ZENSHIN 2001/07/02(No2011 p06)

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週刊『前進』(2011号1面1)

小泉反革命打倒へ全力決起 けしば必勝へ都議選決戦の蜂起を貫く
戦争準備に走る日米帝と対決し参院選闘争へさらに進撃しよう
 「つくる会」教科書7月採択阻止を

 革共同は六月都議選|七月参院選を小泉反革命との歴史的決戦と位置づけて全力で闘ってきた。小泉政権が唱える「構造改革」なるものは、「痛みを伴うが我慢しろ」と言って労働者人民に徹底的に犠牲を強制し、日本を戦争のできる国に変えようという新型の極右的・ファッショ的な国家改造計画である。石原と同じような極右の人物が日帝の国家権力を握っているのだ。この小泉反革命と真正面から対決し、粉砕する運動とその先頭に立つ党が必要だ。小泉反革命をのさばらせておいては、日本の労働者人民は再びアジア人民虐殺の侵略戦争に動員され、自らもまた惨たんたる状態にたたき込まれる。革共同は小泉反革命打倒を掲げ、小泉の最も悪質な先兵である石原都政下の都議会に、小泉・石原と真っ向から対決して闘う議員としてけしば誠一候補を必ず当選させ送りこむことを決意し、闘いぬいてきた。さらに都政を革新する会が推薦を決定した参院比例区での大田昌秀氏(社会民主党)、東京選挙区での新垣重雄氏(沖縄社会大衆党)を断固支持して闘おう。三里塚の東峰神社立ち木伐採の強盗的襲撃を弾劾し報復せよ。教育改革三法案の参院採決を阻止せよ。改憲と戦争への小泉訪米・日米首脳会談を粉砕せよ。戦争賛美の「つくる会」教科書七月採択を絶対に阻止しよう。

 第1章 改憲・戦争国家化へと突き進む小泉政権

 小泉反革命とは、改憲と戦争国家化を狙い、日本を再び戦争へと駆り立てるものだ。小泉のすべての発言・政策がその意図、狙いを露骨に打ち出している。
 六月二十日の党首討論で小泉は、「靖国神社には二度と戦争をしないという決意をこめて参拝する」などと挑発的な発言をした。靖国神社とは天皇(国)のために死んだ戦死者だけを「英霊」として祭る神社である。戦死者を「英霊」化することで遺族を納得させ、本人に「戦死」を「天皇のための名誉ある死」として納得させる道具として造られた。アジア人民を虐殺し、労働者人民の利益に反する不正義の侵略戦争だからこそ、逆にこうした国家神道の神社の形をした大道具が必要になったのだ。日帝がアジアへの侵略戦争を拡大・継続するために造りだされた施設なのだ。
 靖国神社は、政教分離の原則によって国家から切り離され、民間の宗教団体として延命した。しかし、日帝は、戦後一貫して靖国神社の国家護持を狙ってきた。それは「再び戦争をする」ため、新たな侵略戦争でのアジア人民虐殺を開き直り、自国の戦死者を「英霊」化し、人民を新たな戦場にどんどん投入していくためにだ。その第一歩として首相の公式参拝が繰り返し策動されてきた。
 小泉は「いかなる批判があろうと参拝する」と反対論を封殺してしまおうとしている。しかも「なぜ参拝に反対するのか分からない」と、まるで反対する方がおかしいかのように平然と開き直っている。
 こんな超反動的なペテン的な言辞を吐く小泉を一日たりとも政権の座に置いておくわけにはいかない。
 さらに改憲、集団的自衛権、有事法制、戦争賛美教科書、教育などすべての問題について、これまでの首相が絶対に言えなかった反革命的突破の発言を行い、批判が起きないと見ると、その水路に沿って洪水のように反動攻撃を全面化させてきている。今こそ小泉に人民の怒りに満ちた強烈な反撃をたたきつけよ。
 小泉がこうした発言を繰り返すのは、米帝が完全にアジアで戦争を構えているからだ。米帝ブッシュ政権は発足後、世界戦略の練り直しをしてきたが、今やアジアで戦争すること、中国と朝鮮で戦争することを戦略的重心に置いた。
 六月一日、米国務副長官アーミテージは与党三党との会談で次のような重大発言を行った。
 「一夜明けたら大戦争が勃発している可能性は、欧州ではきわめて少ないが、アジアでは依然としてありうる。たとえば朝鮮半島、中台、インドネシア、パキスタンだ」「中国はアジアの安保問題の中の最大の問題だ。ブッシュ大統領は小泉首相が中国問題をどう考えているか関心を持っている」と。
 この発言は、米帝が今日、対中国侵略戦争、対朝鮮侵略戦争の体制づくりに全力をあげていることを日帝に突きつけた。
 小泉の「集団的自衛権行使」論や「改憲」論は、この米帝世界戦略にくらいつき、日米同盟強化のうちに日帝独自の戦略を展開していくものとしてあるのだ。
 六月六日の党首討論でも、野党の集団的自衛権の問題での質問に対して、小泉は「ガイドライン法の『後方地域』をどう定義していくのか研究の余地がある」と答えている。小泉が米軍の対中国・対朝鮮侵略戦争をいかに具体的な切迫したものと想定しているかは明白である。
 米帝の意図は、米帝のアジアでの戦争、中国・朝鮮侵略戦争に日帝をフル動員することにある。集団的自衛権の行使を認めるべきという米帝の意図はそれだ。
 小泉は、明白にその意図に対応して、アジアで米日帝の侵略戦争を積極的・主体的に始める反革命的な踏み切りをしたのだ。
 小泉は、米帝とともに中国・朝鮮侵略戦争に人民を動員しようとしている。こんな小泉を許せるか。こんな小泉に従って、再び銃をかついでアジア人民虐殺の戦争に駆り立てられてたまるか。この怒りをたたきつけなければならない。
 「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」の戦略的総路線、七・七自己批判の立場がきわめて切迫したものとして突きつけられているのだ。
 まさに、アジアで再び侵略戦争をやるための改憲と戦争国家化、それが不可避とする「構造改革」と大失業、それが小泉反革命だ。

 第2章 金融独占資本の救済で数百万人の大失業

 小泉の「聖域なき構造改革」とは、日本国家を改憲と戦争国家化の方向に改造することを狙っている。金融独占資本の延命のために日帝が国際競争力を高め、帝国主義間争闘戦において経済はもちろんのこと、政治・軍事面においても勝ちぬける国家体制を構築しようということである。
 六月二十一日に発表された経済財政諮問会議の「経済・財政運営の基本方針」最終案に書かれていることがその具体的内容だ。
 不良債権の最終処理のところでは、中小企業は倒産させ数百万人の失業者を街頭にほうり出しても、大銀行には銀行株式取得機構をつくり、公的資金を投入して救済すると言っている。
 郵政民営化を強行して、全逓労組を破壊し、大量首切り攻撃をかけようとしている。
 小泉は六月十九日、石原行政改革担当相に「なぜ公務員の労働組合は政治活動をしているのか」と、自治労や日教組など公務員労組の政治活動の規制について政府・自民党が検討するように指示した。小泉は特に自治労、日教組の破壊に的を絞っている。
 さらに、社会保障の解体を打ち出し、高齢者の医療費の削減を提起し、高齢者が安心して生きる権利を奪おうとしている。
 六月二十日の党首討論で小泉は「介護保険で満足している人は八六%」と公言し、介護を奪われる高齢者の怒りを買っている。その上で、消費税率の大幅アップという大増税がある。さらに地方の切り捨ての方向も露骨である。
 不良債権処理や公的部門の切り捨てなど小泉の「構造改革」で、中小企業を中心に二十万から三十万の企業が倒産する。
 6面につづく〜1面からつづく
 そして、百三十万人(ニッセイ基礎研究所)とか、百五十万人(日刊ゲンダイ)、二百万人〜三百万人(週刊ポスト)という膨大な失業者が出ることは必至なのである。
 こうした大量の失業者が生まれることを前提に、政府の雇用対策本部は五百三十万人の新規雇用を創出すると言っている。しかし、当の経済団体の日経連会長・奥田が、二〜三年の間に五百万人の新規雇用創出は無理だと断言している。大量解雇をスムーズに進めるためのペテン的なアドバルーンに過ぎないのだ。
 そして低生産部門が切り捨てられ、解雇された労働者には「転職能力」が求められる。就職先を見つけられないのは労働者の「能力不足」に原因があり、資本家や社会の責任ではないとして、労働者を生き地獄に突き落とすのだ。
 さらに小泉「構造改革」は恐慌と不況を徹底的に激化させる。すでに世界は大恐慌過程に入っている。日本経済も一―三月期、マイナス成長に突入した。四月、日銀の「量的緩和」策と小泉内閣の成立によって若干株価が持ち直したかに見えたが、その後株価は値下がりを続け、六月二十日の日経平均株価は一万二六七四円。経済実態は「小泉人気」などに左右されていない。きわめて深刻な危機にあるのだ。
 経済財政諮問会議は、「低成長の甘受」と「痛み」「我慢」を打ち出し、景気の低迷にもかかわらず「構造改革」推進を叫んでいる。日本経済は恐るべき恐慌状態、危機的な事態にいよいよなっていく。まさに、二九年世界大恐慌が、失業者が街にあふれる状態を生み出し、世界経済を収縮させ、ブロック化させ、第二次世界大戦へ向かわせたと同じ時代の到来だ。
 恐慌が経済対立を激化させ、経済対立が政治的・軍事的対立を激化させる事態が始まりつつある。
 小泉は、日米同盟を基軸にしながらも、日帝独自の利害をその中で最大限に貫徹し、世界経済の分裂化・ブロック化、帝国主義間争闘戦の激化の中で、戦争国家化し、第三次世界大戦を準備する超反動政権として登場したのだ。
 労働者人民は生きるために、闘いと団結で職場と生活を守り抜く以外にない。そして資本主義を打倒して労働者人民の社会をつくりだすために闘う以外にいかなる道もないのである。

 第3章 戦争=集団的自衛権に踏み込む小泉訪米

 六月十八日の日米外相会談で、田中真紀子は「日米同盟は日本外交の基軸」と確認し、ミサイル防衛計画に「理解と共感」を表明した。そしてミサイル共同研究を引き続き推進することを確認した。さらに二十二日に日米防衛首脳会談、三十日に日米首脳会談がいずれもアメリカで行われる。
 日米首脳会談は、アジアでの中国・朝鮮侵略戦争を日米がどのような協力体制をつくってやるか、という帝国主義強盗どもの戦争会談になる。集団的自衛権の行使が米帝からも要求され、有事法制などが具体的テーマになる。集団的自衛権は最大の問題であり、日米帝の中国・朝鮮侵略戦争体制の構築の問題である。有事法制については、小泉は九月にも国会に中間報告を出し、来年の通常国会に法案提出という早いテンポで攻撃を構えている。
 沖縄については、米帝は対中国・対朝鮮の戦争体制づくりという軍事戦略に沿って新たに動き始めている。日帝政府は六月八日の普天間代替施設協議会で、二千六百bの巨大基地(三工法八案)という案を打ち出した。これはヘリ基地ではなく戦闘攻撃機が発着できる岩国基地、厚木基地なみの巨大基地である。またアメリカのランド研究所は台湾有事に沖縄・宮古の下地島を飛行場として使用することを提案している。
 日米帝がアジアの侵略戦争に向かって沖縄基地をさらに強化する策動を断固粉砕しなければならない。小泉訪米を阻止しよう。
 六月十四日、教育改革関連三法案が衆院本会議で一部「修正」と付帯決議が加えられて通過した。この修正案に民主党は賛成した。それは連合、日教組が賛成したということだ。まさしく反階級的裏切り行為だ。一部「修正」とは「奉仕活動」に「ボランティア活動など」の文言を付け加えたもの、付帯決議は「教育委員会や校長が恣意(しい)的に教職員を免職しないよう、国が監督する」というもので、なんら「修正」でも「制約」でもない。
 十九日から参院で審議が始まった。全力で三法案阻止の闘争に決起しよう。
 また、公共事業と軍事基地のための土地収用を目的として、労働者人民の抵抗権を圧殺する土地収用法改悪案が、六月十五日、衆院を通過し、参院に送られた。土地収用法改悪案の参院成立阻止へ決起しよう。
 「つくる会」教科書の七月採択阻止の闘争はいよいよ重大な局面に入った。六月十一、十二日、「つくる会」教科書の検定合格白紙撤回、採択阻止の国際連帯行動が闘われた。この闘いと連帯して杉並では、六月十三日の区議会闘争で、けしば区議が統一協会の大蔵雄之助の教育委員罷免(ひめん)を要求して闘いぬいた。杉並は小泉・石原・山田(区長)の採択攻撃の最大焦点である。「つくる会」教科書の七月採択絶対阻止のために闘おう。

 三里塚が決戦

 さらに六月十六日、日帝・空港公団と空警機動隊は、暫定滑走路予定地南端に位置する東峰神社を襲撃し、入り口の道路を封鎖、東峰神社の財産である神社の立ち木十九本を根元から伐採するというとんでもない暴挙を行った。
 来年五月の暫定滑走路供用を何がなんでも強行するため、神社の法的所有関係さえ無視し、ひたすら反革命暴力に出てきたのだ。
 急を聞き、かけつけた反対同盟と現地支援勢力は約二時間の伐採阻止行動を実力で闘い抜いた。反対同盟事務局次長の萩原進さんは自宅からトラクターを持ち出し、東峰十字路の機動隊の検問を突破し権力の阻止線に激突した。大勢の機動隊と激烈に闘い、そこに反対同盟員がかけつけ機動隊との実力闘争となった。この中で、機動隊は不当にも萩原さんを逮捕した。
 これは反対同盟の闘いに追い詰められた公団の暴挙である。東峰神社の立ち木を伐採する権利など公団にはひとかけらもない。公団もそれを認識し、「伐採には部落の同意書取りが必要」との認識を東峰部落側に示していた。しかし、反対同盟がある限り、そんな同意書が取れるわけがない。取れなければ暫定滑走路は永遠にできない。そこから出たきわめて卑劣で言語道断の権力犯罪である。
 翌日奪還された萩原さんは「公団は違法に訴えなければ立ち木を切れなかった。平行滑走路二千五百bはこれで終わりだ」と断固たる報復を宣言した。
 直ちに三里塚現地にかけつけ、立ち木伐採の強盗行為を弾劾し、暫定滑走路阻止の闘いに決起しよう。萩原さんと反対同盟の闘いに連帯し、七・一五現地闘争に立とう。
 国鉄闘争は五・三〇集会の大成功によって新たな地平が完全に切り開かれた。「JRの不当労働行為は許さない! 国労闘争団共闘会議(準)」が結成された。三千人の労働者・市民が結集し、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団」を支援する不抜の陣形が築かれた。四党合意から一年目のこの日、全参加者が、権力・資本に屈服した国労本部を許さず、JRの不当労働行為をあくまで追及し、人間の尊厳をかけてトコトン闘い抜く決意をうち固めた。国鉄闘争と日本労働運動の新たな歴史的一歩が切り開かれた。
 国労代議員選挙と八月国労大会を、国労の階級的再生をかけて闘おう。

