ZENSHIN 2001/07/16(No2013 p06)

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週刊『前進』(2013号1面1)

革共同政治集会の大成功へ  小泉反革命粉砕の闘いに総決起しよう
参院選でオータ昌秀氏の当選を 8・15小泉の靖国公式参拝阻止へ
 沖縄米兵の暴行事件許すな

 小泉超反動政権の極右的ファッショ的な「国家改造計画」と真っ向から対決し、小泉政権打倒へ、七〜八月政治決戦の大爆発をかちとれ! 七・二九東西革共同政治集会を、七〜八月決戦と二〇〇一年後半決戦勝利への飛躍の場としよう! 沖縄米兵による六・二九女性暴行事件に対して、全学連(大山尚行委員長)を先頭に反戦共同行動委員会は七月二日、東京のアメリカ大使館に怒りの抗議行動に立った(記事4面)。「基地ある限り、私たちの不安はなくならない」「米軍は即刻沖縄から出ていけ」という沖縄人民の煮えたぎる怒り。これと連帯し、米軍基地全面撤去、名護巨大新基地建設絶対阻止へ全力で闘おう。小泉超反動政権打倒へ戦列を力強く立て直し、早急に反撃を開始しよう。小泉反革命粉砕の政治決戦の一環として参院選闘争に総決起し、前沖縄県知事・オータ昌秀氏(比例区)と沖縄社会大衆党書記長・新垣(あらかき)しげお氏(東京選挙区)の当選をかちとろう。八月十五日の小泉の靖国神社公式参拝の反革命策動を、アジア人民、沖縄人民、被爆者と固く連帯して絶対に許すな。七〜八月決戦の頂点として、参拝阻止の闘いに総決起しよう。「つくる会」教科書採択阻止闘争、七・一五三里塚闘争を闘い、八月広島・長崎反戦反核闘争、国労大会決戦へ攻め上れ。

 第1章 日米同盟と沖縄基地の強化表明した小泉

 情勢は待ったなしだ。日帝・小泉政権は「高支持率」を武器にして、改憲・戦争と大失業、福祉切り捨ての攻撃を猛然と強めている。「小泉政治を許していたら戦争と大失業だ。小泉を全力で打倒せよ!」。このことを今こそ職場で学園で街頭で、全力で訴えて闘わなくてはならない。まさに今こそ都議選決戦の地平を引き継ぎ、全力で小泉反革命打倒へ決起しなければならない。
 七・二九革共同政治集会を二〇〇一年後半決戦に向けての勝利の展望を切り開く総決起大会としよう。
 世界史は今や、帝国主義がその基本矛盾を世界大恐慌と新たな世界戦争として大爆発させていく過程に完全に突入している。そうした中で登場した小泉の「聖域なき構造改革」のもたらすものは、日帝の経済危機の一層の破局的進行と大失業であり、帝国主義的な民族主義、愛国主義、排外主義の扇動であり、そして世界のブロック化と勢力圏分割のために、アジア侵略戦争と帝国主義間戦争へ突っ走ることなのだ。そのための改憲と戦争国家化の大攻撃なのである。
 小泉政権はこれを日米安保同盟の徹底的強化と、その枠をも踏み破る独自の戦争国家化としてやろうとしている。現実的には、米帝の中国・朝鮮侵略戦争に積極的に参戦することでなし遂げようとしているのだ。
 米政府のアーミテージ国務副長官は、「一夜開けたら大戦争がぼっ発している可能性は、欧州では小さいが、アジアでは依然としてあり得る。例えば朝鮮半島、中台……」「中国はアジア安保の最大問題だ」と語り、さらに「集団的自衛権の行使を日本が自ら禁止していることは同盟協力の制約となっている」と述べている。そして向こう三〜五年以内に、日本が米帝の対中国・対朝鮮の侵略戦争体制と全面的に一体化して協力する戦争体制をつくるよう求めている。
 日帝・小泉政権はこの米帝の世界戦略に積極的に対応して日米同盟の強化をはかるとともに、有事法制による新安保ガイドラインの本格的な実効性ある発動と、PKF凍結解除−PKO派兵体制の強化をもって、独自の戦争国家への飛躍を追求している。小泉の「集団的自衛権」論、「改憲」論はこのための日帝の必死の反革命策動なのだ。
 いったい、集団的自衛権とは何なのか。それは日本軍(自衛隊)が他国に攻め込んで戦争をするということ以外の何ものでもない。「在韓だろうがどこだろうが、米軍が攻撃されたら自衛隊が武力行使に加わる」(自民党・亀井)ということなのだ。帝国主義のいう「自衛権」とは、いつでも侵略戦争を合理化するための口実なのだ。
 六月六日の党首討論で小泉は、周辺事態法が日本の米軍支援を「後方地域」に限定していることについて、「後方地域とは何か……は研究の余地がある」と答えた。小泉発言の狙いは、自衛隊が周辺事態法で規定した「後方地域」の枠すら大幅に越えて(拡大して)、戦闘地域、前線地域でも米軍との共同作戦ができるように狙うものだ。これこそ小泉の「集団的自衛権」論の狙いなのだ。
 六月二十九日、小泉は訪米し、日米首脳会談で「日米同盟の強化」を確認し、「ガイドライン実施を基礎に安保協議を強化する」「ミサイル防衛に関し緊密な協議を継続する」と宣言した。また朝鮮半島情勢についてブッシュが「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との間で軽々に合意しない」と述べたことに対して、小泉は「米韓両国と緊密に協力しながら対処する」と応じたのである。
 さらに沖縄基地問題でブッシュが、「米軍は平和維持のために前方展開を維持しなければならない。今回のような事件(米兵による女性暴行事件)が日米関係を損ねることがあってはならない」と言ったことを受けて、小泉は「沖縄の基地の重要性を認識している。……在日米軍の駐留こそが日本の平和を維持してきた」と述べた。さらに十五年使用期限問題について、ブッシュは「困難な問題だ」と突っぱねたが、小泉はブッシュに完全に同調したのである。
 こうして基地の犠牲を沖縄に押しつける安保強化・沖縄基地強化政策のもとで、六月二十九日、またしても米兵による女性暴行事件が繰り返された。絶対に許すことはできない。
 米軍は事件を起こすたびに口先で「謝罪」し、「綱紀粛正」「再発防止」を唱えながら、沖縄人民を踏みにじる暴挙を繰り返している。こんな暴挙がいつまで続けられるのか! もう、本当に許すことはできない。沖縄人民は絶対に基地と共存できない。今こそ米軍基地を実力でたたき出さなければならない。
 米日帝の中国・朝鮮侵略戦争のものすごい切迫情勢を見据え、戦争の現実性が具体的に動き出していることを明確にさせよう。それを促進する小泉反革命への階級的怒りを新たに、小泉政権打倒へ総決起しようではないか。

 第2章 戦争賛美の教科書と靖国公式参拝許すな

 小泉反革命粉砕の闘いの重要な一環として、参院選闘争(十二日公示、二十九日投票)に決起することを訴える。オータ氏と新垣氏の当選のための闘いを全国各地で進めよう。オータ氏は四月の出馬表明の中で、「沖縄戦を経験した私には、今の情況は戦争という、いつか来た道の再来としか思えてなりません」「現在の戦争準備につながる一連の流れを何としても食い止めたい」と、立候補の決意を表明している。
 今次参院選では、オータ氏、新垣氏は沖縄基地問題を真っ向から掲げ、小泉政権と最も鋭く対決して闘う候補者である。オータ氏は社民党からの出馬であり、新垣氏は新社会党と協定を結んでいるが、現在の情勢のもとで両氏の当選をかちとることは、社民党的な枠を超えた労働者人民の決起を促す性格をもっている。
 参院選を小泉反革命と対決する政治決戦に押し上げるためにも、闘う沖縄人民との連帯を打ち固めていくためにも、オータ氏、新垣氏の当選をかちとり、小泉政権打倒へ突き進もう。
 そして沖縄―本土を貫く名護巨大新基地建設阻止、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いの大爆発を切り開こう。
 小泉反革命とその戦争国家づくりの攻撃の中でも決定的に重大なものが、小泉の八・一五靖国神社公式参拝であることをはっきりさせ、猛然と八・一五闘争に決起しなければならない。
 靖国神社公式参拝について小泉は、「尊い命を犠牲にして日本のために闘った戦没者たちに敬意と感謝の誠を捧げるのが政治家として当然」「公式とか非公式とか、とやかく言われたくない」などと暴言を吐いている。また、「いざという時、命を捨てる自衛隊に敬意をもつ憲法を」と改憲を主張している。
 このように小泉は、過去の戦争の賛美にとどまらず、これから戦死者が出る戦争を本気で考えているからこそ、その戦死者を「国家=天皇のために命を捧げた英霊」として美化し、まつることを追求しているのだ。要するに、これから日本人は、かつてのように命を犠牲にして国のために戦えと言っているのだ。
 靖国神社とは、日帝の侵略戦争賛美と遂行のための機関だ。ここに小泉が中国や韓国の参拝中止要求を踏みにじって、首相として八月十五日に公式参拝することは、日帝が行った明治以来のすべての侵略戦争、帝国主義間戦争、アジア人民虐殺の歴史を開き直り、正当化することにほかならない。アジア諸国への再侵略宣言であり、日本人民への再度の総動員令の発動にほかならない。こんなことを絶対に許してはならない。
 右翼ファシスト団体「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史・公民教科書の七月採択を絶対阻止せよ。小泉は「中国や韓国が批判するのは自由だが、日本がそれに惑わされることはない」と言い放ち、これを受けて日本政府は、韓国・中国政府の修正要求を全面的に拒否することを正式に決めた。靖国神社公式参拝と一体の、アジア人民に対する公然たる敵対宣言であり、侵略戦争宣言だ。
 「つくる会」教科書で教育を行うべきだというのが小泉の本音だ。その小泉と「つくる会」の戦争賛美、国家主義の思想は、戦前の日帝軍隊とまったく同じ思想だ。それは、日本軍が犯したアジア侵略の残虐きわまる事実――韓国併合、皇民化政策(言語を奪い、姓名を奪い、文化を奪い、民族を奪った)、南京大虐殺、三光作戦(焼き尽くし、殺し尽くし、奪い尽くした)、七三一部隊(人体実験、毒ガス・細菌戦など)、軍隊慰安婦、強制連行・強制労働と虐殺を始めとする侵略と植民地支配の歴史的犯罪の数々――を覆い隠し、日帝の行ったすべての戦争を「アジア解放の戦争」「大東亜戦争」と全面的に美化している。
 そして日本軍兵士を消耗品のように戦地に追いやり、大量の戦死や餓死、病死に追い込んだ無責任な軍事作戦を「玉砕」や「特攻作戦」などと言いくるめて開き直り、死んだ兵士を「国のために死んだ英雄」と美化しているのだ。
 日本人―日本人民は、日帝の犯した歴史的大犯罪を直視し、それに加担させられてきた自己の歴史を学び、自己総括し、自己変革しようとせずに、どうしてアジア人民と連帯することができようか。そうした侵略の歴史を覆い隠し、開き直って「日本と日本人は偉大だ」と教えることが教育の目的だなどということは、再び労働者人民を戦争に動員するためだけの教育であり、絶対に許すことはできない。
 杉並区を始めとして各地で「つくる会」教科書採択阻止の闘いが進展している。アジア人民、在日アジア人民との連帯をかけて、「つくる会」教科書七月採択を絶対阻止しよう。
 教育改革関連六法の成立強行を弾劾し、闘う教育労働者と連帯して地域と学校現場での闘いを粘り強く進め、戦争国家づくりのための「教育改革」―教育基本法改悪を絶対阻止しよう。

 第3章 改憲と戦争、新たに2〜3百万の大失業

 改憲と戦争国家化攻撃に突き進む小泉政権が、その戦争的激しさをもって労働者階級に襲いかかっているのが、経済・財政の「構造改革」攻撃である。
 小泉政権は、これまでのどの自民党政権よりも露骨に金融独占資本(大銀行・大企業)の立場に立った政権だ。六月二十一日に出された経済財政諮問会議の「構造改革基本方針」は、大銀行・大企業を延命させるために労働者階級と中小企業に犠牲を転嫁し、大失業、連鎖倒産、生活苦、増税と収奪、社会保障費削減などを強制するものである。これで二百万〜三百万人の労働者が新たに首を切られ、総計で五百万〜六百万人が路頭にほうり出されようとしている。
 ところが小泉や竹中平蔵(経済財政担当相)らは、笑いながら平然と、「競争力あるものが生き残る」「つぶれるべき企業や銀行はしっかりつぶす」「痛みにくじけるな」などと言っている。何という言いぐさか! 労働者とその家族にとって失業とは、明日からの生活の糧を失うことであり、生きていけなくなることを意味するのだ。
 しかも、これによって日本経済はけっして立ち直らならないどころか、恐慌が激化し、恐るべき破滅的事態に陥っていく。その行き着く先は戦争である。
 このことは一九三〇年代の歴史、すなわち世界大恐慌下での浜口内閣の井上(蔵相)緊縮財政の破産から、高橋蔵相のもとでの大量の公債発行による軍需インフレ政策、経済の軍事化、破滅的な中国侵略戦争の拡大と対米戦争に突き進んでいった歴史がはっきりと示している。日帝・小泉政権は、この戦争と破局の道を再び突き進んでいる。
 小泉の「高支持率」の陰で、確実に大不況、大恐慌が現実のものとなりつつある。日経平均株価は、七月四日現在で一万二六〇七円と二カ月間で二千円も下落し、森政権末期の最安値の水準にまで下がった。景気は後退とマイナス成長に突入し、総務省調査による五月の失業率は四・九%と過去最悪を記録し、完全失業者数は二十万人も増えて三百四十八万人となった。求職活動をあきらめた労働者を加えれば、実質的な失業者は七百万人を超える。「不良債権処理」で企業倒産と失業者が増えれば、一千万人に達する労働者が失業する時代が来る。
 これはもう本当に帝国主義(資本主義)が、体制的に破綻しているということだ。労働者人民の闘いで打倒しなければ、帝国主義は再びアジア侵略戦争―帝国主義間戦争に突き進むしかないのだ。
 労働者人民は、闘いと団結によって職場と生活と生命を守りぬく以外に、そして資本主義を打倒して労働者人民の社会をつくり出すために闘う以外にいかなる道もない。今こそ連合・全労連など帝国主義に屈服する労働運動の壁を突き破り、日帝・小泉政権の改憲・戦争、大失業攻撃と真っ向から対決する階級的労働運動の大前進を、国鉄決戦を軸にかちとろう。

