ZENSHIN 2000/10/23(No1978 p06)

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週刊『前進』(1978号1面1)

四党合意撤回・執行部打倒を 10・28−29国労大会決戦に大結集しよう
ゼネストと大衆蜂起で政権倒す闘うユーゴ人民と連帯し11月へ
 改憲攻撃粉砕・臨検法案阻止を

 ユーゴスラビアの労働者・学生・人民大衆は十月五日、ゼネストと大衆的蜂起をもってミロシェビッチ独裁体制を打倒した。この人民的な闘いを主導したのは労働者だった。労働者階級の革命性、自己解放能力がいかんなく示された。この歴史的闘いは、全世界の闘う労働者に勝利の可能性を示し、鼓舞してやまない。これはソ連スターリン主義崩壊後の現代史が反帝国主義・反スターリン主義世界革命へと発展する現実性と可能性を開示している。ユーゴスラビア人民の闘いはいまだ過渡的で未完であるが、このゼネストと大衆的蜂起に学び、連帯して闘おう。日本の労働者階級人民の課題は、朝鮮・中国侵略戦争に向かって新安保ガイドライン体制を構築しようとしている日本帝国主義に対して、二〇〇〇年後半決戦の爆発をたたきつけ、階級闘争の戦闘的発展を切り開くことである。革命的情勢への接近過程においては革命的大衆行動こそが決定的に重要である。臨検法案成立阻止、名護新基地建設阻止、改憲阻止決戦の爆発をかけて十・二一全国統一行動に総決起しよう。これらの闘いの主体として、闘う労働運動の新潮流の飛躍をかちとろう。十・二八−二九国労全国大会に闘争団を先頭に万余の結集をかちとり、「四党合意」を最後的に葬り、チャレンジ・上村革同ら裏切り執行部を総退陣させ、闘う新執行部を確立しよう。国鉄決戦の勝利と資本攻勢への対決をもって十一・五労働者集会への五千人結集を全力でかちとり、二〇〇〇年後半決戦の勝利を切り開こう。

 第1章 ミロシェビッチ独裁打倒した労働者の力

 ミロシェビッチ独裁体制打倒の闘いは、労働者階級人民の連日の巨万の街頭デモ、ゼネストと蜂起の結合、学生と知識人、労働者、農民という全階級の連帯によってかちとられた。
 とりわけ炭鉱労働者は、国家権力・警察治安部隊と真っ向から対峙してストライキを貫徹し、全国の労働者人民を鼓舞し、ゼネストへの発展を切り開いた。また警察の阻止線を突破して議会を占拠する闘いの先頭に立ち、その戦闘性、組織性をいかんなく発揮した。労働者階級の自己解放能力を見事に示したのである。
 確かに「民主主義体制の確立」というブルジョア民主主義的、議会主義的な目標が掲げられてはいるが、根底には階級闘争のプロレタリア的社会主義的発展、すなわち反帝国主義・反スターリン主義世界革命の一環としての民族解放・革命戦争、反スターリン主義の第二プロレタリア革命への発展の可能性を大いに含んだ闘いとなっている。
 コシュトニツァ新大統領ら民主野党連合指導部は、ブルジョア民主主義、セルビア民族主義の傾向を強くもち、帝国主義への依存傾向も強いが、労働者階級の闘いを最大の実体的な基盤としている。労働者人民は、昨年のユーゴ空爆への怒り、帝国主義への強い怒りをもっている。また労働者の決起なくしてコシュトニツァの大統領選挙勝利も、就任宣言もなかった。
 ユーゴスラビア階級闘争は、反帝・反スターリン主義世界革命の一環としての民族解放・革命戦争とそのプロレタリア的発展の端緒をつかんだ。この闘いに全世界の労働者階級は勇気づけられ、奮い立ち、自らの未来を切り開くために壮大な決起を開始しつつある。
 ユーゴスラビアの労働者人民は、九月二十四日の大統領選挙の後、敗北を認めないミロシェビッチに抗議して、ゼネスト、大集会、大デモを連日畳みかけるように貫徹し、十月五日の首都ベオグラードにおける大衆的蜂起に上り詰め、ついにミロシェビッチを退陣に追い込んだ。
 九月二十五日、野党連合の独自の集計によると民主野党連合候補のコシュトニツァが五五%の得票で勝利した。しかし公式選管は二十六日、ミロシェビッチの四八%、コシュトニツァの四〇%で、決選投票が必要だという開票結果を発表した。これに対して大衆的抗議闘争が始まった。二十七日には、数十万の野党連合支持者がベオグラードと他の都市の街頭に登場し、ミロシェビッチの退陣を要求した。
 九月二十九日、国の主要な火力発電所に石炭を供給しているセルビア最大のコルバラ炭鉱(ベオグラードから四十キロ)の四つの炭坑で、七千五百人の労働者がストライキに突入した。ストライキが長引けば全土の三分の一で電力供給が止まることになる。軍参謀総長のパブコビッチがストライキを中止するよう説得しに来て、失敗した。コルバラ炭鉱に続いてそのほかの炭鉱や水力発電所の労働者もストライキに突入した。
 十月二日、全国でゼネストが開始された。首都では交通機関がストップし、学校や道路が閉鎖された。商店も軒並み閉まった。
 ミロシェビッチは十月三日、コルバラ炭鉱に警察部隊を派遣し、ストライキの指導者と野党の指導者を逮捕することを命じた。首都では交通機関のストライキを指導している独立労働組合の指導者が逮捕された。
 しかし、労働者たちは警官隊と対峙してストライキを貫徹した。十月四日、コシュトニツァと二万人の人民が全国からコルバラにストライキの支援に駆けつけ、警官隊のバリケードを破壊するなどの闘いを展開した。警察部隊は十月五日午前六時半、撤退した。
 かつて強力なミロシェビッチ派だった炭鉱労働者のストライキが警察権力の弾圧を粉砕して貫徹されたことは、首都と全国の労働者人民を鼓舞し、情勢を決定的に転換させた。民主野党連合は、ミロシェビッチ退陣要求への回答期限を五日午後三時に定め、全国の労働者人民にベオグラードへの総結集を呼びかけた。
 五日朝七時には、労働者や農民、炭鉱労働者や野党支持者が乗用車やバスで隊列を作り、警察の検問を突破して続々と首都に結集。街頭を埋め尽くした人民の数は五十万人に達した。首都と地方、学生・知識人と労働者が手を結んだ。
 午後零時半、警察部隊とデモ隊が議会の前で衝突し、催涙弾が発射された。
 午後三時を過ぎてもミロシェビッチの回答はなかった。午後四時ごろ、青年労働者が阻止線を突破して連邦議会の階段を駆け上がった。警察部隊は、続々と押し掛ける労働者の波に圧倒された。議事堂は瞬く間に占拠された。
 議会占拠と同時に、デモ隊が近くの国営テレビ(RTS)本部にも殺到した。警察は実弾を発射、一時間のもみ合いの末、午後五時にはデモ隊がテレビ局を占拠し、焼き打ちした。午後六時半、コシュトニツァはベオグラード市役所のバルコニーから数千人の支持者大衆に「セルビアはミロシェビッチの支配から解放された。私は選挙で選ばれたユーゴスラビアの大統領であることを誇りとする」と演説した。
 午後九時、コシュトニツァは国営テレビでも新大統領として演説した。国営テレビは「新ラジオ・テレビ・セルビア」と名を変えた。ベオグラードの街頭では、民衆が警察から奪った武器やヘルメットを振りかざして練り歩いた。勝利の歓声と自動車のクラクション、銃声が響いた。商店は、パンやプラムブランデーを振る舞った。蜂起は、死亡者二人、負傷者は百人に満たない「無血革命」だった。
 体制を支えてきた勢力からも見限られ身を隠していたミロシェビッチが、六日に自派の握るテレビに恐る恐る登場して、大統領選挙における自分の敗北、コシュトニツァ候補の勝利を認めた。政治への介入をしないと表明していたバブコビッチ参謀総長も、ついにコシュトニツァを訪問し、支持を表明した。こうして十月七日、コシュトニツァが連邦議会で正式に大統領就任の宣誓を行った。

 反帝・反スタ世界革命の死活性を開示

 このように、ユーゴスラビアの労働者・学生・人民大衆は、民主野党連合というブルジョア民主主義的、民族主義的な指導部をいただきながらも、連日のデモと集会、ゼネストと大衆的蜂起という典型的なプロレタリア的革命的大衆行動、大衆的実力闘争を爆発的に展開した。労働者階級は、その自己解放能力、創意性、主導性、戦闘性、組織性をいかんなく発揮した。
 しかし、これは労働者階級人民の究極の勝利と解放の第一歩にすぎず、一切は未完成で過渡的である。
 労働者人民の側の勝利を確定するためには、ミロシェビッチ派を根絶し、スターリン主義の名残と民族排外主義を一掃しなければならない。また民主野党連合のブルジョア民主主義的綱領の限界をのりこえ、帝国主義の「援助」の名による侵略と介入を粉砕しなければならない。闘いのヘゲモニーを労働者階級自身が握り、民主野党連合に代わる自らの政治指導部、プロレタリア社会主義革命の綱領と反スターリン主義・革命的共産主義の思想に立脚する革命的前衛党を建設しなければならない。
 コソボのアルバニア人や、モンテネグロ人、ロマ人、セルビア人などユーゴスラビア諸民族の解放は、帝国主義および崩壊したスターリン主義(ロシア)と残存スターリン主義を打倒・一掃して初めて実現されるのである。
6面につづく〜1面からつづく
 すなわち反帝国主義・反スターリン主義の世界プロレタリア革命の達成によってこそ、ユーゴスラビア労働者階級人民は資本主義的搾取と帝国主義的民族抑圧から解放されるのである。
 ユーゴスラビア人民の闘いは、その現実性と可能性を死活的に開示している。

 第2章 米欧帝の侵略=介入策動と争闘戦が激化

 一方、EU−欧州帝国主義は、ユーゴスラビアへの制裁解除と経済支援を決め、バルカン半島全体を資本主義化、勢力圏化し、「大欧州」を建設する政策に乗り出した。米帝も、EUに対抗的に制裁解除、外交関係の樹立に向かって動いている。南東欧で最後に残された資本主義化、勢力圏化の対象地域、ユーゴスラビアをめぐって米欧帝国主義の侵略と争闘戦がかつてなく激化しているのだ。
 ユーゴスラビア経済は崩壊・荒廃の極みに達している。八年間に及ぶ国連・EUの経済制裁、長期の内戦による疲弊、NATOの大空爆による破壊はユーゴスラビアの社会経済を荒廃させた。国内総生産(GDP)は九〇−九五年に半減し、九九年に二〇%近く下落した。失業率は公式発表で、九三年の六〇%をピークに九一年以降三三%前後を行き来している。
 帝国主義は、経済制裁と侵略戦争で徹底破壊し、苦しめておいて、手のひらを返したように援助を申し出ている。米帝とEU諸国は、大統領選挙の実施、ミロシェビッチの退陣と民主派野党候補の新大統領の就任をもって経済制裁を解除すると予告してきた。EU外のノルウェーは、民主野党連合に大統領選挙の過程で使途を問わない数千万jの援助を約束した。
 ドイツのシュレーダー首相は十月八日、経済再建と国際社会への復帰・統合を支援することを約束した上で、空爆の破壊物で汚染されたドナウ川を清掃するために九十万j援助することを宣言した。フランスは十月九日、EU議長国としてベドリヌ外相をベオグラードに送り込み、コシュトニツァ大統領と会談させた。
 EU外相理事会は十月九日、一九九八年以来、セルビアによるコソボ・アルバニア人の虐殺・人権侵害を阻止するための措置として実施されていた経済制裁のうち、石油禁輸と航空機乗り入れ禁止を解除すると宣言した。しかし金融制裁、ユーゴスラビア市民の旅行制限は解除されていない。
 EUは、EUの中東欧への拡大、ロシアとの関係強化、バルカン半島の「安定化」をこの地域での戦略の柱としている。十三日からのEU首脳会議(仏ビアリッツ)にはコシュトニツァ大統領を招き、セルビアの「欧州入り」つまりセルビアはEUの勢力圏であることを内外に示そうとしている。さらに十月十日、南東欧州安定協定の調整官ホンバッハ(ドイツ出身)は、ベオグラードを訪れてコシュトニツァと会談した。政権の安定を条件に、四十の国際的企業・銀行の代表が来月中に訪れ、私的部門への投資について話し合うと表明した。
 この欧州に対抗する米帝は、十月十日、民主野党連合の指導者ジンジッチ(民主党党首)とモンゴメリー米代表がベオグラードで会談、両国の外交関係を再開させることで一致した。十二日には、クリントンが石油禁輸、航空機乗り入れ禁止を即日解除すると発表する一方、ベオグラードで米大統領顧問オブライエンがコシュトニツァと会談し、外交関係再確立で一致し、声明を発表した。
 さらに十月十日、NATO国防相会議はKFOR(コソボ平和維持軍)の増強を決定した。欧米帝国主義は、コソボ自治州の主権を主張するコシュトニツァ政権に対して、コソボの軍事占領を強化し、十一月にコソボで選挙を実施してコソボにおけるアルバニア人の自治拡大を進めるが、セルビア支配にはけっして戻さないという決意を示したのである。
 このようにユーゴスラビアを新たな焦点として南東欧、バルカン半島をめぐる欧米帝国主義間の争闘戦、勢力圏構築の争いはますます激化している。だがユーゴスラビアは依然として危機と流動の中にある。ミロシェビッチ派と民主連合派との衝突、コシュトニツァのセルビア民族主義と独立志向のコソボ、モンテネグロとの紛争への介入という形で帝国主義の再度の侵略戦争が強行されないとも限らない。
 帝国主義のユーゴスラビアへの侵略と介入、再度の侵略戦争の策動を絶対に許してはならない。
 ユーゴスラビアの労働者階級人民はゼネストと大衆的蜂起で、スターリン主義を引きずる大セルビア民族主義者ミロシェビッチをひとまず打倒した。労働者階級の大衆行動の威力、階級としての革命性、戦闘性、組織性を発揮し、反帝・反スターリン主義の第二プロレタリア革命と民族解放・革命戦争、世界革命の可能性を開示した。まさに求められているのは真のプロレタリア革命党である。

 第3章 10・21−国労大会決戦−11・5労働者集会へ

 日本のプロレタリアート人民は、闘うユーゴスラビア人民の決起に連帯し、革命的大衆行動の発展と二〇〇〇年決戦の勝利に今こそ総決起していく時である。
 当面する最大の任務は、国鉄決戦勝利と十一・五労働者集会の五千人結集を絶対に実現する闘いだ。
 十・二八−二九国労定期大会決戦が最大の激突点である。チャレンジと上村革同が強行した「一票投票」は、闘争団を切り捨て、国労を敵に売り渡して連合化していく大転向、大裏切りであり、断じて認められない。完全に無効である。しかも資本の露骨な介入、「背面監視」などあらゆる重圧と不正、デマとペテンを駆使して、結果は賛否二分、真っ二つだった。執行部は信任されてはいない。
 闘争団を切り捨てる「一票投票」をどこまでも弾劾し、転向と裏切りの現執行部の総退陣を求め、打倒しよう。「四党合意」を三万国労組合員と百万支援労働者の力で、どんなことがあっても粉砕、撤回させよう。そして闘う新執行部を必ず樹立しよう。その最大の決戦が国労定期大会だ。
 国労の未来、日本労働運動の未来をかけたこの最大の決戦に、巨万の労働者人民が根こそぎ総決起し、全力で闘うことを訴える。「四党合意」を粉砕し、闘争団と千四十七人の闘いを守りぬくために死力を尽くす正念場だ。労働委員会闘争を一層発展させ、なんとしても勝利を開こう。
 そして、国労定期大会決戦の勝利を軸に、今、日帝・森とブルジョアジーがかけてきている一大資本攻勢、「IT革命」の呼号によって一層激化する理不尽な大合理化、リストラ、首切りの嵐(あらし)と対決する労働者の大反撃として十一・五労働者集会の五千人結集を、なんとしても実現しよう。日本の労働者人民の生き死に、労働運動の未来はここにかかっている。ユーゴスラビアの労働者階級人民のゼネストと大衆的蜂起に続け!ということである。労組への宣伝と組織化に総力を。
 さらにこれと一体の闘いとして、名護新基地建設阻止、臨検法案(船舶検査法案)粉砕、教育基本法改悪阻止、改憲阻止を真っ向から掲げ、闘うアジア人民、パレスチナ人民(十月十二日のイスラエル軍によるパレスチナ自治政府空爆を徹底弾劾せよ!)、沖縄人民と連帯し、十・二一全国統一行動と沖縄県民大会に総決起しよう。これは改憲阻止決戦の壮大な突破口を開く闘いそのものである。
 十・二九狭山中央闘争を部落解放同盟全国連とともに闘おう。
 この決戦のただ中で、機関紙拡大と党建設の闘いを断固として推し進めよう。

