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ZENSHIN 2001/04/30(No2003 p06)

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週刊『前進』(2003号1面1)

都議選で自民党打倒を
「つくる会」教科書7月採択阻止 東京杉並で大運動を巻き起こせ
 警視庁の選挙妨害を弾劾する

 都議選決戦は、労働者階級人民の闘いの一大飛躍をかけた大決戦である。国家権力・警視庁がけしば誠一陣営の勢いに危機感を深め、不当逮捕や四月十八日の家宅捜索などまったく許しがたい選挙妨害に出ている。これに対して、都政を革新する会と杉並区民は、「つくる会」教科書採択阻止を始め大衆運動の前進をかちとり、連日、白熱的な闘いを展開している。街頭は日ごとに熱を帯び、ビラはかつてない勢いで区民の中に吸い込まれ、多くの激励が寄せられている。警察と右翼・ファシスト勢力を使った国家権力の選挙妨害を断固粉砕し、区民の怒りと決起を総結集して、けしば候補の当選をかちとろう。四―五月の政治的蜂起戦に総決起しよう。

 第1章 「検定合格」は日帝の再侵略戦争宣言

 「教育改革」粉砕を軸に都議選決戦が日ごとに白熱化しているのはなぜか。日帝の危機がますます深まり、戦争国家化と資本攻勢を強めているのに対し、闘う勢力が杉並を拠点にして一歩も引かず、真っ向から対決し闘っているからだ。
 帝国主義世界経済は一九二九年|三〇年代をも超える大破局の過程にますますのめりこんでいる。日帝とアメリカ帝国主義はそれぞれの独自利害をむき出しに生き残りをかけて日米争闘戦、アジアをめぐる勢力圏争いに突き進んでいる。
 米軍スパイ機の中国軍機との「接触事件」は、米帝の対中戦争挑発そのものだった。沖縄と本土を出撃基地とする米・日帝国主義の中国・朝鮮侵略戦争がますます切迫しているのだ。
 自民党政調会長・亀井は「在韓米軍が攻撃されたら自衛隊を韓国に派遣する」と公言した。さらに、東条英機ら第二次大戦のA級戦犯をまつる靖国神社を参拝し、「尊い犠牲のもとに現在の日本をつくった方々に参拝するのは当たり前。中国などが口出しする問題ではない」と傲然(ごうぜん)と開き直った。
 また都知事であるファシスト石原慎太郎は、「ヒトラーになりたい」と言い放ち、「中国を分裂させよ」「三国人が凶悪な犯罪を繰り返している」「経済活性化のためにミサイルをつくれ」「ガイドライン発動時は羽田空港でもなんでも使わせる」などと、戦争挑発発言を矢継ぎ早に繰り返している。
 こうした動きに呼応して強行された「つくる会」教科書の検定合格は、歴史を画する大攻撃である。かつて一九三三年、ドイツにヒトラー政権が生まれた時、日帝はニセ「満州国」デッチあげ(三二年)から国際連盟脱退に踏み切った。これが第二次世界大戦の引き金となった。今起きていることは、これに匹敵する歴史的事態なのだ。
 日帝が、アジア各国の激しい怒りと抗議の声を無視して歴史歪曲・戦争賛美・皇国史観の「つくる会」教科書を検定合格させたということは、八〇年代にも九〇年代にもやらなかったことだ。日帝は、国際的孤立を招こうとも絶望的延命路線である改憲と、そのための「つくる会」教科書検定合格になりふり構わず踏み切ったのである。
 韓国紙「中央日報」は、「いま日本は、『二十世紀初めの帝国主義日本の再誕生』を予告するほど、極端な『右向け右』の気流に流されつつある」と警鐘を鳴らしている。
 日帝が没落帝国主義化の危機を深めれば深めるほど超反動的凶暴化に走り出しているという階級的認識をはっきりと持たなければならない。「日帝のアジア再侵略戦争・戦争国家化を断じて許さない」の不退転の決意を固め、闘うアジア人民と連帯し、「つくる会」教科書七月採択阻止と六月都議選決戦の勝利を一体のものとして闘いとろう。

 第2章 学校を戦争教育の場にしてはならぬ

 右翼・ファシスト運動団体「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史・公民教科書の検定合格後、中国と韓国政府は抗議声明を発表し、韓国は駐日大使を一時召還し、教科書の再修正を要求した。韓国の金泳鎭(キムヨンジン)国会議員は、日本の国会前で六日間の抗議のハンガーストライキを貫徹した。命をかけた金議員の抗議と再修正の要求をも、日本政府は一切拒否した。そして十八日から東京で検定教科書の展示に踏み切った。あくまでも正面突破で採択を強行しようとしている。
 自民党総裁選に立候補した橋本・小泉・亀井・麻生の四人は靖国参拝を行ったり、集団的自衛権を主張する一方で、口をそろえて検定合格を「なんら問題ない」と正当化している。
 こうした動きは何を意味するか。「つくる会」教科書の採択が日帝支配階級の総力を挙げた攻撃だということである。日帝は改憲と戦争に向かっての決定的攻撃としてかけてきているのだ。だからこそ、日帝の侵略戦争を「解放戦争」と賛美し、戦死を「玉砕」と美化する「つくる会」教科書を、いわば戦前の「国定教科書」のように、全国の子どもたちに押しつけようとしているのだ。
 「つくる会」と自民党は、これまでの教科書を「自虐史観」とか「東京裁判史観」などとファシスト的に攻撃し、「民族の誇り、愛国心を育てる教育を」などと叫んでいる。
 だが、考えてもみよ。日帝が朝鮮・台湾および中国東北部植民地支配と中国|アジア侵略戦争で行った三光作戦、南京大虐殺、七三一部隊、軍隊慰安婦、強制連行、強制労働、虐殺と略奪などなど、朝鮮、中国、アジア人民のおびただしい血にまみれた「天皇の軍隊」の世界史的大犯罪を隠ぺいし、それをぬけぬけと「アジア解放戦争だった」「アジアの人々に独立への夢と勇気を育んだ」などとウソを並べる「歴史教育」を、どうして認めることができようか。そんなものは「史観」と呼ぶことすらできない、歴史歪曲とデマゴギーのかたまりだ。
 「つくる会」の中心人物、藤岡信勝は、「私は、許されるウソは書いてもよい、許されないウソは、なるべく書かない、という方針で執筆を続けることにした」(『現代教育科学』一九九七年十二月号)と言っている。これほどデタラメで卑劣な人物が中心になってつくったのが、この歴史歪曲と戦争賛美の「つくる会」教科書なのだ。
 さらに藤岡や小林よしのりなど「つくる会」の連中は、「個人の命を犠牲にしても守らなければならないものがある。それが国家だ」などと宣伝している。
 だが、アジア人民を蔑視(べっし)し、日本を「万世一系の天皇を中心とする神の国」などとデマを並べたてた戦前の皇国史観のもとで、日本人民は「国のために、天皇のために」と侵略戦争・対米戦争に駆り出され、自らもまた取り返しのつかない暗黒と苦しみの時代にたたき落とされたではないか。このことは日本人民の胸に刻まれた痛切な体験なのである。
 その憎むべき皇国史観を、「つくる会」や文科省、自民党政府、石原らは、戦争をやるためにまたぞろ持ち出してきたのだ。
 労働者階級人民は、今こそ「『愛国心』は民衆を帝国主義戦争、侵略戦争に動員するための道具だ。アジアの人民、他国の人民と戦争する理由などまったくない。彼らと連帯し、戦争を押しつける一切の戦争勢力、自民党政府を打倒せよ」と呼びかけて闘おう。
 「つくる会」教科書攻撃はまた、「教え子を再び戦場に送るな」を合言葉に闘ってきた日教組運動をたたきつぶし、教育労働者を天皇制教育、戦争教育の担い手として組織していく攻撃である。文科省・自民党政府は、「日の丸・君が代」押しつけに続いて、今度はこの「つくる会」教科書を「踏み絵」として押しつけ、抵抗する労働者を「指導力不足教員」「不適格教員」とレッテル張りして教室から追放しようとしている。そして学校を「日の丸・君が代」と体罰・暴力が支配する「新兵訓練場」に変えてしまおうとしているのだ。
 「教育改革」関連法案の攻撃は、「つくる会」教科書と一体の、戦争と改憲のための大攻撃である。自民党政府は連休明けから奉仕活動の義務化や「不適格教員」の首切りを狙う地方教育行政法改悪、学校教育法改悪、社会教育法改悪など超反動法案の審議を始めようとしている。
 教育労働者は、文科省とのパートナー路線を掲げる日教組中央の屈服をのりこえ、今春「日の丸・君が代」闘争に全国で決起した。今こそ「教え子を再び戦場に送るな」の闘いの正念場だ。改憲に直結する「教育改革」|教育基本法改悪粉砕へ、全国各地で教育労働者を先頭とした全人民的闘いを爆発させよう。

 第3章 石原−山田と闘う杉並が全国の焦点

 さらに、日帝・文科省が学校現場の教員を排除して教科書採択を進めるための攻撃を強め、都知事ファシスト石原と山田宏杉並区長がその先頭に立っている。これまでの教員が主体となった教科書採択では、「つくる会」教科書は採択されないからこそ、日帝・文科省は、「つくる会」グループによる地方議会への「教科書採択要綱正常化」の請願・決議と一体になって攻撃を強めているのだ。
 四月十二日、石原都知事は都内の教育委員三百五十人を集めた会合で、「教育委員が自分の目で見て教科書を採択してほしい。それが面倒なら辞めてもらいたい」と恫喝した。
 石原らは、「教科書の採択権は教育委員会にあり、現場の教師にはない」などと言う。これはまったくのでたらめで許しがたい。
 日々、子どもたちに身近に接している教員が教科書を選ぶことは当然である。学校教育法の規定「教諭は、児童の教育をつかさどる」からも疑問の余地はない。それをクーデター的にこれまでの選択方法を一切ひっくり返し、「学校票」や「絞り込み」を廃止し、現場教員を無理やり排除して、教育委員会による「つくる会」教科書の採択に道を開こうとしているのだ。
 杉並区では、昨年十一月に、山田区長がけしば区議を先頭とした区民の激しい抗議の中で、教育委員五人のうち二人を統一協会=勝共連合系の反動的人物に代える暴挙を行った。
 大衆的闘いを強化し、採択過程から現場教員を排除しようとする攻撃を断固粉砕しなければならない。
 教科書採択をめぐる闘いは、いよいよ決戦だ。東京に続いて六月には全国七カ所で検定教科書の順次公開が始まる。杉並区では六月下旬から区内で展示会が開かれ、選定審議会で審議され、七月中、下旬に審議報告、答申を経て採択が行われようとしている。
 杉並に嵐(あらし)のような闘いを巻き起こそう。署名活動、地域集会、デモ、街頭宣伝、パネル展示などあらゆる闘いを巻き起こし、「つくる会」教科書の恐るべき歴史歪曲・戦争賛美の内容を暴き出し、それが改憲・戦争の攻撃であることを徹底的に訴えて、区民の総決起を実現しよう。教育委員会に対する闘いを強め、採択を絶対に阻止しよう。
 日帝・警視庁とファシスト勢力は、けしば陣営に攻撃を集中してきている。「戦争賛美の教科書を子どもたちに使わせてはならない」と訴えているのはけしば氏だけであることを広く杉並区民に訴え、けしば候補とともに闘う決起をつくり出そう。
 6面につづく〜1面からつづく

 第4章 けしば氏の必勝へ総決起かちとろう

 都議選は、この教育改革粉砕決戦を柱として、日帝の戦争国家化攻撃や資本攻勢に真っ向から対決する階級決戦でもある。
 日帝の延命のための資本攻勢がここに来て一段と強まっている。NTTやJR大合理化に続く郵政での一万人から数万人のリストラ、鉄鋼資本の合併によるリストラ、企業倒産による首切り、公務員制度改革など、恐慌による日帝・資本の危機をすべて労働者階級に押しつける攻撃がかけられている。超反動的な自民党総裁選の四候補がそろって口をそろえる「不良債権処理」は、それが強行されれば膨大な倒産と百三十万人以上の失業者を新たに生み出すのだ。介護保険と高齢者医療制度の改悪は、高齢者のくらしと命を日々、奪い続けている。
 資本主義・帝国主義は二九年型世界大恐慌に突き進んでいるのであり、景気が良くなることなどないのだ。日帝は危機と没落を一層深め、経済危機は深刻化し、凶暴な侵略戦争の道にのめり込んでいく。打倒するしかないのだ。
 けしば候補は「六つの重点政策、四つの主張」(3面参照)を打ち出して闘っている。この内容で民衆自身が決起して闘うことこそ、今日の日帝の危機と攻撃に全面的に対決し、労働者階級の生活と権利を守り、未来を切り開く唯一の道である。この内容を一人ひとりが、けしば候補の分身となって、杉並区民に熱烈に語りかけ、支持を訴えよう。
 戦争と大失業の攻撃を打ち破る力は労働者人民の団結と革命的大衆行動だけである。職場闘争、集会、デモ、ストライキ、街頭宣伝、署名活動などである。
 階級の権利と団結を守るためにストライキに立ち上がった動労千葉の労働者のように闘おう。団結して杉並区から介護保険利用料の助成制度をかちとった杉並の高齢者の闘いに続こう。こうした闘いを爆発させていった時、必ずこの腐りきった社会を変えることができる! ゛民衆の立ち上がりが政治を変え、社会を変える″――この政治理念を掲げて闘うけしば候補の都議当選をかちとることこそ、労働者人民の闘いの前進を切り開くのだ。
 杉並区の選挙情勢は、定数六人に立候補予定者十一人を数える都内有数の激戦区である。その中で自民党打倒、ファシスト石原打倒を掲げて闘っているのは、けしば候補ただ一人だ。@街頭宣伝戦の猛然たる展開、A戦闘的大衆闘争の嵐のような爆発、B支持者の輪の着実で圧倒的な拡大の闘いを三大方針に、けしば候補必勝の闘いに、今こそ総力あげて決起しよう。
 三里塚闘争が決戦を迎えている。まったく許せないことに堂本新知事が「二千五百b滑走路の実現」「完全空港化」を打ち出し、敷地内農民に「話し合い」と屈服を迫る攻撃を強めている。この攻撃を粉砕し、市東さん、萩原さんを始めとする反対同盟を断固守りぬき、暫定滑走路来春「開港」と土地収用法改悪を断固粉砕しよう。
 沖縄で米軍犯罪に続く自衛隊幹部の女子中学生暴行事件に、沖縄人民の怒りが沸騰している。「いつまで沖縄は基地と軍隊の犠牲になれというのか」と怒りが爆発している。沖縄人民と固く連帯して、基地撤去、沖縄奪還闘争の勝利へ闘おう。普天間基地の名護移設を絶対阻止しよう。
 反戦共同行動委員会が主催する五・二七総決起闘争を、自民党政権および石原都政打倒の都議選決戦勝利、「教育改革」―改憲攻撃粉砕と、名護新基地建設阻止・米軍基地撤去の沖縄闘争勝利の総決起集会としてかちとろう。

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週刊『前進』(2003号1面2)

けしば誠一氏 街頭での訴え
戦争賛美の教科書を子どもたちに使わせてはならない

 四月十三日に浜田山駅前で行ったけしば誠一氏の街頭演説を紹介します。(編集局)

