ZENSHIN 2001/05/28(No2006 p06)

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週刊『前進』(2006号1面1)

「つくる会」教科書白紙撤回、石原都政打倒! けしば誠一氏を都議会へ
社共に代わる労働者党の登場で 自民党・小泉改憲内閣打倒せよ
 5・27全国から芝公園へ結集せよ

 六月十五日の都議会議員選挙告示まであと一カ月を切った。全党・全人民は六月二十四日の投票日まで一切をなげうって、杉並でのけしば誠一氏の勝利のために奮闘しよう。小泉新政権が改憲と戦争、リストラと賃下げ、社会保障切り捨ての極右反動内閣であることを鮮明に暴露し、その打倒に向け「改革」のペテンをあばき、小泉幻想を粉砕して闘おう。また、この小泉自民党と連携して、東京から戦争国家づくりを進める石原慎太郎と真っ向対決し、「石原都政下の都議会にけしば氏を送り込もう」を合言葉に、都議選必勝の陣形をつくろう。小泉反革命、ファシスト石原の攻撃を全力ではね返す総力決起をかちとり、勝利しよう。

 第1章 体制危機を爆発させ戦争に進む帝国主義

 都議選決戦の決戦性を規定する内外情勢の最も根底にあるものは、戦後帝国主義世界体制の基軸国であった米帝の一九九〇年代の長期にわたったバブル経済がついに崩壊を開始し、世界大恐慌への現実的突入が始まりつつあることである。その中で帝国主義世界経済が分裂化・ブロック化に進みつつあり、それは必ず帝国主義の侵略戦争、帝国主義間戦争、世界戦争に突き進む。今やそこに向かって歴史が回り始めているのだ。ブッシュ政権のこの間の対日政策、対中政策も、すべて米帝危機の中で、強い米帝を押し出し、米帝のむき出しの国益を追求するものであり、そのためには戦争も辞さないものとしてあるのである。
 こうした中で登場した小泉政権は、日帝の体制的危機の激しさが生み出した極右政権である。日帝経済の解決不可能な矛盾の爆発の中で、それをあたかも「聖域なき構造改革」とか「改革断行内閣」というキャッチフレーズで、何かしら解決できるかのような装いをこらして登場したのだ。
 小泉の後見人然としている中曽根は、十四日の講演で「小泉君は、鳩山一郎―岸信介―中曽根康弘というわれわれのサイドの首相になり得る」と語り、「民族主義をもった精神的要素を重んじるタイプ」に分類した。つまり憲法改悪や小選挙区制を企て(鳩山)、安保を改定し(岸)、「戦後政治の総決算」を叫び首相公選制を唱えた(中曽根)のを継ぐように促しているのだ。経済構造改革と憲法改悪と集団的自衛権と靖国参拝を掲げて登場した小泉は、まさに戦後の首相の中でも超反動、極右政治家だ。特に、小泉の持論である首相公選制は、憲法改悪の突破口であり、独裁制への道であり、絶対に粉砕しなければならない。

 「小泉改革」の反動とペテン

 小泉の五月七日の所信表明演説と代表質問に対する答弁、予算委員会での答弁を見ると、小泉政権の姿勢がはっきりする。
 第一に、日帝が帝国主義間争闘戦でたたき落とされ没落帝国主義の道を進んでいる中で、そこからはい上がろうとものすごい危機意識を爆発させている。所信表明で「地球的規模での競争社会」「競争的な経済システムを」と語っているのはその表れである。米帝との争闘戦に打ち勝つことを至上命題としているのだ。
 しかし、今や過剰資本・過剰生産力、不良債権、企業債務、財政赤字として日本資本主義の全矛盾が爆発しており、それらはこれからさらに本格的になっていく。日帝の前途は絶望的である。日帝はいよいよ対米対抗性をもって、労働者人民を徹底的に抑圧し、アジア人民の決起に敵対し、凶暴化するほかない。
 第二に、「構造改革なくして景気回復なし」「『緊急経済対策』の実行で不良債権処理を速やかに行う」「非効率な部門の淘汰(とうた)が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じる」と言っているのは、労働者階級人民への大リストラ宣言である。
 日本経済が今日抱える根本問題は、バブル期以来の銀行の膨大な不良債権と企業における過剰債務(過剰設備)にある。もし銀行が現在の不良債権を持ったまま、世界的な大不況に飲み込まれたら、日本の金融システムは全面的に瓦解(がかい)して、日本発世界大恐慌となる。それを回避するために銀行の不良債権の抜本的処理が不可欠だ。だが、それをやればどうなるか。連鎖的な企業倒産、失業者の激増、不況の深刻化を引き起こし、今日の内外情勢の中では株式の大暴落も発生しかねない。その結果、銀行が破綻(はたん)に追い込まれる。
 全国の銀行が不良債権二十二兆円の処理をすると、失業者は百三十万人増え、倒産する企業の負債総額はGDPの〇・六%に達すると言われ、総体として景気は一段と悪化すると民間の調査では報告されている。
 明らかになっているNTT東西の大合理化を見よ。現在十一万二千人のうち六万人を子会社へ移す。五十一歳以上はいったん解雇・再雇用で、二〇〜三〇%の賃金カットになる。
 小泉が主張してきた郵政民営化では数万人の大合理化となる。さらに特殊法人へのゼロベースからの見直し。これらは、国鉄の分割・民営化のように一切が労働者階級人民への犠牲転嫁の攻撃としてある。
 倒産、リストラのラッシュ、失業、低賃金と強労働、かつてない大資本攻勢が労働者階級に襲いかかっているのだ。資本主義が没落の危機にのたうち回り、絶望的延命策動を強めている。労働者階級人民は、資本主義防衛、企業防衛の立場をのりこえ、資本主義にノーと言える階級的立場に立って、リストラ・倒産攻撃と闘い、賃金の引き下げに反対して闘うことが死活的な課題になっている。
 第三に、朝鮮・中国―アジア人民への敵視、排外主義・国家主義の侵略政策である。それは、「日本人としての誇りと自覚を持ち教育改革」「教育基本法の見直し」の宣言に表れている。「つくる会」の教科書への朝鮮・中国人民の再修正の要求に対して、再修正はしないという居直りの言辞にも示されている。
 韓国政府の三十五項目の再修正要求および中国政府の八項目の再修正要求を断固支持し、朝鮮・中国人民と連帯して闘わなければならない。それらは、朝鮮・中国人民の最低限のギリギリの要求である。この再修正問題を大きく焦点化して〈韓国・中国政府の再修正要求支持、「つくる会」教科書白紙撤回せよ。「つくる会」教科書の七月採択絶対阻止〉を掲げて闘おう。教育改革関連四法案を阻止する国会闘争を闘おう。
 さらに、小泉は、靖国神社に「総理として、個人として」参拝すると繰り返し言明している。「外国からなんと言われようと」強行すると公言するのは、アジア人民を再びじゅうりんする発言である。靖国神社とは、日帝の侵略戦争を居直り、A級戦犯を始め戦死者を神、「英霊」として祭るものであり、国家のために命を投げ出すことを求めるものだ。公式参拝は、首相としてアジア再侵略戦争を宣言するに等しい暴挙だ。
 また、「日の丸・君が代」闘争への不当弾圧が襲いかかってきている。五月十一日、広島県教委は、三、四月卒入学式闘争での「日の丸・君が代」強制に反対して着席した教職員に対して戒告七十八人、文書訓告二十九人の攻撃を加えてきた。「日の丸・君が代」を踏み絵とした「不適格教員」排除攻撃の本格的始まりである。
 第四に、社会保障制度の全面的な切り捨ての宣言である。「年金、医療、介護については『自助と自立』の精神を基本とし」と言い、「福祉」の言葉もない。戦後的な生きるための諸権利を一切奪う攻撃だ。
 第五に、改憲―侵略戦争体制の攻撃である。日米同盟のもとでの日帝独自の戦争国家化を追求している。米帝ブッシュの対アジア政策と共同作戦を行い、その上で日帝としてトコトン戦争体制を強化しようとしている。具体的には、「普天間飛行場の移設・返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の着実な実施に全力で取り組む」と言って沖縄圧殺・基地押しつけを貫き、さらに「治にいて乱を忘れず」と称して有事法制を具体化しようとしている。
 山崎拓自民党幹事長が「集団的自衛権の行使は国会決議で」と代表質問で提起し、小泉もそれが可能と答弁している。きわめて重大な改憲攻撃なのである。

 第2章 右からの現状転覆か 闘う革命党の登場か

 このように、自民党支配の根底的動揺と危機の中から、極右的反革命運動=戦後政治体制の反動的転覆運動が出現した。小泉、石原らは、明白に自民党支配への危機意識にかられて、右から反革命的に動き始めている。
 帝国主義の支配の危機、体制的動揺の時代こそは帝国主義的民族主義、愛国主義、排外主義のばっこする時代である。いかにも閉塞(へいそく)する時代を切り裂くかのような幻想をまきちらし、人民大衆をだまして、その実、日帝支配階級の行きづまりを極反動的に戦争と暗黒支配体制へともっていくのである。
 ところが、既成政治勢力は「帝国主義の死の苦悶(くもん)」の事態に根本的に対応する方向をもちえず、帝国主義に翼賛する立場へと落ち込んでいる。
 しかし、その中でも国際的、国内的に労働者階級人民の怒りと闘いの炎はさまざまな形態をとり、突破口を見いだして爆発を開始している。南朝鮮・韓国の労働者のリストラ反対の強烈な反撃の闘争は決定的に重要である。
 日本でも状況は暗黒一色ではない。国鉄決戦は、日帝と国労中央の反革命をはねのけて、闘争団を守りぬき国労の解体を阻止し、闘う国労の再生の闘いが進んでいる。動労千葉は百二十時間のストに決起した。また、カクマルとJR総連カクマルの分裂・抗争という歴史的事態は、労働者人民の闘いへの意欲を高揚させている。
 小泉、石原への野党の全面的な屈服の中で、求められているのは、労働者人民の力を基礎に闘う革共同の社共に代わる労働者党としての鮮烈な登場である。

 小泉政権の破綻性は明白

 小泉政権は、実は強力でも盤石でもない。強力な労働者人民の闘いが対置され、その本性が暴かれる時、根底から打ち倒すことは可能なのだ。
 第一に、現在の異常なまでの小泉政権支持率は、小泉の手で自民党改革や政治危機の打開が実現されるのではないかという願望の強さの表現である。しかし、小泉政権は実はおそるべき超反動政権であり、改憲と戦争国家化と大リストラ攻撃を公言している政権なのである。このまま放置したら歴史が戦争に向かってガラリと回転する危険をはらんだ情勢にきているのだ。この危険性がまだまだ大衆的に確認されていない。危機感と怒りに燃えたこの徹底的暴露と、石原都政への怒りと危機感を結合して都議選決戦に総決起しよう。
 第二に、果たして小泉政権は日帝政治危機・自民党危機を打開できる政権なのか。逆に、小泉人気のようなもので打開できるほど日帝政治危機とは底の浅いものなのか。小泉政権とは、いったい広範な民衆が支持している「改革」なるものを実現する政権なのか。まったく否! だ。何ひとつ改革もしていないし、これからもできはしない。
 第三に、民主党が小泉の「改革」路線に動揺し混乱して対決性を喪失していることは、野党の反動性、インチキ性を自己暴露している。つまり、八〇%の支持率という小泉政権との真っ向からの対決は、大衆的規模でのイデオロギー闘争・党派闘争を展開するなら、一挙にわれわれの党派性を鮮明にさせるのである。小泉との対決の鋭さが、他の野党との対比できわめて分かりやすいものとなる。
 だからこそ、われわれが小泉幻想を徹底的にたたきつぶし、小泉と自民党にはまったく改革の思想も力もないことを労働者階級人民の立場から暴いていくことなのだ。

 第3章 戦争・リストラ・福祉切り捨ての石原都政

 ファシスト石原は、自民党政治の戦争と大リストラの攻撃の反革命先兵である。この間のけしば氏と都政を革新する会の闘いによって、石原の反革命性はかなり暴きだされてきた。今や石原との真っ向からの対決こそ都議選闘争の中でとりわけ重要である。
 6面につづく〜1面からつづく
 だが、他党派は、石原に軒並み屈服している。
 総与党化している中で、日本共産党は、「石原都政に是々非々をつらぬく」などと言って、事実上完全屈服している。「タカ派的な面には反対」などとアリバイ的に言うが、どこに反対するか具体的には言わないのだ。「第三国人」発言、自衛隊を動員した首都治安軍事訓練、「つくる会」教科書採択策動などに反対の運動を起こすことなど絶対に口にしない。むしろそうした闘いの爆発を恐れているのだ。事実上、日共は石原与党だ。
 こうした中で、区議十年の闘いの中で、つねに大衆の運動の先頭に立ってきたけしば氏を押し出すことの意味が際立って重要になっている。介護保険制度に反対する住民の闘い、学校給食の民間委託化に反対する父母や区職員の闘い、「つくる会」教科書の採択に反対する親たちの闘い、こうした労働者住民とともに、身をもって闘う議員として、けしば氏は立ち上がっているのだ。
 とりわけ当面の闘いの焦点は、石原と山田杉並区長の攻撃と闘って、「つくる会」中学校歴史・公民教科書の採択を阻止することだ。杉並でこの闘いに勝利することが決定的だ。
 都議選スローガンとして「大リストラと改憲|戦争の小泉政権打倒!」「小泉自民党に民衆の怒りを」「戦争美化教科書の採択狙う石原都知事と真っ向勝負する」「自民党を全員落とせ!」「六月都議選必勝で、小泉政権を打倒せよ」を真っ向から掲げ、これらの一切を「石原都政下の都議会にけしば氏を送り込もう」へ絞り上げて闘おう。

 5・27教育改革・改憲粉砕闘争

 小泉内閣打倒を掲げ、教育改革・改憲攻撃粉砕をめざして反戦共同行動委員会の五・二七全国総決起闘争に立とう。その場から最後の四週間の都議選決戦に全国の総力を注ぎ込もう。
 分裂カクマルにさらに攻勢をかけ、JR総連・松崎の反労働者性を徹底的に暴きだそう。右翼国粋主義、日本礼賛主義に完全に転落した黒田哲学の死を宣告した革共同に、カクマルは何ひとつ答えることができない。今こそ第三次分裂以来の長期の闘いの決着の時である。
 闘う闘争団の不屈の反転攻勢に確信を持ち、JRの完全民営化|第二の国鉄分割・民営化攻撃粉砕へ五月国鉄闘争に勝利しよう。
 平和市民連絡会を中心とする沖縄五・一五闘争の勝利を踏まえ、名護・浦添の新基地建設阻止へさらに闘いを強めよう。
 三里塚反対同盟の土地収用法改悪阻止の国会闘争に続き、暫定滑走路粉砕の二〇〇一年三里塚闘争に勝利しよう。
 部落解放同盟全国連合会とともに五・二三狭山統一行動に立ち、狭山再審貫徹の闘いを強めよう。
 激化する排外主義攻撃、在日朝鮮人・中国人に対する国籍強要攻撃と闘い、在日朝鮮・中国|アジア人民、闘うアジア人民との連帯をかちとろう。
 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う須賀同志が五月八日から十二日まで、ついに入院検査に伴う勾留の一時執行停止という勝利をかちとった。続いて、十亀同志、板垣同志の医療鑑定をかちとり、デッチあげ爆取弾圧の四同志の保釈奪還を絶対に実現しよう。
 今や都議選決戦は革共同にとってのるかそるかの決戦だ。闘いの原点から立ち上がり、革命家魂を発揮して必ず勝利しよう。この総決起方針は党建設そのものである。六月都議選決戦に一切をかけて総決起せよ!

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週刊『前進』(2006号1面2)

前進社本社など全国30ヵ所一斉不当捜索を弾劾する
 都議選への妨害を許すな!