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週刊『前進』(1978号1面2)

10・8三里塚全国大集会
 暫定滑走路粉砕へ1600人 ”敷地内圧殺許さぬ”

 十月八日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する「成田空港暫定滑走路建設阻止! 十・八全国総決起集会」が、成田市東峰の萩原進反対同盟事務局次長が所有し、空港に隣接する畑で開かれた。全国から千六百人が結集した。
 反対同盟と労働者人民は暫定滑走路粉砕の一年間決戦への突入を宣言し、その勝利のために全力で決起することを固く決意した。(反対同盟を始め主な発言は5面に別掲)
 また、郡司とめ婦人行動隊長(八月九日逝去)と、芝山町菱田の小川徳太郎さん(九月二十七日逝去)を追悼し、二人の遺志を引き継いでこの決戦に勝利しようと誓い合った。
 熱気あふれる集会をかちとった後、反対同盟を先頭に平行滑走路敷地内を戦闘的にデモ行進。とりわけデモコース上の、立ち木の伐採を運輸省・公団が策動する東峰神社と、廃止を狙い封鎖されている団結街道の迂回道路では、「敷地内農民たたき出しのための軒先工事を許さないぞ! 暫定滑走路を粉砕するぞ!」とひときわ高くシュプレヒコールをたたきつけた。
 反対同盟と三里塚勢力の闘いに追いつめられた国家権力は、集会前の検問で全学連の学生一人を不当にも逮捕した。権力の不当逮捕を弾劾し、逮捕された学生の奪還へただちに行動しようと約束し合った。
 正午、集会は反対同盟の小林一夫さんの司会で始まった。伊藤信晴事務局員が開会を宣言した後、まず、北原鉱治事務局長が基調報告に立った。「成田空港をつぶし、廃港へ追い込もう。三十年前の姿を再現して、実力闘争で闘おう」と反対同盟の不動の決意を力強く表明した。

 三里塚と沖縄の闘いは一つ

 続いて、田中康宏動労千葉書記長が特別報告に立ち、「国鉄闘争は重大な局面、渾身(こんしん)の決起で『四党合意』を最後的に粉砕する時を迎えた」と強調。「労働者の怒りが臨界点を超えようとしている。この怒りを組織し、十一・五全国労働者総決起集会の成功をかちとり、階級的労働運動をよみがえらせよう」と呼びかけた。
 沖縄闘争報告を、反戦地主の知花昌一さんと一坪反戦地主会・北部ブロック代表が行った。知花さんは、「三里塚と沖縄の闘いはひとつ。土地取り上げに対してともに闘おう。名護新基地建設阻止へ新たな闘いに立とう」と訴えた。
 さらに、反対同盟から鈴木幸司本部役員が成田用水裁判上告棄却を怒りを込めて弾劾する発言を行った。
 以上の報告と発言を受けて、反対同盟と顧問弁護団が暫定滑走路粉砕決戦へのアピールを行った。萩原進事務局次長が「きょう集まってくれた人は、もう一度三里塚の大地に立ってください。二度目にはもう一人三里塚に連れて来てください」と熱烈に訴えた。
 敷地内・天神峰の市東孝雄さんは「いかなる弾圧にも負けず、全力で闘う」と宣言。木内秀次事務局員は、運輸大臣の認可の違法を明らかにする工事実施計画の変更認可処分取消訴訟、二期工事差し止め訴訟などの裁判闘争を暫定滑走路粉砕決戦の一環として闘うための特別カンパ要請の訴えを行った。
 葉山岳夫弁護士は、暫定滑走路計画がいかに航空法に違反しているかを克明に暴露した。
 婦人行動隊の決意表明を、郡司とめ隊長の遺志を引き継ぎ、新隊長になった小林なつさんが行った。
 反対同盟の烈々とした発言を受けて、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長が「阿修羅(あしゅら)になって闘う」と、十一月四日から始まる米軍演習阻止への決起を呼びかけた。

 遺志引き継ぎ闘う決意表明

 司会が鈴木加代子さんに代わり、郡司とめさんと小川徳太郎さんに追悼の言葉を捧げた。婦人民主クラブ全国協議会の西村綾子代表と赤堀中央闘争委員会が追悼の言葉を贈った。遺族からのあいさつを、反対同盟本部役員となったつれあいの郡司一治さんが、「とめと心はひとつ。どこまでも空港反対を貫く」と語った。婦人行動隊の宮本麻子さんがカンパのアピールを行い、全国から結集した人びとの決意表明に移った。
 初めに関西新空港反対闘争を闘う、全関西実行委員会の永井満代表、東灘区住民の会の山本善偉代表、泉州住民の会の森田恒一代表が登壇し、天神峰、東峰の現状に心の底からの怒りをぶつけ、「全国の心ある人びとに知らせよう。全国から現地にかけつけよう」と呼びかけた。
 反戦被爆者の会の大槻泰生さんは、「いま闘わなければ、八・六ヒロシマを再現することになる。三里塚に集うこの力で戦争を阻止しよう」と訴えた。部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長は、「狭山異議審闘争の勝利のために百万人署名を推進し、十・二九狭山中央闘争に結集しよう」とアピール。佐世保の海を守る会の松本栄二さんは、「佐世保はLCAC十二隻体制に強化されようとしている。これは戦争だ」と警告した。
 都政を革新する会の長谷川英憲代表は「卑劣きわまりない暫定攻撃に渾身の怒りの決起を」と述べ、反戦共同行動委員会を代表して結柴誠一杉並区議は「敵の息の根をとめる一年間決戦に勝利しよう。三里塚闘争を全人民の闘いに押し上げよう」と訴えた。
 共闘団体の決意表明の冒頭、大山尚行全学連委員長が「反対同盟との血盟を貫き、全学連は大衆的実力闘争をたたきつける。八・二六、九・一三の革命軍による運輸省への連続的反撃に続く」と決意表明した。さらに「本日の十・八闘争から、改憲阻止の大闘争を巻き起こそう。船舶検査法案粉砕の臨時国会闘争に全力で立ち上がろう。十・二一闘争こそ決定的だ」と熱烈にアピールした。
 参加者は、暫定滑走路粉砕一年間決戦の決意を打ち固め、団結ガンバローを三唱してデモに打って出た。

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週刊『前進』(1978号2面1)

「一票投票」は無効!本部は総退陣せよ
闘争団守り「四党合意」粉砕を国労定期大会が最大の決戦だ
 労働委員会闘争の発展かちとれ

 国労中央による「一票投票」強行という一大反動を経て、国鉄決戦は「四党合意」受け入れ絶対阻止へ、正念場中の正念場に突入した。「四党合意」を投票にかけたこと自体、闘争団の切り捨てと国労の解体を迫る権力、JR資本に屈した許しがたい暴挙であった。その経過も結果も、断じて認めることはできない。まして、「一票投票」の結果を口実に、定期全国大会で「四党合意」の受け入れを強行することなど、絶対に許すわけにいかない。十月二十八−二十九日の国労定期大会を、八・二六を上回る闘争団、国労組合員、支援の労働者の総決起で包囲し、宮坂・チャレンジ一派、革同上村一派の「四党合意」受諾策動を打ち砕こう。「四党合意」撤回の労働委員会闘争をさらに発展させよう。転向し裏切り者に成り下がった本部を絶対に総退陣させ、闘う新たな執行部を打ち立てよう。

 不正と重圧はね返し半数の組合員が反対

 国労中央は、闘争団を始めとした国労組合員の反対を押し切り、「一票投票」を強行した。「闘争団の切り捨て」の賛否を問う「一票投票」は、闘争団とJR組合員との分断を策し、国労内部にすさまじい亀裂をもたらす階級的犯罪であった。そこには、国労と国鉄闘争解体をもくろむ敵階級の意思が強烈に働いていた。闘争団がその中止を必死に求めたのは、当然のことである。それを無視して「一票投票」を行ったこと自体、すでに闘争団切り捨ての行為だったのだ。
 宮坂・チャレンジ一派と革同上村派は、ありとあらゆるペテンとデマ、卑劣きわまる恫喝で賛成票を組織した。「四党合意の内容の是非ではなく、解決の枠組みを受入れ、『解決交渉に入るか入らないか』を決める事」だとか、「四党合意を認めればJRに戻れる」「解決金は一人三千万円」などというペテンを並べて組合員をあざむいた。彼らが機関を私物化する地本では役員の「背面監視」のもとでの投票が強制された。
 国労中央は、「四党合意の是非を問う」のではなく、「本部原案を承認するのかどうか」という形で「一票投票」を強行した。つまり、゛お前たちは本部を信任しないのか゜と全組合員に迫ったのである。これは、卑劣きわまる分裂の恫喝である。宮坂・チャレンジ一派と革同上村一派は、゛本部原案が承認されなければ国労は分裂するぞ゜という脅しで組合員を締め付けたのだ。
 だが、この間、国労に亀裂と対立を持ち込んできたのはいったい誰なのか。「四党合意」を受け入れ、闘争団の切り捨てを策し、国労の団結をズタズタに引き裂いてきた張本人こそ、宮坂・チャレンジ一派と革同上村一派ではないか。国労内部に巣食う最悪の団結破壊者たちが、本部に居座るために用いた最後の手段が、分裂の恫喝だったのだ。なんというおぞましいやり方か!
 そもそも国労本部は、いったんは「総辞職」の表明にまで追い込まれていた。闘争団を先頭とする組合員の怒りと弾劾の前に消え去るべきであった連中の、反労働者的・反国労的な悪あがきによって、国労の団結にはいやしがたい傷が残された。このことの犯罪性は、絶対にあいまいにできない。現執行部を、直ちに本部の座から引き降ろさなければならない。

 「投票」は絶対認められない

 しかし、こうした恫喝にもかかわらず、宮坂・チャレンジ一派、革同上村一派の思惑は根底において粉砕された。国労中央の集約結果でも、反対は三六%、保留、白紙を加えれば本部批判票は四五%に達する。
 「四党合意」をめぐる分岐は、七・一、八・二六をも上回る形で激化した。反対票を投じた組合員は、すさまじい重圧を跳ねのけ、人生をかけて決起したのである。ここには明確に「本部執行部は退陣せよ」という意思が込められている。
 「一票投票」の実施を指示した国労本部の「指令第一〇号」では、「四党合意の受入について全組合員の意思の集約を図る」などとしていた。だが、賛成がかろうじて過半数を超えただけで、「全組合員の意思が集約された」などとは断じて言えない。結果は真っ二つなのである。そもそも、闘争団の切り捨てを多数決で決めること自身が、断じて許されないことなのだ。
 だが、本部はあくまでこの集約結果を盾にして、定期大会での「四党合意」受諾を強行しようとしている。「一票投票」の集約結果についての「中執見解」は、「一票投票の結果は、全組合員の意思を示すもの」「第六七回定期全国大会には、一票投票の結果に基づいた運動方針を提起する」などと述べている。
 宮坂・チャレンジ一派と革同上村一派は、まさにこれを権力と資本の手先として行おうとしているのだ。「一票投票」の渦中では「参考に意見を聞くだけ」(宮坂)とごまかしながら、過半数をわずかに上回る結果が出ると、むき出しの反対派鎮圧の策動に打って出たのだ。「四党合意」受諾を定期大会で強行し反動的決着を図るのは、より一層の分裂と団結破壊を促進するものである。
 だが、七・一−八・二六の偉大な地平は、こんなことで覆されるようなものでは断じてない。闘争団は、「一票投票でも闘いは止められない」「新たな決意を固め、再結集しよう」と訴えている。支援の間には、「四党合意」とそれを受け入れた国労本部への怒りがさらに広がっている。
 国労定期全国大会は、文字どおり七・一−八・二六を上回る決戦である。ここには、日本労働運動と労働者の命運のすべてがかかっているのである。

 「四党合意」は敵階級の露骨な不法行為だ

 国労組合員とすべての国鉄闘争支援勢力は、今あらためて「四党合意」を絶対に許さない揺るぎない決意を固めなければならない。
 「四党合意」は、国労が「JRに法的責任がないこと」を認め、裁判も取り下げれば、「和解金」について「検討」してやってもよい、「雇用」についても与党がJRに「要請」してやろう、などというものだ。
 国労には具体的な義務を課すが、政府やJRは何の義務も責任も負わない。ここから出てくるものは、まったくの「ゼロ回答」でしかない。
 何よりも許しがたいのは、自民党を始めとした四党が国労の大会議案に注文をつけ、「裁判取り下げ」という形で国労勝利の労働委員会命令の放棄を迫っていることである。これ自身、あからさまな不当労働行為にほかならない。
 JRに国労組合員の採用を命じた中労委命令は、今なお効力を持っている。JRは中労委命令の取り消しを求める訴訟を起こし、司法もこれに加担して五・二八反動判決を下した。だが、裁判はまだ東京高裁で係争中であり、五・二八判決は確定したわけではない。そうである限り、JRには労働委員会命令を履行する義務がある。
 八八年の最初の地労委勝利命令から数えればすでに十一年以上にわたり、JRは命令不履行という不法行為を続けてきた。政府や自民党を始めとする歴代の与党は、このJRの違法・不当な態度を容認し、積極的に奨励してきたのである。それは同時に、国家権力による全資本家階級に対する「労働委員会命令など無視していい」という教唆・扇動でもあったのだ。
 政府・JRは国労組合員に対する採用差別という巨大な不当労働行為を働いた。さらに彼らは、労働委員会命令を無視し続けた。こうした不法行為をほしいままにしてきた者たちが、それを開き直った揚げ句、不当労働行為の被害者に対して、「労働委員会命令はなかったことにします。労働委員会に申し立てをしたこと自身が間違っていました。首を切られても仕方ありませんでした」と言え、と迫っているのだ。こんなヤクザまがいのやり方が許されていいはずがない。それは、文字どおり闘争団を始めとした国労組合員の人生を否定し、人間の尊厳を踏みにじる行為である。

 国労の再生をかけた闘いに

 この攻撃に対して、全国各地の国労組合員が「四党合意」撤回を求める労働委員会闘争に立ち上がった。
 この労働委員会闘争は、「四党合意」を強制し、国労を解体して千四十七人の解雇撤回闘争を壊滅させようとたくらむ政府・自民党、運輸省、JRと真っ向から対決する闘いだ。「四党合意」との闘いはこれによって永続的なものになったのである。
 それはまた、国労が積み重ねてきた膨大な労働委員会闘争の成果を守り抜く闘いである。
 同時にそれは、国労の階級的な再生への土台を形成するものである。七・一、八・二六の二度にわたる臨時大会で、闘争団は命がけの決起を貫いた。これにこたえ、闘争団を支えぬくためにJR本体の組合員が労働委員会闘争に立ち、さらに闘争団の中からもこれに呼応する闘いが開始されている。これは、敵の攻撃に屈した国労本部を総退陣に追い込む、決定的な力になるものだ。
 さらに、この闘いは五・二八反動判決に対する総反撃の開始である。
 権力は、五・二八反動判決で労働委員会制度をなきものにしようとたくらんだ。これに屈しろというのが「四党合意」だ。これまで、多くの労働組合・労働者は、労働委員会をも活用して自らの団結を守ってきた。昨秋のILO勧告も、実質的に五・二八判決を厳しく批判するものだった。労働委員会制度を否定する政府の労働政策は国際的に通用するものではなく、国労本部の裏切り方針も全世界の労働者の利益を裏切るものとして弾劾されたのだ。すべての労働者の団結権を守り抜くためにも、「四党合意」を断じて認めてはならない。
 この労働委員会闘争をさらに拡大し、すべての国労組合員、すべての国鉄闘争支援勢力の闘いとすることが、「四党合意」をその根幹において粉砕する闘いなのである。「四党合意」撤回の労働委員会闘争とその支援運動を「国民運動」と呼べる規模のものに拡大した時、国鉄闘争勝利の展望は確固としたものとして開けてくるのである。

