ZENSHIN 2001/03/19(No1997 p06)

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週刊『前進』(1997号1面1)

迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判 14年もの未決勾留を断じてゆるすな!
 4同志の即時保釈かちとれ
自民党の居直りと逃げ許さず森・自公保政権を打倒しよう
 都議選決戦勝利へ3月総決起を

 森政権危機と自民党危機、参院選・都議選をめぐる一大政治決戦が一気にせり上がってきた。国際・国内情勢は予測以上のテンポとスケールで激動化している。米バブル経済の崩壊の始まりは世界各国の経済危機と階級闘争を激化させている。南朝鮮・韓国の労働運動は警察機動隊と激突を繰り返し、階級情勢を戦闘的に切り開いている。日本の経済危機は一段と深刻化し、失業率は最悪の四・九%となり、資本攻勢が激化している。森政権と自民党のKSD汚職、政府機密費疑惑、教科書攻撃などへの労働者人民の怒り、不満はマグマのように噴出しつつある。闘うアジア人民と連帯し、森・自公保政権打倒、教育改革粉砕・改憲阻止に立とう。侵略賛美教科書を絶対に粉砕しよう。その正念場が六月都議選だ。都議選勝利へ三月決戦を闘いぬこう。この三月、日帝と最も激しくぶつかっているのは超長期獄中同志奪還の闘いである。迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の四同志の保釈を絶対かちとるために総決起しよう。

 第1章 大恐慌-世界戦争危機と革命的情勢の接近

 あらゆる指標が米帝バブル経済の崩壊への突入を示している。景気は急降下し、企業収益も悪化し、大量解雇が進んでいる。中でも米帝の中枢産業である自動車産業とハイテク産業の収益低下とリストラが激化している。
 今や米帝経済・世界経済は、二九年型世界大恐慌の本格的爆発、分裂化・ブロック化と帝国主義間争闘戦の激化、そして侵略戦争―世界戦争へと、急展開をとげている。
 米帝ブッシュは二月二十七日の上下両院演説で、十年で一兆六千億jの大型減税と「強い米国」路線のもとでの国防予算の拡充を打ち出した。最大の重点政策のひとつが景気対策としての減税だ。しかしこれは、バブル崩壊が始まっている中で絶望的な政策である。
 ブッシュは、外交・安保の柱として米本土の防衛力強化を目指すことを鮮明にした。ソ連スターリン主義崩壊後の「脅威」として潜在敵国(「ならず者国家」規定の復活!)による米本土へのミサイル攻撃を大問題化し、本土ミサイル防衛(NMD)構想や戦域ミサイル防衛(TMD)構想推進を打ち出した。
 ブッシュの世界情勢認識は、アーミテージらの「日米関係特別報告」にあるように、アジアは平和と安定ではなく、危機と不安定を深めていくという認識であり、特に朝鮮半島と台湾は戦争勃発(ぼっぱつ)情勢にあるとしている。米帝は北朝鮮スターリン主義を「ならず者国家」と再度規定し、体制転覆の対象とした。中国スターリン主義もパートナーとしてではなく、体制転覆の対象に露骨に位置づけている。ブッシュ政権による二月イラク爆撃には、イラク軍事施設に中国製軍事機器が使用されていると称して、中国スターリン主義に戦争重圧を加えるという側面が明白にあった。
 米帝の対日政策の根本は、没落帝国主義=日帝のたたきつぶしにある。その観点で米帝の対日争闘戦は激烈に展開されている。そのためにも米帝は日米同盟を強化し、日帝を米帝のために徹底的に動員し、アジアの帝国主義支配を維持・強化し、朝鮮半島や中国への侵略戦争を繰り返して展開しようとしている。この激烈な政治的・軍事的過程で日帝をたたきつぶしていこうするものだ。米帝ブッシュ政権下で日米争闘戦はこれから本格的に激化していく。
 こうした中で米原潜事件が起きた。さらに沖縄で米兵による犯罪が続発している。沖縄の労働者人民の怒りは爆発寸前にある。
 だが驚くべきことにファシスト・カクマルは米原潜事件に対して「日本の民衆もリメンバー・パールハーバー!」をスローガンに掲げた。こうした反米民族排外主義を許さず、連帯戦略を明確にし、「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」を掲げ闘おう。
 日帝の経済危機もきわめて深刻だ。日経平均株価は一万三千円を大きく割り、バブル崩壊後の最安値を続けている。これでほとんどの銀行が含み損を抱える。景気はさらに減速し、鉱工業生産指数も、消費者物価指数も大幅に低下した。総務庁が三月二日に発表した労働力調査によると、一月の完全失業率は四・九%で最悪、有効求人倍率も二十カ月ぶりに悪化した。この原因として対米輸出悪化がある。米バブル経済崩壊の直撃を受けているのだ。
 「わが国の財政は破局に近い」(三月八日、宮沢財務相)。支配階級は今までどおりではやっていけなくなっている。今や日帝は九七―九八年以上の危機的情勢へと突き進んでいる。

 KSD汚職と機密費疑惑を徹底追及せよ

 この経済危機の深刻化と同時に、日帝の政治危機、自民党支配の危機が絶望的に深まっている。
 KSD(ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)は自民党に対して、九一年からこれまで九年間に延べ六十三万人分の党費、約十五億六千万円を「ヤミ献金」し、さらにさまざまな政界工作をとおして総額十七億六千万円を渡した。KSD会員を無断で自民党員名簿に載せ、また実在しない氏名を捏造(ねつぞう)した。KSDとの取引の中心にいたのが村上正邦・小山孝雄両前自民党参院議員であり、最近KSDに急速に接近した額賀福志郎前経済財政担当相である。これはKSDと自民党が結託した組織丸ごとの犯罪であり、自民党支配の腐敗構造そのものである。
 しかも、KSD汚職は氷山の一角だ。自民党と官僚・業界の巨大腐敗構造が存在している。この腐敗構造が人民から完全に見放されているのだ。政府・自民党の居直りと幕引きを許さず、KSD汚職を徹底的に弾劾・追及しよう。
 政府機密費問題は、自民党による国家財政の私物化を明らかにしたとんでもない政治腐敗の問題である。
 外務省所管の外交機密費五十五億六千万円の一部、二十億円がひそかに首相官邸に渡され、官邸は正規の官房機密費十六億二千四百万円を大きく上回る公金を、別枠で自由に使える仕組みになっていた。
 流れ込んだ二十億円の上納金は、予算書には登場しない「裏の官房機密費」として、与野党議員の外遊の際のせんべつや野党の買収工作費、自民党の選挙資金などになっていた。
 衆院予算委員会で河野外相は、この問題について「機密費」を理由に一切の答弁を拒否した。そればかりか、今年度予算案の内閣官房機密費約十六億円と外交機密費五十五億六千万円は、例年どおりに一円も削除されることなく計上された。三月二日、野党の無力と屈服の中で衆院予算委員会はこれを可決し、同日の衆院本会議でも可決した。
 三月五日には、野党が共同提出した森内閣不信任案が否決された。森の支持率は六・五%と史上最低に陥っているにもかかわらず、衆院は森を「圧倒的多数」で信任した。これほど人民大衆の意志と離反したものはない。自民党政治の腐敗と堕落、反動性、野党の無力の極みである。

 腐敗と反動の自民党打倒!

 労働者人民の怒りが高まる中で自民党は、四月までは森でのりきり、それ以後に自民党総裁選で新総裁を決めるという方針に傾いている。この自民党の居直りと逃げ切り策動を断じて許すな! 体制的危機、政治危機の激化の中での革命的情勢の接近に対して、革命的大衆行動の爆発をもって全力で対応しよう。
 森内閣を打倒せよ。森を即時退陣させよ。自民党の腐敗と反動の政治を許すな。都議選と参院選で自民党を全滅させ、自公保連立を吹き飛ばせ。森の先兵=ファシスト石原を打倒しよう。そして介護保険、学校給食、教科書などの問題で大衆運動を巻き起こし、この運動の代表として、けしば誠一候補を押し立て、なんとしても都議選での当選・勝利をかちとろう。
 都議選決戦勝利のための三月決戦に全党・全人民が総決起することを訴える。

 第2章 森・石原の「教育改革」-教科書攻撃粉砕を

 教科書問題をめぐって重大な情勢に突入している。
 文部科学省は、右翼ファシストグループ=「新しい歴史教科書をつくる会」(「つくる会」)が作った侵略戦争賛美の中学校「歴史」「公民」教科書の検定を合格させる方向で方針を固めている。韓国や中国を始めとするアジア人民の怒りの決起と政府の公式の抗議に対して、文部科学省の検定制度の問題であって、政府が立ち入るべき問題ではない、などというのはまったくペテンである。
 文部科学省は、合格させる立場から「つくる会」の「歴史」教科書に百三十七カ所の検定意見、「公民」教科書に九十九カ所の検定意見をつけた。
 この教科書は、その根本において戦後憲法と教育基本法の精神と内容を否定し、改憲を主張する、侵略戦争の肯定・賛美と皇国史観の教科書である。否、教科書とは呼べないデマゴギー本である。
 ところが文部科学省は、検定意見をつけることで合格の方向に道を開き、「つくる会」は予定どおり全部の修正に応じた。修正すると言っても、代表の西尾幹二ら右翼ファシストどもが、文部科学省がOKを出すような最低限の修正をしているだけのことだ。西尾は「私らの考えは残っている」とうそぶいている。
 例えば「韓国併合」の修正文も「日本の安全と満州の権益を防衛するためには必要であった」論を貫いている。「特攻隊」については、「特攻隊」を国のために犠牲的に死ぬことを賛美するために教科書に持ち込んだ意図は何ひとつ修正されていない。「大東亜戦争」という規定はそのままであり、日帝のアジア侵略戦争が「欧米からの解放戦争であった」とする主張は、修正文では「このように、日本軍の南方進出(侵略とは書かない)は、長い間、ヨーロッパの植民地であったアジア諸国が独立する一つのきっかけになった」となり、生きている。
 「学徒出陣」については「祖国を思い出征していった」という学徒出陣賛美の全文が残り、その後に朝鮮人、中国人への強制労働が付け加えられている。侵略戦争賛美と侵略戦争が朝鮮人、中国人に加えた大犯罪とを何の脈絡もなく並列しているのだ。「南京事件」についての修正は「この事件については……疑問点も多く……論争が続いている」と大虐殺の事実を覆い隠すデマ操作をしている。
 侵略戦争賛美と皇国史観という、反動的魂は何ひとつ変わっていないのだ。
 文部科学省は、この「つくる会」の侵略賛美教科書を合格させ、八月の教科書採択の段階に登場させようとしている。石原都知事が先頭になって都教委を動かし、この侵略賛美教科書を各区市町村教委が採択するように強力な指導を開始している。杉並区ではそのために昨年十一月、教育委員をファシスト分子に入れ換える攻撃をかけた。
 南朝鮮・韓国、中国を始め怒りをもって決起する闘うアジア人民と連帯し、「つくる会」教科書を粉砕しよう。改憲阻止|教育基本法改悪阻止へ教育改革関連六法案を粉砕しよう。
 「日の丸・君が代」粉砕闘争は、教育委員会や校長などの職務命令を基本にした強制攻撃にもかかわらず、全国で激烈に闘われている。三|四月の卒業式|入学式闘争を闘い抜こう。

 第3章 日本礼賛と反米愛国主義に回帰する黒田

 日帝は日経連「労問研報告」のもと、一大資本攻勢を激化させている。今国会にJR完全民営化法案が提出され、国労解体、国鉄労働運動解体の攻撃が激化している。
 この攻撃の先兵になって一・二七国労続開大会で機動隊を導入し「四党合意」を承認した国労本部を許すことはできない。高嶋・寺内新執行部は、二・一三闘争団全国連絡会議、二・二四|二五北海道本部大会で闘争団切り捨て方針を一層露骨にした。不当労働行為訴訟を取り下げ、「解雇撤回・地元JR復帰要求」をも取り下げるというのだ。
 さらに「国家的不当労働行為はなかった」とするILO(国際労働機関)第二次勧告促進で百万人署名運動を強行しようとしている。これは闘争団に「四党合意」を強制する反動的運動である。闘争団を切り捨て解体するための百万署名を絶対拒否しなければならない。闘争団防衛・支援の闘争をさらに強化しよう。これは「ニューフロンティア21」|第二の国鉄分割・民営化反対の闘いと一体のものである。
 こうした中で動労千葉の三月春闘ストライキ方針が決定された。これは戦争・恐慌・大失業の時代において、一・二七以降の国鉄を中心とする日本の労働運動全体の大分岐・大流動情勢を戦闘的に大再編する画期的なストライキ闘争である。また何よりも闘争団・千四十七人闘争と連帯する闘いであり、国鉄労働運動の戦闘的展望を切り開くものであり、さらにはJR総連解体・打倒を推進するものである。全力で支援・連帯して闘おう。
 分裂カクマルでさらに新情勢が起きた。反革命通信『解放』二月二十六日付号にカクマル随伴者の反動的文化人・高知聡の追悼文が載り、同三月五日付号に反革命カクマル頭目・黒田署名の声明「高知聡『孤独な探究者の歩み〔評伝〕若き黒田寛一』に抗議する」が載った。
 高知は黒田の評伝を書いたのだが、最後の「あとがき」で、最近出た黒田の反革命本『実践と場所』第一巻を読んで大ショックを受け、黒田批判をしたのだ。
 いわく。「あまりに突飛と思われる日本礼讃」「黒田の無残な老化現象」「日本の自然風土の讃美は、…天皇制の讃美につらなる…その点では黒田も無防備ではありえない」と。
 さらにこのような本(『実践と場所』)が出版されたことに対して、「恥さらし以外の何ものでもない」「黒田の執筆活動を補佐する人達や編集者が無知無能か……諦(あきら)めきっているか、不思議な絶対権威化の結果」とあきれて批判している。
 これに対して黒田は「高知によって私は破廉恥漢にまで仕立て上げられているわけなのである。まことに無念、残念」と怒りをあらわにしている。『解放』はいったんは高知を追悼したが、次号では黒田が高知に罵声(ばせい)を浴びせている。「黒田哲学」の日本民族主義、天皇制への屈服、そして反米愛国主義的な本質と、黒田絶対主義の極限化という黒田=カクマルの深刻な組織的危機がここに露呈したのだ。カクマル中枢は完全に崩壊的な状態に陥っているのだ。
 今こそ松崎・JR総連から離反され、組織大分裂に陥り、危機を深める黒田とカクマルを打倒しよう。
 超長期獄中同志奪還の闘いに全力をあげよう。「無実の四人を保釈せよ」「未決勾留十四年は人権侵害だ」と訴える十万人保釈署名運動は、広範な人民に浸透してきている。さらに全力で推進しよう。
 三里塚反対同盟・顧問弁護団共催の二・二八土地収用法改悪阻止シンポジウムの成功を引き継ぎ、三・二五三里塚全国集会に総結集しよう。三月二日の土地収用法改悪案閣議決定・国会提出を弾劾し粉砕しよう。
 党勢倍増、機関紙拡大闘争を計画的に推進しよう。都議選必勝のための選挙資金闘争に勝利しよう。けしば候補当選のために、この三月、総力決起しよう。

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週刊『前進』(1997号1面2)

