ZENSHIN 2001/05/07(No2004 p10)

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週刊『前進』(2004号1面1)

けしば氏、都議選必勝への決意
 小泉自民党に民衆の怒りを
 戦争賛美教科書の採択狙う石原知事と真っ向勝負する

 都議選決戦も六月二十四日の投票日に向けていよいよ終盤戦に突入している。小泉新政権の登場による自民党の居直りと大反動を許してはならない。日帝の教育改革・改憲攻撃を粉砕するためにも、「つくる会」教科書の採択を阻止する闘いと結合し、けしば誠一氏の当選をなんとしてもかちとらなければならない。都議選勝利へけしば候補に決意を語っていただいた。(編集局)

 改憲と大リストラの危険な極右政権

 ――自民党の総裁選挙が行われ、自公保の政権協議を経て小泉政権が登場しました。
 小泉純一郎を新総裁とする自民党は、自民党の金権腐敗政治はなんら変わらないまま、森政権の時以上に悪くなる。小泉と亀井派との政策合意にも見られるように小泉自民党はきわめて極右的な方向に舵を切っています。憲法改悪を公然と主張しており、集団的自衛権を行使する、靖国神社を公式参拝すると言っている。また「教育改革」、教育基本法改悪で戦争翼賛の教育を進めようとしている。かつてなく露骨に戦争に向かう反動政治と、「構造改革」によって経済危機の犠牲を労働者民衆に押しつける。改憲と戦争と大リストラ、まさにとんでもない政権です。自公保の三党政策合意も基本的にそれを追認するものです。
 「自民党政権を倒そう」と訴え続けてきましたが、新政権発足によってその必要性が一層明らかになった。自民党は危機を深めれば深めるほどより反動化、凶暴化し、小泉という最も極右的な政治家を押し出した。六月都議選こそがこのより反動化する自民党政治に終止符を打つ歴史的なチャンスだという思いを強くしています。
 特に新政権下でまず進むのは、不良債権の処理です。彼らの言う不良債権の処理とは結局働く者にツケを回すものです。不良債権が三十二兆円とか、隠しているのを含めれば四十兆、六十兆だといわれています。その処理過程で百三十万人の首切りが不可避だといわれている。戦後最悪の失業率をさらに悪化させるのです。働く人たちが生きていけない時代になっていきます。
 新政権になったからこそ、極右小泉自民党への民衆の怒りを爆発させなければなりません。
 ――KSD汚職や機密費疑惑もうやむやにしていますね。
 KSD汚職は、自民党総ぐるみの三十億円の戦後最大の疑獄事件です。村上前参議院議員と小山前参議院議員のトカゲのしっぽ切りで終わりというのは絶対に許せない。それから外交機密費疑惑。これは実は最大のポイントが官邸機密費なんです。官邸機密費は野党買収費です。野党の議員が海外視察などに行く時に何十万という金をもらっていて、同じ穴の狢(むじな)になっている。
 民主党の調査でも民主党でKSDから金をもらっていたのが何人もいる。本当に野党も含めた金権腐敗で、国会の中では自民党を追及できないという惨状です。自民党がこれだけ批判されながらいつまでも居座り続けている。その自民党がまた小泉内閣を登場させた。これは野党の責任ですよ。
 共産党だって、あれだけの数の議員がいて何やってるんだ。共産党の議員になぜ追及しないのかと聞いたら、参院選が森政権のままでやった方がやりやすいと言っていた。とんでもない。何を言っているんだ。民衆のことはまったく考えていなくて、自分たちが選挙でどれだけ票を取るか、その条件が良いか悪いかしか考えていない。民衆不在という点では与野党すべて同じです。
 ――「つくる会」の教科書が検定を通ったわけですが、全アジアで怒りが爆発しています。
 四月十三日に韓国の国会議員の金泳鎭(キムヨンジン)さんが国会前で座り込んでいることを新聞報道で知って急きょ国会前に駆けつけました。私は、十一月に杉並区で統一協会系の教育委員が山田区長に任命された時のチラシを持っていった。「つくる会」の教科書を採択するために教育委員会の人事を代えようとしたことに反対して杉並区議会の中で力を尽くしたことを伝えました。