 労働委命令の放棄を許すな

 宮坂・チャレンジ一派と革同上村一派は、敵階級による国労への支配介入を甘んじて受け入れ、労働委員会の勝利命令も投げ捨てて、闘争団の切り捨てへと突き進もうとしている。
 国労本部が敵に売り渡そうとしている労働委員会命令は、闘争団が国家的不当労働行為との血のにじむ格闘の中でかちとってきた偉大な成果である。
 だが、宮坂・チャレンジ一派や革同上村一派にとっては、それは自らの身の安泰を権力・資本に保障してもらうことと引き換えに、売り渡すべき対象でしかなかったのだ。
 五・二八反動判決以降、彼らの闘争団切り捨て策動は度を超えて露骨なものになった。五・二八判決は、彼らの裏切りの対価を限りなく低めるものでもあったからだ。彼らの唱える「ラストチャンス」論とは、結局のところ自らの裏切りを権力・資本に高く売り込むための「ラストチャンス」ということでしかない。
 すべての国労組合員と支援の労働者は、十月二十八−二十九日の国労定期全国大会に総結集し、「四党合意」の受諾をなんとしても阻止しよう。闘争団と千四十七人を守れ! 現執行部を総退陣させ、闘う新たな執行部を打ち立てよう。この決戦にかちぬき、十一・五労働者集会への大結集を実現しよう。

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週刊『前進』(1978号2面2)

10・6東京集会 320人が決意も固く誓う
 ”1047人の闘い守れ” 国鉄闘争勝利へ最大の正念場  

 十月六日、シニアワーク東京で「許すな! 『四党合意』/守ろう! 千四十七名を/国鉄闘争勝利東京集会」が実行委員会の主催で開かれ、三百二十人が結集した。
 集会には、一票投票を強行した国労中央への怒りと、四党合意を粉砕するという決意がみなぎった。
 呼びかけ人としてあいさつをした佐藤昭夫元早大教授は、一票投票について「一方的な情報操作にもかかわらず一万以上の批判票が出た。全組合員の意思の集約はできなかった。四党合意反対という組合員の意識が把握されただけだ」と述べ、「四党合意は、不当労働行為の犠牲者にそれがなかったと言わせるもの。闘争団の人生をかけた闘いを踏みにじることは許せない。多数決で決めていいものではない。四党合意をいかに否定するか、今後の闘いが大切だ」と訴えた。
 呼びかけ人の宮島尚史元学習院大教授は、「新しい労働委員会闘争が全国で起こっている。この闘いを自信をもって展開しよう」と呼びかけ、「本部のしていることはミロシェビッチを思わせる」と国労本部を弾劾した。
 作家の宮崎学さんも、呼びかけ人として「四党合意に反対する意思を貫徹するだけだ。臨時大会で示した闘う意思を定期大会でも示すべき。その中で歴史が変わる」と訴えた。

 闘争団の熱い思いにこたえ

 集会の熱気が高まる中、闘争団の労働者が発言した。「『JRに責任なし』は認めたくないし、認めるべきでない。本部は直角に右にかじを切っているが、国労には直進しかない」「四党合意は二度の臨大で否決されている。こんなものは引っ込めるべき。定期大会までの二十日間が正念場だ。精一杯頑張りたい」と決意を述べた。
 続いて、四党合意撤回の地労委闘争に立ち上がった国労組合員が登壇し、「一票投票は、やり方も結果も一切無効だ」と宣言した。そして、「自民党、運輸省、JRは、本部に対して定期大会で四党合意を決定し、反対派の息の根を止めてこいと迫っている。これに対してどう闘うのか。労働委員会闘争を全国、全地本に広げて定期大会になだれ込む。決戦を勝ち抜く最大のポイントがそこにある」と訴えた。
 最後に、JR総連との組織攻防戦を貫き、「シニア協定」−全面外注化攻撃を阻止するためにも、定期大会で闘う新執行部を打ち立てようと訴えた。
 動労千葉の田中康宏書記長が「国鉄闘争の現局面とわれわれの任務」と題して講演した。田中書記長はまず、「賛成しなかったら分裂だという脅しの中で一票投票が強行された。明らかに不正もあった」と弾劾し、「一票投票で、四党合意推進派がインチキではあれ初めて『正当性』を持った。この現実を直視しなければ、敵の密集した反動を打ち破れない」と鋭く問題を提起した。
 「国労本部の政治解決路線は、現場の闘いをぬきにした嘆願方針だ。和解のために現場の闘いは抑えられた。千四十七人の闘いは組織全体の闘いとして進められてきたのか。一票投票はそういう問題を突き付けた」「闘争団は渾身(こんしん)の力で立ち上がった。これにこたえて四党合意の問題を大衆的に議論した地本では、反対票が圧倒した。現場のすみずみに分け入って議論することが必要だ。それが国労を生まれ変わらせる力になる」
 そして、「闘争団の闘いを土台から支えるのが労働委員会闘争だ。本部は、四党合意受け入れと裁判取り下げにしゃにむに進もうとしている。これに対抗する地労委闘争の意味は大きい」と訴えた。
 また、九州労からの大量脱退などJR総連が崩壊状況に入っていることを報告し、JR総連解体の決戦に入ると決意を述べた。最後に十一・五労働者集会への総決起を呼びかけた。

 11・5総決起へ行動方針提起

 大阪から港合同の労働者が駆けつけ、「大阪から始まった地労委闘争は全国に広がろうとしている。四党合意はあからさまな不当労働行為だ。しかし、この中に敵の最大の弱点がある」「国が違法行為をしていいのか、不当労働行為をしていいのか。中曽根は労働委員会に出てこい!」と熱烈な檄(げき)を飛ばした。
 賛同労組の決意表明では、教育労働者、自治体労働者、医療労働者、全逓労働者とスタンダード・ヴァキューム石油自主労組の代表がそれぞれに発言した。
 三一書房労組の三角忠委員長が行動提起をし、@国労定期大会への総結集、A労働委員会闘争への支援運動、B十一・五労働者集会への総決起を訴えて、団結ガンバローを行った。
 この集会には二十団体、五十個人が賛同し、闘う労働運動の新潮流が着実に発展していることを示すものとなった。東京労組交流センターは集会の成功のために全力で奮闘した。十一・五労働者集会の大結集へ、橋頭保が築かれた。

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週刊『前進』(1978号2面3)

広島で連帯集会開く 国鉄勝利へ幅広い陣形

 十月一日、広島市・広成ビルで「がんばれ! 国労闘争団/一〇・一ひろしま集会」が集会実行委の主催で開かれた。国労広島地本の労働者を始め広島県内から二百三十人が結集した。
 集会は午後一時、ビデオ「七・一国労臨大ドキュメント−闘争団・家族の熱い一日」の上映で始まった。参加者は食い入るようにビデオに見入って、感動と決意を新たにした。
 午後一時半、司会の国労広島駅連合分会の久保将樹さん、広島県教職員組合書記次長の難波隆宏さんが紹介された。
 呼びかけ人を代表して前参議院議員の栗原君子さんが開会あいさつをし、「四党合意はノー。国労つぶしは闘う労組への見せしめ。ひとごとではない。みんなで支えよう」と訴えた。
 続いて、平和・人権・教育・環境のための活動家フォーラム代表委員の小森龍邦さんが連帯のあいさつを行い、「四党合意は人間として生きていく基本を譲歩すること。一歩も引かず闘おう。この闘いの勝利をこの目で見たい」と述べた。
 国労広島駅連合分会執行委員の渡辺久男さんが問題提起をし、「不当労働行為を許さず、解雇撤回まで闘争団の仲間を物心両面で支え闘い続ける」と訴えた。
 続いて、九州から駆けつけた筑豊闘争団の労働者が発言に立った。七・一−八・二六の過程を振り返りながら、「国鉄闘争は戦後労働運動のとりでを守る闘い。四党合意による国労つぶしは許せない。希望と目標をしっかりもって闘っていく」と語った。
 その後、六人が支援・連帯のアピールを行った。
 広島県高等学校教職員組合執行委員長の安保英賢さんが、「正しいものは引けん。人生をかけた闘いは人の心を揺さぶるものがある。幅広い支援と連帯を」と呼びかけた。
 全日本港湾労働組合中国部会長の川田澄さんが「ビデオを見て突き抜けるような感動を覚えた。四党合意は支配介入。新たな不当労働行為だ」と訴えた。
 広島連帯ユニオン委員長の鈴木範雄さんが「四党合意という不当労働行為を認めることは絶対できない。民間では国鉄方式のリストラ・合理化−組合つぶしがやられている。国鉄闘争は労働者の未来のかかった闘い」と熱っぽく語った。
 郵政中国労働組合委員長の吉井信夫さんが、「日本の労働者の未来を左右する国鉄闘争。全逓四・二八の二の舞いを繰り返すな」と訴えた。
 広島労働弁護団団長の山田延廣弁護士が「ひとごとではない。明日はわが身。共同戦線を張って闘おう。万国の労働者団結せよ、である」と訴えた。
 最後に元国労特別中央執行委員で総評国民運動局長だった加藤徹夫さんが、「現役に引き戻された。四党合意の受け入れは国家的不当労働行為への屈服。JR総連、JR連合への屈服だ。一組合員に返って苦難を闘争団と共有して闘う」と烈々たる決意を語った。
 集会アピールが採択され、団結ガンバローの音頭を広島県教組執行委員長の山今彰さんがとり、全員が国鉄闘争勝利への決意も固くこぶしを突き上げた。
 この集会は、幅広い陣形のもとに開催された。四党合意粉砕へ、広島の地からも大きな闘いが始まった。

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週刊『前進』(1978号2面4)

闘争団激励で集会 四党合意反対の熱気 東京

 十月十日、全労協主催の「国鉄闘争勝利! 闘争団激励集会」が東京・九段会館で開催され、国労組合員や支援の労働者ら約八百人が参加した。
 全労協の藤崎良三議長は主催者あいさつで、国労の「一票投票」の結果について「解雇争議等の解決に当たっては、被解雇当事者の意見が尊重されるべきであるという争議解決の原則を踏まえて、しかも四割を超える反対があることを受け止めて……『闘争団の納得のゆく解決』に向けて今後の方針が決められることを期待する」と述べた。
 支援労組からは、「JRに法的責任がある、とした都労連の立場は変わらない」(都労連)、「四党合意は国労の方針を百八十度ねじ曲げる全面屈服だ」(オリジン電気労組)、「支援の立場で言うべきことは言う。四党合意を進める国労本部は無責任だ。闘争団切り捨て以外の何ものでもない」(東京清掃労組)など、ほとんどが「四党合意反対」を明確にして闘争団を支援する発言だった。
 また、冒頭に講演した日本労働弁護団の徳住堅治弁護士は、今日の企業分割法制について述べ、「国鉄分割民営化に反対し、選別採用に反対して闘っていることに意義がある」と闘争団を激励した。
 集会には二十闘争団、三十人余りの闘争団員が自前で上京し、熊本闘争団、旭川闘争団、音威子府闘争団家族が発言した。
 「一票投票のこの数字で『四党合意』をのもうというのは暴挙だ」「『四党合意』は絶対に認めない決意だ」「一票投票で私たちの人生は決められたくない。十三年間闘ってきたことに自信をもって頑張る」と力強い決意が表明され、満場の割れんばかりの拍手を浴びた。

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週刊『前進』(1978号3面1)

「人事交流」に怒りの反撃を 労働者を殺したのは郵政省
 協力する全逓中央も同罪だ 民営化粉砕へ闘う新潮流を

 郵政省は九月「人事交流」=強制配転を、東京(十九日発令、約三百五十人)、近畿(十一日発令、約六百五十人)、関東(二十七日発令)を始めとして全国で強行した。職場では、この「人事交流」に対する怒りが極点に達している。首都圏と近畿の労働者は、直ちに緊急抗議集会を行い、反撃に立ち上がった。今こそ現場の怒りを結集し、「人事交流」攻撃を粉砕しよう。「人事交流」攻撃を打ち破り、「郵政公社」化=民営化攻撃を粉砕する全逓労働運動の新しい潮流をつくろう。十一・五集会に結集しよう。

 強制配転され全逓組合員が抗議の自殺

 九月二十四日、東京においてまたも「人事交流」による犠牲者が出た。十九日に豊島局から練馬局に強制配転された全逓組合員(五十三歳)が、配転後五日目にして焼身自殺したのだ。抗議の自殺である。また九月初めには、埼玉・川口局職員が局舎から飛び降り自殺したことが報道されている。
 首都圏ではこの四年間で、多摩西部地区で二人、日本橋局で二人、向島局で一人、小岩局で一人など、分かっているだけでも「人事交流」による犠牲者が十四人になる。実際にはこれをはるかに超える犠牲者が出ているのだ。自殺のほかに病気・休職・退職に追いやられている労働者は数え切れない。労働者の苦悩と怒りは全国の職場に充満している。
 「人事交流」=強制配転は、労働者にとって、単なる「勤務地の変更」ではない。労働条件の重大な改悪であり、職場環境や人間関係の破壊であり、また、家事、育児、介護などの生活条件を破壊して、家族関係を破壊している。
 しかも、労働者圧殺のこの攻撃を省と一体となって推進しているのが全逓中央であり、省と同罪と言わなければならない。
 このような現実に対して、第一一三回中央委員会で「人事交流の凍結を求める」などの全逓中央批判が噴出したのに続いて、第五四回全国大会では、さらに激しく現場の怒りがたたきつけられた。
 「超勤やただ働きが常態化し、人事交流によって現実に仕事が回らなくなっており、人間関係も悪化している」「団結破壊と受け止めている」「人事交流は人材育成ではなく、人材破壊と組合つぶしである」などと、批判の声が相次いだ。
 しかし、全逓中央は省に抗議するどころか、「人事交流によって、人材育成、さらには組合員の意識改革ができたと判断している」(新書記長・菰田)などと、積極的に推進する立場をむき出しにしている。「人事交流については、優れて省の人事権によるところであり、組合として事前チェックをする等、侵すことのできない省=経営側の聖域」「人材育成・能力開発・職場の活性化等の視点から必要な施策であり、全逓としても積極的能動的に対応する」(第五二回全国大会、人事交流に関する基本的見解)という方針を、どこまでも現場労働者に犠牲を強いて続行しようとしている。
 「人事交流」は、十六万組合員の耐えがたい怒りの的となっている。労働者の権利と職場の団結を破壊し、労働者を圧殺する「人事交流」に、今こそ現場の怒りをたたきつけ、直ちに中止に追い込もう。