 五月十四日早朝、前進社本社など全国一都二府十三県三十カ所の事務所などに対して、日帝・国家権力が不当捜索を強行した。同時に「住居侵入の共謀」なる言い掛かりをつけて一同志を本社内で不当逮捕した。
 これは極右・小泉政権誕生のもとでの改憲と戦争、リストラ・大失業、福祉切り捨ての大攻撃と一体となって強行された革命党に対する弾圧であり、六月都議会議員選挙闘争に対する許しがたい妨害である。
 われわれは怒りを込めてこの不当弾圧を弾劾し、日帝権力の攻撃を打ち破って都議選決戦に必ず勝利することを宣言する。
 今回の捜索は、一九九九年十二・一三千葉県議宅への革命軍のゲリラ戦闘を口実とするものである。それは三里塚暫定滑走路建設のための三里塚現地に対する攻撃と一体の弾圧である。
 捜索場所は、前進社本社、同神奈川、関西、中国、九州の各支社、京都支局などの革共同の拠点と同時に、三里塚現闘本部や労組交流センターの事務所、大学寮などにも及んでおり、勝手に権力が「中核派の拠点」とみなしたところを襲ってきた。もとより、それらは三里塚ゲリラ戦闘とはなんの関係もないところばかりであり、弾圧のための弾圧、捜索のための捜索である。
 そのやり方も、かつてない暴力的なものであり、ドアをエンジンカッターで破壊するなど許しがたい方法で行われている。
 今年一月の省庁再編以来革共同に対する権力、公安警察の革共同弾圧体制は強化されており、中核派に対する不当逮捕攻撃もエスカレートしている。「ころび攻防」での逮捕などの不当逮捕が強行されている。
 日帝の体制的危機と恐慌、戦争の情勢に対して人民の怒りと闘いが広がっている。その中での革共同の前進に恐怖した国家権力の攻撃を、われわれは全力ではね返し、都議選勝利を突破口に革命勝利に向かって前進するものである。

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週刊『前進』(2006号2面1)

国労の旗守る闘争団と共にJR本体の総決起・総結集を
 第二の分割・民営化攻撃粉砕へ

 国鉄決戦はこの五月、きわめて重大な局面を迎えている。「聖域なき構造改革」を唱えて登場した小泉政権は、労働者階級に倒産・解雇、大失業と賃金切り下げの一大攻撃をしかけることで日帝危機の絶望的突破を図っている。そのためにも、JR完全民営化法をなんとしても今国会で成立させ、国鉄闘争を解体しようと必死になっているのである。国鉄闘争は、今こそ全労働者階級を率いて、小泉「構造改革」粉砕の先頭に立たなければならない。四党合意を断じて認めず不屈の闘いを貫く闘争団を支えぬこう。JR東日本の「ニューフロンティア21」を始めとする第二の分割・民営化攻撃を打ち砕く、JR本体の総決起・総結集をつくり出そう。

 小泉「構造改革」迎え撃つ国鉄闘争の位置

 小泉は、「百万人が失業者になってもたいしたことはない」などとうそぶきながら首相の座についた。あろうことかその小泉が、連合メーデーに乗り込んで、十万人の労働者を前に「痛みの伴う改革を断行する」と言い放った。
 資本は今、極右小泉政権の登場を歓迎し、NTT東西会社の六万人以上削減を始めとして、矢継ぎ早に大リストラ・首切り計画を打ち出している。だが、小泉の傲慢不遜(ごうまんふそん)な言動の中には、労働者階級の怒りの大きさへの決定的な軽視がある。
 国鉄闘争は、十四年におよぶ戦後最大の解雇撤回闘争として貫かれてきた。国家的不当労働行為によって首を切られた一人ひとりの労働者とその家族が、傷つき、怒り、幾多の苦闘を経て、解雇撤回までやむことのない不屈の闘志を培ってきたのである。この闘いは、不当配属や賃金差別などの攻撃と不断に対決しつつ団結を維持してきた国労組合員はもとより、膨大な国鉄闘争支援陣形の広がりの中で、労働者階級全体の経験として共有され、蓄積されている。その労働者階級が、小泉をこのままのさばらせておくことなどあってはならない。
 倒産・リストラ・解雇・賃下げの一大資本攻勢に対する反撃の火の手は、今や至るところで上がっている。こうした闘いが燃え広がり、巨大な反撃として敵階級にたたきつけられた時、流れは一挙に逆転する。国鉄闘争は、その闘いの先頭に立つ名誉ある歴史的使命を引き受けなければならない。
 二九年型世界大恐慌の本格化と帝国主義間争闘戦での敗勢の中で、日帝は一切の犠牲を労働者階級に押し付け「競争的な経済システム」を暴力的に確立し、改憲と侵略戦争に突進する以外に生き延びる道はない。
 だが、国鉄闘争はこうした攻撃を打ち砕く闘いの基盤を築いてきた。支配階級にとってのバブル崩壊後の「失われた十年」は、労働者階級にとっては、国鉄闘争を基軸とした血のにじむ苦闘と曲折を経ながら、闘いの態勢を打ち固めてきた十年だったのだ。国鉄闘争を千四十七人闘争として発展させ、すべての労働者をそのもとに結集させた時、築かれた基盤の上に巨大な闘いが繰り広げられるのである。国鉄闘争の勝利と国労の発展も、その中にのみ存在する。

 四党が再びゼロ回答の無条件受諾を迫る

 敵権力は、こうした位置を持つ国鉄闘争にますます憎悪をつのらせ、小泉政権のもとであらためてその解体に乗り出している。
 五月十四日、与党三党と社民党の「四党協議」が行われ、自民党の甘利(元労相)は、@不採用問題は条件闘争に持ち込むべきではない、A四党合意はあくまで「人道的解決」、B不採用事件での最高裁判決までがタイムリミットだ、などとして「組合側がこうしたことを理解しなければ具体的交渉には進めない」と社民党に迫った。そして、社民党はまたしても自民党の手先となり、これらの条件を国労に突き付ける恥ずべき役割を引き受けたのだ。
 「条件闘争に持ち込むべきではない」とは、ゼロ回答の「解決案」を国労は無条件で受け入れろということだ。日帝権力・自民党は、“何でもいいから早く「解決案」を出してくれ゜と泣きつく国労本部の屈服を見透かして、“闘う闘争団を徹底的に抑え込んでくることが先決だ゜と恫喝しているのである。
 闘争団は、機動隊を導入して強行された一・二七国労大会での四党合意受諾決定に抗して、あくまでも四党合意を認めず、「解雇撤回・地元JR復帰」「不当労働行為責任の追及」を掲げて闘いぬいている。これに業を煮やした自民党は、国労本部に対して闘争団を切り捨てよという最後通告を発したのだ。国鉄闘争は、いよいよその存亡をめぐる決戦に突入した。

 完全民営化に加担する本部

 こうした中で、国労本部のチャレンジ一派、革同一派は、この権力の恫喝に屈して、ますます闘争団への敵対を深めている。
 国労本部は、四月十二日付の「指示第二八号」で、闘う闘争団の行う取り組みを「解決を阻害する『反組織的行動』」「解決を遅らせる要因になる」と口を極めてののしり、その行動に組合員は一切参加するなと恫喝している。国労本部の訴訟取り下げ策動に対して、闘争団員二百十二人が訴訟参加の手続きをとったことに対しても、すぐさま反動的非難を投げつけた。
 さらに許しがたいのは、彼らが公然と「JR完全民営化」賛成を唱えていることである。国労東日本本部のチャレンジ、革同一派は、東日本鉄産労との統一行動で「私たちは、この法案が成立し、JR本州三社の完全民営化が実施されることを期待しています」などという連名の要請書を国会議員などにまき散らした。しかも彼らは、国労組合員に対しては「完全民営化法案が成立すれば闘争団がJRに復帰する道はなくなる。だから人道的解決しかないのだ」などと触れ回っているのである。
 闘争団に解雇撤回を断念させ、ゼロ回答を押し付けるために「完全民営化」の早期達成をこいねがう||国労本部は、今やここまで反革命的な転落を遂げた。断じて許してはならない。

 ニューフロンティア21粉砕の決戦に立て

 チャレンジ一派による闘争団切り捨て策動は、一層の悪らつさを増している。
 社会主義協会の機関誌『月刊社会主義』五月号は、東エリア書記長の佐藤や九州エリア書記長の田口、長野地本書記長の吉田ら名だたるチャレンジを総登場させて、JR各社の合理化についてさもさもの体で論じている。だが、その実践的結論たるや、「(闘争団への)差別と不当労働行為に対する闘いが……闘う目標自体にさせられると……一〇四七名を支える側の、JR内の反合理化の闘いが中心とされないばかりでなく、主戦場はJRの職場であるにもかかわらず、職場からしだいに遠ざかっていく」(山田あつし『国鉄闘争の意義と総括に向けた一考察』)、だから闘争団を早く切り捨てろ、というものなのだ。
 闘争団とJR本体を分断し対立させ、不当労働行為根絶の闘いと反合闘争を切断するこんな転倒したペテン的へ理屈は絶対に通用しない。JR職場での反合理化の闘いを抑圧し、四党合意という国家的不当労働行為に加担してきたのはチャレンジ一派自身である。彼らはいずれも、国労組合員が切実に要求する春闘ストの圧殺に全力を挙げてきた張本人ではないか!
 今、JR職場にはJR東日本のニューフロンティア21を始めとしたすさまじい攻撃が襲いかかっている。その核心には、国労・動労千葉の解体、国鉄闘争の絶滅という狙いがある。
 ニューフロンティア21は、「厳しい競争の時代に勝ち抜く」「株主価値重視の経営」を強調し、そのために「国鉄改革の原点を再認識し」「意識改革を徹底せよ」と叫びつつ、一切の犠牲を労働者に押し付けるというものだ。鉄道事業は事業戦略の三番目に落とし込められ、安全は徹底的に切り捨てられる。駅空間を利用した金もうけが最優先され、徹底したリストラによる法外な利潤のねん出が押し出されている。「人事・賃金制度の見直し」「雇用形態の多様化」も露骨に唱えられている。
 これらを具体的に実現するための方策が、シニア制度と一体となった保守部門の全面外注化を柱とする一万人以上削減の攻撃だ。国労の拠点職場は軒並みその対象となっている。二千人が出向ひいては転籍を強要され、千人が「余剰人員」とされるのだ。JR総連・東労組=松崎カクマルは、その最凶悪の先兵となることを資本に誓った。
 JR本体の労働者にも、再び激しい首切りと団結破壊の攻撃が襲いかかろうとしている。まさに、生き死にのかかった決戦が到来したのだ。今こそ、闘争団の不屈の闘いと相並ぶ、JR本体の組合員の根底的な決起が必要なのである。JR本体が腹を固めれば、反転攻勢は必ず実現できる。
 小泉「構造改革」と対決して、第二の分割・民営化攻撃粉砕・国鉄闘争勝利へ、闘争団とともに総決起しよう。

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週刊『前進』(2006号2面2)

極右・小泉−ファシスト石原と闘うけしば氏必勝を

 「構造改革」とは大リストラ
 「痛みに耐えろ」と労働者に犠牲を押しつける小泉

 小泉政権が掲げる「聖域なき構造改革」は労働者階級に何をもたらすのか。大リストラ・大失業|首切りと不安定雇用化、賃下げと大増税、社会保障解体である。小泉は、「今の痛み」に耐えよと強要し、「構造改革」を進めれば景気が回復し「明日はよくなる」という幻想をふりまいているが、それはまったくのペテンだ。そもそも自民党・森派の極右政治家である小泉に、「改革」の能力も思想もない。小泉の「改革」の主張は始めから破産しており、中身は反人民的である。小泉打倒・都議選勝利に立とう。

 「不良債権処理」で倒産激増、100万人の失業者が不可避

 五月七日、小泉は所信表明演説で「聖域なき構造改革」を声高に叫んだ。
 第一は、「構造改革なくして景気回復なし」という「経済・財政の構造改革」。具体的には、@二年から三年以内に不良債権の最終処理を目指す、A二十一世紀の環境にふさわしい競争的な経済システムを作る、B財政の構造改革だ。
 第二は、「行政の構造改革」。特殊法人のゼロベースからの見直し、郵政三事業は二〇〇三年公社化後に民営化を含めて検討することを打ち出した。
 第三は、「社会の構造改革」。これは教育改革、社会保障改革などだ。
 これらが「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず」というスローガンのもとに打ち出されている。
 小泉は、「非効率な部門の淘汰(とうた)が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもある」と言い放っているが、それは労働者階級に対して「痛み」を強制する大リストラ宣言である。「今の痛みに耐えて明日をよくしようという『米百俵の精神』」などというのは、「欲しがりません、勝つまでは」という戦時のスローガンだ。
 小泉はまた、「これまでは抵抗勢力にひるんで実現できなかった」と言っているが、抵抗勢力とは何よりも労働者階級である。労働者の団結と抵抗、労働組合の闘いに対して敵意をむき出しにして襲いかかろうとしているのだ。
 もし小泉の「構造改革」が実現されると、労働者階級に何をもたらすのか。
 (1)まず、不良債権の最終処理。ニッセイ基礎研究所の試算では、二十二・二兆円の不良債権処理で百三十万人が失業し(二月時点の失業者三百十八万人と合わせて四百四十八万人に)、失業率が一・九ポイント上昇する(二月時点の四・七%から六・六%に)。実際、小泉は「百万人が失業者になってもたいしたことはない」(四月十三日立会演説会)とうそぶいている。
 不良債権処理では、民事再生法などで企業を法的に整理するなどの手法がとられるが、昨年四月施行の民事再生法によって、労働者の全員解雇や選別再雇用、退職金カットなどが強行されている。愛知県の山田紡績はパートを含めて全員解雇。百七人が解雇無効とパートへの退職金支払いを求めて訴訟を起こした。工作機械メーカーの池貝(本社・川崎市)は、五百五十人全員に解雇通告。百二十人は再雇用するが、勤務地や技能、査定、年齢で選別される。退職金は五割カットで、銀行だけが債権をほぼ回収できる見通しだという。こうした訴訟に至ったケースはマスコミで報道されるが、これは氷山の一角でしかない。
 百万人もの失業が家族を含めて数百万人の人びとの生活を破壊し、塗炭の苦しみに陥れるのだ。これに耐えよと言うのが、小泉「改革」の正体なのだ。

 郵政事業民営化やNTT6万人転籍など人員削減加速

 (2)さらに小泉「改革」は郵政民営化や特殊法人の整理、公務員制度改革による公務員首切りなどによって、大失業攻撃の全社会的な貫徹を狙っている。
 総務省・郵政事業庁は、三月末に「郵便新生ビジョン」を策定し、一万二千人余の人員削減計画を提示。小泉政権が郵政民営化の検討を打ち出したのを受けて、約一万四千人に削減幅を拡大した(読売新聞五月十四日夕刊)が、人員削減はこれにとどまらないことは明らかだ。
 小泉は『郵政省解体論』(九四年刊)で、「そもそも、民営化するということはキツイことなんです。働いている人にとってみれば楽はできません。いつ首を切られるかわからない。NTTにしても、民営化したからあれだけの人員削減ができたんです。公社だったらできなかったでしょう」と言っている。民営化とは人員削減=首切りだということを隠そうともしない。
 そのNTTは、東西地域会社の約十一万二千人(三月末現在)の社員のうち六万人以上を今後三年間で削減する大リストラ策を打ち出した。
 地域ごとに通信設備の保守・管理などを担当する子会社を設立し、現在こうした業務を担当している社員と五十一歳以上の全社員は、いったん退職させ子会社に再雇用し、賃金は二〇|三〇%カットする。また、東西地域会社の子会社で電話工事を委託しているNTT|MEグループの約五万人のうち約四万人を新設する地域子会社に転籍させる。東西地域会社の六万人以上と合わせ、実際には十万人もの労働者が転籍などの対象となる。
 さらに、各企業は人員削減計画を次々と打ち出している(別表参照)。小泉の登場によってもっと上積みされようとしている。