超長期勾留への怒りは圧倒的な人民大衆の声 街頭に出て署名訴えよう

 司法の人権侵害に大衆的な怒り

 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志、福嶋昌男同志の四人の即時保釈を求める訴えは、大きな反響を呼び起こしている。
 三同志が十四年、福嶋同志が八年という前代未聞の超長期未決勾留に置かれ、獄中で健康を破壊されているという実態を知って、驚かない人はいない。森政権と自民党の腐敗が次々と暴き出されている対極で、獄中で不屈に闘う政治犯へのとんでもない人権侵害がまかり通っている。事実を知れば知るほど人民の怒りは加速度的に高まっていく状況にある。
 四同志は、一九八六年の迎賓館と米軍横田基地に対するロケット弾戦闘には一切関与していない。警察・検察は四同志の無実を百も承知でデッチあげ起訴し、裁判所もまた「証拠がないのは被告人が隠しているからだ」という暴言まで吐いて、このデッチあげ弾圧に加担してきた。しかも保釈を一切認めず、十四年や八年という長期にわたって裁判を継続し、その間拘置所の独房に幽閉し、獄中で病気になっても必要な治療さえ行わない。
 これはもはや事実上の禁固刑であり、裁判ぬきの無期刑の執行に等しい。そもそも公判開始から十数年を経てなお検事が有罪を立証できなければ、それ自身が被告人の無実・無罪の証明ではないか。だが東京地裁は、四同志が革共同の一員であり、非転向を貫く政治犯であることを唯一の理由に半永久的な拘禁を続け、獄外での医療すら認めようとはしないのだ。
 戦後憲法のもとではおよそ考えられないこの恐るべき政治弾圧が現代の日本で実際に起きているのだ。この事実をすべての労働者人民に知らせ、闘う人民の力を結集して絶対に打ち破ることが求められている。
 すでに「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」が弁護士、学者、宗教者など五十人の呼びかけ人と百六十八人の賛同人のもとで大々的に展開され、三月初めまでに約一万四千筆の署名が集まっている。都心・有楽町での街頭宣伝を始めとして、各地で街頭での署名活動が開始され、数時間で二百人、三百人といった人びとが署名している。
 二月二十一日の東京地裁への申し入れ行動では、二時間半にわたって司法権力の非をただす激しい追及が行われた。
 「憲法に規定されている基本的人権を、本来それを守るべき裁判所が自らじゅうりんしていいのか。これは司法による犯罪だ。人道上からも許せない」「近代国家における裁判とは思えない恥ずべき事態。まさに暗黒裁判だ」「一日も早く保釈を! そして獄外での医療を!」
 十万人保釈署名運動の呼びかけ人・賛同人から寄せられているこの声を、今こそすべての人民の声にしなければならない。それはまったく可能だ。事実を知ればほとんどの人は怒り、立ち上がる。

 保釈と獄外医療は当然の要求だ

 今すぐ街頭に出よう。全党の同志はこの闘いの最先頭で総力決起しよう。
 三月一日、須賀同志の医療鑑定が東京医科歯科大学病院で開始された。日帝権力は許せないことに、「中核派が奪還作戦を試みる可能性がある」などと称して入院による集中検査を認めていない。東京拘置所からの行き帰りには機動隊車両を先導につけ、病院内では八人の私服刑事が張り付いて、不当にも一部始終を監視するというありさまだ。
 こうした中で須賀同志を診察した鑑定医は、同志の左足の筋力低下・筋委縮が著しく進行していることに驚いている。三年前の腰椎間板(ようついかんばん)ヘルニア発症以来、狭い独房に閉じ込められて十分なリハビリの機会も手段も奪われ続けてきたことが、通常では考えられない筋力低下を引き起こしていることが再確認された。
 須賀同志だけではない。わずか三畳ほどの空間に一日中監禁され、自由に体を動かすことも日光に当たることもできない生活がすでに十四年、八年と続いている。この中で四同志の全員が健康を破壊されながら、不屈に闘っている。無実を訴えて裁判闘争を闘っている四同志が、どうしてここまで非人間的な扱いを受けなければならないのか! 
即時保釈と獄外での医療は人間としてあまりにも当然の、最低限の要求だ。

 腐敗極める権力の行う不当弾圧

 今日、KSD汚職、政府機密費をめぐる腐敗、森首相のゴルフ会員権問題を始め、政府首脳や自民党、官僚の許しがたい不正・腐敗が次々と暴露されている。労働者人民に首切り・賃下げ・福祉切り捨ての極限的な耐乏生活を強いる一方、人民から巻き上げた血税その他の金を使って汚職や不正がまかり通ってきた。
 警察官僚や検察・司法官僚もまた、この腐敗の構造にどっぷりとつかっていることが今日、すでに明らかになっている。福岡では高裁の判事が地検の検事とグルになり、判事の妻の犯罪容疑のもみ消し工作を図った事件が明るみに出た。検事が捜査情報を事前に横流ししただけではない。福岡地裁の職員が捜索令状に添付された県警の捜査資料をコピーして高裁に渡すなど組織ぐるみの工作が行われた事実が判明している。
 しかも、こうした危機と腐敗を極める日帝権力が改憲=戦争への超反動的な攻撃を強めている。
 その一方で、無実の四同志に対しては「証拠隠滅の恐れ」を理由に超長期の未決勾留を依然として続けている。まさしく十亀同志が法廷で弾劾したとおり、「裁判官は身内の勾留には一日だって耐えられない。にもかかわらず、私たちを実に四千八百日も勾留している」のだ。このあまりにも不当な現実をもはやこれ以上許してはならない。
 日帝権力は、四同志になぜこれほどまでに卑劣な攻撃を集中するのか。一九八六年の迎賓館・横田戦闘が当時の日帝・中曽根政権と米帝・レーガン政権を直撃した人民の革命的武装闘争の精華と言うべき真に偉大な戦闘であったからだ。そして、四同志へのデッチあげ弾圧と九〇年天皇決戦を頂点に加えられてきた組織絶滅と転向強要の大攻撃に対し、わが革共同が獄中同志を最先頭にこれを真っ向から打ち破って不屈に闘いぬいてきたからだ。
 革共同が今日、五月テーゼ路線のもとで日帝打倒の路線を断固として堅持し、一層深化・発展させつつ、巨万の闘う労働者階級人民と結びついて本格的な革命党への飛躍と成長をなしとげようとしていることに、日帝権力は心底からの恐怖を抱いている。四同志への弾圧は、彼らのその恐怖と憎しみの発現だ。まさにむきだしの階級的報復、テロルが加えられているのだ。
 十万人保釈署名運動に決起している各界・各層の人びとの闘いに学び、連帯し、獄中同志奪還へ総力を挙げて前進しよう。党はその最先頭で闘おう。

公判闘争日程

3同志の裁判
 3月16日(金)10時 東京地裁
 4月19日(木)10時 東京地裁
福嶋同志の裁判
 3月23日(金)13時15分 東京地裁
 4月20日(金)13時15分 東京地裁

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週刊『前進』(1997号2面1)

賃闘解体叫ぶ日経連と対決し大幅賃上げ掲げ春闘を闘おう
 動労千葉のストライキ決起に続け
 中村 孝夫

 動労千葉は二月二十四日、第四四回定期委員会を開催し、二〇〇一年春闘ストライキに決起することを決定した。動労千葉のストライキを先頭に、一大資本攻勢と対決する今春闘を闘いぬこう。「資本主義にノーと言える労働運動」を今こそつくり出そう。今春闘を闘うにあたっての階級的視点と、勝利の路線について提起したい。

 国鉄闘争解体の攻撃に満を持した総反撃

 一・二七国労続開大会を経て、国鉄決戦をめぐる情勢は一変した。権力・資本は、「四党合意」をのませて国労の自己解体を迫るとともに、「第二の分割・民営化」と言うべきJR大合理化を強行して、国鉄労働運動の最後的な解体攻撃へと突進しようとしている。
 動労千葉のスト決起は、資本攻勢の最先端をなすこの攻撃への満を持した反撃である。またそれは、千四十七人を始めとする闘う国鉄労働者に、勇気と勝利の展望を指し示すものとして闘われようとしている。
 動労千葉が掲げる基本要求は、@三万八千円の大幅賃上げ獲得−JR貨物の超低額回答打破、AJR貨物における「生活改善一時金」三十万円(五十五歳以上は四十万円)の獲得、B年金満額支払い年齢の引き上げに応じた定年延長と六十五歳まで働ける労働条件の確立、五十五歳以上の賃金引き下げ制度の廃止、C第二基本給の廃止、D差別なき基準昇進制度の確立||の五点だ。
 この基本要求と結合して、@千四十七名の解雇撤回・原職復帰、Aシニア制度=鉄道業務の外注化阻止、B強制配転者の原職復帰・予科生の士職登用−不当労働行為根絶、C反合理化・運転保安確立||の要求を掲げ三月下旬に向けて総決起している。
 さらに、これらの要求とともに、今春闘の課題を四点提起している。
 課題の一つ目は、総額人件費抑制や能力・成果主義を叫ぶ日経連労問研報告の春闘解体攻撃と対決し、闘う春闘を再生するために総決起すること。特に、社会保障制度解体攻撃との対決を、今春闘の重要な課題として位置づけている。
 「横並びの対応で賃金などの労働条件を決めれば済む時代ではない。成果主義が志向される人事・賃金制度の下で、従来のような一律賃上げの水準を交渉することは意味がない」「労組、従業員の末端にまで企業の施策の趣旨についての理解を深めるために、労使協議制の活用が期待される」(二〇〇一年版日経連労問研報告)
 これは、露骨な春闘解体宣言であり、団体交渉はやめて労使協議制に切り換えるとして、団結権・団体交渉権を完全に否定するものである。日経連は、春闘を賃上げ交渉の場ではなく、会社の施策を組合や「全従業員」に徹底させるための場にすると言うのである。
 一律大幅賃上げを要求し、日経連労問研報告と対決することが、今春闘の決定的課題となっている。
 課題の二つ目は、JR貨物における昨年のベアゼロという断じて許せない賃金抑制−差別賃金攻撃と闘いぬくことである。
 「能力・成果主義の賃金・人事制度」の導入、臨時、パート、派遣などの不安定雇用労働者の増加の中で、賃金格差−賃金差別がますます拡大している。これをテコに労働者の差別・分断と団結破壊が進行している。これと闘うことが、今春闘の最重要の課題だ。

 「ニュー・フロンティア21」粉砕へ

 課題の三つ目は、今春闘を動労千葉の「三大方針」と結合して、組織を挙げて闘いぬくとしたことだ。三大方針とは、@千四十七名の解雇撤回・原職復帰、Aシニア制度=鉄道業務の全面外注化阻止、BJR総連解体−組織拡大、である。
 その中で重要なのは、今春闘を「ニューフロンティア21」を中軸とする「第二の分割・民営化」攻撃への反撃の突破口として位置づけたことである。
 昨年十一月、JR東日本は「完全民営化達成」を掲げ、二〇〇一年度から二〇〇五年度までの中期経営構想=「ニューフロンティア21」を発表した。これは、鉄道会社としてのこれまでのあり方を根本的に転換し、JRとJRグループ企業に働く労働者を徹底した弱肉強食と大リストラのあらしにたたき込む攻撃だ。
 具体的「事業戦略」の柱としては、「ステーションルネッサンス」と称して駅を「ショッピングモール」「コミュニティセンター」「情報基地」にし、そこを中心に利益を上げるJRに転換すると述べている。
 本来の鉄道事業は、「IT事業戦略」に次ぐ三番目の項目になっている。つまり、運転保安や安全、技術力の維持・継承などは完全に否定されている。乗客や労働者の命より、金もうけを優先するということだ。
 だから、鉄道の技術力が集積されている保守部門(検修、構内、保線、電力、通信、土木、建築、機械)の全面外注化の強行に踏み切ったのである。これらの部門は、安全の視点からは、これ以上できないところまで合理化されている。その全面外注化など、安全無視もはなはだしい。
 さらに、「一万人削減」「雇用・人事制度の全般的見直し」「グループ全体の大胆な再編成」「地方ローカル線の廃止」などの大リストラ計画である。JR東日本は、これを強行することで、国労と動労千葉の解体攻撃に再度のめり込もうとしているのである。

 シニア制度との組織挙げた闘い

 全面外注化は、シニア制度とセットになっている。年金制度改悪を逆手に取ったシニア制度は、断じて許しがたいものである。
 JR東日本は定年延長要求を拒否し、定年で退職した国鉄労働者を一カ月十二万〜十三万円の超低賃金で関連会社に雇用するという。しかも採用にあたっては試験をして労働者を選別する。動労千葉や国労を排除しようとしているのだ。JRはただあっせん業務をするだけだが、JRの希望者名簿に載らないと試験は受けられない。
 動労千葉は、このシニア制度に反対し、協定締結を拒否しているため、試験さえ受けられない。明白な組合差別であり、不当労働行為である。定年を迎える動労千葉の組合員は、これに対して千葉地労委への申し立てを行った。千葉地労委は、JR東日本に「定年後の再雇用先について早急に具体的な情報提供を行え」との「要望」を言い渡した。JRがこの「要望」を履行しなければ、動労千葉はいつでも組織を挙げた闘いに突入する構えである。

 JR総連解体−組織拡大実現へ

 動労千葉が掲げる課題の四つ目は、今春闘の全過程をとおして、JR総連解体−組織拡大に集約するとしていることである。動労千葉は、今春闘を「組織拡大春闘」と位置づけて、全力で決起している。
 今や黒田・カクマルと松崎・JR総連は大分裂し、カクマルと松崎のJR総連支配は崩壊的危機にある。JR総連組合員のカクマルと松崎への怒りはますます高まっている。JR総連解体−組織拡大の絶好のチャンスが到来している。

 階級的団結の形成を軸に賃金闘争を闘う

 次に、今春闘を闘うにあたっての、原則的・階級的視点について提起したい。

 一律大幅賃上げと差別撤廃要求

 第一は、一律大幅賃上げをあくまで掲げて闘いぬくことである。動労千葉は「一律三万八千円」を要求している。「労働者が生活できる賃金を」という階級的立場に立った要求が必要なのである。その場合、「一律額要求」がわかりやすくて団結しやすい。資本の側が「一律賃上げは意味がない」と叫ぶのは、一律大幅賃上げの要求と闘いを恐れているからである。
 総評時代には「率」=「何%」という要求方式であった。この方式だと、一人ひとりの労働者の賃上げ額に差がついてしまう。連合の「標準労働者方式」や「個別銘柄方式」に至っては、資本の労働者分断−団結破壊を容認するものだ。
 賃金差別は、資本による労働者分断・団結破壊・労組解体攻撃の常とう手段である。資本は常に、「会社の言うことを聞け、会社のために働け、そうしなければ賃金を下げる」と分断・分裂を持ち込んでくる。今日の「能力・成果主義」は、その最たるものだ。だから賃金闘争は、階級的団結をつくり出すための基本をなす闘いなのである。
 第二は、賃金差別との闘いを「一律大幅賃上げ要求」と一体のものとして、今春闘のもう一つの柱に据えることである。
 一九九五年の「新時代の『日本的経営』」(日経連)が打ち出した終身雇用制・年功賃金の解体と、徹底した「能力・成果主義賃金、人事制度」の導入によって、賃金、雇用、労働条件は大転換しつつある。労働者間の競争−分断が進行し、「勝ち組・負け組」(圧倒的多数の労働者が負け組だ)という言葉が流行している。そして、月々の賃金のみならず一時金、退職金にも「能力・成果主義」が導入され、それは年金にまで跳ね返る。
 現実にこの数年間、賃金格差−賃金差別はますます拡大している。首切り・賃下げをテコとした臨時、パート、派遣などの低賃金・不安定雇用労働者が拡大し、その大半が女性労働者だ。女性の賃金は、男性の賃金と比べると五〇・八%(九九年国税庁調査)と半分になっている。
 さらに、公務員労働者にも徹底した「能力・成果主義賃金」が導入されようとしている。公務員の身分保障もはく奪して、自由に首切りできる状態をつくりだそうとしているのである。それは、労働者階級全体に対する首切り・賃下げ攻撃の決定的なテコとして使われようとしている。
 賃金差別撤廃の闘いをとおして、階級的団結をつくり出していくことが重要なのである。
 第三は、倒産・リストラ・首切り・労働条件改悪の攻撃と闘うことである。

 倒産攻撃との必死の闘い学ぶ

 中小の労働者の中には、倒産攻撃を打ち破り、団結権確保を掲げ、職場に籠城(ろうじょう)して必死に闘っている仲間がいる。この闘いは階級的労働運動の豊富な内容をつくり出しており、学び尽くさなければならない。
 一月の完全失業率は四・九%(総務省発表)で完全失業者数は三百十七万人、一九五三年の調査開始以来最悪の状態が続いている。資本は、「株価低迷と米国・アジア経済の減速で雇用環境が上向く見通しはない」(朝日新聞三月二日付)として、失業者はさらに増大すると言っている。
 そして、産業再生法、民事再生法、会社分割法などの国家的リストラ法制が強行され、大失業攻撃は一層加速されている。
 第四は、「総額人件費の抑制」の名のもとに進められている社会保障制度解体攻撃と闘うことである。
 とりわけ年金問題は、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢引き上げが今年四月から始まることに加え、報酬比例部分の支給開始年齢も段階的に引き上げる年金改悪が昨年三月に強行されたことにより、労働者にとってきわめて深刻な問題になっている。
 「定年になっても年金は出ない。どうやって生活していくのか」という切実な声が噴出する中で、「定年延長」要求は昨春闘以来、労働者の死活のかかった課題になったのである。
 資本は、「自助・共助・公助のバランス」(労問研報告)などと称して、社会保障制度のあり方を根本的に転換すると宣言した。年金、医療、介護、雇用など社会保障制度のすべてについて、自己負担でやっていけという攻撃だ。保険料、掛け金の大幅アップと支給額の大幅ダウンである。
 厚生労働省は、確定拠出型年金法案を国会提出し、企業年金=退職金の大幅削減・廃止に向けて歩を進めた。それは、企業を単位とし、企業の存在を前提に成り立っていた社会保障制度を根本から解体する攻撃なのである。
 第五は、今春闘を「日の丸・君が代」強制反対、教育基本法改悪阻止、改憲粉砕の闘いと結合して闘うことである。「教育改革」攻撃は、改憲−戦争国家化への突破口であるとともに、一大資本攻勢を貫徹する水路でもある。とりわけ教育労働運動の存否をめぐる決戦は、今春闘のきわめて大きな攻防点をなしている。
 これらの一大資本攻勢の背景には、帝国主義間争闘戦における日帝の敗勢という現実がある。国際的大競争時代のただ中で、日帝は生き残りをかけて労働者に失業と低賃金を強い、弱肉強食の極限的競争にたたき込もうとしているのだ。