 一日のお勤めご苦労様です。けしば誠一です。六月二十四日に行われる都議会議員選挙が日本の政治のあり方を決める重大な選択の場になりました。
 いよいよ自民党の総裁選が始まりました。橋本元首相を始めとする四人の候補の誰が総裁になっても日本の政治も経済も変わらないどころか、むしろもっと悪くなることは明らかです。
 そもそもこの四人の候補者全員が、今の経済をだめにした橋本政権の時の閣僚でした。小泉さんは橋本政権下で厚生大臣でした。皆さんが今お困りの介護保険制度を強行して、介護と福祉を切り捨てた張本人です。そして橋本さんは、財政構造改革で私たちのくらしをだめにした悪政の張本人です。記者会見で「あれは間違っていた」と言いましたが、どう間違っていたのかは何一つ言いません。
 新政権になってやろうとしていることは、不良債権の処理と称する大リストラでしょう。働く皆さんたちへのしわ寄せです。銀行には湯水のごとく金を注ぎながら、その一方で無慈悲な首切りが強行されます。こんなことが経済再建策だなどというのは絶対に許せません。この自民党総裁選の茶番劇を打ち破るのは来るべき都議選です。
 けしば誠一は訴えます。自民党総裁選などに私たちの未来を託すことができない以上、私たちは私たちのやり方で政治を変えなくてはいけない。それが間近に迫った都議選です。この都議選で自民党を一人残らず落としましょう。KSD汚職、機密費疑惑、金権腐敗にまみれた自民党を倒してこの杉並から新しい政治の流れをつくり出していきたい。ぜひ働く皆さんの勇気ある選択を、けしば誠一によろしくお願いします。
 いま皆さんにチラシをお配りし、署名をお願いしていますが、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定に合格し、来年の四月から中学校で子どもたちがこの教科書を使うことになるかもしれないという重大な問題です。
 この教科書は戦争を肯定する教科書です。私は戦争が終わって間もなく生まれた世代です。私たちは父や母から戦争の悲惨さを聞きました。この戦争の悲惨さが「つくる会」の教科書には何ひとつ書かれていません。日本の戦争がアジアの人たちをヨーロッパの植民地から解放した正義の戦争であったと描かれています。こんな教科書で子どもたちが教えられたらいったいどうなるのか。どうしても許すことはできません。
 一昨日から韓国の国会議員が超党派で訪れて文部科学省や日本政府に対する申し入れを行いました。日本政府のあまりに冷たい対応に韓国の国会議員・金泳鎭(キムヨンジン)さんは昨日からハンガーストライキを始めました。もう二十四時間を超えています。命がけで戦争肯定の教科書に対する抗議の行動に立ち上がった金さんの行動を支持し、私はきょう駆けつけてきました。
 「つくる会」教科書の修正を要求する韓国の国会議員の要請を、文部科学省も国会議員たちもにべもなく断りました。「内政干渉だ」といって非難する有り様です。そうでしょうか。
 この教科書には一九一〇年に韓国を植民地にしてじゅうりんした侵略の歴史が何ひとつ反省されておりません。言語を奪い、創氏改名で名前まで奪って日本の名前を付けさせたこの植民地支配。そして朝鮮の若い女性たちを暴力的に拉致し、戦地に送って日本軍の軍隊慰安婦として抑圧しじゅうりんしました。これほど残虐な行為を行いながら、この歴史が書かれていません。
 また南京大虐殺という歴史的事実がこの教科書では否定されています。当時南京は世界有数の都市でした。この南京を占領した日本軍が、三十万人とも言われる人を虐殺しました。女性、高齢者、子どもが殺されました。おばあさんは八路軍の連絡員になるからといって殺されました。子どもたちは大きくなって八路軍になって日本に敵対するからと殺されました。
 こんな残虐な侵略戦争を行った日本が、これを反省しないばかりか、正しい行為であったと描くような教科書を、どうして子どもたちに教えることができるでしょうか。この教科書を文部科学省が検定合格させたということは、日本が国家として戦争を肯定したことにほかなりません。日本が再びこうした戦争を行うということを宣言したことにほかならないのです。
 石原都知事がこの教科書を二十三区を始めとする東京都下の自治体に採択させようとする通知を出しています。杉並区の山田区長は杉並区で真っ先にこの教科書を使おうとしています。そのために昨年十一月に杉並区の教育委員の二人を統一協会・勝共連合という右翼団体の機関紙に名を連ねているような人たちに代えました。その教育委員によってこの教科書の採択を七月にも強行しようとしています。
 この杉並でお母さんたちから呼びかけられた署名が始まりました。私もこれにこたえて、この教科書に反対し、子どもたちを守るために立ち上がる決意です。来る都議選は、この教科書を使わせないための重大な選択の場です。
 石原さんは「はっきりものを言う」とか、「実行力がある」と評価を受けていますが、自民党よりももっと危険で反人民的なことを行っているのです。銀行に課税した外形標準課税は、赤字事業体にも適用して税金を取る悪質な税制です。ディーゼル車規制も、ガソリン車に買い換えさせ、大型道路を建設して車の量をもっと多くする政策にほかなりません。
 今、都議会の中はオール与党で、石原さんにはっきりものを言う人は誰もいません。日本共産党も「是々非々」と言って批判しようとはしていません。
 けしば誠一、たとえ一人であっても、働く皆さん、そして「障害者」、高齢者、石原都政下で切り捨てられた人びととともに、その思いを体現して石原都政と真っ向勝負します。とりわけ、介護保険実施一年、奪われた福祉、切り捨てられた介護を取り戻すために、都議選に全力で挑戦します。

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週刊『前進』(2003号2面1)

「解決を阻害」「反組織的」と闘う闘争団の統制処分狙う国労本部「指示28号」粉砕せよ

 国鉄決戦は、この四―五月、新たな激突局面に入った。一・二七国労定期大会(続開)で四党合意受け入れを強行した国労本部執行部およびチャレンジ、革同一派は、日帝権力の一層の屈服要求にひれ伏し、訴訟取り下げとゼロ回答受諾の策動にのめり込んだ。他方、四党合意に反対する闘争団とこれを支えるJR本体組合員、支援共闘の労働者は猛然と反撃し、新たな反転攻勢に立っている。追いつめられた国労本部は四月十二日、これらの決起を「反組織的行動」と決めつける「指示」を出し、暴力的圧殺を狙ってきた。これを打ち破り、断固として闘う隊列を守りぬこう。それが四党合意を葬り去り、国労を再生して勝利の展望を切り開く道である。

 国労解体攻撃と闘う闘争団を守りぬこう

 四月十二日、国労本部・高嶋―寺内執行部は、「解決を阻害する『反組織的行動』等に対する国労の見解と対応について」と題した超反動的な「指示第二八号」(国労本部電送ナンバー97)を各エリア本部と地方本部に発令した。(別掲)
 「指示」は、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団」の闘いを「反組織的行動」と決めつけ、その暴力的な圧殺をもくろむ反革命文書だ。そこでは「反組織的行動が本格化」「解決を遅らせる要因になる」「妨害勢力を利する」などと、闘う闘争団に対しあらんかぎりの悪罵(あくば)を投げつけ、国労や闘争団全国連絡会議とは一切関係ない組織だ、その取り組みには参加するな、と居丈高に叫んでいる。激しい怒りをたたきつけ、粉砕しなければならない。
 何よりも「反組織的行動」と規定することは、統制処分にするということではないか。実際、チャレンジ一派や革同一派は、機関の名をかたって、「組織の解散」までも要求している。東京地本・酒田委員長らは、闘う闘争団の動向を本部に垂れ込むなど、その急先鋒(せんぽう)の役割を果たしている。断じて許すことはできない。
 「解雇撤回・地元JR復帰を闘う」ことのどこが「反組織的」なのだ。これこそが闘争団の基本要求であり、「全面解決要求」の柱ではないか。国労本部は、「全面解決要求及び闘争団全国連絡会議が集約した要求を堅持しつつ」などとペテン的に言いながら、「解雇撤回・地元JR復帰」を掲げた行動をするな、そもそもそんな要求は下ろせと叫んでいるのだ。
 さらに、「闘争団全国連絡会議に結集するよう指導強化」ということも、闘う闘争団つぶしが狙いだ。闘争団全国連絡会議では「四党合意賛成」を決めてはいない。四党合意に多数の闘争団が反対しており、「四党合意は脇に置いて」となっている。これに対して、闘争団全国連絡会議を「四党合意賛成」で固めよ、反対派は全国連絡会議から排除しろということなのだ。
 これこそ、四党合意の攻撃そのものである。四党合意とは、「JRに法的責任なし」を大会決定せよと迫る、国家的不当労働行為の総仕上げの攻撃だ。機動隊を導入した一・二七国労続開大会で国家暴力によって強制されたものだ。それ自身、日帝権力によるすさまじい国労解体攻撃なのだ。日帝権力は、たたみかけるように、三月十五日の四党協議に国労本部を呼びつけ、自民党・甘利(元労相)らが、四党合意受け入れと訴訟継続の方針の矛盾を突き、訴訟取り下げを露骨に要求したのだ。
 闘う闘争団は、この四党合意による国労解体攻撃に必死に反撃しているのだ。「解雇撤回・地元JR復帰」の原則を貫くことで、国労組織を守りぬこうとしているのだ。どうしてこの闘争団を切り捨てることができるのか。それこそ国労を解体に導く「反組織的行動」と言わざるを得ない。

 ひるまず闘うことが四党合意を葬り去る

 だが、このような策動は必ず破綻(はたん)する。何よりも闘う闘争団の人生をかけた決起は誰にも押しとどめることはできない。そして、ますます本部執行部への不信と怒りを高めるだけでなく、闘う闘争団に対する支援の闘いを拡大することは間違いない。
 すでに最大の支援労組である都労連などが次々と闘う闘争団支持を表明している。国労本部が提起した「ILO勧告で示された公正な補償を早期に求める百万署名」に対しても、「四党合意を認めろということか」「勧告の是正が先ではないか」などの声が支援共闘からも上がり、取り組みを拒否されている。
 さらに、「解決を遅らせる要因になる」とは、逆に言えば、闘う闘争団が断固闘い続けるなら、四党合意によるゼロ解決が破綻するということだ。
 このような「指示」を出さざるを得ないということは、ゼロ回答受諾の策動が危機と破綻に陥り、国労本部と日帝権力、自民党などが完全に追いつめられていることを示している。
 三月十五日の四党協議について、国労本部は「訴訟取り下げは約束していない」「矛盾を解消するとは言ったが、矛盾とは組織の矛盾で、組織をまとめる努力をすることだ」などと弁明している。いずれにしても、四党合意で国労組織をまとめる、反対派をつぶすということを自民党に約束したということだ。それができなければゼロ解決もできないと突きつけられたのだ。だが、三月の闘争団オルグでも闘争団を説得することもできず、完全に追いつめられた国労本部が出したのが、この「指示」なのだ。
 だからこそ、ひるむことなく原則を貫いて闘うことこそ勝利の道なのである。国労本部の「指示」を打ち破り、今こそJR本体の組合員が闘う闘争団とともに総決起することを訴えたい。闘う闘争団を守りぬくことこそ、国労組織を守ることだからだ。

 第二の分割・民営化にJR組合員の反撃を

 そして今ほど、JR本体組合員の闘いが求められる時はない。JR資本は、JR東日本の「ニューフロンティア21」=一万人削減を始めとする大合理化攻撃を次々と打ち出している。JR東の保守部門の全面外注化、中でも「設備部門のメンテナンス体制の再構築」は、三千人を削減し、二千人を関連会社に出向に出し、千人を「余力」とする。その対象の大半は国労組合員だ。明らかに国労を狙い撃ちにした攻撃だ。
 しかも、出向はいずれは転籍となる。賃金は一挙に下げられ、退職金も大幅カットだ。私鉄のバス部門の分社化のような攻撃だ。シニア制度での超低賃金の選別再雇用とあいまって、JR資本は最も悪らつに総人件費削減を狙っている。人員削減の上積みもある。
 保線、電力、信通、土木、さらに検修・構内作業の全面外注化で、鉄道輸送の安全にかかわる部門をすべてJRから切り離し、JRが安全に責任を持たない会社になるということだ。「ニューフロンティア21」では、鉄道事業の位置付けは事業戦略の三番目だ。第一は、「ステーションルネッサンス」と称する駅空間を利用した金もうけで、第二はIT(情報技術)の活用だ。鉄道事業は単に駅に客を運ぶ手段でしかない。
 国鉄分割・民営化は、国鉄からJRへの経営形態の転換だが、今度は鉄道事業を中心とした会社ではなくなるということだ。この点でまさに第二の分割・民営化というべき攻撃なのだ。
 全面外注化攻撃はこれから現場段階での具体的な攻防になる。設備部門の外注化は今年度中に一挙に強行されようとしている。まさに国労が総決起すべき時だ。ストライキをもって闘うべきなのだ。ところが、国労本部は今春闘でもストを放棄した。これこそ国労の団結を崩し、現場組合員に苦難を強制しているのだ。さらに闘争団を切り捨て、ゼロ解決の後に残った国労組織がどうなるのか。国労の自己解体―JR連合化の道しかない。

 松崎・JR総連を打倒しよう

 逆に、闘う闘争団とともにJR本体組合員が総決起するなら、第二の分割・民営化の狙いを打ち砕き、闘う国労の再生の展望を切り開くことができるのだ。
 そして黒田・カクマルから分裂して第二の分割・民営化の先兵となり、資本との完全な一体化で生き延びようとする松崎・JR総連を打倒し、国鉄・JR労働運動の革命的再編をつくり出すことができる。
 今春闘で、松崎・JR総連カクマルは資本への屈服ぶりをきわめた。JR東労組は三月三十日、昨年よりわずか百円のベア上積みで裏切り妥結した。JR東の「回答書」には、「ニューフロンティア21」を「労使で協力して取り組む」、業務の外注化の「早急な実施を期待し」ての回答だと書かれている。JR東労組は会社の提案を丸のみして妥結したのだ。
 この新たなJR結託体制を粉砕し、国労を資本と闘う労働組合に再生する以外に、国鉄労働者の生きる道はない。千四十七人闘争の勝利にとっても、松崎・JR総連を打倒し、政府・資本と徹底対決する以外にない。これは自明の上にも自明である。
 こうした中で、動労千葉は、今春闘で百二十時間に及ぶ二波のストライキに立ち上がった。第二波九十六時間乗務員ストでは八百本の列車をぶっ止めた。これは第二の分割・民営化への反撃の決定的な第一歩であり、JR総連解体・組織拡大ののろしである。さらに、千四十七人闘争の勝利に向けた闘いであり、日本労働者階級総体に対するアジテーションである。
 国労組合員もJR総連傘下の組合員も、実はこのように闘いたいと思っている。資本に対する怒りや闘いの意欲は充満しているのだ。ところが、チャレンジ一派などは、動労千葉のストを「解決を妨害するものだ」などと言う始末だ。このような腐敗した幹部をぶっ飛ばし、動労千葉とともに、そして闘う闘争団とともに、今こそJR本体組合員の総決起をかちとろう。
 この闘いは、国鉄労働者だけでなく、全労働者階級の未来をかけた闘いである。日帝資本は、未曽有の経済危機、恐慌の再激化にあえいでいる。政府の緊急経済対策で打ち出した不良債権処理は、産業再生法や民事再生法による大リストラを加速する。郵政事業の数万人削減、NTTの二万七千人削減プラス三万人削減―転籍攻撃などとの闘いとともに、日帝資本の一大資本攻勢に反撃し、労働者の団結と権利を守る闘いだ。国家的不当労働行為と闘う千四十七人を始めとする国鉄労働者こそ、その闘いの最先頭に立つべきだし、十四年の闘いでその位置を獲得しているのだ。
 この四―五月、教育改革粉砕、都議選決戦と一体の闘いとして、国鉄決戦の圧倒的前進をかちとろう。

 資料 国労本部「指示第28号」

解決を阻害する「反組織的行動」等に対する国労の見解と対応について(抜粋)
 ……一部闘争団と団員は、8カ月に及ぶ組織内の討論と一票投票を経て最高決議機関の全国大会で決定された方針を無視して、本部及び闘争団全国連絡会議とも無関係に別紙(略)の通り「解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団」(以下闘う闘争団)を結成し、独自行動やカンパ活動等を展開しようとしている。このような行動は、主観的意図はどうであれ組織内外に混乱を惹起(じゃっき)し、解決を遅らせる要因になることは自明の理であり容認することは出来ない。加えて解決に反対し妨害している勢力を利する事になることは言うまでもない。
 本部は、すでに「闘う闘争団」の行動を中止するよう指示5号(2/6)を発したところであるが、反組織的行動が本格化していることを踏まえ以下の通り指示する。
   記
 @「闘う闘争団」は、国労及び闘争団全国連絡会議とは一切関係ない組織であることを、各級機関及び全組合員(闘争団を含む)に周知徹底を図ること。
 A「闘う闘争団」に参加している闘争団及び闘争団員は、機関及び闘争団全国連絡会議に結集するよう指導強化をはかること。
 B「闘う国労闘争団」が行う諸取り組みについては、国労として一切参加しないことを、各級機関及び全組合員に周知徹底をはかること。
 C支援共闘組織に対して、国労の方針を報告して理解を求める取り組みを積極的に展開すること。

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週刊『前進』(2003号2面2)

動労西日本 吹田機関区でスト “貨物ベアゼロは許さぬ”