 参院選闘争へ

 革共同は、けしば候補を先頭に、危機にあえぐ日帝の小泉反革命打倒へ全力の決起をかちとり、蜂起戦をやりぬき、日帝・小泉政権打倒への決定的な前進を切り開いた。この六月都議選決戦の地平を引き継ぎ、七月参院選闘争にさらに決起しよう。小泉反革命打倒へ、戦争準備に突き進む米・日帝国主義と対決して、猛然と闘いぬこう。
 このただ中で機関紙の大幅拡大、党勢倍増を達成しよう。夏期一時金カンパ闘争に全力決起しよう。

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週刊『前進』(2011号1面2)

小泉反革命うち破る熱烈な夏期カンパを

 全同志のみなさん! 『前進』読者・支持者のみなさん!
 私たちは、都議選決戦の全力の激闘をとおして小泉超反動政権とファシスト石原都政に真っ向から対決し、危機にあえぐ日帝の大資本救済と戦争国家づくりの大攻撃と闘いぬいてきました。この闘いはこれから幾年もの規模をもって闘われる日本とアジア|世界の労働者階級人民の未来を左右する巨大な歴史的決戦の始まりです。その闘いの火ぶたは切って落とされたのです。
 小泉のいう「聖域なき構造改革」とは、日帝の体制的危機、自民党による戦後的な階級支配の制度と手法の行き詰まりの凶暴な打開ということであり、恐慌・不況の激化、倒産のあらし、リストラ・大失業、社会保障の解体、大増税以外の何ものでもありません。その目指すところは一点、大資本、金融独占資本の救済と戦争のできる国家体制の形成ということです。
 そのことを如実に示すものは、中曽根|小泉|石原ラインの形成であり、彼らを先頭に日帝支配階級は今や公然と改憲、集団的自衛権行使を叫ぶだけでなく、中国や朝鮮民主主義人民共和国への戦争挑発的な言動を振りまき、アジア人民の批判を蹴って侵略戦争賛美の教科書の採択を画策しています。その一方で、「痛みを伴う」改革などと称して、銀行資本など大資本を救済するために、中小企業の倒産などで新たに百三十万人の失業者が出るといわれる「不良債権処理」と銀行への税金の一層の投入、さらには郵政の民営化を画策しています。
 日本が帝国主義の体制であることによって生じている「危機」なるものは、その体制を続けようとする限り、いかなる「改革」によっても解決することはありません。
 むしろその帝国主義的な「解決」策は、民主主義的諸権利を奪い取り、大リストラと賃下げで極限的に労働者人民に犠牲を集中し、ついには「勢力圏」争いで他国への侵略戦争に進み、その果てに帝国主義間の戦争を引き起こすまったく絶望的なものです。二十世紀においてそれは二度にわたって繰り返されたことです。帝国主義はいまや三度目のその道に進みつつあります。
 同志のみなさん! 読者・支持者のみなさん!
 このような時代の動向の中で、小泉反革命との全面対決は、労働者階級人民のまさに死活のかかった課題です。都議選における激闘をさらに幾倍も上回る歴史的な大衆的な怒りの闘いのときがきています。
 私たち革共同は、さらに参院選決戦を小泉打倒へと闘いぬき、その課題に全身全霊を注ぎ込んで挑戦し、労働者人民の未来をここから必ずこじ開けることを決意しています。その勝利のために、夏期一時金のカンパを心からお願いします。

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週刊『前進』(2011号1面3)

 三里塚 立ち木伐採に怒り爆発

 反対同盟 萩原事務局次長先頭に大反撃

写真 公団職員とガードマンの阻止線に肉薄し,立ち木伐採に抗議する萩原進さん(手前中央)ら地元農民。直後に萩原さんが不当にも逮捕された(6月16日 東峰)
 空港公団と空警機動隊は六月十六日十二時半、暫定滑走路予定地南端に位置する東峰神社を急襲して入り口の道路を封鎖、東峰部落の財産である神社の立ち木十九本を根元から切り倒すという、断じて許すことのできない暴挙を強行した。来年五月の暫定滑走路供用をごり押しするため、神社の法的所有関係をも完全に踏み破り、むきだしの暴力的手段に訴えてきたのである。これに対して、反対同盟と支援の激しい怒りの実力阻止行動がたたきつけられた。(関連記事5面
 権力はこの攻防で、東峰神社の権利関係人である反対同盟の萩原進事務局次長(東峰部落)の立ち入りを妨害したうえ、まったく不当にも逮捕したが、反対同盟の断固たる抗議の闘いで翌日奪還した。
 暫定滑走路建設の無法ぶりはここに極まった。北原鉱治事務局長は「権力がここまで無法を働いた以上、あらゆる手段で反撃を」と徹底的な反撃を宣言した。

 権力・公団の阻止線と激突

 十二時半ころ、急報を聞いて反対同盟と現地支援勢力は直ちに現場にかけつけた。神社に通ずる道路の入り口を封鎖する機動隊の検問を突破、公団職員とガードマン、私服警官ら約百人による阻止線に激しくつめ寄った。数十b先の神社では大型クレーン数台が立ち木をつり上げ、切り倒す作業を開始したところだ。
 萩原進さんら東峰区住民らが激しく詰め寄る。
 「いったい何のまねだ! 神社は部落の財産だぞ! 通せ!」「公団職員が何の権限で道路を封鎖するのか言ってみろ!」
 反対同盟の北原事務局長がトラメガをもって阻止線に迫る。「道をあけなさい。おまえたちの行為は泥棒だ!」
 市東孝雄さん、鈴木幸司さんら反対同盟員が阻止線に食らいついて激しい抗議をくり返す。さらに婦人行動隊長の小林なつさん、鈴木謙太郎さん、加代子さん夫婦、三浦五郎さん、伊藤信晴さんらも続々と駆けつけて阻止線に突入した。
 権力、公団との激しい攻防が続く中、県道入り口付近から機動隊のわめき声が聞こえた。萩原進さんが自宅からトラクターを持ち出し東峰十字路の機動隊の検問を突破、現場の阻止線に向かってきたのだ。鉄製の大きな車両どめにぶつかる金属音が聞こえた。
 見ると大勢の機動隊が寄ってたかってトラクターの運転席に殺到し、萩原さんを引きずり下ろそうとしている。公団の阻止線でがんばっていた反対同盟員が駆けつけ、今度は機動隊との激しい乱闘となった。
 「逮捕、逮捕!」「なにやってんだ、逮捕しろ!」
 機動隊の現場隊長があわてふためき、怒鳴った。萩原進さんを引きずりおろして逮捕しようとする機動隊。これを阻止しようとする反対同盟員のつかみ合いの乱闘。大勢の機動隊の下敷きになって押さえられている同盟員もいた。ついに萩原さんが機動隊車両の中に押し込められた。
 「不当逮捕を許さないぞ!」「機動隊はただちに萩原さんを解放しろ!」
 反対同盟の宣伝カーから抗議の大音響が東峰一帯に響き渡った。

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週刊『前進』(2011号2面1)

国労定期大会へ決戦態勢築き闘争団切り捨て策動うち砕け
 5・30集会の地平打ち固め前進を

 五月三十日の「JRの不当労働行為は許さない! 国労闘争団共闘会議(準)結成集会」は、日比谷公会堂にあふれる三千人の大結集で、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団」を支援する不抜の陣形が首都に形成されたことを感動的に示した。一・二七国労続開大会の大反動を打ち返し、ついに国鉄闘争と国労の再生へ歴史的な第一歩を踏み出したのである。この五・三〇集会の画期的な成功に大打撃を受け追いつめられた日帝国家権力、JR資本、JR総連カクマル、そして国労本部は、「JR会社法改正」―JR完全民営化を機に千四十七人闘争を解体する策動を強めている。今国会会期末の六月二十九日までにも「解決案」=ゼロ回答を出し、一気に闘争終結―闘争団切り捨てに踏み込もうとしているのだ。今夏の国労定期全国大会に向けて、国鉄労働運動史上、いや日本労働運動史上最大最高の決戦に突入したのである。五・三〇集会で築かれた陣形を打ち固め、定期大会に向けた決戦態勢を築こう。

 闘う闘争団、JR本体、支援の大合流実現した5・30集会

 まず、五・三〇集会の画期的地平と意義についてはっきりさせたい。
 第一に、一・二七国労続開大会に機動隊を導入して四党合意受諾を強行させた国家権力による国労解体攻撃をはね返し、闘う闘争団を中軸とする国労の階級的再生をめざす陣形を形成したことである。
 闘う闘争団・家族は、国労本部の制動を打ち破って「解雇撤回・JR復帰」まで闘う意志をはっきりと示したのだ。
 集会の大結集と高揚は、闘う闘争団・家族に不動の確信を与えている。国鉄闘争が「人間の尊厳をかけた闘い」であり、これからますます発展していく闘いであることが、衆院議員の川田悦子さんの講演や、音威子府闘争団家族の藤保美年子さんの発言をとおして鮮明になった。
 闘う闘争団は、九月闘争団共闘会議結成を打ち出し、定期大会決戦に向かって総決起している。この力は必ず千四十七人総体の合流・決起へと結びついていく。
 第二に、東京地本を中心にJR本体の国労組合員が五百人の規模で決起したことだ。現場の国労組合員は、第二の分割・民営化攻撃への怒りに燃えている。JR本体の決起は、国労を再生させようとするエネルギーが内側から成熟しつつあることを示すものだ。
 第三に、首都の闘う労働者の総決起がつくり出されたことである。都労連の動員指令、都職労、東京清掃などの組織決定による参加、さらに首都の闘う労働者・市民の総結集は、「首都圏は『闘う国労闘争団』支持に決まった」(「闘う国労闘争団ニュース」第五号)ことを鮮明にした。
 首都の労働者は、国鉄闘争をわがことのように感じ、激しい危機感と怒りをもって立ち上がり始めたのだ。闘う闘争団のもとに、首都の闘う労働者の分厚い支援陣形が形成されたことは、小泉政権、石原都政のリストラ攻撃との闘い、何よりも国鉄闘争そのものにとって決定的である。
 第四に、卑劣な妨害を繰り広げた国労本部、チャレンジ一派などに大打撃を強制したことである。
 国労本部は、「解決の妨害者の集会」などと言って露骨に敵対し、特にチャレンジ一派は「中核派の集会だから行くな」というデマ宣伝のメールを講演者に送りつけた。
 五・三〇集会に対抗して国労本部が開いた「六・七中央総決起集会」は、東京地本の「根こそぎ結集」のかけ声にもかかわらず、日本教育会館にわずか二百人しか集まらない惨憺(さんたん)たる集会であった。
 高嶋委員長は五・三〇集会について一言も触れられず、中里中央共闘議長は「四党合意は国労の努力と闘争団の苦労が渾然(こんぜん)一体となってつくりだしたもの」「唯一の当事者は高嶋委員長以下の国労だ」などと、とんでもない発言を行った。さらに宮里弁護士は、「四党合意を受け入れ、『JRに法的責任がない』ことを認めても不当労働行為を認めたことにはならない」などと「四党合意による解決」を公然と主張した。
 五・三〇集会の大成功と六・七集会の惨状は、誰が闘う者かを鮮明にさせた。
 これは、国鉄闘争と日本労働運動の反転攻勢の時が来たことを告げ知らせている。動労千葉の百二十時間の春闘ストライキ闘争から五・三〇集会の大成功に至る大前進は、国鉄闘争の歯車が反動から攻勢へと大きく反転し始めたことを示した。闘う闘争団のもとに、大資本攻勢に怒る労働者階級の分厚い支援陣形が形成され、これにJR本体の決起が合流しつつあることは実に偉大なことである。まさに五・三〇集会の大成功は、昨年七・一の演壇占拠の闘いに比すべき、否、それを超える画期的転換点になったのである。
 この地平を国労と全労働者階級に押し広げ、この道筋をさらに突き進むことを訴えたい。

 JR完全民営化を機に国鉄闘争解体攻撃を強める権力

 このような国鉄闘争の反転攻勢に対して、日帝国家権力とJR資本は、JR完全民営化―第二の分割・民営化攻撃による国鉄闘争解体攻撃を激化させている。
 六月十五日、参議院本会議において「JR会社法一部改正案」=完全民営化法案が可決・成立した。これは、東日本、西日本、東海のJR本州三社の政府保有株をすべて放出し、完全民営化する法律である。同法は秋に施行され、全株放出は来年になる。
 マスコミは、これをもって「国鉄改革は総仕上げに入った」と宣伝している。しかし、三島・貨物の四社は慢性的赤字経営で株上場の展望すら示せない。膨大な国鉄長期債務は、利子の支払いを決めただけで元金返済は先送りされている。安全問題も深刻化の一途だ。資本とカクマルの癒着・結託体制は、その矛盾を噴出させ、JR体制は泥沼的危機に陥っている。何よりも「千四十七人問題」は未解決のままである。
 完全民営化法成立は、こうした問題を押し隠し、ただただ「国鉄分割・民営化は成功した」という仮構をデッチあげるためにのみ強行されたのだ。
 日帝は完全民営化法成立を見据え、昨年五月三十日の四党合意提示以来、ILOへの反動的工作によって第二次反動勧告を引き出し、本州採用差別事件と北海道・九州採用差別事件の高裁反動判決を下した。さらに、一・二七国労大会には機動隊まで動員した。
 しかし、そんなことでは国鉄闘争をつぶせない。国鉄闘争は今や、大リストラ、大量首切り攻撃を全産業的に推進する小泉政権の「構造改革」の前に立ちはだかり、「小泉改革」を大破産に追いやる闘いとなって大きく発展しようとしている。だからこそ小泉政権は、「千四十七人問題の解決」=国鉄闘争解体へとなりふり構わず突進しようとしているのである。
 JR資本も同じである。完全民営化とは、二九年型世界恐慌の切迫下で、国際競争に勝ち抜く民間企業として生き残っていくために、むき出しの資本の論理によってJRのあり方を根本から変えるものだ。そのためには千四十七人問題は是が非でも片づけておかなければならない。そこから第二の分割・民営化攻撃が不可避となっている。
 第二の分割・民営化攻撃とは、完全民営化をテコに、日経連労問研報告路線に沿って、JR資本が新たに資本攻勢の最先頭に立とうという攻撃だ。その核心には国鉄闘争の解体が据えられている。だからこそ、危機に立つ松崎・JR総連カクマルを再編的に取り込んで、資本の先兵にしているのである。
 JR東日本の「ニューフロンテイア21」はその典型だ。それは、「シニア雇用制度」と保守部門の全面外注化を柱に、一万人以上の人員削減を図る大合理化計画である。これらの攻撃は単なる合理化ではない。国鉄労働運動解体を狙った実に悪らつな攻撃である。
 メンテナンス再構築は、設備部門の業務を全面外注化し、三千人を削減する攻撃だ。この計画では、二千人が出向に出され、千人が「余力」とされ、新たな「人活センター」送りが狙われている。設備部門はほとんどが国労職場であり、まさに国労を狙い撃ちにした攻撃だ。
 「シニア制度」は年金改悪を逆手にとり「再雇用」にかこつけて、熟練労働者を三分の一以下の低賃金でこき使うというものだ。しかも全面外注化攻撃と抱き合せとなっており、日経連の「総額人件費削減」攻撃そのものである。またこの制度は、組合側に合理化促進の努力義務を課し、試験制度によって組合差別の組織破壊をも狙っている。
 さらに、安全を一層破壊する攻撃である。今年三月十七日の東海道本線鶴見駅構内での貨物列車脱線事故が示したように、今や発注元であるJRは責任をすべて発注先に負わせて平然としている。全面外注化で、さらに安全は崩壊する。
 この大攻撃に、JR総連カクマルは「効率化推進」を掲げて全面協力している。しかし、この攻撃はJRで働く労働者に耐え難い労働を強制し、新たな憤激を生み出す。特に、JR本体の国労組合員の怒りの決起のバネになり、闘争団とJR本体の決起と合流を生み出す力になっていく。
 この決起を抑え込むためにも、国家権力とJR資本は、千四十七人闘争の解体に全力を挙げているのだ。