 「資本主義にノー」と言いきる労働運動を

 今春闘を闘うための勝利の路線は何か。一言で言えばそれは、「資本主義にノーと言える労働運動」をつくり出すことである。
 日帝の行き詰まりと絶望的危機はあまりにも明白だ。「現状変革」を求める声が満ち満ちている今こそ、資本主義を打倒して新たな社会を建設する、労働者階級の歴史的使命を鮮明にさせなければならない。
 今春闘を闘うにあたって重要なことの第一は、「国家や企業がつぶれてもいいのか。大幅賃上げなど要求して会社をつぶす気か」という攻撃を打ち破ることである。
 連合は、国家・会社を守る運動に率先協力し、「賃下げも首切りも仕方ない」と組合員に強制している。連合路線では賃上げ闘争などそもそも成り立たない。
 一方、全労連は、国家や企業が危機なのは「ルールなき資本主義」と「政策の失敗」が原因だから、「本来の」資本主義に戻せば危機が克服できるとして、この攻撃との対決を完全に放棄している。そして、今春闘から大幅賃上げ要求を「現実性がない」と下ろしてしまった。
 労働組合・労働者は、「労働者を食わせていけない資本主義など倒してしまえ」「われわれが代わってやる」という考え方、思想、気概を持たない限り、「国家・社会を守れ。賃上げなど論外だ」という資本の攻撃に打ち勝つことはできない。それが「資本主義にノーと言える労働運動」である。

 団結の強化・拡大こそが闘いの軸

 第二は、路線的に対決し階級的団結を固め拡大することをめざして闘うことである。階級的団結の強化・拡大を、闘いの総括軸に置くということだ。資本が低賃金−賃金差別をテコに分断・分裂・団結破壊の攻撃をかけてきている時に、賃金闘争をとおして階級的団結をつくり出すことはきわめて重要である。
 労働者は、団結できる方針が提起されれば必ず立ち上がる。労働者に対する絶対的信頼こそ闘いをつくり出す源泉である。労働者は「団結することに喜びを感じ、労働者としての誇りを持つ」存在なのである。
 「労働者は、ときどき勝利することがある。しかし、その勝利は一時的なものにすぎない。労働者の闘争のほんとうの成果は、直接の成功にあるのではなく、労働者の団結がますます広がっていくことにある」(マルクス『共産党宣言』)
 第三に、今春闘を改憲阻止決戦の突破口を開くものとして闘うことである。労働者の階級的団結を解体しなければ、戦争国家への転換は完成しない。だからこそ、団結権破壊の資本攻勢に抗して、今春闘の攻防をを闘いぬくことが重要なのである。
 今春闘をストライキで闘おう。労働者は「もう我慢ができない」と確実に闘いを求めている。職場からストライキ要求の決議を上げ、闘わない執行部を突き上げよう。
 ストライキは、労働者が団結する最大の武器である。労働者が社会の主人公であることを身をもって獲得する闘いである。今春闘を日本労働運動の反転攻勢の出発点にしよう。今春闘を闘い、革命的労働者党を建設しよう。同時に都議選決戦に総決起しよう。

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週刊『前進』(1997号2面2)

松崎は「階級敵」なのか否か!?
 12・9講演の暴露に動転 カクマルは明確に答えよ

 カクマルは、JR総連のカクマルからの分裂・集団離脱を先頭で推進しているのが松崎明その人であるということをわれわれが暴き出したことに打撃を受け、ほとんどパニック状態に陥っている。松崎こそが、カクマル・黒田につばを吐きかけ、カクマル指導部を権力に連続的に告訴・告発し、カクマルを裏切ったJR総連幹部集団の頭目中の頭目であるということは確定的な事実である。
 その打撃感を紛らわすために、カクマルは「中核派が暴露した十二・九講演要旨は権力がねつ造したものだ」などと騒いでいる。だが、問題は、松崎を先頭にJR総連がカクマルと「手を切り」、カクマルを排除することを決断し、実行に移したという事実そのものなのだ。十二・九講演は、松崎自身がJR総連の幹部役員たちだけでなく、権力およびJR資本に向かって「大衆」の面前で、それをはっきりと表明したものとして決定的なのである。しかしカクマルはこの事実から逃げ回ろうとしている。
 カクマルよ、明確に答えよ。JR総連は、松崎と対立してカクマルから離脱したのか。それとも松崎を先頭にカクマルを振り捨てたのか。松崎は「階級敵」の中に入るのか、入らないのか。十二・九講演で松崎は、カクマルを味方として擁護したのか。それとも対立勢力と規定し、非難したのか。どっちなのか。
 カクマルは、『解放』二月十二日付「異星人にもの申す」や、同二月十九日付「『歌を忘れたカナリア』=立花よ」という黒田の戯文の中で、JR東労組ダラ幹に向かって「(十二・九松崎)講演をもう一度読みなおせ」として、JR総連の『セミナー』一月号に採録されている「松崎講演」を引用している。そうすることで、松崎があたかも依然として黒田・カクマルの側にいるかのような仮象をつくりだそうとしているのである。
 だが『セミナー』で松崎は、「葛西のJR東乗っ取り策動を粉砕して大塚体制を創り出したのは私たちです」と強調して、そのためにこそ、カクマルとの最終的「決別」を決断したのだと言っている。そして、「大塚体制粉砕」などと言っているカクマルとは「意見が違う」ことをはっきりと表明している。
 たしかに『セミナー』の採録では、カクマルという言葉を出さない表現となっているが、講演の核心はカクマルとの関係の部分にあった。松崎はそこで、権力と資本に向かって、カクマルと決別して大塚体制の先兵となることを明白に誓ったのである。
 しかも『解放』三月五日付「Topics」欄では、「“葛西の抵抗を抑えこんだ゜と喜ぶようなボケ(ママ)、また意味を知りつつ棹(さお)さす輩(やから)がもしもいるとしたら、総連傘下組合員へのまた新たな裏切りなのだ」などと書いている。この「葛西の抵抗を抑えこんだ」と言って大塚体制の確立を勝利であるかのように触れ回っている輩とはほかならぬ松崎なのだ。「意味を知りつつ棹さす輩」もまた松崎その人である。これは、カクマルの事実上の松崎批判として決定的である。
 そもそも松崎を断罪しないで、JR総連を「階級敵」と規定するようなアクロバットは不可能だ。事実カクマルは、このことを突きつけられて困り果てている。その結果なんと「カクマルとJR総連の分裂」や「JR総連失陥」という事実そのものが「権力の謀略」によるデマであるかのように言い始めている。
 二・四のカクマル労働者集会では、JR総連を「階級敵=打倒対象」とする規定をあいまいにし、「JR総連を破壊攻撃から守る」などというトーンが打ち出された。そして、カクマルがJR総連に敵対しているというのはウソで、カクマルはJR総連の再生のために闘うのだなどと必死で弁解につとめた。
 要するに、カクマル指導部は、「JR総連執行部打倒」という十二・八の党声明を党員(労働者党員)にすら貫徹することができないという現実の前に立ち往生しているのである。こうして、松崎とJR総連の方は公然とカクマルを非難弾劾しているのに、カクマル党の方は隠微な、「イソップの言葉」による松崎批判をやるか、松崎が依然として味方であるかのようなウソをつくしかないという事態に陥っている。
 だが、このような支離滅裂ともいえる事態はいつまでも続かない。追いつめられたカクマルの側での矛盾の爆発とそれがまたJR総連に跳ね返る、また、大合理化攻撃の先兵としてのJR総連の矛盾が爆発し、それがカクマルに跳ね返るという第二幕が、早晩展開されざるをえない。
 われわれは、このような事態に革命的に介入し、あらゆる手段で反革命の内部矛盾の爆発とその極限化を加速化させるであろう。
 「本質的に死んだ黒田・カクマル」を徹底的に追いつめていく闘いを攻撃と防衛の両面で全面的に強めよう。今こそ、カクマル完全打倒へ総決起しよう。

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週刊『前進』(1997号2面3)

敵に負けない執念を 春闘集会での提起に感銘

 二月十七、十八日、全日建運輸連帯関西生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の呼びかけた「二〇〇一年春闘勝利! 学習・交流集会」が、港合同田中機械支部で開かれた。三組合呼びかけの春闘集会は、今年で三度目。私は、動労千葉を支援する会の一員として集会に参加した。全国から百八十人近い仲間が集まった。
 会場の田中機械支部は、七八年以来、資本の倒産攻撃と闘いぬき、それを突破して労働者自主生産を続けている、闘う労働運動の砦(とりで)だ。門を入ると、左手の組合事務所の壁面に掲げられた「血と汗と喜びで、我等が築きし職場を我が力で守り抜かん!」というスローガンが目に飛び込んできた。ここが激しい闘いの現場そのものであることを実感する。
 この集会で私が一番感銘を受けたのは、一日目に行われた大和田幸治田中機械支部委員長の講演だった。大和田さんは、港合同の闘いの歴史を紹介しながら、争議を闘う心構えを次のように提起した。「いかなる敵にも弱点がある。敵の間隙(かんげき)をキリで穴を開けるように突く」「戦術をじっくり考える余裕のある時は少ない。その場で戦術を決める。そのためには敵に対する身構えと、日ごろの訓練が欠かせない」「勝つためには創意と工夫、臨機応変の対応が必要だ。変幻自在の闘いで主導権を確保する。敵に負けない根性と執念がないとそれはできない」「自分しか頼る者のいない闘争を貫いた時、労働者は鍛えられる」
 具体的な闘いの経験を織り交ぜながらの講演は、きわめて迫力あるものだった。参加者全員が、そこからすべて吸収し、自分の闘いに生かしたいと感じたのではないだろうか。解雇・倒産攻撃と闘う多くの仲間から、いかなる戦術で闘うべきかも含めた活発な質疑が行われた。
 二日目は、三組合がそれぞれ問題提起を行った。動労千葉は、非和解的激突に入った国鉄闘争の現状を報告し、四党合意撤回の地労委闘争の重要性を訴え、さらにJR総連のカクマル本体からの離反の中で、組織拡大をかけて春闘ストに立つと表明した。関生支部は、「大きな時代の転換点の中で、今をどう闘うかが未来を決める」「既成の労働運動が問題にしなかった層に団結をつくり出していく」と述べ、産別業種別労働運動として関生支部が実践してきた闘いを語った。港合同は、倒産争議の闘い方について「上部資本の不当労働行為責任を徹底的に追及すべき」と提起した。
 集会の最後に、関生支部の代表が「闘いは必ず勝利することを、今年の十一月集会で互いに報告できるよう頑張ろう」とまとめのあいさつを行った。
 「闘う労働組合の全国ネットワーク」を結ぶきずなは確かに強まっている。しかし、今日の資本攻勢に打ち勝つためには、この団結をもっともっと広げなければいけないと感じた。
 (投稿/東京 S・T)

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週刊『前進』(1997号3面1)

杉並区議会 給食の民間委託やめよ “保護者は同意してない”
 けしば区議と区民が追及

 二月二十八日に杉並区議会文教委員会が開かれ、学校給食調理業務の民間委託新年度実施に反対する請願・陳情の審議が行われた。都政を革新する会のけしば誠一区議は、九十人の傍聴者とともに終日、保護者と給食調理員、栄養士の切実な願いを背に闘いぬいた。この日の審議によって民間委託が、安全でおいしい給食と公教育の破壊であり、それを「保護者の理解を得られた」として進めている杉並区当局の不当性が完全に明らかにされた。追いつめられた与党勢力、推進派議員は午後五時過ぎに自民党議員の動議で審議打ち切りを強行、けしば議員と傍聴者が強く抗議する中、二十二本の請願と陳情のすべてを不採択とする暴挙を行った。この日集まった区民、保護者、労働者は、審議打ち切り、請願不採択の無効を宣言し、これからますます反対運動を広げていくことを誓いあった。

 2万6千人の反対署名の力

 この間の「杉並区の学校給食を考える会」や都革新の運動によって、民託反対の声は大きく区民の間に広がり、二月二十八日までに区議会に提出された民託化の中止・見直しを求める請願と陳情は二十二本、署名数は二万六千人を超えた。
 推進派が多数を占める区議会も、こうした区民の声に追いつめられて、けしば区議の要求により請願・陳情審議の委員会を開いた。
 午前十時から始まった委員会では、まず請願・陳情提出者である保護者、栄養士、区民ら六人が補足説明を行い、これをめぐる議員からの質問と応答が行われた。
 まず保護者が率直な不安、中止を求める意見を表明した。
 「子どもの給食と教育を犠牲にして、財政再建を優先させるという区の方針は認められない」
 「営利追求の民間業者では、職員の頻繁な入れ替わりも避けられず、給食の質が下がることは明らか。教育委員会はわれわれの不安にこたえていない」
 「『保護者の理解が得られた』という区の主張はおかしい。説明会でも、みな納得した雰囲気ではなかった。保育園、幼稚園児の親は説明会への出席を認められなかった。仕事を持つ保護者も参加できなかった。再度の説明会を求めたが拒否された」
 栄養士は「栄養士一同」の区議会議長あての要望書を読み上げた。そして、「区は現場の栄養士に九月に一度、一時間の説明をしただけで、現場の声を一度も聞かずに強行しようとしている」「民託化は調理現場に混乱をもたらすだけでなく、安全でおいしい食事を子どもたちに提供する学校給食の役割を変質させてしまう」と訴えた。
 民間委託を実施している他区の例が区民から紹介され、「手を包帯でぐるぐるまきにした人が仕事に出て来た。なんで来たと聞いたら『会社から人数合わせのために出勤しろと言われたから』と答えた」という事例などが暴露された。
 さらに、審議の中で、九九年度の区職労との合意によって、来年度に十一人が定年退職しても人員配置の変更で現状の給食業務は可能であること、したがって民間委託化の来年度七千二百万円の予算は、まったく余計な支出であることがはっきりした。「経費節減と言いながら、なぜわざわざ余計金のかかることをやるのか」という、けしば区議の追及に、区側はまともに答えられなかった。
 追いつめられた区は、「転職など(実際には退職に追い込むこと)によって最大限、委託効果が出るようにする」などと、ただただ現業労働者の切り捨て、労働組合の破壊と、学校給食を民間資本の利潤追求の場に「市場開放」することが狙いであることをさらけ出した。
 あらゆる角度から見て、民託化が給食と教育の破壊であり、子どもと給食労働者を犠牲にする暴挙であることが突き出されると、自民党議員は「おいしいものを食べさせるだけが教育ではない。まずいものを食べさせるのも教育だ」などと発言し、傍聴者の失笑を買った。公明党議員は、けしば区議と傍聴者の一体となった闘いに打撃を受けて、「署名運動が選挙活動や組合活動に利用されている」などと敵意むき出しの暴言を繰り返した。

