ZENSHIN 2001/05/07(No2004
p10) 
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週刊『前進』(2004号6面1)
日帝の沖縄圧殺攻撃許すな
5・15沖縄闘争へのアピール
名護新基地建設阻止へ闘いの再構築かちとれ
第1章 米兵と自衛官の犯罪に怒りを叩きつけよ
今年の五・一五闘争は二十一世紀の沖縄と日本の階級闘争を左右する重大な決戦になろうとしている。日本政府と連合派は、沖縄が来年「本土復帰」から三十周年を迎えるにあたり、五・一五を「闘いの日」から「祝いの日」に変えようとしている。復帰三十周年を目前に、本土との一体化=沖縄闘争の解体に公然と踏みきってきたのだ。
五・一五は、一九五二年のサンフランシスコ講和条約によって沖縄がアメリカに売り渡された四・二八と並ぶ「屈辱の日」だ。一九七二年五月十五日、沖縄人民の本土復帰闘争に込められた米軍基地撤去への強い願いを踏みにじり、日帝は核つき・基地の自由使用というペテン的返還を沖縄に押しつけた。沖縄人民は毎年の五・一五を、沖縄を取り戻そうと互いの決意をうち固めて闘ってきたのだ。
そもそも米軍基地、米兵がらみの事件・事故が繰り返され、地元紙にこれらの報道が載らない日がないというのに、五・一五で何を祝うというのか。
日本政府は、日米地位協定の改定や運用見直しについてすらまともに取り合わず、人間の尊厳を踏みにじり続けているではないか。三月十二日には幹部自衛官が女子中学生を暴行するという許せない事件も起こった。九五年に米兵に暴行され、「私のような目に遭う人を二度と出してはいけない」と勇気を出して告発した少女の叫びを忘れることは絶対にできない。沖縄人民の怒りは今や「コザ暴動前夜」「火山の噴火直前」にある。
本土人民は、今なお在日米軍施設の七五%が集中する「基地の島」としての現実を押しつける日帝の沖縄差別政策に腹の底からの怒りをたたきつけ、沖縄人民と連帯し、五・一五闘争に立ち上がろう。日帝が改憲と戦争への攻撃に本格的に踏みきってきた今こそ、第三次安保・沖縄闘争の大爆発をかちとろう。今年の五・一五を二十一世紀の沖縄闘争の歴史的な出発点にしようではないか。
第2章 沖縄を中国・朝鮮侵略戦争の基地にするな
米帝のアジア軍事戦略の強化と日帝の改憲・戦争国家化への突進は、沖縄米軍基地の再編強化と侵略最前線基地化を進めるものとなっている。
四月一日、米空軍のスパイ機EP3が対中国の軍事偵察中に中国軍機と接触し、これを墜落させるという重大事故を起こした。米帝はこうした中国への戦争挑発的な作戦を嘉手納基地から日々行っていることを隠そうともしていない。米帝はこれをエスカレートさせ、今後はEP3の護衛にF15戦闘機をつけるという。沖縄を中国侵略戦争の発進基地にすることを公然と宣言しているのだ。
昨年十月、アーミテージ(現国務副長官)ら民主・共和両党の軍事戦略担当者が共同で「米国と日本|成熟した協力関係に向けた前進」という報告書を出した。(『コミューン』三月号参照)
これは二九年型世界恐慌の時代に突入する中で、アジアの激動と日帝の没落、そのもとでの日帝の米帝的戦後体制打破への衝動、さらには沖縄での米軍基地撤去闘争の爆発という情勢に、米帝が必死で戦略的に対処しようとするものだ。
この報告書で米帝は日米安保基軸論を決定的にエスカレートさせて、米帝の朝鮮・中国|アジア侵略戦争への日帝の補完的動員を徹底的に拡大することをうち出した。新安保ガイドラインを実際に発動するために、集団的自衛権の解禁、PKF(国連平和維持軍)参加凍結解除、新安保ガイドラインで決められた水準を超える共同作戦への参加を日帝に要求している。