 「一発回答」受諾―闘争終結狙う高嶋―寺内執行部打倒へ

 だからこそ、日帝国家権力は小泉政権のもとで、あくまでも四党合意に基づく「ゼロ解決」を狙い、四党協議をとおして国労本部の一層の屈服を迫っているのである。
 自民党・甘利は、五月十四日の第三回四党協議において、「@不採用問題を条件闘争に持ち込むな、A四党合意はあくまで『人道的解決』だ、B最高裁判決までがタイムリミットだ」「国労側がこうしたことを理解しなければ具体的交渉は進まない」「今国会で完全民営化法案が通れば、JRが交渉の舞台に上がるのは困難だろう」と社民党に迫った。甘利は、国労執行部に対して゛早く闘う闘争団を切れ。解決案は一発回答であり、解決交渉はない。これがダメなら終わりだ″と恫喝しているのだ。高嶋―寺内執行部は、これを受け入れることを内々に伝えたと言われている。
 六月十五日付「国鉄新聞」に「二〇〇一年度運動方針(第一次草案)」が出されたが、スローガンや闘いの基調、闘いの目標、「政治の場で政府の責任での解決を迫り、゛解決要求″の前進をめざす闘い」などが「未稿」のままだ。しかも、八月末とされていた大会日程もいまだに決定されていない。
 高嶋―寺内執行部は、なりふり構わず四党合意にしがみつき、六月中にも「解決案」なるものを出させ、闘争団と国労全体に有無を言わせずのませることを狙っている。さらに、宮坂「補強五項目」による国労の自己解体―JR連合合流路線を一気に全面化させようとしているのだ。
 したがって、今夏の国労全国大会は、国鉄闘争と日本労働運動の命運を決する大決戦である。
 この決戦に勝利するための課題は何か。
 第一に、闘争団を切り捨て、国鉄闘争の幕引きを狙う高嶋―寺内執行部打倒、闘う執行部樹立、闘う国労の再生をめざして総決起することである。
 この間の闘う闘争団に対する「解決交渉の妨害者」なる統制処分の策動や、「ILO勧告に基づく解決を求める百万署名」の推進は、闘う闘争団を切り捨てて国鉄闘争の幕引きを図る地ならしである。
 チャレンジ一派と日共・革同一派は、全国大会代議員の三分の二を押さえるために必死の策動を開始している。全国大会で闘争団を切り捨て、国鉄闘争の幕を引くために分裂も辞さない覚悟なのだ。
 もはやあいまいさは許されない。闘争団切り捨てを粉砕し、高嶋―寺内執行部打倒、闘う執行部樹立へ全力で総決起しよう。

 チャレンジのあがき粉砕を

 第二に、追いつめられたチャレンジ一派、革同一派、酒田東京地本委員長らの最後のあがきと対決し、徹底的に粉砕することだ。
 チャレンジと日共・革同一派は完全に一体化した。さらに、これに一・二七国労大会での機動隊導入の指揮をとった酒田東京地本委員長らが加わっている。
 特にチャレンジ一派は今、「国鉄闘争に勝利し改良闘争を再構築しよう――『党員協(同志会)』再建に全力をあげよう」と題するN論文や、『月刊社会主義』五月号の山田あつし論文などで意志統一し、必死の形相で中央突破を図ろうとあがいている。
 特に、N論文を徹底的に弾劾しなければならない。Nは、「闘争団は負の遺産。国労運動のアキレス腱」(九四年今井文書)とする考えから「四党合意反対派」を罵倒(ばとう)し、こんな事態になったのは「かつての思想」にとらわれて「まだ分割民営化反対方針から抜け出ていなかったからだ」としている。
 そして「現在の事態は本当に困難な事態ではない。本当の困難は『出口』の大会であり」「反対派の一部は、交渉がこれから始まろうというのに今の段階から、『出口の大会での徹底抗戦』を標榜(ひょうぼう)しているのが現実である。次期大会には文字通り国労の組織の将来がかかっている」「党員協をこのまま維持することは何の意味ももたない」と結論し、旧社会党党員協の分裂・再編を行ってでも、夏の全国大会で闘争団切り捨てを強行することを宣言している。
 今こそチャレンジの絶望的あがきを粉砕し、闘争団切り捨てを打ち砕こう。

 「会長辞任」の松崎追撃せよ

 第三に、一層の危機に陥った松崎・JR総連カクマル打倒へ総決起することだ。
 六月十七―十九日のJR東労組大会において、松崎が会長を辞任し、「顧問」に就任することが決定された。黒田・カクマルと手を切った松崎は、「JR総連のカクマル支配」の追及をかわし、JR資本の懐に飛び込んで延命しようと必死であがいているのだ。
 だが、松崎の延命策動は、第二の分割・民営化を貫徹する以外に成り立たない。だから、松崎・JR総連も、国鉄闘争―千四十七人闘争の解体に全力を挙げようとしているのだ。
 したがって、松崎・JR総連を解体する道は、千四十七人闘争を軸にして、ニューフロンティア21と闘いぬくことである。そして、真っ向からJR総連カクマル打倒の組織攻防戦をやりぬくことである。
 第四に、四党合意反対労働委員会闘争の発展・拡大をかちとることである。
 昨年八月以来、闘争団員を始めとする国労組合員が、四党合意は不当労働行為だとして各地労委に、自民党、運輸省、JR各社、鉄建公団(国鉄清算事業団)などを相手に救済を申し立てた。審問が開始された大阪、福岡、千葉では、四党合意の不当労働行為性を全面的に暴き出す闘いが始まっている。一方、東京都労委は四月十七日、審問を拒否して申し立て却下の攻撃を加えてきた。申立人は中労委への再審査を申し立て、さらなる闘いに立ち上がっている。
 この闘いを闘争団とJR本体の共同闘争として推進し、「支援する会」の拡大を強力につくり出さなければならない。
 人事大会であることも含めて夏の定期全国大会はまさに大決戦である。正面激突は不可避だ。まなじりを決して決起し、四党合意粉砕、闘う国労の再生に向けて闘う代議員を送り出そう。全国大会決戦に攻め上ろう。

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週刊『前進』(2011号2面2)

教育改革3法案阻止せよ 民主党の率先協力を許すな

 教育改革関連三法案(地方教育行政法、学校教育法、社会教育法の改悪案)の参院文教科学委員会における審議が六月十九日から始まり、闘いは重大局面を迎えた。また国立学校設置法(参院先議)は一日に参院を通過、二十日の衆院文部科学委員会で全会一致で可決された。
 教育関連三法案とは、@奉仕活動の強制(学校教育法、社会教育法改悪)、A「問題児童の出席停止措置」(学校教育法改悪)、B「不適格教員」免職制度(地教行法改悪)、C公立高校の通学区域弾力化や大学入学年齢制限の撤廃、習熟度別学習の推進など(地教行法、学校教育法改悪)による差別・選別と能力主義教育の強化である。国立学校設置法改悪は、国立大学の組織編成を弾力化し、大学間・学生間の競争をさらにあおるものである。
 教育関連法成立へ、許しがたいことに民主党が率先してお先棒を担いでいる。
 衆院において民主党は、学校教育法改悪案、社会教育法改悪案の一部修正と、地教行法と学校教育法改悪案の付帯決議を求め、与党三党が応じたことをもって賛成に回り、そのため十三日の文部科学委員会、十四日の本会議ともに圧倒的賛成で可決されたのだ。
 修正と付帯決議の中身自体が、本当に許しがたい。
 まず奉仕活動の強制について。社会教育法改悪案の修正では、各市町村教委が「社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励」を行うという条項に、「ボランティア活動など」の一言をつけ加えた。学校教育法改悪案も「小学校においては……社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努める」という条項に、同じく「ボランティア活動など」と加えた。
 日帝の奉仕活動強制の目的は、愛国心教育と一体で「国への奉仕」をたたき込むことにある。その本質は「ボランティア活動」という一言を加えても何一つ変わらない。逆に「ボランティア」という言葉で奉仕活動を積極推進するなど、まったく犯罪的な行為だ。
 また地教行法改悪による「不適格教員」免職制度については、付帯決議で「政府は……学校長や教育委員会による恣意(しい)的な運用が行われることのないように……適切な指導、助言を行う」と記した。なんと政府に対し、「指導、助言」を求めているのだ。
 学校現場にはこの間、「日の丸・君が代」強制、反撃に立ち上がった教育労働者への処分の乱発、教育労働者を教育現場から引きはがして研修所に送り、退職に追い込むなどの攻撃が激発している。これらはすべて日帝・文科省(文部省)の指導のもとに行われてきたものだ。とりわけ広島への集中的な攻撃は文部省「是正指導」によるものであり、文部省から送り込まれた辰野教育長が直接指揮してきたものだ。これらの攻撃の最大の元凶である政府に対して「指導、助言」を求めることが歯止めになるとするこんなペテンは、絶対に許せない。
 「問題児童」出席停止や公立高校の通学区域弾力化の付帯決議もまったくペテンに満ちたものだ。
 教育関連法案を推進する民主党はまさに労働者の敵だ。またこれらの修正に対して「政府・与党は法案の修正に応じざる得なくなりました」と評価を与え、参院選で民主党を推す日教組本部も同罪だ。
 「不適格教員」免職攻撃は、「つくる会」教科書攻撃と一体だ。「国のために命を捧げる」子ども・青年をつくり出すためには、戦争賛美の教科書に「魂」を吹き込んで教える教師が必要なのだ。「教え子を再び戦場に送るな」を掲げ闘ってきた日教組運動を根底的に解体し、「教え子を戦場に送る聖職教師」をつくり出すことが、「教育改革」の核心的狙いである。
 日帝・小泉は、「教育改革」―教育基本法改悪を、改憲へ向けた最大の突破口として推し進めている。二十九日の会期末まであとわずかだ。教育関連法案の成立阻止へ、教育労働者を先頭に全力で闘いぬこう。

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週刊『前進』(2011号2面3)

“教育関連法廃案へ” 教育署名3万筆を追加提出

 六月十九日、多摩教組、アイム89・東京教育労働者組合、東京都学校ユニオンが呼びかけ、「広島からの呼びかけに応える教育署名実行委員会・関東」が共催した緊急国会行動と署名提出行動が、約七十人の参加で行われました。教育労働者や有識者らでつくる「教育基本法改悪と教育関連六法案に反対する署名実行委員会」は、五月二十九日の院内集会に続き第二次分の三万四百十五筆を参院議長あてに提出し、提出した署名は合わせて六万二千六百二筆になりました。
 この日、参院文教科学委員会において教育関連三法案(地方教育行政法と学校教育法、社会教育法の改悪案)の審議が始まりました。また国立大学設置法改悪案もすでに参院を通過し、衆院において審議が始まっています。いずれも政府は今国会中の成立を狙っています。
 教育関連法案廃案を求め、午後四時からは参院議員会館前に座り込んでアピールを行い(写真)、福島瑞穂議員、川田悦子議員も参加して発言しました。五時半からは参院議員面会所の中で集会を行い、島袋宗康議員、金子哲夫議員も参加し、広島県教組書記長と日本YWCAの方が代表して署名を提出しました。
 六月二十九日の会期末に向けて、教育関連法をめぐる闘いは正念場を迎えています。廃案へ最後まで頑張りましょう。 (投稿 K)

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週刊『前進』(2011号2面4)

国大協を100人が包囲 “国立大学独法化許さぬ”

 六月十二、十三日、「国立大学法人化」なる国立大学の独立行政法人化を承認しようとした国立大学協会総会に対し、「国立大学の独法化阻止全国ネットワーク」などの呼びかけで、会場前抗議行動が百人にものぼる学生・教職員の結集で闘いぬかれました。東北大学や富山大学の学生自治会も、この闘いを先頭で闘いぬきました。
 国立大学の独立行政法人化とは、国家が研究の計画、目標、評価の一切を掌握し、教育を国家統制のもとに置こうとする、まさしく戦前の「帝国大学」の復活そのものです。これは、現在小泉反動政権の進めている侵略戦争国家化と完全に一体の攻撃です。
 戦前の国策遂行大学への痛烈な反省として生まれた戦後の大学自治は「反戦・平和」の旗を掲げ、その中で六〇年安保闘争、七〇年安保・沖縄闘争を頂点に偉大な闘いを生み出してきました。しかし国立大学協会は、「国立大学法人」なるペテン的な「妥協案」によって、実質的に独法化に承認を与えるという度し難い裏切り行為を働いているのです。国大協が言う国立大学法人化案は、形式上は独法化を批判しつつも実践的には独法化の核心(中期目標―中期計画、評価など)を大筋認めており、大学自治にとっての自殺行為にほかなりません。学生―教職員の主体性はすべて圧殺されてしまいます。
 会場の学士会館前に全国から結集した学生、教授、職組は、密室の中で独法化を進めようとする国大協に対して抗議の声をたたきつけました。しかし、許しがたいことに国大協は会場前に公安刑事を呼び入れて反対勢力の排除を要請し、傍聴も認めようとはしませんでした。しかも、教授の連名による公開質問状に対しても無視を決め込み、完全に開き直ったのです。当事者無視を貫くこの姿勢がまさに独法化後の大学の姿をはっきりと示しているではありませんか。国立大学法人化案を認めた国大協を許すことはできません。
 私たちは、二日間にわたって゛侵略戦争のための独法化反対!″゛学生は二度と侵略の銃を握らないぞ!″とシュプレヒコールをあげて闘いぬきました。
 その一方で、カクマル分子は数人がコソコソと会場前に現れ、「記念写真」を撮ったらすぐさま逃げ出すという恥ずべき姿をさらし、闘争破壊者としての姿をあらわにしました。
 独法化反対の闘いは大きな決戦を迎えています。会場前で示された怒りを全国に押し広げ、全国学園での自治破壊攻撃に反撃し、文部科学省・国大協を包囲する巨大な独法化反対運動をつくっていく決意です。また、国大協の裏切りが小泉反動政権の「改革」路線への屈服であることを弾劾し、独法化反対闘争を侵略戦争を止める闘いそのものとして闘っていきます。ともに闘いましょう!
 (東北大生 U)

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週刊『前進』(2011号3面1)