 「2、3年の期限付雇用」「解雇ルールの明確化」も検討

 (3)小泉はさらに、「二、三年の期限付き雇用の対象拡大」「解雇ルールの明確化」の検討を厚労省に指示した。小泉は「二、三年の期限付き雇用ができたり、社員の解雇をしやすくしたりすれば、企業はもっと人を雇うことができる」とうそぶいている。終身雇用制を全面的に解体し、正規労働者を首切り自由の使い捨て労働者に置き換えようというのだ。
 現在、期限付きの雇用契約は最長一年が原則で、パートなどの場合、一年以内の契約でも更新を繰り返せば、期限の定めのない雇用と同様に安易に解雇はできない。だが、九八年の労基法改悪で、一部の研究職などに最長三年の契約を導入した。これを全労働者に拡大しようというのだ。
 現在、解雇は、四要件の判例によって事実上制約されている。解雇ルールの明確化とは、これを突き崩し、労働者の抵抗の武器を奪う。連合などは逆に解雇規制法を求めているが、連合内でも電機連合などは、小泉と同様の解雇のルール化を主張しているのだ。
 小泉「構造改革」とは、労働者階級を大失業にたたき込み、低賃金と不安定雇用で搾取を強め、国際競争力の強化、帝国主義間争闘戦に打ち勝つために我慢して働けと強制し、さらに侵略戦争と帝国主義間戦争に駆り立てようというものだ。徹頭徹尾、資本救済のための「改革」だ。
 小泉は「一、二年はマイナス成長になってもいい」とも言っている。要するに小泉の「改革」なるものはペテンであり破産的でしかないが、もしそれが強行されるなら、労働者階級にすさまじい倒産とリストラ、大失業をもたらす実に反人民的な攻撃なのだ。
 労働者の総決起で小泉打倒、都議選勝利を開こう。

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週刊『前進』(2006号2面3)

日本民衆も「リメンバー・パールハーバー」!
対米戦争のスローガンを掲げ 排外主義あおるカクマル

 米原子力潜水艦による実習船「えひめ丸」への衝突・沈没事件に対するカクマルのスローガンは「日本民衆も『リメンバー・パールハーバー』!」である。これは反革命通信『解放』三月五日付の1面の最上段にスローガンとしてれいれいしく掲げられた。
 そして、同じ号のトップ論文では、「まさに、ブッシュが“同盟国・日本重視゜の姿勢をいかに押しだそうとも、アメリカ権力者が日本を『目下の同盟者』とみなし・みずからの世界支配のために利用しようとしているにすぎないことが……端的にしめされている」と言い、「だからこそ今、日本人民のあいだから“反米感情゜が噴出してもいるのである」と書いている。「反米感情が噴出」と言うのは、カクマル自身がそうだということなのだ。
 そもそも「リメンバー・パールハーバー」とはどういうスローガンだったか。
 一九四一年十二月八日(現地時間七日)の日本海軍によるパールハーバー(ハワイの米海軍基地)奇襲攻撃を機に、米帝は第二次世界大戦に本格的に参戦した。米帝は、大戦に国民を総動員していく際に、「リメンバー・パールハーバー」をキャッチフレーズにした。日本軍に奇襲されたことを逆テコにして、国民総結集を図った。このスローガンは、太平洋戦争から沖縄戦、広島・長崎の原爆にいたる米帝の対日戦争を鼓舞するために徹底的に使われた。それは、何百万人もの命を奪った戦争の血に染まっている。
 だが、カクマルはこのアメリカ帝国主義の戦争スローガンをそのまま今度は「日本民衆の」スローガンにせよ、と言うのだ。
 要するに、カクマルは「アメリカにだけリメンバー・パールハーバーを言わせておくことはない。今度は、日本が同じスローガンをアメリカにたたき返す番だ」と言いたいのだ。アメリカ帝国主義がこのスローガンに込めた反日の扇動を、えひめ丸事件を契機に今度は日本の側から反米の扇動として使おうというのだ。これは「もう一度真珠湾攻撃をやってアメリカの鼻を明かそう」という反米民族主義的な復讐の意思表示そのものではないか。
 『実践と場所』において日本礼賛を繰り返し、「アメリカン・デモクラシーにのっとった戦後教育が五無人間を大量生産した」と叫んで、黒田は右翼国粋主義に転落した。その黒田が、えひめ丸事件でその反米愛国主義を満展開し、激情的に「リメンバー・パールハーバー」をカクマルの大衆運動のスローガンに押しつけたのである。
 しかもこれは一過的なスローガンではない。その後もカクマルは何度も繰り返している。三月十二日付、四月九日付の「万華鏡」欄でも取り上げている。
 「今こそ日本民衆も“リメンバー・逆パールハーバー゜の闘いに起ちあがろうではないか!」(四月九日付)と。ここで「逆」がついているのは、えひめ丸事件はアメリカの犯した日本船への奇襲攻撃だという意味だ。だが、これは日帝の十二・八真珠湾奇襲とえひめ丸沈没を同一レベルにしてしまうもので、とんちんかんであるだけでなく、犯罪的である。
 「イエロー・ジャップの言うことなんざぁ聞く耳もたねえ、っていうのが彼ら(アメリカ)の本音、というわけだ」(同)。これはアメリカ人を「ヤンキー」と言って民族主義的にののしる黒田・カクマルに投影された「アメリカ人の日本観」である。つまり、あからさまに民族排外主義をあおっているのだ。
 四月十六日付「中央学生組織委員会」論文は、このスローガンの「意義付与」にまで踏み込んでいる。
 「米原潜による『えひめ丸』衝突撃沈の衝撃とそのアメリカ政府の驕(おご)りたかぶった対応にたいする怒りを、米兵・米軍による数多(あまた)の犯罪行為や事故に苦しめられている日本民衆にとっての『パールハーバー』として心の内に刻み込み、決して忘れてはならない。われわれは、政府・支配階級がふりまいている『日米安保同盟の強化は日本国民を守るため』というようなデマゴギーの欺瞞性・階級性を今こそ満天下に暴きだしつつ、『米原潜の「えひめ丸」衝突撃沈弾劾! 日本民衆も「リメンバー・パールハーバー」!……』のスローガンを高だかと掲げようではないか」
 あたかも「安保強化反対」のスローガンとして「リメンバー・パールハーバー」があるかのように見せているが、とんでもない。カクマルは、米軍の存在、原潜とその訓練、日米安保同盟、米兵の存在が、アジア侵略と侵略戦争のためにあるという肝心のことはまったく問題にしていない。また、在日米軍=安保の存在は日帝の政策としてあり、特に沖縄は日帝の沖縄差別政策によって基地の島とされているのだということを一言も語らない。
 そもそもえひめ丸事件は、米軍の潜水艦が、軍事優先、戦争優先で、日常的に民間人や民間船舶の存在などないかのような傍若無人な振る舞いをしているところから起こったものだ。それに対する人民の階級的立場は、米軍による衝突事件そのものを徹底弾劾することであり、「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」を掲げて闘うことでなければならない。
 反戦・反安保の闘いが日帝との対決であることは沖縄においても明白になっている。しかしカクマルは、この日帝との闘いを恐れ、逃げているのだ。
 カクマルは、今や日米帝国主義間の対立が非和解的になり、ファシスト・石原などが対米対抗をあおっている時に、反米民族主義を満展開しているのだ。『実践と場所』に対する「臆面もない日本礼賛」という批判にカクマルは悲鳴をあげているが、「日本民衆も『リメンバー・パールハーバー』!」というスローガンこそ反米愛国主義、右翼国粋主義ではないか。カクマルは、人民の怒りが日帝に向かって爆発することに恐怖し、排外主義、反米民族主義にねじ曲げるのだ。
 今や「あの戦争を二度と繰り返してはならない」というのが日帝の改憲と戦争の攻撃に対する闘う人民の合言葉になり、「つくる会」教科書採択阻止を闘っている時に、カクマルは対米戦争のスローガンを持ち込んだ。日帝の先兵=カクマルを打倒せよ!

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週刊『前進』(2006号2面4)

連合大阪メーデーで宣伝戦

 五月一日、中核派は連合大阪メーデー会場の大阪城公園に登場し、「小泉政権打倒」を訴える大宣伝を展開した(写真)。戦争と大失業攻撃に怒る労働者に一万枚のビラが手渡された。
 鷲尾連合会長のあいさつは、中央メーデーに小泉を参加させたことの言い訳に終始するものだった。
 会場に現われたカクマルは、労働者の弾劾を恐れ、おどおどするだけの無残な姿をさらした。

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週刊『前進』(2006号2面5)

 訂正

前号2面、全逓四・二八反処分集会の記事中、「懲戒免職五十五人」を「懲戒免職五十八人」に訂正します。

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週刊『前進』(2006号3面1)

極右・小泉−ファシスト石原と闘うけしば氏必勝を

 「小泉改革」への幻想うち破れ
 首相公選制の導入突破口に 9条改憲をも狙う反動内閣

 四月二十六日発足した小泉新政権は、一方でリストラ・大失業、他方で改憲と集団的自衛権行使、靖国神社公式参拝、有事立法制定、「つくる会」教科書採択強行など、アジア勢力圏化と侵略戦争、帝国主義戦争に向けた超反動内閣としての性格をいよいよ露骨にしてきている。小泉への異常に高い期待なるものはまったくの幻想だ。小泉が唱える「改革」はまったくのペテンであり、労働者人民をあざむくスタンドプレーでしかない。森派会長として森首相を最後まで支えた小泉に「改革」の資格も能力もない。小泉幻想を吹き飛ばし、石原都政と真っ向勝負のけしば氏を都議会に送り込み、小泉政権打倒へ突き進もう。

 集団的自衛権行使 米帝の戦争に参戦

 小泉政権の侵略と戦争に向かった極右政権としての性格は際立っている。
 第一は、改憲を公然と主張し、九条改憲に向かった体制すら整えようとしていることである。
 小泉は、自民党総裁就任後の記者会見で「自衛隊が軍隊でないというのは不自然だ」と憲法第九条を含めた改憲を真っ向から主張した。所信表明演説では首相公選制の導入を主張して改憲を狙っていることを再び示した。また内閣発足後の記者会見では、「自衛隊に対して、憲法違反であるとかそうでないという議論をさせておく方が失礼だ」「法整備、環境をつくることが政治の当然の職務ではないのか」と主張し、「首相公選制のためだけの憲法改正ならば国民から理解されやすいのではないか」「『憲法はこうすれば改正できる』と国民に理解されやすい」と、大統領的独裁体制の形成を狙う首相公選制を突破口に九条改憲に進むことをはっきりと表明した。
 その後の国会論戦の中でも集団的自衛権の問題に絡んで「望ましい姿は、根本的に憲法を改正した方がいい」と改憲を主張している。
 これは、従来の自民党政治家が首相になるまでは改憲を主張していたが、首相になってからは改憲の主張を後景化させたこととはまったく違っている。改憲、しかも九条改憲の狙いをはっきりと持って貫いていこうとしているのである。首相として改憲をできる体制をつくるために全力を挙げようということなのだ。小泉政権は、まさに改憲に向けて突き進もうとしているのである。
 憲法改悪は、日帝が敗戦帝国主義としての戦後的制約を踏み破って公然と戦争国家として登場するという宣言にほかならない。世界大恐慌の爆発、帝国主義間争闘戦の時代への突入の中で日帝が再び凶暴な戦争国家としてアジア侵略戦争と帝国主義間戦争に突進する宣言にほかならない。小泉政権は日帝の没落帝国主義としての危機感に駆られて、この道に絶望的に突進しようとしているのである。
 第二は、集団的自衛権行使に踏み切ろうとしていることである。米帝ブッシュが、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国や中国への戦争策動を強め、侵略戦争への突入がいつあるかわからないという緊張した情勢の中で、日帝がその戦争に参戦するための策動を強めているのである。
 小泉は四月二十七日の記者会見で「日本近海で日米が共同活動をしていて、米軍が攻撃を受けた場合、日本が何もしないということができるのか。今の解釈を尊重するが、あらゆる事態について研究する必要がある」と、日帝の参戦=集団的自衛権の行使に踏み込むことを主張した。そして国会の代表質問で自民党の山崎拓幹事長が国会決議によって集団的自衛権行使に踏み込んではどうかという主張を行ったことに対して、予算委員会で「一つの方法ではないか」「憲法の範囲の中で何が可能か研究してもいいのではないか」と積極的な姿勢を示している。
 日帝・自衛隊が日米安保ガイドラインの想定する米帝の朝鮮・中国侵略戦争に参戦することが、どんなに「集団的自衛権」というペテンを使っても、現在の憲法に違反することは明白である。だからこそ小泉政権は、米帝ブッシュ政権の朝鮮・中国侵略戦争策動の強まりの中で参戦に向けた策動を一挙に強めているのである。

 靖国神社公式参拝 民衆の戦争動員へ

 第三は、アジア人民のごうごうたる非難を無視して、靖国神社公式参拝と「新しい歴史教科書をつくる会」の戦争賛美教科書の採択を強行しようとしていることである。
 小泉は、自民党総裁選の過程から首相就任後の記者会見も含めて靖国神社公式参拝を主張してきた。国会審議の中でも「首相として靖国神社を参拝する」「首相に就任しても靖国神社に参拝するつもりだ。どういう批判があろうとも関係ない。よそから批判されたらなぜ中止しなければならないのか」「宗教活動であるからいいとか悪いということではない。A級戦犯がまつられているからいけないということでもない」と傲然(ごうぜん)と開き直っている。
 小泉は、「日本の繁栄は尊い命の犠牲の上に成り立っている」「戦没者に敬意と感謝の意を表すのは当然」と主張している。しかし本質は逆で、日帝は、アジア人民二千万人を虐殺した侵略と戦争の上にこそ成り立っているのだ。その戦争の最高責任者であるA級戦犯どもを゛神″としてまつっているのが靖国神社なのだ。しかもそれは、赤紙一枚で戦争に動員されて犠牲になった人びとをも合祀(ごうし)することによって再び労働者人民を徴兵するための施設としてある。
 その靖国神社に、アジア人民の激しい怒りの抗議を無視して小泉が首相として参拝することは、日帝が再びアジア侵略戦争に突入するという宣言にほかならない。日帝は再びアジア人民と日本人民を血の海に沈めようとしているのだ。
 しかもこれが、日帝のアジア侵略戦争の歴史を歪曲・隠ぺいし、戦争を賛美する「つくる会」教科書をアジア各国のごうごうたる非難を無視して検定を通過させ、採択を強行しようとする策動と一体となって行われているのである。日帝のアジア侵略戦争を「アジアを解放した」と真正面から居直り、「正しかった」と教えるような教科書をどうして許しておくことができるだろうか。「つくる会」教科書の検定通過は日帝の公然たるアジア再侵略戦争の宣言にほかならない。この教科書を絶対に使わせてはならない。
 第四に、小泉政権は侵略と戦争に向かって有事立法の制定に本格的に踏み込もうとしている。小泉は所信表明でも「有事法制について検討を進める」と宣言し、中谷元・防衛庁長官に検討を指示した。
 元自衛隊幹部の中谷元を防衛庁長官にすえたのも、戦争国家体制構築に向けた重大な攻撃である。元自衛隊幹部が防衛庁長官になるのは戦後初めてのことであり、それ自体が軍部の台頭、シビリアンコントロールの形骸化を狙った大攻撃である。