 審議打ち切りの暴挙は無効

 午後五時過ぎ、追いつめられた与党側は自民党議員の動議で審議打ち切りを強行した。
 けしば議員は審議打ち切りに強く抗議し、意見表明の中で「これほどの重大問題なのに、まだ議論が尽くされていない。もっと議論すべきだ」「労働条件の水準が労働の質を決める。公務労働の質が、これまでの杉並学校給食の水準をつくってきた。民託化はそれを破壊するものだ」「保護者の理解などとうてい得られていないのに、『得られた』として事を進める杉並区の強硬な姿勢に強く抗議する」「どうして栄養士さん、調理員さんからもっと話を聞かないのか」と、怒りを込めて弾劾した。
 けしば区議が「強行採決は無効だ。これからも委託阻止に全力を尽くす」ときっぱり述べて意見表明を締めくくると、傍聴席から大きな拍手がまき起こった。
 委員会に詰めかけた保護者、労働者は、傍聴席に入りきれず、隣の会議室で放送に聞き入った。区や推進派議員の暴言のたびごとに、思わず怒りの声が上がった。
 その後、二十二本、署名数二万六千人を超える請願・陳情のすべてを「不採択」とする暴挙が強行された。自民、公明、民主の反動派とともに生活者ネット所属の樋口蓉子議員は、文教委副委員長として質疑打ち切り―採決強行、請願不採択を積極的に推進し、リストラ行革推進派としての生活者ネットの反動的正体をあらわにした。
 区側は「予定どおり四月から実施したい」と言いながら、民間委託される対象校も、委託業者も、まだまったく決められないでいる。区民の運動と労働組合の粘り強い交渉が区を追いつめている。
 新年度実施は粉砕できる。七日から二十一日に至る予算委員会で「経費節減のため」という大うそをさらに追及し、委託業者に利益を与えるためだけの委託費を予算案から削除させよう。
 「日の丸・君が代」押しつけ反対、戦争賛美教科書採択反対の運動とともに、地域の保護者と労働者の団結した闘いで、大リストラと学校給食破壊の民託化攻撃を打ち破ろう。

【解説】

●杉並区の職員削減計画と学校給食民託化
 山田区長が昨年十一月に発表した「スマートすぎなみ計画」は、新年度から十年間で千人(初年度から三年間は毎年七十人)の区職員を削減する大リストラ計画である。削減の対象となっている業務の九五%が、福祉、教育、保健衛生など区民生活に直接かかわる現業部門である。これにより学校から区の職員が消える。学校給食調理員の削減はその中心環であり、区は手始めに二〇〇一年度から小学校二校、中学校一校で民間委託を強行しようとしている。学校給食調理から区の労働者をなくし、民間業者による「安上がり、使い捨て」の労働力に置き換えようというのである。
 これは、不可避的に学校給食の質を低下させ、これまで調理員、栄養士が、子どもたちや保護者とともに築いてきた杉並区の「安全でおいしい学校給食」の地平を崩壊させるものである。
 区当局は、昨年九〜十月の各学校説明会をもって「保護者の理解を得られた」と強弁し、来年度民間委託化を十一月に決定した。だが、説明会によってかえって保護者の不安は高まり、昨年十二月の杉並区小学校PTA協議会のアンケート調査でも「賛成」はわずか三%、「反対」二四%、「不安」一五%、「不安だが仕方がない」五二%という結果であった。「保護者の理解を得られた」というのは大うそである。

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週刊『前進』(1997号3面2)

教育改革6法案粉砕をかけ「日の丸・君が代」決戦闘おう
 侵略賛美皇国史観 教科書攻撃を粉砕せよ

 卒業式で高校生の決起引き出す

 今年の「日の丸・君が代」決戦は、高校卒業式の山場を終えて、新たな激突局面に入っている。全国でも最初に卒業式を迎えた大阪府立高校では、昨年の教育労働者の闘いに続いて、今年は各地で教育労働者とともに卒業生自身が強制に反対して立ち上がり、圧倒的な教育労働者と生徒たちが抗議の着席をした。
 職務命令攻撃を受けている東京、千葉、広島などでも、闘う教育労働者は不屈に反対の姿勢を貫き、千葉では三つの高校の生徒たちが県教委に申し入れ行動を起こしている。

 「教育改革」決戦の突破口開こう

 「指導力不足教員」排除など教育改革関連六法案(本紙一九九四号教労論文参照)が順次提出されている。その渦中での今春「日の丸・君が代」決戦は、新たな位置づけを持った階級決戦となってきている。
 それは第一に、「教育改革」の総攻撃と教育基本法改悪を阻止する決戦の突破口をなすものとなっている。
 日帝は、「適切な形で実施」を強要することで教育労働者の旗・歌への抵抗を制圧して、教育をめぐる階級決戦への総決起を予防的に封じようとしているのだ。しかし、広島、三重、国立への日教組運動解体攻撃では、教育労働者と人民の怒りを一気に激成させ、闘う教組への団結が強まり、大きくねばり強い反撃が開始された。今春の「日の丸・君が代」決戦を全国で爆発させ、闘う教育労働者を軸とする壮大な人民反乱を切り開き、四月以降の「教育国会」決戦に総決起しよう。

 教育基本法改悪・改憲との闘い

 今春「日の丸・君が代」決戦は第二に、教育基本法改悪攻撃、憲法改悪攻撃との闘いそのものになっている。
 文部官僚作成の指導要領による旗・歌の強要は、教育への「不当な支配」そのものであり、教育基本法を踏みにじる暴挙だ。生徒たちの自主性を尊重してきた校風のもとで、長年旗・歌なしで卒・入学式を行ってきた千葉の三高校や以前の埼玉・所沢高校の教育や、解放教育運動によって「日の丸・君が代」を撤廃してきた広島や関西各地の教育実践は、戦後憲法と基本法を背景にして闘い取られてきたものだ。
 「日の丸・君が代」攻撃は、これらを圧殺して、基本法精神をないがしろにして戦後教育を解体し、各学校の教育方針や、各地方の教育運動の地平を丸ごと国家主義に塗り替えさせる暴挙だ。
 また、起立・斉唱の強要は「思想及び良心の自由」を圧殺するものであって、改憲攻撃の先取りでもある。国旗・国歌法案審議の答弁で文部省が認めるとしていた「内心の自由」は、そもそも戦後憲法が保障する基本的人権の概念ではない。これは「思想、良心、信教の自由」を個人の内面だけに封じようとするものであって、「表現の自由」によって保障された抗議行動をする権利を圧殺しようとするものだ。
 国立でのピースリボン着用への処分や大阪でのゼッケン、抗議発言、ビラまきを理由にした処分は、この暴挙の本質をむき出しにしたものだ。今春「日の丸・君が代」決戦は、「外的行為」による抵抗を一切許さないとする、憲法をも無視した処分恫喝と対決しての闘いだ。

 闘うアジア人民の決起と連帯し

 今春「日の丸・君が代」決戦は第三に、皇国史観に立った「自由主義史観」グループなどによる歴史教科書攻撃との闘いと一体のものとなり、闘うアジア人民との連帯をかけた階級決戦となっている。
 「自由主義史観」グループなどは、「新たな歴史教科書をつくる会」を結成し、フジ産経資本をバックに検定合格と教育委員会による直接大量採択を策動してきた。中学・歴史教科書を西尾幹二らが執筆し、中学・公民教科書を西部邁らが執筆し、自民党文教族が反対する教科書調査官を更迭させ、地方議会で決議を上げさせ、『国民の歴史』や『国民の道徳』に続いて、白表紙本(検定作業中の教科書原本)を不法に大量にばらまいている。
 彼らの中学・歴史教科書では、南京大虐殺や強制連行・軍隊慰安婦などの侵略戦争の史実を抹殺し、「大東亜戦争」の用語を正面から使用し、侵略戦争であったことを否定し、韓国併合など侵略の歴史をことごとく正当化している。そればかりか、神話と史実の区別もなく、そもそも「歴史は科学ではない」と教科書で公言するとんでもない代物だ。
 公民教科書では、「核兵器の廃絶は絶対の正義か」と題して、正義ではないと言う。生命について、「言語によって精神的な価値にかかわる目的を実現していくための根本の手段、それが生命だから……」などと、中学教科書の文章としては失格ものの悪文で生命(あるいは人間の存在)を手段とみなし、だから「そうした価値の実現のために、生命を犠牲にしなければならない場合もある」と、゛お国のために命を捧げよ″と言い放っている。
 総じて、およそ教科書と呼べるものではない代物だ。われわれは、この超反動的教科書が検定を通過しようとしていることについて、徹底弾劾しなければならない。「政治の関与できるところではない」と言い逃れする森政権を絶対に許すな。すでに中国外務省、韓国政府などアジアの諸国と人民が、徹底弾劾の声明を発し、闘いに決起している。これにこたえ、この教科書を学校現場に一歩も踏み入れさせない闘いを巻き起こそう。
 八二年の「侵略」書き換え問題以来、文部省は徐々に巻き返しと居直りを図ってきた。さらに、ここに至って民間右翼が乗りだし、いわゆる「近隣諸国条項」を完全に無視し、日帝の本音どおりの教科書づくりを行おうとしているのだ。これは単なる民間団体の動きなどではない。自民党文教族から地方の保守議員らが総ぐるみになって一部資本と結託して「国民的運動」を演出しつつ推し進めてきている。日帝の意を体した策動であり、背後に、中曽根や石原や議員辞職に追いやられた村上らがいることは間違いない。
 闘う教育労働者は、今春「日の丸・君が代」決戦、四月からの国会決戦と都議選・参院選の「教育選挙」、そして教科書採択過程をとおしてすべての闘う人民の先頭で総決起しなければならない。そして、「教育改革関連六法案」以上の超ど級の「教育改革」攻撃である教員免許更新制、義務制からの「飛び級」、十八歳で半年間の「奉仕」強制、そして教育基本法見直しという四点の中教審諮問を絶対に粉砕しよう。
 〔マル青労同教育労働者委員会〕

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週刊『前進』(1997号3面3)

3・4 大阪 連合春闘集会にビラまき 

 三月四日、連合大阪春闘総決起集会が開催され、関西反戦共同行動委員会と労組交流センターは、参加する労働者への宣伝を行った。(写真)
 連日の株価最安値更新に表される米帝バブル崩壊と日帝経済の壊滅的危機は、労働者の不安感をかぎりなく高めている。集会会場は、そうした危機感にあふれかえっていた。
 私たちは、日経連労問研報告の賃闘解体・リストラ推進を弾劾し、「景気回復のための賃上げ」を掲げる連合路線ではもう生きていけないことを訴えた。とくに、生活給要求としての賃金闘争を断固として再建し、勝利できる階級的団結をうち固めようと力強く訴えた。
 カクマルは、集会開始三十分前にこっそり現れ、隠れるようにしてビラをまいてそそくさと撤収するという、危機的姿をさらした。
(関西 労働者・M)

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週刊『前進』(1997号3面4)

連載・社会保障解体を許すな 奪われる介護・医療・年金 (5)
 医療制度の抜本改悪 “医療は金で買うもの”
 病院から追い出される高齢者

 日帝・厚生労働省は、介護保険導入と今年一月からの改悪健康保険法・医療法などの施行の上に、二〇〇二年度に医療制度の抜本改悪を行おうとしている。
 その内容は、@独自の高齢者医療制度、A診療報酬体系の改定(保険外化、差別化の導入)、B薬価制度の改定、C医療供給体制の再編からなっている。
 抜本改悪は、日帝の財政破綻(はたん)で国家の負債が六百兆円を超え政治危機化し始めた九七年に日帝・厚生省によって打ち出された。国家財政の破綻を人民に転嫁する社会保障切り捨ての攻撃である。
 独自の高齢者医療制度とは、現在の老人保健制度に代わり七十歳以上の高齢者を分離して、高齢者のみを対象にした独自の医療保険制度をつくるという攻撃である。

 高齢者独自の医療保険制度

 昨年十月に社会保障構造の在り方について考える有識者会議が出した報告書「二十一世紀に向けての社会保障」では、「高齢者にも負担能力に応じ適切な負担を求めるべき」として税負担や社会保障制度における保険料負担、自己負担を増やすことを主張している。さらに「高齢者医療の見直し」として、「何らかの形でその(医療費)伸びを抑制する枠組みをつくらなければならない」と、医療費を削減するために高齢者の医療給付を削減する方向を打ち出している。
 後に見るように、七三年の七十歳以上の老人医療費無料化は、全額公費負担であった。それが八三年の老人保健法の施行によって一部自己負担金が導入され、老人保険費用の七割を各健保からの拠出によるとした。現在、各健康保険は老人保健制度への拠出によって赤字になり、成り立たなくなっている。「だから老人独自の保険制度を」というのは逆行である。本来、老人医療費は全額公費に戻すべきなのだ。

 急性期にも「マルメ方式」

 今もくろまれているのは、七十歳以上の人にさらに負担を強い、負担できない人からは医療を奪う攻撃である。介護保険と合わせた高齢者切り捨ての攻撃である。
 戦後の皆保険下の日本の医療は、医療保険制度による診療報酬で行われてきた。保険外の自由診療はごくわずかで問題にならなかった。しかし、九五年厚生白書で、「医療は商品である。良いものは高い。安いものは質が悪くてもがまんせよ」「情報・選択・納得」ということを打ち出してから一変し始めた。
 厚生省の方針に基づいて、入院給食費や差額ベッドなどの保険外化や差別化が始まった。
 入院給食や療養環境がランク分けされ、内容によって料金が違ったり保険がきかないということが起こった。恐るべきことに、これが一般の医療内容にまで拡大し始めている。「地獄の沙汰(さた)も金次第」ということだ。命の軽重を金ではかる、こんなことが許せるか。
 さらに診療報酬の定額制(マルメ方式)を急性期の病気にも拡大しようとする攻撃である。どの病気はいくらと決めて、それ以上は必要な医療であっても支払わない。もし必要ならその分全額自己負担せよということである。これが外来、入院ともに適用される。お金のある人は自己負担で必要な医療を受け、無い人は保険でやれる範囲で我慢せよ、もちろんそれでも自己負担はある、というまったくひどいものである。
 労働者階級は保険医療でさえも、自己負担と闘病のための費用などで耐えられないのに、このうえ保険外医療を強制されては生存することさえできなくなる。こういう攻撃がもくろまれているのだ。

 ベッド削減で患者追い出し

 薬価制度の改定と医療提供体制の再編の二つは、競争力のない医療機関をつぶしてしまおうとする攻撃である。日帝はこれまでさまざまな形で患者の受診抑制を続けてきた。この数年間、一年につき一万床もベッドが減少してきた。
 そして、ついに医療費削減の抜本策として医療機関を再編して、入院ベッドを削減するという暴挙に出てきた。昨年から、高齢者の「社会的入院」解消の抜本策と称して、介護保険適用の介護型医療施設がスタートした。昨年末の国会で強行可決された医療法の改悪は、病床を急性期(一般)と慢性期(療養型)に区分して、急性期は入院日数を制限した。こうして入院ベッドを削減して患者を病院から追い出し始めたのである。それは医療費の自己負担を増やすことで高齢者を医療保険から介護保険に追いやろうとすることを狙ったものでもある。
 医療は、六一年国民皆保険の確立以降、社会保障の中心実体をなしてきた。
 日帝の敗戦後、人びとは焼け野原から生きるための闘いに立ち上がり、戦後革命期から六〇年安保闘争の高揚を切り開いた。この四〇年代後半から五〇年代、そして六〇年代前半にかけて戦後福祉制度や医療制度のほとんどがつくられた。人民の生きるための必死の決起が支配階級を恐怖させ、重大な譲歩をかちとったのである。

 戦後的獲得物の一掃を狙う

 六一年に国民皆保険が確立し、医療は人民の身近なものになった。健保家族五割負担、国保本人・家族五割負担というものであったが、順次負担は軽減され、七三年には七十歳以上の医療費無料化が実現した。この老人医療費の無料化は全額公費負担であった。
 八〇年代に入り中曽根の臨調・行革攻撃が始まり、老人保健法が強行された。費用負担を国が二割、地方自治体一割、残る七割を健康保険から拠出するという大改悪であった。高齢者医療費を労働者階級に肩代わりさせるものであり、健保財政が破綻することは明らかであった。これ以後、健康保険法改悪が重ねられ、自己負担が引き上げられてきた。
 今日、日帝がめざしている「医療制度の抜本改悪」=四大改悪なるものは、国民皆保険を解体し労働者階級から医療を奪うとてつもない攻撃である。社会保障解体攻撃そのものである。戦後的階級関係をひっくり返す攻撃と言わねばならない。それは大恐慌への突入という情勢下で、日帝が侵略と戦争に突き進むために国家財政を改革し、戦争のできる国家へと再編しようとするものである。
 人民が生きるための根源的力を結集し、介護保険廃止の闘いと結びついて、医療を受ける権利、生きる権利を掲げて医療の抜本改悪を阻止する壮大な決起を実現しよう。
〔榎本高彰〕