杉並 けしば候補が渾身の訴え 「小泉改革」との対決鮮明に
 必勝へ連日奮闘、声援と握手 区民が街頭で支持呼びかけ

 けしば誠一候補を推し立てた都議選決戦は、杉並区内各所で大反響を巻き起こしながら力強く進んでいる。「小泉改革との対決」「介護と福祉を取り戻そう」「『つくる会』教科書採択反対」など、けしば候補の訴えに区民の共感が広がり、握手をしていく人、手を振って激励する人など、かつてない支持が生まれている。介護保険廃止の運動、戦争を賛美する「つくる会」教科書の採択に反対する運動など住民の運動が、小泉反革命と真っ向対決する候補としてけしば候補を押し上げ、大きなうねりとなった。(六月二十日)
 けしば候補は告示以降、当選に向けて、連日全力で奮闘している。朝のおはようあいさつから、昼は宣伝カーが区内各地を駆けめぐり、あるいは商店街を回って支持を訴え、夕方は各駅頭で街頭宣伝を繰り広げ、夜は深夜まで勤め帰りの労働者に「ごくろうさま」のあいさつを全力で行って支持を訴えている。
 また区内各所で個人演説会や住民との懇談会なども持たれ、けしば候補の当選へ、住民の熱気が高まっている。
 けしば候補は街頭演説などの訴えの中で、真っ先に小泉改革反対をアピールした。「私たちの政治をこのまま小泉・自民党に委ねていたら、福祉は切り捨てられ、介護やさまざまな施策が切り捨てられ、一方では、大増税、大失業、果ては小泉さんが言っているような憲法九条を変えて戦争への道へと行ってしまう。本当に重大な政治の曲がり角に来ています」「小泉さんの言う改革は、改革どころかまさに改悪、小泉さんの言う不良債権の処理では、百三十万人以上が新たに失業する。また小泉さんの言う福祉構造改革とは、福祉の負担をみなさんに押しつける、本当に恐ろしい政治です」「銀行や危機に立つ大手ゼネコン、大企業を救済するために、みなさんに一層負担を強いる、改革ならぬ矛盾のしわ寄せなんです」
 他の候補が「小泉人気」を恐れて小泉改革と同じ立場で「改革」を競うか、あるいは何も言わないで逃げようとしている中で、けしば候補は真っ向から小泉改革との対決を訴える。
 またけしば候補は、介護保険に反対し「介護と福祉を権利として取り戻そう」と真っ向から訴えた。
 「介護保険制度が始まって高齢者は本当に大変になりました。介護が必要になっても、利用料の一割負担を払えなくては、利用ができない。これまで憲法で保障されてきた福祉として、権利として胸を張って要求できた介護が、介護サービスという商品に変わりました。お金がない人は介護が受けられません」
 また、「つくる会」教科書反対、「戦争を正しいと教える教科書を杉並の中学校で使わせてはならない」と熱烈に訴えた。
 「いま経済は大変です。石原さんや山田さんを始めとして、軍需産業でも興せば日本の経済が良くなるのではないかと考えている動きがあるのです。この戦争への流れを止める道は、この戦争を正しいと教える教科書をみなさんと一緒にストップすることです」

 全国から応援に

 このけしば候補の応援には、多くの区民とともに全国から闘う人びとが駆けつけている。十七日には、沖縄から名護新基地建設に反対して闘う住民の真志喜トミさんが駆けつけ、新基地建設反対を訴え、「平和を守るためにけしばさんを都議会に送りだして」とアピールした。
 広島からは、反戦被爆者の会の大槻泰生会長。大槻さんは十五日の出陣式から十七日までけしば候補とともに区民に訴えた。肉親をすべて亡くした自らの被爆体験を語り、「子や孫を守るために再び戦争を起こしてはならない」とけしば候補への支持を呼びかけた。
 十五日のけしば候補の第一声には決戦渦中の三里塚から反対同盟の北原鉱治事務局長、三浦五郎さん、鈴木謙太郎さんを始め、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、動労水戸の国分勝之委員長、動労千葉の滝口誠さん、婦人民主クラブ全国協の丹治孝子さん、三一書房労組の三角忠委員長などが応援に訪れた。
 こうした中で、けしば候補の訴えが区民の心をとらえ、支持と共感の輪が広がっている。支持者自身が自分の知り合いに声をかけ支持を訴える動きが広がっている。すでに自分の知り合いに声をかけ支持を獲得した支持者が、さらに名前は知らないが近所で話したことがあるという人にも声をかけるところまで運動が広がり、けしば候補の当選への勢いが日増しに強まっている。
 なんとしてもけしば候補の当選をかちとろうと、多くの区民がけしば候補の街頭演説に詰めかけている。

 住民の会が決起

 特に、けしば候補の推薦を決めた介護と福祉を要求する杉並住民の会の会員が、街頭宣伝の先頭に立って訴えている。「いま、年寄りが多くなったと言って厄介者扱いをされている。しかし、誰もが生きているんです。年寄りが社会の中心に座らなければならない」「介護保険は憲法違反。福祉切り捨ては許せない」と訴えている。介護と福祉を取り戻そうとするいのちの叫びだ。通りがかりの高齢者が「介護保険なんかいらない」とけしば候補と握手していく。

 教科書闘争から

 また子どもを持つ親や、沖縄出身の住民の決起が広がっている。特に元ひめゆり学徒隊であった区内在住の女性が「つくる会」教科書の採択に反対して闘いに決起し、「『つくる会』の教科書ではひめゆり部隊が勇敢に戦ったとして、強制動員されたことが書かれていない。最後は日本軍は私たちをガマから追い出したんです。奇跡的に生き残った。けしばさんを都議会に送り、世界の平和につながるように」と訴えて、けしば候補を応援した。

 女性たちの訴え

 さらに、けしば候補の応援に多くの女性たちが決起している。子どもの教育、親の介護、家事や仕事、本当に女性の思いを受けとめ、ともに歩む議員はけしば候補しかいないと、スーパーの前や商店街、住宅地など区内各地でビラを配り、大きな声で訴えている。女性を差別し、女性の権利を奪っている小泉政権と石原都政と真っ向から闘える議員はけしば候補しかいないと、支持を呼びかけている。

 労働者深夜まで

 けしば候補の応援には労組交流センターの労働者が連日決起している。勤務が終わった夕方から深夜にわたって駅頭でのビラまきを行い、けしば候補への支持を訴えている。こうした中で、小泉改革によるリストラ・首切り、大失業への労働者の怒りが広がり、確実にけしば候補への支持が広がっている。
 けしば候補の当選に向かって闘いは力強く進んでいる。都政を革新する会が地道に培ってきた力、運動が大きく広がり、一つになってけしば候補当選への大きなうねりとなっている。最終盤の闘いは必勝をかけた蜂起戦だ。

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週刊『前進』(2011号3面2)

警察の選挙妨害弾劾 周辺住民脅かし不当捜索
 けしば氏ら損賠を提訴 怒りの記者会見

 六月六日、警視庁は東京都杉並区上高井戸にある「都政を革新する会」上高井戸事務所に対して、長時間にわたるまったく違法不当な家宅捜索を強行した。これは今年に入って実に三度目の、まさに弾圧のための弾圧である。
 早朝六時過ぎ、二百人を超える警視庁公安刑事・機動隊員が事務所を包囲し、敷地内に乱入し、いきなりエンジンカッターを使って事務所の扉や壁を破壊して突入を試みるという暴挙を行った。
 捜索の口実は、事務所横のアパートに住んでいる法大生A君を、住んでいないのに住民票だけを置いているといいがかりをつけて逮捕した件と、二年前に起きた千葉県での三里塚ゲリラ戦となっている。だが、「都政を革新する会」は、ゲリラ戦とは一切関係ない。そのことは、権力もマスコミも百も承知である。
 警視庁は、都政を革新する会のけしば誠一候補の都議選活動を妨害することのみを狙って不当捜索を強行し、午前中いっぱい都革新の活動をできないようにしたのだ。
 日帝・警視庁は、都革新が戦闘的大衆運動の先頭で闘っていること、けしば候補が当選圏突入の勢いにあること、そしてもしけしば候補が当選したら日帝・小泉の超反動政治が重大な打撃を受けることに危機感を抱いて、今回の違法不当な家宅捜索を強行したのだ。そして、都革新とはなんの関係もない事件を口実にして、「都革新=過激派」「けしば=過激派」のキャンペーンを張りつつ、けしば候補から区民を離反させることを狙ってきたのである。
 そのために、捜索の時にテレビ局や新聞社を呼びつけておいて、ドアの破壊の場面などを撮影させたのである。マスコミは権力の意を受けて不当捜索のニュースを権力の発表どおりに報道し、とりわけ朝日新聞はこの日の夕刊に、警察がドアと壁を焼き切ろうとしている場面を三段のカラー写真入りでセンセーショナルに報道するという悪質な敵対的役割を果たした。
 だが、権力の思惑は完全にはずれた。多くの区民がこの露骨な選挙妨害に怒りの声を上げた。また、住民の迷惑も顧みずに交通を妨害し、多数の機動隊員でものものしく威嚇する捜索のやり方に怒って、周辺の住民は警察に抗議の電話を集中した。さらに、「弾圧に負けないで、けしばさん頑張って下さい」という激励の声を寄せた。

 権力の意のままマスコミに抗議

 直ちに怒りの反撃が開始された。けしば誠一候補は六月十三日、警視庁を管轄する東京都と石原知事を相手取り、゛この六・六捜索は、選挙妨害を意図したものであり、目に余る違法行為である″として損害賠償請求訴訟を起こした。
 そして都革新の長谷川英憲代表と後援会長、代理人の弁護士が東京地裁で記者会見を行い、権力の露骨な選挙妨害とマスコミの加担を厳しく弾劾した。
 また、都革新後援会は六月九日、朝日新聞社に対して、「権力の意図をそのまま体現した報道は、権力を監視するマスコミの社会的役割を放棄した自殺行為である」「到底容認することはできない」と抗議した。そして、警察に導かれて無断で事務所に立ち入って写真撮影したことへの謝罪文と、都革新の抗議アピール全文(別掲)の社会面掲載を要求した。

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週刊『前進』(2011号3面3)

抗議アピール

 都政を革新する会
  元都議会議員  長谷川ひでのり
  杉並区議会議員 けしば誠一
  杉並区議会議員 新城せつこ

 六月六日警視庁公安部は、都政を革新する会・上高井戸事務所に対する家宅捜索を行ないました。早朝六時過ぎに百人をこえる公安刑事・機動隊員が上高井戸事務所を包囲し、いきなりエンジン・カッターを用いて事務所の扉や壁を破壊する「襲撃」でした。事務所前を通学する児童にいたずらな恐怖を与え、周辺住民の静かな生活をめちゃくちゃにする行為でした。絶対に許せません。
 今回の家宅捜索は、事務所横の長谷川荘に住んでいる法政大生A君を、ここに住んでいないのに住民票だけを置いているといいがかりをつけて逮捕し、それを口実に行なったものです。現に住んでいる所と住民票の置いてある所が違っていることが「犯罪」なら、国会議員のほとんどは「犯罪者」です。A君は選挙ボランティアとして、都議選に向けたけしば誠一区議会議員の活動を手伝ってくれていました。そのA君を逮捕するばかりか、事務所を半日間も閉鎖させて活動を妨害したのです。しかも押収していった物品は、アジア各国から批判が集中している「つくる会」教科書の採択に反対するビラ、都議選に向けた政策宣伝のビラばかりです。そのうえに、政策宣伝資料作成に不可欠なパソコンまで押収していきました。
 これは選挙妨害を明確に意識して強行された家宅捜索であり、しかも警視庁公安部を指揮・監督しているのは石原慎太郎東京都知事です。六月二十四日投票日の都議選に立候補を予定しているけしば誠一区議会議員が、「石原都政とまっこう勝負」をメインに掲げて選挙に挑んでいる予定候補であることは、多くの新聞記事が明確に報道しています。ただひとり石原都政とまっこう勝負しているけしば誠一予定候補のみが、警視庁公安部=石原都知事によってこうした公選法違反の選挙妨害を強いられています。自分に対する一切の批判を許さない、石原都知事のファシストたるゆえんです。
 警視庁=石原都知事は押収品をただちに返還しなさい。警視庁=石原都知事は今回の家宅捜索が選挙妨害であったことを率直に認めて二度と繰り返さないことを誓い、公選法に違反した関係者を処分しなさい。なお、東京都ならびに杉並区選挙管理委員会は、公選法違反の事実についての調査と警視庁に対する警告を行なってください。
 二〇〇一年六月六日

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週刊『前進』(2011号3面4)

6・29小泉訪米阻止アピール
 集団的自衛権・改憲狙う

 小泉は国会が閉会する六月二十九日に羽田を出発、翌日ワシントン郊外のキャンプデービッドでブッシュ大統領と首脳会談を行う。
 今回の日米首脳会談の最大のテーマは、中国・朝鮮侵略戦争―アジアをめぐる戦略協議であり、ブッシュ政権の新軍事戦略への小泉の支持表明だ。同時に小泉は、この会談をもって集団的自衛権の行使やPKO参加五原則の見直し、有事立法制定、改憲攻撃を決定的に強めようとしている。
 これは実質的に朝鮮・中国―アジア侵略戦争に向けた断じて許せない戦争会談だ。闘うアジア人民、全世界人民と連帯し、小泉訪米阻止・日米首脳会談粉砕へ全力で決起しよう。
 ブッシュ政権は、ミサイル防衛計画とアジア重視戦略への転換(=二正面戦略の放棄)を柱に米軍戦略の包括的見直しを進めてきた。と同時に、中国を「戦略的敵国」として露骨な戦争挑発を行ってきた。北朝鮮に対しては「ならず者国家」「テロ支援国家」と決めつけ、南北首脳会談情勢を圧殺し、軍事的経済的締めつけを強化してきた。
 米帝は世界最強の核軍事力を武器に、中国・朝鮮侵略戦争を実際に行おうとしている。そしてこの戦争に日帝を組み込んで徹底的に動員し、アジアを米帝主導で軍事再編することで、中国スターリン主義の転覆・取り込みと、アジア勢力圏化をめぐる対日争闘戦に勝利しようとしているのだ。
 この米帝の対日戦略の最大のポイントは、昨年十月発表のアーミテージ現国務副長官らの「米国家戦略研究所日米関係特別報告」にあるように、日米安保同盟の決定的強化(=日帝の新軍事戦略への組み込み)と沖縄圧殺(=侵略最前線基地への再編・強化)だ。
 アーミテージら米政府高官は、その観点から、日米同盟の強化、新ガイドラインの実効性ある貫徹、集団的自衛権行使の容認、PKO参加五原則の見直しなどを日帝に要求してきた。
 これに対し、小泉政権は自民党の山崎拓幹事長らを先頭にこれに呼応する発言を行い、米帝の要求を改憲と戦争国家化への追い風にしてきた。日帝は米帝ブッシュの新軍事戦略に積極的に対応し、朝鮮・中国―アジア侵略戦争に対米対抗性をもって参戦しようとしている。ここに日帝が帝国主義として延命するための一切をかけているのだ。
 すでにこの間、与党三党幹事長や田中真紀子外相が訪米し、日米首脳会談への地ならしを進めてきた。
 六月一日、アーミテージは、山崎ら与党幹事長に対し「安全保障上、アジアでの最大の問題は中国だ」と、日米首脳会談で対中政策を主要議題の一つにすることを示した。山崎は訪米中、「国連平和維持軍(PKF)への参加凍結解除は秋の臨時国会にでもやりたい」と述べ、PKOでの武器使用を見直すべきだと語った。
 六月十七日の外相会談で田中は露骨に日米同盟基軸を確認し、「安全保障については、東アジアには不透明性、不確実性があり、欧州とは状況が違う。ミサイル防衛については、日本は(米国の立場を)理解」「共感する」と述べ、さらにミサイル防衛の共同研究に積極的な立場を明らかにした。これに対しパウエル国務長官は「日米関係はきわめて重要だ。日本の安全保障への取り組みを楽しみにしている」と応じた。日帝はミサイル防衛を支持し、配備と研究とをペテン的に区別することでこれを推進しようとしているのだ。
 六月二十二日の日米防衛首脳会談では、中谷防衛庁長官の側から中国軍増強に懸念を表し、これを北朝鮮の軍事動向とともに議題にする。小泉政権は中国・朝鮮侵略戦争を自らの戦争とする立場から戦争会談に臨もうとしているのだ。
 日米首脳会談では、安全保障分野などでの次官級戦略協議を発足させることで合意する。この協議は、アーミテージ国務副長官と加藤良三外務審議官が日米双方のトップを務め、中国や朝鮮半島などアジア情勢を分析し、軍事協力の調整を図るためのものだ。またミサイル防衛や沖縄の米軍基地問題も取り上げる。
 今回の首脳会談は、ブッシュ政権にとって、危機に立つミサイル防衛構想を援護、推進する重要な会談となる。ブッシュ政権はこの後、七月末をめどに米軍戦略の包括的見直しの最終案を策定し、四年ごとの国防計画見直し(QDR)に組み入れようとしている。
 もともとブッシュは、五月二十五日に「二十一世紀の国防戦略」演説を行い、新軍事戦略の概要を発表する予定であったが、議会や国防総省内部からの反発で具体的内容に踏み込めなかった。とりわけジェフォーズ上院議員の共和党からの離脱で民主党が上院で多数になり、各委員長ポストを民主党が握ることになったことは重大だった。外交委員長に就任したバイデン議員は「ミサイル防衛に巨費を投じるより北朝鮮と交渉した方が安上がりではないか」と批判した。またこの計画が世界の核戦力バランスを崩壊させる可能性を持つことから、世界各国から批判が噴出した。
 こうした中でブッシュ政権は、六月六日、北朝鮮に対する政策見直しの完了を発表し、北朝鮮との協議再開を表明した。だがその内容は、核・ミサイル・通常兵器削減の問題で北朝鮮の全面屈服を要求するというもので、新たな戦争情勢を生みだそうとする目的に貫かれたものだ。
 他方、ブッシュは六月十二〜十六日に欧州を歴訪し弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約改定を狙って米ロ首脳会談を行った。
 ブッシュは北大西洋条約機構(NATO)非公式首脳会議で演説し、ミサイル防衛をできるだけ早く配備する意向を表明、ロシアとのABM制限条約を「冷戦時代の産物」と呼び、同条約に代わる「二十一世紀の新たな安全保障の枠組み」を構築するよう訴えた。
 だがEU首脳会議は、米帝に対抗し、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)の枠組み強化を提案した。ロシアも「新たな戦略的枠組み」のための安保対話の開始では合意したが、ミサイル防衛については「軍拡競争を招く」と批判した。
 日米首脳会談は、ブッシュ政権の新軍事戦略を高く評価することで新たな核軍拡競争と帝国主義間争闘戦の軍事化を激化させるものだ。それは世界の戦争情勢を激しく促進する。
 小泉政権は、今回の訪米―日米首脳会談をステップに集団的自衛権の行使、有事立法・改憲、戦争へと本格的に突撃しようとしている。都議選―参院選決戦、国会闘争を全力で闘い、小泉訪米阻止の怒りのデモをたたきつけよう。