 8月広島-長崎反戦大闘争へ

 七・一五三里塚を闘い、七・二九東西革共同政治集会に総結集しよう。八月広島・長崎反戦反核闘争の大高揚をかちとろう。夏期一時金カンパ闘争を、党勢拡大闘争と結合して全力で貫徹することを訴える。

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週刊『前進』(2013号1面2)

教育改革3法案成立弾劾 収用法改悪に怒り
 反戦共同行動委 連日の国会闘争  

 反戦共同行動委員会は六月二十八日と二十九日、教育改革関連三法案と土地収用法改悪案の阻止へ連日の国会闘争を闘いぬいた。
 教育改革三法案は、「不適格教員」の排除、問題ありとされた子どもの出席停止、奉仕活動の義務化などを定めた学校教育法、地方教育行政法、社会教育法の改悪案だ。土地収用法の改悪案は、土地の収用手続きの迅速化と一坪共有運動などの反対運動圧殺を目的としている。
 戦争に反対して闘う教育労働者や子どもたちのパージや、戦争のための土地取り上げなどの戦争法案だ。
 二十八日、梅雨の中休みの強烈な日差しと暑さの中、朝から全国各地の闘う教育労働者が駆けつけ、参院議員会館前で座り込みを終日貫徹した。これに連帯して反戦共同行動委員会も最後まで闘いぬいた。
 反戦共同行動委員会の座り込みには、学生や動労千葉の組合員や反戦自衛官の小多基実夫さんらが次々と参加した。座り込みをしながら国会前を通る人にビラを手渡し、全員が順々にマイクを握って訴えた。
 「教育関連三法案は、戦争反対の先生を排除し、『つくる会』教科書と一体で国のために生命を投げ出せと教育することを狙っている。小泉政権は本気で日本を戦争ができる国へとつくりかえようとしている」と法政大の学生が訴えた。
 反戦自衛官の小多さんは、小泉の「命がけで戦う決意を示すのが自衛隊」という発言は「二十数万人の自衛官に、命令ひとつで死ねと言っているのだ」と怒りをこめて弾劾し、奉仕活動の義務化は青少年に国のために命を捨てろという徴兵制の道だと話した。
 動労千葉の組合員も「子どもを再び戦場に送るような教育をしていいのか。労働組合としてそれでいいのか」と闘う決意を示した。
 夕方、土地収用法改悪案の採決が参院委員会で強行された。反戦共同行動委は、参院議員面会所前につめよりシュプレヒコール。
 続いて文教委員会でも教育改革関連三法案の採決が始まった。座り込みをやっていた教育労働者らも厳しい表情で議面の中に入り採決を弾劾する。許せないことに社民党の一部議員なども賛成にまわり、法案は委員会を通過した。
 委員会通過に大きな怒りが広がった。委員会は終了したにもかかわらず、闘う教育労働者たちの前に民主党や社民党の議員は姿を現さない。会わす顔がないと、なんと別の出入り口から逃亡してしまったのだ。みんなカンカンに怒った。「なぜ来ないんだ」と怒号が飛んだ。
 「参院本会議の通過は許さないぞ」「最後まで闘うぞ」とシュプレヒコール。翌日の本会議闘争に向けて決意と団結を固めた。
 翌二十九日。前日に続く強い日差しと暑さをものともせず、参院前に学生と労働者たちが集まった。
 「労働者人民は誰も、小泉の戦争政策や戦争法案には賛成していない。こんな国会は断じて許せない!」「小泉のパフォーマンスのもとで何が行われているのか。労働者の切り捨てや戦争国家化だ」。前日の委員会通過の怒りもおさまらず次々と訴えが続いた。
 本会議での土地収用法改悪案の採決が始まった。反戦共同行動委員会は参院議員面会所につめより弾劾のシュプレヒコールを浴びせた。続いて教育改革三法案の採決が行われた。賛成一八二、反対四三だ。再びシュプレヒコールがとどろいた。
 動労千葉の組合員が「本会議で可決されて残念です。民主党と社民党の一部が賛成している。日教組中央も賛成だ。既成勢力に代わり、絶対に戦争に反対して闘っていこう。連日の国会闘争を断固闘った。現場の怒りは大きい。小泉の仮面を引っぱがして闘おう」と国会闘争を総括した。
 この日の夕方、小泉は日米首脳会談のために訪米した。これに対して反戦共同行動委員会は小泉訪米阻止の横断幕を掲げ、断固闘いぬいた。

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週刊『前進』(2013号1面3)

小泉反革命と対決し闘う熱烈なカンパを

 革共同を支持しともに闘うすべての皆さん!
 東京都議選決戦に寄せられた全国からの熱い支持に心からお礼を申し上げると同時に、寄せられた力を勝利として結実させられなかったことを心からおわびします。
 革共同は、この現実を見据え、この敗北から学び、そして敗北にたじろぐことなく再決起し、反帝・反スターリン主義の革命党、労働者党として、勝利のために必要なすべてをやり抜く決意です。私たちは必死で自己を変革し、労働者階級人民の勝利への熱望にこたえられる党として飛躍することを決意しています。この立場から、すべての闘う仲間の皆さんに熱烈な夏期一時金カンパを要請します。
 都議選での「勝利」をテコに小泉反革命のあらしはいよいよ激しく吹き荒れています。参院選で小泉は、「改革に抵抗する勢力を一掃する」とうそぶいています。マスコミではこれが小泉と自民党内の反小泉勢力との戦争としてはやし立てられていますが、冗談ではありません。実際に進行しているのは、小泉政権の「聖域なき構造改革」や改憲・戦争のための本格的な国家改造攻撃に真っ向から立ち向かおうとする勢力を絶滅・一掃する攻撃です。恐るべき情勢が展開しているのです。
 したがって、われわれは、「つくる会」教科書の七月採択を阻止する闘い、小泉の八・一五靖国参拝を阻止する闘いなどと同時に、参院選決戦を政治決戦の後半戦として全力で闘い抜かなければなりません。
 参院選では、革共同は全国的には比例区のオータ昌秀氏の当選のために闘うことを決定し、すでに全力で立ち上がっています。現在の主客の情勢のもとで、オータ氏は小泉反革命政権に最も鋭く立ちはだかる候補です。それは、社民党からの立候補ということで否定されるものではありません。革共同は、独特の統一戦線戦術の展開としての位置づけをもって、オータ氏勝利のために全力で闘う決意です。
 選挙情勢は厳しく、当選が楽観できる情勢ではありません。われわれはあらゆる方法でオータ氏当選のために闘い抜かなければなりません。
 オータ氏が、名護新基地建設を撤回せよと政府に迫ることを公約している事実はきわめて重要です。ときあたかも沖縄で再び発生した米兵による暴行事件が日米関係を揺るがす事態へと展開しています。沖縄の怒りにこたえて、安保・沖縄決戦、改憲阻止決戦の大衆闘争的発展を切り開いていくためにも、参院選決戦・オータ氏勝利への全力決起を訴えます。
 三里塚闘争の決戦情勢、完全なデッチあげによる水島同志への起訴を始めとする権力の治安弾圧の激化を断固跳ね返そう。今こそ、中核派の革命的反発力を発揮して闘うときです。革共同は今不当にも長期獄中闘争を強いられているすべての同志の奪還のために本格的な闘争を開始します。権力の革共同絶滅攻撃をうち破って、労働者階級・人民大衆にしっかりと根付いた党を建設し、日帝の危機が生み出した小泉反革命と全面的に対決して闘います。
 すべての闘う仲間の皆さんの熱いカンパを心からお願いするものです。

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週刊『前進』(2013号2面1)

「1人80万円、75人再雇用」で闘争団売り渡しを策す本部
 「ゼロ解決」強要は断じて認めぬ チャレンジ・革同執行部打倒へ
 国労定期大会決戦に攻め上れ

 国労の次期定期大会は、国鉄闘争の生死を分かつ決戦となった。五月三十日、日比谷公会堂に集まった三千人の労働者とともに、闘う国労闘争団は解雇撤回までやむことのない不退転の決意を固めた。ここに築かれた陣形は、国鉄闘争の最後的解体をたくらむ小泉政権やJR資本の攻撃を、敢然と阻んでいる。だが、権力・資本とそれに屈した国労本部は、闘う闘争団の反撃におびえつつも、一層の反動性をむき出しにして、闘いの息の根を止めようと必死の策動を繰り広げている。彼らは、次期定期大会を四党合意に基づく「ゼロ解決」受け入れの大会として強行し、闘争団を切り捨て、国鉄闘争と国労の歴史に幕を下ろそうと企てているのである。昨年七月以来の四回の大会を上回る激突は確定的となった。チャレンジ・革同一派を打倒し、闘う新たな執行部を打ち立てよう。国労の階級的再生へ、総力の決起をかちとろう。

 闘争団踏みにじり極秘裏に「解決案」

 組合員からの信頼も、組合員に対する権威もすべて喪失した高嶋−寺内執行部は、今や権力・資本の手先としての反労働者的姿をむき出しにしつつある。
 許しがたいことに本部は、自民党や社民党に「解決案」の早期提示を懇願し、一切の反対を封殺してその受け入れを次期定期大会で強行決定しようとしているのだ。
 六月二十九日、社民党の渕上幹事長と自民党の甘利副幹事長が会談し、その場で渕上は「和解金一人八十万円、JR東海・西日本・貨物の関連会社で七十五人程度の再雇用」という案を提示したという。この社民党提案は、間違いなく国労本部の了承のもとに行われている。四党合意に基づく「解決」とは、最大限の水準においてさえ、こんなものでしかない。
 何よりも許しがたいのは、こうした「解決」を押し付けること自体、闘争団の人生と闘いを、この上もない卑劣なやり方で踏みにじっているということだ。闘争団が求めているのは、JR採用差別という国家をあげた不当労働行為への謝罪であり、「怠け者」のレッテルを張られて職場から排除された屈辱をぬぐい、「人間の尊厳」を回復することなのである。それは、労働者の自己解放を実現する闘いなのだ。
 だが、権力と国労本部がひそかに合意した「解決案」は、わずか八十万円の涙金を押し頂いて闘争をやめろと闘争団員に迫り、「人道的」「失業対策的な」関連会社への再雇用のためにJR資本への全面的な屈従を要求するものになっている。恥ずべきことに、国労本部はこんなものを国労の名において自民党らに要求し、それを「政治解決」だの「闘いの到達点」だのと強弁しているのである。敵階級の回し者に転落した本部を、怒りも新たに今こそ打ち倒さなければならない。
 闘争団と国労組合員にとって、こんな「解決」など受け入れる余地はみじんもない。五・三〇集会で闘う闘争団は、解雇を撤回させ、人間の尊厳を回復するまで闘いを投げ出すことはできないと真正面から宣言した。JR採用差別以来十四年にわたって、あらゆる辛酸をなめさせられてきた闘争団が、揺らぐことのない不抜の決意を固めて登場したことが、多くの労働者の共感を呼び、この集会への圧倒的な結集を生み出したのである。機動隊を導入して強行された一・二七大会以降、国鉄闘争解体へと一挙に突進しようと試みた敵の攻撃は、ここに一頓挫(とんざ)した。
 こうした中で国労本部は、自民党や社民党に「何でもいいから解決案を早く出してくれ」と泣きつく一方で、闘争団と国労組合員の反撃を恐れて、出された解決案を公表することもできない状態にたたき込まれている。大会の日程も決められず、運動方針案の最重要部分も作成できないままに全国大会代議員選挙を行った国労本部の前代未聞の体たらくは、組合民主主義を踏みにじっているだけでなく、本部の反動的思惑が根底的に破産していることの現れでもある。
 今日、国労本部は、「一人八十万円、七十五人の再雇用」という水準以上のものは引き出せないとあきらめながらも、「これでは闘争団を抑えられない。もう少し色をつけてくれ」と、ますますみじめに権力や各政党にすがりついている。
 だが、「聖域なき構造改革」を唱える小泉政権にとって、国鉄闘争はもはや一刻も放置しておくことのできない存在となっている。だからこそ権力は、「(解決案の)中味がけしからんからやっぱりやめたということはあってはならない」(三月十五日の四党協議後の記者会見での甘利の発言)と言い放ち、「解決水準」をめぐる一切の交渉を拒否して、むき出しの暴力で国鉄闘争の解体へとのめり込む以外にないのだ。今や敵権力の中にしか支えをもたない高嶋−寺内執行部が、これにやすやすと屈服していくことも明白だ。
 敵権力の忠実な先兵と化したチャレンジ・革同一派は、国労を分裂させても次期大会で「ゼロ解決」受け入れを強行するための反動的な中央突破を図ってくる。次期定期大会は、こうした攻撃との激しい攻防として火を噴こうとしているのである。