 民営化・ニューユニオンへの組合破壊攻撃

 九月「人事交流」は、これまでをはるかに超える悪らつな組合破壊、職場の団結破壊の攻撃である。「支部役員が率先して当局施策を妨害している現状がある。二〇〇三年公社化に向かって生産阻害要因を排除しなければならない」(近畿郵政局)と公言し、支部三役や共済担当者を狙い撃ち的に強制配転するなど、露骨な組合破壊、不当労働行為である。東京でも、闘う拠点をつぶすための強制配転が強行されている。
 九月「人事交流」の狙いは明らかだ。
 ひとつは、二〇〇三年郵政公社化に向けて省が、職場に残る全逓労働者の戦闘性と階級意識を一掃することにある。
 全逓中央による八二年の四・二八闘争切り捨て以降(とりわけ九七年橋本行革・郵政民営化攻撃以降)の階級移行にもかかわらず、現場の全逓労働者は不屈に闘い抜いている。どんなに「人事交流」攻撃が吹き荒れようとも、どのような労働条件の悪化があろうとも、けっして屈することのない戦闘性と階級性を守り抜いている。省は、この現場の全逓労働者の闘う力を何よりも恐怖しているのだ。
 ふたつには、全逓中央が七月全国大会において、「総合生活支援ネットワーク事業」路線と「ニューユニオン」方針を決定して、省の郵政民営化攻撃に全面的な協力を表明したからである。全逓中央の全面的民営化の推進が「人事交流」攻撃のエスカレートを招いたのだ。
 職場で進行している「人事交流」、総合担務、人員削減、営業などの各種の攻撃・諸施策は、民営化にいつでも移行できるようにするための、郵政省の「民営化対応」施策であり、それは同時に、全逓中央が労使共同で推進してきた「行革対応第一ステージ〜第三ステージ」の具体的実践としてあった。そして、この延長線上に総仕上げとして全逓中央は、「第四ステージ」の「総合生活支援ネットワーク事業」路線を推進しようとしている。
 もはや、われわれ全逓労働者の進むべき道は明らかだ。「人事交流」を中止に追い込み、郵政民営化攻撃を阻止する道は、全逓中央を打倒することの中にこそある。

 職場の団結を固め全逓中央を打倒しよう

 省と連合全逓中央との共同で進められる郵政民営化攻撃の目的は、全逓労働者の階級意識の解体・一掃と、闘う職場の団結破壊にある。逆に、繰り返される「人事交流」を始めとした民営化攻撃に対する怒りをバネに、ますます職場の闘う団結を固めて、支部・分会がひとつになって闘えば必ず粉砕できるのだ。
 職場の怒りは、七八越年反マル生闘争の時以来の激しさだ。今こそ、この怒りを解き放ち、省と全逓中央に対してたたきつけよう。
 そのためにも今はっきりさせるべきことは、八七年以来十四年にわたる国鉄分割・民営化攻撃とその破綻(はたん)の歴史を、労働者の立場で総括することである。四十万国鉄労働者の実に半分(二十万人!)の首を切った国鉄の分割・民営化攻撃は、動労カクマル・松崎(現JR東労組会長)が積極的な推進主体になることによって強行された。労働組合が当局の先兵になることによって、初めて強行できたのだ。労働組合の名をもって労働者の首切りを強制したのだ。
 このような労働者の中の裏切り者と徹底的に闘い、団結を強化して当局と対決しなければならない。
 ところが全逓中央は、この国鉄分割・民営化攻撃と闘うどころか、「国労のようになってはならない」と総括し、労使一体化を進めてきたのだ。
 しかしながら十四年目の今日、国鉄分割・民営化の総破綻は誰にも明らかとなっている。なぜなら、分割・民営化に一貫して反対してきた国労と動労千葉が、労組絶滅攻撃を打ち破って組合的団結を守り抜いてきたからだ。JR総連は今や松崎路線が破産し、組織的矛盾が爆発している。
 「国家的不当労働行為糾弾、解雇撤回、原地原職奪還」を掲げた千四十七人を先頭とする国鉄闘争は、民営化以降の敵の攻撃に歯止めをかけ、日本労働運動の戦闘的再生と新たな高揚情勢をこじ開けている。国労闘争団と百万人を超える支援労組・労働者の闘いは、八・二六国労続開臨大で七・一臨大に続いて再び「四党合意」の採決を阻止した。追いつめられた国労中央が強行した「全組合員の一票投票」では、「四党合意」賛成の役員による「背面監視」やJR資本の介入にもかかわらず、「賛成」は五五%にとどまった。これは否決されたことを意味する。どの組合でも規約改定に匹敵するような重要な問題は三分の二の賛成がなければ否決である。闘争団を先頭とする闘う国労組合員は、十月末の定期大会に向けて新たな闘いを開始している。
 国労闘争団を先頭とする千四十七人の国鉄労働者の闘いは、全逓四・二八被免職者の闘いとともに日本労働運動の宝である。倒産、リストラ、首切り、強制配転、賃下げ攻撃を始めとした今日の一大資本攻勢に対して、全国いたるところで労働者は「もう我慢できない」と立ち上がっている。今、国鉄闘争を中心に、連合の労働者支配を打ち破る労働運動の新たな闘う潮流が大きくうねり出している。怒れる労働者が総結集するところが十一・五労働者集会だ。
 全逓労働者の皆さん。闘う国鉄労働者、すべての労働者と団結して、闘う全逓労働運動の新潮流をつくり出そう。職場の団結を打ち固め、裏切り者=全逓中央とその手先を打倒し、全逓を改革しよう。十一・五労働者集会に結集しよう。
〔マル青労同全逓委員会〕

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週刊『前進』(1978号3面2)

近畿郵政局に抗議 ”不当労働行為許さぬ”

 近畿郵政局が強行した六百五十人にも及ぶ「人事交流」に対して、九月十九日、近畿の闘う労働者二百人が大阪の近畿郵政局を包囲し、徹底的に弾劾の声をたたきつけた。昨年の滋賀での全国大会闘争の地平に立って闘われた第三波の闘争である。
 熱烈なシュプレヒコールの後、集会実行委員会が、「今回の配転は重経推(重点経営推進)局を狙った組合破壊、不当労働行為だ。東京では自殺者まで出ている」と発言し、各局からの闘いの報告が行われた。
 「現役の支部長二人が飛ばされた。私の支部でも役員が飛ばされた。三支部で直ちに抗議集会をもった。当局は組合に会議室も貸さない。これは公社化−民営化との攻防そのものだ」(京都)
 「高齢者への嫌がらせ、リストラ的配転は許されない」(兵庫)
 地域の労組が連帯のあいさつを行い、強制配転された五人の労働者が「組合つぶしの嫌がらせに負けず闘う」と、次々と決意表明した。
 近郵当局に対して抗議声明を読み上げた。当局は門を閉ざし、数十人の管理者でバリケードを築いて阻止しようとした。集会参加者は「ちゃんと受け取れ」「強制配転をやめろ」と、日ごろの傲慢な管理者に対する怒りをたたきつけた。管理者は名札も着けずに押し黙ったままだ。シュプレヒコールをたたきつけて一時間半にわたる抗議闘争を貫徹した。
 当局は、「公社化に向けて阻害要因を取り除く」と公言し、組合執行権の停止を狙っている。一線を越える不当労働行為だ。ニューユニオンに向けて、闘う労働者排除を狙う全逓地本−中央を現場の力で打倒しよう。団結を固めて闘おう。

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週刊『前進』(1978号3面3)

たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 11・5全国労働者総決起集会

 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の三労組が、「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 十一・五全国労働者総決起集会」を呼びかけている。この三労組と賛同組合で十一・五集会実行委員会がつくられ、その主催のもとで開催される。九月に三労組が発した「賛同と参加のお願い」を紹介します。この呼びかけにこたえ、集会を成功させよう。(編集局)

 賛同と参加のお願い

賛同組合・個人の一覧集会プログラムも11・5集会実行委員会のビラから収録しました。HP編集委員会〕

 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部
 全国金属機械労働組合・港合同
 国鉄千葉動力者労働組合

 たたかう労働組合、労働者のみなさん!
 いま労働運動は、重大な試練と飛躍の時をむかえています。日本経済は、本格的な景気回復軌道にのらないまま、再び企業倒産が広がろうとしています。労働法制改悪と一体の企業再編法制(産業再生法、民事再生法、会社分割法)が相次いで制定され、闘いの中でかちとられてきた整理解雇四要件、使用者概念の拡大が、なしくずし的に解体されようとしています。
 そして「労働力流動化」政策のもとで不安定雇用化は急速に進んでいます。財界の「総額人件費切下げ」戦略の下、雇用破壊と一体で賃下げ、能力・成果主義導入が進み、さらに介護保険制度導入、年金改悪など、社会保障の全面改悪の攻撃がかけられています。郵政公社化をはじめ、国鉄分割・民営化型のリストラが迫り、人事院勧告ベアゼロなど、公務員労働者にも首切り・賃下げ攻撃が容赦なく襲いかかっています。
 組織的犯罪対策法の成立によって、正当な争議行為への刑事弾圧が強まり、「営業妨害」や「名誉棄損」の名による巨額の損害賠償攻撃がかけられています。いまや司法・警察権力は、まがりなりにも憲法−労働三法の庇護のもとにあった労働組合・労働争議を力づくで解体し一掃しようとしているのです。
 この倒産・リストラ、首切り、団結破壊の攻撃にたいする労働者の怒りは高まっています。二〇〇〇年春闘において、組合を結成し賃下げをおし戻すなど中小で無数の闘いがまきおこっています。大単産からもストライキや残業拒否が復活し、各産別大会では、たたかわない執行部への不満が噴出しています。労働組合は、資本と闘う団結を取り戻し、地域・産別の未組織・不安定雇用労働者のより所とならなければなりません。職場の団結を軸にした原則的な労働運動がいまこそ求められています。
 なによりも国鉄闘争は、最大の正念場にさしかかっています。五月三〇日、自民党・公明党、保守党、そして社民党は、「JRに法的責任がないことを大会で決定せよ」を中心とする一〇四七名問題についての「四党合意」を国労に突きつけました。この「四党合意」は、一〇四七名を切りすて、国労−国鉄闘争を解体する攻撃であり、露骨な不当労働行為そのものです。
 この攻撃に屈服し承認してしまった国労中央にたいして、闘争団を先頭とする組合員、そして支援労組・労働者の「四党合意」反対の声が高まり、七・一臨時大会、八・二六続開大会での「四党合意」決定は阻止されました。国労組合員の中からも「四党合意」を不当労働行為として労働委員会に提訴する闘いが始まっています。この力は、闘う労働運動をつくりだす礎石となると確信します。
 昨年のガイドライン関連法を強行した政府・支配階級は、改憲を政治日程にのぼらせています。「日の丸・君が代」教育基本法改悪で愛国心をうえつけ、そして東京都の九・三自衛隊治安出動訓練など有事立法−改憲の先取り攻撃も強まっています。サミット前日の嘉手納基地包囲行動に示された沖縄の怒り、八・六広島の闘いなど反戦平和運動も新たな高揚を示しています。
 私たち三労組は、「人の痛みがわかる労働運動」「団結権確保」「階級的団結の強化・拡大」を旗じるしに闘いぬいてまいりました。そして一昨年以来、たたかう労働組合が大同団結し、全国ネットワークをつくりだすことを呼びかけ、十一月に全国労働者集会を開催してきました。
 本年の十一・五労働者集会は、多くの労働組合・労働者の参加をいただき、二一世紀にむけたたたかう労働運動の起爆剤として成功させたいと思います。
 志を同じくするすべてのみなさんの賛同と参加を心よりお願い申し上げます。
 二〇〇〇年九月

スローガン
@全労働者の団結で「四党合意」に反対し国鉄一〇四七名闘争に勝利しよう!
A全労働者の団結で倒産リストラ首切り賃下げ攻撃をうち砕こう!
 労働法制改悪許すな、企業再編法制反対!
B全労働者の団結で組織的犯罪対策法発動を許さず警察の組合破壊攻撃をはねかえそう!
C全労働者の団結で、教育基本法改悪に反対し、有事立法─改憲攻撃を粉砕しよう!

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週刊『前進』(1978号3面4)

都労連 賃下げ人勧に怒り 石原と対決し賃闘に決起

 東京都人事委員会は十月五日、都人勧史上初のベアゼロ、実質賃下げの勧告を行った。怒りを込めて徹底弾劾する。
 勧告の内容は、「給料表の改定は行わない(ベアゼロ)、一時金〇・二カ月分を削減する、公民較差の五百六十八円(〇・一三%)は扶養手当と住居手当に当てる」というものだ。勧告どおり実施されれば、都職員の年収は二年連続で減少する。
 すでにファシスト石原都知事による給与の時限的削減措置によって四月から賃金は四%カット、月額一万四千円を超える削減が強行されており、これだけでも職員の生活を直撃している。さらに一時金で約八万円を削るなどということは、断じて認められない。
 さらに人勧では、「昇給停止年齢の五十五歳への引き下げ」「勤勉手当への成績率導入」「能力・業績を反映した給与制度・人事制度の推進」など、今日、日経連・資本家階級が進める資本攻勢を公務員に対しても貫こうとする攻撃が列挙されている。
 年金支給開始年齢の引き上げに伴って来年四月からスタートする新たな再任用制度の給料表が示されたが、それはフルタイムの再任用者の場合は現行水準に及ばず、短時間勤務職員の場合には一層厳しい内容である。都労連が要求している「希望者全員雇用」については一切言及していない。都当局は「全員雇用は保障しない」「総人件費の抑制(=削減)が必須」という反動的対応に終始している。
 都労連(東京都労働組合連合会、十万人)は、人勧発表の五日、直ちに千五百人を超える労働者が都庁前に集まって総決起集会を開き、「われわれの生活実態を無視した一時金の削減は認められない」「差別と分断を基調とした人事管理の強化に反対する」「都労連六単組の総力を結集して闘いぬく」との声明を発表し、今秋季賃金闘争の火ぶたを切った。
 労組交流センター自治体労働者部会は、結集してくる労働者に今秋賃金闘争をともに闘う連帯のビラと、国鉄闘争への決起、十一・五労働者集会への結集を呼びかけるビラをまいた。
 ファシスト石原・都当局は、定昇停止年齢引き下げ、勤勉手当への成績率導入など、この間都労連が阻止してきた対決事案をこの秋、一挙に突破しようと狙っている。昨秋の十波を超える都労連の歴史的闘いを引き継ぎ、それをも超える今秋賃金闘争の大爆発で石原・都当局の攻撃を粉砕しよう。ファシスト石原を打倒し、都労連の一層の強化と団結をかちとろう。

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週刊『前進』(1978号3面5)

大合理化粉砕のストに立つ動労千葉に物販で支援を

 九月十七日、動労千葉全国物販担当者会議が東京都内で開催され、二〇〇〇年夏季物販闘争の総括と冬季物販闘争の方針が討論された。総括について次のような意見が出された。
 「国鉄闘争が『四党合意』をめぐって決戦段階に入り、支援陣形も分岐−流動化しており、チャンスを迎えているが、それを生かし切れなかった」「物販を職場に持ち込むことが職場活動の基本であることの認識がまだ弱い」「どれだけの活動家が物販闘争に取り組んだか。まだ少数の活動家に依存している」「職場を訪問した後のフォローが十分できなかった」「不況の中で一人ひとりの注文額が減少しているが、注文件数を多くするために訪問件数を増やしていくことを考えている」「自治労の組合が組合で取り組んでくれたので目標を達成できた」
 以上の総括を生かして、冬季物販に取り組もう。
 次に、国鉄闘争が「四党合意」をめぐって決戦局面にある中で、今こそ「動労千葉のように闘おう」と全力で訴えることである。
 動労千葉は、十月一、二日の定期大会で国鉄闘争の三大方針を決定した。
 @「四党合意」に反対し、千四十七名の解雇撤回闘争に勝利しよう。
 A「シニア制度」−鉄道業務の全面外注化−大合理化攻撃に反対しストライキで闘おう。
 BJR総連解体−組織拡大闘争に総決起しよう。
 「四党合意」は、直接的には千四十七名の切り捨ての攻撃である。同時に、この「四党合意」の攻撃と一体で保守部門と検修・構内作業の全面外注化(九月十三日提案)の大合理化攻撃が襲いかかってきている。千四十七名切り捨てと大合理化(動労千葉、国労組合員の職場からの排除)こそ、「四党合意」の攻撃の核心である。
 この大合理化と一体の「シニア協定」は、六十歳定年を迎える労働者に関連会社への再就職を紹介するというものだが、鉄道業務を次々と外注化し、JR社員の三分の一以下の賃金で雇うというものだ。JR資本とJR総連が結託して選別・再雇用する新たな不当労働行為である。これは国鉄分割・民営化強行以来の大合理化攻撃である。
 動労千葉組合員に対しては再就職先さえ紹介しないという組合差別が始まっている。動労千葉は、この不当労働行為に対して労働委員会に申し立てた。
 そして動労千葉は、検修・構内全面外注化に対して来春ストライキに立ち上がろうとしている。
 また、JR総連のファシスト支配の矛盾が噴き出し、組織危機が一層深まっている。若い組合員の不満が噴出している。これに対して動労千葉は、新しい世代の動労千葉への飛躍をかけて組織拡大闘争に立ち上がる。
 動労千葉は、この三大方針と固く結合して、有事立法・改憲攻撃と闘う政治闘争、そして労働運動の新しい潮流をつくる闘いに総決起する。
 ストライキに立ち上がる動労千葉を支援しよう。
 そして、物販闘争こそ、階級的労働運動をつくり出す原点的闘いであることをはっきりさせ、職場の全組合員をオルグしよう。
 物販をとおして組合員と討論することである。それで組合員が何を考えているか、組合員の不満、怒りなどを知ることができる。一人ひとりの組合員の意識を知らないで職場闘争−団結をつくり出すことはできない。一人の活動家が職場で六十万円も七十万円もやっている例もある。これは特別のことではなくて誰でもできる。それは非常に優れた職場活動であり、生きた階級的労働運動の実践である。闘争方針がない連合支配下では、現実的な職場活動である。年二回の物販闘争を年間の中で重要な方針にしている組合も生まれている。
 階級的労働運動を物販から始めよう。物販をとおして階級的労働運動をつくりあげよう。十一・五労働者集会への総決起と結びつけ物販闘争に立ち上がろう。