 進む日帝の没落化 争闘戦激化と戦争

 このように極右・小泉政権が登場して、侵略と戦争に向かって突進しようとしている背景には日帝のすさまじい危機がある。
 日帝は、バブル崩壊以来の九〇年代の十年間を「失われた十年」と呼び、景気回復のためのあらゆる政策がまったく効果を上げなかったことに打ちひしがれている。その上に米経済の株高バブルが崩壊し、二九年型世界大恐慌の情勢に完全に突入している。こうした中で帝国主義間争闘戦においても米・欧帝にたたき落とされ、没落帝国主義の道へと転落している。日帝はこの現実に危機感を深め、帝国主義間争闘戦に勝ち抜こうと絶望的に凶暴化している。その危機感が超反動小泉政権を登場させた根底にある。小泉と石原・中曽根の一体化による反動体制がつくられている。
 その中で日帝は、国内経済的には帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために一切の犠牲を労働者人民に転嫁して資本の危機を乗り切る策動に出てきた。小泉は「地球規模での競争時代にふさわしい、自立型の経済をつくる」とか「競争的な経済システムを作る」と「競争」を強調し、労働者階級に大失業の攻撃をかけてこようとしている。終身雇用制を完全に破壊し、二、三年契約の雇用制度に転換することを宣言し、検討に入っている。
 すでに、連合=労働組合指導部の屈服の中で労働者階級の権利は次々に剥奪(はくだつ)されており、首切り攻撃も資本の自由というとんでもない事態が現実となっている。それをさらに一切の労働者の権利の保障すらも奪おうとしているのだ。それを「改革」と称し、「痛みを伴うが我慢せよ」と公言して強行しようとしているのだ。それによって大資本を救い、自民党支配を立て直そうと全力を挙げているのだ。
 その一方で社会保障制度は全面的に解体し、大衆収奪をさらに強めようとしている。これが小泉「改革」の正体である。
 こうした攻撃と一体のものとして小泉政権は、日帝の侵略戦争態勢を構築し、戦争国家へと大転換しようとしている。すでに見た小泉政権の戦争政策は、まさにこうした帝国主義間争闘戦に向けた日帝の絶望的なあがきなのだ。
 特に小泉政権が集団的自衛権行使に踏み込もうとする策動を強めていることは、米帝の中国・朝鮮侵略戦争策動の激化という情勢の中で、これに全力で対応して参戦しようとするものである。
 九一年のイラク・中東侵略戦争(湾岸戦争)で、これにまったく対応できなかった日帝は、帝国主義間争闘戦で敗勢にたたき込まれ、没落帝国主義化した。日帝は、アジア勢力圏化のためにも、これを絶対に繰り返してはならないとして参戦に向けた凶暴な攻撃に出てきているのである。日米帝国主義の争闘戦の激化が、双方のアジア侵略戦争策動を激化させるというきわめて危険な情勢に突入しているのである。
 小泉政権は、アジア人民に対する排外主義をあおり立て、アジアに対する敵視政策を強めている。「よそから批判されたらなぜ中止しなければならないのか」と居直り、韓国政府の「つくる会」教科書の再修正要求に対しても強硬に拒否している。「日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担う人材を育てる」と、教育基本法の見直しを宣言し、「日の丸・君が代」の強制によって教育労働者と生徒を天皇制支配に暴力的に屈服させ、若者を戦争へと駆り立てようとしているのだ。
 今こそ小泉への幻想を打ち破り、「改革」のウソ、ペテンと反革命性を暴き、小泉政権打倒へ全力で決起しなければならない。その最大の戦場が、石原と真っ向勝負するけしば候補を都議会に送り込む都議選決戦なのである。

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週刊『前進』(2006号3面2)

石原都政は排外主義と戦争だ
戦争賛美教科書採択阻止へ 杉並で大運動を巻き起こせ

 福祉破壊、民族差別の2年間

 小泉自民党打倒の闘いと一体のものとして、ファシスト石原打倒の闘いが決定的に重要になっている。
 石原は、かつて日本が行った朝鮮・中国・アジア侵略戦争と植民地支配を何ひとつ反省し謝罪しないどころか、侵略戦争と対米戦争を「大東亜戦争」とか「アジア解放の戦争」と賛美し、再び改憲と戦争を主張している。石原は、日米の帝国主義間争闘戦が非和解的に激化している中で、「場合によってはアメリカと正面から刺し違える覚悟で、やる時はやる。それまでに私たちの背後に東アジアの同盟国をおいておく」(『宣戦布告「NO」と言える日本経済』)とか、「(アメリカに)原爆を落とされたのだから、今度は日本が原爆を落としてもいいような話だ」(『現代』一九九九年十二月号)と、再度の対米戦争すら口にしている。
 さらに最近、「経済活性化のために独自のミサイル開発を」(三月十二日付ロサンゼルス・タイムズ)とか、「ヒトラーになりたいね、なれたら」(『論座』五月号)とか、「憲法廃棄の国会決議を」(昨年十一月の憲法調査会)などと、軍需経済化と改憲・戦争発言を繰り返している。
 石原は都知事就任以来この二年間、何をしてきたのか。都民のための都政など、何ひとつやってこなかった。失業や賃下げに苦しむ都民に対して、追い討ちをかけるように福祉破壊、介護保険を強行し、貧困者から介護や医療を奪った。今年度の都営住宅の新規建設はゼロだ。また都職員の人員削減と賃金カット、労働強化、労組破壊策動を繰り返してきた。その一方で、十兆円の公共事業を計画したり、「お台場にカジノ(金持ちのためのギャンブル場)をつくる」などと公言している。
 さらに、「三国人が凶悪な犯罪を繰り返している」(昨年四月九日)とデマ暴言を吐き、九月三日には自衛隊員八千人を動員して首都治安出動演習を強行した。軍隊と警察・自警団による関東大震災の時の朝鮮人・中国人大虐殺を想起させるような排外主義的な治安出動演習を、石原は人民の中止要求を踏みにじって強行したのである。

 「再選望まず」都職員の4割

 だが、石原の正体は日に日に暴かれ、人民の怒りと反発は広がっている。
 都知事の私的諮問機関「外国人都民会議」(ピーター・バラカン座長、二十五人で構成)は、三月二十八日に二年間の議論をまとめ石原に報告書を提出したが、その内容は石原の「三国人」発言を厳しく批判するものだった。報告書は冒頭で「外国籍の住民が抱えるいろいろな悩みの奥底には根深い差別意識が存在する」と述べ、「そのことをさらに痛感させたのは知事の例の『三国人』発言」と批判した。「強い挫折感は全員に共通している」「外国人都民会議の存在理由そのものに疑問を抱くほどの衝撃を受け」、辞任した議員もいたと報告した。
 石原が自ら設置した外国人都民会議が、このような中身の報告書をまとめざるをえなかったほど、石原の言動は在日外国人、とりわけ在日朝鮮人・中国人、アジア人民に大きな不安を与えたのだ。石原はこの報告に打撃を受けて、沈黙したままである。
 三月二十日には、国連の人種差別撤廃委員会が、石原の「三国人」発言について懸念を表明し、日本政府がこうした問題を放置していると批判した。
 都政新報社が都職員を対象に最近実施したアンケート調査では、「石原の再選を望まず」が四〇%にも達している。このように、国際的にも国内的にも、石原の排外主義と戦争挑発に対する批判と弾劾の声は、日ましに高まっている。
 そもそも自治体の首長というものは、そこに居住する外国人を含むすべての住民の生活と権利を守り、平穏に生活できるように努めるのが仕事ではないのか。ところが石原は、まったく逆だ。石原は都知事の権力を利用して、「外国人には凶悪犯が多い」というデマを振りまき、治安弾圧・民族的迫害を強め、「中国を分裂させよ」「北朝鮮を一撃で壊滅する」「戦争になったら、羽田空港でもなんでも全面的に戦争のために使わせる」などと言い放っている。
 日米新安保ガイドライン―周辺事態法のもとで、東京を中国・朝鮮侵略戦争のための出撃基地とするとの発言と施策を強めているのだ。

 「つくる会」の教科書許すな

 その石原が、今や小泉と連携して、階級圧殺攻撃を一層強めようとしている。小泉と石原は、石原が国会議員だった時に同じ派閥で親しい間柄にあり、また親戚関係でもある。
 小泉―石原連合は、中国・北朝鮮・アジアに対する排外主義と反米愛国主義を宣伝し、日米争闘戦と日帝の戦争国家化を激しく進めるものである。
 そして石原は、右翼・ファシスト的団体「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書を都内の中学校で使わせるために、都内の教育委員を集めて講演を行い、「この国の歴史に誇りを持てる教科書を、現場教員を排除して、教育委員の責任で採択せよ。その責任が果たせないのなら辞めてもらいたい」と、露骨な圧力を強めている。(四月十二日)
 石原の排外主義、反米愛国主義、改憲と戦争賛美の思想は、「つくる会」教科書の中身とまったく一致している。石原がつくった諮問機関「東京の問題を考える懇談会」には、「つくる会」の中心的メンバーである藤岡信勝、小林よしのりや、曽野綾子、福田和也ら札付きの右翼分子を並べている。
 石原はこういう連中を使って「心の東京革命」なるファシスト運動を展開し、また「つくる会」教科書を子どもたちに押しつけて、学校を軍隊のような〈体罰と強制の支配する場〉に変えてしまい、改憲と戦争へ突き進もうとしている。
 また石原は『文芸春秋』五月号で次のようなテロ礼賛発言をした。

 右翼テロ賛美し 言論を弾圧

 一九六〇年に浅沼稲次郎社会党委員長(当時)が右翼分子に刺殺されたことについて、「こんな軽率浅はかな政治家はその内天誅(てんちゅう)が下るのではないかと密かに思っていたら、果たせるかなああしたことにあいなった」と。さらに、『この日本をどうする』(文芸春秋社)でも、『世界』編集部が朝鮮南北首脳会談に関連して日本政府を批判したことに対して、「こういう言論は天誅ものだね。……今は、そんなこと(テロ)をするのもいなくなった。昔、三島(由紀夫)さんがパラドキシカル(逆説的)に言っていたが、民主主義を成り立たせる必要条件のひとつはテロリズムだ」などと右翼テロをあおっている。
 これは労働運動、反戦運動、労働者階級に対するテロ宣言だ。ファシスト石原は暴力と脅しで、政府への批判的な言論を圧殺しようとしているのだ。労働者階級の猛然たる怒りと弾劾をたたきつけよう。
 ところがマスコミや民主党、日本共産党、都議会内の生活者ネットなどは、石原の反革命的な突出力に圧倒され、真正面から対決しようとしていない。日本共産党は、「是々非々でいく」などと言っている。石原を真っ向から批判すれば、必ずファシスト、右翼勢力との大激突となることを日本共産党は知っているからこそ、石原との対決から逃げているのだ。
 だが、このような屈服こそが、本当にファシストの台頭を許してしまうのだ。小泉―石原連合は、日帝が直面している危機の深刻さを示すものだ。石原、小泉を打倒し、戦争に突き進む日帝を打倒する中にこそ、労働者階級人民の生活と権利を守り、恒久平和を実現する道が開かれる。
 小泉・石原と闘っている候補は、けしば誠一候補ただ一人だ。六月都議選で、石原と真っ向勝負するけしば候補を都議会に送り込もう。戦争賛美教科書の採択を阻止しよう。

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週刊『前進』(2006号3面3)

反戦共同行動委 都教委に申し入れ “つくる会教科書許さぬ”

 五月十日、東京反戦共同行動委員会は三角忠代表を先頭に、東京都教育委員会と杉並区教育委員会に対して、「つくる会」教科書の採択を阻止するための申し入れ行動に立ち上がった。
 まず都庁の教育庁を訪れ、都教委への面会を求めた。応対に出てきた総務部教育情報課の職員に三角代表が、申し入れの趣旨を説明。石原都知事と都教委に対して、@「つくる会」教科書の東京都での採択をやめること、A各区教委に対して圧力をかけることをやめ、B教育労働者の意見を尊重して教科書を採択すること、C教育労働者への処分などただちにやめよと、強く要請した。(写真)
 全学連の学生は、「この教科書によって朝鮮・中国・アジアの人びとを人とも思わない軍国教育が施されることなど許せない。僕らの世代はこの教科書を拒否する」と断言。反戦自衛官の小多基実夫さんは、「子をもつ親として言いたいが、教育行政に携わるあなた方の責任も重大。こんな教科書で子どもたちが教育を受けることなど黙っていられない」と訴えた。
 続いて、杉並区役所に移動。教育次長に対して、三角代表は「杉並区が焦点になっている。『つくる会』教科書の採択をしないよう強く申し入れる」と書面を手渡した。教育次長は開口一番、「勝手に決めつけられて迷惑している」と反論。三角代表がすかさず、「山田区長が強引に教育委員に推薦した大蔵雄之助は、国際会議で『慰安婦はいなかった。あれは売春婦だ』と発言した人物。懸念するのは当然」と、決意のほどを突きつけた。
 九日に開かれた杉並区教育委員会定例会に対しては、都革新がけしば誠一区議を先頭に阿佐ケ谷を区役所までデモし、教育委員会あての申入書を提出、傍聴闘争を闘いぬいた。「つくる会」教科書の採択絶対阻止へ、東京−杉並区から大衆闘争を爆発させよう!

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週刊『前進』(2006号4面1)

石川さん不当逮捕38ヵ年糾弾異 議審で無罪判決かちとれ
 5・23狭山統一行動に立とう
 全国部落青年戦闘同志会

 一九六三年五月二十三日の石川一雄さんの不当逮捕から三十八年目を迎える。警察・検察・裁判所、国家権力総がかりで威信回復のため無実を百も承知で部落民=石川一雄さんをイケニエとして殺人犯にデッチあげてから、実に三十八年間もの筆舌につくし難い、悔しさと怒りに満ちた歳月が続いているのだ。「殺人犯」の汚名を着せられた石川さんの悔しさは、まだ何ひとつ晴らされていない。権力の差別犯罪に手を染めた下手人どもは、まだ誰ひとり裁かれていない。三十八年目の屈辱の日に、あらためて誓おう。狭山差別裁判への三百万部落民と六千万労働者の根底からの怒りを解き放ち、必ずやこの異議審において無罪判決をかちとることを。

 極右・小泉政権の棄却策動を許すな

 五・二三に向けて第一に確認したいことは、日帝・小泉政権による異議審棄却策動を絶対に許してはならないということである。
 小泉政権は「改革」を絶叫し、日帝の危機をファシスト的な手口で打破しようとする、自民党の極右政権である。首相公選を突破口として、九条破棄を核心とする改憲に突進し、他方で構造改革を掲げ、大銀行や大企業を救うために、労働者人民にリストラと大失業を強制しようとしている。しかし、小泉政権に何一つ勝算があるわけではない。それどころか、これらの攻撃に対して労働者人民の闘いが爆発し、本格的な階級決戦となることに戦々恐々としているのだ。
 ここから小泉政権は、今までのどの政権よりも凶暴に部落差別−人民分断攻撃を強めようとしている。実際に小泉は、地対協攻撃の中曽根元首相を師と仰ぎ、差別糾弾闘争を根絶して部落解放運動を最後的に解体し、融和運動を本格的に育成しようとねらっている。その攻撃の頂点として、狭山第二次異議審の棄却を策動しているのだ。
 東京高裁・高橋裁判長は、異議申立から一年十カ月の今も、一つの事実調べもしようとしていない。それどころか、昨秋から「異議審だから事実調べはしない」「時間はかけない」と公言し、早期棄却の意図をあからさまにしている。
 われわれは、棄却を絶対に許さない。石川さんは毎回、一本一本のアピールをとおして、国家権力への報復と復讐(ふくしゅう)を烈々と呼びかけている。自分に着せられている「殺人犯」の汚名、受けている辱めは、ひとり自分だけのものではない。狭山の再審開始=無罪判決がでるまで、三百万部落民の一人ひとりに「犯罪者予備軍」という汚名が着せられ、辱めを受け続けるのだ。こんな現実は、もう一日たりとも我慢ならない。そもそも犯罪者は自分たちではない。天人ともに許されない悪逆無道な差別犯罪を犯しているのは国家権力の方だ。裁判所に裁かれるのではなく、自分と三百万部落民、そして六千万労働者こそが、国家権力の差別犯罪を裁くのだ。「やつらを死刑に!」と、ともに決起することを心の底から訴えている。
 この呼びかけになんとしてもこたえよう。これ以上、差別者どもによる「公正な審議の結果、一審を含め八回も有罪あるいは有罪を覆すことは出来ないと断定されており、同和がしつこく何を言おうが石川一雄は誘拐犯で人殺しです」(インターネット掲示板「2ちゃんねる」より)などという、ふざけきった差別扇動を許しておいてはならない。差別者どもがこんなことを言えるのも、高橋裁判長が事実調べを拒否し続けているからだ。石川さんの闘魂をわがものとして高橋裁判長を糾弾し、棄却策動を跳ね返して、逆に事実調べを行わせよう。
 そして報復と復讐、不屈、非妥協、非転向の石川精神を、二十一世紀を差別撤廃のための世紀とするために闘う三百万部落大衆と労働者階級人民の共同の精神としよう。