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週刊『前進』(2011号4面1)

グループ10万人削減と3割賃下げ NTT「新3ヵ年計画」阻止へ闘う力の結集を
 職場の憤激を8月大会へ NTT労組中央は資本の手先
 マル青労同電通委員会

 NTTの職場で働く全国の仲間の諸君! すべての闘う労働者の皆さん! 日帝・NTT資本は、NTT労組中央の全面的な屈服に助けられて、営業所の大規模な廃止を伴う二万七千人の首切り、数万人の強制配転と大幅な賃金引き下げを内容とする「中期事業計画」(二〇〇〇年から〇二年)の継続中に、それをはるかに上回る「NTTグループ三カ年経営計画」(新三カ年計画)を発表した。それは、NTT東西の六万人削減を始めとする、グループで十万人規模の大リストラ攻撃だ。まさにNTT労働者の生活どころか生存そのものを根底から破壊する全面的な大攻撃だ。怒りを飛び越えて戦慄(せんりつ)すら感じる内容だ。NTT資本はすでにこの計画を組合に提案し、八月下旬のNTT労組大会までの合意をめざすとしている。断じて許してはならない。怒りの決起で粉砕しよう。

 「人件費抑え競争力高める」と大合理化

 NTT社長・宮津は四月十六日の記者会見で、この新三カ年計画について「数万人規模の社員を転籍で賃金の低い新会社に移し、人件費を抑え、グループ全体の競争力を高める」「一定の年齢の人を対象にする」と明言した。この新三カ年計画の柱は、@光ファイバーの新会社の立ち上げ、A東西会社の徹底的なスリム化、具体的には東西会社の本体は「企画・戦略、設備構築、法人営業」に特化させ、「注文受付、設備保守、故障修理、地域密着業務は新会社に外部委託する」というものだ。
 「NTT東西地域会社が六万人もの社員を出向・転籍させる人員削減計画が、実際には東西の子会社『NTT−ME』グループ九社を巻き込んだ十万人規模の移籍となる大がかりなものであることが分かった」(五月十六日付産経新聞。東京新聞、信濃毎日新聞なども同様の報道)
 ところが、津田NTT労組委員長は、「この提案にある量定はともかくとしても……雇用を守ることを第一義にすれば、このような局面がいつかはわれわれの身のまわりに訪れるであろうことは、ある程度は覚悟していたと言うべきであろう」などと、ひとごとのように平然と語っている。
 NTT東西だけで六万人、MEなどを加えると十万人ものとてつもない規模の首切りが提案されている時に、「量定はともかくとして」とはなんという言い方だ! しかも大量の解雇提案を事実上認めておいて、何が「雇用を守ることを第一義にすれば」だ!
 要するに、全国の組合員に向かって、“いつかはこうなることは分かっていたでしょう、もう覚悟はできているでしょう゜と語っているのだ。こんな言動は絶対に許せない。
 NTT労働者の怒りは全国の職場に渦巻いている。この怒りが声となって噴出すれば必ず情勢を変えられる。NTT労組中央を打倒し、新三カ年計画を葬ることはできるのだ。
 NTT労組中央は、今やどこまでも日本帝国主義とNTT資本の忠実な手先となって、この「新三カ年計画」をNTT労働者にのませようとしている。
 NTT「新三カ年計画」は、今日の大恐慌情勢をなりふり構わない徹底した労働者の首切り・リストラでのりきろうとする日帝・小泉政権の「改革断行」攻撃の忠実な貫徹でもある。それは、「郵便新生ビジョン」=郵政民営化攻撃やJR東日本の「ニューフロンティア21」=第二の国鉄分割・民営化攻撃とも一体をなしている。小泉政権のもとで、間違いなく新たに数百万人の失業者を生み出す一連の大資本攻勢が始まっている。日帝は、日経連プロジェクト報告路線の全面的な貫徹に突進してきたのである。
 NTT労働者の階級的な怒りを解き放ち、「新三カ年計画」粉砕へと全力で闘わなければならない。

 「企業防衛のために首切りのめ」と強要

 絶対に許せないのは、NTT資本とNTT労組中央が一体となって、“厳しい情勢の中でNTTグループを守るために大首切り合理化をのんでくれ゜と労働者に迫っていることだ。
 NTT労組事務局長の白石は、「私たちが、この間最重要課題として取り組んできた」のは「会社法および事業法改正法案」であった、と言う(五月十二日付組合新聞『NTT労組』)。そして「この点、私たちにとって、電通審答申に盛り込まれた『毒素(NTTグループの解体のこと)』は、一応、回避できたものと受け止めています」と述べている。NTTグループ=企業を防衛するために、この首切り・大合理化攻撃をのめと言っているのだ。
 白石は、「(会社が)おかれた局面についての状況認識を論議の出発点にする」と、会社の言い分をそのまま繰り返している。
 NTT東日本会社がNTT労組に示した「NTT東日本の構造改革に向けた取り組みについて」という文書(以下「構造改革に向けた取り組みについて」)では、「情報通信をめぐる変化は想像をはるかに上回るスピードで進行しており、向こう三年間をNTT東日本グループの生き残りと新たな発展をかけた正念場であるとの認識のもと……将来にわたる経営基盤を確立させるため……NTT東日本の構造改革に断固たる姿勢をもって不退転の決意で取り組む」と言う。
 NTT労組中央は、こうした資本の意思を代弁し、今始まっている職場オルグでも、「厳しい状況」を振りかざして、この新三カ年計画を有無を言わさずNTT労働者に押しつけようとしているのだ。
 現在進行中の「中期事業計画」とさらにそれを大幅に上回る今回の「新三カ年計画」の関係について、NTT東日本会社は次のように説明している。
 「NTT東日本は、東日本経営協議会(二〇〇〇年九月十四日)に基づき、厳しい経営環境下において競争に勝ち抜き、市場における優位性を確立し情報流通分野の中核的企業として成長・発展していくため、平成一四年(二〇〇二年)度までの三年間において、設備投資、委託費を含む物件費の削減等コスト構造の転換を図り、併せて、料金の低廉化……市場ニーズに応えつつ、グループ一体となって『電話中心』から『情報流通』への事業構造の転換に取り組み、収益を確保・拡大し、将来にわたり安定した経営基盤の確立を図るため、各種経営改善施策を着実に実行してき」た(「構造改革に向けた取り組みについて」)と。
 NTT資本の延命がすべてなのだ。資本とNTT労組中央だけが生き残り、労働者に一切の犠牲を強制する新三カ年計画など絶対に認めるわけにはいかない。

 「転籍」の名で解雇と労働条件の引き下げ

 白石NTT労組事務局長は、「新三カ年計画」について「電話事業における顧客フロント業務、設備オペレーションなどの地域密着型業務の多くをアウトソーシングする」と説明している。つまり、現在NTT東日本およびME(NTTの業務を、要員も含めて別会社化した子会社。沖縄ではDO〔ドゥー〕と呼ばれている)各社などで実施している大半の業務は、別の会社をつくってそこに移すと言うのである。
 他方、NTT東会社の「構造改革のための更なる取り組みの実施に伴う労働条件諸制度の見直し等について」は、「新たに設置する県別子会社などに徹底した業務のアウトソースを行う」「NTT東日本における競争力強化等を図るため、抜本的アウトソーシングによるコストダウンを行う」、これに伴い「社員の雇用確保の観点から(!)……アウトソーシング会社への社員の移行を実施する」としている。
 言い換えると、NTT東西会社は、「企画戦略・グループマネジメント及びサービス開発、法人営業などの基本機能」、すなわちいわゆる本社的な機能だけにしてしまうということだ。NTT東西で六万人を減らすというのは、そういうことなのだ。
 今回提案された「新三カ年計画」の内容は、その合理化の規模、大きさ、労働条件破壊の悪らつさから言って、国鉄分割・民営化をも上回る、これまでに例を見ない大攻撃である。
 しかも、わざわざ「NTT東日本における競争力強化等を図るため、抜本的アウトソーシングによるコストダウンを行う」と強調していることが重要だ。この点で、これまでNTTになって行われてきたMEなどへの出向とはまったく質を異にする攻撃なのだ。「転籍」の名による大量の労働者のNTTからの解雇と労働条件の劇的引き下げがその目的だ。
 そして、その際の「雇用形態」は、@本社・支店などのみを対象とした「六十歳満了型」、Aアウトソーシング会社における再雇用を前提とした「六十歳以降充実型(繰り延べ型)」、B「一時金型」の三パターンとする、としている。
 A、Bについては、五十一歳でNTTを退職、その時点で退職金も精算する。実際は体のいい首切りだ。その上で「アウトソーシング会社」に再雇用となる。
 その際「月例賃金は二○−三○%ダウン」「具体的賃金水準の設定は、それぞれの地域の類似職種などの水準を参考に原則県単位に設定する」とされる。現在の賃金に比べて大幅に引き下げられることが前提であり、地域間差のある賃金水準となる。さらに寒冷地手当の廃止、都市手当の再構築、離島手当廃止など、諸手当の全面的な廃止ないし見直しが行われる。
 「五十一歳退職、アウトソーシング会社への転籍」を拒否し、NTT東西に残りたいとする者(@のパターン)については、「全国流動が基本となる」「勤務地は問わない」とされる。勤務地を希望できないとは、強制配転という意味だ。これは、事実上の首切りである「五十一歳退職」を強制し、賃金を二|三割引き下げての子会社への再雇用を強制するものだ。
 これが「ニーズに応じた雇用形態・処遇体系の多様化」の実体なのだ。こんなことが許されていいはずがない。

 最低のルールも無視御用化を深める組合

 今回のNTT「新三カ年計画」は、首切りと賃下げ攻撃の規模において「十万人」と「三割」というように、国鉄分割・民営化にも匹敵する、けたはずれの大きさを持っている。しかしそればかりではない。三カ年で二万数千人の削減という大リストラを発表して一年もたたないうちにたたみかけて十万人、三割の大リストラ計画を出してくることに示される、攻撃の激しさがもう一つの特徴だ。
 このNTT新三カ年計画の存在を全国の職場の労働者は、組合によってでもなく、会社からの発表によってでもなく、四月十一日を前後する新聞報道によって最初に知らされた。
 実際には四月六日に行われた「中央経営協議会」でNTT労組中央は、この三カ年経営計画の提示を資本から受けていたのだ。NTT社長・宮津が記者会見を行ってその内容を発表したのが四月十六日。労資間の団交がもたれて、正式に提案を受けたのが四月二十六、二十七日。職場の組合員がNTT労組からこの提案を知らされたのは、五月十二日付の組合新聞「NTT労組」でだ。労働組合の最低のルールも組合民主主義も一切無視して、NTT労組中央がなりふり構わず会社、資本と一体になって、労働者に押しつけようとしているのだ。
 さらにNTT労組東日本本部は、組合新聞で、「新三カ年計画」についての労資交渉と「会社側からの職場説明」は同時並行で行うとしている。現に組合を飛び越えた会社側による職場での説明が始まっている。労資間で合意もされていない案件を、会社側に職場で一方的に説明させるとはどういうことか。NTT労組中央は、今や会社、資本と区別が付かないところにまで、御用化しているのだ。
 NTT資本はこれまで、NTT労組役員を資本の労務担当のように使い、合理化攻撃などの労働者への貫徹は、ほとんどすべてNTT労組を使ってやらせてきた。しかし、今回の「新三カ年計画」においては、そうはいかなくなっている。NTT労組に頼っていては貫徹できないという資本の危機意識をむき出しにして、社長・宮津が先頭に立って推し進めているのである。
 このようなやり方は、NTT資本の労働者支配の激しい危機を生み出さずにはおかない。すでにその予兆とも言うべき状況は全国各地の職場で始まっている。