 【戦後医療保険制度の流れ

1959
国民健康保険法(新法)施行
1961
国保が全国に普及、国民皆保険の確立(健保=本人ゼロ/家族5割、国保=本人5割/家族5割)
1968
国保、家族も3割負担に
1971
健保法改正をめぐり日本医師会が1カ月の保険医総辞退
1973
70歳以上医療費無料化、健保、家族3割負担に
1981
健保、家族の入院費負担2割に
1983
老人保険法施行、70歳以上にも定額の一部負担
1984
健保、本人1割負担に
1997
健保、本人2割負担に
2001
老人負担、定率へ(1割負担)

 

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週刊『前進』(1997号4面1)

三里塚反対同盟が東京行動 収用法闘争に踏み出す
 2・28 シンポとデモに150人

 二月二十八日、東京・霞が関の弁護士会館で三里塚芝山連合空港反対同盟と同反対同盟顧問弁護団が共催する「土地収用法改悪阻止シンポジウム」に百五十人が結集した。シンポジウム後、参加者は三里塚反対同盟、顧問弁護団を先頭に国会に向かってデモを行い、土地収用法改悪阻止の闘いの全国的な展開への第一歩を踏み出した。
 シンポジウムの司会を務めた三里塚反対同盟の木内秀次事務局員は「土地収用法改悪への認識を深め、闘いの方向を明らかにしたい」と、課題を提起した。
 冒頭あいさつに立った反対同盟の北原鉱治事務局長は、「政府は、戦前と同じように国の一言でどんどん土地を奪えるようにしようとしている。自衛隊は現在、九万f持っている、有事には戦前並みの三十一万fが必要となるという。土地収用の簡略化で軍用地を確保しようとしているのだ」と暴露し、森政権打倒と三・二五三里塚全国総決起集会への結集を訴えた。
 続いて二つの講演が行われた。初めに白鳥良香前静岡県議が「静岡空港建設反対運動と土地収用法」と題して講演した。
 白鳥さんは、「大手ゼネコン救済のための静岡空港建設が行き詰まっている。運輸省、静岡県、静岡地裁は『土地収用法で土地取得できる』として強制収用の凶暴な意思をむきだしにしている」と現状を報告した。その中で土地収用法改悪案の作成が昨年、秘密裏に進められたのだ。
 さらに、政府は土地収用法改悪で@収用法適用事業の核燃施設などへの拡大A収用手続きの迅速化・簡素化B権利者懐柔手段の合法化を進め、住民から土地を強奪しようとしていると弾劾した。最後に、三里塚闘争に学び、全国の住民運動との連携を作り出し、土地収用法改悪と対決していく決意を表明した。
 次に反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が「土地収用法『改正』の法的問題点」と題して講演した。
 葉山さんは、改悪案が強調する「情報公開」「住民参加」はすべてまやかしであると断罪。とりわけ公開審理などでの事業認定違法の主張の封殺、土地収用法適格事業の拡大、一坪共有運動の封じ込め・無力化が狙われていることを暴露・弾劾した。
 さらに、周辺事態法、地方分権一括法、自衛隊法、米軍用地特措法改悪などで空港の軍事使用、自治体の戦争協力、知事の権限剥奪(はくだつ)が規定された上で、土地収用法が改悪されれば戦争国家への道が大きく進むと指摘。有事立法・改憲阻止闘争、三里塚闘争と一体のものとして闘おうと訴えた。
 休憩をはさんで運動報告、問題提起が行われた。都政を革新する会の長谷川英憲代表は、石原慎太郎都知事が土地収用制度調査研究会の設置を促す反動的な役割を果たしたこと、日の出廃棄物処分場の強制収用発動によって土地収用法改悪問題に火を付けたこと、杉並で玉川上水周辺の土地を収用して道路を建設しようとしていることを暴露・弾劾した。
 一坪反戦地主の狩野正幸さんは、沖縄の米軍施設「象のオリ」にある知花昌一さんの土地の強制使用裁決申請をめぐる収用委員会公開審理での闘いが米軍用地特措法改悪の狙いを打ち破って進められていることを報告した。
 知花昌一さんは「米軍特措法改悪と土地収用法改悪には同じものを感じる。今後も三里塚とともに闘う」とのメッセージを寄せた。
 シンポジウム事務局は土地収用法改悪案の問題点として、@収用委員会の公開審理が無視できることになると、沖縄反戦地主の公開審理闘争に影響するA対象事業の拡大は軍用地収用への道を開くB事業認定に反対できない仕組みをつくり、一坪共有運動を禁止し、人民から闘う術(すべ)を奪おうとしているCこの先には軍事施設のための土地収用、有事立法=改憲がある||の諸点を挙げ、闘いを呼びかけた。
 関西実行委員会の山本善偉世話人(東灘区住民の会代表)は、神戸空港、関西新空港の海上への建設強行を弾劾し、三里塚反対同盟とともに闘い続けることを表明した。
 最後に、反対同盟の萩原進事務局次長が討論のまとめと方針提起を行い、三月二日の土地収用法改悪案の閣議決定に対する国会前抗議闘争、三月二十五日の三里塚現地全国集会への総結集を呼びかけた。

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週刊『前進』(1997号4面2)

閣議決定弾劾で国会前座り込み

 3月2日、三里塚芝山連合空港反対同盟は、土地収用法改悪の閣議決定に対し緊急の衆院前座り込み闘争に立ち、収用法改悪阻止を訴えた。35年間、権力の暴虐に対し農地死守・実力闘争で闘ってきた反対同盟の国会登場に大きな注目が集まった。

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週刊『前進』(1997号4面3)

3・25三里塚現地闘争へ
 暫定滑走路粉砕・収用法改悪阻止へ総決起しよう

 三・二五三里塚全国総決起集会が目前に迫った。金融危機の爆発の中、森政権は腐敗と危機と混迷を深めつつ自滅的な国会運営に突進している。三月二日、戦時土地強奪の先取りとしての土地収用法改悪案を閣議決定し即日国会に提出、教育改革関連六法案と併せて今国会成立へと動き出した。都議選|参院選が政治決戦となった。三・二五三里塚全国集会は暫定滑走路阻止の決起集会であるとともに、教育改革、有事立法・改憲に突進する森・自公保政権と対決する決戦集会である。全国から総結集しよう。

 立ち木伐採と団結街道破壊

 三・二五三里塚全国集会に決起するにあたって、あらためて以下の三点を訴えたい。
 第一は、何よりも敷地内農家の生活と権利を踏みにじって強行されている暫定滑走路工事と、農家追放のための悪質極まる攻撃を徹底弾劾し、その粉砕のために総決起しなければならないということである。
 敷地内農家を寄ってたかって追い出そうとする攻撃が始まった。国土交通省と空港公団、千葉県、成田市など周辺自治体、航空・旅客会社に「学識経験者」が加わった「国内線需要喚起」のための検討会の発足である。年間の離着陸数六万五千回を予定した暫定滑走路が、実際は使い物にならず一万回程度であることから、敷地内農家を追い出すために、需要を無理やりねつ造しようとしているのである。「実質千七百四十bの短縮滑走路でも、農家を追い出せば最長三千七百bになる。需要を生み出しジェット騒音でたたき出せ」||これが検討会の狙いだ。三里塚農民との血盟にかけてこの凶悪な攻撃を粉砕しなければならない。
 権力公団は暴力的で威圧的な突貫工事を日々強行している。敷地内農家と畑をことごとく工事フェンスで囲み、生活道路を遮断した。重機がうなりを上げ、私服・機動隊が農作業を監視する。農民の生活と権利を徹底的に踏みにじる暴挙を許してはならない。
 加えて運輸省・公団は、航空機の離着陸の障害になる東峰神社の立ち木伐採を策動している。誘導路を「へ」の字に曲げる天神峰団結街道を破壊しようとしている。
 「国内線需要喚起検討会」と軒先工事の人権圧殺があたり前のように行われている現実に、「空港と地域の共生」の偽善性と暴力性は明らかである。三・二五全国集会は、今年十一月末日に予定される工事終了||騒音による追い出し攻撃を粉砕する新たな決起集会である。

 改悪の狙いは戦争国家化だ

 第二は、土地収用法改悪の絶対阻止である。三里塚反対同盟は二月二十八日に「土地収用法改悪阻止シンポジウム」を弁護団とともに開催し、三月二日の閣議決定−国会提出に対して抗議行動に決起した。この闘いに連帯して闘おう。
 土地収用法改悪の狙いは、戦争国家化のための土地の強制使用・収用のための法整備である。
 そもそも土地収用法は国家が強権を発動して人民の生活手段である土地を強制的に収奪する法律である。本質的に国家の暴力性を根底に置いている。旧土地収用法を全文改正して一九五一年に制定された現行土地収用法は、収用制度に一定の戦後民主主義的規制を加えるものとなった。それが収用委員会制度であり、収用適格事業の制限を列挙し、軍事関連施設や皇室関連施設を除外したのである。
 戦後の収用阻止闘争は、権利を互いに共有し合う一坪運動と収用委審理で土地強奪に対抗してきた。三里塚はこの闘いを徹底して闘いぬいた。大木よねさん宅の収用をめぐる代執行阻止決戦は、その後の収用審理を中断させ事業認定を期限切れに追い込んだ。収用制度そのものを粉砕したのである。
 この抵抗手段は、今日もゼネコン型公共事業に反対する多くの反対運動に影響を与え、収用制度に打撃を与えている。
 日帝はこの土地収用制度の破綻(はたん)を突破し、有事法制度に向かう過程の最大課題である収用(徴発)制度の確立を図っているのである。
 新安保ガイドラインの論議が本格化した九七年以降、日帝による土地の強制使用・収用制度の反動化がエスカレートしている。
 一つめが、九七年四月の米軍用地特措法の改悪である。これによって「暫定使用」の名のもとに、沖縄県収用委員会が裁決しない場合でも米軍が引き続き軍用地を強制使用することを可能にした。
 二つめが、九九年七月の地方分権一括法制定における地方自治法と土地収用法の一部「改正」である。土地などの使用・収用に関する知事・市町村への「機関委任事務」を国の「直接執行事務」とすることで、これまで沖縄県におかれた米軍用地使用の「署名押印」の代行事務を国のもとに取り上げた。
 同時に、収用委員会が行う収用裁決などの事務を「法定受託事務」とすることで、自治体が国の指示に反したり、住民の抵抗で立ちゆかなくなった時には、国が単独で処理できる制度に変えた。
 今回の土地収用法改悪は、これら先行的に行った収用制度の改悪の上に、三里塚や沖縄の反基地闘争、公共事業に反対するすべての住民運動を未然に封じ込めることを狙いとする。
 その核心部分は二点で、第一は、権利者から事業認定に反対する機会を全面的に取り払うこと。第二は、一坪共有運動や立ち木トラストなどの抵抗運動を全面禁止することである。
 三・二五集会は、日帝の強権的な土地強奪制度の確立、教育関連六法案などの反動立法を阻止し、有事立法・改憲攻撃を粉砕する総決起集会である。

 成田の軍事基地化を阻め

 第三は、成田空港の軍事基地化阻止である。インド西部大地震の被災者支援に名を借りて、軍事基地化への重大な踏み込みが強行された。航空自衛隊小牧基地所属の軍用機(C130輸送機)六機が初めて成田空港を軍事使用した。
 さらに防衛庁が大手航空三社に対して米国防総省が定める輸送資格の取得を要請したことは、米軍部隊と武器・弾薬を民間機が運ぶことで民間空港の軍事使用の恒常化に道を開くものである。
 この領域でも、新安保ガイドライン論議が本格的に始まった九七年から日帝の踏み込みが断続的に始まり、航空・空港労働者との対立が先鋭化している。九七年七月全日空機による米兵輸送(嘉手納から横田)、九八年一月日航機を使った武器運搬未遂(那覇から関西空港)、同年十一月大阪空港にC2A艦上輸送機が着陸、九九年三月福岡空港で朝鮮半島からの避難訓練で米軍のC141輸送機が着陸、などである。

 都議選決戦と一体の闘い

 三里塚反対同盟は、東峰神社の立ち木伐採実力阻止と天神峰団結街道破壊攻撃粉砕を全国に呼びかけている。一坪共有地の立入調査や独自の騒音調査、行政への追及行動など生活と権利を守る闘いに取り組み、闘い続けている。この現地攻防と一体のものとして、二・二八、三・二と連続して土地収用法改悪阻止の国会闘争に決起した。
 暫定滑走路粉砕と成田空港の軍事基地化粉砕、土地収用法改悪阻止の闘いを、教育改革粉砕、有事立法・改憲粉砕の闘い、都議選決戦と結合して闘おう。三・二五三里塚全国集会に全国から総結集しよう。

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週刊『前進』(1997号4面4)

3・25三里塚全国集会へ 反対同盟からのアピール (下)

 敵の「原則」は破産 事務局長 萩原 進さん

 日本の社会、政治、経済のすべてがいきづまってきている。自民党政治も末期的症状を示している。経済も表面上は取り繕っているが、三月の決算期以降、どうなるかわからない状況だ。株価も一万円を割る状況が来るかもしれない。アメリカの経済もガタガタだ。どこを向いてもおかしい状況になっている。
 そういう中で、森首相は危機突破のために何でもやろうとしている。教育改革攻撃や土地収用法の改悪、マスコミの規制などを一挙にやって、最終的には改憲にまでもっていこうとしている。
 情勢はどんどん煮詰まっていっている。そういうことが見事なまでに成田空港問題に反映している。三・二五全国集会は、そういう意味でも重要になってきている。
 成田空港を日本の表玄関、日本の拠点空港にするという、権力側のいわば「原則」が完全に破産した。暫定滑走路をつくっても、国内線を飛ばしても維持できない、国際線は羽田やいわゆる第三空港に行ってしまうという状況だ。冷ややかな目で、「何しているの?」と言われるようなみじめな状況になっている。
 千七百四十bしか使えない滑走路では国際空港としては使えない。周辺市町村は「国内線でもいいから」などと言い出している。もはや「国家のためだ」と論じるという話ではなくなってきた。空港に反対するわれわれの闘いを「農民のエゴだ」と非難してきた敵の連中のやっていることが、まさにエゴそのものになっている。役人の連中も、泥舟に乗りたくないと、「名誉ある撤退」などと言っている。空港利権に群がってきた連中の正体が明らかになった。政府の機密費の問題と同じですよ。
 だからこそ、よけい戦争という問題が起きてくる。イラクへの空爆やアメリカの原潜がえひめ丸を沈没させた事件、航空自衛隊のC130が成田空港を使った問題もそうだ。民間人は訓練でも標的にされる。沖縄では、基地に反対する沖縄人民の闘いで、権力はどうにもならなくなって、特措法を改悪した。土地収用法も特措法なみに改悪していくということだ。土地収用法の改悪は有事立法そのもの、戦争の問題だ。沖縄との連帯がますます重要になると思っています。
 団結街道の迂回(うかい)路は、成田市が元通りにする確約したので、そのとおりにしろと要求して闘います。

 11月完成は許さない 敷地内・天神峰 市東東市さん

 インドの大地震の支援ということで、自衛隊のC130輸送機が成田空港を使いましたが、軍用機が成田から出て行く様子は、異様でしたね。軍事使用をしないなんてのは、やっぱりウソですね。民間のジャンボで運べば良いのに、わざわざ自衛隊機を飛ばした。C130はインドに着くまでに二回も給油した。ジャンボなら一発で行ける。成田空港から自衛隊機を飛ばすのが目的なんです。
 小見川県道のトンネル工事は、以前と比べると振動は減ってきたけど、横の塀を工事した時は、振動がひどかった。迂回道路ができると、騒音がひどくなるんじゃないか、と心配している。団結街道についても、成田市は、“廃道にしない。六月までにちゃんと元に戻す゜と言っていたが、六月なんてすぐ、ふざけた話だ。去年の八月に、婦人行動隊長の郡司とめさんが亡くなった時、葬式から帰ってきたら道がなくなっていた。本当に許せない。
 ガードマンや私服刑事たちは、いまだに家の前に来て家の中をのぞいたりしている。私服車の尾行は必ずしてくる。この間も関西から訪ねてきた人がびっくりしてました。
 土地収用法の改悪は、国が勝手に決めて、国が土地を取り上げるという、とんでもない話だ。一坪運動をやらせないようにするのもひどい。一坪運動を非合法化して、「一坪運動はとんでもないことだ」とキャンペーンしようとしている。
 扇千景・国土交通相が、「三里塚の一坪共有地も強制収用すべきだ」と言っていたし、沖縄の米軍基地のために土地を取り上げていく攻撃だ。沖縄の人からもそういう話を聞いている。今の土地収用法は、自衛隊のために土地を強制収用できない。それを日米安保と米軍特措法でやってきた。米軍との共同使用という論理で自衛隊関係の強制収用もやろうとしている。
 土地収用法の改悪と並んで、千葉県も三月の県知事選後に収用委員会をつくるという話も出てきている。
 「国際線の需要に足りない」ということで、暫定滑走路をつくると言って来たけど、実際には、暫定滑走路を使いたいという航空会社はほとんどいない。国内線の発着回数を四千回から二万回にすると言っているけど、インチキな話だ。実際は、暫定滑走路から飛行機を飛ばして、騒音で私たちを追い出すのが狙いだ。需要がないのなら、暫定滑走路はまったく必要ない。
 反対同盟は、暫定滑走路の十一月完成計画を絶対に許さない。三・二五全国集会の結集をお願いします。