 狭山闘争爆発こそ10回大会方針の魂

 全国連は第一〇回大会において、差別糾弾闘争を基軸とする三大闘争に総決起する方針と体制を打ち固めた。この地平に立って、狭山闘争の戦闘的大衆的爆発こそが、一〇回大会方針の実践的核心であり、神髄であることを確認したい。これが第二である。
 狭山闘争は、部落差別を温存・助長してきた張本人である日帝国家権力に対して、部落民の差別徹底糾弾闘争をもって対決する部落解放闘争の原点をなす闘いである。
 この狭山闘争の非妥協的貫徹を基軸にすることによって初めて全国連を先頭とする部落大衆と全社会的な差別糾弾闘争への決起が生み出されていく。また、あらゆる部落差別の現れとの闘いとして全国いたるところで差別糾弾闘争が闘い抜かれることが、狭山闘争をその基軸に押し上げ、その大衆的戦闘的発展をうみだしていくのだ。
 今、全国では部落民を名指しして暴言をあびせたり、公然と目の前で指を出して侮辱するというような極悪の差別事件が続発している。もはや差別襲撃というほかない。断じて許してはならない。狭山闘争を基軸とした差別糾弾闘争の爆発こそ、こうした今日の部落差別の洪水をせき止める最大の闘いである。
 このような狭山闘争の基軸性は、日帝との攻防の歴史を見ればよりはっきりする。日本帝国主義は、八〇年代後半の中曽根政権のもとで始めた地対協攻撃以来十数年間も、本格的な部落解放運動解体の攻撃をしかけている。それは、八九年の「差別糾弾・確認について」の法務省見解に明らかなように、差別糾弾闘争を解体することを核心とした攻撃である。その頂点として狭山闘争の解体攻撃がかけられている。
 日帝は、なぜ、それほどまでに差別糾弾闘争、とりわけ狭山闘争を憎み、恐れているのか。それは、差別糾弾闘争が部落民の自己解放闘争であり、階級闘争だからである。
 日帝は、糾弾闘争をとおして部落民が自分自身の内なる力=自己解放能力に目覚め、その力を日帝の階級支配の廃絶にむかって爆発させることに心底から恐怖しているのだ。
 そして、この事実をもっとも激しく日帝に突きつけているのが石川一雄さんであり、狭山闘争なのである。だからこそ、日帝は部落解放運動解体=差別糾弾闘争解体=狭山闘争圧殺として、石川さんへの屈服・転向強要攻撃に全力をあげてきた。しかし、そのことごとくが石川さんの三十八年に及ぶ不屈・非転向の闘いによって打ち砕かれ、糾弾闘争の烈火のごとき炎が守られてきたのだ。
 狭山闘争の勝利なしに差別糾弾闘争の復権はない。狭山闘争の新たな戦闘的大衆的発展をかちとるために全力で決起しよう。
 第三に、日帝の融和主義攻撃の前に解同本部派が全面的に転向することによって、部落解放運動=差別糾弾闘争が消滅する危機のなかで、全国連こそが部落差別と闘う部落大衆の唯一の組織となっていることである。

 部落差別と闘う砦 全国連の大飛躍を

 九四年末の仮出獄攻撃は、日帝による超ど級の狭山解体攻撃としてあった。この攻撃に「権力と闘っても勝てない」と全面的に屈服し、その手先になったのが解放同盟・本部派である。狭山から撤退を決めた本部派は、そのわずか一年数カ月後には大会で綱領を改定し、融和主義へとかじをきったのである。
 また、本部派が糾弾闘争を投げ出す度合いに応じて、同和対策事業の打ち切りも進められた。このことが戦後解放運動と組織のあり方を根底からゆさぶった。同和事業を取ることを目的とし、糾弾闘争をそのための手段に切りちぢめ、同和事業で組織を維持してきた本部派は、今や完全にその存立基盤をなくしたのである。
 本部派の融和主義運動は何をもたらしているのか。一握りの幹部だけが日帝の庇護(ひご)のもとに生き残るために、大多数の部落大衆は切り捨てられ、差別の洪水にさらされているのだ。
 今年四月一日、本部派寝屋川支部(大阪)は、一年間の活動停止宣言を行った。これは、右翼スターリン主義・日本の声派が、帝国主義者とまったく同じように部落大衆を「強欲の権化」と描き出し、その切り捨てを宣言したものである。と同時に切り捨てた部落大衆が本部派への反乱に立ち上がり、差別と闘うために新たな団結をつくることを絶対に認めない、という恫喝でもある。本部派は今や完全な帝国主義の利害代表者になり果てたのだ。
 しかし、こんな恫喝など自らの力に目覚めた部落大衆に対しては、無力でしかない。現に寝屋川の部落大衆の闘いは本部派支配を根底から揺るがしつつある。
 これは寝屋川だけではない、全国情勢だ。本部派によって、十数年にわたって押さえつけられていた部落大衆は、ついに積もりに積もった怒りを爆発させようとしているのだ。その怒りは、部落大衆をとりまくあらゆる領域で噴出している。とりわけ頻発する極悪の差別事件への糾弾闘争として、何よりも狭山闘争への決起として爆発しようとしている。全国連第一〇回大会の歴史的成功は、そのことをはっきりと示したではないか。
 今こそ、差別糾弾闘争を軸とした三大闘争路線を全面的に発展させよう。その魂である狭山闘争の歴史的勝利のために、「石川の命、わが命」「やつらを死刑に!」を合い言葉に、国家権力への大衆的な実力糾弾闘争を爆発させよう。狭山紙芝居と百万人署名運動を発展させよう。
 五・二三狭山統一行動に総決起しよう。

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週刊『前進』(2006号4面2)

5・3大阪 “とめよう憲法改悪” 教育決戦へ報告と決意

 五月三日、「教育基本法改悪を阻止しよう! 侵略と天皇賛美の『つくる会』教科書を許すな! とめよう憲法改悪五・三集会」が大阪・西区民センターで集会実行委主催で開催され、百万人署名運動・関西連絡会を中心に三百二十八人が結集して成功した。
 主催者あいさつで大野康平弁護士は、「憲法改悪を公言する小泉政権が登場した。憲法改悪に反対するあらゆる闘いを緊急に展開していこう」と呼びかけた。
 集会第一部「教育基本法改悪阻止の闘いの報告と決意」では、まず各地の教育労働者と保護者から、今春の「日の丸・君が代」をめぐる教育現場の激しい攻防と、それに対する処分攻撃との闘いが報告され、決意が明らかにされた。また「つくる会」教科書を、中学社会科の教育労働者が徹底批判し、豊中や高槻など各地での採択制度改悪を許さず闘おうと呼びかけた。
 ついで広高教組執行委員の教育労働者が、今年の卒業式の「日の丸・君が代」闘争で県教委が百三十九人の大量処分攻撃をかけてきていること、「広島つぶし」は戦争のできる国をつくる攻撃にほかならないことを明らかにした。
 在本土沖縄出身学生が、沖縄戦賛美の教科書を怒りを込めて弾劾し、沖縄闘争に立ち上がろうと訴えた。
 第二部は、「各界からの憲法改悪を阻止する闘いのアピール」が行われた。
 最初に部落解放同盟全国連合会の中田潔書記長が発言に立ち、「教育基本法改悪、憲法改悪は部落の子どもたちの生きる権利を奪うものであると同時に、部落解放運動の絶滅をねらう攻撃だ」と述べた。
 次に闘う在日朝鮮人が発言し、「本来学校の行事であったはずの卒業式・入学式が天皇賛美の儀式になっている。これは戦前の神社参拝・日本名の強制と同じだ」と怒りをこめて指摘、公教育の名において民族性と人格を否定していることを明らかにし、「在日が在日としてこの社会の主人公の地位を獲得したい、ともに闘おう」と熱烈に呼びかけた。
 兵庫精神「障害者」連絡会が、「『つくる会』教科書、介護保険などの攻撃に対し階級連帯、国際連帯にかけて徹底的に闘う」と決意を述べた。
 全国金属機械港合同の執行委員が、破産法攻撃など大資本による中小つぶし・労組つぶしとの激しい闘いを報告し、「小泉政権の『構造改革』は労働者に対する徹底的な犠牲転嫁で危機を乗り切ろうとする攻撃だ。そしてこの政権は憲法改悪に向かうファシズム政権だ。労働組合の第一級の課題として改憲・教育基本法改悪と闘う」と闘争方針と決意を明らかにした。
 学生を代表して百万人署名運動・京都学生連絡会が小泉政権を大衆的デモで打倒しようと呼びかけた。
 最後に、百万人署名運動・兵庫県連絡会の伊井孝雄さんが集会宣言を読み上げ、参加者全員で難波までのデモ行進に出発した。デモは連休でごった返す御堂筋で意気高く打ち抜かれ、圧倒的な注目を浴びた。

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週刊『前進』(2006号4面3)

広島 原爆ドーム前で集会 小泉政権打倒かかげ

 四月二十九日、広島反戦共同行動委員会に結集する労働者・学生は、四・二八全国統一行動の一環として「教育改革−改憲攻撃粉砕! 沖縄と連帯し、小泉新政権を打倒しよう!」を掲げた広島市内での集会と街頭デモに決起した。
 この日、昼に広島の繁華街で圧倒的な街頭署名運動を行った労働者・学生約八十人は、午後三時半に原爆ドーム前に結集し、集会をかちとった。
 広島反戦共同行動委員会の代表からのあいさつの後、広島大学反戦委員会の学生が基調報告を行った。「新たに成立した小泉政権は、『改革』と銘打って日本を丸ごと戦争国家化し、憲法九条の破壊と新たな侵略戦争に突進しようとしている。教育−改憲決戦は、四・三の『つくる会』教科書の検定合格と、この小泉新政権の登場という中で、完全に新たな段階に突入した。求められているのは鮮明な行動方針である。沖縄と連帯し、『ヒロシマ発の教育改悪反対署名運動』を大爆発させよう。五・二七国会闘争に総決起しよう」と力強く訴えた。
 全国被爆者青年同盟、部落解放同盟全国連広島支部、婦人民主クラブ全国協広島支部が決意表明を行った後、発言に立った広島県労組交流センターの教育労働者は、「広島県教育長の辰野は、『日の丸・君が代』強制に反対して着席した仲間を処分し、これを『不適格教師』としてパージしようとしている。このヒロシマ全体にかけられた攻撃を許さず、教育をふたたび戦争の道具として動員しようという小泉新政権と対決して闘う」と決意も鮮明に訴えた。
 最後に、「日の丸・君が代」強制反対のビラまきで不当逮捕され、この前代未聞の弾圧を粉砕して闘った広島大学の学生が決意表明を行った。その後、広島県教育委員会のある広島県庁に向かって、意気高く街頭デモに打って出た。
 休日でごった返す街頭に「改憲と戦争に突き進む小泉新政権打倒!」「教育労働者への不当弾圧を許さないぞ!」というシュプレヒコールが響き渡った。この集会とデモに、「感動しました」と言って飛び入り参加する労働者も現れた。
 広島反戦共同行動委員会は、教育−改憲決戦の大爆発に向けて全国の最先頭で闘っている。

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週刊『前進』(2006号4面4)

日本原 侵略演習に怒り 東地区実射阻止に決起

 五月八日、中四国の労働者・学生の白ヘル部隊は、日本原演習場の東地区実弾射撃阻止闘争に決起した。(写真)
 この日は、第一五普通科連隊ならびに第二混成団の部隊による連続した東地区での実弾射撃訓練の初日である。東地区では、日本原農民と労働者・学生の反対運動により、実質的な実弾射撃を阻み続けた。東地区での本格的な演習の狙いは、日本原演習場を全面使用した、長射程の実弾射撃である。
 朝鮮・中国−アジア侵略戦争の切迫下、演習場の全面使用をもくろむ自衛隊は九八年、東地区に新射撃場を開設。以降、年に数度の実弾射撃を強行してきた。今回、自衛隊は八日−十一日、十五日と東地区での個人携帯対戦車弾、個人携帯対戦車縮射弾の実弾射撃を通告。今までにない連続使用だ。断じて許せない。
 この日、早朝、白ヘル部隊は東地区ゲート前に登場し、演習場内へ向けデモに出発した。「東地区実射を許さないぞ」「侵略演習を阻止するぞ」、自衛隊に怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。悪天候で、雨にずぶぬれになりながらも、堂々と立ち入り規制を粉砕する実力闘争をやり抜いた。
 小泉新政権は憲法改悪=九条の破棄を狙う一方で、自衛隊出身者の中谷元を防衛庁長官にするなど、自衛隊の侵略・実戦部隊化を進める内閣である。教育−改憲決戦の一環として日本原自衛隊の侵略・実戦部隊化を阻止しよう。

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週刊『前進』(2006号4面5)

東北大 「つくる会」教科書に反対 デモに市民声援

 四月二十八日、東北大学学生自治会主催で「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の検定通過と小泉政権の改憲発言弾劾の集会・デモを行った。(写真上)
 集会では、侵略の歴史を歪曲・賛美する「つくる会」教科書の四月三日の検定合格を弾劾し、採択を阻止する闘いに全力で立ち上がることを宣言した。そして、首相小泉の就任直後の改憲発言・東京都知事石原の排外主義発言を許さず、「つくる会」教科書に命がけで抗議するアジアの民衆と連帯し、日本の再度の侵略戦争を絶対に阻止していくことを確認した。
 集会後、仙台市内デモに打って出、自民党宮城県連本部に対して「自民党はアジアの民衆の声を聞け! 腐敗した自民党政治を許さないぞ!」と怒りのシュプレヒコールを叩きつけた。
 私たちの集会を最後までじっと見つめる女性や、デモの最中に車を止めて一緒にシュプレヒコールをあげるタクシー運転手が現れるなど、仙台市内に侵略戦争絶対阻止・改憲粉砕・「つくる会」教科書採択阻止を鮮烈にアピールした。これから正念場の「つくる会」教科書粉砕の闘いを全力で闘っていきたい。
  (投稿・東北大 T)

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週刊『前進』(2006号4面6)

衆議院の憲法調査会 仙台公聴会に反撃

 四月十六日、全国の先頭を切って衆議院憲法調査会地方公聴会が仙台で行われ、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」宮城県連絡会は、十五−十六の両日、地方公聴会反対の街頭宣伝行動を行いました。(写真下)
 「改憲は再びのアジア侵略の道だ」「『つくる会』教科書は教え子を戦場に送ることを目的にしている。絶対採択させてはならない」という訴えに、道行く人びとは宣伝隊の周りに駆け寄り、ビラを取り、署名をしていきました。十五日は一時間半で百二十筆もの署名が集まり、十六日は一時間で七百枚のビラが受け取られました。とりわけ若い中・高校生が敏感に反応していたことに、「つくる会」教科書粉砕、改憲阻止の展望を感じました。
 公聴会では、「自己防衛や有事に備えた危機管理について明文化すべき」「制定から半世紀以上経て、社会の実情と憲法理念が食い違っている」と、改憲が前提といわんばかりの議論でした。絶対に許せません。
 石原の「ヒトラ−になりたい」暴言や、小泉の「いざという場合には命を捨てよ」暴言が吐かれる今こそ、私たち労働者・学生・市民の側から社会を一変させるような、「つくる会」教科書採択阻止、改憲阻止の大運動を作っていかなければ、と強く感じました。
   (投稿・学生 M)

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週刊『前進』(2006号4面7)

2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き 5月9日〜15日
 “国会決議で集団的自衛権”
 「下地島に米軍基地」を提言