 ◇販売品目◇
 (単位 円)
1 くまのプーさんカレンダー 1,300
2 ヘルスジューサー     1,280
3 天津甘栗          500
4 丹波の黒豆         500
5 夕張メロンパイケーキ    700
6 スモークチーズ       900
7 ナッツ&フルーツ      980
8 カマンベールチーズケーキ 1,000
九 松前漬           750
10 ハンドシュレッダー    1,780
11 サントリーウイスキー   3,000
12 落花生          2,000
13 丸大ハム詰合せ      3,000
14 焼のり・5帖箱入り    1,500
15  〃 ・10帖箱入り    3,000
16 いかごはん        1,100
17 カリカリ梅         650
18 ポケットチーズ       700
19 ソフト貝柱         850
20 ゆでスパゲティ      1,500
21 フルーツジャム      1,600
22 種ぬきプルーン      1,000
23 函館こがね(さきいか)   1,000
24 モカブレンド       1,200
25 白菜キムチ         600
26 喜多方ラーメン(生)    1,000
27 讃岐うどん        1,350
28 博多屋台ラーメン     1,100
29 北信濃手折りそば     1,600
30 札幌寒干しラーメン    1,000
31 チーズかまぼこ       950
32 アソートチョコレート   1,300
33 静岡茶           600
34 コーンポタージュスープ  1,200
35 ひじき           600
36 根昆布しょうゆ       600
37 日高昆布         1,000
38 だしパック        1,200
39 紀州梅干         2,200
40 ビーフカレー20食     3,000

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週刊『前進』(1978号4面1)

教育基本法改悪阻止を 改憲と戦争動員に向け戦後教育の大転換図る
 教育改革国民会議中間報告を弾劾する

 日帝・森が、戦争と改憲に向けた教育基本法改悪・教育改革攻撃を激化させている。教育改革国民会議は、国会の憲法調査会と並ぶ、戦争と改憲の推進機関である。その「教育改革国民会議」の中間報告が、九月二十二日に発表された。戦後憲法体制と一体の教育基本法の改悪と、戦後的教育のあり方の全面的な解体・転換を狙う中間報告を徹底弾劾しよう。十月から十一月にかけて開催される「一日教育改革国民会議」を包囲・弾劾して闘おう。

 基本法改悪前提に「国民的議論」提唱

 教育改革国民会議中間報告は、「教育を変える十七の提案」(資料参照)を提言し、「速やかにその実施のための取組がなされることを強く希望する」と政府に求めた。十〜十一月に福岡、大阪、東京、新潟の四カ所で「一日教育改革国民会議」と称して地方公聴会を開催し、最終報告を年内に発表しようとしている。
 まず第一に、何よりも中間報告が、教育基本法を「改正されてしかるべきである」とし、「教育基本法改正の国民的議論を」と打ち出したことを、徹底的に弾劾しなければならない。
 森は、教育基本法改悪案の次期通常国会への提出は断念したと報道されているが、年末までに出される教育改革国民会議最終報告を受けて、中央教育審議会に諮問し、来年夏の参院選までには自民党の改悪案をまとめようとしている。
 教育基本法は、前文に「日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する」と記されているとおり、戦後憲法と不可分一体の法律である。教育基本法の改悪とは、憲法理念の否定と破棄そのものを意味する。
 小渕とともに教育改革国民会議設置を決めた張本人である元首相の中曽根康弘は、九月十一日、保守党の研修会で「教育基本法を改正して、その内容どおりに憲法を持っていく。それが順序として具体的に改革を展開していく力になる」と提唱した。中曽根は、自らが首相だった八〇年代に憲法改悪を貫徹することができなかったことを総括して、今こそ教育基本法改悪を突破口に憲法改悪を押し通そうとしているのだ。そのために、「国民全体が参加する国民運動を引き起こすことが必須」「教育改革というレベルの問題ではなくて、『教育革命』であると私はいっています」と、“教育革命の国民運動″を推進しようとしている(中曽根著『二十一世紀日本の国家戦略』)。
 日帝は今、日米争闘戦激化のもとでの体制的危機の全面的爆発、朝鮮・中国侵略戦争の歴史的切迫の中で、参戦に向かって戦後体制打破の攻撃に踏み切り、明文改憲攻撃の突破口として、教育基本法改悪攻撃を本格的に開始したのだ。
 労働者階級人民にとっては、絶対に負けることのできない歴史的な階級決戦が到来したということだ。
 今こそわれわれは、「教育基本法改悪絶対阻止」「憲法調査会粉砕、一切の改憲策動を許すな」の闘いを猛然と巻き起こさなければならない。

 国家や伝統愛する「日本人育成」叫ぶ

 第二に、「人間性豊かな日本人を育成する」「創造性に富む日本人を育成する」(中間報告)、「今後、我が国が必要とする人材をいかに育成するか」(第三分科会の審議の報告)などのテーマ設定自体の問題性である。これは、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」(基本法前文)、「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび」(基本法第一条)と掲げた教育基本法の教育理念を否定し解体するものである。在日朝鮮・中国人を始めとする外国人の子どもに対しては、民族性を否定し、さらなる同化攻撃をもって襲いかかる宣言だ。
 教育基本法改悪推進派は、教育基本法に対して「無国籍だ」「愛国心がない」「郷土、国家、民族共同体、その民族固有の伝統的文化に対する尊重と愛情の言辞が一語もない」などと罵倒(ばとう)し、その改悪を主張してきた。中間報告はこれらの主張を体現して、教育理念の根本的な転換を宣言したのだ。

 奉仕活動義務化は徴兵制復活が狙い

 第三に、中間報告で打ち出された施策の一つひとつが、戦後教育の大転換を意味する重大な攻撃である。
 一つに、奉仕活動の義務化である。
 七月の「第一分科会の審議の報告」では、「共同生活による奉仕活動などの義務化 (まず小・中二週間、高校一カ月とし、 将来的には満十八歳の全ての国民に一年間の奉仕期間を設定)」と記されたが、その後、各界から反対の声が噴き出す中で、「義務づけることを検討する」と表現が若干変更された。
 しかしその中身は、受け入れ先として自衛隊や消防庁があげられているように、予備的徴兵制というべきものである。すでに防衛庁は、大学生を主な対象とした予備自衛官制度の二〇〇二年度からの実施を打ち出している。
 教育改革国民会議第一分科会審議報告の執筆者の曽野綾子は、八月二十四日付産経新聞において、「ボランティアと奉仕とは深く意味するところが違う」、義務化するのはボランティア活動ではなく奉仕活動であると強調し、「私も国家からさまざまな利益を受けている。与えられたなら、国家にその見返りとして多少の奉仕をすることのどこが悪いのだろう。もらいっぱなし、というのは乞食の思想だ。しかも受け取る国家という相手はつまり同胞なのだ」と主張している。
 奉仕活動義務化の狙いとは、一般的なボランティア活動ではまったくなく、あくまでも“国への奉仕″“同胞への奉仕″であり、“滅私奉公″の精神の復活なのだ。その最大の狙いが徴兵制の復活であることは言うまでもない。
 二つに、道徳の教科設置は、検定教科書による戦前の国定「修身」の復活である。しかも教科とすることによって、評価をテコに愛国心を強制し、人格的にもランク付けすることになるのだ。
 三つに、「改善されない教師の配置換え・免職」「教員免許更新制」を打ち出し、闘う教育労働者の排除を最大の核心とした、教育労働者に対する極限的な管理強化を宣言した。
 文部省は、「不適格教員」を教壇から排除するため、次期通常国会に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」改悪案を提出しようとしている。教員が「不適格」かどうかは校長が判断し、「不適格教員」と認定されたら、本人の同意なしで配転・免職を可能とするものだ。
 これは、「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて闘う教育労働者を、教育現場から追放する攻撃である。愛国主義教育復活の攻撃と一体の教育労働者への「聖職」化攻撃と徹底対決しなければならない。
 四つに、「一律主義を改め、個性を伸ばす教育システム」を掲げ、就学年齢の弾力化(五〜七歳の選択制)の検討、大学入学年齢制限の撤廃を打ち出した。
 これは、中高一貫校創設や習熟度別学習システムなどとあいまって、「教育の機会均等」(教育基本法第三条)の立場による「単線型」教育・「平等主義」教育を解体して、戦前型の「複線型」教育制度を復活させるものである。
 五つに、「問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしない」「問題を起こす子ども以外の子どもたちの教育環境を守る」という提言に基づき、文部省は「授業妨害や悪質ないじめなど問題を起こす児童・生徒」に出席停止などの対応をより強める学校教育法改悪案を次期通常国会に提出しようとしている。
 「学級崩壊」やいじめなどのかたちで噴き出している教育現場における矛盾の数々を、その子ども本人を教育現場から排除し隔離するという強権でのりきろうとするものである。

 国鉄決戦を水路に階級的な大反撃へ

 教育基本法改悪と憲法調査会を突破口とする明文改憲攻撃の本格的開始に対して、労働者人民の階級的な大反撃で対決しよう。
 第一に、労働者階級人民、学生の総決起による全国政治闘争の爆発で、教育基本法改悪・教育改革攻撃、改憲攻撃を粉砕することである。
 森は九月二十一日の所信表明演説で、「来年の通常国会を『教育改革国会』と位置づけ、一連の教育改革関連法案を提出したい」「教育基本法の見直しについては、『教育改革国民会議』の最終報告を受けて、幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいります」と表明した。そして次期通常国会に、@小人数教育の推進、A問題のある児童・生徒への対応、B適正を欠いた教員への対処、C家庭教育の充実、D小、中、高校での奉仕活動の促進、E教育委員会の活性化−−の六つの課題を盛り込んだ教育改革関連法案を提出しようとしている。
 次期通常国会へ向けて、職場、学園、地域で、教育基本法改悪阻止・改憲阻止の大闘争を巻き起こそう。
 第二に、教育現場における職場支配権をめぐる攻防、管理強化と団結破壊の攻撃に対する闘いそのものが、教育基本法改悪阻止の決定的闘いである。
 来年三〜四月の卒業式・入学式における「日の丸・君が代」闘争こそ、教育基本法改悪阻止の決戦場そのものである。今春の「日の丸・君が代」闘争に対する処分攻撃との闘い、時間内組合活動に対する給与返還請求攻撃や、東京に続き大阪でも導入が発表された人事考課制度導入の攻撃など、教育労働運動に対するあらゆる攻撃に、反撃の闘いを巻き起こそう。
 中曽根は、前述の著書で「日教組自体がマルキシズムの影響を強く受けて、国家観というものを否定しました。階級闘争史観で教師聖職論は捨てられ、その影響を連綿と現在においても受けています」「私が総理をやっていたときは、臨時教育審議会をつくって教育改革をやろうとしましたが、必ずしも成功したとはいえない。それ(教育改革)を実現するには大きな政治力が必要です。国鉄の改革以上に難しい」と語っている。中曽根が自認しているとおり、教育労働運動をいまだ解体できていないことが、体制的危機にあえぐ日帝を直撃しているのだ。この点にこそ、日帝の凶暴さとともに脆弱(ぜいじゃく)さがある。国鉄決戦を水路に、階級的労働運動を大前進させて闘うならば、教育基本法改悪・憲法改悪攻撃を粉砕することは絶対に可能だ。
 十一・五労働者集会に、教育基本法改悪・憲法改悪攻撃と対決する労働者階級の大隊列の登場をかちとろう。教育労働者はその最先頭に立って闘おう。
〔大西 晶〕

〈資料〉
 教育改革国民会議中間報告 教育を変える17の提案(抜粋)
◆人間性豊かな日本人を育成する
(1)教育の原点は家庭であることを自覚する
(2)学校は道徳を教えることをためらわない
(3)奉仕活動を全員が行うようにする
(4)問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしない
(5)有害情報等から子どもを守る
◆一人ひとりの才能を伸ばし、創造性に富む日本人を育成する
(6)一律主義を改め、個性を伸ばす教育システムを導入する 
(7)記憶力偏重を改め、大学入試を多様化する
(8)プロフェッショナル・スクールの設置を進める
(9)大学にふさわしい学習を促すシステムを導入する
(10)職業観、勤労観を育む教育を推進する
◆新しい時代に新しい学校づくりを
(11)教師の意欲や努力が報われ評価される体制を作る
(12)地域の信頼に応える学校づくりを進める
(13)学校や教育委員会に組織マネジメントの発想を取り入れる 
(14)授業を子どもの立場に立った、わかりやすく効果的なものにする 
(15)新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール″等)の設置を促進する
◆教育振興基本計画と教育基本法 
(16)教育振興基本計画を策定する
(17)教育基本法の見直しについて国民的議論を
 教育改革国民会議においては、昭和二十二年に制定された当時とは著しく異なる社会状況の中で教育基本法に求められる理念や内容が変化しているはずである、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきである、という意見が大勢を占めた。しかしながら、具体的にどのように直すべきかについては意見の集約はみられていない。幅広い視点からの国民的な議論が必要であり、「中間報告」を機に各方面で様々な議論が行われることを希望する。 

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週刊『前進』(1978号4面2)

11月総決起のアピール
来春「日の丸・君が代」闘争へ 闘う教育労働者の大隊列を

 存亡をかけた激突の時がきた

 教育労働運動は、存亡をかけた激突の時を迎えている。憲法調査会の改憲キャンペーンと連動して、教育改革国民会議を舞台装置に教育基本法改悪が政治日程に上った。政府・自民党は、通常国会での教育基本法改悪こそ断念したものの、国民会議の最終報告を受けて中教審に諮問し、参院選までには自民党の改悪案をまとめるとしている。
 文部省は、中間報告でうちだされた奉仕活動推進、「問題ある児童・生徒」の隔離措置などを通常国会で法制化すると表明している。とりわけ最大の攻撃は、「不適格教員」排除(配転・免職)制度だ。その矛先は、組合活動家や平和教育実践に向けられている。すでに、千葉や東京で、「日の丸・君が代」に反対し平和教育に取り組んできた教員への分限免職攻撃が始まっている。
 三重では時間内組合活動を理由に十数億円にのぼる給与返還請求、広島では返還請求拒否者への提訴など、全国で組合破壊攻撃が激化している。産経新聞や『正論』でのキャンペーン、議会での反動議員の追及、教育委員会による労使慣行の一方的破棄・権利剥奪(はくだつ)攻撃が繰り返されている。国鉄分割・民営化型の攻撃が教労でも始まったのだ。
 自公保体制の危機の中で、今や中曽根・森・石原枢軸ともいうべきものが形成されている。ファシスト石原は、九・三治安出動演習に続いて自衛隊観閲式の都内開催を策動し、有事立法・改憲を先取りするとともに、教育改革でもクーデター的突出を開始した。「心の東京革命」は、青少年健全育成運動の形をとった都民教化運動だ。道徳教育・愛国心教育を飛躍的に強化し、本年度中に都の教育目標・教育方針を抜本的に見直し、教基法改悪を率先しようとしている。こうした官民総がかりの運動で教組を包囲しつつ、石原は「国立の教育はグロテスクだ」「平和教育はテロ攻撃だ」などと叫びながら、「日の丸・君が代」闘争の一掃と組合つぶしにのりだしている。