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週刊『前進』(1997号4面5)

連載・教育労働者インタビュー 学校現場で何が起きているか(6)
 “生徒の闘い守りぬく” 卒業生全員が着席で抗議
 大阪 沼 五郎さん(高校)

 社会の全矛盾が高校生を直撃

 −−高校の現場の状況を聞かせてください。
 生徒の状況が厳しくなってきているのは事実です。授業料減免や奨学金を申請する生徒はどんどん増えてる。授業料が納められないまま卒業していかなあかん生徒や修学旅行に行けない生徒も増えてます。不景気が直撃してますよ。
 その結果最近、家庭のいろんな問題がどっと出てきてます。離婚もやむをえない面があるけど、離婚になった場合、やっぱり矛盾が生徒にのしかかってきます。教育現場では、社会の矛盾があらゆるかたちで噴出してきてますわ。
 たとえば朝起きて来られない生徒が増えて、僕の学校も一時期、遅刻する生徒が一日に百人とか二百人とかなって、そうすると結局勉強についてこられない。そういう生徒はほうっておけば学校に来なくなる。
 これは生徒の責任ではないし、家族の責任でもない。今の世の中がもうそんな状況になっているということです。これをどうするんか? 僕たちがそのように時代をはっきりと見すえ、生徒に自信を持って生きていくことを教えることが必要なんです。勉強ができなくても生きていける。
 僕の学校は服装のこととかうるさく言わないで比較的自由にやってるから、生徒はのびのびしてるんですわ。そやけど、そのことで地域や保護者からクレームがいっぱいきますわ。「どこを見てるねん。人間にとって何が大事やねん」と腹が立ちます。
 僕らもここ数年で、ものすごく仕事が増えてます。自分の担当授業がない時間にもいろんな仕事が入ってますし、会議もすごく増えてます。会議を減らすと校長の権限強化にもなるし、きちんとせなあかん。
 たとえば職員会議で一人の生徒の問題をとことん議論すると何時間もかかる。それに対して「そんなんするからしんどくなるんや」という者もでてくる。日本共産党系の人の中には生徒に冷たい人が多いんですよ。解放運動を否定するのと同じ論理です。
 それでうちの組合の者が動き回っている。仕事量が増えていく。みんな「自己矛盾やなぁ」って言ってます。体も大変ですわ。
 教育委員会に「定数を増やせ。加配よこせ」と要求するんやけど、大阪府は今「財政再建プログラム」をやっている。「昇給は二十四カ月延伸、特別昇給もストップ」と打ち出して二年たって、それが破産してます。今年二月にまた「大阪府行財政計画」を打ち出した。
 財政赤字を口実にしてますが、実際行われているのは政府・文部科学省のいう教育改革そのものですよ。
 −−マスコミなどでは「子どもが変わってきた」とか言われますが?
 生徒らは、自分らがやらなあかんって思うことは一生懸命やりますよ。今の学校が彼らにとってそういうものになっていないってことだと思いますね。
 たとえば僕の学校では、二月初めから、生徒たちが卒業式の「日の丸・君が代」について意見を言い始めたんです。今、図書館から本をいっぱい借りてきて一生懸命勉強してますよ。
 これはうれしかったですね。生徒の問いかけにきちんと向かい合って、これにこたえていかんとあかん、そう思っています。

 「自分らで世界を変えよう」が大切

 一人ひとりの生徒がこんなふうに変わってきた、と言うだけでは、本質をはずれていると思います。高校生に限らず、世の中がそんなに暮らしにくくなっている、ということだと思うし、「私たちがそれにどう対応していけるのか?」ということだと思います。生徒に正しくこの世界の本質を教え、同時にそのような世界に対して「自分たちの力で変えていくんだ。それが大切なんだ」と言っていくことだと思います。
 −−「日の丸・君が代」闘争については?
 僕の学校は数年前まで「日の丸」も「君が代」もなかったのが、二年前の入学式で初めて屋上に「日の丸」を揚げられ、去年の入学式で初めて「君が代」を式場で流された。そのときは教職員の大半が式場の外に出た。新入生と保護者も起立も斉唱もしなかった。
 それが今年は二月初めの職員会議で、校長が「国旗は壇上に揚げます。国歌は式次第に入れて斉唱します」と言ってきた。
 ある組合員は校長交渉で「もう校長は教育者ではない!」と怒って叫びました。まったくそのとおりです。ほかの高校の校長もみんな同じです。校長は、わざわざ職員会議で「管理運営規則が変わったから、校長は職員会議の決定に従う必要ない」って言ってます。去年は、ある高校で校長が式の直前に「君たちには思想信条の自由がある」と言ったことが府教委に報告されて、校長が処分されましたからね。

 府下の数高校で生徒が反対表明

 でも今年は、生徒がいろんなかたちで反対の声をあげている高校が、府下で何校も出てきてます。
 ある高校では、三年生が集まってプラカードをもって集会をやって、それから職員室に来て演説を始めたそうです。「私たちはこんなふうに考えてます。先生はどう考えてるんですか、答えてください」と言って。校内に横断幕を掲げた学校もあります。
 こんなことは、私たちが「日の丸・君が代」の強制に反対し続けてきたから起こっていると思いますね。こんなうれしいことはありません。
 生徒の動きは率直で、僕の学校でもすごいことしてるんです。仲間への訴えも悩みながら苦労してしています。自分たちの勉強したことがすごいビラになってるんです。「侵略、天皇制」について徹底的に批判しています。そしてそれが「思想・良心の自由」を奪うものであることも。
 この時、そういうことを教えてきた教師の方が今度はどうするんやと。僕らが頑張ってきて教えてきたことを生徒が自分らの言葉で自分らの行動でしてるんやさかい、今度は僕らがどうするんかと。
 ひとことで言えば、生徒に連帯するということです。生徒の闘いを守ろう、そういう行動をしよう、いうことになりました。
【追記】このインタビューの後、二月下旬に、大阪の府立高校の卒業式が一斉に行われました。沼さんの高校の卒業式では、「君が代」に対して、卒業生全員が着席して抗議の意思を表明しました。沼さんは「『できた』『勝った』と実感しています」と語っています。
 (編集局)

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週刊『前進』(1997号5面1)

けしば候補必勝を大衆運動の力で開け
 森・石原の戦争政治粉砕へ 都政に人民の闘う代表を
 全党・全人民の総決起を訴える

 六月二十四日投票の東京都議会議員選挙に向かって、この三〜四月、総力決起しよう。日本帝国主義の侵略戦争国家化の攻撃、吹き荒れる資本攻勢、かつてない政治危機と政治腐敗の露呈のもとで、今次都議選は、七月参院選の直前の都議選として、事実上の国政選挙としての位置と大きさをもつ決戦である。われわれは「都政を革新する会」のけしば誠一・杉並区議の立候補を断固支持し、けしば候補の都議初当選をなんとしてもかちとらなければならない。他政党との激烈な党派闘争にかちぬき、選挙戦に勝利するためには、われわれは現下の森退陣をめぐる政治的大変動情勢に断固として参入し、情勢を下から主体的に揺り動かす政治勢力として登場しきらなければならない。都議選―参院選を含む今後の階級情勢・政治過程の帰すうは、この三〜四月の攻防にかかっているのだ。この一大政治決戦に、いざ総決起しようではないか。

 未曽有の危機と腐敗自民党打倒する好機

 都議選決戦―七月参院選は、日帝の政治危機の爆発的進展の中で、日本労働者階級の未来を決する一大政治決戦である。全政党が二つの選挙を見据えた決戦に突入しており、この政治決戦とそこに至る全過程を革命党と革命勢力が全力で闘わないならば、階級闘争の土俵の外にはじき飛ばされかねない重大情勢である。
 この三〜四月、われわれは、「森・自公保政権打倒、ファシスト石原打倒」を真っ向から訴えて巨大な大衆運動を爆発させ、その力で情勢のヘゲモニーを握り、六月都議選へと攻め上り、けしば候補の当選をかちとるのだ。
 日帝・森政権危機=自民党危機、そして都議選―参院選をめぐる現下の階級情勢は、どのようなものか。
 アメリカ帝国主義のバブル経済がついに崩壊過程に入り、世界経済は一九三〇年代的な世界大恐慌の過程に本格的に突入した。世界は侵略戦争、帝国主義間戦争、世界戦争へと突き進んでいる。米帝ブッシュ新政権は、全世界を戦争にたたき込む軍事・外交政策の展開をもって、米帝の帝国主義的利益を排他的に貫こうとしている。その中心環として、対ドイツ帝と並んで対日帝の争闘戦を激化させ、中国・北朝鮮に対する侵略戦争攻撃を強めている。
 これに対して日帝は、九〇年代をとおして没落帝国主義に転落し、今や恐慌の深刻化の中で体制存亡の危機を深めている。株価はバブル経済崩壊後の最安値にまで下げ、実体経済の落ち込みに拍車をかけている。大手企業は相次いで大規模な人員削減を強行し、中小・零細企業の倒産、失業の増加はとどまるところを知らない。日帝は、労働者人民への犠牲転嫁を強め、有事立法と教育改革攻撃をとおした改憲=戦争国家化の攻撃を強めている。
 しかも、自民党KSD汚職や政府機密費疑惑、官僚・警察・検察・裁判所の腐敗など、政治家と権力機構の底知れぬ腐敗がさらけ出されている。しかも森にとって代わる首相候補すら出てこないという中で、まさに日帝そのものが自滅的な動揺と混迷の極に達しているのである。
 だが、野党の総屈服、真に闘う政党の不在という状況の中で、大多数の労働者人民は自分の怒りをどのようにぶつけたらよいのか、いまだ見いだせないでいる。労働者人民の怒りは強まり、広がっているにもかかわらず、不完全燃焼の状態にあるのだ。
 石原とファシスト勢力はこの体制危機の中で、自民党政治および無力な野党を右の側から攻撃し、「日本をだめにした元凶は、戦後憲法と戦後民主主義だ」と、労働者階級に攻撃の矛先を向け、露骨な反米主義と、反中国・反北朝鮮の差別主義・排外主義を扇動している。その行き着く先は、アジア侵略と戦争の道である。
 まさに階級情勢は、レーニンが規定したような〈革命的情勢〉に接近しているのだ。支配階級がこれまでどおりのやり方ではやってゆけなくなり、ファシスト勢力を使った攻撃を強める一方で、労働者階級の側も政治の思い切った変革を求めて、かつてない流動化を開始しているのである。
 森政権危機=自民党危機と、参院選―都議選をめぐる情勢は、このようなものである。われわれは、この階級激動の真っただ中に躍り込んで、森・自公保政権、ファシスト石原の戦争政治と最も非妥協的に対決する勢力として闘い、労働者人民の進むべき針路を、身をもって示そうではないか。けしば候補と都革新が、力ある政治勢力として登場し、真っ向から闘いを呼びかけるならば、労働者人民は必ず立ち上がり、情勢を大きく揺り動かすことはまったく可能なのだ。
 一九八九年の都議選では、リクルート疑獄と消費税導入に対する人民の怒りが燃え上がっている中で、これと結合し、その闘いの先頭に立って、都革新の長谷川英憲代表が初当選をかちとった。情勢はそのときと比べてもさらに一段と帝国主義の危機は深まり、人民の怒りは高まっている。まさに革命的情勢が最も深いところから急速に成熟してきている。労働者階級の深部から、地殻変動的な政治的流動化が確実に始まっているのである。
 だからこそ、国政・都政・区政のあらゆる場で労働者階級の立場を貫き、日帝と対決する政治勢力、労働者党の登場が待ったなしに求められているのだ。都議選決戦は、未曽有の自民党危機を真に日帝打倒の戦略的好機とすることができるかどうか、流動化する労働者人民の獲得をめぐって石原を中心とするファシストが勝つか革命派が勝つかの大決戦なのである。

 労働者人民に訴える都議選の政策的課題

 都議選決戦で何を訴え、課題として闘うか。

 自民党の腐敗と反動の政治を許すな

 第一に、「日帝・森政権の戦争と大失業の攻撃、政治腐敗を許さず、森・自公保政権を打倒しよう」ということである。
 KSD汚職で突き出されたものは何か。中小零細企業の出資金や、「研修」と称するアジア人労働者の低賃金労働から搾り取った金を、自民党の村上、額賀、小山らがわいろとして受け取り、そのほかにも党費、政治資金として自民党に入れていたという腐敗の構造が明らかになった。その額は十八億円以上にのぼる。多数の自民党議員がKSDとかかわっていた。これは自民党ぐるみの組織的汚職事件である。自民党は土台から腐りきっている。
 外務省および内閣官房機密費疑惑は、横領・詐欺という高級官僚の腐敗の問題にとどまらない。七十億円もの税金が、自民党と支配階級の権力維持のための政界工作費や、侵略外交のための国家的スパイ活動費として使われ、野党も買収されて容認してきた。このことこそ、徹底的に追及されなければならない。
 さらに大失業と賃下げのあらしの中で、重税と福祉切り捨て、介護保険、年金大改悪の攻撃にさらされ、労働者家庭は困窮の度を深めている。同和対策事業の打ち切りと解同本部派の屈服のもとで、部落差別攻撃が強まっている。アジア人民への差別・排外主義の攻撃が吹き荒れている。
 こうした労働者人民の苦しみの対極で、日帝支配階級と政治委員会、高級官僚どもは人民の血税で遊興にふけり、高級料亭で飲み食いし、反人民的な権力支配の維持のために血税を私物化しているのだ。断じて許せない。
 ところが、これに対して野党は選挙目当ての党利党略的な取引のみで対応しているだけであり、真に労働者階級の立場に立って闘う政党は、国会にも都議会にもひとつもない現状である。民主党はブルジョア政党の階級的本質もあらわに、日帝の戦争・改憲攻撃と、規制緩和=大リストラ、構造改革と称する労働者階級への攻撃を推進している。日本共産党スターリン主義は、ついに日米安保と自衛隊の容認、「自衛戦争」の名をもってする日帝の侵略戦争の容認に行き着いた。「資本主義の枠内の民主的改革」路線なるものが、日帝の戦争と資本攻勢への全面屈服しか意味しないものであることがはっきりした。こうした野党の総屈服を弾劾し、「森内閣を打倒せよ! 森を今すぐやめさせろ! 自民党の腐敗と反動の政治をこれ以上許すな! 自公保連立政権をぶっ飛ばせ! 都議選―参院選で自民党を全滅させ、自公保を壊滅的大敗に追い込め!」と訴えて闘おう。