そしてこの米帝戦略の貫徹に向けて沖縄米軍基地を何がなんでも維持し、再編強化することが必要だと危機感を込めて訴えている。すなわちSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意の貫徹である。報告書には、「(九五年以来の沖縄闘争が)もはや日本だけでなく米国にとっても重荷になっている」「SACO合意には第四の目標としてアジア太平洋地域全体への(米軍基地)分散化を含めるべきだった」とさえ書いている。沖縄人民の闘いはそこまで米・日帝国主義を追いつめているのだ。
名護決戦こそ天王山だ。ここで名護新基地建設を粉砕し、SACO合意を粉砕すれば、米軍基地撤去に向かって情勢を地殻変動的に開くことができるのだ。
第1節 リーフ埋め立て基本計画粉砕を
いよいよ名護新基地建設をめぐって実力で激突する攻防が火を噴こうとしている。政府は名護新基地について、リーフ内での埋め立て方式を軸に七月までに基本計画を取りまとめる方針を固めた。
日帝は追いつめられて凶暴化し、住民への騒音の軽減や環境保護への配慮などのポーズすら投げ捨て、リーフ内を埋め立て二千b滑走路を持つ巨大な基地を建設しようとしている。橋本政権以来の「地元住民の頭越しにはやらない」という約束も、稲嶺らが言う「十五年期限」も踏みにじろうとしているのだ。
われわれは、「最低使用四十年、耐用年数二百年」というアジア侵略基地の建設を絶対に許さない。三里塚闘争三十五年の地平に立って、ありとあらゆる手段を使って実力阻止する。全国学生は、全学連沖縄決戦行動隊を先頭に、名護現地決戦に全力で決起しよう。
日帝は九五年以来の沖縄闘争の爆発を、大田県政の屈服・打倒=稲嶺体制の形成をもってなんとか押さえ込もうとしてきた。だが九七年十二月の名護市民投票での反対派の勝利は、名護新基地建設・SACO貫徹の攻撃を阻んできた。日帝は稲嶺や岸本などの裏切り者を使い、沖縄サミットを強行し、沖縄県北部振興策に一千億円を投入してこの行き詰まりを突破しようとあがいてきた。
他方で人民の側も、岸本名護市長へのリコール運動が日本共産党などの裏切りによって挫折させられてから、この間の那覇市や浦添市などの選挙での敗北にも示されているように、闘いへの大衆的意欲がありながらも、その力を発揮できずにいる。この現状を、闘う勢力の力でうち破らなければならない。
われわれが、名護新基地建設を実力で粉砕する闘う新潮流として登場し、全責任をとっていくことが求められている。「安保廃棄の凍結」「自衛隊の有事活用」を宣言した日共や、松崎JR総連の分裂で危機を深めるカクマルなどの敵対を粉砕して、今こそ沖縄闘争の政治地図を塗り替えるときだ。
第3章 「つくる会」教科書は新たな沖縄戦の強要
日帝の教科書攻撃は、日本の近現代史を貫く侵略と植民地支配、戦争の歴史を賛美し、新たな侵略戦争に人民を総動員しようとするものである。日帝は沖縄戦と沖縄差別政策の歴史を歪曲・美化し、新たな沖縄戦を強要しようとしている。
これはアジア人民に対する日帝の侵略戦争宣言であり、沖縄や広島・長崎の闘いに象徴される反戦(反核)闘争、「日の丸・君が代」反対の教育闘争を一掃することの表明である。「つくる会」教科書を検定合格させれば、当然にも日帝内外で激論になり、大問題になることを百も承知で、否だからこそ日帝は改憲攻撃の突破口としてこの攻撃にうって出てきたのだ。日帝は人民の激しい抗議を暴力的に正面突破し、この教科書の内容・価値観をもって教育改革・改憲攻撃を進めようとしているのだ。まさに「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」そのものだ。
「つくる会」の歴史教科書は、沖縄戦について、「沖縄では、鉄血勤皇隊の少年やひめゆり部隊の少女たちまでが勇敢に戦って、一般住民約九万四千人が生命を失い、十万人に近い兵士が戦死した」と記述している。なんということか。