 動労西日本は、広島支部の組合員が五日市駅で時限ストを貫徹した三月二十三日の春闘第一波ストに続き、三月三十一日、大阪支部・吹田機関区の組合員が第二波の二十四時間乗務員ストに決起した。
 このストは、JR貨物による二年連続「ベアゼロ」回答を弾劾し、再回答を要求して闘われた。貨物格差と劣悪な労働条件への職場の怒りは充満している。
 スト当日、会社は機関区の門を閉め、十人近い助役らを動員して、スト通告に来た組合員を追い返そうとした。だが、全組合員は、なんとしても機関区の労働者にスト突入を肉声で告げ知らせるのだという強い執念と迫力で一丸となり、この攻撃を粉砕した。
 平岡誠委員長の立ち会いのもとに組合員が当局にスト突入を通告。庁舎前で組合旗を掲げ、職場の労働者にスト突入を宣言して、ともに闘おうと熱烈に呼びかけた。分割・民営化以来初めて、吹田機関区構内に真紅の動輪旗が翻ったのだ。
 機関区の門前には、関西労働組合交流センター、関西合同労組など六十人の労働者がかけつけた。
 門前でのスト突入集会では、ストに立った組合員が「貨物職場の劣悪な労働条件にはもう我慢できない!『貨物赤字』のツケを労働者に転嫁するベアゼロは許せない。職場の仲間から多くの激励を受けた。私は職場のみんなの気持ちを代表してストに決起した。とりわけ貨物労の仲間に呼びかけたい。JR総連本部のカクマルの役員連中を打倒して、労働者の団結で第二の分割・民営化攻撃をうち破ろう」と訴えた。
 宮武章治関西合同労組書記長が、「吹田機関区には闘いの歴史と伝統がある。一九五二年六月二十四日、朝鮮戦争に反対して、在日朝鮮人民を始めとする労働者千余人が吹田操車場に結集し、官憲と実力で闘った吹田事件を思い起こそう。今再び、あのような闘いが求められている」と力強く連帯のあいさつ。「貨物ベアゼロ粉砕!」のシュプレヒコールが響き渡った。
 動労西日本は事前に職場の国労、建交労(全動労)、鉄産労、貨物労の各組合に「当局からスト破り乗務の要請があった場合は、毅然(きぜん)たる対応をしていただきたい。ベアゼロ攻撃とともに闘おう」という書面申し入れを行った。「うちの組合員は絶対スト破りには乗せない。それが仁義だ」と快諾した国労を始め、建交労、鉄産労は申し入れを受諾したが、貨物労は申し入れ書の受け取りすら拒否し、傘下組合員をスト破り乗務につかせた。会社は、指導助役をスト破り列車の全行程に添乗させたが、それは職場の労働者の怒りをかっただけだ。
 このストは、職場の閉塞(へいそく)感を一掃した。労働者は一様に「よくやってくれた。ありがとう」「闘う熱意を見習わねば」「自分もやりたかった」という声を上げている。貨物労の組合員も「本当は協力したいぐらいだ」「貨物労の役員は許せない」という声を寄せている。
 このストライキは、職場の怒りを体現して貫かれ、職場の団結をよみがえらせた。とりわけ、貨物労傘下の青年労働者に「闘う動労を再建しよう」と力強く呼びかける闘いとなった。

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週刊『前進』(2003号2面3)

介護保険廃止へ前進を 奪われた福祉とりもどす いのちの叫びを広げよう

 既報のように四月一日、「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の総会と一周年記念集会が七百二十人の参加でかちとられた。高齢者が生きる権利を高らかに宣言し、介護保険を打ち砕き、介護の全面保障を実現するその日まで、やむことのない闘いがここに力強く開始されたのだ。

 生きる権利を宣言し、立ち上がる高齢者

 介護保険制度は、高齢者を切り捨て、高齢者のいのちを奪う国家的殺人制度である。制度実施から一年、その正体は完全に明らかになった。国と自治体の公費による福祉が高齢者から奪われ、金で介護を買う制度になって以来、いったい何が起きてきたか。
 ひとり暮らしの高齢者が相次いで「孤独死」に追いやられ、老老介護世帯の高齢者の餓死や心中が後を絶たない。年金だけが頼りの高齢者から天引きで保険料がむしり取られ、一割自己負担の利用料が払えなければ必要な介護も受けることができない。追い打ちをかけるように老人医療費は今年一月、一割自己負担に引き上げられ、金がなければ病気でも医者にかかれなくなった。十月には、介護保険料の全額徴収が始まる。
 東京で暮らす六十五歳以上の高齢者は百八十二万人、その五八%が受給する国民年金の平均額は一カ月五万百六十四円に過ぎない。六十五歳以上の高齢者のうち、無年金者は八万千人に上る。年金を受給できても、わずかの年金は家賃と食費に消え、夜は電気を消しテレビもつけず、つめに火をともすような生計を営む高齢者が多数いる。
 介護保険制度は、明日の生活と介護のことを考えれば夜も眠れない不安に高齢者を突き落とした。高齢者にとって、それはまさに「死ね」というに等しいものだ。制度実施から一年、既成事実のもとで高齢者は怒りの声も上げることができないほどに追いつめられてきたのである。
 四月一日は、この情勢を突き破り、転換させる闘いの宣言の日となった。一切の重しを跳ね飛ばし、高齢者自身が団結して立ち上がり、堂々と胸を張って生きる権利を宣言した。高齢者が、一人ひとりの思いをつなげ、団結し、苦しみを叫びに変え、怒りを要求に変えて立ち上がった。「一緒になって声をかぎりに訴えよう! あなたはひとりじゃない」「生きることがたたかいであり、誇りである。そのためにますます団結を強めよう!」と。
 このいのちのメッセージをすべての人びとに伝え、労働者階級全体の怒りに変え、介護保険制度廃止の大運動を起こそう。高齢者が団結し怒りの声を上げることそのものが、この非人間的制度を、腐敗しきった社会もろとも根底から突き崩していく大衆行動である。

 介護全面保障の実現へ団結と大衆行動を

 「誰でも必要な時に受けられる介護」「介護の社会化」をうたい文句に強行された介護保険制度が、制度以前には不十分にせよ受けられた介護すら保障せず、高い保険料と利用料を取られても必要な介護は受けられない国家的詐欺であることもはっきりした。
 高齢者や「障害者」を始め、介護を必要とする人が人間的生活を営むための介護とは、そもそも要介護度のように数値で格付けしたり、介護報酬単価のように金銭コストに換算できるものではない。
 必要な介護はすべて保障されるべきものだ。生きるために必要な介護を求める闘いによってかちとられた権利としての福祉、国と自治体による全額負担を義務づけた制度をなくし、金銭契約で利用する介護保険に転換したところから、今日の一切の問題は引き起こされている。
 @介護が必要でも保険料を払えなければ切り捨てられ、A保険料を払っても、利用料を払えなければ一切介護が受けられず、B利用料を払っても、制度以前よりもはるかに不十分な介護しか受けられず、C保険の枠内であれ枠外であれ、介護サービスに高い料金を払えるごく限られた人びとしか必要な介護は受けられない||これが現実だ。
 保険料・利用料の減免や独自の要介護認定・介護内容を決める自治体が続出するのは当然である。利用料を軽減する市町村は、実施予定を含め六百自治体、全体の二一%に達する。六十五歳以上の第一号被保険者の保険料を減免する市町村は、実施予定も含め百五十二自治体にも上る。
 介護保険制度をやめさせ、廃止に追い込むのは、高齢者を先頭とする労働者階級の大衆行動である。
 杉並での「住民の会」の一月対区交渉は、Bさんの利用料自己負担の減額、高齢者・「障害者」の移送サービス、介護保険を超えるサービスの福祉施策の適用による保障を認めさせ、「非課税世帯への利用料負担助成」制度を実現した。
 四月二日の厚生労働省交渉では、自治体の実態調査への国の助成を認めさせ、百〜二百円でも介護保険料納付として認めるという保険料減額の具体的目安を明示させた。さらに、「孤独死が起きないようにしなければならない」と表明させ、努力することを厚生労働省に約束させた。
 奪われた福祉は奪い返そう! 必要な介護は、団結し、要求し、もぎ取ろう!いのちの叫び、いのちのメッセージ、いのちのネットワークを全国に広げよう。
 @介護は全額公費負担で! A必要な人に必要な介護を! B憲法違反の介護保険制度をなくせ! この主張を高く掲げ、国と都道府県、区市町村に保険料・利用料減免、介護の全面保障の要求、かなえるべきすべての要求をもって押しかけよう。どんなに悪らつな暴政でも、闘って一点でも具体的に突き破るならば、遼原(りょうげん)の火のように闘いは必ず燃え広がっていくのだ。

 福祉はすべて闘いの獲得物、国家の義務だ

 戦後の社会保障の権利や労働基本権は、すべて労働者階級が団結し、自ら行動し闘って、国と資本家階級に譲歩を強制し、実力でもぎ取ったものだ。闘いなしにあらかじめ与えられた権利など、一つとしてない。
 困窮者への無差別・平等の生活保護を定めた旧生活保護法は、二十五万人がデモで皇居に突入した食糧メーデー(一九四六年五月十九日)の闘いによるものだ。生活保護法による結核療養中の朝日茂さんへの保護費削減に対し、朝日さんは憲法第二五条違反で訴訟を起こし、日本患者同盟の決死の支援の闘いは全国に共感を呼び、一審東京地裁全面勝訴判決をかちとった(六〇年十月十九日)。
 六〇―六二年の「自分たちで命を守った村」岩手県沢内村の、乳児と六十歳以上の高齢者への国保十割給付を実現した闘い、六九年の東京・文京区の老人健診完全実施要求を起点とした老人医療無料化運動は、七〇年安保・沖縄闘争の爆発のもとで美濃部革新都政による「老人医療費助成条例」を実現させ、全国自治体に波及して、七三年改正老人福祉法施行による老人医療費無料化に結実した。
 社会から隔離・排除の対象とされてきた「障害者」は、自ら介護をかちとる主体として決起し、七〇年代の闘いをとおして「障害者」の権利として地域自立生活の道を切り開いた。
 年金額の大幅引き上げを認めた年金法改正も、七三年の春闘共闘傘下五十三単産の「戦後最大規模の政治スト」といわれる年金統一ストの闘いによるものだ。
 同じ年には、女子保護規定に反する深夜残業強制に対して、大阪の繊維会社の女性労働者百人が寄宿舎からの五日間の緊急避難・高野山ろう城で決起し、深夜労働廃止を認めさせ、全国で女子保護規定無視の深夜労働強制を跳ね返す大反撃を生み出した。
 フランスではこの一月、定年延長に伴う年金拠出拒否の資本攻勢に四十万人のデモが爆発した。動労千葉は、大幅賃上げ獲得、千四十七人の解雇撤回・原職復帰、シニア制度−業務全面外注化反対を掲げ、百二十時間の大ストライキをうちぬいた。中小の労働組合が春闘ストに立ち上がっている。四月一日の集会にも、首都圏から多数の介護・福祉労働者が参加した。
 資本攻勢、社会保障解体攻撃の激化は、労働者階級の怒りを呼び起こしている。生きる権利をめぐる闘いは、譲れない人間の尊厳をかけた闘いだからだ。憲法第二五条は「生存権と国の社会的使命」を明記している。憲法違反の介護保険制度の廃止を掲げ、大運動を起こそう。福祉・介護・保育、医療・年金、賃金・雇用、生活保護、住宅は、国・自治体と企業の義務、労働者階級の権利だ。
 この社会のすべてを生産し、国と資本家を実際に養っているのは労働者階級である。労働者が年をとったり、病気で働けなくなったり、支援・介護なしに生活できなくなった場合に、それを支えるのは国と資本の当たり前の義務である。そもそも、高齢者や「障害者」を支えるのは、社会の責務である。国や資本家がこれまでのやり方すらやめ、その義務を放り出すならば、労働者階級は生きるために資本家階級に取って代わり、働く者が幸せになり、人間が人間として生きられる社会を自身の力で打ち立てるしかない。
 介護保険廃止、介護の全面保障を要求する闘いは、労働者階級自身の革命的大衆行動の開始であり、その決定的一環である。

 都議選勝利で福祉切り捨ての石原打倒へ

 石原知事は、福祉・社会保障切り捨ての先兵として、七〇年安保・沖縄闘争で労働者階級がもぎ取った獲得物としての美濃部都政以来の福祉制度を一掃し、廃止しようとしている。
 昨年度からの老人福祉手当・老人医療費助成・特別養護老人ホーム加算事業の廃止は、介護保険強行と軌を一にした高齢者切り捨て施策である。ただちにやめさせなければならない。
 老人福祉手当は、月五万五千円の支給を毎年減らし、二〇〇二年度までの三年間で廃止しようとしている。定年後の六十五歳から老人保健法が適用される七〇歳までの五年間をつなぐ老人医療費助成は、適用年齢を段階的に引き上げて、二〇〇六年六月までの六年間で廃止しようとしており、負担は数倍に跳ね上がる。さらに、特養ホーム加算事業廃止は、補助で維持されてきた施設の運営危機を招いている。
 石原は、介護保険実施に先立ち「福祉サービスは、行政による措置制度から、利用者と提供者の契約に基づくものに変わる」と、介護や医療は金銭で売り買いする商品であると宣言した。また「自殺はボケ(ママ)に比べてもはるかに人間的な選択」「自分の存立への知覚を失った人間の生が本当の生といえるのか」と高齢者・「障害者」の生きる権利否定の差別暴言を繰り返している。
 介護保険を推進し石原に屈服した日本共産党などに代わり、石原の福祉切り捨て施策を打ち破る都議会議員の誕生は決定的だ。介護保険廃止の先頭に立つけしば誠一氏を都議会に絶対に送り出そう!
〔野田克也〕

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週刊『前進』(2003号3面1)

けしば誠一候補の鮮明な旗印 6つの重点政策 4つの主張
 自民党は一人残らず落とせ 危険な石原都政と真っ向勝負  

 「つくる会」教科書の検定通過|採択強行の攻撃が強まる中で、いよいよ都議選決戦が政治決戦へと押し上げられた。けしば誠一候補の当選をなんとしてもかちとり、腐敗と汚職にまみれた自民党を打倒しよう。杉並の街頭で自民党打倒・石原打倒を訴え、「つくる会」教科書の採択阻止や「全額公費で必要な人に必要な介護を」と訴えるけしば候補の主張が、圧倒的な共感をもって迎えられている。大恐慌情勢の深まりの中で侵略と戦争に突き進む日帝を打倒するために、総力決起で都議選決戦の勝利をもぎ取ろう。

 戦争賛美教科書採択許さず改憲と戦争国家化を阻もう

 都政を革新する会のけしば誠一候補は、街頭などで都議選に臨む政策と主張を「六つの重点政策、四つの主張」として打ち出している。六つの重点政策は、
 @石原知事の銀行・ゼネコンのための大型公共事業をやめさせ、くらし・福祉・環境を最優先に
 A介護は全額公費負担で、必要な人に必要な介護を、憲法違反の介護保険制度をなくそう
 B子どもたちがのびのび生きられる世の中に。歴史をねじ曲げ、戦争を賛美する教科書は使わせない
 Cすべてのリストラに反対。働く者・中小事業者のくらしと権利を守る。職場と地域の団結を
 D学校給食の民間委託に反対し、子どもたちに安全でおいしい給食を
 E女性が安心して働ける保育所と職場を! 公立保育所つぶしと保育職員の人減らし合理化に反対!