 小泉反革命と対決する最前線の闘い

 国鉄決戦の行方には、日本の労働運動総体の存亡がかかっている。五・三〇集会に結集した三千人の労働者の間には、「聖域なき構造改革」を唱える小泉政権への強い危機感があふれ、小泉と全力で対決しなければならないという決意がみなぎっていた。すべての参加者が、国鉄分割・民営化をも上回る大攻撃が自らの職場・地域に襲いかかろうとしていることを直感し、これと闘い抜くためにも、闘う闘争団とともに進むことを決断したのである。
 国鉄闘争は、ここに示された力のすべてを糾合し、牽引(けんいん)して、自らの勝利を切り開かなければならない。今ほど、十四年におよぶ国鉄闘争の意義が深く広く労働者階級に浸透し、その闘いが輝きを増す時はない。
 帝国主義の根本的な矛盾が爆発し、史上空前の世界大恐慌へと突き進んでいる中で、小泉内閣は日本を戦争のできる国家に変える新型の極右的・ファシスト的国家改造計画を押し貫く政権として登場した。
 小泉は、「痛みを伴う改革を断行する」と呼号しつつ、二、三百万人もの新たな大失業を労働者に強いようとしているのだ。「不良債権問題の抜本的解決が日本経済再生の第一歩」「つぶれるべき企業はしっかりつぶす」などと言いなして、倒産・解雇を激発させようとしているのだ。さらに社会保障は根底的に解体され、大増税がのしかかる。これがもたらすものは、まさに大失業と弱肉強食の地獄絵図である。金融独占資本の延命のために、労働者人民はどこまでも犠牲になれということだ。
 こうした攻撃を貫徹するためには、労働者の階級的団結を解体しつくす以外にない。経済財政諮問会議の基本方針は、「市場の障害物や成長を抑制するものを取り除く」と言い放った。資本にとって「市場の障害物」の最たるものは、労働組合−労働者の階級的団結にほかならない。
 だから小泉政権は国鉄闘争の解体へと全力を傾けている。小泉は、千四十七人の闘いを恐れているからこそ、千四十七人を「敗者」としてさげすみ、人間的尊厳を奪い続けるためにいきり立っているのである。
 先の国会で成立したJR完全民営化法の審議において、国土交通大臣の扇千景は、千四十七人問題に言及して「三年間にわたって再就職の援助をした」「(再就職)あっせんで示されたものが不満であるという時代ではなくなった」「日本の中では失業率四・七、自殺したり家族で心中したり、あらゆる失業者が出ている中で、(再就職先を)示してくれなければしないよという甘えも一般失業者から見ればおかしい」などと何度も言い放っている。そして、東京地裁・東京高裁の反動判決やILO第二次勧告を盾にとって、JRの不当労働行為責任を否定するばかりか、国鉄によって不当労働行為が行われたという事実さえ消し去ろうとしたのである。
 ここには、解雇撤回を求め、団結して闘う千四十七人への反動的憎悪が満ち満ちている。゛首を切られたらおとなしく従え、低賃金の再就職先しか見つからなくても文句を言うな、生活できなければ一家心中でもしろ″と、支配階級は居丈高に叫んでいるのだ。
 だが、国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為の下手人どもが今なおのうのうと居座り、解雇された労働者に向かって「痛みに耐えよ」などとわめいているこの現実に対する怒りこそが、千四十七人闘争の核心なのである。
 何度踏みつけにされ、地の底にたたき落とされても不屈にはい上がり、立ち上がってくる千四十七人の存在に、敵階級は根底的な恐れを抱いている。同時にそれは、今、小泉「構造改革」の矢面に立たされている幾多の労働者に限りない勇気を与えている。
 経済財政諮問会議の基本方針は、「今後二、三年間を日本経済の集中的調整期間と位置づける」と言う。それは、社会全体を恐慌激化と倒産・首切りのあらしに投げ込み、労働運動解体の不当労働行為を横行させるということだ。国鉄分割・民営化を前後する数年間とまったく同じ状況が、すべての労働者をのみ込もうとしているのだ。現に、特殊法人がやり玉にあげられ、郵政民営化攻撃は一層激しさを増し、教育労働者への攻撃が吹き荒れ、公務員労働運動解体の策動はいよいよ本格化しようとしている。民間でも、解雇・倒産争議への治安弾圧型の攻撃が襲いかかっている。
 こうした攻撃に直面した労働者が、千四十七人の人生と闘いを自らの手本とし、それとともに進むことを選択しつつある。ここにこそ、国鉄闘争勝利の限りない展望が存在するのだ。

 国労解体狙う全面外注化攻撃粉砕を

 小泉「改革」の切っ先に位置するものこそ、JR東日本の「ニューフロンティア21」を始めとした第二の分割・民営化攻撃である。
 JR総連・東労組は六月十三日、「設備部門のメンテナンス体制の再構築」を妥結した。さらに、六月十七−十九日のJR東労組定期大会で、松崎が会長を辞任し「顧問」となった。こうした形で、JR総連カクマルは、国会でも問題とされた「東労組カクマル支配」の追及をなんとかかわし、JR東日本の「ニューフロンティア21」の先兵となることを一層深く資本に誓ったのだ。
 JR東日本は、こうした中で全面外注化の十月実施へと攻撃の手を一挙に強めている。設備部門のほとんどは国労職場である。権力・資本は、四党合意で闘争団を切り捨てさせるとともに、JR本体においても国労を解体に追い込もうと必死なのである。
 だが、全面外注化など簡単にできることではない。事実、運輸・車両部門の外注化は三月末に東労組と妥結したが、各支社段階での具体的提案はいまだにできないままである。春闘百二十時間ストを貫いた動労千葉を先頭に、裏切り者=東労組カクマルを踏みしだいてすさまじい抵抗が起こることを突きつけられているからだ。
 設備部門の外注化も、不退転の決意で闘うならば必ず阻止できる。電車の運行を実際に確保しているのは、度重なる攻撃に耐えて職場に残り、現場を熟知している国労組合員である。そのすべてを関連会社に出向・転籍させなければ成り立たない全面外注化など、初めから破産的なのだ。
 かつて分割・民営化攻撃の中で、国労の役員・活動家が狙い撃ち的に出向を強制された時、JR資本はそれを国労解体の手段としながらも、出向先に国鉄労働運動の火種が伝播(でんぱ)することをどれほど恐れていたかを思い起こそう。あらゆる抵抗を貫けば、この攻撃は必ず敵の弱点に転化する。
 だが、全面外注化攻撃に対する現場組合員の怒りを闘いへと結実させるためには、本部・エリアに巣食うチャレンジ・革同の執行部を今こそ打ち倒さなければならない。彼らは、現場の闘いを抑圧するだけでなく、卑劣きわまりないことに「反合理化闘争ができないのは闘争団がいるからだ」などとして、「メンテナンス再構築」との闘いを放棄した自らの裏切りをも、闘争団切り捨ての口実に用いているのである。
 五・三〇集会へのJR本体五百人の結集は、こうした攻撃の中で闘争団とのより緊密な結合の中に勝利を求める、国労組合員の血叫びにも似た意思を示した。
 高嶋−寺内執行部打倒、国労の階級的再生をかけて、全国大会決戦へと攻め上ろう。

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週刊『前進』(2013号2面2)

「つくる会」教科書7月採択絶対阻止を
アジア人民の要求一蹴した「自主訂正」申請を弾劾する

 いよいよ教科書の採択をめぐる正念場を迎えた。文科省への報告期限の八月十五日へ向け、大半の地区では七月中に採択する教科書を決める。杉並区では七月十一日の教育委員会で教科書選定審議会からの答申を受理し、二十四日と二十五日の教育委員会において教科書採択の審議を行って採択を決定しようとしている。この七、八月、靖国神社公式参拝を頂点に激化する小泉反革命と真っ向から対決しなければならない。この重要な環として、「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択を絶対に阻むために総決起しよう。

 「内政干渉に屈するな」と排外主義宣伝

 採択を目前にして、「つくる会」と日帝・小泉政権―文部科学省は、アジア人民の再修正要求を真っ向から踏みにじった。五月に韓国政府が三十五項目(「つくる会」教科書について二十五項目、他七社の教科書について十項目)、中国政府が八項目(すべて「つくる会」教科書)の再修正を求めたのに対し、これを完全に拒否したのだ。
 まず「つくる会」が七月二日、文科省に、歴史教科書の九カ所を「自主訂正」することを申請した。
 その「訂正」内容自身がまったく許しがたい。九カ所の「訂正」のうち、韓国政府の再修正要求二十五項目にもかかわる個所が五カ所あるが、その内容は以下のものである。
▽三八ページ 「海を渡った大和朝廷の軍勢は、百済や新羅を助けて、高句麗とはげしく戦った」のうち、「や新羅」を削除
▽一八五ページ 「中国の服従国であった朝鮮」を、「中国の強い政治的影響下にあった朝鮮」に変更
▽一九八ページ 「朝鮮やベトナムは、(中略)中国の歴代王朝に服従していた」を、「朝鮮やベトナムは、(中略)中国の歴代王朝の強い政治的影響下にあった」に変更
▽二四〇ページ (韓国併合について)「韓国の国内には、一部に併合を受け入れる声もあったが、」のうち「一部に併合を受け入れる声もあったが、」を削除
▽二九八ページ 「従来の国境線である北緯三八度線の付近で」のうち「従来の国境線である」を削除
 中国政府が再修正を求めた項目については、ひとつの「訂正」もない。要するに朝鮮・中国―アジア人民が猛然と抗議している核心的な点については、何ひとつ手を触れていないのだ。
 「つくる会」歴史教科書は、日帝が朝鮮・台湾植民地支配の中で強行した日本軍軍隊慰安婦や強制連行・強制労働の事実を完全に抹殺し、南京大虐殺については゛まぼろし″説を展開し、三光作戦も七三一部隊も抹殺した。数千万人のアジア人民を虐殺した日帝の朝鮮・台湾植民地支配や中国―アジア侵略戦争の真実を覆い隠し、居直り、正当化した。そして天皇制と皇国史観を全面賛美し、゛日本民族は優秀な民族″と排外主義的イデオロギーをまき散らし、その対極で朝鮮や中国人民を蔑視(べっし)し、゛遅れた国″゛劣った民族″と描きあげた。
 「つくる会」が申請した「訂正」はこうした核心的内容はただのひとつも変えず、まさに口先だけ、うわべだけの、およそ「訂正」の名にも値しないものだ。
 ここでさらに問題なのは、なぜ今「つくる会」が「自主訂正」したのか、ということである。
 「つくる会」会長の西尾幹二は同日の記者会見で、「自主訂正」が「韓国政府の修正要求とはかかわりない」ものであり、「われわれの歴史の理解に『明白な誤り』はない」が、「教科書の完成度をさらに高めるため」の「訂正」だと言った。さらに「外国政府の指摘による日本政府の修正命令は、絶対にあってはいけない。それは次の検定で再び外国の干渉を誘い、教育という国家主権の基本を犯すことになるからである」と述べ、中国政府の要求については「(韓国の要求と違って)中国は、日本を野蛮な犯罪国家として認めろ、という強引な解釈を要求しているだけであって、われわれは全否定するしかない」と言い放った。
 朝鮮・中国―アジア人民の抗議を真っ向から踏みにじり、まったく逆に、両国政府の再修正要求を「不当な内政干渉」と言い張り、「外圧に屈するな」とさらなる排外主義キャンペーンをまき散らすための「訂正」なのだ。
 「訂正」発表に対して、朝鮮・中国人民は一斉に抗議の声を上げている。そして韓国政府当局者は「世論を意識した面目を保つうわべのものにすぎない。植民地開発論など核心的な部分はまったく訂正されていない。受け入れがたい」と批判。中国外務省も「中国が求めた部分は修正されていない。依然として多くの歴史をわい曲した部分が存在する」と表明した。
 しかし日帝の側は「訂正」に全面的に承認を与えた。自民党幹事長・山崎は「自主的に修正されたことを評価したい」と言い、公明党幹事長・冬柴も「評価したい。韓国側にも評価されるだろう」と発言した。こんな「訂正」を評価し、韓国政府にも承認を求めるなど、絶対に許せない。

 文科省も韓国・中国政府の修正要求拒否

 さらに、韓国・中国両政府の再修正要求を受けて、文科省が専門家に行わせていた精査の結果が、七月七日ごろまでに公表されようとしている。
 その内容は゛古代朝鮮史の部分などは学界の通説と異なると認める″が、゛近現代史部分の韓国併合や植民地政策などのほとんどは、解釈や表現上の問題″であり、゛韓国の修正要求三十五項目、中国の同八項目の多くはこれに含まれる″とするものだ。また日本軍軍隊慰安婦など記述が欠けているという指摘についても゛加筆は求められない″としている。
 文科省は、両国政府の再修正要求の直後から主張してきた「一度合格した教科書を文科省が修正させることはできない」という立場を押し通し、さらに再修正要求の内容について、とりわけ近現代史、植民地支配と侵略戦争の記述については何ひとつ応じるべきものはないと一蹴したのだ。
 そもそも韓国・中国両政府の再修正要求とは、朝鮮人民・中国人民の決起が政府を突き動かした結果であり、朝鮮人民・中国人民が求めているものからすれば最低限・最小限の要求でしかない。この要求までも完全に一蹴した小泉と文科省を徹底的に弾劾しよう。

