ZENSHIN 2001/05/28(No2006 p06)

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「つくる会」教科書白紙撤回、石原都政打倒! けしば誠一氏を都議会へ
 社共に代わる労働者党の登場で自民党・小泉改憲内閣打倒せよ
 5・27全国から芝公園へ結集を

 六月十五日の都議会議員選挙告示まであと一カ月を切った。全党・全人民は六月二十四日の投票日まで一切をなげうって、杉並でのけしば誠一氏の勝利のために奮闘しよう。小泉新政権が改憲と戦争、リストラと賃下げ、社会保障切り捨ての極右反動内閣であることを鮮明に暴露し、その打倒に向け「改革」のペテンをあばき、小泉幻想を粉砕して闘おう。また、この小泉自民党と連携して、東京から戦争国家づくりを進める石原慎太郎と真っ向対決し、「石原都政下の都議会にけしば氏を送り込もう」を合言葉に、都議選必勝の陣形をつくろう。小泉反革命、ファシスト石原の攻撃を全力ではね返す総力決起をかちとり、勝利しよう。

 第1章 体制危機を爆発させ 戦争に進む帝国主義

 都議選決戦の決戦性を規定する内外情勢の最も根底にあるものは、戦後帝国主義世界体制の基軸国であった米帝の一九九〇年代の長期にわたったバブル経済がついに崩壊を開始し、世界大恐慌への現実的突入が始まりつつあることである。その中で帝国主義世界経済が分裂化・ブロック化に進みつつあり、それは必ず帝国主義の侵略戦争、帝国主義間戦争、世界戦争に突き進む。今やそこに向かって歴史が回り始めているのだ。ブッシュ政権のこの間の対日政策、対中政策も、すべて米帝危機の中で、強い米帝を押し出し、米帝のむき出しの国益を追求するものであり、そのためには戦争も辞さないものとしてあるのである。
 こうした中で登場した小泉政権は、日帝の体制的危機の激しさが生み出した極右政権である。日帝経済の解決不可能な矛盾の爆発の中で、それをあたかも「聖域なき構造改革」とか「改革断行内閣」というキャッチフレーズで、何かしら解決できるかのような装いをこらして登場したのだ。
 小泉の後見人然としている中曽根は、十四日の講演で「小泉君は、鳩山一郎―岸信介―中曽根康弘というわれわれのサイドの首相になり得る」と語り、「民族主義をもった精神的要素を重んじるタイプ」に分類した。つまり憲法改悪や小選挙区制を企て(鳩山)、安保を改定し(岸)、「戦後政治の総決算」を叫び首相公選制を唱えた(中曽根)のを継ぐように促しているのだ。経済構造改革と憲法改悪と集団的自衛権と靖国参拝を掲げて登場した小泉は、まさに戦後の首相の中でも超反動、極右政治家だ。特に、小泉の持論である首相公選制は、憲法改悪の突破口であり、独裁制への道であり、絶対に粉砕しなければならない。