 である。

 四つの主張は、
 @自民党を一人残らず落とそう!
 A熱い心で都政革新。石原都政と真っ向勝負します!
 B憲法改悪に反対し、戦争も差別もない、働く者が幸せになれる社会をつくります
 Cけしば誠一は、みなさんとともに、行動し政治を変えます

 という内容である。
 この政策と主張の中に、大恐慌情勢の中で一切の矛盾と犠牲を労働者人民に押しつけ、朝鮮・中国侵略戦争に向かおうとする日帝・自民党の攻撃を打ち破って、労働者民衆の新しい時代を切り開いていく基本路線と政策が貫かれている。
 六月の都議選は、大企業救済のために労働者民衆に犠牲を強制する自民党政治を打ち倒し、全滅させる決戦の場として据えられた。日帝・自民党による政治支配を根本からくつがえす第一歩としなければならない。まさに自民党のこれ以上の延命を許すのか、それとも自民党を打倒して労働者民衆の新しい時代を切り開くのかが問われている。
 自民党は、マスコミを使って総裁選を大宣伝することで労働者人民の注目を集め、地に落ちた支持率の回復を図ろうとしている。しかし、そんなことで労働者人民の自民党に対する怒りが和らぐものではない。むしろ自民党自身の権力・利権争いをさらけ出し、自滅的な動揺と混迷を一層進行させている。
 まさに「上層がこれまでどおりやって行けなくなった」(レーニン)のである。今こそ革命的大衆行動を爆発させ、革命的議会主義を大いに強め、労働組合運動の階級的再生をなしとげながら、資本家階級の支配を打ち破っていく絶好機が到来しているのである。
 今日の日帝の政治危機、自民党支配の危機は何を示しているのか。日帝の経済危機がどのような財政・金融政策をもってしてももはや乗り切れないほど激しく深まっていること、それが広範な労働者人民の憤激を呼び起こし、自民党が従来どおりでは支配を維持できなくなったということだ。日帝の深刻な経済危機が回復しえない巨大な政治危機に転化しているのだ。
 自民党は、総裁選の中で「景気回復か財政再建か」などと問題を立てて、各候補はあたかも自民党政権下で景気が良くなるかのように宣伝している。
 だが自民党の誰が政権を取ろうとも現在の日帝の経済危機が回復へと向かうことなどありえない。過剰資本・過剰生産力の重圧からけっして逃れられないのである。自民党の「緊急経済対策」で言われている不良債権処理も何十万という中小業者をつぶすものであり、大資本を救済するために労働者人民を大リストラ・首切りの嵐(あらし)にさらすものである。
 今や世界経済は、二九年型大恐慌の過程に突入しており、一層の恐慌の激化は避けられない。その中で、日帝は改憲=戦争国家化を唯一の延命路線にしている。そのために「新しい歴史教科書をつくる会」の戦争賛美・天皇制翼賛の中学歴史、公民の教科書をアジア人民、日本人民の反対を押し切って学校現場に強制しようとしている。四月三日の「つくる会」教科書の検定合格は、戦後史を画する重大事件である。再び戦争への道を許すのか、それとも戦争を不可避とする帝国主義・資本主義を打倒するのかということだ。
 「つくる会」教科書は、日帝のアジア侵略戦争を完全に居直り、天皇制の暗黒支配を美化し、若者を再び侵略戦争に動員しようとするものである。かつて天皇制テロルのもとで労働者民衆が侵略戦争、帝国主義戦争に駆り立てられていったように、これを許せば再び「天皇のためにアジア人民を虐殺する」「天皇のために死ぬ」ことが暴力的に強制されるのである。
 朝鮮・中国|アジア人民の激しい怒りの爆発の中で、韓国政府は日帝に再修正を要求したが、町村文科相を始め日帝はこれをあくまで拒否している。東京都など各自治体の教育委員会では採択を強行する動きが強まっている。しかも自民党総裁選に立っている橋本、小泉、亀井、麻生は四人とも「つくる会」教科書に賛成と公言している。これは全アジア人民を敵に回す重大な事態である。
 こうした事態が、帝国主義支配階級として求心力を失った自民党の混迷のもとで進行しているのである。日帝は、経済危機、政治危機が激化すればするほど凶暴な侵略戦争への道に突進しているのである。
 都議選でけしば候補の当選をかちとることは、この没落し、凶暴化する日帝を打倒していく戦略的勝利となるのだ。

 石原の政策は侵略戦争動員と環境破壊と福祉切り捨て

 けしば候補は、石原都政との対決を真正面から打ち出している。石原都知事は自民党を批判するポーズを取っているが、これはまったくのインチキであり、人民を欺くものである。石原は、四月十六日には森や元首相中曽根らと会談し、自民党危機の救済策を話し合っている。
 石原は、日帝・自民党がやりたくてできないことを、自民党を批判するポーズを押し出して実行しているのである。「心の東京革命」と称する石原の教育改革は、文科省と連携して「つくる会」教科書を推進するためのものである。東京都教育委員会は二月八日、各区市町村教育委員会に現場の教員の意見を排除するように通知した。教科書決戦は石原との決戦だ。特に杉並の山田区長が「教科用図書採択要綱」とその「細目」を変更し、学校票や「絞り込み」を禁止する一方、教育委員を更迭して勝共連合系の反動的人物を教育委員にするなど「つくる会」教科書の採択に向けた攻撃を強めている。教科書攻防は、東京・杉並が完全に決戦になっている。
 また石原はディーゼル車規制を押し出して環境問題に取り組んでいるかのように装っているが、これもまったくのペテンだ。土地収用法改悪を率先して策動し、ほとんど凍結状態にあった外郭環状道路や放射5号線の建設を強引に進め、大型道路建設によって大企業の利益を図ろうというのだ。それは同時に東京を軍事都市に変貌(へんぼう)させるものである。この大型道路建設はナチス・ドイツの軍用道路・アウトバーン建設と同じ攻撃である。
 日帝の未曽有(みぞう)の内外危機が深まっているからこそ、石原を中心とするファシスト勢力が密集し、排外主義と差別主義をあおり立て、天皇制賛美と侵略と戦争への道に突き進んでいる。このファシストとの対決が日本階級闘争の正面テーマとなっていることをはっきりさせ、石原都政を真っ向から打倒しなければならない。

 「是々非々」の日共ではダメ 民衆とともに闘う政治家を

 日帝の福祉切り捨て、侵略と戦争への攻撃と闘うために何が必要か。それは、けしば候補が訴えているように、大衆自身が闘いに立ち上がることである。
 すでに高齢者から介護を奪う介護保険制度に反対して「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の人びとが高齢者を先頭に介護保険廃止の大衆的闘いに立ち上がっている。その中で杉並区の低所得者への介護保険利用料助成という大きな成果をかちとっている。また、杉並区の学校給食の民間委託化では、給食調理員や栄養士など現場を始めとした区職の労働者、保護者・住民の闘いで四月実施を阻み、九月実施の阻止へと闘いはさらに激化しつつある。
 今、本当に労働者人民が団結し、闘いに立ち上がることが求められている。資本主義の危機が爆発し、資本主義のもとでは労働者民衆が生きられなくなっている中で、労働者人民の革命的大衆行動こそが未来を切り開くのである。けしば候補は、そうした労働者民衆とともに闘う候補である。既成の政治家のように、利益誘導で票を集め、利権に群がり、汚職と腐敗にまみれた議員ではない。労働者民衆とともに歩み、ともに闘うけしば候補の民衆議員としての素晴らしい姿が示されている。
 けしば候補の闘いの対極で、日本共産党スターリン主義は反動的で腐敗した姿をさらけ出している。日共は、ファシスト石原に対して「是々非々」と称して完全に屈服している。「是々非々」とはいうが「非」とはいったいどこなのか、何も言わない。まったく対決しようとしていないのだ。ファシスト石原の侵略と戦争の攻撃、排外主義、差別主義の扇動に対して完全に屈服し、むしろ「反米愛国」で石原のしっぽにくっついて回っている始末だ。
 「国旗・国歌」法制化や「有事の自衛隊活用」を唱えるなど、日共は、日帝の改憲・戦争国家化の攻撃に恐れをなして闘いから逃亡し、労働者人民の闘いを解体する役割を担っているのだ。
 この日共の裏切りと敵対を許さず、打ち破ってけしば候補の当選をかちとろう。
 けしば候補の「六つの重点政策、四つの主張」にしっかりと立って、都議選勝利へともに闘い抜こう。

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週刊『前進』(2003号3面2)

首切りと団結破壊を狙う「公務員制度改革の大枠」
 自治労中央の屈服は許せぬ 職場から反撃に立とう

 資本攻勢制約する「壁」破壊

 政府の行政改革推進本部は三月二十七日、「公務員制度改革の大枠」を決定し発表した。政府はこれをもとに六月中にも新たな公務員制度の基本設計をまとめ、その後、国家公務員法などの改定作業に着手するとしている。
 「大枠」は、@職務給・号俸による年功的な賃金・人事制度を廃止し「能力・職責・業績」を反映する「信賞必罰」の人事・賃金制度の構築、A総合的・戦略的な政策を立案する「国家戦略スタッフ群(仮称)」の創設、B人事院による賃金・人事管理を改廃して、各省庁の大臣に権限を移す||などを提唱している。Cスト権を始めとした労働基本権の付与については、「検討する」としか述べていない。
 この攻撃は、第一に、公務員賃金・人事制度を抜本的に改悪して、公務員労働者を日帝・資本家の都合でいつでも首切り・賃下げできる労働条件にたたき込み、労働者階級総体への大資本攻勢を一挙に強めようとするものである。
 今年の日経連労問研報告は、「民間が仕事をしやすい基盤をつくるため、一段の公的規制改革と行財政改革を」と政府に注文している。今回の「大枠」は、この資本家階級の狙いを貫こうとするものである。戦後の公務員|自治体労働運動が、スト権剥奪(はくだつ)など労働基本権の制限のもとで闘って獲得してきた地平を破壊し、資本攻勢を制約する「壁」を取っ払って、一層の大リストラと賃下げ、団結破壊を労働者階級総体にかけようとしているのだ。郵政事業庁が三月三十日に組合側に提示した一万人〜数万人の大リストラ計画は、その最先端の攻撃である。

 忠誠度はかる「信賞必罰」!

 「大枠」の攻撃は第二に、帝国主義間争闘戦を貫徹し、戦争のできる国家づくりを狙う大攻撃である。
 「大枠」は、冒頭で「トータルの国際競争力が厳しく問われる時代に、われわれは足を踏み入れている」と帝国主義間争闘戦の激化にあえぐ日帝の危機意識をあらわにしている。そして、一月の中央省庁再編を踏まえ、「新たな政府の組織で働くのは新たな公務員でなければならない」として、「国際競争力のある政策立案機能を行政の側で担うことのできる公務員」づくり、「公務員一人一人の意識・行動原理の改革」を押し出している。
 首相と内閣を補佐する「国家戦略スタッフ群」の創設は、日帝の有事体制づくりの一環であり、議会の権限をますます形がい化し、米大統領府にならった強力な執行体制を確立しようとする攻撃である。
 また、年功的人事・賃金制度を廃止し、「信賞必罰」の能力・業績主義への転換を打ち出してきた。「優れた能力を示し大きな業績をあげた者は高く処遇される一方、組織に安住し職務をまっとうしなかった者は厳しく処遇される」と宣言している。
 結局、公務員の「人事評価」とは、国家権力|当局への忠誠度、戦争政策への積極的協力度をはかるものであり、そのために労働者を「自発的」に(実は強制そのもの)競争に駆り立てる装置なのである。
 たとえば、「手続きを簡素化すること、予算を節約することなどが高く評価される」と例示している。つまり、労働者階級の立場に立って人民の生活と福祉の向上のために予算を増やすような公務員は失格だというわけだ。
 「信賞必罰」とはなんという言いぐさか! 「働きが悪ければ罰する」などという、労働者の尊厳を踏みにじる制度改悪を、断じて許してはならない。

 差別分断反対が組合の原点

 公務員制度改革は、一般行政職の国家公務員だけでなく、郵政労働者や自治体労働者、教育労働者に波及していくことは必至だ。日帝は、国・地方いずれにおいても現業労働者を合理化・民間委託・民営化・業務統廃合などさまざまな方法で切り捨て、公務員労働者の労働者意識=階級性を解体し、公務員を警察や軍隊などと同様に国家統治の末端機構として再組織し掌握しようとしているのだ。だからこそ、労働基本権を回復することなどは、まったくやる気がないのだ。
 この攻撃と一体となって、市町村合併の攻撃が同時に強権的に進められつつある。自治体労働者への大リストラ攻撃であり、地域住民の福祉・生活の破壊、「地方自治」の破壊をとおして、日帝が階級支配を強めようという攻撃である。
 連合|自治労は「大枠」に対して「笹森事務局長談話」を発表した。それは日帝の体制的危機と戦争国家化攻撃、大資本攻勢のもとで出された「大枠」の重大な攻撃性を何ひとつ弾劾していない。さらに、能力・業績主義の導入に反対せず、度し難い屈服を深めている。労働者間へのいかなる差別・分断の持ち込みにも反対して闘うのが、労働組合の原点ではないのか。連合|自治労中央は、これをすっかり投げ捨てているのだ。こうした日帝の攻撃と自治労の屈服に対して、労働者の怒りと危機感は日増しに高まっている。
 公務員制度改革|自治体労働運動をめぐる攻防は、大決戦を迎えた。教労決戦、全逓決戦と結合し、職場の団結を打ち固めて反撃に立とう。労働者階級の闘いの飛躍をかけて、六月都議選決戦に勝利しよう。

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週刊『前進』(2003号3面3)

連載 社会保障解体を許すな 奪われる介護・医療・年金 10(最終回)
営利化で子どもの命奪われる 児童福祉予算の削減 無認可保育所で窒息死

 今年の三月、東京・池袋にある保育所「ちびっこ園池袋西」で、四カ月の乳児が就寝中に窒息死する痛ましい事故が発生した。事故を起こした「ちびっこ園」は二十四時間保育をする無認可保育所で、全国約六十カ所でチェーン保育所を経営している。
 事故の背景には無認可保育所の「人員不足と施設の不備」、行政による黙認の事実がある。だが、そればかりではない。国が「子の福祉」としての保育行政を後退させた結果が事故を引き起こしているのだ。
 今回は、社会保障解体攻撃が、労働者人民の子どもたちの保育所をどう変質させているかを明らかにしたい。

 97年保育所の措置制度解体

 九七年十二月に介護保険法が成立した。その半年前に児童福祉法が改悪されている。この九七年法改悪と九八年実施が保育行政の大きな転換点となった。
 九七年児童福祉法改悪は、「保育に欠ける児童にたいする国の措置(児童と扶養義務者の権利であり、国の義務である措置)」という旧法を改悪して、「利用者の選択と申請による市町村の『応諾義務』」と規定した。戦後、四七年に制定された児童福祉法の基本理念は児童の人格の「尊厳性・無差別性・自己実現」の保護・育成である。そのために「保育に欠ける児童」への保育の「保障」、国の措置義務が規定されていた。
 改悪によって、「保育に欠ける児童への措置」が解体され、代わりに「環境整備・健全育成・自立支援」が政策理念とされた。
 その結果、九八年度からの保育所入所は、行政の措置義務ではなく「保護者が希望する保育所利用を申し込み、市町村が当該保育所において保育を行うもの」となった。また、保育所運営費の国庫分担金(二分の一)が単なる利用者への補助金とされた。
 保育料は、応能負担(扶養義務者の収入に応じた負担)の徴収区分が十区分から七区分になり、実質値上げとなった。
 すでに八〇年代の行政改革の結果、保育施設運営費の国庫分担率が、八四年にそれまでの八割から七割に、八六年にはさらに五割に低減されている。八九年には五割分担率の固定化を決定した。九七|九八年改悪は、保育費国庫分担金を、利用者補助金に転換した。
 これは国の財政負担を限りなく減少させ利用者負担を増大させる改悪である。例えば国が定めた基準額として、課税世帯で年収二百四十三万円以内の場合、九六年度から九八年度の二年間で三歳未満児で月額七千円が九千円に、三歳以上児で五千円が六千円に値上げされた。
 国家予算(一般会計)に占める保育所予算は、七〇年代の〇・八%から二〇〇〇年には〇・四%へと半減してしまっている。
 「規制緩和と受益者負担の徹底、民間活力の導入」による福祉解体が、保育所行政で先行したのである。

 民間企業参入で公立統廃合

 九八年一月、厚生省は保育所最低基準を一片の「厚生省令」で改悪した。
 「@無資格者率二割以内の規制緩和A調理室必置規制緩和B有資格保育士定数にパート勤務保育士導入の承認等」である。保育所の民営化と私企業参入の条件整備として保育士の労働条件を改悪したのである。
 二〇〇〇年四月、厚生省は認可保育所の運営主体を自治体と社会福祉法人に限定せず、民間企業の参入を容認する決定をした。また、二〇〇〇年四月からの介護保険制度の実施にともなって社会福祉事業法などが一部改定され、社会福祉法人の設立要件が緩和された。他方で厚生省は公立保育所の統廃合を進めようとしており、今後ますます冒頭の「ちびっこ園」のようなチャイルド・ビジネスが全国展開すると予想される。
 首都圏など都市部に集中する無認可保育所(認可外保育所)は、法的規制を受けない。
 かつて一九六九年、女性労働者を先頭にした総評などの労働組合の要求にこたえて革新美濃部都知事が「無認可保育所への財政支援」などを決定した。東京都は七〇年代以後、無認可保育所財政支援と私立保育所の保育士給与を「公務員なみ」水準に維持するために補助金を交付してきた。
 だが福祉切り捨てを強行する石原都知事は、美濃部都政以来の「公私格差是正」など都の保育行政を大転換した。二〇〇一年度からは無認可保育所を選別し、補助金を与える認証保育所制度をつくろうとしている。選別の基準は「十三時間保育」「直接契約方式」「通勤に便利な駅前保育」などである。JR東日本会社は九九年に百カ所の「駅前保育所」構想を打ち上げている。