●「集団的自衛権」議論を
 ニューヨーク・タイムズ紙は、アーミテージ米国務副長官とのインタビューを掲載し、副長官が日米関係を米英関係と同等の成熟したものにするために、集団的自衛権の行使が可能となるように日本国内での議論を深めるよう促した、と報じた。(9日)
●集団的自衛権は国会決議で 自民党・山崎拓幹事長は、衆院本会議の代表質問で、「ガイドラインに規定された周辺事態に限り後方支援を認める国会決議を行い、集団的自衛権に道を開いたらどうか」と発言した。(9日)
●米安保戦略の「中心担うのは日本」 へスター在日米軍司令官はロイター通信とのインタビューで、米国が安全保障政策の重点を欧州からアジア・太平洋地域に移す結果、地理的に日本が米国の安全保障戦略の中心になるとの見解を表明した。(9日)
●遺伝子情報スパイ容疑で日本人起訴 アルツハイマー病に関する遺伝子の資料を盗んだとして、日本人研究者二人が経済スパイ法違反で米国で起訴された。(9日)
●ブッシュが海外市場開放へ13項目 ブッシュ米大統領は、農業・電子商取引など海外市場開放のための十三の重点項目を示し、外国との通商交渉結果を修正なしで議会に一括承認を求める権利を要請した。また@世界貿易機関(WTO)の新ラウンドの立ち上げA北米自由貿易協定(NAFTA)の中南米への拡大Bチリ、シンガポールなど二国間自由貿易協定の拡大を通商政策の柱にすえることを明らかにした。(10日)
●米下院が国連分担金を凍結 米下院本会議が国連人権委員会の改選で米国が落選したことに報復し、国連未納分担金約二億四千四百万jの拠出を凍結する予算修正条項を、賛成二百五十二、反対百六十五で可決した。(10日)
●EP3が嘉手納に飛来
中国機と接触して海南島に緊急着陸した米海軍電子偵察機の同型機が嘉手納基地に飛来した。F15戦闘機を護衛につけて偵察飛行を再開する。(10日)
●騒特法による周辺整備が始動 八八年の収用委解体戦以来中断されていた「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」に基づく成田空港周辺一市六町の都市計画が決定された。(11日)
●起立拒否の百七人を広島県教委が不当処分 広島県教委は今春の入学式で、「君が代」斉唱の際に起立しなかった教職員百七人のうち、七十八人を職務命令違反などにより戒告処分とし、二十九人を文書訓告とした。(11日)
●検定合格は取り消さない
 小泉首相は参院本会議の代表質問で教科書問題で「教科書の検定合格を取り消すことは考えられない」と述べた。(11日)
●タイの演習に自衛隊幹部派遣 タイ国内で米、タイ、シンガポールが実施する共同軍事演習「コブラゴ
ールド」に初めてオブザーバー参加するため、自衛隊幹部ら八人がバンコクに向けて出発した。(12日)
●集団的自衛権は国会決議で 自民党は集団的自衛権の行使について、改憲によらなくても国会決議によって容認できるよう小泉首相の直属機関「国家戦略本部」で検討を始める方針を固めた。党幹部は「憲法改正までの暫定的措置」と位置づけている。(13日)
●首相に「特命チーム」
小泉首相は、首相を機動的に補佐する「特命チーム」を週内にも発足させる。総務、文部科学、厚生労働、国土交通、防衛の五省庁の課長クラスから選抜し、法案準備のサポートや外交などの各種資料の収集・分析、国会や与野党各党などへの連絡調整を行うという。(13日)
●靖国参拝「首相として」
 小泉首相は衆院予算委員会で靖国神社公式参拝に関する質問に「首相として参拝する」と答えた。小泉は「よそから言われてなぜ中止しなければならないのかわからない」などと、中国や韓国の抗議を踏みにじることを強調した。(14日)
●拘置中のイラン人死亡
覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されていたイラン人男性が死亡した。警視庁玉川署は、暴れ出したため、署員が数人がかりで取り押さえたが、その後様子がおかしくなり死亡したと発表。(14日)
●沖縄南方に米軍基地 米国防総省の依頼でアジア戦略の見直しを進めていた「ランド研究所」は、「米国とアジア|新たな戦略と軍の態勢に向けて」という報告書を発表した。中国の軍事的台頭と中台武力衝突の可能性をにらみ、台湾に近い下地島など琉球諸島での空軍力増強やグアム島に大規模な空軍の拠点構築を提言した。(15日)
●国家戦略本部顧問に中曽根元首相ら 小泉首相は自らを本部長とする「国家戦略本部」の顧問に、中曽根康弘ら歴代の首相経験者を起用する方針を固めた。@首相公選制A改憲B有事法制を始め日米安保の強化などを検討する。(15日)

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週刊『前進』(2006号5面1)

中国・朝鮮侵略戦争の発動へ 戦争政策強める米帝ブッシュ
 5・27闘争で米日帝に大反撃を
 早乙女優

 米帝・ブッシュ政権の「二十一世紀の国防戦略」の発表は全世界を大激変と戦争の危機にたたき込むものだ。米帝は巨大な核軍事力を武器に中国・朝鮮侵略戦争政策をきわめて戦争挑発的に行っている。日帝・小泉政権は、この新たな米軍戦略に対応することを絶対的課題とする極右政権だ。小泉は、それがどんなにアジアからの抗議や国際摩擦を強めても九条改憲に向かってこれを正面突破し、対米対抗性をもって中国・朝鮮侵略戦争に参戦しようとしている。この敵の攻撃の激しさを見すえよう。日米帝国主義の中国・朝鮮侵略戦争の宣言と対決し、五・二七闘争の大結集と巨大なデモで反撃しよう。この力をバネに都議選決戦に猛然と決起しよう。アジア人民の命がけの闘いと連帯し、われわれの戦闘宣言をたたきつけよう。

 世界戦争も辞さぬ「21世紀国防戦略」

 帝国主義の世界戦争による人類の破滅か、それとも反帝国主義・反スターリン主義の世界革命の勝利か―二十一世紀は初頭から歴史的な大激動に突入した。
 アメリカ、日本という二大帝国主義が、中国スターリン主義の転覆・取り込みをめぐって戦争政策を激化させている。世界大恐慌過程の始まりが、いよいよ米・日帝国主義の朝鮮・中国侵略戦争―第三次世界大戦に向かって情勢を促進させ始めたのだ。五・二七闘争と都議選闘争を、この情勢を突き破る政治決戦として闘いとろう。
 ブッシュ政権はこの間、アメリカの軍事戦略と核政策の包括的な見直しを進め、そのアウトラインを示してきた。まもなくこれが完成し、五月二十五日、ブッシュが「二十一世紀の国防戦略」演説を行う。それは世界最強の核軍事力を武器に世界戦争をも辞さず、中国・朝鮮侵略戦争にうって出るというものだ。そのために日米安保同盟を強化し、沖縄を侵略戦争の最前線基地にするとしている。米帝はこの侵略戦争に日帝を組み込んで動員し、米帝主導でアジアを先制的に軍事再編しようとしている。そうすることで日帝のアジア勢力圏化を粉砕し、米帝支配とドル体制を防衛しようとしているのだ。
 他方、日帝・小泉政権は、このブッシュの新軍事戦略に積極的に対応しようとしている。米帝の日米安保の強化・拡大の要求を追い風に軍事大国化と改憲に突き進み、対米対抗性をもって中国・朝鮮侵略戦争に参戦しようとしているのだ。ここに日帝が帝国主義として延命するための一切をかけてきているのだ。
 日米帝国主義は、今まさに本気で中国・朝鮮侵略戦争にうって出ようとしている。これに体制的危機の一切の突破をかけてきている。この激しさを見すえなくてはならない。
 これに対し、朝鮮、中国を始めとするアジアの階級闘争・民族解放闘争が、さらに激しく燃え上がろうとしている。世界戦争か、世界革命か、いま東アジアは歴史の最先端に位置した。
 この情勢に、本気で立ち向かうことが求められている。革命的共産主義運動の歴史的な登場をもってこの情勢を揺さぶり、巨大な革命情勢へと転化しよう。いまこそアジア人民への血債かけて闘うべき時だ。
 すでに南朝鮮・韓国で、中国で、日米帝国主義の侵略戦争政策に対する命がけの決起がたたきつけられている。首都・東京を揺るがす巨大なデモでこの闘いにこたえよう。日米帝国主義の戦争政策への怒りを爆発させ、五・二七首都全国闘争に向かって最後まで全力を尽くそう。そして都議選決戦勝利へ怒涛(どとう)のようになだれ込もう。

 中国に米スパイ機が露骨な戦争挑発

 米帝は中国・朝鮮侵略戦争を行うことを路線化し、その観点からすべての米軍戦略と核政策を見直し、すでに実行し始めている。
 四月一日米軍のスパイ機EP3が偵察中に中国軍機と接触して墜落させた。これは中国近海で米帝の戦争挑発が日々激しく行われ、この地域がいかに厳しい戦争的緊張におかれているかを示すものだ。
 この重大事故はどうして起こったのか。それはブッシュ政権下で、米軍の中国に対する偵察飛行の頻度が激増し、中国沿岸すれすれに接近することが恒常化しているからだ。EP3の役割は、狭義の偵察だけではない。攻撃目標の設定・追跡、相手の通信網やレーダーの無力化、部隊司令などの役割も持っている。EP3を中国沿岸に飛ばすという行為自体が中国に銃口を突きつけるに等しい戦争挑発行為なのだ。
 米軍は、中国からの偵察飛行の中止要求を踏みにじって、五月七日に電子偵察機RC135を使い中国沿岸部の偵察飛行を再開した。十日には、また新たなEP3が嘉手納に飛来し、F15戦闘機に護衛させて偵察飛行を再開しようとしている。いつ戦争に発展してもおかしくはない、横暴きわまりない戦争挑発だ。

 新ミサイル防衛計画の衝撃

 ブッシュ大統領が五月一日に発表した新ミサイル防衛計画は、各国の軍事戦略に巨大なインパクトを与えている。ブッシュは、米本土ミサイル防衛(NMD)と戦域ミサイル防衛(TMD)を組み合わせ、新たなミサイル防衛システム網を構築し、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を破棄する方針を示した。六月にはこれを柱に国防総省が包括的な核政策の見直しを発表する。この計画は中国や北朝鮮の政府を震撼(しんかん)させている。またロシアや他の帝国主義にとっても重大な事態である。
 この間、米帝は全世界人民を敵に回して臨界前核実験を進め、実戦で使える核兵器の開発を進めてきた。戦後世界体制の崩壊の中で、米帝は実際の核戦争に踏み込んでいくことを追求してきた。新ミサイル防衛網が完成すれば、米帝は核ミサイル戦争での一方的な攻撃者の立場に立つ。米帝はこれによって核保有国・中国などに対しても、躊躇(ちゅうちょ)なく戦争を行い、核兵器を使えるようになるのだ。
 中国政府は直ちに「全米ミサイル防衛網計画は、ABM制限条約に違反している。国際的な安全保障のバランスを崩し、新たな軍拡競争を招きかねない」と強く批判した。中国の長距離核ミサイルは現在十五〜二十基と言われ、米帝のミサイル防衛システムで抑止力を完全に失いかねない。ブッシュ政権は核攻撃目標をロシアから中国へとシフトするとさえ公言している。
 ブッシュは、五月一日の演説で、この計画をロシアや同盟諸国に説明することを強調しながら、中国をはずした。ブッシュは、この計画によって中国の核の無力化を突きつけ、中国を対抗的核武装化に引きずり込んで、戦争情勢を激化させる意図を露骨に表しているのだ。
 このミサイル防衛計画と一体で、米軍は宇宙の軍事利用を担う軍事機関を空軍司令官のもとに統合し、宇宙戦略の強化を目指している。同時に、チェイニー副大統領を責任者に、これまで各省庁ごとに行ってきたテロ対策を統括する組織再編を図り、米国内の治安体制強化にも本格的に取り組もうとしている。

 「戦略的な敵国」と中国を公然と認定

 ラムズフェルド国防長官は五月七日、これまで米軍が中東と朝鮮半島でほぼ同時に発生する二つの地域紛争に対応するとしてきた二正面作戦を放棄し、中国軍による台湾海峡の封鎖などに主眼をおいたアジア重視の新戦略を公式に採用すると発表した。これはミサイル防衛計画と並ぶ「二十一世紀の国防戦略」の柱になるものだ。すでに米帝はこうした戦略に基づいて行動し、中国との戦争的緊張をつくり出してきた。今回の発表は中国を「戦略的な敵国」として公式に宣言するものだ。
 四月二十四日、ブッシュ政権は、中国との偵察機返還交渉のさなかに台湾への大型武器輸出を決定した。帝国主義の軍事力・軍事産業の巨大さにものを言わせた砲艦外交そのものだ。
 日米帝国主義は、ことあるごとに中国軍増強・近代化の脅威を叫ぶが、中国は現代戦争で決定的な情報通信戦や空軍力で、帝国主義はもとより台湾にさえ不利なポジションにある。今回の武器輸出で、駆逐艦四隻、潜水艦八隻、P3C対潜哨戒機十二機などが台湾に売却され、台湾の海軍力が格段に強化される。中国軍脅威論は中国侵略戦争のためのデマだ。
 ブッシュの中国に対する戦争挑発はこれにとどまらない。ブッシュは翌二十五日、アメリカの主要メディアとのインタビューで、台湾が中国から攻撃を受けた場合、米帝が中国への軍事力行使に踏み切る可能性をくり返し強調した。さらに五月一日、米国防総省は中国との軍事交流に制限を設けるという方針を出した。
 五月十一日には、アーミテージ国務副長官をインドに派遣し、ミサイル防衛計画への合意を取りつけた。また制服組のトップにもインドを訪問させ、中国を潜在敵国とするインドとの軍事交流を深め中国包囲網をつくり出そうとしている。
 さらにブッシュ政権は、国務省の国際テロに関する年次報告で北朝鮮など七カ国を「ならず者国家」と呼びテロ支援国家と決めつけた。対北朝鮮政策の見直しについても近く発表するとしている。米帝は対北朝鮮の形をとった朝鮮侵略戦争の発動のためにも、対中国政策を戦争的にエスカレートさせているのである。
 南朝鮮・韓国人民は、ブッシュの新軍事戦略に全力で反撃を開始している。アーミテージが新ミサイル防衛計画への韓国政府の了解をとりつけるために訪韓したことに抗議闘争をたたきつけ、アーミテージの車に卵をぶつけた。

 沖縄下地島に米空軍を増強

 ブッシュ政権の中国・朝鮮侵略戦争政策は、同時に沖縄を米軍基地強化と最前線基地化の現実にたたき込むものだ。
 沖縄が核つき・基地の自由使用というペテン的返還を押しつけられてから三十年目に入った五月十五日、沖縄の運命を左右する重大な報告書が出された。米有力シンクタンク「ランド研究所」が、国防総省の委託を受けてまとめた米軍のアジア戦略報告書「米国とアジア―新たな戦略と軍の態勢に向けて」である。報告書は、米帝の最大の懸案が中国の軍事的台頭と中台武力衝突の可能性であるとし、沖縄県下地島など琉球諸島での米空軍力の増強やグアム島に大規模な空軍の拠点を構築することを提言した。
 他方では沖縄を中国侵略戦争の最前線基地にする見返りに、軍事的に支障のない形で沖縄海兵隊の一部を削減することも視野に入れると報告している。海兵隊を減らせば沖縄は新基地建設と侵略戦争への協力を受け入れるだろう、とでも言うのか。沖縄人民は「侵略戦争の加害者にも、被害者にもならない」と闘ってきたのだ。こんなまやかしなど通用しない。
 四月二十八日、米軍は沖縄県の自粛要請を無視して、フィリピンで行う合同演習に向かう途中、海兵隊普天間基地所属のヘリ十二機と給油機一機を民間の下地島空港、波照間空港に着陸させた。演習からの帰りには計十五機が着陸した。これは「ランド研究所」報告を先取りする行動だ。
 またブッシュ政権は、四月二十七日に、名護新基地について「人為的に期限を設けるのではなく、軍事的な必要性に基づくことが必要だ」と強調し、稲嶺知事らが公約とする「十五年期限」の議論自体を拒否すると言い放った。
 ブッシュの戦争政策の道具として、沖縄が蹂躙(じゅうりん)されることをどうして許せるか。ロシアは今年二月に、台湾海峡での米中紛争勃発に際し、在日米軍への核兵器使用などで介入することを想定した軍事演習を行ったという。米帝が中国・朝鮮侵略戦争に踏みきった場合、反撃の最大のターゲットになるのは沖縄なのだ。
 沖縄戦を二度とくり返させてたまるか。いま現に中国への戦争挑発が嘉手納基地から日々くり返されている現実はもはや我慢ならない。すべての米軍基地を直ちに撤去せよ。