 不当処分粉砕し来春闘争に挑む

 二〇〇一年「日の丸・君が代」闘争は、本年の卒入学式闘争への報復処分との闘いとしてすでにその火ぶたが切られている。
 国立の教育労働者十七人への大量不当処分(戒告八人、文書訓告九人)は、式当日の校長への抗議、ビラ配布や掲示やリボン着用が「職務専念義務違反」、式の事前事後の児童への説明の場での教職員の「不適切な発言」が「信用失墜行為」とされている。校長が掲揚・斉唱すると判断した瞬間から教職員が反対意見を述べ、意思表示を行うことを禁圧するというのだ。さらに、子どもたちの決起を、教職員の「教唆・扇動」によるものとして裁こうというのだ。
 広島県教委は、新市町の六人の校長への戒告処分に続き、府中市の校長十六人に対し地教委の内申がないにもかかわらず戒告処分を強行した。大阪でも処分が乱発されているが、退場しようとした生徒への指導拒否を理由とする教員処分、「君が代」斉唱に先立つ司会の発言を理由とする校長処分など、かつてない踏み込みである。北海道では、「君が代」斉唱に抗議する退席行動に対して、十勝・空知管内の分会長十六人に処分が強行され、札幌市教委は文書で学校長に完全実施の職務命令を通達した。
 「国旗・国歌」法下の今春の卒入学式では、生徒や保護者の不起立・退場がかつてなく広がった。これに驚いた政府・国家権力は、「思想・良心の自由を制約するものではない」といった国会答弁もかなぐりすて、子どもと保護者の内心の自由を保障しようとする教育労働者の取り組みさえも弾圧の対象としてきたのだ。一片の道理もない問答無用の強制攻撃は、すべての教育労働者と良心的な校長たちさえも敵に回しつつある。
 「日の丸・君が代」強制こそ、教育基本法第一〇条が禁じた行政権力の教育内容への介入であり「不当な支配」そのものだ。一〇条が「教育は直接国民に責任を負って行われるべきもの」とし、学校教育法二八条は戦前の国民学校令の「訓導ハ校長ノ命ヲ受ケ児童ノ教育ヲ掌ル」との規定に代えて「校長は校務をつかさどり、教諭は児童の教育をつかさどる」とした。職務命令と処分による「日の丸・君が代」の強制は、教育基本法の保障する教師の教育権限を破壊し、戦前の《国家の命令による教育》を復活させるものだ。
 奉仕活動義務化や道徳の教科化で無条件に国家に服従し奉仕する人間をつくり、「日の丸・君が代」で「神の国」思想を植えつけ、侵略戦争にかりだす。そのために教育労働者の労働者としての権利も市民としての権利もことごとく剥奪しようというのが森・石原の教育改革の正体だ。
 仮に国立の教職員への処分基準を一律に適用したとするならば、今年の卒入学式闘争の処分者は全国で数万人にのぼるだろう。二〇〇一年「日の丸・君が代」闘争は、勤評・学テ闘争に続く教育の国家支配への壮大な抵抗闘争の舞台となった。
 処分の見せしめで教育労働者が沈黙し屈従すると思ったら大間違いだ。不退転の決意を固め、報復処分をのりこえる強力な団結と抵抗をつくりだし、卒入学式闘争に臨もう。

 日教組の再生へ新潮流の前進を

 教育労働運動の存亡をかけたこの闘いは、沖縄サミットや八・六ヒロシマなど、新安保ガイドライン体制下の反戦闘争拠点をめぐる攻防と一つながりの闘いだ。同時に、日教組解体攻撃は「四党合意」による国労と国鉄闘争の解体攻撃と軌を一にする攻撃であり、これとの攻防は、七・一臨大決起をもって開始された階級的労働運動の再生の一翼を担う闘いだ。
 八〇年代の臨調・行革、臨教審攻撃をあらためて思い起こそう。中曽根の戦後政治の総決算攻撃は、《行革→教育改革→改憲》というシナリオのもと、国鉄分割・民営化によって総評・社会党ブロックを解体し、改憲抵抗勢力を一掃しようとする攻撃だった。「国労が潰れれば総評が潰れるということを明確に意識してやった」と中曽根が回顧しているように、国労解体攻撃の凶暴さを目のあたりにした総評各単産指導部は、これと闘うのではなく、おしなべて「国労のようになりたくない」と労資協調路線へと雪崩をうって転向していった。
 日教組も例外ではなかった。臨教審の最大の山場で本部は「四百日抗争」の渦中にあった。総評路線か連合路線かをめぐる主流派(党員協)の党内闘争が左派の屈服をもって終結した時点で、九〇年「参加・提言・改革」路線から九五年パートナー路線に至るレールが引かれたのだ。
 こうして日教組は、教育基本法の実質改悪に等しい教育目標の転換、初任者研修などの組織弱体化、新指導要領での「日の丸・君が代」指導義務化などの臨教審攻撃を、ついに一度の全国闘争もうつこともなく許してしまうこととなった。
 だが、分割・民営化攻撃に二波のストライキで立ち向かった動労千葉の決起を牽引(けんいん)力として、国労は土壇場で闘う路線と団結を守り、千四十七人を先頭とする国鉄闘争が結集軸となって帝国主義的労働運動の完成を今日に至るまで阻み続けてきた。
 ガイドライン法成立を転換点に、今や教育基本法改悪・改憲が政治日程にのぼり、戦後政治の総決算との攻防は大づめを迎えている。すでに既成政党の総転向で国会は翼賛化し、連合は有事立法・改憲推進を政治方針に掲げている。だが、戦争と大失業攻撃は、労働者階級内部に膨大な怒りと危機感を蓄積している。労働者の階級意識、戦後的な平和意識を解体しつくすことなしには、それは体制への反乱となって噴出しかねない。ここから、政府・支配階級は、「四党合意」による国労解体攻撃と同時に、戦後的平和意識を体現する存在である日教組運動の最後的解体にのりだしてきたのだ。
 朝鮮・中国−アジア侵略戦争に向けた戦後的教育の大転換との攻防の核心は、階級移行した既成指導部に代わって、労働者の階級的な怒りと力を解き放つ闘う路線と指導部の確立にある。七・一臨大決起は、敵階級の先兵と化した既成指導部に怒りを爆発させ、労働組合を現場組合員の手に取り戻す普遍的な闘いの先駆である。それは、連合下にあっても現場で団結を守ってきた世代が、今一度労働者魂を発揮した闘いで組合の存在意義を示し、階級的労働運動を次代にひきついでいく闘いでもある。
 国鉄分割・民営化攻撃が吹き荒れた当時、教育労働者は誰しも、次の標的は日教組だと身構えていた。現場組合員は、臨教審攻撃に対して全国闘争指令が発せられるのを固唾(かたず)を飲んで待っていた。
 国鉄労働者は闘う力がなかったから分割・民営化攻撃を許したのか。断じてそうではない。そのことを、動労千葉のストライキが、国労修善寺大会が、闘争団を先頭とする十三年間の国鉄闘争が示してきたではないか。臨教審攻撃への日教組本部の闘わざる屈服をのりこえ、教育労働者もまた、二千人を超す処分を賭した「日の丸・君が代」闘争で、不屈の闘う意思と力を示してきたのだ。問われているのは、すぐれて階級的な路線と指導部の問題なのだ。
 連合や共産党の制動と敵対を打ち破って闘われてきた二〇〇〇年攻防、とりわけ「四党合意」との死闘は、そのただ中から新しい力を生み出している。教労においても広教組・広高教組を先頭とする闘う日教組運動の再生をめざす潮流が形づくられている。ここにこそ、教育基本法改悪・改憲阻止の階級決戦を切り開く原動力がある。
 「たたかう労働組合の全国ネットワーク運動」を呼びかける三労組は、国家権力と総資本の総力をあげた攻撃に単身立ち向かい、はねかえし、自前の地歩を築き上げてきた労働組合だ。体制的危機にたつ日帝の戦争と大失業攻撃を迎え撃つのは、臨調・行革攻撃に壊走した総評指導部の限界をのりこえるこの新しい潮流なのだ。そして、国鉄分割・民営化の最凶悪の先兵の役割を果たしたカクマルの正体は、今や全労働者の認知するところとなっている。戦後政治の総決算攻撃に階級的決着をつける勝負はこれから始まるのだ。
 十一・五全国労働者総決起集会に総結集しよう。二〇〇一年「日の丸・君が代」決戦、森「教育国会」粉砕決戦の階級的牽引車となる教育労働者の大隊列を登場させよう。
 〔マル青労同教育労働者委員会〕

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週刊『前進』(1978号4面3)

9・25国立シンポジウム ”不当処分の撤回を” 産経新聞のデマに怒り

 九月二十五日に行われた「知りたい、伝えたい、ほんとうのこと|国立二小卒業式後の出来事」シンポジウム(集会実行委員会主催)に参加しました。会場の一橋大学の教室に入りきれないほど人が集まり、国立の労働者市民の真剣な思いを強く感じました。
 まず最初に、青年法律家協会弁護士学者合同部会東京支部が、「国立二小卒業式後のできごと 聞き取り調査報告書」を発表しました。この報告書は、産経新聞を始め右翼マスコミが「国立二小土下座事件」と大キャンペーンをしている中で、真実を明らかにするために作成されました。当日現場にいた子ども、保護者、教職員計三十二人から聞き取り調査した結果、子どもたちが校長に「旗を降ろせ」「謝れ」「土下座しろ」と詰め寄ったなどの報道はいずれも真実からかけ離れていて、子どもたちは卒業式の終了後、校長に対してていねいに、「どうして日の丸を揚げたんですか」「なぜ卒業式の主役である私たちに相談してくれなかったのですか」と意見や質問を表明したものであると報告しました。
 この報告を受けて三人のパネラーが発言しました。一橋大学教授の福田雅章さんは「二小の校長の行為は子どもの意見表明権を侵害するスパイ行為だ。君が代・日の丸強制や、教育改革国民会議の動きに対して、今こそ本気で考え、闘おう」と訴えました。
 弁護士の小笠原彩子さんは「日本政府は子どもの権利条約を批准しておきながら、国連が求めた人権教育の徹底、競争主義的な教育の改善などの勧告を無視している」と弾劾しました。
 人権と報道・連絡会世話人で読売新聞記者の山口正紀さんは「私はこの事件を『産経怪文書事件』と呼んでいる。産経は『関係者によると』と書きながら、誰なのかは明らかにしない。『卒業式当日のやりとり』とあたかも客観的事実のように扱っている記事も、出所を明らかにしない」と発言しました。
 続いて国立の教職員が発言に立ちました。「処分に対し黙っていてはいけない、『物言わぬ教師』になってはいけないと思っています」「市教委の聞き取りに対して校長の報告書のうそをどんなに訴えても、全然届かなかった。しかしきょう、こんな大きな集まりになって感謝しています」
 国立第二小学校職員有志からのアピールが読みあげられました。「民主的教育をこわし、国の言うとおりの教育を行わせることをねらう勢力が攻撃を強めています。君が代・日の丸の押しつけはその集中的な現れです。私たちは、不当処分に反対し、処分の撤回を求めてたたかいます」。会場からひときわ大きい拍手がわきました。
 保護者からの発言が続き、集会アピールが全体の拍手で確認されました。集会参加者は、三百八十四人にもなりました。
 石原都知事は「日の丸・君が代」に反対する国立の教職員を「子どもへのテロだ」と罵倒(ばとう)して、襲いかかってきています。こんな石原に負けるわけにはいきません。国立二小・五小の教職員への不当処分撤回へ、さらに闘いを強めていきましょう。
 (投稿 渡部亜紀)

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週刊『前進』(1978号5面1)

三里塚集会発言 団結街道の封鎖に怒り 敵の暴挙に実力闘争で

 ”郡司さん、小川さんの遺志継ぎ”

 成田空港暫定滑走路建設阻止! 十・八全国総決起集会で、反対同盟は勝利の確信に満ちて、新たな一年間決戦に総決起することを宣言した。集会での反対同盟の発言と、反対同盟とともに闘う支援団体の発言の一部を紹介します。(編集局)

◇基調報告 成田空港を必ず廃港に追い込む 事務局長 北原鉱治さん

 三里塚は三十五年間、政府・空港公団に一歩も譲ることなく闘い続けています。反対同盟は、昨年十二月の暫定滑走路の工事着工に対して、新たな決戦を挑むことを宣言し、全国に檄(げき)を発しました。
 今や暫定滑走路建設を強行する意図は明らかになっています。二千二百メートルの暫定滑走路は使い物になりますか。しかも、東峰神社の立ち木があり、実際には千七百メートルしか使えません。このことを計画に入れて工事に着工したのでしょうか。
 政府・公団が考えていることは、敷地内に住んでいる人びとを敷地内からたたき出すことだけです。それは、敷地内に住んでいる農民に対して、一言のことわりもなく、工事に必要な公示もせず、団結街道を封鎖した暴挙によく表れています。政府・公団は三十五年にわたって、法を無視し、国家暴力を振りかざして空港建設を行ってきたやり方を今も続けているのです。
 この暴挙に立ち向かうには、実力闘争以外にはありません。反対同盟は、成田空港を必ず廃港に追い込んで見せます。それが日本の将来を変えます。「三里塚のように闘えば勝てる」ことを示しましょう。

◇決戦アピール 暫定滑走路など使い物にならぬ 事務局次長 萩原進さん

 昨年十二・三暫定滑走路工事着工に対し、二年間決戦を宣言、十一カ月間連月闘争を闘いぬいてきた。その結果、暫定滑走路は使い物にならないことが暴かれました。暫定計画のまやかしは、敵の弱さ、無計画性をも明らかにしました。
 敵は、本集会を前に、小見川県道のう回道路工事のために、竹林を伐採してフェンスづくりの工事を通告してきました。天神峰、東峰への強権的な軒先工事開始の通告です。敷地内農民に出て行けと強権的に軒先工事を強行しようというのです。絶対に許せません。三十年前の怒りがみなぎり、新たな闘いに立ち上がる決意を固めています。
 暫定計画は敵の窮余の一策です。暫定計画は破綻し、ボロボロです。東峰神社の立ち木が暫定滑走路を阻んでいます。団結街道も空港敷地内を通っています。こんなことは前からはっきりしていた。運輸大臣はどうしてこんなでたらめな計画を認可したのか。
 敵は来年十一月三十日に平行滑走路を完成させると宣言しています。これに対して、反対同盟は向こう一年間の決戦を宣言します。あらゆる手段をもって闘いぬきます。政府・公団に、もはや撤退しかないことを突きつける一年間決戦にしましょう。
 三里塚、沖縄、北富士、関西と手をつなぎ、反戦の闘いを発展させましょう。

◇決意表明 これからが闘い弾圧には負けぬ 敷地内・天神峰 市東孝雄さん

 空港公団は八月十、十一日、郡司とめさんの通夜、葬儀を狙って、団結街道を封鎖しました。成田市は団結街道を廃止し空港の外の道を通らせようとしています。そもそもこの道は祖父の代に入植した人びとが土地を出し合って造った生活道だと聞いています。空港にじゃまだからといって大変な不便を押しつけようとしています。
 騒音、震動は激しくなりました。井戸の水枯れも心配です。機動隊は検問を繰り返し私服は尾行をしてきます。さらに民間ガードマンが家をのぞいて二十四時間監視しています。
 これからが本当の闘いです。残りの二〇〇〇年決戦をいかなる弾圧にも負けず闘います。