 「小泉改革」の反動とペテン

 小泉の五月七日の所信表明演説と代表質問に対する答弁、予算委員会での答弁を見ると、小泉政権の姿勢がはっきりする。
 第一に、日帝が帝国主義間争闘戦でたたき落とされ没落帝国主義の道を進んでいる中で、そこからはい上がろうとものすごい危機意識を爆発させている。所信表明で「地球的規模での競争社会」「競争的な経済システムを」と語っているのはその表れである。米帝との争闘戦に打ち勝つことを至上命題としているのだ。
 しかし、今や過剰資本・過剰生産力、不良債権、企業債務、財政赤字として日本資本主義の全矛盾が爆発しており、それらはこれからさらに本格的になっていく。日帝の前途は絶望的である。日帝はいよいよ対米対抗性をもって、労働者人民を徹底的に抑圧し、アジア人民の決起に敵対し、凶暴化するほかない。
 第二に、「構造改革なくして景気回復なし」「『緊急経済対策』の実行で不良債権処理を速やかに行う」「非効率な部門の淘汰(とうた)が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じる」と言っているのは、労働者階級人民への大リストラ宣言である。
 日本経済が今日抱える根本問題は、バブル期以来の銀行の膨大な不良債権と企業における過剰債務(過剰設備)にある。もし銀行が現在の不良債権を持ったまま、世界的な大不況に飲み込まれたら、日本の金融システムは全面的に瓦解(がかい)して、日本発世界大恐慌となる。それを回避するために銀行の不良債権の抜本的処理が不可欠だ。だが、それをやればどうなるか。連鎖的な企業倒産、失業者の激増、不況の深刻化を引き起こし、今日の内外情勢の中では株式の大暴落も発生しかねない。その結果、銀行が破綻(はたん)に追い込まれる。
 全国の銀行が不良債権二十二兆円の処理をすると、失業者は百三十万人増え、倒産する企業の負債総額はGDPの〇・六%に達すると言われ、総体として景気は一段と悪化すると民間の調査では報告されている。
 明らかになっているNTT東西の大合理化を見よ。現在十一万二千人のうち六万人を子会社へ移す。五十一歳以上はいったん解雇・再雇用で、二〇〜三〇%の賃金カットになる。
 小泉が主張してきた郵政民営化では数万人の大合理化となる。さらに特殊法人へのゼロベースからの見直し。これらは、国鉄の分割・民営化のように一切が労働者階級人民への犠牲転嫁の攻撃としてある。
 倒産、リストラのラッシュ、失業、低賃金と強労働、かつてない大資本攻勢が労働者階級に襲いかかっているのだ。資本主義が没落の危機にのたうち回り、絶望的延命策動を強めている。労働者階級人民は、資本主義防衛、企業防衛の立場をのりこえ、資本主義にノーと言える階級的立場に立って、リストラ・倒産攻撃と闘い、賃金の引き下げに反対して闘うことが死活的な課題になっている。
 第三に、朝鮮・中国―アジア人民への敵視、排外主義・国家主義の侵略政策である。それは、「日本人としての誇りと自覚を持ち教育改革」「教育基本法の見直し」の宣言に表れている。「つくる会」の教科書への朝鮮・中国人民の再修正の要求に対して、再修正はしないという居直りの言辞にも示されている。
 韓国政府の三十五項目の再修正要求および中国政府の八項目の再修正要求を断固支持し、朝鮮・中国人民と連帯して闘わなければならない。それらは、朝鮮・中国人民の最低限のギリギリの要求である。この再修正問題を大きく焦点化して〈韓国・中国政府の再修正要求支持、「つくる会」教科書白紙撤回せよ。「つくる会」教科書の七月採択絶対阻止〉を掲げて闘おう。教育改革関連四法案を阻止する国会闘争を闘おう。
 さらに、小泉は、靖国神社に「総理として、個人として」参拝すると繰り返し言明している。「外国からなんと言われようと」強行すると公言するのは、アジア人民を再びじゅうりんする発言である。靖国神社とは、日帝の侵略戦争を居直り、A級戦犯を始め戦死者を神、「英霊」として祭るものであり、国家のために命を投げ出すことを求めるものだ。公式参拝は、首相としてアジア再侵略戦争を宣言するに等しい暴挙だ。
 また、「日の丸・君が代」闘争への不当弾圧が襲いかかってきている。五月十一日、広島県教委は、三、四月卒入学式闘争での「日の丸・君が代」強制に反対して着席した教職員に対して戒告七十八人、文書訓告二十九人の攻撃を加えてきた。「日の丸・君が代」を踏み絵とした「不適格教員」排除攻撃の本格的始まりである。
 第四に、社会保障制度の全面的な切り捨ての宣言である。「年金、医療、介護については『自助と自立』の精神を基本とし」と言い、「福祉」の言葉もない。戦後的な生きるための諸権利を一切奪う攻撃だ。
 第五に、改憲―侵略戦争体制の攻撃である。日米同盟のもとでの日帝独自の戦争国家化を追求している。米帝ブッシュの対アジア政策と共同作戦を行い、その上で日帝としてトコトン戦争体制を強化しようとしている。具体的には、「普天間飛行場の移設・返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の着実な実施に全力で取り組む」と言って沖縄圧殺・基地押しつけを貫き、さらに「治にいて乱を忘れず」と称して有事法制を具体化しようとしている。
 山崎拓自民党幹事長が「集団的自衛権の行使は国会決議で」と代表質問で提起し、小泉もそれが可能と答弁している。きわめて重大な改憲攻撃なのである。