 労組中央を打ち倒し計画の白紙撤回を

 今やNTT労組中央は、およそ労働組合として機能できないほどに腐敗しきっている。組合員全員から徴収して積み立てているストライキ資金二百四十五億円を担保に入れて金融機関から三百億円の資金を調達し、年金基金の運用の失敗であけた穴を埋めていたことが読売新聞によって暴露された。これだけの大問題がいまだに組合員に対しては何ひとつ明らかにされていないのだ。こんな状態でNTT資本と闘えるはずがない。NTT労働者はこんなことを絶対に許さない。
 NTT労組へのNTT労働者の不信は根深い。全国の職場では、「新三カ年計画は絶対に許せない」という声が起きている。これまで必ず会社の合理化計画が知らされた時には、すでにNTT労組中央は合意してしまっているということの繰り返しに、「NTT労組中央は完全に資本と一体だ、グルだ」という怒りが噴出している。
 もうこれ以上資本やNTT労組の言いなりになっていてはならない。
 十万人の要員削減と三割もの賃金の引き下げの提案を「ああそうですか」と黙っておとなしく受けてくるとはいったい何ごとだ、ふざけるのもいい加減にしろ、今からでもすぐはっきりと白紙撤回してこい、拒否してストライキで闘え、という声が全国の各所の職場で上がっている。
 今こそ、全国の職場に闘う労働者の結集をつくり出すことが必要だ。そしてその全国的な交流とネットワークをつくり出さなければならない。そのためにも、あらゆる職場から声を上げよう。あらゆる方法で仲間に呼びかけよう。
 資本の手先に成り下がり腐敗しきったNTT労組中央を、全国のNTT労働者の怒りで打倒し、NTT労組を根本から立て直して、「新三カ年計画」を阻止しよう。八月全国大会に向け、二〇〇二年実施を阻止する闘いを全国の職場からつくり出そう。
 マルクス主義青年労働者同盟電通委員会は、全国のすべての闘う電通労働者とともに、NTT「新三カ年計画」断固粉砕、小泉超反動内閣打倒のために先頭に立って闘い抜く。

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週刊『前進』(2011号4面2)

高橋裁判長の棄却策動粉砕へ
7・8狭山中央闘争に立ち東京高裁を徹底糾弾せよ

 異議審だからと棄却を企て

 部落解放同盟全国連合会が呼びかける「高木決定二周年糾弾! 狭山異議審闘争勝利! 七・八狭山中央闘争」(十二時半・星陵会館、集会後デモ)に総決起することを訴えたい。
 東京高裁第五刑事部・高橋省吾裁判長は、この六、七月にも石川さんの異議申し立てを、またもや事実調べ抜きで棄却しようと動き出した。
 高橋は、五月末に「脅迫状」の封筒についての新鑑定を提出した弁護団に、その補充書を六月四日までに出せと急がせ、提出させた。通例、鑑定書提出から補充書提出は、一カ月はおいていたのに比べても異例の事態だ。
 さらに、高橋がこの間、弁護団に対して事実調べについて「高木決定の事後審だから」「異議審だから」と何度も繰り返し発言したことは絶対に許せない。
 免田、松山、島田などの各事件では、苦闘の末、異議審にあたる即時抗告審で事実調べがかちとられ、棄却決定の取り消し|再審無罪が実現された。高橋が「異議審だから」と強調することで、狭山だから事実調べはしないと宣言していることを徹底糾弾しなければならない。
 一昨年八月の異議申し立ての受理以来、一年十カ月にわたって決定を出せずにいた高橋裁判長が、ついに「六月五日以降、いつでも決定を出す」と、すさまじい意思表示をしてきたのだ。
 七・八狭山中央闘争は、第一に、この高橋の〈六−七月棄却策動〉を木っ端みじんに打ち砕く高橋打倒の怒りの総決起の場にしなければならない。

 小泉の下での部落差別激化

 七・八狭山中央闘争は第二に、小泉政権のもとで一層強められる部落差別を打ち破る闘いとしてかちとられなければならない。
 何より、狭山異議審情勢の切迫は、小泉政権の登場と解放同盟本部派の度し難い帝国主義的融和団体への転落によってこそ、もたらされている。
 小泉政権は、「支持率八〇%」などといわれる。しかし、小泉の掲げる「聖域なき構造改革」「痛みを伴う改革」が、いったい何をもたらすのか?
 大リストラ・大失業と中小企業の連鎖倒産、賃金切り下げによる一層の生活破壊、介護保険に見られる国家的詐欺のような社会保障制度の解体や打ち切り、「不良債権処理の断行」とさらなる大増税……。小泉改革によってもたらされる「痛み」はすべて労働者人民が負わされるのではないか!
 小泉が言う「競争に勝ち抜くための改革」こそ、部落大衆にはさらに激しい生活破壊をもたらすのだ。
 小泉は、労働者人民のやるせない閉塞(へいそく)感に付け入り、「改革」を断行すれば何か出口があるかのようにデマゴギッシュに扇動している。しかし、その本音は「資本家を救うために労働者はこれまで以上の痛みを我慢しろ」ということだ。つまり、「小泉改革」とは、断行すればするほど、労働者人民を痛めつける政治であり、早晩、階級的反乱が起こってもなんら不思議ではないのだ。
 小泉はこのことを知っている。だからこそ彼らは、労働者の怒りをそらし、階級としての魂をくもらし、団結を解体するためにも、帝国主義的民族主義や差別・排外主義、天皇制のもとでの国家主義をあおり立てる以外にない。小泉はそれを最も強く自覚した政治家だからこそ、「靖国神社の公式参拝」や「憲法九条の見直し」をあえて挑戦的に打ち出しているのだ。
 そして、この差別主義の重大な一環として、部落差別が位置づけられ、国家政策として打ち出されているのだ。

 本部派の融和団体への転落

 さらに今ひとつ、部落解放運動と狭山異議審情勢を決定的なものにしているのが、解放同盟本部派の一層の転向、融和団体としての完成だ。
 解同本部派は、第五八回大会において、「部落解放運動の戦略も、『部落の完全解放』といった抽象的表現ではなく、『人権を軸とした社会システムの創造』『人と人との豊かな関係づくり』『誇りを持って生きる自立した一人一人の自己実現』といったように明確になりつつある」(「差別糾弾闘争強化方針(案)」)と、ついに身分的差別撤廃・部落完全解放という部落解放運動の根本原理そのものを真っ向から否定しさった。
 さらに、それと一体のものとして、「差別糾弾闘争は、これらの理論的水準をふまえたものでなければならず……」と、差別糾弾闘争の解体を打ち出した。
 そこではことさらに「糾弾権」なる言葉を用い、「糾弾権の乱用も厳に排除しなければならない」「差別行為者(組織)の人権を尊重し……人権性をつらぬくことである」などと主張しているのだ。
 こうした指導のもとで、解同本部派の大阪・寝屋川支部は、住宅家賃値上げへの怒りを訴えに来る部落大衆を「わずかな支部会費で義務を果たしている気になり言いたい放題……」などと罵倒(ばとう)し、「支部員登録制度を一年間停止」と打ち出した。
 全国連は、本年の第一〇回大会において、「部落解放の最終目標、階級のない社会をめざす。これが根本的な立場であります。差別糾弾闘争をとおし、真の差別の敵を見抜き、その敵を打倒する闘いが、階級社会を廃絶する闘いです」(中田書記長)と、真っ向から提起した。
 部落解放闘争とは、部落差別を撤廃する闘いであり、あらゆる部落差別のあらわれを糾弾することこそ、解放運動の基本的闘争形態だ。
 何より、狭山闘争こそ、国家ぐるみの差別犯罪を犯した日帝権力に対して、徹底糾弾を解き放つ、差別糾弾闘争の基軸をなす闘いだ。無実・差別・糾弾・報復の原則を非妥協的に貫徹し、狭山闘争に勝利していくことこそ、あらゆる差別糾弾闘争を勝利に導く原動力なのだ。
 部落解放闘争と糾弾闘争解体の先兵と化した解同本部派を打ち破る三百万部落大衆の総決起へ! 七・八狭山中央闘争をもって打って出よう。

 村木判事事件は高橋の責任

 このように狭山異議審情勢と解放運動の重大情勢が緊迫する中、五月には高橋裁判長の直属の部下である村木判事が「児童買春、児童ポルノ処罰法違反」容疑で逮捕されるという事態が起こった。
 こんな裁判官が構成する第五刑事部が、どうして無実の部落民の訴えをまともに審理できるというのか!
 村木は、東電社員殺害事件でも、昨年、一審無罪のネパール人男性への不当な勾留請求に対して、一度は「拘置しない」とした決定にかかわり、二度目には高橋のもとで「拘置する」という決定にかかわった。
 この不当、違法な勾留決定と約七カ月後の高木裁判長による逆転有罪の無期懲役判決は、第五刑事部・高橋裁判長による狭山異議審の密室審理の強行、東京高裁の「裁判官会議決定」による要請行動への弾圧と並行して、高木−高橋コンビによって行われた。その渦中にいた村木が、「仕事で胸をしめつけられる」などと言って少女買春に走ったのだ。
 部落民には一度の事実調べもしない、無罪判決の外国人を平気で勾留する||ブルジョア法すら踏み破って差別裁判の牙城(がじょう)と化した東京高裁。その最先兵たる高橋にこそ、村木事件の責任がある。
 六月四日の要請行動で、この問題を追及された高裁は「あくまで職務時間以外のこと」「高橋裁判長の監督責任は問わないと決定している」と言い、高橋を続投させ、狭山異議審の決定を出させることを宣言した。絶対に許すことはできない。「高橋は裁判官をやめろ」「狭山異議審で事実調べからやり直せ」を掲げ、七・八狭山中央闘争に決起しよう。

 石川さんの魂をわがものに

 石川一雄さんは、高木決定に対し「今も我、高木の暴挙に血潮が騒ぐ、鉄槌なくして勝利はあらず」と、その無念、怒りをたぎらせて不屈に闘いぬいている。
 ところが今、高橋が「異議審だから」などと、一度の事実調べもせずに高木決定を押し通そうとしている。石川さんの思いはいかほどのものか!
 石川さんは無実なのだ。女子高生殺害事件になど、まったく関係していないのだ。それを百も承知で部落民であるというただそれだけの理由で、権力は石川さんを逮捕し、拷問にかけ、「自白」を強制したのだ。
 以来三十八年間、石川さんは殺人犯の汚名を着せられている。一審で死刑判決、二審無期懲役判決を宣告され、三十二年間も、部落民であることをもって冷たい獄にとらわれたのだ。
 九四年の仮出獄以後も、警察の監視下に置かれ、旅行するにも許可が必要とされ、娯楽や趣味まで制限される監獄のような生活を余儀なくされている。
 「鉄槌なくして勝利はあらず」||石川さんが発するやむにやまれぬ差別徹底糾弾の闘いと魂を今こそわがものとし、すべての部落のきょうだい、労働者人民は七・八狭山中央闘争へ総決起しよう。

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週刊『前進』(2011号5面1)

東峰神社立ち木伐採の暴挙に反撃を
7・15三里塚に大結集し暫定滑走路完成阻止へ
 収用法改悪参院での成立粉砕せよ

 空港公団と権力機動隊は六月十六日、暫定滑走路予定地南端にある東峰神社を急襲し、神社の立ち木を根元から切り倒した。神社の法的所有関係さえ踏み破るむきだしの国家暴力の発動に、われわれは心底からの怒りを抑えることができない。三里塚反対同盟と現地支援勢力は、約二時間にわたって阻止線に激突し、権力はその激しさにおののき圧倒され、東峰神社の権利関係人である萩原進反対同盟事務局次長を不当逮捕する事態に追い込まれた。小泉反革命政権と労働者階級人民との闘いの最先端で、暫定滑走路決戦が激烈に火を噴いた。三里塚反対同盟はその緒戦で実力闘争の偉大な金字塔を打ちたてたのだ。違法・無法の立ち木伐採の暴挙に階級的大反撃を! 三里塚反対同盟の実力決起にこたえ、七・一五三里塚現地闘争に総決起することを訴える。
写真 「道をあけろ! お前たちの行為は泥棒だ」公団職員につめよる北原事務局長(中央)と地元農民(6月16日 東峰)

 法的整合性も破り抜き打ち強権発動

 東峰神社の立ち木伐採は、違法を百も承知で踏み切った権力の強権発動である。暫定滑走路の工事自体は十一月末の完成期限に一カ月早く終了する予定だが、神社立ち木の存在で完成しても航空機は飛ばせなかった。
 この危機の中で、ブルジョア法さえ踏み破って強行したのが今回の立ち木伐採である。
 権力が切り倒した立ち木(ヒノキ、サクラ)の長さは約十八b。東峰神社の標高を勘案すると、立ち木は進入表面から十三b飛び出る。この立ち木をこのままにした場合、暫定滑走路は計画(二千百八十b)よりも六百五十bも短い千五百三十bの短縮滑走路としての運用を強いられる。ジャンボ機はもちろん、国土交通省と空港公団が予定する中型機も、これには対応できない。それがいかに無法で暴力性に満ちた手段であっても、立ち木伐採を強行しなければ暫定滑走路自体が立ち行かなかったのだ。
 そこで公団は、「神社の土地は取得した」「民法上、立ち木は土地と一体化しており伐採しても問題はない」という、法的整合性をかなぐり捨てた暴論で伐採を強行したのである。
 東峰神社は社(やしろ)、鳥居はもちろん土地、立ち木を含めて東峰地区共同体の「総有」(そうゆう)関係にある。神社は、東峰地区のメンバーたる資格を取得することによってその使用・収益の権利を取得し、メンバーたる資格を失うことで権利を失う。いかなる個人にも所有権はない。(解説参照)
 登記自体がどうであろうとこの総有の事実は動かない。私的売買による権利の移転は一切が無効である。公団はこれを承知で「神社は私有地」と偽った。そうしければ立ち木を切ることができなかったからだ。
 ここにはシンポ・円卓会議で「公約」した「強制的手段を放棄し、住民の納得の上で進める」態度などカケラもない。それどころか農民を欺き、その共有財産をかすめとって開港を強行しようとしている。
 空港建設の閣議決定、大木よねさん宅の強制代執行、岩山鉄塔撤去、天神峰現闘本部封鎖、団結街道封鎖に続く、農民敵視と国家暴力によるたたき出しが暫定滑走路攻撃なのだ。

 小泉政権と最先端で激突する三里塚

 暫定滑走路決戦は小泉政権と最先端的に激突を開始した。立ち木伐採は暫定滑走路開港のために不可欠だったが、それは小泉政権の成立なしには強行できなかった。このむき出しの暴力性と反人民性、階級圧殺が小泉政権の本質である。
 立ち木伐採前日の十五日、小泉政権は土地収用法改悪案を衆院本会議で強行採決した。国土交通委員会での審議わずか二日間。本会議では形式的な委員長報告だけで討論を封じ、たった十分で通過させた。民主党は教育改革三法を含めてこのファッショ的国会運営の最悪の随伴者となった。
 改悪土地収用法は、軍事施設の収用を第一におく戦前の土地収用制度の復活に向かうものだ。「公益性」論議の場を奪い、一坪運動を禁圧することで住民運動を圧殺し、戦時の土地強奪に道を開く攻撃である。
 小泉政権は有事法制について、通常国会後の七月から本格的な検討作業に入り、法制化に関する中間報告を九月臨時国会に提出する方針を固めた。土地収用法の改悪はこの有事法制に連動し先取り的に強行されている。東峰神社の立ち木伐採は、その強権的土地収用の考え方を全面的に適用して強行されたのである。
 三里塚闘争は階級攻防の最先端で一貫して闘われてきた(七〇年安保・沖縄決戦、八五年中曽根の「戦後政治の総決算」攻撃、九〇年天皇決戦)。三里塚が戦闘的農民と革命的左翼の根拠地であり労働運動、反戦闘争、住民運動の団結の砦(とりで)だからである。日帝国家権力は、この三里塚闘争を解体することで、労働者階級人民の闘争意志を圧殺し、階級総体をたたき折ることを階級闘争鎮圧の根幹に据えているのだ。
 小泉政権は、「聖域なき構造改革」を断行するとして、人民への徹底した犠牲転嫁、空前の資本攻勢に踏み出している。「競争社会」「市場原理」を掲げ、弱肉強食の原理をむき出しに、対米争闘戦にうち勝つための極右的再編に突進している。この「上からの内乱」を貫徹するために、三里塚への反革命的突撃は不可避なのである。
 さらに、小泉政権の「日本再生」構想は、ファシスト石原の首都圏再開発、メガロポリス構想と軌を一にしている。
 首都圏メガロポリス構想が掲げる「広域連携戦略」は、その中軸に「羽田空港の国際化と新滑走路建設」「成田平行滑走路の完成」「首都圏新空港の整備」など空港機能の強化を据えている。これに首都圏三環状道路、第二東京湾岸道路、高速交通システム(ITS)をリンクすることで「国際競争力のある東京圏の活力向上」なるものを実現しようとしている。
 航空政策の破綻(はたん)によって、アジアにおける対米争闘戦での敗勢と勢力圏化の行き詰まりにあえぐ日帝は、大都市圏の空港整備に財源を重点的に振り向け、基幹空港の再整備をもって、アジア勢力圏化の再構築へと動き出した。
 この方向からも帝国主義の侵略的国策を阻止し続ける三里塚闘争の解体が急務であり、日帝はそこに向かって凶暴で危機的な突進を開始したのである。
 千葉県知事・堂本暁子が、六月県議会で収用委員会の再建を強行し、この攻撃に呼応しようとしていることは断じて許せない。