◇成田用水裁判棄却弾劾 許しがたい判決必ず勝利する 本部役員鈴木幸司さん

 九月二十六日、最高裁が成田用水裁判で許しがたい判決を出した。空港反対闘争をつぶすための用水事業だったことははっきりしているではないか。成田用水推進派は、農業を続けるから用水が必要と言ったが、集団移転していった。
 故戸村一作反対同盟委員長は「心を一つにして、団結して闘えば必ず勝つ」と言った。必ず勝利する確信をもって闘いぬく。

◇決意表明 婦人行動隊長として頑張ります 婦人行動隊長 小林なつさん

 郡司とめさん、小川徳太郎さんの冥福を祈り、二人の遺志を守りぬいて頑張っていきます。私が婦人行動隊長として頑張ります。
 シンポジウム、円卓会議では強制手段をとらないと言いましたが、これがウソとペテンだったことは今や明らかです。天神峰の団結街道封鎖や東峰の立ち木伐採は絶対に許しません。
 全国の皆さんと手に手を取って勝利へ邁進(まいしん)します。

◇遺族から 心はとめと一つ空港反対を貫く 本部役員 郡司一治さん

 去る八月九日、妻のとめは一カ月半の病院生活を送り、亡くなりました。その際多くの激励をいただき、また通夜、葬儀に多くの方が駆け付けてくださり、ありがとうございました。これほど多くの人びとに見送られ、安らかに眠っていると思います。
 とめは生前、全国に出向き三里塚闘争を訴えることを楽しみにしていました。一つ残念なことは、この七月沖縄に行けなかったことです。早くから「もう一度沖縄に行きたい」と楽しみにしていたのですが、沖縄行きの一カ月前に入院を余儀なくされてしまいました。是非、実現させてやりたかったと思っています。
 私は、三里塚闘争三十五年を含め、とめと五十五年一緒でした。今後も、とめと心は一つです。空港建設絶対反対を貫いて、闘いぬきます。

 全国から現地に駆けつけ敷地内を守り抜く

◇北富士 実力闘争で米軍演習を粉砕する 母の会事務局長 天野美恵さん

 北富士では、防衛庁に対して「罰当たり」放送をしたことがあります。ここにいる権力は、本当に罰当たりです。郡司とめさんの葬儀を狙って団結街道を封鎖するなんてことは、泥棒がやるようなことではないですか。
 三里塚ではこんなことは絶対に通用しません。実力で闘えば必ず勝てます。私は実力闘争ということが一番大事だと思っています。
 北富士でもいよいよ十一月四日から米軍演習が行われます。十六日までやると言っています。「ゲリラになれ、阿修羅になれ」と詩に書いたとおりに、私たち北富士は闘います。
 米軍演習が始まった時には、是非忍草に結集してください。お互いに頑張りましょう。

◇沖縄闘争報告 再改悪特措法の違法性訴え提訴 沖縄反戦地主 知花昌一さん

 沖縄の反戦地主と反対同盟は同じ気持ちで闘っていると思います。日本の権力と真っ向から闘っているということです。成田では成田治安法という特別立法をつくり、沖縄では米軍用地特措法をつくり改悪して、土地を取り上げ戦争に供しようとしてきました。
 また、原則的闘いを貫徹していることです。軍事空港に反対する闘いは、戦争につながる米軍基地を許さない闘いと同じです。さらにこれらの攻撃に人間として絶対に屈しない、人間としての叫びとしての闘いを展開してきたことです。
 そして、三里塚にかけられている攻撃と同じ攻撃が沖縄にかけられています。名護新基地を認めれば千億円のカネを出すと言っています。カネによって人間の叫び、平和を願う気持ちをつぶそうとする攻撃です。
 私たちは「暫定」という言葉には悔しい思いをしてきました。七二年に公用地暫定使用法がつくられました。五カ年の暫定期間に反戦地主の闘いをつぶせず、また五年延長しました。また強制使用の期限が過ぎた私の土地を「暫定使用」といって使用し続けました。「暫定」は権力の意思を貫徹する横暴なやり方です。
 そして今度、私の土地、象のオリの土地に再改悪米軍用地特措法が適用されようとしています。手続き一切を首相ができるとんでもないやり方です。認定手続きの違法を訴えて提訴しました。十一月からは公開審理が始まります。あらゆる方法を使って再改悪米軍用地特措法の違法性を訴え、米軍基地撤去に前進したいと考えています。
 三里塚と沖縄は一つの闘いです。暫定滑走路建設阻止と沖縄の米軍基地への土地取り上げとの闘い、名護新基地建設阻止をともに闘いましょう。

 高圧電流は許せぬ

◇関西新空港反対住民 全関西実行委員会代表 永井満さん

 はらわたが煮えくり返る思いです。昨年十二月から天神峰、東峰の状況は一変しています。フェンスを張り巡らせ、高圧電流を流す電線を張っている。こんなことが許されていいのか。反対闘争をつぶすためなら何をやってもいいのか。
 この事実を全国の心ある人びとに知らせなくてはなりません。今日から現地にたえず人が来るようにします。反対同盟と交流し、激励する闘いを起こします。

◇東灘区住民の会代表 山本善偉さん

 二年間決戦の残る一年が大切です。全力で闘わなくてはなりません。 ひとこと神戸空港のことを訴えます。昨年九月十三日に着工してから一年。どう闘っていこうかという声が上がっています。九月十五日には、神戸空港工事中止を求める神戸市民の会の集会を開き、百八十六人が集まりました。 三里塚を闘う人間の責任として、全国に三里塚をつくる闘いです。この一年頑張り、廃港へ前進しよう。

◇泉州住民の会代表 森田恒一さん

 市東さんの監視台にのぼって、暫定滑走路の工事を見てきました。腹が立って腹が立って、怒りでいっぱいになりました。この工事ほどインチキで非人道的なものはありません。
 関西新空港について報告します。関西でも三里塚と同じ非道なことが行われています。全然必要のない、もう一本の四千b滑走路をつくっています。私たちは、これに一丸となって反対しています。署名運動を始めています。三里塚闘争と同じように関西の第二滑走路をつぶすために闘います。

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週刊『前進』(1978号5面2)

全学連 臨検法案阻止に立つ 改憲攻撃との闘いに突入

 全学連は十月九日、東京・渋谷で「船舶検査法案・PKO法改悪粉砕/全国学生総決起闘争」を激しい雷雨の中で打ち抜いた。この闘争で全学連は、沖縄・名護新基地建設阻止と、船舶検査(=臨検)法案、改憲攻撃との真っ向からの対決を宣言した。
 宮下公園での集会では、大山尚行委員長が「この闘争を突破口に、改憲攻撃と全面的に対決する大衆闘争の爆発をかちとろう。その力で十月八日に三里塚集会で不当逮捕された法大の学友を奪還しよう」と訴え、次のように四つの今秋闘争方針を提起した。
 「第一に、改憲阻止の闘いとして船舶検査法粉砕の闘いに猛然と決起することだ。船舶検査法の制定は改憲攻撃そのものであり、朝鮮侵略戦争そのものだ。第二に朝鮮・中国侵略戦争参戦とそのための国家大改造攻撃である教育『改革』・教育基本法改悪攻撃との対決だ。十月十四日福岡、二十一日大阪、二十八日東京で行われる『一日教育改革国民会議』粉砕の行動に立とう。さらにファシスト石原都知事と桜井よしこが出席する十一月三十日の衆院憲法調査会に対し、全国から国会に結集し粉砕しよう。第三に、国立大学の独立行政法人化の大攻撃に真っ向から対決することだ。十一月全国学生統一行動をかちとろう」
 「第四に、十一月労働者集会の大結集をかちとることである。日帝の改憲攻撃を粉砕し、朝鮮・中国侵略戦争を阻止する力は、千四十七人を先頭とする国鉄労働者、労働者人民だ。今こそ全国学生が労働者階級の先頭で有事立法・改憲攻撃粉砕、沖縄・名護新基地建設阻止の闘いに立ち上がろう。全国学生は十・二一全国統一行動、十一月労働者集会に大結集しよう」
 また、集会には反戦自衛官の小多基実夫さんがかけつけ、「船舶検査とは日本にやってくる船舶の検査ではない。他国に対する経済制裁を行うものであり、ガイドラインに基づく戦争計画の一環として行われる戦闘行為そのものだ。人民大量虐殺の朝鮮侵略戦争にほかならない」と怒りをこめて暴露し、「労働者は怒りを爆発させている。自衛官もそうだ。誰も好きこのんで侵略の銃を握らない。われわれが闘いを爆発させることこそ、過去の過ちを繰り返さないことであるし、アジア人民との連帯だ。闘いは君たち青年・学生にかかっている。私たちも自衛隊内外で闘う」と檄を飛ばした。
 続いて各大学からの決意表明が行われた。
 まず、法政大学の学生が「開講以来、船舶検査法反対を訴えてきた。クラスから『戦争をさせないことが重要』という声があがった。戦争の切迫を学生が自分たちの問題としてとらえたとき、必ず決起する。法政大学は巨大な大衆行動をつくり出す闘いの先頭に立つ」と発言した。続いて京都大学、広島大学、山形大学、富山大学、九州の学生が決意表明した。
 最後に東北大学の学生が「日帝の改憲攻撃は一人ひとりの労働者・学生にとって生きるか死ぬかの問題だ。東北大学は改憲攻撃粉砕の闘いとして独立行政法人化反対の闘いの先頭に立つ」と決意表明し、大きな拍手で確認された。
 集会後、直ちにデモに出発した。船舶検査法粉砕、改憲阻止を訴えて、渋谷デモを打ち抜き、街頭の圧倒的注目を集めた。

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週刊『前進』(1978号5面3)

10・1京大 木内さん迎え講演会 ”一人でも多く三里塚へ”

 十月一日、京都大学熊野寮自治会主催で、三里塚芝山連合空港反対同盟事務局員の木内秀次さんを招いての講演会が行われました。
 木内さんは「私の体験そのもの」という三里塚闘争の歴史を、とてもわかりやすく話してくれました。七一年の強制代執行阻止闘争を中心とした生々しい闘いが伝わってきました。
 「(七一年の)一カ月の阻止闘争は、国の侵略と戦争に向けた悪行を絶対に許さないという闘いだった。その中で、怒りとともに、闘いが面白いと思うようになった。この闘いはベトナム侵略戦争に反対することであり、勝利の確信を得た。高校の先生が学校に戻れと言ってきたが、連日連夜の闘いこそが本当の授業だった」
 「ガイドライン体制のもとで日本は戦争に向かっている。しかし、三里塚や沖縄、北富士で闘いがある。権力と正面から闘い抜いている。三里塚では日夜、暴力的な検問と立ち向かい、勝利に向かって闘い抜いている。今の日本の現実、戦争政策の現実を直視したなら、国家を打倒しないといけないと感じると思う。学生の皆さんにとって貴重な経験になると確信している。ぜひ現地に駆けつけてほしい。三里塚は、沖縄と連帯して闘い抜く」
 木内さんは、闘いの決意を力強く語り、参加した学生に三里塚闘争への決起を訴えました。
 続いて、自治会の代表が「熊野寮自治会は、三里塚闘争との血盟を誓い、自治寮を守り抜いてきた。改憲・教育基本法改悪という侵略戦争への日本帝国主義の決断に対して、自治会運動の柱に三里塚闘争を据えて、団結を強化して闘っていこう」と基調報告。
 最後に、司会の寮生が「僕も今度初めて行きます。一人でも多くの寮生が決起しよう。それが侵略戦争を絶対に許さない大きな力になると思います」とまとめました。
 反対同盟を守り抜き、二年間決戦に勝利しよう。その先頭に学生こそ立とう。
 (投稿 S・O)

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週刊『前進』(1978号5面4)

2000年日誌 阻もう!戦争への動き 10月4日〜10日
 21日に新基地反対県民大会 保岡法相が国会で改憲答弁

●普天間基地で消火訓練再開 沖縄県の普天間飛行場の在沖米海兵隊が、ジェット燃料を使用した消火訓練を約一年ぶりに再開。ダイオキシンの発生など人体への影響も懸念され、市民から「洗濯物にすすがつく」「目が痛い」などの苦情も寄せられている。(4日)
●民主党憲法調査会総会
民主党の憲法調査会の総会が開かれた。鳩山由紀夫代表が二年以内に民主党としての憲法への考え方をまとめるよう求めたのに対し、旧社会党議員らから「改正試案を作るなら、議員個人の試案とすべきだ」などという批判が出た。(4日)
●大東亜聖戦大碑に抗議文
 石川県金沢市の石川護国神社に建てられた「大東亜聖戦大碑」に「少女ひめゆり学徒隊」の名が無断刻銘されていた問題で、沖縄県女師・一高女ひめゆり同窓会が、刻銘には納得できないことなどを示した抗議文書を石川県の建立委員会あて郵送した。(4日)
●防衛庁補正予算303億円 防衛庁が、自民党国防関係合同三部会に二〇〇〇年度補正予算案の概要を報告、了承を得た。情報技術(IT)革命への対応、環境問題への対応、災害派遣態勢の整備、日米特別行動委員会(SACO)の合意内容実施の四項目の事業に計三百三億円を要求する。内訳はSACO実施費用に百十七億円など。(5日)
●ジュゴン年内に調査 山崎信之郎那覇防衛施設局長が定例記者懇談会で、名護市辺野古周辺海域に生息するジュゴンの調査について、「年末まで引き延ばすことは考えていない」と述べ、年内に開始する考えを明らかにした。(5日)
●「思いやり予算」、娯楽施設は対象外に 日米両政府は日米合同委員会で、日米地位協定に基づく米軍への提供施設整備について、ゲームセンターなど娯楽性や収益性が高い施設は整備の対象から外すことを盛り込んだ「案件採択基準」を正式に合意した。(5日)
●21日に新基地建設反対県民大会 「普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議」が、那覇市の与儀公園で二十一日に「名護市への新たな基地建設に反対する県民総決起大会」を開くことを発表した。大会では、普天間飛行場の無条件返還や、稲嶺知事や岸本市長に対する、移設受け入れの撤回を求める決議を行う。後日、決議文と、県内移設に反対する署名十八万人分を、森首相と稲嶺知事に手渡す予定。(5日)
●海兵隊の事故率増加 米国防総省が、二〇〇〇年会計年度(九九年十月から二〇〇〇年九月)の米四軍航空機の事故概況をまとめ、発表した。事故件数は五十七件で前年から十三件減少したが、死者数は五十八人と前年から十四人増加した。海兵隊の事故率の高さが目立ち、AH1w攻撃機、AV8Bハリヤー攻撃機、FA18ホーネット戦闘攻撃機などの事故率が高く、いずれも在沖米軍への配備や、飛行が確認されている機種。(7日)
●自衛隊が内部調査体制強化案 海上自衛隊三佐の在日ロシア大使館武官への情報漏えい事件を受けて、防衛庁が、自衛隊の捜査機関である警務隊と情報機関である調査隊を統合して新しい部隊を作り、内部調査体制を強化する方針を決めた。(7日)
●「治安の維持に関する協定」を見直し 防衛庁と警察庁は「治安の維持に関する協定」を見直すことで大筋合意した。現協定は大規模なデモなどによる暴動の鎮圧を主に想定しているが、新協定では武装ゲリラに対する警察と自衛隊の任務分担や相互援助のあり方などを明記する考え。同協定の見直しは一九五四年の締結以来初めて。(8日)
●法相が改憲に言及 保岡興治法相が、衆院法務委員会で「少年法だけで一連の少年犯罪が解消するということでもない。少年事件は戦後の日本社会の鏡であり、憲法の改正、教育基本法の見直しを含め、二十一世紀に向かって社会全体の規範意識や、責任と義務、個と公の関係など、新しい日本のあり方をきちっと求めていくことが非常に重要だ」と述べた。現職の法相が国会答弁で改憲に言及するのは異例だ。(10日)
●国際自然保護連合がジュゴン保護決議 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市への移設問題で、国際自然保護連合(IUCN)が、ヨルダンの首都アンマンで開かれている総会で、移設予定地で確認されているジュゴンなどの希少生物の保護策と環境調査を日米両政府に勧告する決議案を採択した。IUCNは民間団体だけでなく、日本政府や環境庁、米国政府なども加盟しているが、日本政府は棄権を表明した。(10日)
●エセックス艦がホワイトビーチに入港 沖縄県勝連町のホワイトビーチに米海軍佐世保基地を母港とするワスプ級強襲揚陸艦エセックスが入港した。同艦は九月二十二日から約二週間行われた在沖米海兵隊第三一海兵遠征部隊の「特殊作戦能力証明演習」に参加していた。(10日)