 「保育ニーズ」論とパート化

 九九年の新エンゼルプランは「子育て支援」を表看板にしているが、「児童福祉」を一言も語らず、代わりに「保育ニーズ」をもちだしている。
 「保育ニーズ」とは何か。それは労働者の、ではなく資本のニーズである。八六年「派遣法」と「男女雇用機会均等法」施行から九一年の「育児休業法」、九三年の「パート労働法」「労基法の女子保護規定撤廃」、九五年の「日経連労問研報告」=「日本的労働慣行の見直し」など、一大資本攻勢によって、女性労働者の置かれた状況は激変してきた。正規雇用で乳幼児を抱えて働き続けることはますます困難になった。
 もはや、戦後の女性労働者に見られた「M字型雇用」(出産・育児期にいったん退職し再就職する)は成立しない。三歳未満の乳幼児を抱えた女性労働者の多くが派遣・パート労働で働いている。非正規・不安定雇用者として深夜労働など変則勤務に従事する母親が増えているのである。
 こうした女性が働くための「保育ニーズ」とされているのが@延長保育A一時・病児保育B駅前保育などである。
 だが、保育所は「単なる託児所」ではない。戦後、労働者階級が闘いによって営々として築きあげてきた権利としての保育内容がある。
 保育所は、保護・育成の場であり、子どもの「生活リズムにそった生活概念」としての福祉の場である。延長保育や一時保育、遊び場もない駅前保育などの「保育ニーズ」優先は公的保育の後退であり、働く女性と子どもにとって「追い込まれた選択」以外の何ものでもない。同時に、保育労働者に劣悪な労働条件を押し付ける攻撃なのである。

 保育は子どもと女性の権利

 福祉としての保育は、子どもと女性の権利である。必要な保育はすべて公的責任で保障すべきである。子どもの命を脅かす保育所の営利事業化をこれ以上許すわけにはいかない。育児期の女性労働者と保育労働者を先頭に、生活といのちを守る闘いとして公的保育所を闘いとろう。

保育所の現状(99年4月)
公営認可保育所
12,879
民営認可保育所
9,396
無認可保育所
10,174
認可保育所入所児童
約174万人
無認可保育所入所児童
約23万人
幼稚園児童
約178万人
保育所入所待機児童
97年
約4万人
99年
約3,2万人

 〔林 佐和子〕
 (シリーズおわり)

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週刊『前進』(2003号4面1)

今春卒・入学式の闘いを階級決戦として打ち抜く 「日の丸・君が代」闘争の永続化へ
 「つくる会」教科書採択許さぬ 

 今春「日の丸・君が代」決戦は、昨年の人民総反乱の闘いを引き継いで全国で激烈に打ち抜かれた。わが教労委員会は、吹き荒れる「教育改革」攻撃に抗して全国で闘いの先頭に立ち、激烈な職場闘争を貫き戦略的な大前進をかちとった。この意義と展望、そして当面する課題についてがっちりと確認したい。

 「教育改革」攻撃に痛打浴びせた闘い

 今春の闘いの総括点は第一に、教育改革国民会議報告を受けた「教育改革」の総攻撃が吹き荒れる中で、「日の丸・君が代」決戦を階級決戦として打ち抜くことができたということだ。
 日帝の戦争国家づくりと改憲に向かう戦略的大攻撃として「教育改革」が打ち出され、同時に、森・自公保政権の延命策として「教育国会」が画策される中で、その狙いに痛打を浴びせる闘いを激烈に打ち抜いたのである。
 その入学式闘争の渦中で「新しい歴史教科書をつくる会」教科書が検定に合格し、アジアから一気に闘いが巻き起こっている。
 もともと経済危機と政治危機で倒壊寸前だった森政権だが、教育が延命策となるどころか、政治危機を一層激化させる重大問題となってしまった。国内的にも教育労働者と人民による不屈の「日の丸・君が代」闘争が繰り広げられ、教育をめぐる巨大な階級激突が海を越えて拡大し、完全な国際問題となっている。
 第二に、九八年の広島攻撃以来の総攻撃にもかかわらず、不屈に闘いが繰り広げられ、「日の丸・君が代」闘争の永続化がかちとられたことを確認しよう。
 国旗・国歌法成立以来の一斉実施攻撃をもっても、日帝・文部科学省―教育委員会は教育労働者の闘いを制圧することができない。広島から東京・国立、神奈川、大阪、北海道、さらに千葉、兵庫へと、攻撃を拡大しただけ闘いが広がり、日帝はそれを制圧できないまま、戦後教育の全面解体の攻撃に打って出ざるをえなくされているのだ。
 また、わが教労の同志と闘う仲間は、八〇年代以来の攻防ですでに「日の丸・君が代」闘争は終わったとされてきた地方でも、新たに闘いを開始してきた。
 戦後一貫して反戦平和運動の中軸となり、国労とともに階級的労働運動の柱としてあり続けてきたのが日教組運動だ。中央や各県執行部がどれほど連合路線になろうと、「教え子を再び戦場に送るな」を堅持する教育労働者の闘う力は健在だ。この教育労働者と日教組を徹底的に解体しないかぎり、戦争国家づくりを完成させることはできない。
 いよいよ、教育をめぐる本格的な階級決戦の爆発は不可避だ。

 処分はねのけ闘う日教組運動が前進

 第三に、処分、職務命令との激突として闘い抜かれたこと、同時に、日教組・連合執行部の闘争破壊・屈服方針を打ち破って闘い抜かれたことを確認したい。
 昨春の広島・国立・大阪での処分に続いて、昨年末から二月にかけて札幌・千葉・神奈川と職務命令が拡大した。しかし闘う教育労働者はその脅しにまったく屈せず、各地で処分を恐れず闘い抜いた。
 広島では三月末、「不起立・退席」を理由に県立学校の教育労働者百三十九人に処分が強行され、小中学校の教育労働者五十五人への処分通知が出された。これをはねのけ、入学式では被処分者を先頭にさらに着席闘争が貫徹された。「日の丸・君が代」闘争は、東京や広島で先取り的に導入されつつある人事考課制度や「指導力不足教員」制度による首切り攻撃との激突となっているのである。
 第四に、日教組運動の解体を狙う攻撃に対して階級的労働運動の防衛・発展をかけた闘いとして戦略的な前進がかちとられた。
 われわれは歴史的な教育決戦―教労決戦の到来を見据え、中央・各地方とも、現場で闘う同志たちと基本組織および各級指導機関で討議を積み重ね、闘いの成果やぶちあたった壁、そこでの闘いの教訓を全体化させ、それぞれの条件に応じた組織政策を形成してきた。各地方で日教組組織の闘いを内外から支え、牽引(けんいん)し、連合路線に対して闘う路線を対置して闘ってきた。
 この組織政策が闘う組合員大衆と結びつくことで、闘う日教組運動の発展への戦略的前進がかちとられたのだ。また関西では、校務員(用務員)労働者を組織する自治労組織での闘いも前進をかちとっている。
 われわれは、一方で「日の丸・君が代」決戦を五項目の職場闘争復権の闘いとして取り組み、職場ごとの団結を再形成して典型的な職場闘争を推し進めていかなければならないが、それと同時に、闘う労働運動の防衛と再構築の闘いとして四十万日教組全体を対象化しなければならない。
 第五に、教育労働者の不屈の闘いが、各地で広範な高校生の決起を呼び起こしたことだ。生徒・児童たちこそ卒・入学式の主人公であるにもかかわらず、良心の自由を侵され起立・斉唱を強要されることに反対して、闘いが巻き起こった。立ち上がった多くの高校生は、「日の丸・君が代」強制の本質が戦争国家づくりと戦争動員策動にあることを確実に見抜いている。
 ここから新たな高校生運動、学生運動が始まり、青年労働者の運動へと結びついていくに違いない。
 第六に、保護者・地域住民の闘いも広範なものとなったことだ。
 各地で全学連、婦人民主クラブ全国協などによる学校当局や教育委員会への申し入れ行動や街頭宣伝が取り組まれた。さらに闘う部落大衆や闘う在日朝鮮・中国人民との共同闘争が広がり、全人民的な総反乱が昨年に続いてかちとられ、それが新たな教育闘争を切り開くものとなった。
 今日の教育をめぐる階級決戦は、日米新安保ガイドライン体制下の戦争国家づくりとの闘いであり、戦後教育の全面解体攻撃との決戦であるが、今やこの決戦は改憲阻止決戦そのものとなっている。われわれは、階級的労働運動の飛躍をかちとるために教労戦線で全力で闘うことを最基軸にしながら、全人民の課題である改憲阻止決戦そのものとして闘いを組織していかなければならない。
 そこで問われるのは、党そのものであり、その指導路線と組織的貫徹力だ。

 根底的に支えた全党の決戦体制

 今春「日の丸・君が代」決戦の総括点の最後に、全国の闘いを根底において支えたのは党の決戦体制であったということについて確認したい。全国教労委の強化を基礎に、中央的、地方的に決戦本部体制を構築し、闘いと指導を貫徹したことこそ、勝利を切り開いたのである。

 教育労働者は教科書闘争の最先頭に

 教育をめぐる階級決戦は、「新しい歴史教科書をつくる会」による中学用歴史・公民教科書の四・三検定合格発表の大反動を契機に、アジア諸国で闘いが一気に燃え広がり、アジア各国政府が再修正要求を突きつける中で、最大の政治的焦点に押し上げられた。
 侵略戦争の国家責任を徹底的に居直り、新教科書をとおしてその歴史を歪曲・合理化し、公々然と新たな戦争体制を準備する日帝に対して、一気にアジア人民の怒りが爆発した。南朝鮮・韓国では小学生も立ち上がり、世代を越え、学校ぐるみの闘いが巻き起こっている。韓国の国会議員・金泳鎭氏は、国会前で六日間に及ぶ断食闘争に決起し、その闘いは全国各地に引き継がれて広がっている。
 今春「日の丸・君が代」決戦を打ち抜いた教育労働者は、その力のすべてを文科省徹底弾劾、「つくる会」教科書採択阻止の闘いに転化して決起しよう。石原都政との対決を頂点に全国で、教育労働者が先頭に立ち、全人民の教科書闘争の大発展を切り開き、採択を阻もう。
 さらに教育関連法案阻止の闘いを、教科書闘争と結合させて闘い抜こう。この点でも、日教組本部は依然として文科省官僚との「パートナー路線」にしばられ、修正工作がやっとであり、この階級決戦に何の闘争方針も出していない。
 他方、日教組の全面解体攻撃との闘いは、ますます激突局面を迎えている。卒・入学式闘争をめぐって全国で処分策動との闘いに入っている。三重では、時間内組合活動の賃金払戻請求問題を、自主的「寄付」という形で和解決着させようとしている県教組本部に怒りが爆発している。今こそ日教組本部の屈服を弾劾しのりこえ、日教組運動の階級的再生をかちとろう。

 奉仕活動強制の中教審諮問弾劾

 文部科学省は四月十一日、中教審に対して十八歳からの奉仕活動強制と教員免許更新制などについて諮問した。首相がだれに代わるにせよ、「教育改革」から改憲へと進む日帝の基本路線は変わらない。
 教育労働者は、教育決戦としての都議選決戦に全国の力で勝利し、「つくる会」教科書採択阻止、教育関連法案粉砕へ首都と全国で総決起しよう。五・二七全国闘争から八・六ヒロシマ大行動へ総決起しよう。
 〔マル青労同教育労働者委員会〕

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週刊『前進』(2003号4面2)

4・14 ”ゆるすな! 教育改悪” 百万人署名集会に450人

 四月十四日、東京・千代田区公会堂で行われた「ゆるすな! 教育改悪 つぶそう! 有事立法/とめよう戦争への道/四・一四全国集会」に参加しました。「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」主催の集会で、全国から四百五十人が集まり、熱気あふれるすばらしい集会でした。
 元日教組書記長の中小路清雄さんの開会あいさつに続いて、「教育基本法改悪と改憲をゆるさないために」と題する新潟大学教授の成嶋隆さんの講演が行われました。成嶋さんは、一九五〇年代以来の三度の大きな改憲攻撃の軌跡と教科書攻撃の軌跡が重なることを歴史を追って明らかにしました。
 講演を聴きながら、侵略戦争の歴史を否定し戦争を賛美する「つくる会」教科書と、戦争放棄の九条改憲の動きが、実は一体のものなのだと思いました。
 ガイドライン関連法に反対して五万人が集まった九九年の「ストップ戦争法! 五・二一全国大集会」を呼びかけた二十団体のひとつの航空安全会議の代表は、民間航空会社への米軍輸送資格の取得要請や有事立法の動きなどを弾劾し、今後の闘いについて力強く訴えました。戦争を止める労働者の闘いは必ずつくれる、と実感させる発言でした。
 出版労連教科書対策部からの「つくる会」教科書採択阻止の訴えの後、韓国の金泳鎭議員の国会前でのハンストについて日本カトリック正義と平和協議会の木邨健三さんから連帯の特別報告が行われました。
 続いて「沖縄うない五十五年」と題する桑江テル子さんの一人芝居が始まりました。わずかな時間の芝居でしたが、沖縄戦に始まり現在までの沖縄の女性(うない)の五十五年間を凝縮して一気に伝える衝撃的な芝居でした。あらためて九五年十・二一県民大会の原点とは何だったのかを考えさせられました。
 広島からの訴えとして、広島県教組書記長の山根基嗣さんが、教育基本法の見直し要求と教育関連法案を廃案にするために゛改憲・戦争につながる「教育改革」に反対する署名″を呼びかけました。「教育基本法改悪が前提化されたような何でもありの教育行政と闘う広島から全国に発信したい」と訴えました。
 多摩教組、千葉県高教組、三重県教組、北海道教組からは、卒・入学式での「日の丸・君が代」との闘いや組合つぶし攻撃との闘いの教訓に満ちた報告が行われました。それぞれがねばり強く元気に闘っていて感動しました。また呼びかけ人で文芸評論家の中島誠さん、福岡県教組元委員長の梶村晃さん、百万人署名運動事務局長の西川重則さんの訴えがありました。
 最後に百万人署名運動事務局次長の小田原紀雄さんが゛とめよう戦争への道″の闘いとして、地域で、全国で教育改革・教科書改悪阻止のうねりをつくりだそうと行動提起しました。
 運動の輪を広げ、戦争を肯定する「つくる会」の教科書採択をなんとしても阻んでいきたいと思います。(投稿 佐野まさる)

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週刊『前進』(2003号4面3)

2001年卒・入学式「日の丸・君が代」闘争

 国立の教組つぶしと対決して抵抗貫く 東京 教育労働者 笹原ゆり

 今年の卒業式の闘いは、「日の丸・君が代」完全実施を頂点にした、国立の民主教育破壊、教職員組合つぶし攻撃との対決でした。
 国立市の学校教育「改善策」による「管理運営規定」「職員会議細則」により、校長権限・管理体制が強化され、ある学校では指導主事監視下で職員会議が行われました。非組合員も含め、職場全体が「日の丸・君が代」に反対している二つの職場に対し、多摩教組組合員への追い出し攻撃が集中しました。
 都教委・市教委、校長、一部保護者、産経新聞が一体となって、「日の丸・君が代」に関する授業を始めとする授業内容、指導方法、教職員人事にまで介入し、動かすという卑劣な手段がとられたのです。
 被処分者二人は都の「異動要綱」も無視した強制異動をさせられました。被処分者一人は、「指導力不足等教員」に仕立てあげられ、都の研修センター送りとなりました。一部保護者の攻撃で病気になった教員や、軌を一にした校長の肩たたきで異動せざるを得なかった人も複数います。
 そして新学期、東京で初の教頭二人体制が二校で強行され、フリーの教務主任や、新しく転勤してきた人が教務・生活・研究主任を命ぜられるという異例の人事配置も行われました。
 民主主義を踏みにじり、教職員を行政の言いなりにさせようとする数々の暴挙に、職場の怒りは渦巻いています。労働慣行をないがしろにし、処分の上に処分を重ねるような不当な強制異動と「研修所送り」を許さず、法的措置も含め闘いが検討されています。
 こういう攻防の中で迎えた卒業式。当日は、制服警官、公安刑事、市教委に加え、今年は都教委から各校に二人が派遣され、教職員監視と、「日の丸」防衛にあたるというものものしさでした。
 教職員と保護者、子どもたちは、フロアー形式を守り、子どもの正面に「日の丸」がくることを避けたり、派手派手の装飾で「日の丸」色を薄めるなど、さまざまな工夫をしました。
 「半数以上の児童が座ったら担任の責任」と言う校長の発言に、「子どもにも考える力がある」と、子どもたちや保護者の怒りは広がりました。子どもたち、保護者、教職員の「立たない」「歌わない」、退席などの抵抗が貫かれました。
 「内心の自由を守りたい」というクリスチャンの音楽専科教員の訴えに、全国のキリスト者がこたえました。全国から要請はがきが寄せられ、「職務命令を出さず、処分をしないように」という市教委交渉が行われました。このキリスト者と教職員組合の闘いで、職務命令を出させませんでした。この闘いに深く学んでいきたいと思います。
 国立をめぐる攻防は全都、全国の問題と見据え、全国の闘う教組、他労組、保護者、市民と連帯して、地域に根を張って闘い続けます。国立の教職員の闘いの輪の広がりの中にしっかり立って闘っていきます。