 第2章 右からの現状転覆か 闘う革命党の登場か

 このように、自民党支配の根底的動揺と危機の中から、極右的反革命運動=戦後政治体制の反動的転覆運動が出現した。小泉、石原らは、明白に自民党支配への危機意識にかられて、右から反革命的に動き始めている。
 帝国主義の支配の危機、体制的動揺の時代こそは帝国主義的民族主義、愛国主義、排外主義のばっこする時代である。いかにも閉塞(へいそく)する時代を切り裂くかのような幻想をまきちらし、人民大衆をだまして、その実、日帝支配階級の行きづまりを極反動的に戦争と暗黒支配体制へともっていくのである。
 ところが、既成政治勢力は「帝国主義の死の苦悶(くもん)」の事態に根本的に対応する方向をもちえず、帝国主義に翼賛する立場へと落ち込んでいる。
 しかし、その中でも国際的、国内的に労働者階級人民の怒りと闘いの炎はさまざまな形態をとり、突破口を見いだして爆発を開始している。南朝鮮・韓国の労働者のリストラ反対の強烈な反撃の闘争は決定的に重要である。
 日本でも状況は暗黒一色ではない。国鉄決戦は、日帝と国労中央の反革命をはねのけて、闘争団を守りぬき国労の解体を阻止し、闘う国労の再生の闘いが進んでいる。動労千葉は百二十時間のストに決起した。また、カクマルとJR総連カクマルの分裂・抗争という歴史的事態は、労働者人民の闘いへの意欲を高揚させている。
 小泉、石原への野党の全面的な屈服の中で、求められているのは、労働者人民の力を基礎に闘う革共同の社共に代わる労働者党としての鮮烈な登場である。

 小泉政権の破綻性は明白

 小泉政権は、実は強力でも盤石でもない。強力な労働者人民の闘いが対置され、その本性が暴かれる時、根底から打ち倒すことは可能なのだ。
 第一に、現在の異常なまでの小泉政権支持率は、小泉の手で自民党改革や政治危機の打開が実現されるのではないかという願望の強さの表現である。しかし、小泉政権は実はおそるべき超反動政権であり、改憲と戦争国家化と大リストラ攻撃を公言している政権なのである。このまま放置したら歴史が戦争に向かってガラリと回転する危険をはらんだ情勢にきているのだ。この危険性がまだまだ大衆的に確認されていない。危機感と怒りに燃えたこの徹底的暴露と、石原都政への怒りと危機感を結合して都議選決戦に総決起しよう。
 第二に、果たして小泉政権は日帝政治危機・自民党危機を打開できる政権なのか。逆に、小泉人気のようなもので打開できるほど日帝政治危機とは底の浅いものなのか。小泉政権とは、いったい広範な民衆が支持している「改革」なるものを実現する政権なのか。まったく否! だ。何ひとつ改革もしていないし、これからもできはしない。
 第三に、民主党が小泉の「改革」路線に動揺し混乱して対決性を喪失していることは、野党の反動性、インチキ性を自己暴露している。つまり、八〇%の支持率という小泉政権との真っ向からの対決は、大衆的規模でのイデオロギー闘争・党派闘争を展開するなら、一挙にわれわれの党派性を鮮明にさせるのである。小泉との対決の鋭さが、他の野党との対比できわめて分かりやすいものとなる。
 だからこそ、われわれが小泉幻想を徹底的にたたきつぶし、小泉と自民党にはまったく改革の思想も力もないことを労働者階級人民の立場から暴いていくことなのだ。