 「つくる会」への誘導を狙う都「調査資料」

 石原都政下の東京都教育委員会は六月十五日、現在採択過程にある小中学校の教科書を比較する「教科書調査研究資料」を公表した。これまでの都の教科書調査研究資料は、写真や小見出しの数を数えるなどのもので、内容の比較・検討はしてこなかった。しかし今回初めて、各教科書の内容に踏み込んで比較した一覧表を作成し、各区市町村教委などに送付した。
 その内容は、「つくる会」教科書の採択へと誘導しようという意図が見え見えのものである。
 まず冒頭に調査研究の観点として、学習指導要領を九八年に改悪した部分と、今年一月に改悪した都の教育方針をクローズアップした。(学習指導要領は改悪により、「歴史分野の目標」に「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」と、露骨な゛愛国心教育″が盛り込まれた)
 そして歴史教科書八社を「a歴史上の人物を取り上げている箇所数」「b現在に伝わる文化遺産を取り上げている箇所数」などで比較し、「つくる会」教科書が「a」は五百六十七カ所、「b」は四百十六カ所と、他社を大きく引き離してトップになるという数値データを並べて、「つくる会」教科書の採択へと誘導しようとしているのだ。
 都知事・石原は六月八日に同資料について「各市区町村の教育委員に責任を履行してもらうためにも、その手助けになるようにわかりやすいリストを作った」と得意げに語った。石原の言う「教育委員の責任」とは゛現場教員の声を排除せよ″ということである。「つくる会」教科書の採択へと誘導する石原の策動を絶対に粉砕し、東京における「つくる会」教科書採択を絶対に阻もう。

 徳島・佐賀に続いて採択を絶対に阻もう

 全国各地で「つくる会」教科書に対する危機感が広範に広がっている。教委への申し入れ・要請行動や座り込み、デモ、講演会・学習会、署名運動などが、教育労働者を先頭にあらゆる市民団体、労働団体を糾合して闘われている。そうした闘いによって、すでに徳島県や佐賀県では「つくる会」教科書を採択しないことが決定された。
 都議選敗北をのりこえて闘う杉並区民の闘い、座り込み闘争を闘った西村綾子相模原市議の闘いに続き、「一冊たりとも使わせない!」――このことをあらためてはっきりさせ、残る半月余、できることはなんでもやって採択を阻もう。

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週刊『前進』(2013号2面3)

西村相模原市議、市役所前で座り込み “「つくる会」教科書採択させない”

 相模原市議会議員の西村綾子さんは、七月二日から五日まで「つくる会」教科書の採択を阻むために相模原市役所前で座り込みを行った。連日、市民が応援に駆けつけ、道行く市民も次々と賛同署名に応じ、メッセージの短冊が笹に飾られた。新聞で知って駆けつけた人もいる。
 西村さんは「私はこれまで『戦争のない、差別のない社会を』と願って生きてきました。『つくる会』教科書を認めるわけにはいきません。朝鮮・中国・アジアの人びとや、日本で唯一地上戦が行われ、犠牲を強いられてきた沖縄の人びとと、『二度と侵略をさせない』という責任をとることで本当の友人になりたいと思っています」と訴えている。
 部落解放同盟全国連合会の瀬川博委員長や動労水戸、沖縄の桑江テル子さん(うないネット・コザ主宰)、北海道のアイヌ民族の人からも激励が寄せられた。
 相模原市は七月三十日の教育委員会で教科書採択を決定するという重大な局面を迎え、市教委には多くの市民から「つくる会」の教科書を使うなという陳情が出されている。連日の猛暑の中、朝八時から夕方五時まで西村市議は座り込みを貫徹した。(写真は7月4日)

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週刊『前進』(2013号3面1)

新連載 改憲・戦争国家化と大失業−小泉反革命と徹底対決せよ 1
 デマゴギッシュな扇動政治  金融独占資本の延命狙う

 今号より、小泉政権が改憲・戦争国家化の反革命政権であり、恐慌と不況を激化させ、倒産と大失業、社会保障解体、大増税を労働者人民に強制する金融独占資本の極悪政権であることを暴くシリーズを五回連載する。このテーマは、当面する参院選闘争にとって重要であるだけではない。日本が大失業と戦争にのめり込んでいくのか、それとも労働者人民の力で帝国主義そのものの打倒に向かって前進できるのかという分岐が、この小泉反革命との対決に問われているのだ。

 森派会長として森を支えた小泉が「改革者」とは何事か

 まず、四月の小泉政権の「劇的な」登場とその後の八割、九割という驚異的な内閣支持率という事態は何を物語っているのか。
 今年初め、日本経済の情勢は急激に悪化し、三月中旬にはほとんどパニック的な状況を呈するに至った。
 この経済危機の激化を根底に、日帝・自民党と森政権の危機は深刻化した。KSD(ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)汚職事件の問題(参院自民党最高幹部の村上らの逮捕・起訴)、外務省と内閣官房の機密費疑惑、そして実習船「えひめ丸」沈没事件とその際の森の対応(かけゴルフ問題)などが噴出し、森政権の支持率は低落の一途をたどり、最後には数%にまで落ち込んだ。森の「神の国」発言を始めとする数々の「失言」も森への不支持を増幅した。何よりも森の出発点における「密室での誕生」が人民の森に対する怒りの原点であった。
 昨年末の「加藤の乱」では、森不信任を数の力でねじ伏せた野中ら橋本派幹部も、これではもたないとばかり、森降ろしを開始した。派閥力学によって、順当に「橋本龍太郎総裁」が選ばれる情勢になった。しかし、橋本は三年前の参院選で大敗北し、首相を辞任した前歴の持ち主である。橋本が再び首相をやれば、再度の大敗は明白であった。何よりも地方の自民党組織が「橋本では勝てない」と大合唱を起こした。
 自民党総裁選には橋本、小泉、亀井、麻生の四人が立候補し、この総裁選びがテレビ、マスコミを通じて大々的に宣伝された。四候補が全国の街頭に出て合同の遊説を行い、「誰が改革者か」を国民的に問うという構図がつくられた。この総裁選自体が恐るべき反革命としてあったのだ。自民党の権威も信頼も地に落ちているのに、その自民党が自らを変える余地があるかのように演出されたのだ。
 そこで、政権派閥であった森派会長であり、いわば「戦犯」であるはずの小泉が、「改革者」として立ち現れ、その小泉を「変人」と言い、自民党の中では無派閥のアウトサイダーであった田中真紀子が熱烈に小泉を応援するという形で、「小泉旋風」を起こした。小泉は派閥会長を降り、「派閥解消」をうたい、「自民党を変える、日本を変える」と大ペテンを叫んで、党員のみならず労働者人民を扇動した。
 自民党という一党派の総裁選であるにもかかわらず、まるで疑似国民投票のような様相を呈した。歴代の政権を牛耳ってきた「田中・竹下・小渕・橋本」の主流派閥に対する全人民的な怒りを背景に、それに対する「改革者」として自らを押し出すことで小泉は総裁に選出されたのである。街頭とテレビを制圧した小泉は、まるで全人民の支持で総理・総裁に選ばれたと錯覚させるような登場の仕方をしたのであった。
 だが、この全体構造がまったくインチキなのである。問題は自民党の改造ではなく、自民党の打倒であった。小泉は、「自民党打倒」という人民の怒りの中で、自民党の起死回生の救済者として出てきた扇動政治家なのだ。

 官僚・派閥政治と闘うポーズで異様な「小泉人気」を演出

 小泉は、まず組閣においても森派に立脚しながら橋本派外しを意識的に行い、女性閣僚を五人登用するなど従来の「派閥均衡」内閣という前例に従わないポーズをとった。小泉は自らの組閣を「政権交代にも等しい」と表現し、「改革実行内閣」と称した。この「改革」を小泉は徹底的にアピールし、看板にした。
 このスローガンのインチキ性は、あたかも小泉が既成のものを破壊するかのように言っていることである。従来の竹下・橋本派的な利権と利益誘導の政治、汚職、官僚の腐敗などを一掃してくれるのではないかという幻想を振りまいているのである。
 田中外相は、まったく破綻しているが、外務省の官僚と闘い「大掃除」を実行するかのように振る舞っている。小泉は「道路特定財源見直し」などを掲げ、政官財(業)の癒着をはがすかのように言っている。何か官僚や守旧派と対決しているかのように演出しているのだ。だが、そこに大ペテンがある。
 小泉は「小泉内閣に反対する者はすべて抵抗勢力」であると語り、既得権益と闘うことを掲げ異様な幻想を振りまいているのだが、小泉が言う「痛みを伴う改革」とは、大銀行・大企業(金融独占資本)が生き残るために労働者人民にものすごい大失業と犠牲の転嫁の攻撃をかけるということなのだ。小泉は金融独占資本の利害をむき出しに貫く政権なのだ。
 国会の演説や答弁でも、演壇から国民に向かってアジテーションするように語り、そのことで従来の政治家とはまったく一新したイメージをかもし出している。そしてマスコミが救世主のように小泉を報道し、一層小泉のイメージアップに精を出している。
 だが、それはまったくのインチキだ。小泉は最も自民党的派閥的人物であり、旧来の自民党政治を推進してきた張本人である。そもそも小泉は、森政権と闘って森を打倒して政権についたのか。森派会長として四カ月前の「加藤の乱」の際には、「一人になっても森を支える」とうそぶき、「盟友」加藤を見捨てて、森不信任案をつぶす立役者になったように、改革者でも何でもないのだ。何が「小泉革命」か。ふざけるなということだ。
 小泉は、自民党支配をよみがえらせるために「自民党を変える」と言っているにすぎない。そして従来の自民党と闘うポーズをとって、民族主義、愛国主義、排外主義を満展開し、それをもって国民結集政策を展開しているのである。

 憲法9条改悪と大統領的な強権をめざす「首相公選制」

 小泉は、総裁選渦中から「首相公選論」を改憲論に併せて主張してきた。小泉は、憲法第九条を変えることを公然と掲げており、いわば改憲派の急先鋒(せんぽう)である。その小泉が、まず第一に改憲の道筋を付けるために「首相公選論」を掲げて、突破口を開こうとしているのである。
 首相公選論について、「『憲法をこうすれば改正できる』と国民に理解されやすいのが首相公選制だ。他の条文は一切いじらない。具体的な改正で、改正手続きも鮮明になる」と四月二十七日の記者会見で語っている。九条改憲がまだハードルが高いから、まず首相公選制に限って改憲をやるというわけである。
 これは小泉の持論だ。昨年五月十一日の衆院憲法調査会での発言でも小泉は「憲法改正が国民の理解を得るための足がかりとして、首相公選制を導入すべきである」と言っている。
 小泉は、あくまで九条を始め現憲法の全面改悪を目指しているのだということを自認し、公言しているのである。改憲のための改憲を強行すること、改憲のハードルを低くすること、憲法は「不磨の大典」ではなくどんどん変えたい時に変えていっていいのだという「国民的経験」を積んでいこうということ、ここに狙いがあるのだ。絶対に粉砕しなければならない。
 さらに首相公選制について、小泉は「総理を選ぶ権利を国会議員から一般国民に渡す政界の規制緩和」だと言う(同会見)。
 「首相を公選で選べば、首相が強力なリーダーシップを発揮することができる」とか、「国会議員だけでなく、広く国民が首相の選挙にかかわることができる」などという論理で、中曽根以来「首相公選論」が繰り返し登場してきたが、今回、小泉が総裁選で持ち出してきたのである。
 それは、戦後の議会制民主主義を解体し、小泉のようなデマゴギッシュな扇動政治家が首相になりやすくなる制度である。政治機構とマスコミを牛耳るブルジョアジーが、圧倒的な宣伝を行うことで、大統領権限に近い権力を持つ首相をつくりだそうというものである。いわゆるボナパルティズム的統治形態に接近するものだ。
 議会制民主主義というブルジョアジーに有利な統治形態でも、人民の怒りの蓄積で思うように支配が貫徹できない「限界」を反動的に突破して、首相権限を絶大なものに強化し、戦争国家化することでのりきろうとしているのである。
 また小泉は、自らを「世直し」の「革命家」であるかのように押し出す道具としても、この首相公選論を使っているのである。

 極右政治家が日本の政治の頂点に立って戦争へと突進

 どの世論調査でも小泉内閣の支持率が八割から九割を占めるという結果が続いている。これは明らかにマスコミがあおりつくりだしている幻想であるが、同時に、これまでの自民党政治、そして今日の日本経済に労働者人民大衆が不満と怒りを持ち、大きな閉塞(へいそく)感を持っていることの現れであるとも言える。現状打破の巨大な欲求と期待、また政治支配の危機がさしあたり「小泉人気」として幻想的に表現されているのである。
 これに対してわれわれは、小泉はオーストリアのハイダーにも匹敵する、いやもっと巨大な影響力を持つ極右政治家であり、ファシスト石原と同様の思想を持つ政治家が首都のみならず日本の頂点に立ったという重大事態、小泉の道は改憲・戦争と大失業なのだということを声を大にして訴え、その打倒に全力をあげなければならない。
 それとともに、小泉に対する幻想が強いほど、その「改革」がもたらす大失業と労働者人民の生活に対する打撃が現実のものとなった時に、それは逆のものに、すなわち帝国主義への怒りに転化する可能性をもっているのだということが重要である。結局、帝国主義を打倒するために団結して闘う以外に労働者人民は生きることができないことをはっきりさせていくことである。
 小泉は、旧来のものとは違う何かであるかのような装いで登場し、旧体制を打倒するようなイメージを振りまいているが、けっしてそのようなものではない。小泉は大恐慌・大不況の現実化の中で、没落帝国主義として体制的危機を深める日本帝国主義の延命の基本路線としてはこれ以外にないものとして選ばれて登場してきたものである。それは、「聖域なき構造改革」という形で、弱肉強食・優勝劣敗の資本主義の競争原理をむき出しにし、金融独占資本の救済をすべてに優先させることを目的として登場した政権である。
 そして、改憲、集団的自衛権、有事立法、靖国神社公式参拝など、これまで従来の首相がやりたくてもできなかった日帝の課題をあけすけに語り、政治テーマに上せることでブレークスルー(突破)しようとしているのである。改憲と戦争国家化、倒産・大失業、社会保障解体の小泉反革命と全面対決せよ。
 (高田隆志)