 ついに式場正面から引きずり下ろした! 奈良 教育労働者(中学校) 辻村吾郎

 眠れない夜が続いていた。私の職場は緑に包まれた本当に美しい環境にある。この学校に来てちょうど一年がたつ。
 一年前の四月。教職について十七年、入学式で式場正面に掲揚された「日の丸」を経験したのは初めてのことであった。新しい職場に決意も新たに出勤した一日目、いきなり「日の丸」の提案に対して徹底抗戦したが強制を許してしまった。その悔しさがよみがえってくる。そして一カ月前、今度こそ絶対に強制を許さないと臨んだ卒業式でも、校長の強制と断固闘ったが、勝つことはできず、二敗目を喫した。
 そして今年の入学式。もう絶対に負けるわけにはいかない。何がなんでも勝利するという決意を打ち固め、職員会議の日を迎えた。私の職場は、ほとんどが日本共産党系の全教の組合員で、日教組組合員は私ひとり。しかし、これまでの二度の闘いで、強制は許したものの反対意見は出ている。ただ、校長の国旗・国歌法と学習指導要領を根拠とした「法的拘束力」という恫喝によって怒りにふたをされている状況にあった。
 職場の団結をつくり、怒りを解き放つことができれば必ず勝利できる。教育労働者は必ず立ち上がる。私にはその確信があった。一人の決起が大衆決起を必ずつくり出す。自分自身が退路を断って決起できるか、それが問われていた。部落民である私の家族の顔が、仲間の全国連の人びとの顔が思い浮かんだ。そして交流センターの仲間の顔が。
 職員会議が始まった。「私は今回は絶対に引かない。どれだけの部落民が、在日が、アジア人民がこの『日の丸・君が代』によって差別され殺されてきたのか。校長は差別者だ。強制を絶対に許さない」と叫んでいた。
 会議は静まり返っていた。誰も口を開こうとはしない。「日の丸を掲げても解放教育はできる」「校長である私が決める」。しかし、校長の声は徐々に小さくなっていく。「校長の言っていることはおかしい。戦争のための国旗・国歌法などたとえ法であっても守れません」。ついに女性の教育労働者が口を開いた。それを口火として、次々とあふれるように職場の仲間の校長糾弾が始まった。
 「校長はどうするんだ」「私たちの声を聞くのか」
 騒然とした中で、ついに校長は押し黙った。もう何も言わなくなった。そして、一人が用意していたかのように「舞台を生徒の作品で飾りましょう。それでいいですね、校長」と提案した。校長は、敗北感に満ちた顔で「それでいいです」と認めた。大きな拍手がわき上がった。
 ついに「日の丸」を式場正面から引きずり下ろし、フロアーに三脚で立てることになった。まだ学校から一掃されたわけではないが、大きな前進をかちとった。いま職場は勝利感で満ちあふれている。入学式に、新入生を温かく迎えるための会場のデコレーションづくりで、職場は生き生きと動き始めた。

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週刊『前進』(2003号4面4)

2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き 4月11日〜17日
 辺野古2キロ沖で電車並み騒音
 堂本「4者協議会」設置発表

●奉仕活動などを諮問 町村信孝文部科学相が、@青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策などについて、A今後の教員免許制度のあり方について、B今後の高等教育改革の推進方策について、C子どもの体力向上のための総合的な方策についての四項目を中央教育審議会(中教審)に諮問した。昨年十二月に、首相の私的諮問機関である教育改革国民会議の最終報告を受けた内容が中心。(11日)
●全裸の米兵が民家侵入  
沖縄市の民家に全裸で侵入し、住居侵入容疑で米空軍嘉手納基地第一七特殊作戦中隊所属の兵長が現行犯逮捕された。(11日)
●「生物兵器対処の部隊配置を」 防衛庁長官の私的諮問機関「生物兵器への対処に関する懇談会」が、生物兵器に対処できる能力を持った自衛隊専門部隊を将来、全国に配置することなどを柱とした報告書をまとめ、斉藤斗志二防衛庁長官に提出した。(11日)
●米兵がひき逃げ 沖縄・北谷町の国道58号交差点で九日、在沖縄米海兵隊員の乗用車が沖縄市の十八歳の少年のオートバイに衝突後、逃走、少年は意識不明の重体となっていることが明らかとなった。(11日)
●オスプレイ、油圧システムに欠陥 在沖米軍施設への配備が計画されている海兵隊の次期主力機MV22オスプレイに油圧システムの欠陥があることが判明した、と米国防総省が発表。昨年十二月に四人の犠牲者を出した墜落事故の調査で明らかになった。(11日)
●米偵察機乗員を解放 南中国海上空で中国軍機と接触、中国・海南島に緊急着陸、中国政府に拘束されていた米偵察機の乗員二十四人が解放された。(12日)
●「沖縄県内で『つくる会』教科書採択しないで」
「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の検定合格に対し、沖縄戦記録フィルム一フィート運動の会が、沖縄県教育長へ採択しないよう申し入れ。「ひめゆり部隊や鉄血勤皇隊が勇敢に戦ったなどと殉国美談に仕立てあげ、軍人の戦死者が住民の犠牲より多かったなどと歪曲した記述は沖縄戦を体験した県民への冒とく」と強く批判した。(12日)
●自衛隊機着陸「那覇空港以外ない」 防衛庁の北原運用局長が、参院国土交通委員会で、那覇空港での自衛隊機の離着陸が毎年一万回を超えることについて「沖縄地域における防空、海上防衛等の任務を遂行する飛行場としては、那覇空港以外には求められない」と述べ、共用空港として今後も使用するとの見解を示した。(12日)
●「普天間」強制使用を森が認定 森喜朗首相が沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場などの一部土地について、那覇防衛施設局が強制使用期限の切れる二〇〇二年九月までに地権者との間で賃貸借契約が結ばれる見込みがないとして、駐留軍用地特別措置法(米軍用地特措法)に基づき申請した強制使用を認定。今回の対象用地は七百十人が普天間飛行場に所有する計約一万二千三百六十平方bと、七人が那覇港湾施設(那覇軍港)に所有する約三百六十四平方b。(13日)
●2`沖でも電車内並み騒音 米軍普天間飛行場の移設問題で、那覇防衛施設局が、名護市辺野古沖で今年三月に実施した米軍ヘリ騒音調査の結果を公表した。この中で、集落から二`沖の飛行だと、住宅地では電車の車内並みの騒音があることが分かった。(13日)
●普天間「返還合意」から5年 八六年に橋本・モンデール(駐日大使)会談で「全面返還」が合意されてから五年。普天間飛行場は撤去されず、稲嶺沖縄県知事は「十五年期限問題」で政府が動かないことに不満を表明した。(13日)
●国、県、周辺自治体、公団で「協議会」 千葉県の堂本暁子知事が、成田空港問題について話し合う国、県、周辺自治体、空港公団の「四者協議会」を設置すると発表。四者の実務責任者による公式協議の場ができるのは初めてで、堂本の反動性が鮮明に。(15日)
●防衛庁、「IT」「ロボット」を重点研究 防衛庁が、防衛技術についてIT(情報技術)やロボット技術など重点分野を指定して集中的に研究開発を進める方針を決めた。大学などの研究機関との連携や日米共同研究を強化することも検討するという。(16日)
●憲法調査会が初の地方公聴会 衆院憲法調査会が、仙台市で公聴会を開いた。昨年一月の発足以来、地方公聴会は初めて。(16日)
●米軍、日本人警備員に銃義務化 米海軍が、沖縄の泡瀬通信施設のガードボックスに駐在する日本人警備員にけん銃携帯を義務づけていることが分かった。(16日)
●特措法違憲訴訟が6月に結審 米軍用地に接収された土地の明け渡しや米軍用地特措法の違憲性を問う特措法違憲訴訟の第二〇回口頭弁論が、那覇地裁で開かれ、六月五日に最終準備書面を提出、原告側が最終意見を陳述して結審することを確認した。(17日)

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週刊『前進』(2003号4面5)

“日本の歴史教科書歪曲に抗議” 金泳鎭議員が決死の断食

 韓国キリスト議員連盟会長で日本抗議訪問団韓国代表の金泳鎭(キムヨンジン)議員が「つくる会」教科書の検定合格に抗議して4月11日に決死の断食闘争を開始してから6日目。これ以上は危険だとの医師の診断と、支援者らの「闘いは必ず引き継ぎます」という訴えの中、金氏は断食闘争を終えた。この断食闘争は日本全国に大きな衝撃を与え、沖縄、大阪、名古屋など全国で連帯の断食闘争が広がった(4月16日 衆議院第二議員会館前)

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週刊『前進』(2003号5面1)

5・3憲法闘争へのアピール
戦争国家化粉砕の正念場 「つくる会」教科書との闘いは改憲粉砕決戦そのものだ

 日帝の戦争国家化=改憲攻撃をめぐって新たな階級的激突の構図が生み出されている。歴史歪曲と侵略戦争・天皇制賛美の「つくる会」教科書は、改憲攻撃そのものだ。有事立法攻撃も“研究゜から“立法化゜へと進んでいる。自民党総裁選では許し難い改憲と集団的自衛権の論議が行われている。闘いは、全アジア的スケールで爆発し、労働者人民の左右への分岐を生み出しつつ展開している。五・三憲法闘争を闘おう。都議選決戦でけしば誠一候補の勝利=当選をかちとり、壮大な改憲阻止決戦を切り開こう。

 「つくる会」教科書――“戦争放棄”“戦力不保持”の条項を規定するものは何か

 「つくる会」教科書自体が超ど級の改憲攻撃である。「つくる会」教科書粉砕は、改憲攻撃粉砕の闘いそのものだ。
 今日の改憲攻撃の核心問題は、現憲法の前文および第九条の“戦争放棄゜“戦力不保持゜規定を破棄・撤廃し、帝国主義戦争=侵略戦争を遂行できる体制をつくりだすことにある。それは米帝の激しい争闘戦に追いつめられ、体制存亡の危機に直面する日帝の対米対抗的な侵略と戦争への絶望的な飛躍としてある。
 “戦争放棄゜“戦力不保持゜を規定しているものは何か。朝鮮・中国−アジアへ侵略戦争を展開し、ついにはアジア・太平洋をめぐる日米帝国主義の激突にいたった明治維新以来の日帝の侵略と戦争の歴史。最後には朝鮮・中国−アジア人民の民族解放闘争に追いつめられ、そして米帝に軍事的に敗北した歴史。戦後革命の高揚。これらに憲法は規定されているのである。
 南京大虐殺、石井七三一部隊、皇民化政策、創氏改名、軍隊慰安婦政策など日帝の植民地支配と侵略(戦争)によって筆舌に尽くせぬ犠牲と惨禍を強制されてきた朝鮮・中国−アジア人民による日帝の戦争責任追及。侵略戦争に動員され、アジア人民に銃を向け、自らも戦死し、特攻隊として死を強制され、沖縄戦、大空襲、広島・長崎を体験してきた日本労働者人民の“二度と戦争はしてはならない゜“あのような暗黒の時代はいやだ゜という原点的階級意識。それが現憲法を決定的に規定している。
 現憲法の制定過程を前後する戦後革命期の闘いは、この労働者人民の自らの原体験(と反省)を決定的バネとしながら、闘われていったのである。この日本労働者階級人民の階級的原体験と意識は、排外主義の問題などさまざまな弱点を抱えていた。しかし革命党の正しい指導に媒介されたならば真に階級的で国際主義的な内容の貫徹、すなわち日帝打倒へと突き進むべきものを内包していた。しかしそれは日本共産党スターリン主義の反革命的な指導のもとで踏みにじられていったのだ。
 このような中で日帝は、戦勝帝国主義である米帝との関係において、またアジア人民、日本労働者人民との関係においても、憲法に“戦争放棄゜と“戦力不保持゜をはっきりと明記することを強制されたのだ。そこには“アジア解放戦争゜や“自存自衛の戦争゜が入り込む余地など一ミリもなかった。〈一切の戦争放棄〉だったのだ。
 この歴史の事実と労働者階級人民の歴史認識を根底から覆すことなしに、日帝の改憲攻撃は絶対に貫徹できない。したがって改憲攻撃が「つくる会」教科書運動を生み出しているのだ。「つくる会」教科書運動は改憲攻撃のためのファシスト国民運動にほかならない。改憲攻撃と教科書攻撃は、二つにして一つの問題なのだ。
 改憲攻撃と「つくる会」教科書攻撃は、日本の労働者人民とアジア人民に“日帝はあの侵略戦争をまたやるのか!゜という猛烈な危機感と怒りを生み出さずにはおかない。日本の労働者人民にとっても、アジア人民にとっても、生き方・生活・人生そのものにかかわる問題なのだ。

 人民の根底的な怒りと決起必要

 現に始まっている朝鮮・中国−アジアでの闘い、日本各地での闘い、東京・杉並での闘いは、近年の階級闘争の常識を超えるスケールとテンポで発展している。南北朝鮮の労働三団体が「つくる会」教科書を糾弾する共同声明を日本と世界の労働者に呼びかけている。南朝鮮・韓国では一千万人の署名運動が始まっている。日本の国会前では、抗議のために来日した韓国の国会議員が、決死の断食闘争を闘い抜いた。この決起にこたえようと、沖縄・大阪・名古屋・東京など日本全国でハンスト闘争が始まった。
 日帝の改憲攻撃と「つくる会」教科書の攻撃をめぐって、全アジア的規模で壮大な闘いが始まっているのだ。人民一人ひとりの生き方・生活・人生をかけた根底的な、澎湃(ほうはい)とした決起が始まっているのである。日帝の侵略戦争の歴史は何ひとつ決着していないのだ! まさに今現在の日帝批判として、日帝の朝鮮・中国−アジア侵略戦争の歴史を暴露・批判し、戦争国家化=改憲、新たな朝鮮・中国侵略戦争へと突き進む日本帝国主義の打倒へ向かって、労働者階級人民の根底的な怒りと決起を呼びかけよう。
 具体的な行動によるアジテーションが大切である。集会、デモ、申し入れ、座り込み、ハンスト、署名、ビラまき、学習会、講演会……思いつく限りの行動で闘いを始めよう。闘うアジア人民と連帯して、文部科学省に「つくる会」教科書の検定合格の白紙撤回を迫っていこう。教科書採択を決めるのは、現場の教育労働者であり、子どもたちである。ファシスト石原や教育委員会による現場の採択権はく奪の攻撃を粉砕し、現場の採択権を守り抜き、奪い返していこう。
 何より東京が最大の決戦場であり、杉並が最大の焦点である。石原都政、東京都教育委員会、山田区政、杉並区教育委員会に、激しい闘いをたたきつけよう。都議選決戦に総決起し、けしば誠一候補の勝利をかちとり、「つくる会」教科書を粉砕しよう。