 集団的自衛権行使へと踏み込む小泉

 小泉政権は、ブッシュ政権の戦争政策に積極的に対応し、新安保ガイドラインを実効性をもって貫徹する戦争国家化と改憲の攻撃を全面的に開始している。
 五月九日アーミテージは、米紙インタビューで、日米関係を米英関係と同等のものにするために、集団的自衛権の行使を可能とするよう日本政府に促した。
 これに対応して小泉自民党は、五月十三日、集団的自衛権の行使について憲法改悪によらなくても国会決議によって認められるように、首相直属機関「国家戦略本部」で検討を開始する方針を固めた。小泉は「国家戦略本部」に中曽根元首相らを顧問として起用し、改憲と有事立法の攻撃をより本格化しようとしている。山崎ら自民党幹部は国会決議をあくまでも「改憲までの暫定的措置」と位置づけ、第九条破棄の改憲=米帝的戦後体制打破のステップにしようとしている。また政府や防衛庁は、有事立法の法制化に向けて、担当職員を増員するなど本格的な立法化作業に入った。
 さらに小泉政権は米軍の新戦略を踏まえ、日米協議機関を設置して防衛計画大綱の改定を行うことを決めた。米を含む多国籍軍や国連平和維持軍への参加、マラッカ海峡やペルシャ湾までの「シーレーン防衛拡大」など、日帝の軍事大国化を一気に進めようというのだ。
 小泉政権は、こうした有事立法・改憲の攻撃をやり遂げるために、何よりも教科書と靖国の問題での正面突破をはかっている。日本人民の実に七四%が九条改憲に反対している中で(五月二日付朝日新聞)、侵略戦争への反省という日本人民の階級的立場をひっくり返すことなしに改憲は貫徹できないからだ。
 教科書決戦の勝利こそが、改憲阻止への道を開くのだ。これは日本プロレタリア階級として絶対に負けられない闘いである。敗北はアジア人民への裏切りとなる。教科書決戦を都議選決戦の最大の焦点として断固ぶち抜こう。国会行動や署名運動、街頭デモにうって出よう。
 日帝の没落と危機の中で、石原や小泉などファシスト的性格を持った極右政権が登場し、排外主義・愛国主義をあおって従来の自民党政治ではやれなかった恐るべき戦争政治を開始している。その前にすべての既成野党が太刀打ちできずに屈服している。この現状を放っておくならば、全社会が急速に戦争の波に飲み込まれかねない。これを阻止できるかどうかは、都議選に勝利し、われわれが革命的政党として全人民の前に登場できるのか否かにかかっている。中核派魂を燃やし、けしば都議を絶対に誕生させよう。
 米帝の新軍事戦略への怒りを爆発させ、今こそ新たな沖縄闘争の発展をかちとろう。米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒へ、名護新基地建設を絶対に阻止しよう。
 三里塚は朝鮮・中国侵略戦争に立ちはだかる人民の反戦の砦(とりで)だ。今秋東峰神社立ち木伐採阻止へ、五〜七月の三里塚闘争を闘おう。反対同盟の国会前座り込みを引き継ぎ、有事立法の先取りである土地収用法改悪に反対しよう。
 反米愛国主義を純化させ、反戦闘争に敵対するファシスト・カクマルと日本共産党を打倒しよう。
 全国から東京・芝公園に総結集し、五・二七闘争の大爆発をかちとろう。そして小泉自民党打倒・石原打倒の都議選勝利へ総力で決起しよう。

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週刊『前進』(2006号5面2)

迎賓館・横田裁判 須賀同志入院検査かちとる この力で4同志保釈へ 

 五月八日から十二日にかけて、東京医科歯科大学病院において、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う獄中四同志の一人、須賀武敏同志への入院検査が実施された。これに伴い、入院期間中の勾留の一時執行停止がかちとられた。
 わずか五日間、病院への入院に伴う措置とはいえ、十四年もの不当長期勾留を打ち破って同志の身柄を一切の拘束から解放し、「自由な時間と空間」を取り戻すことができたことは実に大きな勝利である。この間の全人民的な保釈署名運動の前進がついに、超長期勾留の壁に実際に風穴を開ける事態を切り開いたのだ。
 本年三月、須賀同志に実施された医療鑑定によって「狭心症の疑い」が指摘され、その確定診断のためには「心臓カテーテル検査」が必要であるとされた。弁護団はこれを受けて直ちに勾留執行停止による入院検査を要求。だが検察官は、検査の必要性は認めざるをえないものの、執行停止にはあくまで反対し続けた。家族の付き添いも認めず、三月の医療鑑定実施の時のように、東拘の看守や公安警察が病室や検査室の中まで立ち入って包囲し監視する中で「検査」を行えと言い張った。
 検事のこの必死の抵抗をあらゆる闘いで粉砕する中で、五月一日、東京地裁が勾留執行停止を決定。五月八日からの五日間の入院検査を実現したのである。
 この執行停止と入院検査の実施によって、検事と裁判所が保釈拒否の「理由」とし続けてきた「逃亡の恐れ」などの口実が、もはや一切成り立たないことが明らかになった。五月十四日の公判で、被告・弁護団は即時保釈を要求するとともに、新たに十亀弘史同志と板垣宏同志の医療鑑定を申請した。
 同じくこの日「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」による東京地裁包囲のデモが四月に続いて闘われ、「直ちに保釈を」「裁判長は決断せよ!」の声が地裁にたたきつけられた。 この勝利をひきつぎ、獄中四同志奪還へ、さらに一段と闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2006号5面3)

福嶋裁判 お粗末な筆跡鑑定 正字も知らずデッチあげ

 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧・福嶋裁判の第一二四回、一二五回公判が四月二十日、五月九日、東京地裁刑事第三部(服部悟裁判長)で開かれた。
 この間の裁判では、岩手借家から押収したとする「飛距離計算メモ」が福嶋同志の筆跡であるとデッチあげた警視庁科学捜査研究所の小島直樹証人への徹底的な反対尋問を続けている。
 そもそも、「筆跡鑑定」によって不特定多数の人の中から、筆者を特定することなどできるはずがない。なぜなら、日本語を筆記する人全体の中に、同じ特徴を持つ字を書く人がほかにはいないことを証明することなど絶対にできないからである。したがって「筆跡鑑定」とは何ら科学性、客観性を有するものではなく、筆跡鑑定人の恣意(しい)的判断でいくらでもデッチあげが可能なのだ。小島直樹の「筆跡鑑定」がまさにそうである。
 裁判で「空」の字が問題になった。小島は、福嶋同志が三十年以上も前に書いた資料(これを基礎資料という)の中に「空」の字が一字存在することをとらえ、この「空」の字には他の人が書かない特徴があるという。その特徴とは、「空」の文字下部の「工」の部分が正しく「工」と書かれており、「土」になっていない点で、基礎資料も「メモ」も「工」と記載されていて「特異な特徴」が一致しているから、同一人の筆跡だと、平然と鑑定書に記載しているのである。
 弁護人が追及すると、小島は、「鑑定当時に勘違いしただけだ。裁判所から召喚状をもらった段階で見直し、勘違いに気づいた」と証言した。しかし、これも口からのでまかせに過ぎない。昨年七月の須賀同志らの裁判で小島は、「『空』の字の『土』に突き出しがなく『工』となっているところが特徴です。そのような形態になる出現率は、一割か二割です」と平然と証言しており、筆跡鑑定を行った時(一九八七年)の勘違いなどでないことは明白なのだ。
 弁護人はさらに、「小島証言によれば『空』の字は、一般的には八割か九割が間違えて『土』と書かれているということになるが、本当か。その主張の根拠となるデータはどのようなものか」と追及した。小島は「このときは混乱して、何を根拠に証言したか説明できません」としか答えられなかった。
 このように小島「筆跡鑑定」はお粗末極まりないものである。さらに小島は、「証言」を思いつきやその場しのぎでコロコロと変更し、「鑑定証人」などと言える人物ではないのだ。
 小島鑑定は、本来比較対照できない書体の異なる字(楷書と行書、草書)を比較して同筆だと言ったり、薄くて良く分からないコピーや、目の粗いカーボン複写を資料とし、資料間で筆記時期が十七年も異なるものを比較し同一筆跡としたりするデタラメなもので、デッチあげ鑑定であることは明白なのだ。さらなる反対尋問で、小島鑑定を木っ端みじんに粉砕し、福嶋同志へのデッチあげを粉砕しよう。多くの皆さんの裁判傍聴を訴える。次回は五月三十日(水)。

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週刊『前進』(2006号5面4)

紹介 “民権の火よ永遠に” 古波津英興さん追悼文集 沖縄の闘いの神髄に迫る

 沖縄民権の会の古波津英興さんが、新ガイドライン法制定阻止の闘いの渦中で不慮の交通事故に遭い、一昨年四月二十四日に突然亡くなってから二年。古波津さんの闘いを引き継ぎ、本土の地で沖縄の闘いを生涯のテーマにあらためて据え直した沖縄民権の会の人びとによって、追悼文集が編まれ、このほど刊行された。タイトルは『民権の火よ永遠に―古波津英興追悼集』。
 表紙には、九七年秋のガイドライン闘争の現場での古波津さんの優しく朗らかな笑顔の遺影が輝いている。また、題字は前沖縄県知事の大田昌秀氏の揮毫(きごう)になるものであり、同氏の琉球大学教授時代からの古波津さんとの交流の深さが示されている。
 第一部には、古波津さんの遺稿から「謝花昇論」などが収められている。古波津さんが明治の民権運動家、謝花昇(じゃはな・のぼる)に傾倒し、その闘いを受け継ぎ、のりこえてきたことがよく読み取れる。また、「しっぽの歌」に込めた思いもよく分かる。
 第二部として、古波津さんの親族からの寄稿が掲載されている。父としての、兄としての、従兄としての古波津さんの人となりが愛情をこめて書き記されている。古波津さんの知られざる一面が明らかになり、一途に貫きとおした生涯をより深く理解するよすがとなる。とりわけ、古波津さんと一歳違いの弟、英隆さんの長文の回想記は素晴らしい読み物だ。
 第三部に、大田前知事ら六氏のメッセージと、六十六人の追悼の言葉が収められている。
 一昨年、古波津さんを偲(しの)ぶ集いが、故人が四十数年間暮らし、活動した川崎の地と、故郷・沖縄と、青春時代の闘いの地・大阪で相次いで開かれたが、それらの集会での追悼の発言も収録されている。
 そのほか、新たに約四十人の人びとが追悼文を寄せている。まず、その多彩な顔触れに、古波津さんの交友の広さと深さが示されている。どれも古波津さんの闘いと生き方の神髄に迫る心のこもった文章だ。
 古波津さんに励まされて、沖縄闘争の勝利、日本革命の勝利まで頑張りぬこうとあらためて決意させられる。多くの人が追悼文で触れている古波津さんの好きな言葉、「なまさんでぇいちすが、わーがさんでぇたーがすが(今やらないでいつやるのか、私がやらないで誰がするか)」という言葉の重みが感じられる。
 巻末に、古波津さんが発行し続けた沖縄民権の会会報『沖縄民権』の総目次、年譜などの資料が掲載されている。
 古波津英興さんをしっかりと記憶するために多くの人に購読を勧めたい。

●A5判二〇八ページ、頒価は二〇〇〇円(送料三一〇円)お申し込みは川崎市川崎区浅田3―9―6座覇光子方、沖縄民権の会へ。前進社でも扱います。

 三回忌で偲ぶ会

 四月二十一日、東京・中野商工会館ホールで古波津英興さんを偲ぶ会が追悼集の出版記念会を兼ねて行われた。二年前にガイドライン闘争と杉並区議選などの地方議会選挙の最中に亡くなった。今日の沖縄の状況、「つくる会」教科書の沖縄戦記述の問題などを考えると、古波津さんを失ったことがいかに大きな穴になっているかが思い知らされる。そうした思いを抱いた多くの人が集まった。
 沖縄民権の会の高田普次夫さんが開会のあいさつに立ち、「去るものは日々にうとしと言いますが、古波津さんの存在は日に日に大きくなっていきます」と昨今の戦争への動きとの関係で、古波津さんの偉大さを語った。
 また、古波津英興さんの弟の英隆さんが九十歳を超えているとは見えないかくしゃくたるようすで発言された。長男の亮さんは、活動に明け暮れた古波津英興さんを懐かしそうに回想された。
 沖縄民権の会代表の座覇光子さんが、追悼文集を発行した思いを語ったほか、参加者全員が古波津さんの思い出などを語り、偲んだ。

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週刊『前進』(2006号6面1)

憲法の基本原理を全面否定し 改憲と戦争あおる公民教科書
「つくる会」教科書国際主義貫き採択阻止へ

 五月十五日、中学校教科書の見本本(検定に合格した後の完成版)の展示が始まった。その中には許しがたいことに「新しい歴史教科書をつくる会」編集の歴史・公民教科書も含まれている。見本本展示に踏み切ったこと自身、日帝・文科省が、韓国政府による三十五項目の再修正要求を一蹴して「つくる会」教科書の採択へ突き進んでいることを示すものだ。他方、中国人民の怒りの中で、中国政府も十六日、日本政府に対して八カ所の修正を要求した。韓国、中国の再修正要求を断固支持して闘おう。東京・杉並を先頭に全国で「つくる会」教科書採択阻止の大運動を巻き起こせ! その闘いの中で都議選決戦勝利=けしば候補当選をかちとろう。

 「国防の義務」掲げ憲法第9条を攻撃

 「つくる会」公民教科書の最大の特徴は、戦争美化の歴史教科書と結びつき、戦後憲法を徹底的に排撃し、戦争国家化=改憲を扇動している点にある。子どもたちに改憲の必要性を説き、さらには「改憲後」の価値観をたたきこむためにつくられた教科書なのである。それは同時に、戦後階級闘争の全地平とその中で労働者階級人民が形成してきた「あやまちは二度と繰り返さない」という意識そのものを破壊することを狙うものである。以下、「つくる会」公民教科書がいかに戦後憲法を排撃しているかを中心に批判していく。
 まずこの教科書では、現行憲法の「平和主義」を積極的に確認する個所は一カ所もない。憲法前文にいたっては一言も出てこない。まったく逆に九条改憲をあおる言葉が随所にちりばめられている。
「主権国家には国際法上、自衛権があるとされ、世界各国は相応の防衛力をもっている。……しかし、日本国憲法には『戦力』の不保持が謳われていて、この憲法のもとで自衛のための武力がもてるのかということが、たえず議論されてきた。……憲法の規定と自衛隊の実態との整合性については議論が続いている」
 白表紙本では「憲法の改正が強く主張されている」と記していた最後の一文だけが、検定で修正させられたものである。「憲法論議と第九条」のコラムでは、
「自衛のための組織である自衛隊は主権国家として当然の存在であるが、日本国憲法における自衛隊の位置づけが不明瞭ならば、憲法の規定自体を変えるべきだとの意見もある。さらに、自衛隊が積極的に国際協力できるよう、集団的自衛権を憲法に明記すべきとの主張もある」
 いずれも、検定意見によって表現は若干変わったものの、九条改憲を扇動する核心的内容にはなんの変わりもない。さらに、
「日本国憲法は国民の義務として、子どもに普通教育を受けさせる義務、勤労の義務、納税の義務の三つを定めている。……しかし、憲法の理念に沿って国民生活を営むということは、この三つの義務を果たしてさえいればよいというわけではない」
と記し、同じページに「各国の憲法に記載された国防の義務」と題した囲み資料を置いた。各国憲法から「国防の義務」条項を引用し、「これらの国の憲法では国民の崇高な義務として国防の義務が定められている」と明記している。
 白表紙本は本文で「その意味で重要なのは、国家に対する忠誠の義務と国防の義務である。これらの義務は日本国憲法には定められていないが、諸外国の憲法には国民の崇高な義務として明記されている」と記していた。検定意見により削除になったその内容を、囲み資料で生き残らせたのだ。検定による修正のペテン性を示している。
 また巻頭グラビア「大国日本の役割」では、自衛隊の写真をちりばめ、
「日本の役割は私的な感情ではなく、公的な国益から考えられなければならない」
と記している。朝日新聞の世論調査でも九条改憲に反対が七四%と発表されているが、「つくる会」教科書は、この九条改憲に反対する圧倒的大多数の労働者人民に対して「『戦争反対』などという『私的感情』は捨てよ。国益こそが重要だ」とわめいているのだ。今日の日帝の改憲攻撃の最大の焦点である九条改憲を扇動しているものだ。