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週刊『前進』(2013号3面2)

8月広島−長崎反戦反核闘争へ

 被爆五十六周年八・六広島−八・九長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会から以下のような招請状が発せられたので紹介します。(編集局)

 「くり返すなアジア侵略−ヒロシマ・ナガサキ・オキナワを」のスローガンの下今夏広島・長崎反戦・反核闘争を爆発させ、極右小泉政権を打倒しよう!
 被爆56周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
 五月一日、米大統領ブッシュは、就任後はじめて安全保障に関する方針を発表した。
 ブッシュの「新国防戦略」の核心は、歴代米政権が戦略兵器による大量報復に頼ったMADの根幹である弾道弾ミサイル(ABM)制限条約を「冷戦時代の残滓」としていずれ廃案することを強調しながら、前大統領クリントンの米本土ミサイル防衛(NMD)にとどまらず、戦略ミサイル防衛(TMD)も組み合わせた、あらたなミサイル防衛網の開発に弾みをつけるという核軍拡政策にある。
 その狙いは、「イラクなどの『無責任な国』の小規模なミサイル攻撃に備え、米本土と同盟国を守るミサイル防衛網の必要性」と発表しながら、本当の狙いは、米帝国主義のバブル崩壊の危機にかられたアジア侵略のために、中国を敵視しその核を封じ込めることにある。九一年イラクへ「化学兵器使用には核で報復する」と通告し、スカッドミサイルを封じた上で劣化ウラン弾(核爆弾とは次元の異なる兵器であるが、使用後の放射能汚染問題を無視抹殺し、敵味方おかまいなしにその犠牲をおしつける、という点で核戦争の決断抜きには使用できない兵器)を投入した、あの「一・一七」大空爆(イラク人民の無差別大量虐殺)の再来が目の前に迫っている。
 こうしたブッシュの核軍拡に踏み切る戦争挑発政策は、中国の猛烈な反発を招くばかりでない。表面上は日米新安保ガイドラインの下で、こうしたブッシュ構想を支持しながら、小泉政権もまたアジアの市場権益を狙って独自の核軍備(核武装)を推し進めていく衝動を強めているのである。
 しかし、「非核三原則」をはじめ、形骸化したとはいえ核武装に対する自民党も含めた戦後体制の大きな非核の枠組みを突破しなければ、こうした独自の核軍備もできないことを小泉は知っている。小泉「改革」路線とは、五五年体制の崩壊後も残っている戦後民主主義的なものを最後的に一掃し、日本を「戦争に勝つことのできる国家」につくり変えるものだ。
 そのために、九六年「村山談話」で発表した「過去の戦争への反省」さえかなぐり捨て、国の意志として公然と「過去の戦争は、アジアの国々を解放した正義の戦争」と賛美し、「つくる会」教科書の検定合格から、「日の丸・君が代」の教育現場への徹底、教育関連法改悪案の国会成立を推し進めているのである。その頂点が八月十五日に強行しようとしている靖国公式参拝の攻撃である。
 小泉首相は、日本の労働者・民衆の反戦意識の背骨をなすもの〜ヒロシマ−ナガサキ、オキナワに体現される「過去の戦争への反省」を何としても転倒させる必要があると考えているのだ。
 それを裏付けるかのように、小泉は、早くも八月六日広島、八月九日長崎の原爆犠牲者追悼式典に参加することを表明している。
 現地に乗り込んで、「ノーモア、ヒロシマ・ナガサキ」というスローガン(これ自体すでに国家の戦争政策に屈服したもの)すら解体し、「国のために必要な犠牲をいとわない国民の育成」を恥じらいもなく式典で発表しようとしている。小泉が原爆慰霊碑の前にぬかずく姿の本質は「お国のために犠牲になった(殉じた)みなさんの霊に報いるために、今度こそアジアを解放する戦争に勝ちます」という決意なのだ。
 だからこそ、既成野党の小泉政権への屈服と一体となった、原水禁・原水協の反戦反核闘争(階級的原点からますます遠ざかるもの)を乗り越えて、「くり返すな! アジア侵略−−ヒロシマ・ナガサキ・オキナワを」というスローガンを労働者階級の原点に据えて闘う全国統一実行委員会に結集して、今夏の反戦反核闘争を闘う必要があるのだ。
 七月二十日の反戦反核東京集会の成功をかちとり、ヒロシマ大行動実行委員会の主催する「ヒロシマ大行動」への参加はもちろんのこと、八月六日、小泉を徹底的に糾弾する記念式典弾劾デモに大結集しよう。さらに八月八日・九日、これらの闘いを集約して九州の仲間を中心に全国からも結集する闘争として、長崎反戦反核闘争の勝利をかちとろう。
 被爆56周年8・6−8・9長崎反戦反核闘争呼びかけ人一同
 本島 等(元長崎市長)
 三角 忠(三一書房労組委員長)
 知花昌一(反戦地主・読谷村議)
 佐藤芳夫(元中立労連議長)
 吉田義久(相模原反核市民の会)
 高實康稔(長崎大学教授)
 下田禮子(反戦被爆者の会事務局長)
 坂井留吉(核燃から漁場を守る会)
 桜井善作(月刊小新聞「野火」発行人)
 大野康平(弁護士)

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週刊『前進』(2013号3面3)

全逓長崎大会 “新生ビジョン粉砕” 闘う組合員が決起訴え

 全逓第五五回定期全国大会が六月二十〜二十二日、長崎市で開催された。大量首切り計画である「郵便新生ビジョン」推進を承認するのか、労働組合としての原則を貫いて闘うのかを問う大会となった。
 大会初日、早朝から会場の長崎ブリックホール前には四・二八連絡会や全国労組交流センター全逓労働者部会などの多くの現場組合員らが結集した。ホール入り口付近には、「小泉政権打倒・郵政民営化阻止、郵便新生ビジョン粉砕」の横断幕が掲げられ、フェンスには「強制配転に断固抗議する」と大書された幕やのぼりが立ち並んだ。
 午前八時半過ぎから、大会代議員・傍聴者が続々と集まった。四・二八連絡会が代議員らに向かってアジテーションを始める。被免職者と現場組合員の思いを込めたビラやリーフが次々と代議員・傍聴者に手渡された。
 正午から集会が行われた。「被免職者の切り捨てから十一年目の昼集会、四・二八処分を撤回させ、現場組合員の手に労働組合を取り戻そう」と司会の四国の仲間が訴えて集会が始まった。昼休みには代議員・傍聴者がホールから外へ出てきて集会に注目する。四・二八連絡会、四・二八ネット、赤羽局共に闘う会と発言が続いた。四・二八連絡会は、「四・二八裁判は当時の東京郵政局人事課長・斎藤の証人尋問が決まった。来春地裁判決が予想される。処分撤回・原職奪還まで闘う」と述べた。全金本山労組、ユニオン北九州から「一人の首切りも許さない闘いをともに闘おう」との発言があり、全国の全逓労働者の発言に移った。
 「精神障害者」差別による分限免職と闘う芦屋局・高見さんは「自分の闘いは『障害者』が職場で働く権利を認めさせるものだ。労働者はやられっぱなしではいない。怒りをもって反撃に立ち上がる」と訴えた。
 次に被免職者三人が発言。「反合・反マル生・反処分で闘いぬく」「労働組合の原点を捨てるな」「大会代議員選挙に立候補し、当局、支部、地本などの妨害を打ち破って闘い抜く中で、支部委員会の中で出された多くの意見は、現場組合員と被免職者の気持ちがひとつだと実感するものだった。全逓を変えよう」と熱烈に訴えた。
 東北と関西の仲間は「小泉政権は公務員労働運動解体の突破口に郵政民営化をすえた。議案の従来の平和運動からの決別とは改憲を承認することだ」「人事交流は労働者の生命まで奪っている。労働組合が大リストラに協力することなど絶対あってはならない。国鉄労働者、教育労働者、民間労働者とともに闘う」と発言した。
 東京の仲間は「新生ビジョンに対し、このままではダメだという現場組合員の声が上がっている。新生ビジョンの進行は、中央本部の終わりの始まりであり、組合員自身による組合再生の闘いの始まりとなる。四・二八処分から二十二年の闘い、怨念(おんねん)をかけて郵政民営化粉砕へ闘おう」訴えた。
 九州の仲間の発言の後、力強いシュプレヒコールがとどろいた。全国大会闘争は、権力、カクマルの敵対を粉砕して貫徹された。
 今大会で連合全逓中央は、新生ビジョンの具体的中身を一切明らかにせず、その推進を強行することを宣言した。その上で、「参院選終了後、適切な時期に臨時中央委員会を開催し、諸課題に対応する」と答弁した。各地本大会などを闘い、臨時中央委決戦に攻め上ろう。
 (東北・全逓労働者M)

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週刊『前進』(2013号3面4)

「人事交流に」怒りの反撃 近郵を120人が弾劾

 六月一日、近畿郵政局は九百七十六人の「人事交流」=強制配転を発令した。奈良の東部支部長の支部外配転、兵庫明石の総分会長の配転、京都西北は今回で旧来の執行委員すべての配転など、大量の組合役員、活動家を近畿全域で強制配転した。さらに六級の「障害」を持つ労働者を通勤時間二時間二十分の局へ配転する、退職強要そのものの悪らつなものだ。
 郵政事業庁は今年一月十九日、年齢、通勤時間などの一切の制約をなくす「人事交流についての通達」を出した。連合全逓中央が裏切る中での、その本格的な職場破壊攻撃が今回の千人にも及ぶ強制配転だ。
 人事交流は「通区は宝」「人材育成」とは百パーセント無縁の大リストラ、団結破壊、組合つぶしの不当労働行為であり、公社化=郵政民営化のための首切り政策である。現場労働者の怒りは爆発寸前だ。
 この攻撃に反撃に転ずる三回目の近郵前闘争が「人事交流に反対する近畿郵政労働者の会」主催で六月十五日に断固打ち抜かれた。
 午後五時半過ぎ、百二十人の労働者が続々と結集。のぼりや横断幕を林立させ、「強制配転反対」の鉢巻きで怒りをたぎらせ、近郵の労担を圧倒した。
 怒りのシュプレヒコールで集会が始まった。司会は富田林局の全逓南河内支部執行委員が務め、「反対する会」代表の人事交流に絶対に屈しない決意が表明された。連帯のあいさつとして郵近労、全国金属機械港合同、全日建運輸連帯関西生コン支部、関西単一労組、関西合同労組、闘う国労闘争団とともに闘う北大阪市民の会、管理職ユニオンが発言した。
 各地で闘う郵政の現場労働者の決意が近郵にたたきつけられた。大阪高槻局、京都伏見局、兵庫垂水局から、それぞれ郵政の労務政策を現場の状況を暴露しながら弾劾した。近郵の労担はただ下を向いてうなだれ、正義がどちらにあるのかをはっきりさせたのだ。
 さらに今回強制配転された仲間が激しい怒りのアジテーションを行った。大阪小包局、兵庫西宮局、京都左京局、京都北局、そして京都西陣局の労組交流センター全逓部会の仲間が「三十一年の勤続で飛ばされた。人事交流という団結破壊を粉々にしてみせる。闘う全逓労働運動を取り戻す。長崎全国大会闘争を闘い抜く」と、連合全逓中央を打倒して全逓改革を闘いとる決意を表明した。シュプレヒコールを兵庫の全逓加古川総分会長が行った。
 「郵便新生ビジョン」粉砕のための全逓長崎全国大会闘争、そして全逓三年間決戦を闘う火ぶたをこの近郵前闘争が切り開いた。
 (関西・全逓労働者K)

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週刊『前進』(2013号4面1)

米兵の6・29暴行事件に怒りを
米帝ブッシュと日帝・小泉の名護巨大基地建設阻止せよ
 参院選 大田・新垣氏の勝利へ
   −――――大野和也  

 六月二十九日未明、沖縄県北谷町美浜の駐車場で沖縄本島内に住む二十代の女性が米空軍嘉手納基地第三五三特殊作戦支援中隊所属の軍曹(24)により暴行されるという重大事件が発生した。胸が張り裂けるような怒りを抑えることができない。しかも、目撃者がいるにもかかわらず、いまだに逮捕状の執行すらもできないという事態が続いている。アメリカ帝国主義は身柄引き渡し拒否に動いている。日本政府=小泉の対応も含めて、信じられないような理不尽がまかり通っているのだ。沖縄の怒りを共有し、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いをたたきつけなければならない。

 米日帝の戦争政策が暴行事件の元凶だ!