 有事立法攻撃――自衛隊の行動制約外す策動 参戦へ「集団的自衛権」論議

 森首相が有事法制について「検討を開始する」と言明した一月通常国会の施政方針演説を受け、政府は、「担当室」を内閣官房に設け、立法化へ具体的作業に着手することを決めた。
 一九七七年、福田内閣のもとで、防衛庁が有事法制研究に着手してから二十四年。ついに日帝は有事法制の“研究゜から“立法化゜へと動き出した。
 具体的にはどうか。
 @有事=自衛隊出動時の土地の使用、物資の徴発の手続きに関する政令、A医療労働者、建設労働者、運輸労働者などの戦争動員の実際的な手続きに関する政令、B自衛隊がわが物顔で日本中を移動・輸送できるようにするために道路交通法、道路法、港則法、海上交通安全法、航空法に有事規定を追加、C海岸などに陣地などを構築できるようにするために海岸法、河川法、森林法、自然公園法に有事規定を追加。
 さらにD指揮所や倉庫を建設するために、建築基準法へ有事規定を追加、E自衛隊が優先的に通信を確保するために、電波法、有線電気通信法などへ有事規定を追加、F弾薬などの輸送規制を撤廃するために火薬類取締法、火薬類の運搬に関する総理府令に有事規定を追加、G野戦病院設置のための医療法への有事規定の追加、H戦死者の埋葬・火葬のための墓地・埋葬法に関する法律への有事規定の追加……などである。
 有事の際の自衛隊の行動を制約するあらゆる規制を撤廃し、自衛隊にフリーハンドを与え、土地の収用・使用、物資の徴発、労働者の徴用などのために、大量の政令と膨大な法律への有事規定の追加(有事法化)を行おうとしているのだ。
 これは同時に、言論・表現の自由、集会・結社の自由、移動の自由など労働者人民のあらゆる権利を制限し、奪い取っていく攻撃である。労働者を戦争動員するためには、ストライキの禁止や労働組合の解体ぬきには成り立たない。組対法改悪、刑訴法改悪策動などの戦時治安弾圧体制づくりとの闘いは、有事立法粉砕の闘いの重要な一翼だ。
 現在、通常国会に提出されている土地収用法の改悪案は、有事立法そのものである。三里塚反対同盟とともに粉砕へ立とう。
 日帝は、次期政権のもとで、有事法制案を次期通常国会へ提出することを画策している。有事立法攻撃との闘いとして、都議選決戦でけしば誠一候補の勝利−自民党打倒をかちとり、有事立法攻撃を粉砕しよう。

 自民党総裁選で改憲衝動が噴出

 有事法制の具体化・立法化の動きと結合して、集団的自衛権の行使を要求する大合唱が起きている。
 三月二十三日、自民党国防部会が「わが国の安全保障政策の確立と日米同盟−アジア・太平洋地域の平和と繁栄に向けて」と題する提言をまとめ、発表した。
 集団的自衛権について、現在の政府解釈が「国際法上、主権国家として有しているが、その行使は憲法九条の許容範囲を超える」としているのを変更して、集団的自衛権の行使が可能となるようにすべきであると要求している。さらに「国家安全保障基本法」を制定し、集団的自衛権の行使、国連の集団的安全保障への参加の範囲を規定すべきだと主張している。周辺事態法や船舶検査法は「協力強化に向けての一歩にすぎない」と有事法制研究を踏まえた緊急事態法制の立法化などを提言した。
 これを受けて、斉藤防衛庁長官は、「わが国は憲法上、集団的自衛権を行使できないとの考えに立っており、憲法改正論のテーマになる」と述べ、防衛庁長官自らが公然と、集団的自衛権行使のために、として改憲を要求し始めた。
 では、彼らの言う集団的自衛権の行使とはどのようなものなのか。自民党総裁選で四人の候補者は、以下のように集団的自衛権と改憲について主張している。
 「九条に自衛隊明記を」「(集団的自衛権の行使は)当然の権利だ」(麻生太郎)、「自衛隊が軍隊でないというのはおかしい」「(集団的自衛権行使するなら)憲法を改正すべき」(小泉純一郎)「共同防衛行動とか言い出す前に、やらないといけない法的整備がある」(橋本龍太郎)
 とりわけ亀井静香は、「同盟国が攻撃された場合、(米軍と)同一行動をとるのは現憲法下で禁止されていない」と述べ、米本土だけではなく、各国にある米軍基地や米軍の艦船が攻撃された場合でも集団的自衛権の行使がありうると主張している。さらに「米軍が一方的な攻撃を受けた場合は、同盟関係なのだから、在韓(米軍基地)だろうがどこだろうが、武力攻撃に(日本も)加わって行かなければならない。黙っているわけにはいかない」と述べ、自衛隊を朝鮮半島に出動させて武力行使に加わると言った。韓国政府はこれに対して「韓国の主権を無視したもの」と深い遺憾の意を表明した。
 この集団的自衛権行使の論理は、二十世紀の二つの世界大戦、数限りない侵略戦争で使われた軍事同盟・自衛権の論理そのものだ。今日的には、米帝とともに朝鮮・中国への侵略戦争に参戦することをストレートに意味する。この総裁選での議論そのものが、ものすごい戦争挑発だ。自民党総裁選の中でこのような議論が公然となされていることを怒りを込めて弾劾しなければならない。

 都議選の勝利へ総決起しよう!

 日帝の侵略と戦争の歴史の偽造・歪曲・抹殺と改憲−日帝の新たな侵略戦争の道か、それとも日本革命−アジア革命への道かを、すべての労働者階級人民に問う局面が到来しているのである。「戦争国家化=改憲阻止・日帝打倒」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の戦略的総路線を掲げ、五・三憲法闘争に立とう。都議選決戦に勝利し、改憲阻止決戦の爆発を切り開こう。  
〔片瀬 涼〕

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週刊『前進』(2003号5面2)

革命軍報速報 堂本千葉県知事の闘争破壊に反撃 県幹部宅火炎攻撃 

 革命軍は以下の軍報を発表した。

 革命軍は、四月一八日午前三時、千葉県流山市西初石四丁目にある千葉県企画部理事・石塚碩孝宅と車両に対して、火炎攻撃を敢行した。
 この戦闘は、千葉県知事に就任するや三里塚闘争解体・農地強奪の先頭に立っている堂本暁子への反撃の戦いである。
 堂本は、「成田空港の二五〇〇メートル平行滑走路の整備に千葉県は最大限努力する」として、国・公団・空港圏自治体と「四者協議会」を設置し、農地強奪に本人が乗り出すと表明している。わが革命軍は、この堂本の三里塚闘争解体攻撃に対して、千葉県との全面戦争に突入する。この戦闘は、その第一弾である。
 さらにこの戦闘は、石塚が千葉県企画部理事として成田空港建設において中心的役割を果たしてきたことへの戦いである。石塚は、「成田国内線充実対策検討委員会」に千葉県を代表して参加し、反革命的役割を果たしている。国内線充実対策検討委員会とは、暫定滑走路の国内線の需要をねつ造し、頭上四〇メートルの航空機騒音を増大させることにより、敷地内農民を叩き出すためにつくられたものなのである。
 革命軍は、暫定滑走路建設を許さず、東峰神社の立木伐採攻撃、年内飛行テスト攻撃を粉砕するために果敢に闘い抜くことを改めて宣言する。
 二〇〇一年四月一八日
革命軍 

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週刊『前進』(2003号5面3)

4・8青森 核燃サイクル決定から16年 「反核燃怒りの日」
 F16墜落で危険性明白

 一九八五年四月九日に青森県が県政史上初めて機動隊を導入し、暴力的に六ケ所村の核燃料サイクル建設計画を強行決定してから十六年目を迎えた。
 以後四月九日は「反核燃 怒りの日」として毎年、抗議闘争が取り組まれてきた。今年は、例年以上に大きな怒りの声が高まった。
 直前の四月三日に、核燃施設からわずか十三`の米軍の天ケ森射爆場で米軍のF16戦闘機が墜落事故を起こした。もし核燃施設に墜落していたら大惨事となっていた。従来からその危険性は指摘されてきたが、あらためて軍事基地に隣接する核燃料サイクル施設の危険性を示すものとなった。
 今年の「反核燃の日」行動は、八日午前の「四・九反核燃の日」市民集会から始まった。地元六ケ所を始め青森県内や仙台、東京、相模原など全国から反核燃・反原発闘争を闘う団体・個人が集まった。
 集会では、一万人訴訟原告団の浅石代表を始め、米軍機の墜落事故を強く弾劾する発言が相次いだ。
 六ケ所住民を代表して坂井留吉さんが「ウラン濃縮工場が縮小されるなど、闘いが報われる段階になってきた。しかし高レベル核廃棄物などの『核のゴミ』をどうするのか? 全部六ケ所から持っていってもらいたい。もうひと踏んばりがんばって核燃を止めようと決意している」と語った。
 さらに台湾の反核運動、青森県むつ市の使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設反対運動や大間原発建設反対の闘いなどの報告が行われた。県外からは神奈川県の相模原反核市民の会の代表が発言、日本の核武装化政策との対決を強く訴えた。
 続いて市民集会参加者は午後からの反核実行委員会主催の集会に合流した。青い森公園での集会には、北海道や東北など全国から国労、日教組、自治労など一千人が結集した。
 各発言者は「四・九は県民にとって屈辱の日」「反核燃の闘いは原子力政策の行方を決する天王山。反核燃闘争を強化して闘っていこう」と核燃サイクル建設攻撃を強く弾劾した。
 集会終了後、デモ行進を行った。東北大学学生自治会や労組交流センターなど反戦共同行動委員会も最先頭で闘った。
 その後再び市民集会第二部の討論会に参加。東北大学の学生が「使用済み核燃料や高レベル核廃棄物の搬入阻止現地闘争に連続決起してきた。僕たち学生の力で核燃を止めたい」と発言し、若く力強い発言に拍手が送られた。また反戦共同行動委員会も発言。特に「つくる会」の公民教科書に核武装を容認する記述があることが暴露され、大きな関心を集めた。
 核燃サイクル建設や米軍F16墜落事故に示される戦争と核武装化攻撃に対する青森での労働者人民の闘いは断固貫かれた。

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週刊『前進』(2003号5面4)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史

 第1部 第二次世界大戦(2)

 なぜ戦争になったのか 基底に大恐慌とブロック化

 一九二九年恐慌

 アジアをめぐる日米対立は別項を立てるとして、ここでは主として、二九年恐慌下での世界分割戦、特に米独対立を取り上げる。また、スターリン主義の問題は次回に解明する予定であり、ここでは触れない。
 前回触れたように、第二次大戦はまず第一に帝国主義戦争である。「帝国主義の基本矛盾の爆発として帝国主義戦争が不可避となった」ということである。
 一九二九年十月二十四日、ニューヨーク株式市場の大暴落(暗黒の木曜日)をもって始まったアメリカの恐慌は、それにとどまらず、三一年五月のオーストリア最大の銀行の倒産をきっかけにヨーロッパの金融恐慌に発展し、イギリスの金本位制離脱にまで至った。帝国主義国と植民地・従属国のすべてに波及し、史上空前の世界大恐慌となった。
 大恐慌から三〇年代の大不況は、世界経済にとって破滅的なものだった。工業生産の急激な低下。経済規模の縮小。アメリカでは、二九年から三二年にかけて、GNP(国民総生産)は半分近くに減少、製造業生産指数は二四・二から一二・五に半減した。世界貿易の縮小もすさまじく、数量で二五%、額で六一%も減少した。
 この大不況下で失業者が激増し、ピーク時にはアメリカで約千三百万人、ドイツで約五百五十万人、世界で三千万人に達したと言われている。失業者は路頭にあふれ、放浪を余儀なくされた人びとが列をなした。アメリカの国民所得は二八年の八百五十億jから三〇年に六百八十億j、三二年には三百七十億jと減退、労働者の収入の減少は三一%だった。大失業は資本主義社会の矛盾の爆発的な現れである。
 二〇年代における世界の経済成長をリードしたアメリカの自動車、石油、化学、電力などの蓄積が限界に達し、過剰生産能力|過剰資本状態が露呈した。一方、植民地・従属国では二九年に農業恐慌が発生した。ドイツでは公共投資の伸びの停滞により、内的に行き詰まった。日本では再三の恐慌と救済インフレ政策を繰り返していた。
 そこに二九年のニューヨーク株式市場の大暴落が起き、アメリカの資本輸出が崩壊した。アメリカからの資本に依存していたドイツ|ヨーロッパは、これに直撃された。こうして世界恐慌となったのである。
 大恐慌は、第一次大戦後のベルサイユ・ワシントン体制の一応の安定を崩壊させ、世界再分割を引き起こす転機となった。

 ニューディール

 アメリカ政府は、三三年以降「救済・復興・改革」を掲げた「ニューディール政策」を展開、テネシー河域開発公社(TVA)などの国家的な大規模公共事業で失業吸収、生産増大などを図った。
 ニューディール政策は、反革命的な階級協調策であると同時に、過剰資本の国内的処理を図ろうとするものだった。しかし、過剰資本はニューディールによっては処理しえなかった。そこで、巨大な生産力に対応した世界大的な展開に向かった。ドイツ・日本を粉砕し、イギリスを引きずり降ろして世界支配を握ること、それ以外に延命の道がなくなった。アメリカ経済は三八年以後、急速に軍事生産を中心とする戦争経済にのめり込んでいく。
 他方、ドイツ帝国主義の危機とファシスト・ナチス政権の樹立は、第二次世界大戦の戦争放火者の出現として決定的な意味をもっている。大恐慌によって壊滅的な打撃を受けたドイツで、失業者の増大と没落する中産階級と農民という危機の中で、ファシスト・ヒトラーが政権を握った。ヒトラー政権は「民族の生存権」を掲げてベルサイユ体制に「ノー」を突き付け、既存のヨーロッパ秩序の破壊にかかった。

 軍事的な激突へ

 大恐慌と大不況にあえぐ各帝国主義国は、生き残りのために植民地・勢力圏の排他的な囲い込みに走った。ここに世界経済は完全にブロック化した。
 まず、アメリカが関税率を引き上げて関税での報復合戦を引き起こした。イギリスは三二年のオタワ協定でスターリング・ブロックを、フランスは金ブロック(フラン・ブロック)をそれぞれ形成した。各国が自国の利害を優先したため、世界経済は貿易面でも通貨面でも分裂した。
 これに対し、ドイツ、日本などの後発帝国主義は、生き残るためには侵略と膨張を必要とした。ナチス・ドイツは「広域経済圏」を掲げて中・東欧に侵略、日本は中国東北部への侵略へと進んだ。日本の「大東亜共栄圏」構想は、帝国主義間の争闘戦で生き残るための勢力圏化攻撃であった。
 ブロック化は、世界経済の分裂化・多基軸化を意味したが、どの帝国主義国もその勢力圏の内部で再生産機構や「自給圏」を確立できなかった。だから世界市場の再分割戦が不可避となっていったのである。
 特に、日帝は最も凶暴だった。日本は為替ダンピング輸出などによって世界経済を突き崩しただけではない。他帝国主義に先駆けて軍事的にも(三一年柳条湖事件=中国東北部侵略戦争)秩序破壊的な対外展開に乗り出した。それが世界秩序を大きく揺るがした。
 こうして帝国主義間の対立は、単に経済や外交にとどまらず、軍事的激突にまで進んだ。第一次大戦の戦後処理によって勢力圏を奪われたドイツや、中国侵略にタガはめをされた日本の帝国主義は、第一次大戦後のベルサイユ・ワシントン体制に軍事的に挑戦した。これに米英が死活をかけて対抗し、全帝国主義と全世界を巻き込む戦争に進展したのである。
 帝国主義は市場・資源・労働力・勢力圏をめぐって激突する。ましてや、大恐慌|大不況で存亡の危機に陥れば、全帝国主義国が凶暴な戦争にのめり込んでいく。米独は世界支配をかけて戦争に突進したのだ。
 第二次大戦は、民主主義とファシズムの戦争ではなく、日本の天皇制権力やドイツのナチス政権の世界再分割の衝動をテコとしつつ、帝国主義の基本矛盾の爆発のゆえに必然となった、双方の側からの帝国主義強盗戦争であった。
 (高田隆志)

年表 第2次大戦への道
1929.10
暗黒の木曜日。ニューヨーク株式市場の大暴落
1931. 9
柳条湖事件(「満州事変」)中国東北侵略戦争
1932. 3
ニセ「満州国」デッチあげ「建国宣言」
7
オタワ会議(イギリス連邦経済会議)開く
1933. 1
ヒトラー政権成立
3
日本が国際連盟脱退通告
10
ドイツが国連脱退
1935. 3
ドイツがベルサイユ条約破棄、再軍備を宣言
1936. 3
ドイツ、ロカルノ条約破棄
5
イタリア、エチオピア併合を宣言
6
フランス人民戦線内閣樹立
7
スペイン内乱始まる
1937. 7
盧溝橋事件、日帝の中国への全面的な侵略戦争
11
イタリア、日独防共協定に参加
12
日本軍、南京を占領、大虐殺事件
1938. 3
ナチス・ドイツ、オーストリアを併合
9
ミュンヘン会議、英仏がドイツに宥和政策
1939. 9
ドイツのポーランド侵攻、第2次大戦勃発

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週刊『前進』(2003号6面1)

都議選決戦の真っただ中で機関紙拡大・党勢二倍化貫け
 前進経営局

 都議選決戦と一体のものとして機関紙拡大・党勢二倍化を闘いとろう。これが二〇〇一年決戦に勝利し、二十一世紀革命に勝利する道だ。動労千葉の百二十時間ストは、労働者階級に巨大な影響を与えている。「今年は『前進』も伸びるし、党員も増えると思う。そういう兆候があちこちに出ている」と多くの同志が実感している。都議選決戦下で、党活動の飛躍を闘いとり、唯一の労働者党の位置を戦取しよう。