 教育改革攻撃との闘いは杉並が焦点

 ハンストはあの時で三日目だったんですが、ドクターストップがかかるまで六日間行われ、本当に命がけの闘いでした。日本の議員の一人として、これにこたえなければという思いを強くしました。
 ――これから教科書採択の過程に入るわけですが、杉並区をめぐる状況はどうですか。
 今言ったように、教育委員の二人を統一協会系の人物に代えるということが行われました。もともと三人を代えようとしたのを佐藤欣子をストップさせた。
 その前に、昨年三月に杉並区の「教科用図書採択要綱」とその「細目」が変えられています。いわゆる「学校票」や「絞り込み」を禁止する内容で、教師の意見を一切排除しようとしています。これを許さないためにさらに闘うことが重要になっています。
 国がこの教科書を合格させたということは、日本が国家として戦争を肯定したということ、再侵略の戦争を宣言したということです。「つくる会」教科書が検定合格した四月三日は、そういう歴史的な日です。「つくる会」教科書拒否の大運動をつくり上げることだと強く思っています。放っておけば杉並が真っ先にこの教科書を採択して、来年の四月からは区立中学の子どもたちがこの教科書で教えられるというきわめて重大な情勢を迎えています。
 しかもあえてこの杉並を選んだことに「つくる会」とそれに呼応する山田区長など反動勢力の意識的な狙いがある。「つくる会」は全国で一割のシェアを確保すると目標を掲げている。地方で進めても一割というのは難しいわけで、結局首都圏で採択させないと一割にはならないわけです。
 しかも杉並は山田区長という超タカ派の政治家が区長にいる。それから石原慎太郎の息子の伸晃が衆議院議員である。杉並に狙いを定めるだけの敵の側の主体的根拠があるわけです。杉並が、この教科書をめぐる全国最大の決戦場となっている。ここでこれをストップさせることが全国でストップさせる最大の切り口になる。杉並で、その課題を担って、全力で勝負したい。
 私たちの時代は父や母からいろいろ戦争の話を聞いた。実際にあの戦争がどういう戦争だったのか、悲惨な事実をリアルに伝える必要があります。
 南京大虐殺では三十万人とも言われる人が日本軍によって虐殺された。語るもつらい残虐な行為でした。「つくる会」教科書がそれを否定するということは結局反省していない、再びやろうとしていることなんです。
 もう一つ重要なのは、沖縄と日本がどうだったのかということです。沖縄戦では十五万人の県民が死んだ。その中で日本軍による住民虐殺が行われた。原爆についても、投下されたとだけしか書いていないことは許せない。どれだけの人が死んだのか、ヒロシマで二十万人、ナガサキで十万人、しかも生き残った人が放射能によって三代にまでわたって悲惨な苦闘を強いられている。
 国内の記述がむしろ「国民はよく働き、よく戦った」と書いてあって、美談みたいに描かれている。とんでもないことです。戦争の暗い面は書いていない。
 実はあの時代は治安維持法でどれだけの人たちが逮捕され、投獄され、虐殺されたか。戦争に反対するだけで、あるいは世の中を風刺する俳句をつくっただけで逮捕投獄されるような時代だった。
 戦争中に何の苦労もしなかったような連中はごく一部いる。そういう連中のために戦争がある。石原慎太郎のように政商の息子として生まれ、戦争中に何の苦労もしなかった連中が今再び戦争の旗を振っているわけです。
 ――区民の反応は。
 十一月の教育委員会をめぐるやりとりで、山田区長に対する区民の評価が一変しました。彼はリベラルな人ではないかという印象を持たれていたが、国家主義思想の持ち主だとはっきりしました。
 教科書は六月に区内で数カ所展示されて、区民も見られるわけですから、積極的に見てもらって、「つくる会」教科書の採択を阻止する大運動にしていきたい。
 ――それを阻止する力、展望という点から、この間教訓的な闘いが起こっていますね。