 “萩原精神”に学び三里塚大決戦へ

 だが小泉政権による三里塚闘争解体攻撃のもくろみは、その緒戦でものの見事に粉砕された。東峰神社立ち木伐採に対し、反対同盟は果敢な実力闘争に決起し、逮捕攻撃をものともせず、機動隊の阻止線に激突した。神社の権利関係人である萩原進反対同盟事務局次長が農耕用トラクターを繰り出し車止めを蹴散らして突進した。不当逮捕しようとする機動隊に同盟員が立ち向かった。この農民の実力決起こそ、三里塚闘争の精華である。
 日帝国家権力のいかなる攻撃にも、農民魂は不滅である。無法・違法の暴挙と農民への迫害は、憤怒となって、暫定決戦陣形をさらに強固にうち鍛えたのだ。
 「平行滑走路完成」という日帝国家権力、空港公団の願望は、ここに最後的に断ち切られた。暫定滑走路は暫定短縮滑走路のままで終わるだけでない。反対同盟と地域住民の憎しみの構築物として未来永劫、怒りの標的となったのだ。
 また、三里塚反対同盟は土地収用法改悪に対して、国会前緊急座り込み闘争に連日決起し、土地強奪攻撃と闘う全国の住民運動に巨大な影響を与えた。
 立ち木決戦の戦闘的爆発で、反対同盟と労働者人民は、小泉反革命政権との階級攻防の緒戦で勝利した。
 六・一三をもって三里塚情勢は一変した。七・一五三里塚現地闘争を、東峰神社立ち木伐採の暴挙を弾劾する怒りのるつぼとせよ。
 七・一五現地闘争(午後一時、東峰十字路北側の開拓道路)は暫定滑走路工事と開港をもってする敵の頂点的攻撃を粉砕する新たな決起集会だ。小泉反革命政権を打倒する階級決戦を牽引(けんいん)する闘いとして総決起しよう! 堂本の収用委員会再建を実力で阻止しよう!

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週刊『前進』(2011号5面2)

“あらゆる反撃許される” 農民が2時間激闘
 萩原さん翌日奪還

 六月十六日午後、権力・空港公団による立ち木伐採の暴挙に、反対同盟と地元農民、支援勢力の激しい怒りが爆発した。
 「おまえら絶対許さねえぞ!」「何とか言ってみろ!」
 反対同盟農民の抗議に対して、阻止線の公団職員らは全員が青ざめた顔で押し黙ったまま言葉を発することもできない。
 「お前たちはいつもこういうやり方だ」「買収に行きづまると警察をたてに力ずくだ。法律もへったくれもない。何が『話し合い』か」「三十年前の代執行(強制収用)と何も変わってないじゃないか!」
 ついに激しいもみ合いとなった。「百姓の怒りを受けてみろ!」。泥の固まりが公団・ガードマンの頭上に降り注いだ。
 「お前はどこかで見た顔だな! 公団のイヌに成り下がったか!」
 公団に寝返って動員されてきた条件賛成派の元農民が胸ぐらをつかまれて阻止線から引きずり出され、地面に倒された。
 トラックの上から敵の阻止線に飛びかかって突入する農民。顔面蒼白で下敷きとなった公団とガードマンらがうめき声をあげた。
 「逮捕するぞ! 抵抗するな!」。千葉県警の私服刑事どもがわめいた。
 「おお。逮捕できるもんなら逮捕してみろ!」
 逆に私服が農民たちに取り囲まれた。反対同盟と地元農民の気迫が私服どもを圧倒した。権力は自らのあまりの不法・不正義ゆえに動揺した表情を隠せない。条件派から公団の買収ブローカーとなった保坂某が、反対同盟の怒号をあびて逃げ去った。
 このあと、萩原進さんのトラクターによる怒りの実力闘争があり(1面報道)、萩原さんの不当逮捕に怒りが爆発、反対同盟は二時間にわたる伐採阻止行動を戦闘的に闘い抜いた。

 権力の暴政弾劾

 神社の方角にチェーンソウ(電動ノコギリ)の引き裂くような音が響く。無残にも東峰神社のほとんどすべての立ち木が根元から切り倒された。切り株の年輪を見ると四十数本。神社開設時に植えられたものだと分かった。
 伐採作業を終えた公団とガードマンが阻止線を解き逃げるように現場を去っていった。反対同盟員や地元農民らの怒号が飛んだ。
 「てめえら覚えてろよ」「絶対ただではおかねえぞ!」「飛行機の神様(東峰神社の元の祭神)のご神木を切り倒したんだ。何が起こっても知らねえからな!」
 北原鉱治事務局長の指示で、反対同盟と支援部隊全員が現場から天神峰に向かい、市東孝雄さん宅に集合した。攻防の過程で公団から暴行を受けた北原さんの口元から血がにじんでいた。
 阻止行動後の記者会見で北原さんは「このような公権力による暴政に対しては、あらゆる手段の反撃が許される」と宣言した。

 実力闘争こそ魂

 翌十七日午後、萩原事務局次長が奪還された。
 萩原さん奪還の知らせを聞いて、市東孝雄さん宅に反対同盟が勢ぞろいし、動労千葉の中野洋委員長や家族会もかけつけた。そこへ萩原さんが登場。大きな拍手と歓声で出迎えられた。
 まず伊藤信晴さんが「萩原さんは、反対同盟の怒りと東峰部落の怒りを体現して実力で闘った。権力の悪政と、反対同盟の正義性を天下に知らしめた。そういう中で一日で奪還できた」と報告した。
 大きな拍手の中で、萩原さんがあいさつをした。「敵は必ずこういう暴挙に出る。これと対決して闘い抜いていけば、必ず勝利できる。今回は、反対同盟が一丸となって闘った。その力が不当逮捕を一日で粉砕した」と力強く勝利宣言。さらに「ワールドカップまでに二千五百bの滑走路をつくると言っていたが、破綻している。一つひとつ敵の攻撃を粉砕していく」と今後の展望を述べた。
 続いて中野委員長が「久しぶりに三里塚で実力闘争の激突が始まった。なぜ三十六年間も闘っているのかということが、この激突であらためて明らかになった。反対農民が健在だということを示した。三里塚闘争の復権だ」と語った。
 婦人行動隊長の小林なつさんは「こういうのが国家暴力のやり方です。今回の闘いで反対同盟の団結と実力闘争をはっきりと示した」と話した。
 市東孝雄さんは「みんなには久しぶりの実力闘争ですが、自分は初めてで、盛り上がりました。反対同盟が一つになって闘った。これからも昨日の気持ちをもって頑張っていきたい」と決意を語った。
 鈴木謙太郎さんは「反対同盟に緊張感が高まって、新たな気持ちで闘争をやっていく。逮捕覚悟でがんばる」と実力闘争の決意を示した。
 三浦五郎さんは「むちゃくちゃなやり方で立ち木を伐採したことによって、東峰部落の人たちや反対同盟の怒りに火をつけた」と立ち木伐採を弾劾した。
 つれあいの萩原静江さんは「気合いが入った。全国から激励の電話やFAXを送ってもらって、感謝しています」と述べた。
 最後に北原鉱治事務局長が総括した。「昨日の闘いは勝利した。反対同盟と支援、弁護団が一体で闘った。昨日の行動は反対同盟に理と正義があった。反対同盟は、これからも今までどおりで行く。絶対に売らないという原点だ」と語り、今後も農地死守・実力闘争の原則を守り勝利していこうと檄を発した。
 また当日参加できなかった鈴木幸司さんは十九日、「戦時体制そのものの攻撃だ。三里塚は反戦の決意を一層固める」と語った。

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週刊『前進』(2011号5面3)

収用法衆院通過を弾劾 反対同盟が連日座り込み

 日帝・小泉は、土地の強制的取得のために、収用手続きの迅速化と反対運動つぶしをもくろむ土地収用法改悪案の今国会成立への攻撃をかけてきた。これに対し、三里塚反対同盟は、五月の連続闘争に続き六月十二日から連日の緊急国会前座り込み闘争に決起した。
 十二日は、朝九時半から反対同盟の北原鉱治事務局長と鈴木幸司さんや、反戦自衛官の小多基実夫さんらが参加した。
 この日は、正午から文科省に対する「つくる会」教科書反対の世界七十一カ国同時行動に決起した労働者・学生が昼過ぎから座り込みに次々と合流した。
 二日目の十三日も萩原進事務局次長と天神峰の市東孝雄さんが決起、白鳥良香元静岡県議も駆けつけた。動労千葉や部落解放同盟全国連合会も参加した。全国連からは激励カンパも。
 十五日には、小林なつ婦人行動隊長を始め動労千葉、全学連が参加。午前九時十五分国土交通委員会が開会され、二十分で採決を強行し与党三党と民主党などの賛成多数で可決、本会議に上程した。
 その後、けしば候補出陣式に参加した北原さん、三浦五郎さん、鈴木謙太郎さんが合流した。
 怒りのシュプレヒコールの中、午後一時衆院本会議が始まり、わずか十数分で採決を強行、可決=衆院通過した。
 土地収用法改悪は三十五年間も国策の前に立ちふさがり続ける三里塚闘争への挑戦であり、有事法制の核心を先取りする攻撃だ。反対同盟と結んで参院段階での収用法改悪阻止に総決起しよう。

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週刊『前進』(2011号5面4)

2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き 6月13日〜19日
 民家そばに米軍落下物 沖縄宜野湾
 田中外相 「米ミサイル防衛に理解」

●宜野湾市で米軍落下物
米軍普天間基地所属のCH53大型ヘリから防弾チョッキなどが入ったバッグ(二個、総重量二十三`)が、宜野湾市の民家そばに落下した。(13日)
●世界の軍事費97兆円 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が二〇〇一年版年鑑を発表し、ソ連崩壊後減っていた軍事費が一九九八年を境に上昇し、二〇〇〇年には前年比三・一%増の七千九百八十億j(約九十七兆円)に達したことを明らかにした。米の軍事費が突出し、全体の三七%を占める。(13日)
●教育改革3法案が衆院通過 奉仕活動の推進や「不適格教員」免職制度などを盛り込んだ教育改革関連三法案が、衆院本会議で与党三党と民主党の賛成多数で可決された。(14日)
●米軍再編構想来月末めどに 米国防総省高官はアジア重視の米軍再編構想最終案を七月末をめどに策定し四年ごとの国防計画見直し(QDR)に組み入れる見通しを述べた。(14日)
●ビエケス島の米軍演習中止へ 米政府は米軍の誤爆事故などで住民が犠牲になり、激しい抗議運動が起きていた自治領プエルトリコのビエケス島での軍事演習を二〇〇三年をもって中止すると発表した。(14日)
●収用法改悪案が衆院通過
 衆院本会議で、一坪共有運動の禁圧・収用手続きの簡素化などを定めた土地収用法改悪案が与党三党と民主党などの賛成多数で可決された。(15日)
●在外被爆者訴訟で国が控訴 在外被爆者の郭貴勲さんへの被爆者援護法適用を初めて認めた大阪地裁判決に対し、国と大阪府は大阪高裁に控訴した。(15日)
●アジアTMDに反対 上海協力機構(SCO)を創設した中ロと中央アジア四カ国の国防相会議は、日米が共同研究を進めるアジア太平洋地域での戦域ミサイル防衛(TMD)展開に反対する共同コミュニケに調印した。(15日)
●東峰神社立ち木を伐採 
空港公団は東峰神社の立ち木十九本を“航空法上の障害物にあたる゜として抜き打ち伐採した。三里塚芝山連合空港反対同盟が伐採阻止闘争に立つ中で、事務局次長の萩原進さんが不当逮捕された。同日、中村徹空港公団総裁は二千五百b滑走路のW杯前の完成は「非常に厳しくなった」との見解を述べた。(16日)
●当事者同意なしでPKO派兵も 政府・自民党がまとめた国連平和維持活動(PKO)協力法改悪案の原案が明らかになった。紛争当事者の同意がなくても派遣部隊を展開する国の同意で派兵を可能にする、在留日本人や他国部隊を守る目的にも武器使用できるようにするというもので、これにより当面の焦点である東ティモールPKOへの派兵も可能になる。(16日)
●EUがミサイル防衛構想に代案 EU首脳会議は米ミサイル防衛構想の代案としてミサイル関連技術輸出規制(MTCR)の枠組み強化を提案した。(16日)
●ロ大統領がABM条約修正を拒否 米ロ首脳会談で、ロシアのプーチン大統領はABM制限条約の修正を拒否した。(16日)
●米国務長官「ABM条約破棄も」 パウエル米国務長官は、ABM制限条約を「ある時点で破棄することになるかもしれない」と全米テレビ番組で述べた。これに対し、米上院のバイデン外交委員長は、同条約を廃止すれば「大規模な新軍拡競争」を誘発し、日本の核武装さえ招きかねないと批判した。(17日)
●北朝鮮が協議議題に懸念
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の外務省スポークスマンは、米政府が北朝鮮の核・ミサイル・通常兵力問題を議題に米朝協議の再開を提案したことについて、「真の意図について警戒せざるをえない」「わが方を武装解除させようとする目的」と懸念を示し、軽水炉供与の遅れに伴う電力補償問題を優先課題とするよう求めた。(18日)
●外相「ミサイル防衛に理解」 田中真紀子外相はパウエル国務長官との会談で「日米同盟が基軸」「受益と負担を見直す地点に来ている」と日帝の役割拡大を積極的にアピ−ルし、「ミサイル防衛については理解」「共感できる」などと米ミサイル防衛を支持した。(18日)
●ロ大統領「核戦力強化で対抗」 ロシアのプーチン大統領は米記者団と会見し、米が一方的にミサイル防衛構想を推進、配備した場合、ロシアは核ミサイルの多弾頭化などで対抗する考えを示した。(18日)
●在日司令官「硫黄島訓練に不満」 在日米海軍のロバート・チャプリン司令官は日本人記者団との会見で、硫黄島での空母艦載機の離発着訓練に不満を表明し、「厚木基地から半径百八十五`以内に代替施設を」と述べた。(18日) 
●米国防副長官「PKOを離脱」 ウルフォウィッツ米国防副長官は米紙とのインタビューで、米軍はPKO任務から離れ、PKOは他国に任せるべきだとの考えを示した。(19日)