 「天皇は国の中心」と明治憲法を賛美

 第二に「国民主権」の否定である。現行憲法の「国民主権」とは、明治憲法下で天皇主権のもとに日帝が暗黒政治と植民地支配、侵略戦争を強行した歴史を背景に、天皇主権を否定して国民主権を明記したという性格のものである。
 では「つくる会」教科書はいかに記しているのか。まず、明治憲法とそのもとでの天皇制の全面肯定と徹底的な美化である。
「この憲法(大日本帝国憲法)では、……わが国は万世一系の天皇が統治する立憲君主制であることを明らかにした。天皇は国の元首であり、国の統治権を総攬(広く監視)する者であると定められたものの、その統治は憲法の条規に従うとされた。……この憲法は、アジアで初の近代憲法として内外ともに高く評価された」
 続いて戦後憲法については、明治憲法下の天皇制との断絶性を否定し、その連続性を強調している。
「日本国憲法では天皇について……国民主権のもとで伝統的な天皇制を維持することを確認している」
「わが国の歴史には、天皇を精神的な中心として国民が一致団結して、国家的な危機を乗りこえた時期が何度もあった。明治維新や第二次世界大戦で焦土と化した状態からの復興は、その代表例である」
 要するに、“明治憲法下の天皇制支配はまったく正しかったし、それは戦後憲法でも変わらずに引き継がれている゜と描いているのである。
 天皇制ボナパルティズム支配こそ、「国体」を掲げた治安維持法体制による階級闘争圧殺の暗黒政治であり、日帝の植民地支配と侵略戦争への道をつくったものであった。「天皇の警察」が暴威をふるい、「天皇の軍隊」こそが世界史的にも類例を見ない残虐極まりない南京大虐殺や日本軍軍隊慰安婦制度を生み出した。「つくる会」教科書が戦前・戦中・戦後を連ねて天皇制を徹底賛美しているのは、再び天皇を元首とし、天皇制ボナパルティズム支配体制の確立を狙う宣言そのものである。
 また「信教の自由」を、以下のように記している。
「政教分離とは、国家や地方自治体などが宗教とかかわることを禁止することである。しかし、現実には政治と宗教とをはっきりと分けることはむずかしい場合があるので、政治を通じて宗教的な価値観に誘導したり、特定の宗教に有利なとりはからいをするなど、ゆきすぎたかかわりを禁じることだと考えられている」
 憲法の「信教の自由」条項とは、国家神道を廃止し、政治と宗教の一体化を禁止したものだ。これに対して「政治と宗教とをはっきりと分けることはむずかしい」と政教分離を公然と踏みにじり、再び天皇を「現人神」とする国家神道の復活を狙っているのだ。
 しかも同じページに「国会議員による靖国神社参拝」の写真が掲載されている。日帝・小泉が「いかなる反対があろうと、総理大臣として靖国神社に参拝する」と公言しているのと一体の攻撃だ。靖国神社とはA級戦犯を始め「天皇のため」に死んだ日本軍兵士を「英霊」としてまつった国家神道の頂点に位置した神社である。「つくる会」教科書は、靖国参拝を正当化し、再び「天皇のため、お国のために命を投げ出せ」と主張しているのだ。

 “基本的人権よりも国益が優先”と説く

 第三に「つくる会」教科書の際立った特徴は、フランス革命以来の基本的人権思想(とその戦後憲法への独特の反映)に対する憎悪と全否定である。この教科書では、基本的人権の尊重について記した個所にはすべて「しかし……」「だが……」など、その内容を否定し制限する言葉が続く。
「人権保障の基本は、一人ひとりの人間をかけがえのない存在として大切にすること(個人の尊厳)である。それと同時に、権利の主張、自由の追求が……社会の秩序を混乱させたり社会全体の利益を損なわないように戒めている。憲法に保障された権利と自由は……濫用してはならず、つねに公共の福祉のために利用する責任があるとしている」
「憲法は、国民にさまざまな権利や自由を保障しているが、これは私たちに好き勝手なことをすることを許したものではない。……社会全体の秩序や利益を侵す場合には権利や自由の行使が制限されることもある。……憲法はこれを『公共の福祉』という言葉を用いて表現している」
「憲法には思想・良心の自由、信教の自由、集会・結社の自由、表現の自由、学問の自由が保障されている。……その中でも、とくに重要なのは表現の自由である。……しかし表現の自由は他方で、……社会の秩序や道徳を侵す危険を合わせもつので、注意する必要がある」
 要するに労働運動や、反戦闘争、沖縄闘争、狭山闘争、三里塚闘争などの集会やデモを憎悪し攻撃して、“基本的人権よりも国益が優先される゜ことを説く教科書なのだ。とりわけ大失業時代の到来により不可避に巻きおこる労働者の総反乱への恐怖と憎悪がある。
 これはイデオロギー的には、昨年五月に発表された「読売新聞第二次改憲試案」が新たに「公共の利益」という概念を打ち出したことにつながっている。「公共の利益」とは一見、現行憲法に記された「公共の福祉」とまぎらわしい言葉だが、その中身は「国益」にほかならず、基本的人権という概念を徹底的に攻撃の対象とし、“個に対する公の優先゜の論理を持ち出したものである。 
 「つくる会」教科書は、「公」による「私」の否定という論理も満展開する。
「社会をつくって生活する人間は、つねに二つの側面をもつだろう。一つは、社会の中で他人とかかわりながらも、もっぱら自分の利益を追い求めたり、自分の権利を追求したりする面であり、もう一つは、自分の利益や権利よりも、むしろ国家や社会全体の利益や関心という観点から行動しようとする面である。前者が『私』を中心とするなら、後者は『公』を中心としている。……とくに後者を中心に市民をみたとき、これを『公民』とよぶ」
「『公民』とは、ただ『私』の利益や『私』の好き嫌いの世界に安住するのではなく、その『私』が属している国の歴史と文化をふまえて、『私』の属する国の未来への展望をもとうとする『市民』のことをさす」
 何度もくり返される“よき公民であれ゜という主張は、「私」を“自分勝手なエゴイズム゜と描いて否定し、「公」への忠誠と奉仕を要求するものだ。この「公民」という概念は、労働者人民の階級的な利害にもとづくものなのか。まったく違う。“国なくして個人なし゜“私を捨て、国益のために生きよ゜と、ブルジョア国家への奉仕を強制するイデオロギーなのだ。
 労働者人民にとっては「天皇のため」に最後は命までも投げ出させられた歴史の再現そのものである。

 二度とあやまちを繰り返さぬ闘いを

 このように「つくる会」教科書は、現行憲法の「平和主義・国民主権・基本的人権の尊重」の基本原理をすべて否定し、改憲を正面から扇動している。この攻撃との対決は改憲阻止決戦そのものである。社民党のように単なる護憲としての護憲の立場では勝ちぬくことはできない。
 言うまでもなく現行憲法は帝国主義憲法である。それは「象徴天皇制」というかたちで天皇制を護持し、「戦争放棄」をうたいながら、日米安保体制を形成し、沖縄を「基地の島」として米軍政下に売り渡し、憲法一〇条で「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」として在日アジア人民を入管体制のもとで管理し抑圧する、ということと表裏一体のものであった。
 しかし同時に現行憲法は、日帝の敗戦という現実と、戦後革命の高揚とその敗北の中で生み出されたことに規定され、またその後の六〇年安保闘争、七〇年安保・沖縄闘争、国鉄を始めとする労働運動など、今日にまでいたる戦後階級闘争の地平に規定されている。そのため、帝国主義憲法として決定的な制約をもっている。日帝にとっては、天皇制と帝国主義軍隊を全面的に復活させ侵略戦争に打ってでるために、絶対に突破しなければならない制約になっているのだ。
 「つくる会」教科書が今日の社・共と連合の裏切りに力を得て、帝国主義的祖国擁護を前面に押しだし、憲法の全面解体攻撃を最先端で担っていることに対して、労働者人民は「あやまちは繰り返さない」の誓いを貫き、断固自己の権利と階級的な利益を対置して闘おう。そしてこの闘いの中で、戦後憲法を無条件に賛美してきた社・共の指導下で克服されずにきた排外主義・差別主義への屈服をのりこえ、七・七路線とプロレタリア国際主義を貫き、階級性を鮮明化させていくことが求められている。
 歴史教科書とともに、「つくる会」公民教科書の七月採択を絶対に阻もう。
〔大西 晶〕

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週刊『前進』(2006号6面2)

川田泰代さんを追悼する アジア連帯・政治犯救援にかけた生涯
 革命的共産主義者同盟

 川田泰代さんがさる五月五日午後一時過ぎ、糖尿病からくる慢性腎不全で亡くなられました。享年八十四歳でした。私たちは、川田さんから受けたさまざまな援助、ご厚意を思い起こすとき、心からの感謝と敬意の念を深くするものです。
 川田さんと私たちの出会いは、七〇年安保・沖縄闘争の爆発の渦中でした。観光ビザで入国した台湾からの留学生陳玉璽氏が、法政大学大学院への入学を希望し、特別在留許可申請をしている矢先、入管からの指示で出頭したところ、そのまま即日強制送還され、台湾で投獄されるという大弾圧がありました。陳氏はハワイ大学留学中にベトナム反戦デモに参加したことを理由として、強制送還され、台湾で死刑の判決を受けたのでした。
 この事件は日本の入管体制の植民地主義的民族抑圧の暗黒性を余すところなく示すものでした。川田さんは、陳氏の救援に寝食を忘れて取り組まれ、ついに七一年に釈放をかちとりました。この闘いは著作『良心の囚人』の中に明らかです。
 この過程で当時の社会党国会議員猪俣浩三氏とともに、アムネスティ日本支部を設立し、その後も一貫して、国家権力によってねつ造される「政治犯」の救援に心を砕いてこられました。星野文昭同志に一審死刑求刑が出されたときも川田さんは、世界中のアムネスティを動かし、死刑判決を阻止する大きな力を注いで下さいました。
 川田さんの八十四年の生涯は世界大的なスケールの行動力にあふれていました。中国、朝鮮、アメリカ、ヨーロッパ、そしてカンボジア等々、多くの国々を訪れ、交流を作り出してきました。バイタリティあふれる川田さんの姿は、そうした国々の人々の心にも焼き付いていると思います。
 私たちは七〇年七・七自己批判以来、入管闘争を反帝・反スターリン主義世界革命とその一環である日本の階級闘争の綱領的軸をなす闘いとして取り組み、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の戦略的総路線を掲げ闘い抜いてきました。私たちの入管闘争は川田さんの陳氏救援運動に学ぶことから始まったと言っても過言ではありません。さらに七〇年代後半から八〇年代前半にかけて激烈な二重対峙・対カクマル戦の中で、首都圏と全国の大学、政治集会で講演や発言をして下さいました。著名なジャーナリストとしての活動の場を失うことも恐れず常に私たちを激励して下さったことをけっして忘れることはできません。
 川田さんとともに歩いてきた三十年余、語り尽くせぬほどの豊かなものを受け継いできました。闘う者へのあふれる愛情と敵に対する徹底的で辛辣な姿勢は一度も揺らいだことはありませんでした。三里塚の三・八分裂の時も、一瞬のうちに真実を見抜き、反対同盟とともに進むことを明らかにしました。北富士忍草母の会とも親しく、現地集会にともに駆けつけたことも多々ありました。
 川田さんの生涯は、失うべきものを持たぬ人民とともにあり、俗物的な名誉とか栄達とは無縁なものでした。親戚にあたる反戦エスペランティスト長谷川テルが抗日戦争を闘う中国人民の側に立って自らを貫いた生き方を理解できなかった少女時代への反省をこめて、戦後を歩んでこられました。朝鮮戦争反対を貫いて離婚した川田さんの歩みは、女性の生き方としても先駆的であり、あらためてその激しくしたたかな生涯に心から敬意を表します。
 川田さんの遺志を引き継ぎ闘うことを厳粛に誓って追悼といたします。

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週刊『前進』(2006号6面3)

治安国家化との対決を 4
 「合法的」な盗聴権限付与−警察が電気通信網一手に掌握
 個人データベースで弾圧狙う

 警察庁は昨年八月十日、同十五日からの盗聴法施行を前にして、マスコミに盗聴装置を公開した。この装置は、大容量の記憶装置DAT(デジタルオーディオテープ)を装備したノートパソコンを軸にした超高性能のもので、ポータブルである。一式三百九十万円、合計六十二台が全国の警察本部に配備される。
 これから日本でも、従来から行われてきた盗聴に加えて、欧米諸国と同様の「合法的盗聴」や「合法的盗聴器」を使った非合法的盗聴など、大盗聴時代に突入することになった。

 現場裁量

 盗聴法は、通信の秘密を侵し、盗聴対象者に直接令状を示すことなく行い、「将来の犯罪」、令状記載以外の犯罪のための盗聴をも合法化するなど、どこからみても憲法違反の悪法である。また警察は、「乱用を防止するための歯止めがたくさんかかっているので乱用の恐れはない」として押し切った。しかし、神奈川県警が引き起こした日本共産党幹部への盗聴事件については、警察庁長官は、「組織として盗聴を行ったことは一度もない」として開き直り続けている。
 この盗聴法は、現場の警察官に盗聴実施についての裁量がゆだねられている部分が多い。その問題点は以下のとおりだ。
 @立会人問題。盗聴にあたり、通信事業者などが立ち会うことになっている。しかし、事件の内容を知らされず、通話の内容も聞けないため、警察官の盗聴が法律の認める範囲内かどうかを知ることはできない。実質的に立ち会いの意味はない。
 A「令状の請求には警視以上の警察官が関与する」「令状の請求は地裁以上の裁判所に対して行う」から乱用の危険はないとされているが、まったく理由にならない。
 令状の発付については、寺西裁判官がかつて一九九七年十月二日付朝日新聞に投書したように、「ほとんど検察官、警察官の言いなり」になされているのが実情である。資料は少し古いが、九五年には全国で三十七万八千百六件の請求中、裁判官によって却下されたのはたった四百六十四件、却下率〇・一二%という数字がある。
 最近の福岡での検事と裁判官の癒着事件や、裁判官全体の反動化をみれば、請求のままに令状が発付されることになるのは明白だ。
 BEメール、FAXなどは、瞬時に大量の情報が記録されてスポットモニターリングはできないとして、いったんすべてが転写される。そして、警察内(立会人なし)で解読した後に不要なものが消去される。したがって一度はすべての情報が警察に読み取られることになる。
 C警察官は、盗聴中にかかってきた電話の相手先番号の逆探知を、令状なしで事業者に要求できる。事業者はこれを拒否できない。どの場合に逆探知できるかの明確な規定はないので、現場の警察官の思いのままとなる。
 D捜査官は盗聴で得た情報について、「通信の秘密を不当に害しないように注意」せよとされているだけだ。禁止規定はあっても罰則はないため、警察は情報を他の用途に転用したり、データベース化も自由自在となっている。
 E盗聴した記録が裁判に使われた場合だけ、事後に対象者に通知される。裁判に使わなければ通知する必要はなく、まして盗聴中にかけた通話先や、逆探知された人にはまったく通知されない。

 無制限に

 二月四日、政府は、昨年八月十五日の盗聴法施行から十二月末日までの間に、盗聴令状の発付を請求したことも、盗聴を実施したこともないと国会で明らかにした。これを真に受けることは断じてできない。
 警察がこれまで非公然でやってきた盗聴は、今後ますます激しくなるだろう。情報化社会にあって、盗聴を合法的に行う権限を警察が手にしたことは、戦争のできる国づくりを強力に推進している日帝にとって、実に重大なことである。普通の電話に限らず、公衆電話から携帯、またインターネットに至るまで、すべての電気的通信網を警察が手にしたことになる。日本の社会全体の情報網を一手に握ったことになるからだ。
 盗聴の対象は、ごく一部の団体や人物に限られると考えるわけにはいかない。すべてが対象である。これだけで委縮効果がある。
 警察はすでに、すべての団体・人物の静態的、動態的データの集積に入っているとみるべきである。盗聴データだけでなく、道路に設置されたNシステムなどの監視カメラや、各方面で使用され始めたICカードなどを使って人民をあらゆる観点から観察し、思想・経済・趣味・健康状態などすべてをコンピューターを使ってデータ化し、官庁がすでに持つ膨大な個人データと結合させて、治安弾圧のためにいつでも使用できるデータベースづくりに入り始めたと言える。またマスコミを含めた情報操作がすでに行われている。
 こうした権力の体制を許さず、組織と運動を守りながら闘いぬく能力を身につけなければならない。

 廃止署名

 盗聴法を含む組対法反対闘争は、九九年の国会闘争を頂点に、大闘争として闘われた。反対運動の広がりに追いつめられた政府は、国会史上にもないような無茶苦茶な議事運営で、かろうじて法を成立させた。その直後から次々と暴露された神奈川県警、新潟県警を始めとする警察の腐敗と組織ぐるみの犯罪に、「こんな警察にどうして盗聴を許せるか」という声がますます高まっている。
 盗聴法の廃止を要求する署名運動は全国に広がり、署名はこれまでに約二十二万人に達し、現在もなお増え続けている。盗聴法廃止へさらに全力で闘おう。
 (島津純)

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週刊『前進』(2006号6面4)

 訂正

2002号4面、「つくる会」公民教科書批判3章5行目の「国家主権」は「国民主権」の誤りでした。

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