政権は「教育改革」攻撃を強めている。各地で感動的な高揚がかちとられている「日の丸・君が代」闘争の地平を引き継ぎ、国鉄、都労連、教労、全逓の四大産別決戦を力強く推進しよう。
 三・一二革共同集会の画期的大成功を踏まえ、党勢の圧倒的拡大と党建設の計画的前進を切り開こう。

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