 六月三十日の『琉球新報』社説は次のように述べている。
 「煮えたぎっている『マグマ』は、もう沸騰点に達し爆発するのではないか。戦後五十六年、復帰後二十九年を経てなお絶えることない非道な事件に県民の怒りも爆発、火砕流のごとく流れだし、日米両政府を包囲する気がしてならない」
 この日は、小泉首相の訪米の日であった。すべての本土のマスコミは訪米を傷つけないためにこの暴行事件を極力小さく扱い、しかも犯人がよく分からないかのような報道を意図的に行った。まったく許しがたいことだ。事件は百パーセント明白であり、多数の目撃者がいるのだ。そして、日米両首脳は「日米関係に悪影響はない」とうそぶいている。ここに米帝の沖縄県民無視の態度、そして小泉首相の沖縄差別意識が如実に突き出されている。
 こともあろうに同じ二十九日、米海兵隊トップのジェームズ・ジョーンズ総司令官が「沖縄県民は基地を誇るべきだ」と発言した。この米軍の傲慢不遜(ごうまんふそん)、破廉恥な発言を誰が許せるというのか。
 小泉政権のもとで今、沖縄人民に何が強制されているのか。
 米帝の朝鮮・中国―アジア侵略戦争政策の激化、臨戦態勢化、それに突き動かされた小泉政権の改憲・戦争への国家改造計画こそが、この間のあいつぐ米軍による犯罪、事故の激増をもたらしている。他方で、資本による労働者階級へのリストラ・大失業、賃下げ、生活破壊の攻撃によって、どうにも我慢のできない事態として覆い被さっている。そうした中で、今回の事件が起こったのだ。
 日帝・小泉と米帝ブッシュにこうした沖縄の現実をもたらしている責任を必ずや取らせなくてはならない。日米地位協定と日米安保を粉砕し、すべての米軍基地撤去を勝ちとろう。

 参院選決戦に全力で立とう

 われわれは、小泉極右政権と対決し、日本労働者人民の将来を決する一大政治決戦の「後半戦」として今、参議院選挙決戦を総力を挙げて闘い抜いている。
 小泉政権は、ウルトラ反動の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を「骨太方針」などというインチキな呼称をかぶせて打ち出し、参院選での「勝利」をもって、一大反動攻撃を強行しようとしている。
 日帝・小泉政権の改憲、集団的自衛権、靖国公式参拝、「つくる会」教科書攻撃の中で、参院選が最大の政治決戦になっている。
 小泉政権の恐るべき凶暴性は、帝国主義経済の破たんと世界危機の全面的爆発、帝国主義間争闘戦の激烈化、その軍事への転化を背景としている。米帝国主義はブッシュ政権を登場させ、朝鮮・中国侵略戦争シフトを具体化しつつある。それは、対日争闘戦の観点に貫かれた米帝の政策として展開され、日帝を根底から揺さぶっているのである。存立の危機に立った日本帝国主義は、その体制的危機の強行突破、正面突破のために極右の小泉を政権の座につけ、一大攻撃に突き進んできたのである。
 このような時、「日本の危険な右傾化と対決」し、「沖縄問題を直接国政にぶつける」ために参院選に大田昌秀氏と新垣重雄氏が立候補されたことは大きな意義がある。
 大田氏は四月十七日の「出馬表明」で、「特措法改悪、新ガイドライン、国旗・国歌法制化、住民基本台帳などもろもろの戦争体制準備が行われ、有事法制、憲法改悪のアリバイ作りともいうべき憲法調査会の実施、そして報道機関に対する検閲の強化や教科書検定問題の再燃など、沖縄戦を経験した私には、今の状況は戦争という、いつか来た道の再来と思えてなりません」という現在の政治状況への強い危機感から出馬を決意したと述べ、小泉極右政権との対決姿勢をはっきり示している。
 また、大田氏は「まず、現在の戦争準備につながる一連の流れを何としても食い止めたい。具体的には、この沖縄の普天間基地については、……名護への移設は撤回し、グアムないしハワイへお引き取りいただくよう、アメリカ政府に対しても強く主張していきます」と、「普天間基地の名護移設の撤回」を明白に打ちだし、それを国政の場で貫くと述べている。この大田氏の決起は決定的に重要である。ここに、われわれは大田氏当選のために全力で決起する意義をはっきり見いだすことができる。
 大田氏はさらに、「戦争は絶えず不況の行きつく先に行われてきたのは歴史が 示すところであります」と現在の情勢の核心を喝破し、「高齢者も安心してくらせる街を作りたい。現在の社会は中高齢者にとっても若者にとっても大変暮らしにくくなってきております」との認識を示し、「現在、名護に作ろうとしている新基地は撤回し、それに要すると見積もられていた一兆円以上の予算は教育・福祉などに振り分けたい」と、われわれが都議選を闘った立場とつながる主張を大胆に掲げている。
 社民党比例区からの出馬とは言え、大田氏の主張は、沖縄人民の要求を体現しており、国政の場でこれを貫いて闘うとき、社民党の枠をも超え、一切の既成政党の枠組みを超えて、労働者人民が決起する重要な水路となるのである。
 小泉政権が日帝の従来の沖縄差別政策を上回る沖縄圧殺の姿勢を示している中で、これに挑戦する大田氏の出馬は、参院選を人民の側からの政治決戦として挑みかかる力となっている。参院選の核心は、大田氏の当選を実現するか否かにある。このことをはっきり確認して決起しよう。

 ブッシュ新軍事戦略と沖縄侵略基地の強化

 小泉政権の改憲=戦争国家化攻撃と真っ向から対決し、安保・沖縄闘争の本格的爆発をこじあけていかなければならない。改憲・戦争への国家改造計画を真っ向から掲げる小泉反革命は、沖縄問題を日帝の死活を制する重大テーマとしてラセン的に突き出し、沖縄人民との矛盾を極限にまで発展させるものだ。沖縄問題は小泉政権の最弱点である。先の日米外相会談で、田中外相とパウエル国務長官が「沖縄問題は頭が痛い」と確認し合ったことは、それを示している。沖縄は米軍のアジア展開のキーストーンであり、日帝の安保政策の矛盾の集中点だ。沖縄が日本革命のカギをなす位置にあることはいよいよ明らかだ。
 六月二十一日、ラムズフェルド米国防長官は上院軍事委員会で公式に「二正面戦略」見直しを明言し、北朝鮮や中国などの「新たな軍事的脅威」を押し出した「アジア戦略」重視の方向を示した。また「ミサイル防衛推進」を打ち出し、「同盟国を守るため前方展開戦力を維持する」と称して沖縄などの米軍戦力の維持を確認した。

 対日争闘戦が基軸の新戦略

 これに先立つ五月十五日には、米国防総省の委託を受けたシンクタンク・ランド研究所は、「米国とアジア」と題する新戦略報告書をまとめ発表した。その内容は実に重大である。
 第一に、「序論」において、アジア重視の姿勢を明確にし、その核心として対日争闘戦の立場を決定的に打ち出している。
 「経済優先政策によって得た経済力がアジアに潜在的に存在した対立関係と野望を浮かび上がらせる結果となった」とアジアにおける帝国主義的侵略戦争の準備の構えを鮮明にし、その中での核心問題として「問題は日本がこれまで通り日米同盟の枠組み内でそうした軍事力強化を図っていくのか、あるいは同盟離脱を念頭に置いているかだ」と問題を突き出している。
 そして、「日米同盟の再定義」という最後の項で「日本の戦略的受動性の時代は終わりを告げようとしている。……今後十年間に日本は活発に独自の安全保障戦略を追求することになるだろう。……こうした日本の活動は米国との同盟関係に強く根ざしてはいるが、方向変更の兆しもみられる。……将来、……独自路線を歩む日本を相手にすることになるだろう」と、対日争闘戦の構えを中心に据えているのである。
 第二に、「中国の登場」の項に大きなスペースを割いて、対中国侵略戦争の発動への実際の準備に入ることを露骨に示している。そして「もし米国が中国との武力衝突を避けるようなことがあれば、米国の信頼は損なわれるだろう」とまで言い切っている。
 第三に、こうした米軍のアジア軍事戦略の中で、「沖縄基地の活用」の項は沖縄基地の重要性を強力に確認して、よりエスカレートした在沖米軍基地の強化を打ち出している。まったく許しがたい内容である。
 「米政府は海兵隊普天間飛行場を空軍の併用運用基地とする可能性を検討すべきだ。海兵隊の伊江島補助飛行場も使用可能だ」とも述べている。
 さらに決定的なことに、「琉球諸島の一カ所あるいは複数に駐留することは台湾防衛に有利になることは明白だ。例えば下地島空港は二千b級の滑走路を持っており、台湾までわずか四百六十`しか離れていない。こうした琉球諸島南部の空港の使用を求めていくことが賢明かも知れない」と言っている。この間繰り返された下地島への米軍機の強行着陸もこうした米帝軍事戦略の下にどしどし実行されているのだ。
 さらにこの報告書の重大性は、「台湾有事の軍事シナリオは朝鮮半島と比較してまだ十分検討されていない」と述べていることだ。朝鮮侵略戦争の体制はすでに完成しており、いつでも発動できると確認した上で、さらに米帝ブッシュ政権が台湾問題をテコに中国侵略戦争を具体的にプログラムし、その準備に入っているということである。沖縄の基地をそのために決定的に強化しようとしているということである。

 戦争のできる国へ飛躍狙う

 小泉極右政権の登場は、こうした情勢に直接に突き動かされたものである。日帝は、実際に戦争をやる体制を構築しない限り帝国主義としての存続が不可能であるという現実に突き当たり、改憲、有事立法、集団的自衛権行使、戦争を賛美する教育への転換攻撃、靖国参拝による国のために命を捧げるイデオロギーの鼓吹へと突き進んでいる。
 六月二十二日の日米防衛首脳会談は、こうした流れの中で決定的に重大であった。それは日米安保同盟をテコとして日帝の独自の戦争体制の強化を狙うものである。ここで、中谷防衛庁長官は、集団的自衛権行使の問題や有事法制に関して研究・検討することを表明した。そして、さらにミサイル防衛システムについて「日本が主体的に運用する」という重大なエスカレーションに踏み切った。
 さらに、これらの一連の総仕上げとして六月三十日の日米首脳会談は、「日米は揺るぎない同盟」という確認をした。「日米関係を損なうようなことをしないのが指導者の責任だ」(ブッシュ)、「最も大切なことは日米関係の重要性に関し一致していることだ」(小泉)と両首脳が「日米同盟」を必死で確認したということである。ともに戦争をやる関係への飛躍が直接問題になる危険な水域に入ったことを、それは示しているのである。
 米帝はランド研究所報告書で「日本に対しては集団的自衛権を行使できる゛普通の国″になるよう導くべきだ」と、日本を安保の枠内でギリギリまで動員する方針をはっきりとっている。そういう中で、小泉極右政権は、首脳会談の成功をうたいあげ、日米同盟の強化の論理をもって、戦争のできる「普通の国」への飛躍に向かって突撃してくることは間違いない。
 沖縄はこれまで以上に米帝の前方展開戦略の要(かなめ)中の要とされ、日帝の側もそれを日帝の政策として強引に貫徹しようとしてくるということである。

 名護基地闘争勝利へ新たな陣形の構築を

 小泉政権の沖縄政策は、沖縄問題の切り捨て、基地の押しつけという沖縄差別政策を徹底的にエスカレートさせるものである。田中真紀子は稲嶺知事に「十五年という根拠は何か? なぜ十四年ではダメで、十六年ではダメなのか」などという暴言を吐いた張本人である。日帝・小泉の沖縄に対する差別的強権的姿勢の体現者だ。
 そして、小泉首相は、訪米を前に沖縄圧殺・名護新基地建設になんとか足がかりをつけようとして、六月二十三日に沖縄を訪問し、「基地問題は沖縄だけの問題ではない」などとうそぶいた。
 小泉の六・二三沖縄慰霊式典出席は、八・一五靖国公式参拝を強行するための口実作りであった。小泉は「六・二三は八・一五とともに日本人の原点」と言い、戦争賛美のために六・二三をさえ逆に使おうとするデマゴーグである。
 小泉は、田中外相とは違ってブッシュとの会談で十五年問題を、実に無責任な形で沖縄の希望の伝達として持ち出した。ブッシュはこれを直ちに拒否した。政府と県は引き続き十五年問題で努力すると言っているが、もはや完全に口先だけのごまかしでしかない。
 こうした情勢下で、稲嶺沖縄県知事が十五年問題を棚上げして名護基地の基本計画を確定するという立場を表明し、岸本名護市長もこれへの支持を表明した。五月に政府が提起した三工法八案に基づく二千六百bの巨大基地建設の決定を一挙に強行しようとしているのである。名護決戦がいよいよ本番に突入しているのだ。
 今日、アジアにおける日米争闘戦の激化と戦争体制の強化の中で、米軍、米兵による事件・事故は激増の一途をたどっている。沖縄人民の怒りはもはや限度を超えている。
 しかしこの間、九五年の少女乱暴事件を契機に爆発した沖縄人民の闘いは、九六年夏の最高裁判決を契機とした大田知事の方向転換によって混乱し、大田知事その人が右から倒される結果となった。その後、名護の市民投票の勝利によって大田知事は普天間基地の名護移設反対の立場を明確にしたが時すでに遅く、名護における岸本市長の登場、稲嶺県知事の当選によって事態は完全に暗転した。
 稲嶺と岸本は名護への移設をペテン的な条件をつけて受け入れた。これに対する沖縄人民の反撃に対して、当時の小渕政権は沖縄サミットを設定し、その重圧で闘争を圧殺した。名護における岸本リコールの闘いはこれによって挫折させられ、名護のヘリ基地反対協は本格的反撃の体制をいまだにとり切れていない。
 しかし、全世界の注視の中で、沖縄サミット決戦が全学連を先頭に全力で闘い抜かれ、その中で実現された嘉手納基地包囲の万余の人民の決起は沖縄の闘う「底力」を示した。
 一方この過程で、従来の沖縄「革新共闘」的構造は大きく崩されてきた。既成左翼は日帝と対決し人民の決起を組織しぬく路線も度量もないことをさらけ出した。名護での岸本市長リコール運動を最後に押しつぶしたのは日本共産党スターリン主義者である。また、社民党勢力も沖縄サミットへのみじめな屈従をさらけ出した。
 そして、ついに二〇〇一年の五・一五では、五・一五闘争そのものを圧殺する動きがはっきりと出てきた。今年の五・一五は、沖縄平和運動センターを中心として毎年とりくまれてきた県民大会や平和行進が、五月十五日をはずし、しかも縮小されて行われるということになった。既成左翼の屈服と連合を始めとする労働運動全体のさらなる右傾化の流れは、来年復帰三十年を前に沖縄の闘いをも全面的な屈服解体に追い込もうとしているのだ。
 それに抗して、新たな闘いの基軸を形成する苦闘が積み重ねられているが、事態を根底から塗り替える展望が直接切り開かれているわけではない。
 沖縄闘争の今後の展開は、もちろん、全国情勢に大きく規定さているが、沖縄における新たな潮流の戦闘的な闘いの陣形の強化、その軸となる主体の確立強化が鋭く問われているのである。革共同はその全責任をとりきるための飛躍をなんとしても成し遂げていく決意である。 