 第3章 戦争・リストラ・福祉切り捨ての石原都政

 ファシスト石原は、自民党政治の戦争と大リストラの攻撃の反革命先兵である。この間のけしば氏と都政を革新する会の闘いによって、石原の反革命性はかなり暴きだされてきた。今や石原との真っ向からの対決こそ都議選闘争の中でとりわけ重要である。
 だが、他党派は、石原に軒並み屈服している。
 総与党化している中で、日本共産党は、「石原都政に是々非々をつらぬく」などと言って、事実上完全屈服している。「タカ派的な面には反対」などとアリバイ的に言うが、どこに反対するか具体的には言わないのだ。「第三国人」発言、自衛隊を動員した首都治安軍事訓練、「つくる会」教科書採択策動などに反対の運動を起こすことなど絶対に口にしない。むしろそうした闘いの爆発を恐れているのだ。事実上、日共は石原与党だ。
 こうした中で、区議十年の闘いの中で、つねに大衆の運動の先頭に立ってきたけしば氏を押し出すことの意味が際立って重要になっている。介護保険制度に反対する住民の闘い、学校給食の民間委託化に反対する父母や区職員の闘い、「つくる会」教科書の採択に反対する親たちの闘い、こうした労働者住民とともに、身をもって闘う議員として、けしば氏は立ち上がっているのだ。
 とりわけ当面の闘いの焦点は、石原と山田杉並区長の攻撃と闘って、「つくる会」中学校歴史・公民教科書の採択を阻止することだ。杉並でこの闘いに勝利することが決定的だ。
 都議選スローガンとして「大リストラと改憲−戦争の小泉政権打倒!」「小泉自民党に民衆の怒りを」「戦争美化教科書の採択狙う石原都知事と真っ向勝負する」「自民党を全員落とせ!」「六月都議選必勝で、小泉政権を打倒せよ」を真っ向から掲げ、これらの一切を「石原都政下の都議会にけしば氏を送り込もう」へ絞り上げて闘おう。

 5・27教育改革・改憲粉砕闘争

 小泉内閣打倒を掲げ、教育改革・改憲攻撃粉砕をめざして反戦共同行動委員会の五・二七全国総決起闘争に立とう。その場から最後の四週間の都議選決戦に全国の総力を注ぎ込もう。
 分裂カクマルにさらに攻勢をかけ、JR総連・松崎の反労働者性を徹底的に暴きだそう。右翼国粋主義、日本礼賛主義に完全に転落した黒田哲学の死を宣告した革共同に、カクマルは何ひとつ答えることができない。今こそ第三次分裂以来の長期の闘いの決着の時である。
 闘う闘争団の不屈の反転攻勢に確信を持ち、JRの完全民営化−第二の国鉄分割・民営化攻撃粉砕へ五月国鉄闘争に勝利しよう。
 平和市民連絡会を中心とする沖縄五・一五闘争の勝利を踏まえ、名護・浦添の新基地建設阻止へさらに闘いを強めよう。
 三里塚反対同盟の土地収用法改悪阻止の国会闘争に続き、暫定滑走路粉砕の二〇〇一年三里塚闘争に勝利しよう。
 部落解放同盟全国連合会とともに五・二三狭山統一行動に立ち、狭山再審貫徹の闘いを強めよう。
 激化する排外主義攻撃、在日朝鮮人・中国人に対する国籍強要攻撃と闘い、在日朝鮮・中国−アジア人民、闘うアジア人民との連帯をかちとろう。
 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う須賀同志が五月八日から十二日まで、ついに入院検査に伴う勾留の一時執行停止という勝利をかちとった。続いて、十亀同志、板垣同志の医療鑑定をかちとり、デッチあげ爆取弾圧の四同志の保釈奪還を絶対に実現しよう。
 今や都議選決戦は革共同にとってのるかそるかの決戦だ。闘いの原点から立ち上がり、革命家魂を発揮して必ず勝利しよう。この総決起方針は党建設そのものである。六月都議選決戦に一切をかけて総決起せよ!