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週刊『前進』(2011号6面1)

保釈却下決定許すな
 迎賓館・横田爆取裁判無実の3同志、必ず奪還を

 「勾留14年は不当に長期でない」と強弁

 東京地裁刑事第一一部(木口信之裁判長)は昨年十一月の保釈請求から七カ月以上たった六月十五日、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対して、保釈却下決定を下した。
 われわれは、日帝・国家権力のわが三同志に対するこのような暴虐を断じて許さない。この悪逆極まりない攻撃を、腹の底からの怒りをもって弾劾する。
 都議選の告示日に決定したことにも明らかなように、保釈却下の決定は、三同志の不屈の闘いと大衆的保釈奪還闘争が小泉反革命との真っ向からの闘いであることに恐怖して加えてきた反革命にほかならない。保釈却下の理由などまったく存在しない。ただただ三同志がすぐれた革命家であるという一点で、獄中から出そうとしないのだ。こんな理不尽、これほどの人権侵害が許せるだろうか。
 三同志は百パーセント無実である。一九八六年に戦われた東京サミット粉砕の迎賓館と米軍横田基地に対するロケット弾戦闘に一切関与していない。三同志の無実・無罪は、六月十一日の公判をもって終了した十三年におよぶ検事側立証が全面破綻(はたん)したことによっても完全に明らかとなったのである。
 にもかかわらず、木口裁判長はその公判直後に保釈却下決定を下したのである。その悪辣(あくらつ)さは言語に絶する。
 木口裁判長は、保釈却下決定の中で、「本件は刑事訴訟法八九条一、四号に該当し」と述べ、検事側立証が終了した現在でも「罪証隠滅の恐れ」を理由に勾留を続けるというのだ! 隠滅すべき証拠がどこにあると言うのか。
 さらに、木口裁判長は「同法九一条一項の場合に当たるとも認められない」と、十四年という未決勾留が「不当な長期勾留ではない」と断じている。無実を訴えて裁判を争っている者が、十四年も勾留され続ける例など世界的にほかに存在しない。このような長期勾留は、無実を主張して裁判で争う限り獄中から出さないという許しがたい人質司法であり、憲法も刑訴法も無視したむき出しの国家暴力そのものである。
 三同志奪還の大人民運動をさらに爆発させよう。われわれは三同志を絶対に獄中から奪還することを断固として宣言する。全国の同志、支持者のみなさん、ともに闘おう。総力を結集して、保釈をかちとろう。

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週刊『前進』(2011号6面2)

水嶋同志は完全に無実だ
吉野検事がデッチあげ狙い母親を欺いて調書をねつ造

 警視庁は、成田空港二期工事をめぐる八八年九月の千葉県収用委員会会長に対するせん滅戦闘に関係したとして水嶋秀樹同志を不当勾留している。このデッチあげ攻撃を東京地検の公安検事・吉野通洋がまたしても行ったことがわかった。
 六月二十一日、北海道北見市にある水嶋同志の実家に押しかけ、ひとりでいた年老いた水嶋同志の母親から自分に都合のよいことだけを記したデタラメな調書を作り上げたのだ。われわれは吉野のこの行為を絶対に許さない。
 吉野は、その前日の六月二十日にも実家に押しかけ、逮捕された水嶋同志の写真を並べながらデッチあげ調書を作ろうとした。しかし、居合わせた水嶋同志の弟さんが、吉野のあまりにもデタラメなやり方に怒り、吉野をいさめて、結局吉野は調書に指印押捺(おうなつ)がないまま持ち帰らざるを得なかったのだ。
 吉野は、弟さんが「兄貴は中学のころ野球部に入っていて、それにあこがれて自分も野球を始めた。体形はやせ形で、背は小さいほうだった」などと話しても、それは一切書かず、母親が「三十年も会っていないのでわかりません」「昔のことで覚えていません」と言うのを調書にし、そうすることで、あたかも少年時代の水嶋同志が野球少年ではなかったかのようにすりかえようとしたのだ。母親の物忘れを利用して、誰もが証言している水嶋同志の人物像を否定する調書を作ろうとしたのである。
 弟さんは、自分が言った水嶋同志についてのことを一行も書かないで、「覚えていません」ということだけを書いていることに疑問をもち、その勝手さに怒り、カラクリがあることを感じて押捺しなかったのだ。そして、このようにデッチあげが行われていくのかと理解したのだ。母親もそれに同調したのである。
 公安検事・吉野は、弟さんが仕事でいないのを確認して、翌日、散歩に出た母親をこっそり待ち伏せ、「弟さんには私が来たことを話さないように」と言い含めて調書をとったのである。これは、母親が検事をも「遠くから来ていただいて……」などと応対するお年寄りであることを利用したあくどい所業なのだ。公安検事が、自分に都合よくデッチあげるために調書を作って歩いているということを示す事実である。
 こうしたことはけっして許せるものではない。水嶋同志の母親はすでに八十歳である。その年代の人として当然にも、物忘れが進行している。したがって検事の質問に対して「昔のことは忘れました」と答えるのは当然なのだ。
 水嶋同志は、一切事件と関係がない。しっかりしたアリバイがある。正井とは一面識もなく、正井が話したとする「A」という人物は、水嶋同志とまったく別人である。
 正井は水嶋同志と初対面の人がまず気づく前歯の欠損について一言も「A」の特徴として挙げていない。これだけで「A」なる人物が水嶋同志ではないことは明白なのだ。
 検事や刑事は、こうしたことをすべて知っているからこそ、年老いた水嶋同志の母親を利用して、また新たなデッチあげを行おうとしてあがいているのだ。
 警視庁は水嶋同志への勾留を直ちにやめよ! 裁判所は無実の水嶋同志を直ちに釈放せよ! 

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週刊『前進』(2011号6面3)

橋本裁判全面勝利の展望(下)
 無罪判決確定へ総決起し革命党解体攻撃うち砕け

 濃度、指図・誘導、外部臭使いデッチあげ

 検証選別の結果は、われわれが、原審で主張し、証明した犬の臭気選別によるデッチあげ方法、すなわち、@「濃度コントラスト」論、A「指図・誘導」論、B「外部臭」論を、全面的に裏づけたのである。
 すなわち、検証選別では、ゼロ選別を除く十二回の選別において、犬は臭布を一回も「持来」できなかった。これに対して、原審での「押し込み」棒、「目隠し」棒の選別は、九三年八月二十七日、九月二十四日、十一月四日に、計二十回実施されており、そのうち「対照臭」を持来したのが十八回、不持来が二回である。
 この結果に基づいて、原審選別と検証選別が同じ種類の選別と仮定して、統計学の検定方法であるフィシャーの正確確率検定法で、これと同じおよびこれ以上に極端な違いが偶然に現れる確率を計算してみると、二千四百八十万回に一回しか起こりえないという結果になる。よって、両者が同じ種類の選別であることはありえないのだ。
 このことは、原審での選別と控訴審での検証選別が、単に犬が異なるだけでなく、選別の原理や手掛かりがまったく異なるということである。
 原審選別と検証選別の決定的差異は、次のとおりである。
(1)使用臭気について
 @原審の「押し込み」棒については、検察官は、棒を握った時間を五十一秒間と推定(控訴趣意書)している。これに対して、検証選別では、裁判所の指示で、木材を握った時間は、一人につき一分ないし三分間である。
 A大日堂倉庫での放置期間は、原審の「目隠し」棒は百十日間、「押し込み」棒は百六十三日間である。
 B移行臭の作成に用いる白布の同封枚数は、原審では、平均二十枚から三十枚、中には四十枚も同封したものであるのに対して、検証選別では、「原臭」「対照臭」「誘惑臭」ともすべて二十枚である。
 以上のすべてから、検証選別に使用した臭気の方が原審選別での使用臭気より臭気が濃く付いている。したがって、犬にとって「原対同定」で選別しているとすれば、選別が容易なはずである。
(2)選別実施条件について
 @「対照臭」「誘惑臭」の間の濃度コントラストの有無、A指図・誘導の有無、B「対照臭」「誘惑臭」に付着する外部臭の差異の有無について検討すると以下のようになる。
@濃度コントラスト
 原審選別では、「対照臭」は素足に履いていた靴、「誘惑臭」は機動隊員の靴である。「対照臭」は「誘惑臭」と比較して臭いが強く付いている。そのうえ、「対照臭」は「誘惑臭」よりも同封期間を長くして、意図的な濃度コントラストをつけていた。
 検証選別では、「原臭」「対照臭」「誘惑臭」の同封期間は、すべてほぼ一日間であり、「対照臭」「誘惑臭」の同封期間を違えた意図的な濃度コントラストがない。
A指図・誘導
 原審選別では、立会人、配列補助者、カメラ・ビデオ撮影者などのすべてが「正解」(「対照臭」の配置場所)を知りえた。訓練士T自身も「正解」を知っていた蓋然(がいぜん)性がきわめて高いものであった。さらに、「対照臭」配列者は、予備選別段階から同一人物に固定していた。
 この結果、犬は、クレバー・ハンス現象どおりの行動を行い、「正解」を察知していたのである。訓練士Tの手の動きによって、犬はその行動の意味を確認していた。
 さらに、「対照臭」配列者の動向を振り返ってカンニングすることができた。
 そして、犬が布をくわえた時に、カメラのシャッター音の「早い」「遅い」の時間差で、「正解」かどうかを確認できた。
 これに対して、検証選別では、訓練士T、配列者、立会人などの中に「正解」を知る人間はいない形で行った。その上、ビデオカメラは、固定式・自動シャッターで撮影されたために、犬が手がかりを得ることは不可能であった。
B外部臭
 原審では、「誘惑臭」がすべて機動隊員の靴から採取した臭気である。機動隊員の靴は「官給品」であり、同一の規格である。したがって、原審の「誘惑臭」には共通の職業臭、生活臭ならびに採取対象物品の臭気が付着している。ところが「対照臭」の橋本同志の靴は、素足で履いていたもので、材質は合成皮革である。これにより、「対照臭」「誘惑臭」を比較し、他の四つに対して一つだけ外部臭が異なる「対照臭」を発見、持来できる可能性があった。
 検証選別では、同じ規格の靴下を「対照臭」「誘惑臭」に用いたために、このような可能性は存在しなかったのである。
 以上の検討結果から、訓練士T(京都府警)が、実施する臭気選別は、すべて、クレバー・ハンス現象を意識的・無意識的に適用して実施していることが明らかになる。このことを検証選別結果は、大阪高裁第二刑事部が職権で実施することで裏づけたのである。

 「選別」のカラクリ暴露し控訴棄却戦取を

 以上のように控訴審の全過程は、大阪高裁第二刑事部に対して、原審無罪判決を変更するためのいかなる口実をも与えていないことは明らかである。
 しかし、日帝国家権力中枢の直轄的指揮のもとで、橋本同志をデッチあげてきたという本件弾圧の本質を直視しなければならない。
 日帝の体制的危機の激化=没落帝国主義への転落によって、日帝は、極右小泉内閣を登場させ、戦争国家化攻撃の正面突破を唯一の政策として大リストラ=首切り、教育基本法改悪=憲法九条破棄、集団的自衛権の発動合法化、靖国神社公式参拝強行、「つくる会」教科書採択攻撃などの超反動攻撃に突進している。
 したがって、結審ということは、国家権力中枢によるデッチあげ維持のためのあらゆる巻き返しが、これから本格化するということなのである。この巻き返し策動に対して、犬の臭気選別によるデッチあげのカラクリが、全面的検証選別により裏づけられたことを全社会的に暴露し反撃していかなければならない。
 この闘いの爆発によって、国家権力中枢のいかなる巻き返し策動をも不可能化させる闘いの展開が、一切を決する過程に突入しているのである。
 橋本裁判闘争の勝利を戦取する闘いは、日帝・小泉政権の侵略戦争国家体制構築の正面突破攻撃をうち破る労働者人民の闘いにおける不可欠の環である。
 橋本デッチあげ弾圧は、何よりも革命党としての革命的共産主義同盟を解体するための最大級の攻撃である。この反革命攻撃を、橋本同志、弁護団と救対を先頭とする全党の総力決起によってうち砕くことは、日帝の戦争国家化攻撃をその決定的一環において食い破る偉大な勝利である。
 日帝の戦時体制の成否は、労働者階級の階級的団結を解体できるかどうかにかかっているが、その決定的環こそが革命党の解体攻撃である。ここにおいて、橋本裁判闘争の勝利をかちとることは、日帝の戦争国家化攻撃を根底からうち砕く決定的な勝利である。
 この闘いへの全党の総決起を訴える。

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週刊『前進』(2011号6面4)

事実無根の容疑で逮捕 杉並で街宣中都議選決戦の破壊狙う

 六月十二日午後七時、杉並区の高円寺駅頭で、「つくる会」教科書の採択阻止を訴えて街頭宣伝を行っていたB同志に、警視庁公安一課の警察官ら十数人が襲いかかり、「有印私文書偽造・同行使」のデッチあげで令状逮捕した。
 逮捕の容疑とされているのは、B同志が二月五日ころ、品川陸運局で十台の車の「現在登録証明」を偽名で請求したというものであるが、これは事実無根の完全なデッチあげである。
 そもそも十台の車とはどういう車なのだ。新聞では、さもゲリラ事件と関係あるかのように報道しているが、どのゲリラ事件とどのような関係があるのか。さらにこの十台の車がB同志とどういう関係にあるのか明らかにしろ。また、B同志が虚偽の記載をしたとされているが、これは権力の得手勝手な百パーセントのデッチあげである。根拠があるのなら明らかにしてみろ。
 警視庁は、B同志を逮捕してから、B同志の下宿を捜索し、B同志が書いたと思われる学習メモなどをまったく不当に押収し、「筆跡鑑定」のデッチあげを策動している。「筆跡鑑定」こそ、何の科学性も客観性もないもので、警察の意のままにねつ造することができるデッチあげの常套(じょうとう)手段である。権力は、こうしたデッチあげ「証拠」をねつ造して、B同志の逮捕をなんとかとりつくろおうとしているのだ。
 B同志への取り調べは、永野公弘を始め警視庁の公安刑事らが、連日長時間強行しているが、都革新や杉並区民の闘いへの罵詈(ばり)雑言や誹謗(ひぼう)中傷ばかりである。
 このように、告示の三日前に強行されたB同志に対するデッチあげ逮捕は、都議選決戦を破壊するための政治弾圧にほかならない。
 日帝・警視庁は、都革新に対して今年すでに四回も不当な捜索を行った。さらに、「建造物侵入」や「免状不実記載」や「私文書偽造」などをデッチあげた違法・不当な逮捕を連続して強行してきている。
 小泉反革命と真っ向から対決するけしば氏と労働者人民の闘いに恐怖し、けしば氏の当選を阻もうとして、凶暴な政治弾圧に出てきているのだ。
 B同志は都議選―参院選決戦と一体となって、不当な逮捕攻撃と完黙・非転向で闘いぬいている。B同志へのデッチあげを許すな。B同志を直ちに釈放せよ。

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