 日帝打倒の環 沖縄基地闘争

 あらためて沖縄問題、沖縄基地問題の対米帝、対日帝の非和解性を確認したい。沖縄問題は日米安保問題そのものであるがゆえに、日帝の存立そのものに直結している。その闘いの貫徹は、日本帝国主義打倒と不可分一体である。
 沖縄基地問題は、米帝と沖縄人民、日帝と沖縄人民の矛盾対立を激成し、名護新基地問題=普天間移設問題を中心的な切り口としてギリギリの深刻な局面に入り、大衆的爆発的展開情勢を引き起こしていく。そしてそれは日帝を根底から脅かし、日本階級闘争の再生的爆発の一大突破口となっていくのだ。
 プエルトリコのビエケスで、住民が実力闘争で米軍基地を完全閉鎖に追い込んだことは、大きな波及力をもっている。ブッシュ政権は、それが沖縄に「飛び火」することを避けようと必死であるが、この間形成されてきている韓国のメヒャンニ・沖縄・ビエケスの連帯の構図は、沖縄における基地撤去の実力闘争的発展を大きく促進する。
 名護市・辺野古の人びとを始め基地との闘いに全存在をかけている人びとと、階級的原則をあいまいにしない真に闘う潮流が結びつくとき、巨大な闘争に発展するのは確実である。
 小泉の言う「痛み」や「犠牲」はすさまじい勢いで沖縄を襲っている。基地労働者への首切り、無権利化、労働強化の攻撃は実に激しい。そしてNTT六万人首切りを策す「新三カ年計画」は、沖縄の労働運動の戦闘的拠点を一掃する攻撃としてかけられてきている。とりわけバヤリース労組に加えられた攻撃は、労働運動の戦闘的拠点を破壊する攻撃として計画的にかけられてきたものである。
 こうした攻撃と対決する闘いは、もはや既成の指導部によっては行えない。われわれの原則的な闘いだけが労働組合の団結をつくりだし、労働運動の戦闘的再生とそれを基礎とした全人民的な闘争の発展を可能とするのである。
 今こそ、小泉反革命と対決し、名護新基地建設を阻止しよう! 相次ぐ米兵犯罪、とりわけ六・二九暴行事件への沖縄人民の怒りを共有し、新たな沖縄闘争の爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2013号4面2)

“何度くり返せばいいのか!” 米兵の暴行事件許せぬ
 反戦共同、米大使館に抗議

 反戦共同行動委員会は七月二日、東京・赤坂のアメリカ大使館に、六月二十九日に起きた沖縄での米兵による女性暴行事件への怒りの申し入れ行動に立った。
 沖縄出身で杉並区議の新城せつこさんと東京反戦共同行動委員会代表の三角忠さん、全学連の学生が抑え切れない怒りを胸にアメリカ大使館へと向かった。警察権力が許し難い規制を策してきたが、断固はねのけて申し入れを貫徹した。
 まず全学連の大山尚行委員長が、「全学連はこの許すことのできない凶悪な米軍犯罪を徹底的に弾劾する。そしてこうした米軍犯罪の一切の根源である米軍基地の全面撤去まで沖縄民衆とともに闘う。米軍は沖縄から出て行け!」と弾劾をたたきつけた。
 そして今回の事件が在沖米軍の存在そのものによって引き起こされた極悪の沖縄差別であること、アメリカ帝国主義の中国・朝鮮侵略戦争に向けた軍事行動をエスカレートさせている中で引き起こされたことを強く糾弾した。
 続いて三角さんが、「私たち反戦共同行動委員会は、嘉手納基地に所属する米空軍軍曹による女性暴行事件を徹底弾劾する。そして犯罪の温床であり、戦争のための米軍基地を沖縄から直ちにすべて撤去するよう強く申し入れる」「公然と女性に暴行をはたらいて平気な感覚、これこそ人殺しの軍隊、侵略戦争の軍隊だからこそできることだ。沖縄に戦争と犯罪の基地はいらない。すべての基地を撤去しろ」と申し入れた。
 さらに新城区議が、米大使館として今回の米兵犯罪について、どのような認識を持っているのかと追及し、「これまで何度も大使館に抗議に来たが、もう抗議に来るようなことを繰り返してはならない」「これ以上、沖縄を愚弄するのは許せない」「沖縄の怒りは第二、第三のコザ暴動として爆発しようとしている」と弾劾した。
 相次ぐ米兵犯罪に怒りを爆発させ、日米地位協定を粉砕し、一切の元凶である米軍基地の撤去へ猛然と闘い抜こう。

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週刊『前進』(2013号5面1)

蘆溝橋事件から64年 7・7自己批判から31年
闘うアジア人民との連帯貫き 愛国主義・排外主義との対決を
 7・7精神発揚し 小泉反革命打倒へ

 日本階級闘争は、いよいよ本格的に民族主義・愛国主義・排外主義と真っ正面から対決する情勢に突入した。帝国主義の崩壊的危機の急接近の中で登場した小泉政権は、戦後日本の歴史を根底から転覆させ、侵略と戦争の道に突進する正真正銘の反革命政権である。中国侵略戦争の本格的突入となった一九三七年七月七日の盧溝橋事件から六十四年目、そして一九七〇年七・七自己批判から三十一年目の七・七を迎え、われわれは七・七自己批判以来のすべての蓄積をかけて、
小泉反革命との闘いを全力で推進することを誓わなければならない。       佐久間 祐

 アジア蔑視史観に貫かれた戦争賛美教科書採択阻止を

 二〇〇一年七・七にあたって第一に確認したいことは、「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史・公民教科書(扶桑社)の七月採択をなんとしても阻止することである。小泉反革命との直接的闘いとしてこの間のアジア人民の根底的な決起に学び、これにこたえる日本プロレタリアートの闘いとして、全力で闘い抜くことをあらためて決意しよう。
 「つくる会」教科書は日帝のアジア再侵略宣言であり、天皇制・天皇制イデオロギーの復活であり、戦争国家化宣言である。文部科学省がこの教科書の検定を通過させた四月三日をけっして忘れることはできない。底なしの危機にあえぐ日帝がその延命をかけてアジア侵略戦争宣言をしたものとして歴史に銘記されなければならない。
 「つくる会」教科書は、朝鮮・中国−アジア人民とその歴史に対する底深い敵意に満ちている。日帝は朝鮮植民地支配を合理化、正当化するために朝鮮史を朝鮮人民の主体的な歴史としてとらえるのではなく、常に「朝鮮人民には日本のように自力で近代化する力はない。だから日本が近代化する使命を負う」といった「他律性史観」「停滞性史観」を貫いてきた。この歴史観が民族差別と排外主義を育成してきたのである。
 「明治」以来、日本の支配階級は「脱亜入欧」思想のもとで、朝鮮−アジアへの蔑視、排外主義を生み出し、天皇制・天皇制イデオロギーを形成してきた。今日、「つくる会」が、アジア人民の血と汗と涙に満ちた闘いと戦後革命の高揚の中で葬り去った皇国史観に再び息を吹き込み、復活を図っていることの狙いもまさに日帝の戦争国家化攻撃そのものなのである。
 七月二日、扶桑社は歴史教科書について九カ所の訂正を申請した。これをもって日帝・文科省は、南北朝鮮、中国などアジアからの根底的な修正要求をかわそうともくろんでいる。
 小泉は「日本の検定に合格した教科書に対して、中国や韓国が批判するのは自由だが、日本がそれに惑わされることはない」とか「検定合格を取り消すことは考えられない」として、アジア人民を含めた人民の弾劾の声を聞こうとしない。歴史教科書の執筆者の一人学習院大学教授の坂本多加雄は、日本軍軍隊慰安婦について書くことは「トイレの歴史を書くこと」とし、軍隊慰安婦被害者を二重三重にも蹂躙(じゅうりん)して恥じない。日帝はアジアの修正要求を「解釈・表現の問題」として扱い、一切修正には応じないと決定し、歴史の真実を闇に葬り去ろうとしている。
 こうした日帝・政府の対応に対して、アジア人民の激しい闘いが爆発している。アジア人民の決起はわれわれへの階級的援助であり、深い連帯の呼びかけである。われわれは南北朝鮮、中国の修正要求を断固支持し、修正を実現しなければならない。

 侵略否定の歴史歪曲許さぬ

 四月十一日、韓国の国会議員でありキリスト者の金泳鎮(キムヨンジン)氏が来日、「日本は反省しろ」と書いたプラカードを手に国会前で座り込み、六日間のハンガーストライキを打ち抜いた。
 ベトナム青年連合の日刊紙『タイニエン』四月二十六日付は、「つくる会」教科書が「東南アジアへの侵攻は各国に独立をもたらした要因のひとつ」と記述している点を、「一九四五年にベトナム北部で二百万人が餓死したことを記述していない」と批判した。
 四月二十六日、韓国挺身隊問題対策協議会と軍隊慰安婦とされた黄錦周(ファンクムジュ)さん、金恩禮(キムウンリェ)さんが抗議来日し、国会議員と文科省に要望書を提出した。金允玉(キムユノク)挺対協共同代表は「被害者の人権は踏みにじられ韓国国民の怒りは頂点に達している」と弾劾。二十七日には文科省抗議行動と国会前での座り込みを展開した。さらに五月一日には、全労協メーデーの日比谷野音で登壇、激しく訴えた。
 五月一日、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク主催で「歴史歪曲・女性蔑視の『つくる会』教科書を採択させない緊急女性集会」が開かれ、右翼の妨害をはねのけ、三百人以上の参加者がつめかけた。
 五月二日、韓国文化観光相キムハンギル氏が教科書問題の協議のため来日、韓国側の再修正要求が受け入れられない場合、日本文化開放の凍結を示唆した。
 五月七日、韓国YMCAが十五日間で十二万二千人の署名を集め、文科省に提出。「日本の歴史教科書歪曲は深刻な民族的侵略行為。歪曲の是正を」と訴えた。
 五月八日、韓国政府が三十五カ所の修正要求を明示。「つくる会」教科書への修正要求は二十五カ所に及んだ。「日本側検定の再修正を求める覚書」は、「つくる会」教科書の歴史認識の問題点を以下のように指摘している。
 @「任那日本府説」に基礎を置いていること。A日本の歴史を美化するため韓国史をおとしめている。B軍隊慰安婦強制動員の事実を故意に抜け落ちさせ、太平洋戦争当時の反人倫的な残虐行為の実態を隠ぺい。C両国間に発生した事件の責任の所在を曖昧(あいまい)にしている。D日本が韓国など他国に与えた被害を縮小ないし隠ぺい。E植民地支配の反省がない。F日本が隣国と平和的な交流協力をしてきた事実を軽視。G人種主義的な見方が強く表れている。H学術研究の成果の反映が不十分。
 五月十日、韓国国会議員咸承煕(ハムスンヒ)氏ら四人が、「つくる会」教科書に対して「事実を歪曲している」として、教科書の製作と配布の禁止を求める仮処分を東京地裁に申請した。
 五月十六日、中国政府が、@抗日運動、A「満州国」、B南京事件、C日中戦争、D盧溝橋事件、E大東亜会議の開幕、F大東亜共栄圏、G極東軍事裁判の八カ所について記述の修正を要求した。
 五月二十三日、香港の立法会(国会にあたる機関)は「日本の歴史教科書改ざんに反対する決議」を全会一致で採択。歴史を歪曲、美化した教科書を採択した文科省を批判、日本に誠意ある謝罪と賠償を求めた。
 五月二十九日、韓国与野党議員二十人が、かつての植民地支配下における日本の行為などを歪曲・正当化する人物の入国を禁止する入管法改正案を提出した。
 六月十、十一日に「歴史歪曲教科書を許さない! アジア連帯緊急会議」が東京で開かれた。韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシアの六カ国五十人を含む二百五十人が参加。十一日の報告集会には七百人余が結集した。それに先立つ文科省前「人間の鎖」行動には五百人が参加し、抗議の意思を示した。日帝は許し難いことに、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国からの三人の出席を認めず「反日的な活動をするのは明らか」として入国を拒否した。