 ファシスト・石原都政を打倒しよう

 第二に、「日帝のファシスト的先兵、石原を打倒しよう」ということである。
 石原が「国と闘う政治家」などというのは大うそである。石原こそ「東京から日本を変える」と呼号して、日帝の反動攻撃を先取りした攻撃を次々とかけている。
 石原は、公然と朝鮮・中国に対する戦争挑発を行い、他方で自民党も言えないような反米主義を叫び、排外主義をあおっている。そして、「周辺事態法が発動されたら全面的に協力する。羽田でもなんでも提供する」と、全都の中国・朝鮮侵略戦争出撃基地化を公言し、「三国人が騒じょう事件を起こす」「外国人は一般人を襲う」などと、一九二三年関東大震災時の朝鮮人・中国人大虐殺とまったく同じデマを、都知事の立場から公然と叫んで警察権力を大増強しているのだ。
 これは、かつて日帝が三〇年代的危機のもとで、対外侵略戦争、対米戦争に突き進み、アジア人民数千万人を虐殺し、日本労働者人民を塗炭の苦しみに追い込んでいった道そのものだ。
 石原はまた、福祉施策をどんどん廃止しながら、他方では臨海副都心開発、大型道路建設などの大資本救済の公共投資を進め、都労連労働者に対する賃金削減、四年間で五千人の大リストラと労働強化を強行している。こうした石原都知事の悪政と対決し、石原を打倒しよう。
 ところが、この石原と都議会で対決すべき時に、全政党が石原のファシスト的突出力を恐れ、石原に屈服しているのである。
 日本共産党はなんと言っているか。議長・不破は、「石原都政に対しては、是々非々でいく」「われわれの主張にあうことなら、いつでも賛成」「首都移転反対では石原さんと同じ演壇に立って゛共同闘争″をやりました」と、ファシストとの共闘を自慢しているありさまである(二・二三墨田区での演説)。日共は、労働者人民のファシスト石原打倒の闘いに真っ向から敵対し、石原の戦争政治を支える反動的役割を果たしている。
 「三国人発言」を始めとする一連の差別と排外主義の暴言をどうして都議会の場で弾劾し、謝罪させないのか。福祉切り捨てや九・三自衛隊首都治安出動演習を、どうして問題にし、都民の怒りを組織して対決しないのか。まったく、おかしいではないか! この都議会の総屈服状況が、本来憶病な石原を増長させ、石原がまるで国政と対決しているかのような虚像と幻想を横行させているのだ。
 都議会に、石原と真正面から闘う議員が絶対に必要なのである。ファシストが都知事の座を占め、都政をじゅうりんしているときに、「無風」などということがあってはならない。けしば候補の当選をかちとることで、石原都政に大打撃を与え、都議会を戦場にして石原打倒へ進撃しよう。

 民衆の決起で政治の変革を

 第三に、けしば候補と都革新がまったく新しい政党であること、ソビエト思想を体現した真の労働者人民の党であることを訴えて闘おう。
 @自民党は一人も当選させるな! 杉並でもまず自民党の野田、千葉を絶対に落選させよう。
 A自民党と結託し、自民党危機を支えることで甘い汁を吸うことを考えているような公明党・森田も断固たたき落とそう!
 B野党は、まやかしの野党ばかりだ。民主党や共産党は、自民党とファシスト石原の戦争政治に屈服している。こんな政党では、絶対日本の政治、人民の暮らしはよくならない。
 C自民党と徹底的に闘い抜き、国政・都政・区政に本当に風穴を開ける人、そうした運動の代表をこそ議会に送り込むべきだ。
 大衆自らが立ち上がって現状を変えていく、そうした運動こそ、腐りきった戦争と反動の政治を変革する力であり、政治の中心にならなければならない。そうした考えで闘っているけしば候補を、みんなの力で都議会に送ろう――。
 こうした内容をもって、杉並区民六十万人、有権者四十二万人を対象に、猛烈な宣伝戦、組織戦を展開し、森・自公保政権、石原都政への怒りを組織し、解き放とう。われわれの持てるすべての力を杉並に全力集中し、杉並区全域を闘いのるつぼと化そう。

 教育改革・改憲攻撃阻止へ

 さらに、具体的な争点としてまず、森・石原の教育改革、教科書改悪攻撃と対決し、これを改憲阻止決戦そのものとして闘うことである。
 日帝・森政権の教育改革攻撃は、日帝の体制的危機に起因する教育の危機を逆手にとって、戦後教育を右側から反動的に解体し、在日朝鮮・中国・アジア人民の民族教育を攻撃し、解放教育をたたきつぶそうとするものだ。それは、帝国主義間争闘戦=侵略戦争と市場争奪戦に向かって労働者人民を精神的=実体的に総動員していこうとする攻撃である。これ自体が改憲攻撃そのものである。「愛国心」教育とは、アジア人民を侵略戦争で虐殺することを正しいと教え込む教育であり、断じて許してはならない。
 日帝の教育改革の先頭に立っているのが、ファシスト石原である。石原は「日の丸・君が代」反対を闘った国立市の教育労働者を不当処分し、「つくる会」編集による戦争賛美教科書を中学校に採択させるために、各地の教育委員会に「採択手続きから教員を排除しろ」という露骨な圧力をかけている。断じて許すことはできない。
 三〜四月の「日の丸・君が代」強制を許さない卒業式・入学式闘争を、闘う教育労働者と保護者・生徒たちの決起を守りぬき、アジア人民・在日アジア人民と連帯して闘おう。広範な統一戦線を形成し、「教育改革攻撃粉砕」「戦争賛美教科書の検定合格・採択攻撃を許すな」の大衆運動を爆発させよう。
 また、沖縄に日米安保の矛盾を集中させ、沖縄人民に「基地との強制」を押しつける攻撃が強められ、そのもとで米兵犯罪が続発し、米軍高官の差別的暴言が繰り返されている。これに対する沖縄人民の闘いは今や爆発寸前である。新城せつ子杉並区議ら沖縄に熱い思いを寄せる在本土沖縄出身者を先頭に、「沖縄米軍基地撤去」を唯一掲げて闘う候補として、けしば候補を押し立て、当選をかちとろう。

 介護保険廃止へ前進しよう

 次に、介護保険闘争の一層の前進を、「介護と福祉を要求する杉並住民の会」と固く連帯して闘いとることである。
 介護保険料の強制徴収、利用料の一割負担、さらに今年一月からの高齢者医療費の定率制移行(一割負担)などで、負担に耐えられずに通院をやめる高齢者が続出している。追い討ちをかけるように十月から六十五歳以上の介護保険料の全額徴収(現行の二倍化)が強行される。
 高齢者が、生きるために必要な通院治療をやめることは命の危険に直結する。こうして日帝権力の悪政によって、高齢者が日々「殺されている」のである。こんなことを一刻も早くやめさせなければならない。
 この中で「杉並住民の会」は、一定基準の低所得層の高齢者が月額三千円の負担で、すべての介護サービスを受けられる「利用者負担助成事業」を、新年度からの区の事業としてかちとった(介護保険基準との差額一万二千円を杉並区が助成)。これは「住民の会」が、八十八歳の代表を先頭にして幾度も杉並区と交渉し、かちとった大きな成果である。都政を革新する会とけしば区議は、「住民の会」とともに利用料の減額と助成の実現のために全力で闘った。
 財政危機を口実にした福祉の破壊など絶対に認められない。介護と福祉は、高齢者=労働者階級が生きるための権利である。「必要な人に必要な介護を」「利用料の一割自己負担をなくし、介護は全額公費で負担せよ」「憲法違反の介護保険をなくせ」の闘いを圧倒的に強化しよう。
 石原都政の高齢者福祉手当廃止、シルバーパス有料化などの福祉切り捨て攻撃に反対して闘おう。

 都労連防衛、階級的労働運動の前進を

 また、都労連を防衛し国鉄闘争の勝利と、首都における階級的労働運動の発展をかけて闘おう。
 石原は都で働く労働者に賃下げ・リストラ、成績主義の強化と、都労連つぶしの攻撃を強めている。今後さらに都営地下鉄の切り捨て=民営化、都立病院や福祉施設の民間委託・民営化推進など、かつてない現業部門全面切り捨ての攻撃が襲いかかろうとしている。都労連の存亡をかけた決戦は不可避である。
 都議会内の全政党は、石原の「財政危機」を口実としたリストラ、都労連破壊の大攻撃に屈服し、都の労働者の利益を裏切っている。十万人の都労連労働者の職場と生活、権利を守るために、ともに闘う都議会議員が絶対に必要である。そして、都議選勝利を突破口に、大失業時代の真に階級的な労働運動の前進を大きくつくりだそう。
 また、区で働く職員を始め杉並区のすべての労働者とともに、階級的団結を形成していく闘いを断固推し進めよう。
 この間の学校給食の民間委託反対の闘いは、学校現場で働く労働者との連帯をつくり出し、杉並区における労働運動の階級的前進の新たな地平を押し開いている。この闘いを引き継ぎ、発展させよう。
 石原は臨海部開発や大型道路建設、空港整備に巨額の税金を投入し、土地取り上げと環境破壊と財政赤字を都民に押しつけている。巨大公共事業はいったんすべて中止を! 環境破壊と財政赤字の根を断とう!

 けしば氏こそ人民と共に先頭で闘う候補

 杉並選挙区は定数六に対して、けしば候補を始めとして、以下の十一人が立候補を予定している。都内でも有数の激戦区である。

 けしば誠一(都革新新)
 野田和男(自民現)
 吉田信夫(共産現)
 森田安孝(公明現)
 田中 良(民主現)
 藤田愛子(生活者ネット 現)
 福士敬子(自治市民現)
 千葉のぼる(自民新)
 西村正美(自由新)
 葉梨俊郎(無所属新)
 木梨もりよし(民主新)

 けしば候補は、労働者人民の先頭で、森・石原と真っ向から対決する気概と力量を持った候補である。他候補とは比べものにならないほどの、豊かで革命的な政治思想と闘いの経験・力量を持った革命的政治家である。
 けしば候補は、六〇年代後半のベトナム反戦闘争・全共闘運動―七〇年安保・沖縄闘争―三里塚闘争の先頭に立ち、そして九一年に区議初当選以来三期十年間、杉並区民の生活と権利を守って、区民とともに闘ってきた。学校給食の民間委託反対をめぐる二・二八杉並区議会文教委員会でも、けしば区議は、傍聴に詰めかけた百人あまりの区民とともに、行革リストラ推進派の全政党とわたり合い、仁王立ちして闘いぬいた。このけしば候補を推し立てて、全労働者階級の総決起で森・石原を必ず打倒するのだ。
 現職の議員を打倒し、初挑戦のけしば候補の勝利をかちとるためには、選挙戦の現局面はなお厳しいものがある。運動のあらゆる面での飛躍が決定的に求められている。必要なことは、労働者人民とともに闘う全党・全党員の総決起だ。「闘う大衆」として、大衆運動の先頭で闘おう。
 一人ひとりの同志が、文字どおり「けしば候補」の分身となり、自らの人生をかけて、蜂起戦に決起することだ。
 この都議選は、革共同が日本共産党をのりこえ、本物の労働者階級の党に飛躍していく決定的闘いである。五月テーゼ―一九全総路線のもとで、二十一世紀のプロレタリア革命に勝利するための、革命党と労働者階級の陣形の飛躍をかけた蜂起戦である。
 カクマルの白色テロ策動を断じて許さず、日帝警察の妨害と弾圧をはねのけて、断固勝利しよう。
 都議選決戦と一体の闘いとして三・二五の三里塚現地闘争―五・二七反戦共同行動委闘争に決起しよう。石にかじりついても、都議選決戦に絶対勝利しよう。

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週刊『前進』(1997号5面2)

2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き 2月27日〜3月6日
 ブッシュ米大統領「強力な軍事力」と演説
 橋本「2000メートル滑走路が基本」

●ブッシュが就任後初の議会演説 ブッシュ米大統領が、上下両院の合同会議で初めて演説した。軍事・外交について、「米国は、アメリカ的な国際主義を推進することで現在の平和を拡大し、確実なものとする。平和を保つためには強力な軍事力が必要だ。国防長官に軍の見直しを命じたが、戦略が優先し、それが支出を定める」「テロリスト、ならず者国家など二十一世紀の危機に対応する明確な戦略が必要だ。国民と同盟国、友好国を守るために、有効なミサイル防衛を開発し、配備しなくてはならない」と述べ、「強い米国」路線が前面に。クリントン政権時代には「懸念のある問題国家」と言い換えていた「ならず者国家」という表現を復活。(27日)
●米国防省にアセス勧告
ジュゴンが生息する沖縄県名護市辺野古沿岸域への米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、米政府機関である海洋ほ乳類委員会(MMC)が、徹底した環境影響評価(アセスメント)を国防総省や国務省に勧告したことが分かった。また国際自然保護連合(IUCN)のジュゴン専門家が、日本政府に予備的調査とは別の包括的なアセスメントの実施を要請していたことも分かった。(28日)
●浦添市長が軍港移設容認の施政方針 沖縄県浦添市議会で、儀間光男市長が施政方針演説を行い、「那覇港湾浦添ふ頭地区を整備し、その一角を提供施設として那覇港湾施設の移転を容認する」と述べ、那覇軍港の浦添移設を容認することを示した。(1日)
●オスプレイ生産先送り求める 米海兵隊の次期主力機で普天間飛行場に配備計画のある垂直離着陸機MV22オスプレイ導入問題で、米会計検査院が「信頼性に欠ける」と指摘し、生産決定を先送りするよう米国防総省に求めていたことが分かった。(1日)
●米2少年が放火で逮捕
沖縄県北中城村の県営団地などで一月下旬、車両が相次いで放火された事件で、米軍嘉手納基地に住む米国少年ら二人が器物損壊と窃盗などの容疑で逮捕された。もうひとりの少年は帰国したという。(2日)
●多国間演習に自衛官派遣
 米軍がアジア・太平洋で初めて実施する多国間演習「チームチャレンジ01」に、防衛庁は陸海空の自衛官七、八人をオブザーバーとして派遣する方針を決めた。「チームチャレンジ」は従来のコブラゴールド(米・タイ)、バリカタン(米・フィリピン)、タンデムスラスト(米・オーストラリア)の三つの二国間演習を組み合わせ、四月二十七日から約一カ月、アジア・太平洋の全域で実施。東京新聞が報道。(4日)
●137カ所すべて修正
「新しい歴史教科書をつくる会」が編集し、現在検定中の中学歴史教科書について、文部科学省側が百三十七カ所の検定意見をつけ、筆者側は検定合格を狙いすべての部分で修正に応じたことが分かった。(4日)
●米の核戦略へ提言 ブッシュ米政権の軍事力見直しを進める担当者らが「米核戦力と軍備管理の原理と要求」と題する提言をまとめた。提言は、核兵器保有の利点を@地域大国による核、化学兵器など大量破壊兵器の使用抑止A地球規模の大国による通常戦力、大量破壊戦力を使った侵略抑止B通常戦での米国の破滅的敗北阻止C地下深くにある標的などへの特殊攻撃能力D危機時の影響力の強化−の五点と指摘、核兵器の役割を「核兵器に対する抑止」から拡大した。核保有量を米ロ軍縮条約で定める従来の方式については、将来の安全保障環境の変化に伴う保有量の拡大や新たな核開発などを封じるとして反対し、米国独自の分析による核戦略を決めるべきだとしている。(4日)
●米兵が飲酒あて逃げ 名護市の国道で、米軍キャンプ・シュワブ第三海兵師団所属の伍長の運転する乗用車が、読谷村の女性の車に衝突、逃走した。ぶつけられた女性が車を金武町まで追跡して特定、交番に通報した。伍長は、通報を受けた警察官に「酒を飲んでいたので、怖くなって逃げた」と認めた。(4日)
●ヘリ基地反対協が集会
ヘリ基地反対協が名護市役所の中庭で「ちゃーしんならん基地被害・新基地いらない市民集会」を開き、約二百人が結集。(5日)
●「滑走路2000b」と橋本 橋本龍太郎沖縄担当相が、代替施設協議会で「滑走路の長さは中型ジェット機が就航可能な二千bを基本とする」と述べた。また防衛庁は、建設予定地である辺野古沖の周辺海域で、沖縄本島で確認された延べ六頭のジュゴンのうち五頭が見つかっていることを明らかにした。(6日)
●17日に県民集会 「普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議」が、三月十七日に宜野湾市立普天間中学校で、「米軍による事件糾弾! 海兵隊の撤退と、基地の県内移設に反対する県民集会」を開くと発表した。三千人以上の結集を目指す。(6日)

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週刊『前進』(1997号6面1)

国籍法改定・入管法粉砕を
 戦争責任・戦後補償追求が21世紀の階級的任務 アジア人民との連帯・合流を
 佐久間 祐

 世界危機−日帝危機は新たな段階に突入した。米帝ブッシュ政権はイラク爆撃を強行し、武力をもってしても米帝の意思を貫徹することを、あらためて世界に示した。日帝・森政権はますます体制的危機を深め、労働者人民の怒りは高まっている。戦争と革命の世紀、二十一世紀が、これまでなしえなかった世界革命と共産主義社会をなんとしても実現していく世紀であることを世界の激動が指し示している。われわれは石原を始めとするファシストに労働者の未来を渡すわけにはいかない。差別主義・排外主義の扇動に対して、今こそ、わが革共同が七・七精神を爆発させ、闘い抜く時が来た。「闘うアジア人民と連帯し、 日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の旗を高く掲げて、確信も固く闘おうではないか。入管闘争こそ、直接的にアジア人民との連帯・合流を実現する水路となる闘いである。