 『前進』こそ都議選決戦の勝利の武器

 米帝危機と日帝危機が相互促進的に進行する形で世界大恐慌過程がどんどん深まっている。
 日帝は、四月三日、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を「検定合格」とさせ、新たな侵略戦争への突入宣言を行った。
 戦争か革命か、ファシズムか革命かが問われている。この歴史的な分岐点における選択に勝利しなければならない。その闘いの突破口こそ都議選勝利である。都議を擁し、国政に挑戦する党として登場できるか否か、ここにすべてがかかっている。こうした情勢は、党の歴史的登場、党の飛躍的強化・拡大を死活的に求めている。
 では、都議選決戦下の機関紙活動をいかに闘うか。
 都議選決戦下で機関紙活動を維持すること自体がきわめて厳しい課題であることは明らかである。しかし都議選決戦で配布が乱れるなどということはあってはならない。逆に、この困難を圧倒的に突破して、機関紙拡大・党勢二倍化の闘いに断固として挑戦しよう。
 第一に、『前進』こそは都議選決戦勝利の基礎であり、武器である。『前進』によって、党も人民も勝利の力を得ることができる。
 第二に、都議選決戦は、宣伝戦・大衆行動・党派闘争のすべてにおいて機関紙拡大の契機に満ちあふれており、機関紙拡大闘争の最大の戦場でもある。
 第三に、すでに昨春の総選挙決戦の中で機関紙拡大の勝利を実現している。衆院選決戦、沖縄サミット決戦、国鉄決戦の重なりあう中で機関紙拡大闘争が不屈に闘われ、学生戦線、国鉄戦線を中心に見事に機関紙拡大を実現したのだ。
 都議選決戦の真っただ中で五・二七全国総決起闘争を闘い、機関紙拡大を実現しようではないか。
 闘争の勝利と組織建設は組織する側にとっても対象者にとっても一体的・同時的である。体制が破局に陥り、歴史選択が問われている現在においては、将来を展望し、現在と未来のために闘わないかぎり、真に闘いぬけないからだ。全党が意識的・計画的に実践するならば必ず勝利できる。

 党建設計画の意識的実践が拡大生む

 二〇〇〇年後期機関紙拡大闘争は、国鉄決戦と十一月労働者集会を闘う中で、特に労働戦線の主要産別・拠点を中心に取り組まれ、着実に拡大した。全党に機関紙拡大・党勢拡大の意欲が高まり、二〇〇一年新年号はかつてなく労働者大衆に販売された。
 拠点職場で党勢拡大闘争を意識的に実践して一挙に数部拡大した例、組合再建を闘い青年労働者を読者に獲得した例、職場フラクを二年間継続して全員を読者に獲得した例など、多くの職場で典型的に成功している。産別政策・職場政策と党建設計画をもって意識的に闘ったところでは見事に勝利している。
 恐慌と大失業によって労働者階級が一方的に攻撃にさらされているにもかかわらず、既成指導部は何ひと
つ闘う方針を提起していない。この時、国鉄決戦での大奮闘と新潮流運動の前進が、党派を越えて広範な労働者大衆に感動と共感を生み、カクマル=JR総連に打撃を与えている。労働者大衆の活性化と革共同への接近が始まっている。これまでは考えられなかったような党派や潮流からさえ『前進』が求められている。労働運動を闘おうとする以上、『前進』は必読だ、という意識が生まれている。このことに圧倒的な確信をもつことだ。
 現状は、われわれが流動を開始した労働者のほんの一部としか接触できておらず、そのまた最先端の意識的部分を読者に獲得したに過ぎない状態にある。
 これを打ち破る道は、まだ一部の党員が、一部の労働者に働きかけているにすぎない現状を打破し、全党員が機関紙拡大闘争に総決起するところまで、党活動の飛躍をなんとしても闘い取ることの中にある。

 オーソドックスな党活動確立を

 二〇〇〇年後期機関紙活動の総括上、もう一つの重要なことは、総体として見れば読者数が停滞しているという現実である。党活動の抜本的変革が必要である。党活動のオーソドックスな確立という課題につきあたっているのである。
 この現実に真っ向から立ち向かおう。提起されていることは小手先の技術で解決することがらではない。
 まず第一に、新年号政治局アピール第十章の提起で全党が一致し、熱烈に闘いぬくことである。
 これは党建設上の決定的なテーゼである。機関紙活動の中で明らかになってきたことを、全党の指針としてあらためて鮮明にしている。これを新しい指針として確認し、それを強力に意識的に実践することが勝利のカギである。そこでは次のように言われている。
 「党建設としての党建設の根幹は、実は、党の拡大闘争を目的意識的・計画的に実現することにある。党勢の拡大闘争が党建設の核心中の核心なのである。党勢拡大闘争への取り組みが自己をボルシェビキに鍛え上げるのである」
 「このことを決定的に明確にさせ、党建設を党勢拡大闘争の不断の発展として具体化していかなければならない」
 「われわれは、二〇〇一年の党建設において、党勢倍増を目標に掲げ、具体的計画を立てて闘う」
 「この党勢拡大闘争の鍵(かぎ)は、機関紙・誌活動の生き生きとした展開である。機関紙・誌の学習と拡大の計画を立て、機関紙・誌活動を組織的=個人的に体質化して闘うという革共同の優れた伝統的資質をますます強化し、機関紙・誌活動を日常的な恒常的活動とすることである」
 第二に、党活動のオーソドックスな確立である。
 何よりも労働者細胞建設の闘いの前進を基礎に据えることだ。職場細胞、経営細胞、大学細胞での機関紙拡大が最大の課題である。労働者階級の党としての実質を強化するためにもこの点が核心をなす。
 機関紙を維持し、それを党の強化に転化するカギは、機関紙フラク活動の強化である。フラクの拡大が機関紙拡大・党勢拡大に直結し、フラクの減少は機関紙の減少・党勢の減少に直結する。フラクを建設し、維持・強化する闘いと、機関紙拡大・党勢拡大の闘いは、ほとんど同じと言っていい関係にある。
 それを保証していくためにも、党活動の中で機関紙を政治討議の中でしっかりと位置づけ、活用することが不可欠である。また、個人的、組織的に毎週機関紙を読了することである。
 また、この闘いは、党のイデオロギー活動の強化と不可分一体である。党学校の建設と労働者学校の建設は、この間の重大な成果である。これをさらに充実し、活用し、学習会活動を恒常的に意識的に推進しようではないか。
 そして同時に、絶対的土台をなす個人的学習を強力に推進することが拡大闘争のカギである。そのもとで、あらゆる形態の学習会を職場学園に網の目のように形成しよう。
 第三に、そのために、読者を掌握し対象化しよう。これは党活動の絶対的基礎である。これを出発点・帰結点として党活動を総括する基準である。
 読者総数を細胞キャップをとおして正確に把握することは、けっして困難なことではない。毎週毎週繰り返される党の日常活動であり、党活動の細胞性そのものである。
 読者の完全掌握の上に初めて、機関紙拡大戦略=党拡大プラン、拠点政策を建設することができる。配布と代金回収と読者との生きた結びつきを日常的に強めることこそ、党勢倍増の絶対的な基礎である。
 それなくしては、党建設計画をつくることはできない。それはあたかも羅針盤もなしに船を乗り出すようなものである。
 ここで減部について注意を喚起したい。減部には必ず原因があり、その分析は非常に大切な問題で、きちんと対象化することが必要である。また読者の現状を組織として日常的に把握していれば、大半の減部要因は事前に解決することができるものである。
 減部の場合でも、正しく総括すれば党建設の前進に転化することができる。
 第四に、機関紙活動の中で日常的に読者の生きた現実が常に把握されてこそ、党は機関紙網をとおして階級と呼吸し、蜂起を組織することができる。レーニンに学んで、われわれが機関紙を生命線として党建設を闘いとっているのは、そのためである。
 レーニンは、「(地区党の)活動の成功不成功は……これが肝要なことなのだが、文献の普及や情報、通信の受領の規則的な仕事が正規に行われているかどうか、によってはかられなければならない」(『われわれの組織上の任務について一同志に与える手紙』)と述べている。なぜならば、それこそが、「将来デモンストレーションまたは蜂起を準備する仕事の大半をなしとげることを意味するからである」(同)と。
 こうした革命運動における機関紙活動のもつ決定的な意義を踏まえて、機関紙活動を日常的な恒常活動にするまで闘いぬこう。

 「読ませたい人」へ総当たりの実践を

 本紙一九九三号経営局論文で「『読ませたい人』への総当たり」を提起した。この提起は具体的で、勝利の実例でもあることから、拡大の意欲に燃えながら苦闘している同志から多くの反響が寄せられた。
 大切なことは、「読ませたい人のリストアップ」をどん欲に組織討論として行うことである。例外なくこれが機関紙拡大闘争の切り口となっている。
 それは、具体的な対象者議論から始まりながら、革命勝利のためにはどのような党を建設しなければならないか、そのためにはわれわれ自身がどうなるべきかという党建設議論に必然的に発展している。
 誰が「読ませたい人」かについても積極的な議論が行われている。「『良い人がいるから拡大する』という考えではなく、そこにいる人を獲得する、労働者を獲得するというふうに考えなくては革命に勝利できない」「(拠点職場の)組合員全員が『読ませたい人』であることが確認できた」という、実践的な報告が寄せられている。
 では、なぜ全員決起ができたのか。
 この組織はその実体的力からすれば激流に翻弄(ほんろう)されかねない政治的大激動にさらされる中でとことん討議を推し進め、党の強化が一切の核心であることをつかみとった。いわば党建設を軸にすえきった闘いに指導部先頭に突入し、一大決戦に次ぐ決戦のただ中で、それと結合して党建設(機関紙拡大と党勢拡大)を目的意識的に頑強に貫徹したのである。
 そのために、いったん全組織を思いきって機関紙拡大闘争の渦中に投入し、しゃにむに「読ませたい人」への総当たりを実践した。党の量的な拡大の闘いを実践し、成功と失敗を繰り返す中で、党の変革を実現してきたのである。
 この地方委員会は、それ以来も政治的な激動に次ぐ激動の渦中にあるが、一貫して激闘を党勢の強化・拡大に結びつけることに成功している。この地方委ではこの三年間で五割の党勢の拡大をかちとっている。
 全党が「読ませたい人」のリストアップと、点検を都議選の中で貫いた時、われわれは機関紙拡大・党勢倍増を実現し、唯一の労働者党の位置の戦取へ大きく前進できるのだ。

 今こそ『前進』の街頭販売開始を

 街頭が右翼・ファシスト勢力との戦場になっている。ファシストが右から「現状変革」を叫ぶ時に、われわれは今こそプロレタリア革命を訴えなければならない。『前進』の街頭販売を開始しよう。街頭に登場し、石原・右翼と対決し、街頭で主流派になろう。党のビラを職場、学園、街頭で配布しよう。

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週刊『前進』(2003号6面2)

迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判
須賀さん執行停止を 獄中激励の面会行動

 「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」による四月連続行動の一環として、四月十一日、迎賓館・横田爆取裁判を闘う須賀武敏さん、十亀弘史さん、板垣宏さん、福嶋昌男さんの激励のための集団面会が行われ、私も参加した。
 初夏を思わせる好天気の中、呼びかけ人、賛同人、家族を中心に十六人が東京拘置所に集まった。一度に面会できるのは、被告一人につき三人までという不当な面会制限のため、あふれた人は待合室で待機し、後で面会した人からの報告を聞くことになった。
 東京地裁刑事一一部への保釈請求からすでに五カ月が過ぎた。いまだに裁判所は沈黙したままである。何が「迅速な裁判」だ。異様という以外ない長期の裁判といい、十四年という未決勾留といい、この保釈請求に対する決定遅延といい、すべては裁判所によるあまりにも非人道的な、拷問と言ってもいい権力犯罪だ。
 こういう状況だからこそなおさら、獄内外が、制限付きとはいえ言葉を交わし合い、心をひとつにできる激励面会行動は重要だ。
 私はほか二人の方と一緒に十亀さんに面会した。公判の傍聴席から見た時は気がつかなかったが、間近でみる十亀さんのまゆ毛は予想以上に白くなっていた。法廷で見る蒼白(そうはく)の顔とは違い紅潮しているのがよく分かる。見た目には元気そう。いつものような柔和な顔で「桜はもう見ましたか」とこちらからは話題にしにくいことをさらっと聞いてくるところなど、十亀さんらしいところであった。
 須賀さんには古くからの友人三人が面会。面会後の報告によれば、話の中心は医療鑑定の結果と、それにもとづいた弁護団による「一週間の勾留執行停止」の申し立てについてであった。
 「狭心症の疑い」を指摘し「一週間の検査入院の必要」を述べた鑑定結果は裁判所のみならず、検察官をも追いつめている。弁護団による申し立てに対する検察官の「意見書」が裁判所に提出されたが、その中で「狭心症」有無の検査については認めざるをえなくなっている一方、執行停止についてはあくまで反対している。しかし病気治療のための検査入院は認めながら、執行停止には反対などというのは自己矛盾の極みだ。検察官「意見書」はしどろもどろの内容となっている。執行停止をかちとり獄外医療を実現するため、ともに全力で闘おうと誓い合ったとのことである。
 板垣さんには呼びかけ人の森山 牧師ら三人が面会。森山さんから自由主義史観グループがつくった恐るべき反動教科書を文部科学省が「検定合格」としたことに対し直ちに抗議行動を行ったとの話が口火になり、天皇の戦争責任問題、七三一部隊による犯罪などについて、大いに話が盛り上がったとのことである。
 福嶋さんには呼びかけ人の御崎勝江さんほか三人が面会。以前に比べだいぶほっそりしたという印象があるがという質問をしたところ、それは減量を考えた食事療法の結果であり、五、六`やせたとのこと。たしかに元気そうで顔の色つやはよかったということである。福嶋さんは他の三人のことを気遣い、まずは三人の保釈をぜひともかちとってほしいと私たちに檄(げき)を飛ばしたとのこと。
 正味二十分にも満たない面会時間でお互い十分な話はできないのがいつも腹立たしい限りだが、この不当極まりない長期勾留を獄内外の力を合わせて打ち破ろうという決意はしっかりと共有できたと確信した。不屈に闘いぬく四人の保釈をなんとしてもかちとろう。 
(投稿 I・S)

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週刊『前進』(2003号6面3)

高島さんを偲ぶ会開く
 動労千葉委員長 「ストがはなむけ」

 元総評本部書記で労働運動評論家の高島喜久男氏を偲(しの)ぶ会が三月三十日、労働スクエア東京で開かれた。高島さんは昨年十一月十五日に九十一歳で亡くなられた。この日は、高島さんの幅広い活動で親交のあった人びとが、遺志を引き継ごうと誓い合った。
 司会を三角忠三一書房労組委員長が務めた。中野洋動労千葉委員長が呼びかけ人を代表して、「高島先生は、動労千葉が三里塚空港に反対してジェット燃料輸送阻止闘争に立ち上がり、動労本部から統制処分を受ける中で組合事務所に来てくれた。ジェット闘争支援基金の呼びかけ人の中心になり、動労千葉労働学校の代表にも就任していただいた。動労千葉は明日、第二波ストに突入する。二波のストが私たちのはなむけだ」とあいさつした。
 おつれあいの高島久仁子さんが、「高島は『神も仏もない。生きている人が一番大事だ』と言っていたので、葬儀はごく近い人たちにしか知らせなかった。きょう、こうして皆さんに集まっていただき、ありがとうございました」とお礼の言葉を述べられた。
 全員で遺影に花を捧げ、献杯を行った。
 仙台中電、全金本山労組、スタンダード・ヴァキューム石油自主労組、三多摩労組交流センター、また、教育委員準公選制運動やパレスチナ連帯運動などから、それぞれ高島さんとのかかわりが語られた。
 革共同の北小路敏同志は、「忘れられないのは、三里塚闘争に連帯し動労千葉を支援する東京実行委員会での先生のご指導だ。三里塚と動労千葉は、これからますます民衆の宝物になる」と訴えた。
 元東京都議の長谷川英憲さんが閉会のあいさつで、「杉並の選挙にも気をかけて応援してくれた。都議選にけしば誠一を立てて勝利して、遺影に報告したい。高島さんに連なる思いを二十一世紀に実現したい」と述べた。
 (K・T)

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