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週刊『前進』(1978号6面1)

全国沖青委が第9回総会
名護新基地阻止へ奮闘誓う 生活と権利守る闘い強化
 桑江さんが記念講演「沖縄の心」で連帯を

 十月九日午後、川崎市で全国沖縄青年委員会の第九回総会が開かれた。全国から沖縄青年を中心に約七十人が集まった。七月サミット粉砕の闘いを昨年総会以来闘いぬいてきたことを勝利的に総括し、名護新基地建設粉砕、軍用地強制使用阻止の闘いを軸に、在本土沖縄出身者の生活と権利を守る闘いを強めていくことを決意しあう意義深い総会となった。
 新城峯子委員長が基調報告を行い、まず一年間の闘いを総括した。何よりも沖縄サミット粉砕・名護新基地建設阻止の闘いで、全国沖青委が沖縄労組交流センター、全学連現地行動隊とともに、「県民は必ず立ち上がる」ことを確信して、沖縄現地に駆け付けてビラまき、署名取り、宣伝の活動を行って状況を切り開いてきたことを確認した。
 さらに、今年最大の政治決戦として六月総選挙に都政を革新する会の長谷川英憲氏を推薦して闘ったこと、国鉄闘争勝利のために、国労闘争団、動労千葉とともに闘ったことなど、闘う人民との共同闘争の意義を勝利的に確認した。
 また、昨年の総会で「在本土沖縄出身者の現実をしっかりとつかんでいくことから始める」と確認して在本土沖縄出身者の生活と権利を守る闘いに取り組んできたことを総括して、さらに取り組みを強めることを提起した。
 続いて、新城委員長は、情勢と任務方針を提起した。この中で、方針の第一の柱として、改悪米軍用地特措法・土地の強制使用に反対し、軍用地を奪還する闘いなどの沖縄闘争を強化し、とりわけ名護新基地建設反対の闘いを強める、さらに船舶検査法阻止、有事法制阻止、教育基本法改悪阻止を掲げ、憲法改悪攻撃との闘いを強めること、第二の柱として、在本土沖縄出身者の生活と権利を守る闘いの実践を貫くこと、第三の柱として、沖縄と本土の人民分断を打ち破って共同の闘いの隊列をつくりだすこと、国鉄闘争を軸に十一・五労働者集会の成功をかちとることを提起した。
 最後に、全国沖青委の組織強化を熱烈に訴え、「二十一世紀を基地も戦争もない“沖縄世″(ウチナーユ)とするために、来年結成十年を迎える全国沖青委の大飛躍を実現しましょう」と訴えて締めくくった。
 基調報告に先立って、来賓のあいさつと記念講演が行われた。
 在日台湾人元日本兵の林歳徳さんは、ファシスト石原都知事の九・三治安出動演習を弾劾し、「歴史を反省しない人間は再び同じことを繰り返す」と最近の情勢に対する激しい危機感を表明した。そして「天皇制日本帝国あるかぎり、アジアに平和はない。団結して闘おう」と力強く訴えた。
 「沖縄のおじさん」長間正吉さんは、若い人への期待を語った。
 沖縄民権の会の高田普次夫さんは、現在闘われている那覇市長選の革新・ほりかわ美智子候補必勝へ奮闘することを訴えた。
 新城せつこ杉並区議は、サミット粉砕の闘いを引き継いで、改憲、沖縄基地強化の攻撃をはね返す闘いを訴え、国労闘争団を支えて十一月労働者集会をかちとることを訴えた。また、来年七月都議選にけしば誠一杉並区議を押し立てて勝利する決意を表明した。
 川崎沖縄県人会の座覇光子さんからのメッセージは、「沖縄の人間であることにこだわって下さい。組織外の一市民から目を離さないでください」と痛切に呼びかけるものだった。
 千葉沖縄倶楽部の佐々木守雄さんが、「セクトをとっぱらった共同闘争を」と訴えた。
 記念講演として、「平和な未来を創るために−沖縄からの訴え」と題して、コザうないネット主宰の桑江テル子さんが登壇した。桑江さんはまず十数分にわたる「一人語り」として、沖縄戦から戦後の米軍支配を経て今日にいたる沖縄の女たちの歴史を、大きな結節点的事件を取り上げて、女たちの怒りと嘆きの声と支配者のごう慢な言い草を織り込んで演じ切って、大きな感動をもたらした。
 さらに、軍隊の構造的暴力性を指摘し、「沖縄の心」で連帯しよう、武力で平和は守れない、差別を許さない、自立したい、と心をこめて語った。
 基調報告を受けての討論が、関西、東京の学生、関西、東京、神奈川の労働者から行われた。アパートを借りる時に沖縄出身者だと「保証人を二人にしてくれ」「前家賃を二カ月分」と差別されることなど、「差別のど真ん中に私たちはいる」という指摘があった。川崎市当局が持ち物を強制撤去したことに抗議した沖縄出身のホームレスの男性が、これに抗議してガソリンを頭からかぶって焼身自殺を図り、重体になるという事件が十月四日に起きている。沖縄出身者の生活と権利のための闘いはきわめて重大なところにきているのだ。
 「国鉄闘争を支援する決議」が採択され、最後に、仲宗根朝寿副委員長がまとめの討論を行い、「来年の十年に向かって大飛躍しよう」と訴えて結んだ。

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週刊『前進』(1978号6面2)

”移送制度撤廃せよ” 「病者」先頭に厚生省追及

 精神保健福祉法改悪による「精神病者」の強制入院のための移送制度が今年四月から実施されている。
 「処遇困難者病棟」新設阻止共闘会議(阻止協)は「病者」先頭に三十人で、この移送制度新設を弾劾し、厚生省と法務省がもくろむ保安処分導入(「精神障害者」を対象にした治療処分導入)に反対して、九月十七日、東京都中央区の新富区民館で拡大会議と学習討論会を行い、翌日にはビラまきを含めた厚生省追及行動を闘いぬいた。
 日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争とそのための国内体制づくりの策動が、改憲・臨検法案、教育基本法見直し、奉仕活動強制=徴兵制導入の策動を始め、激化している。その中で、「障害者」とりわけ「病者」への隔離抹殺攻撃が、差別排外主義の扇動強化、戦時的抹殺政策としてむき出しになっている。
 移送制度とは、家族や住民の通報で、都道府県知事の行政権限により、「処遇困難」と見なした「病者」を地域から精神病院へ車で強制搬送させる制度だ。病床全体の削減を進める一方で、住民監視と密告奨励を一体化させた「地域保健福祉活動」を推進し、選別した「病者」の病院収容を徹底的に拡大する戦時的収容政策の一環である。
 治療処分導入は、「病者」であることを犯罪の原因と決めつけ、「再犯の可能性がなくなるまで」と称して、司法権限で期間を定め、強制的に保安病棟に収容し、その抹殺すら狙う戦時政策そのものの攻撃だ。
 十七日の拡大会議では、各県での移送制度の調査・追及の闘いが報告された。
 家族同意に基づく医療保護入院のための強制移送が和歌山、石川、秋田、大阪などで実施された。和歌山では施行規則を超えて警察官が車中に同乗した事実が明らかにされた。また、厚生省研究班が今なお移送対象者の判定要件作りに腐心している事実、厚生省前課長三觜(みつはし)が治療処分制定を各地講演会であおりたてている事実が怒りをもって暴露された。最後に移送制度抗議声明が全体で確認された。
 翌日の厚生省追及行動は、移送制度撤廃を要求して、精神保健福祉課長補佐の重藤(しげとう)らに対して三時間にわたり行われた。重藤の「移送は強制といえども、本人を医療につなげるために必要」との居直りに、「強制的で差別的医療こそ問題」と参加者の怒りがたたきつけられた。
 重藤は、一月に確認した「移送で車への警察官同乗はない」という念書を「基本としては」と居直り、公然と破棄した。また保岡法相が就任時に行った「措置患者の退院後の保護観察導入」提案に関して、「もっと全体的に対策をたてたい」「『精神障害者』がきっちり裁判を受けられるようにすべき」などと、「病者」への刑罰適用の拡大を狙う許すことのできない保安処分推進発言を行い、徹底的な糾弾を浴びた。
 参加者はさらに厚生省糾弾を貫き、移送制度撤廃へ闘い抜くことを固く誓い合って追及行動を終えた。

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週刊『前進』(1978号6面3)

連載 部落解放運動−−その課題と展望 第6回 狭山差別裁判糾弾闘争
 解放共闘の強化・発展を 部落大衆の戦闘的結集軸

 国家権力による極悪の差別犯罪

 部落解放運動の最大の攻防軸は、狭山闘争である。狭山闘争は、部落解放運動の帰趨(きすう)をかけた闘いであり、狭山闘争イコール部落解放運動だと言っても過言ではない。
 なによりも、狭山差別裁判こそ、戦後史上最大級の最も悪質きわまりない部落差別事件である。
 一九六三年の四月末、埼玉県狭山市において女子高校生誘拐事件が発生した。だが、この事件において、身代金を取りにきた犯人を取り逃がすという大失態をおかし、被害者が殺されるという結果ともあいまって、警察は世論の激しい非難をあび、威信崩壊の危機に直面した。ここから警察権力は、その威信回復をはかるために、部落民から犯人をデッチあげるという驚くべき手段に訴えた。
 連日にわたる、二百人にものぼる捜査官による部落への集中見込み捜査。「犯人は部落民」「部落は悪の温床」などの、マスコミをも動員した露骨な部落差別扇動。無実の人間を犯人にしたてるための拷問、脅迫による自白の強要。警察による、カバン、時計、万年筆などの証拠の偽造など、そのことごとくが、きわめて意図的で、計画的な、部落民への差別的デッチあげであった。そして、部落差別の結果、小学校にも満足に行けず、字が書けず、定職につけない境遇にあった石川一雄さんが、このイケニエとされたのである。
 しかも、第一審の裁判においては、弁護側の反証をいっさい認めず、検察の主張のみにもとづく、わずか半年の超スピード審理で「死刑」判決が言い渡された。このなかで検察は、部落差別ゆえに石川一雄さんが学校にも行けず、小学生のときから子守奉公などで働かざるをえなかったことをして「遵法精神を希薄ならしめた」と断定し、あたかも「部落民は無法者の集団」であるかのように主張し、裁判長もまた石川一雄さんを「鬼畜の犯行」「極悪人」とののしった。そこで行われたのは裁判などではなく、部落差別の大合唱だったのである。
 こうして、彼らは、警察にたいする世論の非難を、部落民にたいする差別的憎悪にすりかえ、石川一雄さんにたいする死刑執行によって、その真実をやみからやみに葬ろうとしたのだ。まさに、狭山事件の捜査、取り調べ、起訴、裁判にいたるそのことごとくは、部落差別にもとづく史上空前の国家犯罪なのである。

 日帝揺るがす大糾弾闘争に発展

 しかし、以上はことの半面でしかない。この国家権力による差別犯罪にたいして、石川一雄さんによる無実の叫びを先頭とした徹底糾弾闘争が爆発し、この闘いが部落解放運動の発展の牽引軸となってきたのだ。
 第二審の冒頭、石川一雄さんは「俺は殺していない」という叫びをあげる。そして、死の恐怖と闘いながら獄中で独学によって字を覚え、手紙によってみずからにかけられた差別犯罪を告発する闘いに立ち上がっていく。この過程は、石川一雄さん自身が、差別によって虐げられる存在から、この差別をはね返し自らと三百万部落大衆の解放をかちとっていく自己解放の戦士へと生まれ変わっていく過程でもあった。
 石川一雄さんの告発は全社会に激しい衝撃を与えた。最も重要なことは、全国の部落大衆の魂を激しく揺さぶり、戦後解放運動の体制内改良主義の枠をぶち破って差別糾弾闘争をその内側に復権したことだ。
 実際に、狭山闘争は、六九年の浦和地裁占拠闘争から、七〇年の部落解放同盟による取り組み決定、全国での「解放共闘」結成へといたる階級的共同闘争陣形の形成、そして、七四年には、東京高裁包囲の十一万人の結集という大闘争の爆発をつくりだし、日本帝国主義をその階級支配の土台から揺るがす大糾弾闘争として発展した。しかも、この闘いをとおして、部落解放同盟は急速に大衆的基盤を獲得し、青年部の結成、婦人の台頭をはじめとして広範な部落大衆の決起を促進していったのである。
 日帝国家権力は、この闘いの爆発に震えあがり、狭山闘争の解体のために全力をあげた。一方での、寺尾「無期懲役」判決(七四年)、上告棄却(七七年)、第一次再審棄却(八〇年)、第二次再審棄却(昨年の「高木決定」)など差別裁判の徹底的な護持と開き直り、他方での差別糾弾闘争への治安弾圧のエスカレーションである。
 だが、糾弾闘争を軸として、部落解放運動が帝国主義国家権力との実力対決として発展していくことに恐怖したのは国家権力だけではなかった。右翼スターリン主義「日本のこえ」派と右派社民らによる解放同盟の支配をも揺るがすことになったのである。彼らは、みずからの解同支配のために、一方で、「公正裁判要求」路線をもって糾弾闘争の清算と解体を策動するとともに、他方で、大阪、福岡、長野などで狭山闘争の中心勢力への統制処分−組織的排除をつぎつぎと強行した。すでに見てきたように、これ以降解放同盟(本部派)は転向の急坂を転がり落ちていくことになる。

 石川さんと連帯し異議審勝利へ

 狭山闘争は、まだ何ひとつとして決着していない。終わっていないどころか、闘いの本格的爆発はこれからなのである。
 その最大の根拠こそ、石川一雄さんの不屈の闘いである。人生をかけた国家権力にたいする糾弾闘争をつらぬく石川一雄さんの存在と闘いがあるかぎり、狭山闘争は不滅であり、その力は不変である。
 ふたつめの根拠は「高木決定」である。昨年七月、東京高裁・高木裁判長は狭山事件の第二次再審請求を棄却した。百数十点にのぼる無実の証拠のただのひとつの事実調べも行わず、証人尋問もなしに、高木の独断によってこれらを抹殺せんとしたのだ。しかし、こういう不正義、ドス黒い策謀は必ず破綻(はたん)する。なによりも、部落大衆の怒りが鬱積(うっせき)し、人間としての尊厳と生存権をかけた闘いが必ずや大爆発せざるをえない。狭山闘争こそ、日帝支配の最大の弱点に転化し、部落大衆にとってはその結集軸となり、行く手を照らす旗じるしとなるのだ。
 いまひとつの根拠は、全国連の創立(九二年)である。実は、ここにこそ七〇年代を超える狭山闘争の爆発の主体的根拠がある。本部派にとって代わる差別糾弾闘争を闘う砦(とりで)が打ち建てられたということだ。実際に、高裁との攻防においては、いまや完全に全国連の主導権が打ち立てられている。そして、労働運動の新潮流建設の運動は、七〇年代を超える解放共闘の建設への労働者階級の側からの主体的土台をなす闘いでもあるのだ。
 差別徹底糾弾闘争を復権し、高木決定を爆砕し、再審の実現をかちとろう。十・二九狭山中央闘争に全国から全力で結集しよう。
〔雪倉俊雄〕

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