 日本国籍強要する国籍法改定の攻撃

 体制的危機のとめどない深化の中で、日帝は戦争国家化攻撃をますます強化し、労働者階級人民に襲いかかっている。改憲と戦争国家化−総動員体制構築の攻撃に対して、今こそ労働者階級の力を結集して闘い抜かねばならない。
 入管闘争の大方針の第一は、国籍法改定という形で表れている在日朝鮮人・中国人への日本国籍強要の攻撃に対して、外登法・入管法−入管体制粉砕の基本路線をはっきりと掲げて闘い抜くことである。日本国籍強要の国籍法改定粉砕・入管法粉砕、国籍選択の自由を認めよ! のスローガンを掲げて闘う時が来た。
 この国籍法改定−日本国籍強要攻撃は、在日人民の戦後の在り方そのものを根底から覆す一大反革命攻撃であり、在日人民に対する改憲攻撃そのものである。いわば「現代の創氏改名」とも言うべき植民地支配の論理に貫かれた攻撃であることをはっきりと見据え、一大運動をつくり出していかねばならない。
 日本国籍強要・国籍法改定攻撃に対して、第一に確認したいことは改定の狙いである。直接的には、特別永住者を対象に「簡易帰化制度」の全面的改変を行い、日本国籍取得を促進しようというものである。
 与党三党の「国籍などに関するプロジェクトチーム」は、@現行の許可制度を簡素化する、A届け出制、B全員にいったん日本国籍を付与した上で二年以内に国籍を選択する、の三つの案を出し、具体的な検討に入った。さらにプロジェクトチームはこれまで日本の戸籍法で使用が認められていなかった朝鮮姓の「崔、鄭、姜、趙、尹」の五文字を戸籍名として使用することを認めることを決めた。
 もともと日帝は九一年の入管法改悪の際、「簡易帰化制度」を導入し、在日朝鮮人・中国人への同化・融和攻撃を促進していた。その結果、今日、年間一万五千人前後の人びとが日本国籍を取得する状況になっている。日帝・法務官僚の坂中はこのことを根拠として「在日朝鮮人消滅」論を唱えたのである。在日朝鮮人の日本国籍取得者の増加という現実は日本社会の差別性の深さを示しているのであり、そうしなければ生きていけない現実が横たわっているのだ。日本国籍を取得しても差別は何一つなくなっていないということは、自殺という形で政治生活に終止符を打った衆議院議員・新井将敬の生涯が鮮明に示している。
 今回の国籍法改定は外国人地方参政権問題に対する反動的対案として出されている。村上正邦らを筆頭とする自民党・右翼反動は、「参政権をほしければ帰化しろ」と恫喝を続けていたが、その行き着いたところが国籍法改定による日本国籍強要である。
 国籍法改定攻撃は第二に、日帝の強制連行と植民地支配の生き証人である在日朝鮮人・中国人の歴史的抹殺・消滅攻撃である。日帝の在日政策=外国人政策が改憲攻撃・戦争国家化攻撃の中で大変動しており、在日人民に一斉に日本国籍を強制し、それを踏み絵にして、戦争体制に組み敷こうというのだ。そもそも在日朝鮮人・中国人の形成の歴史を見るならば、日帝は戦争責任として選挙権・被選挙権も含めてすべての基本的人権を認めるべきなのである。
 国籍法改定攻撃は第三に、これまでの国籍条項差別との闘い、いや入管闘争の蓄積を全面的に解体しようとする攻撃である。さまざまな水路から闘われてきた参政権要求の運動が完全に吹き飛ばされてしまう情勢になっている。
 こうした中で、これまでの既存の民族団体や運動体が、その存立基盤を揺さぶられ、翼賛化、融和化の道へと大きく転換しようとする傾向がはっきりしてきた。
 日本国籍強要・国籍法改定の攻撃は、戦後の在日朝鮮人・中国人のすべての闘いの蓄積を一掃する攻撃であり、超ど級の反革命攻撃であることをはっきりさせ、重大な決意で闘わねばならない。

 侵略戦争の歴史の抹殺を許すな

 入管闘争の大方針の第二は、戦争責任・戦後補償問題をめぐる闘いを全力で推進することである。戦争責任・戦後補償問題を正面課題にすえて闘うことは、日帝の明治以降の侵略と戦争の歴史に対する階級的血債を貫徹することである。
 九五年、日帝の「民間基金」攻撃を軍隊慰安婦とされた女性たちの怒りと結合して粉砕したのは、自治体労働者、教育労働者を始めとした労働者階級の闘いだった。この闘いを教訓に、戦争責任・戦後補償問題を二十一世紀の階級の任務としてはっきりと確認したい。
 今日、「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書を始めとして義務教育の教科書から日本の侵略戦争と植民地支配の歴史が抹殺・後景化されようとしている。とりわけ「つくる会」教科書は、「歴史は科学ではない」「歴史を動かないもののように考えるのをやめよう」「歴史に善悪を当てはめ、現在の道徳で裁く裁判の場にすることもやめよう」と主張し、日帝のすべての戦争責任を免罪し、開き直っている。
 われわれは、軍隊慰安婦とされた人びとを始めとするすべてのアジア人民の告発・糾弾の中から学んだ日本帝国主義の歴史をあらためて見据えて、この事実に立脚して、「つくる会」教科書を粉砕していく決意である。
 「最大の責任は、五十五年以上にわたって訴追も謝罪も行わず、補償などの有効な救済措置をなんら講じてこなかった日本政府にある。こうした政府の怠慢は、被害者たちが一九九〇年以来繰り返してきた要求にもかかわらず、そして二人の国連特別報告者による細心な調査、さらには国際社会の正式な勧告を無視して、いまだに続いている」||女性国際戦犯法廷は認定の冒頭で日帝を断罪した。卑劣に責任を回避し、新たな戦争犯罪を重ねている日帝を、われわれの手で裁くことこそが求められているのである。
 われわれは、教育改革粉砕・改憲阻止決戦の中に、以上の二大方針を明確に打ち立て、アジア人民、在日アジア人民と連帯・結合して改憲決戦をより強力に推し進めることをはっきりとさせよう。

 入管体制粉砕する原則的闘い推進を

 入管闘争の課題は何か。
 第一は、外登法・入管法|入管体制粉砕の原則的闘いを着実に推進することである。反外登法闘争は、在日人民を始めとする営々たる闘いで、大きな勝利の地平を切り開いてきた。外登法の歴史は改悪を阻止する闘いの歴史でもある。指紋押捺拒否闘争はついに指紋廃止をもぎりとった。常時携帯制度と重罰制度撤廃まで、すなわち外登証制度完全撤廃に向けた新たな闘いが始まっている。
 日帝は、戦時労働力確保の道として外国人労働力導入政策を積極的に推進することを決定している。第二次入管基本計画では、研修・技能実習生を含めて外国人労働者の積極的導入が強調されている。また二〇〇一年日経連労問研報告でも、「外国人を積極的に活用することによって、我が国の産業・社会の活力が一層増す」とされており、政財界が一致して外国人労働者の導入を明確化しているのである。
 KSD問題は、こうした日帝の外国人労働力導入政策から生み出されたものであり、外国人労働者を徹底的に搾取・収奪し、使い捨てる非人間的労働政策が結果したものである。研修・技能実習制度という形で「現代の強制連行」政策が開始されていることに対して、深い憤りを持つと同時に、アジア人労働者を支援・防衛する闘いをつくり出していかなければならない。
 日本国籍強要攻撃は、こうした日帝の労働力政策=戦時入管体制強化の攻撃と一体のものであり、在日人民と新たに来日する外国人とを分断する攻撃でもある。
 法務官僚・坂中が「朝鮮系日本人として生きる道」を在日に向かって説くと同時に、「多民族共生国家」論を展開し、日本国家のもとへの統合(国民国家)を主張し始めていることは重大な動向である。
 われわれはあくまで、外登法・入管法−入管体制粉砕の闘いを守り抜き、発展させることを確認しよう。
 第二は、戦争責任追及・戦後補償実現のために闘うことである。昨年十二月に開催された女性国際戦犯法廷は、日帝の戦争責任問題が二十一世紀にも引き継がれることを明確にした。日帝はただの一度も、軍隊慰安婦とされた女性や強制連行、強制労働に動員されたアジア人民に謝罪も補償もしていない。次々に下される反動判決に対して一層の執念を燃やして闘う軍隊慰安婦とされた人びととともに闘い抜こう。
 第三は、入管体制粉砕の具体的課題として入管収容所に対する闘争をねばり強く推し進めることである。
 長崎県大村、大阪府茨木、茨城県牛久に続いて四つ目の収容所が東京・品川ふ頭に建設されようとしている。牛久収容所の二・五倍の八百人収容の規模をもつ新たな収容所建設を許してはならない。石原は二月二十三日の定例記者会見で「逮捕した中国人の強制送還費用を対中ODAから差し引く」ことを政府に建言すると表明。続けて「不法滞在者を捕まえても留めておくところがない。現在、(施設の用意を)都内で検討中」と発言した。ファシスト石原と対決する闘いとしても収容所闘争を全力で推進しよう。
 第四は、第一の課題の中に含まれることだが、あらゆる国籍条項を撤廃していくために闘うことである。国籍条項による日本社会からの差別、排除は現行憲法を最頂点として日本の社会の隅々に張り巡らされている。日帝は在日朝鮮人・中国人には「世界で最高の安定した法的地位」を与えている、と自画自賛しているが、差別・抑圧、分断・同化・追放の現実はますます強まっている。 

 排外主義・差別主義との闘いを

 第五は、石原慎太郎を先頭とするファシスト反革命と真っ向から闘い、排外主義・差別主義との闘いを労働者階級の正面課題にすえて闘い抜くことである。
 とりわけ、昨年九・三に引き続き九・一関東大震災のその日に、立川を中心に自衛隊を動員した軍事訓練を行うことを決定している。さらに七都県市防災訓練でも川崎市をメイン会場として、川崎港に自衛隊艦船を動員して訓練を行おうとしている。「防災」の名のもとに、関東大震災時の朝鮮人・中国人六千人余の虐殺を居直り、軍事訓練を行うことなど断じて許せない。昨年を超える闘いで軍事訓練を粉砕しよう。

 七・七路線で真の階級的連帯実現へ

 日帝は、文字どおりの「戦後政治の総決算」として教育改革を突破口とする改憲攻撃を強めている。「日の丸・君が代」を強制し、侵略賛美と皇国史観に基づく教科書を使った歴史教育を行うことで、戦前の天皇制教育を復活させ、戦争を直接担う体制を構築しようとする攻撃が日増しに強まっている。
 教育改革を突破口とする改憲攻撃は、在日人民にとっても同様に襲いかかっている。在日人民の民族的尊厳を踏みにじり、民族教育をなきものにする攻撃である。教育改革反対の一大運動を在日人民と結合して闘い抜くことが求められている。
 すべての同志諸君! われわれはあらためて七・七路線を確認し、入管闘争の前進をかちとろうではないか。
 われわれは七〇年七・七自己批判以来、七・七路線を朝鮮・中国−アジア人民と日本人民が、単一のプロレタリア世界革命(プロレタリア革命と民族解放闘争の革命的統一)に向かって、真の階級的連帯を実現していくための推進路線として確立し闘い抜いてきた。入管闘争は政治的自由と権利を奪われている在日人民にとっては、帝国主義本国における民族解放闘争の一形態である。入管闘争を在日人民と日本人民の階級的結合と合流を生み出すものとして共同して闘うことの中から国際主義の豊かな復権がかちとれるのである。労働者階級は本質的に国際的階級であることを実践の中からつかみ取る重大な契機となるのである。われわれは三十年におよぶ七・七路線の実践の中で国際主義すなわち革命的祖国敗北主義を自己の思想性としてつかみとってきた。まさに党派性として「血債の思想」を深化させてきたのである。
 この具体的実践の中でつかみ取ってきた蓄積を本格的に支援・防衛・連帯から合流へと前進させ、本質的な共同闘争をつくり出すために決意も新たに闘い抜いていかねばならない。
 韓国の民主労総は、二月、大宇自動車のリストラ攻撃に対して、工場占拠を始めあらゆる戦術を駆使して実力闘争を闘った。また、反米反基地闘争の大統一戦線が形成され、韓米地位協定(SOFA)の改正や米軍犯罪根絶を求める闘いを強力に推し進めることが明らかにされている。
 また、中国では改革開放路線の破綻(はたん)の進行の中で、農民や少数民族の暴動的闘いが頻発しており、中国の体制的危機と内乱的情勢はますます深まっているといえよう。
 アジア全体が帝国主義の危機の中で、争闘戦の激突点となっており、いよいよ矛盾を深めている。日帝の教科書問題は、こうしたアジア情勢の激動化に一層火をつけるものであり、日帝に対する怒りと警戒はさらに爆発するであろう。
 二十一世紀こそ、闘うアジア人民と連帯し、ともにプロレタリア世界革命の大事業を実現していく世紀なのだ。ともに闘わん。

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週刊『前進』(1997号6面2)

六ヶ所村 高レベル核廃棄物搬入に怒り 住民・労働者が阻止闘争

 フランスからの返還高レベル核廃棄物の搬入阻止闘争が二月二十、二十一日の二日間、青森県六ケ所村で闘われた。反戦共同行動委員会も先頭で闘い抜いた。
 高レベル核廃棄物は、原発での使用済み核燃料の再処理過程(原爆の材料・プルトニウムを抽出する)で出る、放射能レベルがきわめて高い「死の灰」そのものだ。その放射能毒性は、近くに数秒いただけで致死線量を超えてしまう。
 こんな危険なものを今回(六回目)は、過去を数倍するガラス固化体にして百九十二本というとんでもない量を搬入しようというのだ。
 昨年十二月下旬にフランスを出港した輸送船「パシフィック・スワン」号は、世界各国の人民から次々と抗議をたたきつけられた。
 搬入阻止闘争の爆発を恐れた政府と日本原燃は、マスコミに対しても輸送船の入港日を隠ぺいしてきた。発表したのは、なんと入港前日だった。こそくなやり口に人びとの怒りはさらに高まった。県内外から多くの労働者人民が急を聞いて、六ケ所現地に駆けつけた。

 むつ小川原港で輸送船入港弾劾

 二十日、輸送船「パシフィック・スワン」号はむつ小川原港沖合にその姿を現した。ただちに入港弾劾のシュプレヒコールを輸送船にたたきつけた。
 昼過ぎから青森県平和労組会議を中心とする反核実行委員会主催の抗議集会が港前の広場で開催された。
 反核実行委の今村修代表は、東京電力が青森の東通原発や福島の原発の建設・増設を凍結すると発表しながら、政府からの圧力によってわずか一夜で「原発だけは凍結しない」と転換したことを弾劾し、「声を大きくすることによって必ずこの道を止めていくことができる」と訴えた。地元六ケ所住民を代表して、坂井留吉さんが「原燃も核燃も長いことはない。東通の原発の工事も進んでいないし、大間の原発もどうかわからない。核燃は必ず座礁するだろう」と不屈の決意を明らかにした。

 過去最大の搬入に怒りが爆発

 前日に続き、二十一日朝から高レベル核廃棄物の搬入阻止闘争が闘われた。反戦共同行動委員会は、積み降ろし作業現場に向かってシュプレヒコールをたたきつけた。その後、核燃料搬入阻止実行委員会主催の抗議集会に合流した。
 実行委の平野良一代表は「先日の世論調査の結果、七割が(高レベル核廃棄物の)地層処分に反対、九割の自治体が自分のところが最終処分地になることには反対だ。出ていく先がないにもかかわらず、それでも預かるというのはどういうことか。県の将来がどうなるか、県民のひとりとして暗たんたる思いになる」と、県の対応への強い怒りを表明した。
 昨日に続き、地元の坂井さんが「世界中で原発をやめようとしている時に、なぜ日本だけが進めようとするのか」と弾劾した。
 午後、搬入をなんとしても阻止するため、闘う労働者人民は港正面ゲート前に迫った。高レベル核廃棄物の入った輸送容器を積んだ大型トレーラー八台が一列に並んでいる。ただちに弾劾のシュプレヒコール。輸送車両の出発がなかなかできない。
 ついに機動隊が強制排除に乗り出し、抗議する人びとを突き飛ばすなど、かつてない凶暴な弾圧を加えてきた。しかし地元住民も加わったスクラムでこれをはね返し、搬入攻撃に対する断固たる闘いをたたきつけた。
 不屈に闘う六ケ所住民と固く連帯し、日帝の核武装阻止、反戦・反核、反核燃闘争の前進をかちとろう。

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