 給食民間委託阻止と介護保険廃止へ

 一番近い例は、学校給食をめぐる闘いが昨年秋から繰り広げられて、二万六千の署名、文教委員会や予算委員会でのやりとりをつうじて、四月実施をストップさせた。これは大きなことです。直接給食に携わる現場の労働者と、何よりも給食を食べる子どもとその保護者の考えや思いを尊重して進めるべきだし、判断すべきだということを掲げて闘った。
 結局、予算案は多数決で通されて、住民の請願署名は否決されたけど、そこにいたるやりとりをつうじて学校給食民間委託の口実とか、積極的理由とか、議会内的には全部打ち砕いた。民間委託を進める理由は何もなくなった。給食の質を落とすこと、働いている人たちの首を切ることが狙いだということが明らかになった。
 九月から実施すると言っているけど、闘いを学校ごとに区内全体に広げていけばストップさせることはまだまだ可能です。結局、現場で働く労働者と、それを支える地域の住民、保護者が組んだら阻むことができるということです。
 もう一つは、介護保険制度に反対する「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の運動にかかわって、多くの教訓を得ました。
 高齢者が介護保険制度下で悲痛な叫びをあげている。高槻で老老介護で餓死した例がありました。同じ状態が杉並でもある。低所得者で、あるいは年金だけで一人住まいという人が膨大に存在している。介護保険制度実施一年でメッセージ運動を住民の会の人たちが始めています。その中で本当に大変さをつかんできたところです。
 年金四万五千円で医者にかかっていると、以前は月八百円で済んだのが、今年から医者に行くたびにお金を取られる。その上で保険料は取られる。さらに利用料を払ってどうやって生きていけるんだと。介護サービスを受けるどころか、医者にかかるために食べ物を削って生きているんだという悲痛な叫びです。早く死にたいという声が高齢者から次々と出てくるこの悲惨さですよ。
 杉並区は区独自でやった実態調査の結果、介護保険制度はスムーズにいっていると発表したけど、まったく実態を見ていない。
 そういう人たちが絶望して自分の命を絶つことのないようにと願って、高齢者が杉並で立ち上がった。自分たちの力で自分たちの権利を取り戻そうというすばらしい運動が始まって一年以上たっている。この運動が与える力、勇気は本当に胸を打ちます。
 今、憲法違反の介護保険制度をなくす全国ネットワークをつくろうということで全国的な運動に広がりつつあります。
 ――住民の会の運動で高齢者自身が運動の主体になったということはすごいことですね。
 給食の運動の場合にはお母さんたちが主体だったし、介護保険の場合には高齢者が主体です。教科書の場合には世代的に広がりがあります。戦争を体験した人は「なんだ昔の教科書と同じじゃないか」と怒っている。子どもを持つお母さんたちは戦争に導く教科書はとんでもないと怒っている。それから若い人たちの反応が非常にいいです。若い人たちが一番敏感かもしれない。子どもから高齢者まで世代を超えて立ち上がる戦後史を画する運動、まさに第二の原水禁運動の可能性を直感します。
 そこで、石原都政の問題なんです。今、石原が「つくる会」教科書を真っ先に推進しようとしている。二月八日には東京都教育委員会が各区市町村に通達を出しています。だから石原都知事の教科書推進と全力で対決することを重要な課題に据えなければならない。
 ――それは都議選の中でも重要なテーマですね。
 もともと石原は「心の東京革命」を唱え、教育を変えなければだめだと言ってきた。彼がやろうとしていることはこの戦争を肯定する教科書の強制なんです。

 小泉と石原許せば本当に戦争になる

 石原都知事は、自民党の亀井政調会長と話をして首都再生プランとして十兆円の公共投資を推進しようとしている。自民党の最も伝統的な利権政治家だということがはっきりした。歴代自民党政権の国家財政を無視した大幅なゼネコン救済へのバラまきなど、公共投資が財政破綻(はたん)の原因であることが明らかであるにもかかわらず、それをさらに推進しようとしている。
 羽田空港の沖合拡張は、有事の軍事利用が狙いです。彼がアメリカの新聞に発表した経済活性化のためのミサイル開発という政策は軍需産業ということです。経済活性化のためには戦争が必要だとあけすけに言っています。
 ――石原都知事は環境問題を言っていますが。
 彼の言っていることは非常に巧妙で、一見人の心をとらえる。しかし実はそれは全部ウソです。実は彼がやろうとしていることは全部環境破壊です。ディーゼル車規制の石原がなぜ、自然を破壊して放射5号線や外郭環状の巨大道路を造るのか。
 端的な例では、ある都立病院で産業廃棄物の仕事をしている業者が、東京都からディーゼル車だからガソリン車に買い換えないと仕事をカットすると言われて、カットされた。つまり、ガソリン車に買い換える力のある大手だけが生き残るということなんです。大量のガソリン車の方が環境に悪影響を与えているわけで、ディーゼル車だけを規制すればいいという問題ではない。結局ガソリン車を大量に買わせ、ガソリン車が大量に売れるための巨大道路を造るのです。環境のためでも何でもない。外郭環状にしても放射5号にしても有事における軍用道路です。
 ――去年の「三国人」発言一周年で石原弾劾行動がありましたけど、また自衛隊の演習でとんでもない発言をしています。
 私も四月九日に都庁の前で抗議行動に参加しました。結局一年たって謝罪しないどころかもっと開き直った。今度はより露骨に治安出動を言っているわけです。東京に住んでいるアジアの人たちが不安にさらされる発言です。杉並にも外国人が一万人以上いる。子どもたちは一緒に学んでいるわけです。そういう人たちとの関係からいって絶対に許せないですね。
 ――石原が差別暴言を繰り返すのを許している状況は、マスコミの問題もありますけど、都議会の各政党が問題にしないということがあると思うんです。
 一年たって同じことを言わせているというのは都議会の責任だと思います。民主党から共産党までいったい何をやっているのか。
 共産党は、石原のある部分には共感していることがある。「国旗・国歌」の法制化も共産党が要求した。去年の大会以降、「日本国民の党」と打ち出しています。もともと共産党は愛国主義の党です。そもそも今の日本はどういう国なのかということを抜きに、日本のあり方を肯定してそれを守ろうということになれば石原と近いところに行ってしまう。反米愛国主義というところでけっこう近いから石原に反論できない。
 実はこの反米愛国主義が、危機に立つ日本において一番危険な考え方です。戦前はこれで戦争をしたわけですから。小泉と石原を許せば本当に改憲=戦争になってしまいます。戦争への道を許さないためにも闘うアジアの人たちと連帯できるかが問われていますね。その力を育んだ時に本当に戦争を阻止することができる。戦争反対といっても、自分の国が戦争をやろうとしていることに反対して初めて戦争反対ですから。
 結論的には、教科書闘争を日本の民衆がアジアの人たちと手をつないで闘い、新しい道を歩めるのかどうかにかかっている。この教科書闘争を大衆闘争として打ち立てることから新しい時代をつくる力を私たちがつかみとれる。