日本帝国主義は、沖縄を「琉球処分」として武力で統合し、徹底した差別政策と皇民化教育を行い、アジア侵略の拠点として動員していった。その行きついた先が沖縄差別の極致としての沖縄戦であった。当時の県民のおよそ三分の一にあたる十五万人以上が沖縄戦で殺された。しかも沖縄の人民は、日本軍に壕(ごう)を追い出され、食料を奪われたり、あげくに日本軍にスパイとして殺されたり、「集団自決」を強要されるなどしたのだ。
「つくる会」教科書の歴史歪曲に対して沖縄の怒りが爆発している。沖縄戦記録フィルム一フィート運動の会の福地曠昭副代表や沖縄のキリスト者らは、この教科書を、「沖縄戦を殉国美談に仕立て上げる」「県民への冒涜(ぼうとく)」であり、「また元の悲惨な時代にかえって行く」ものだと激しい怒りと危機感をたたきつけ、稲嶺県当局への申し入れやハンガーストライキに立ち上がっている。日本軍の戦死者が一般住民の死者よりも多かったとする記述に対しても、戦後五十年間の沖縄戦研究の成果を踏みにじるものだと抗議の声が上がっている。
また「つくる会」の歴史教科書は、昭和天皇ヒロヒトを人物コラムに長々と登場させ、「たとえ自分の身がどうなってもポツダム宣言を受諾すべき」という天皇の「聖断」によって戦争は終結したなどと恥知らずな天皇賛美を行っている。
だが実際はどうだったのか。四五年二月十四日に近衛文麿が戦争の終結を勧めたことに対し、ヒロヒトは「もう一度戦果を挙げてからでないと(天皇制護持は)難しいと思う」と述べ、天皇制護持のための「捨て石」として沖縄戦を強行したのだ。七月二十六日にポツダム宣言が出た後も、天皇制護持を保障する条項がないと受諾を渋り続け、広島・長崎の原爆などでさらに多くの尊い命を奪った。そして敗戦後にはマッカーサーに「天皇メッセージ」を送り、自分の戦争責任の免罪・天皇制の護持と引き換えに、沖縄をアメリカに売り渡したのだ。
さらにこの教科書には戦後の米帝支配についても言及がなく、復帰も佐藤内閣の業績としただけで基地問題にすら触れていない。また歴史教科書全体でも侵略戦争の記述と同様に沖縄戦の記述が大幅に減少、現行に比べ三分の一に減らした出版社もある。
「つくる会」公民教科書も、日米安保の「意義」を確認しながら、沖縄に米軍基地が集中している事実すら書いていない。また集団的自衛権の行使や憲法改悪の必要性を記している。さらに衆議院議員の西村真悟が、石原とともに中国領・釣魚台に武装上陸した写真を載せ、沖縄をアジア侵略の最前線にして釣魚台略奪・中国侵略を扇動している。
沖縄人民を始めとする日本人民、アジア人民にとって、「つくる会」教科書の存在自体を絶対に認めることはできない。われわれは東京・杉並を焦点に「つくる会」教科書採択を阻止する大運動を巻き起こす。沖縄人民、アジア人民への血債をかけて断固闘う。
この教科書は、沖縄差別とアジア侵略によって成り立つ、過去と現在、そして未来の日帝の姿そのものであり、革命的祖国敗北主義と国際主義の立場で必ず粉砕しなくてはならない。
「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の総路線をかけて教科書攻撃を粉砕し尽くそう。
第1節 都議選に勝利し新潮流の登場へ
相次ぐ米兵事件・事故、名護新基地建設、教科書攻撃との闘い|こうした沖縄と沖縄闘争をめぐる歴史的攻防は、新しい闘う潮流・新しい民衆の指導部の登場を求めている。六月都議選の勝利を全力でかちとろう。十一月労働者集会の成功のために沖縄と本土を貫いて決起しよう。この中で党勢二倍化を実現しよう。
五・一五闘争の大成功をかちとり、二十一世紀の沖縄闘争の新たな出発を築こう。
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