 労働者と住民の力信頼し勝利へ闘う

 ――都議選の状況と選挙に臨む決意を語って下さい。
 杉並は六議席に十一人、もう一人立つ予定で十二人になる。マスコミも誰が入ってもおかしくないと注目している。自民党支配の崩壊と、それに取って代わる枠組みがまだまったくできていない、新しい野党の力も見えないという情勢が杉並に一番反映している結果だと思います。
 率直に言って甘くはないです。その厳しさは直視して、十二人の中で頭一つ飛び出す闘いができるかどうかです。それは闘い方によります。大政党、既成政党は、その組織力、種々の団体などとの関係が持っている力があります。
 私たちが依拠するのは住民の会の高齢者の人たちとか、給食の民間委託に反対したお母さんたちとか、そういう区民の力です。やっぱり大衆運動だと思っています。選挙戦自体を巨大な大衆運動にできたら勝つことができる。これからの残された一月半が勝負です。
 ――今は既成政党に対する不信、怒りもすごいし、そういう労働者大衆の怒りを結集することですね。
 そういうチャンスではありますが、ただ参院選がありますから既成政党も必死の闘いに出てきています。しかも既成政党も平時のような闘いではだめだと思っているから、かなり激しい選挙戦になっています。
 ――選挙戦への区民の反応はいかがですか。
 杉並に来て長谷川さんの選挙も含めてかなりの選挙をやっていますけど、区民の反応という点では今までで一番ですね。切実な期待を感じます。それだけにこちらも問われる。
 何々をやりますとか、こうします、ああしますというような公約を並べ立てるやり方では通用しない。区民は、本当に今の閉塞(へいそく)した時代をどう変えるのか、変えてくれる力なのかどうかを真剣に見ている。
 石原都知事が「人気」があるのは、どんなに反動的で偽りであっても、現状を打破するかのように出しているからです。私たちは偽りではなく、本当に区民の皆さんに新しい未来、希望を与える選挙戦、訴えをしていきたい。
 私たち自身の中に、働く民衆の中に、未来を宿す力があるんだ、自分たちで変えていく力、それを託された時に皆さんと一緒に変えられますということを訴えていくことですね。
 ――区民のみならず全国の闘う労働者が、春闘ストライキを闘い抜いた動労千葉が応援してくれていますね。
 働く人たちの力、とりわけ労働現場で苦闘している人たちに最後の支えは期待しています。国労闘争団を支える闘い、給食問題、教科書問題、介護と福祉を要求する運動、その中で教育現場や介護現場で働く人たちの力や自治体で働く人たちの力が最大の原動力です。そこに信頼を置いています。
 それから今、学生の人たちが街宣隊で頑張ってくれています。他候補にはない若い力です。
 支持者自身が動き出したという点ではかつてないですね。みんな看板を掲げ、名前を出し、自分たちがチラシを持ち込んだり、生き生きと動いていて、次々と運動が広がっています。彼らを信頼し、ともに歩み、小泉・石原と全面対決して勝利したいと思います。

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