 アジア人民との共同闘争で

 このアジア連帯緊急会議はその宣言で「侵略戦争も植民地支配も正当化する国家主義勢力が日本で台頭し、日本を再び戦争のできる国家に変えようとしている」と訴え、「『つくる会』教科書問題は日本の小泉内閣の憲法や教育基本法改悪、靖国神社公式参拝などの動きに連動し、戦争のできる国家に向かうものであり、このような日本の国家主義の流れに、アジアの人々が国境を越えた協力で歯止めをかけないと、アジアに再び惨禍と災厄をもたらす恐れがある」と警鐘を乱打している。
 そして「それぞれの国で自国の歴史を点検し、教育を国家権力から人びとの手にとりもどし、平和のための歴史教育を実施することが必要」として三つの点を具体的に提起した。
 一つは、「つくる会」教科書を検定合格させた日本政府の責任を厳しく問い、抗議して、韓国や中国の修正要求に誠実に応じること、二つは、「つくる会」教科書が採択されて教室に持ち込まれないよう日本国内とアジア全域で共同行動を起こすこと、三つは、平和と人権のアジアを創(つく)ることを願い、子どもたちを育てるにふさわしい歴史教育を確立するために協力すること。そして結論として「歴史教育アジアネットワーク」(仮称)の結成を確認した。
 六月十二日、「日本教科書を正す国際キャンペーン」は世界七十一カ国百二十五都市で同時多発的な行動を組織。ソウルでは千人が集会を開き、日本大使館にデモ行進した。日本では、十歳から九十歳まで六十五人の韓国からの抗議訪日団を先頭に三百人が文科省前で抗議行動を闘い、国会前で座り込んだ。
 六月十五日、南北共同宣言一周年を記念した南北民間団体の「民族統一大討論会」が金剛山(クムガンサン)で開かれ、日本の歴史歪曲教科書を「許すことのできない犯罪行為」と断罪する共同声明を発表した。
 六月十九日、北朝鮮「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会が二十項目以上の批判点を具体的に明らかにした。@皇国史観、A帝国主義植民地史観、B戦争責任回避、侵略戦争美化、C北朝鮮への敵視感扇動、などがその内容である。
 教科書闘争をアジア人民との共同闘争として発展させ、「歴史教育アジアネットワーク」の結成を支持し、ともに闘い抜こう。
 アジア人民は教科書問題を教科書にとどまらない日本の戦争国家化の問題としてとらえ、アジア、ひいては世界の平和を脅かす重大事としてとらえ、世界中に決起を呼びかけている。まさに教科書問題として火を噴いた日帝の戦争策動に対するアジア人民の決起は、小泉が強行突破を図れば図るほど一層燃え広がることは確実である。教科書闘争は、アジア人民と日本人民が歴史的な合流をかちとる可能性をもった闘いでもある。「つくる会」教科書七月採択阻止をなんとしても実現しよう。

 戦争国家化の攻撃と強まる入管体制−日本国籍の強要

 第二に確認したいことは戦争国家化攻撃のもとで入管体制が一挙に強まっており、排外主義、差別主義の扇動の中で在日・滞日外国人に対する差別・抑圧、分断・同化・追放の攻撃が強まっていることである。入管闘争をそれ自身として発展させることが日本労働者階級の闘いとして強烈に求められている。
 五月冒頭に起きた「北朝鮮・金正男(キムジョンナム)不法入国事件」を契機に、小泉がわざわざ所信表明演説で入管体制の強化を叫び、今国会で入管職員の増員(三十三人)を強行した。
 さらにファシスト石原がとりわけ中国人に対する予断と偏見に満ちた排外主義発言を度々繰り返していることも重大な情勢である。六月末には、そのために民営の刑務所の構想までぶち上げているのである。また昨年に続いて自衛隊を動員した九・一治安出動訓練を画策していることを許してはならない。
 小泉や石原のファシスト的言辞が排外主義の扇動となって、全国各地でさまざまな事態が生み出されている。東京では警視庁が主導し「中国人と思ったら一一〇番を」「外国人が一部屋に何人も住んでいる場合は通報を」など外国人排斥キャンペーンを行っている。
 在日朝鮮人・中国人に対する日本国籍強要の攻撃も激しく進行している。与党三党は、五月二十九日、会期を一カ月残して早々と「永住外国人地方参政権付与法案」と「国籍取得特例法案」の成立を見送り、継続審議に付した。両法案を一緒に継続審議にしたところに日帝の姿勢があけすけに示されている。まさに「参政権がほしかったら日本国籍をとれ」ということなのだ。
 小泉は「積極的に賛成する気になれない」「外国人なのにどうして日本の参政権をとりたいのか。帰化したくないのに参政権がほしいというのはおかしい」と語り、日本国籍強要の意志を公言している。
 「参政権法案」の反動的対案として提出された「国籍取得特例法」は在日朝鮮人・中国人に日本国籍を強要するものであり、新たな「創氏改名」攻撃とも言える植民地主義的攻撃である。特例法は、日本国籍取得を、現行の許可制から届け出制とし、一切の条件を付けずに承認するとしている。あたかも本人の自由意思を尊重するかのようではあるが、けっして国籍選択の自由を保障するものではない。一九四〇年の「創氏改名」も表面的には「届け出制」だったが、実際には強制だったではないか。
 日本国籍強要攻撃は、在日朝鮮人・中国人を歴史的に抹殺しようとする攻撃である。身をもって日帝の植民地支配と強制連行の歴史を告発・糾弾しながら生きかつ闘ってきた在日朝鮮人・中国人という存在をなきものにしようという攻撃を断じて許すわけにはいかない。日帝の同化・融和の激しい攻撃に対して、在日の全存在をかけた営々たる闘いと固く結合し、闘い抜こう。
 「在日朝鮮人の民族性の象徴が国籍である」(『朝鮮時報』四月二十七日付)とするスターリン主義者の在日論や民族論をのりこえ、朝鮮籍、韓国籍、そして日本籍など国籍を問わず、人間として朝鮮人として日本で生きることを苦闘の中で選択している在日朝鮮人と固く連帯しよう。
 われわれは「参政権を始めとしたあらゆる民主主義的権利を保障せよ」「日本国籍強要の特例法制定反対・入管法反対、国籍選択の自由を認めよ」の立場を今一度鮮明にさせて闘っていかなければならない。
 さらに戦争責任追及・戦後補償要求の闘いを、これまで以上にねばり強く原則的に闘い抜くことである。小泉の靖国攻撃に対して、六月二十九日、韓国の元軍人・軍属の遺族ら二百五十二人が、靖国合祀(ごうし)絶止・遺骨返還・生死確認・軍事郵便貯金の返還・謝罪・損害賠償を求める裁判を東京地裁に提訴した。アジア人民の戦争責任追及・戦後補償要求の闘いに対して、「時効」論ですべてを退けてきた日帝を、あくまで許さず闘い抜くことが求められている。
 また、入管収容所問題への取り組み、国籍条項完全撤廃の闘いの推進を始めとする入管闘争の各課題をうまずたゆまず前進させることを確認しておきたい。
 加えて、「つくる会」教科書に対して在日朝鮮人・中国人、在日外国人の人権を保障する立場から根底的な批判をしていかなければならない。

 闘う韓国労働運動との国際主義的連帯闘争を強めよう

 第三に確認したいことは、朝鮮・アジアの大流動情勢と米帝の戦争策動と対決し、根底的な闘いに立ち上がっている韓国労働者階級との国際主義的連帯闘争を、本格的に追求していくことである。
 米帝ブッシュ政権の登場は、アジアにこれまで以上の大流動・大激動をもたらしている。米帝はアジア・中東戦略として保持してきた二正面戦略からアジア重視の戦略に転換した。米国務副長官アーミテージが与党三党幹事長会談で語った「一夜明けたら大戦争が勃発(ぼっぱつ)している可能性は、欧州ではきわめて小さいが、アジアでは依然としてありうる。例えば朝鮮半島、中台、インドネシア、インド、パキスタンだ」という発言を徹底的に重視しなければならない。
 米帝は、今やアジアにおける戦争問題を戦略の中心にすえ、その体制づくりのために動き出した。「日本が集団的自衛権を行使できる“普通の国゜になるよう導くべき」とするランド研究所報告もそのためのものであり、戦争の野望に満ちている。重要なことは、こうした数々の発言を、徹底的に対日争闘戦として行っていることである。
 米帝の世界戦略の転換に対して、日帝・小泉は米帝の動きに対応しつつ、独自の軍事大国化の道を突っ走っている。ランド研報告は日帝の戦争国家化の道を一層強める役割を果たしている。沖縄基地をますます強化し、新たに下地島や波照間島を軍事基地として強化しようとする米帝の戦略をなんとしても阻止しよう。
 六月二十九日に引き起こされた米兵による女性暴行事件に対する怒りを爆発させ、闘い抜こう。
 米帝のアジア戦略の転換と日帝の一層のアジア生命線化の中で、アジア人民の極限的な闘いが爆発している。インドネシア、フィリピンなどでの人民の闘いの発展は、現地の日帝資本に対する闘いとしても前進している。
 韓国の労働者階級は本格的な金大中政権打倒の闘いに決起している。この闘いは教科書闘争とも固く結びつきながら、激しく進行している。大宇(テウ)自動車闘争の流血の闘いを突破口に、韓国労働運動は経済闘争が政治闘争に転化するところまできている。
 六月十二日のゼネストは、全国五万人のストライキとして打ち抜かれた。生活破綻(はたん)の中で生存権を守るためのストライキに、大韓航空、アシアナ航空など民主労総に加盟する百二十余の労組、約五万人が参加し、ソウルでは一万人集会が開かれた。
 金大中政権は「干ばつ被害が深刻で、国家がきわめて厳しい状況の時期に、労働者が不法ストを行えば経済をさらに沈滞させる」として民主労総指導部への大弾圧を策動した。これに対して全国農民会総連盟は十三日に声明を発表し、日照りを口実にした政府の対応は正当な労働者の権利を踏みにじり、労働者と農民を引き離し、労働者への弾圧を正当化するものだと厳しく糾弾した。
 韓国階級闘争は民主労総を軸とした労働運動を牽引(けんいん)車として、大きく前進している。六月には朝鮮戦争時の米軍の戦争犯罪を裁くコリア国際戦犯法廷をニューヨークで開催するなど、新たな闘いを展開している。米軍基地に反対する闘い、日本の教科書問題への怒りの決起は、こうした中で全人民的にかちとられている。
 ここで重大なことは、「日韓投資協定」の締結に向けた動きである。日帝は「投資協定」の前提として「真摯(しんし)条項」を設け、労働運動の根絶を条件としており、だからこそ金大中政権は労働運動の根絶・解体に向けた大弾圧を推し進めているのだ。
 民族的課題と階級的課題の統一的な推進を課題として闘い抜く韓国労働者階級の闘いの発展をともに実現していこう。韓国労働運動との直接的連帯を具体的に実現していくため、もてる力を駆使して闘い抜こう。

 7・7自己批判の精神貫き改憲と戦争の小泉打倒せよ

 第四に確認すべきことは、「七・七自己批判」の精神を鮮明にして小泉反革命との闘いに死活をかけて立ち上がることである。先に確認した闘いを相互媒介的に闘い抜き、小泉反革命打倒へと結実させていくことが絶対に必要である。
 日帝・ブルジョアジーは、労働者人民の現実の政治に対する絶望的怒りをデマゴギッシュな扇動をとおして吸収し、幻想をあおり立てて小泉支持率八〇%をつくり上げた。「聖域なき構造改革」を掲げ、それがあたかも労働者階級に現状変革をもたらすかのような錯覚をつくり出している。
 われわれは、「聖域なき構造改革」の本質が労働者階級を路頭に放り出す大失業攻撃であり、痛みを受けるのはほかならぬ労働者自身であることを、声を大にして訴え、小泉政権の階級的本質を暴き出す闘いを全力で推し進めていかなければならない。
 民族主義・愛国主義・排外主義を扇動して、日帝の体制的危機を侵略と戦争の方向に転化しようとする激しい動きに対して、小泉政権打倒を鮮明に掲げ、戦争国家化を阻んでいくことである。「十五年戦争」を美化し、改憲を叫び、自衛隊を褒めたたえる小泉。「つくる会」教科書へのアジア人民の怒りの声を無視し、靖国神社への公式参拝を公言する小泉。こんな極右反革命を一時たりとも許しておくわけにはいかない。
 小泉政権をこのまま延命させることは、日本の労働者階級が侵略戦争の先兵へと仕立て上げられることであり、七・七精神を貫いて闘い抜いてきた三十一年の蓄積、到達地平を水泡に帰すことである。
 自らの階級意識を真にプロレタリア的階級性に根ざしたものとして鮮明化し、闘うアジア人民との連帯を戦略的な深さと大きさをもって実現しようと決意したのが七・七自己批判だった。三十一年目の七・七は重大な情勢下で迎えている。小泉反革命との闘いをこれまでかちとってきたすべてをかけて闘い抜こう。

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週刊『前進』(2013号5面2)

2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き  6月27日〜7月3日
 沖縄でまた米兵が女性暴行  日米首脳が安保強化を確認

●治安問題推進本部新設へ
 政府は内閣に官房長官を本部長とする「治安問題連絡推進本部」を新設し、治安対策を強化する方針を固めた。(27日)
●小泉首相と石原都知事が会談 小泉首相は石原都知事と首相官邸で会談し、都市再生問題や犯罪防止対策などについて意見交換した。(27日)
●「領域警備」で船体射撃合法化へ 政府は「領域警備」で「相手船舶そのものへの射撃」や「少数の敵への武器使用の強化」、「情報収集活動中の自衛官の武器使用」を可能とするよう自衛隊法などの改悪案について骨格をまとめた。(27日)
●原爆忌に首相が出席へ
小泉首相は、八月六日の広島市「原爆死没者慰霊式ならびに平和祈念式」と、九日の長崎市「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」について「両方行く方向で検討している」と記者団に語った。(27日)
●米ミサイル予算大幅増 
ラムズフェルド米国防長官は二〇〇二会計年度の国防予算修正案を発表した。今会計年度実質額に比べ、ミサイル防衛関連予算が約六〇%増の約八十三億j(一兆三千億円)と大幅に増額され、総額でも三千二百八十九億j(四十兆九千三百億円)とソ連崩壊後最大になった。(27日)
●沖縄でまたも米兵が女性を暴行 沖縄県北谷町美浜の駐車場で沖縄本島在住の女性が米空軍嘉手納基地所属の軍曹に暴行された。九五年の少女暴行事件以降も繰り返される米兵の凶悪事件に沖縄では怒りの抗議が巻き起こっている。
 沖縄の「基地・軍隊を許さない女たちの会」は翌三十日、「女性への性暴力事件は私たちが日常を享受するあたりまえの権利さえ踏みにじっている」「戦後五十六年、事件、事故を繰り返し続ける米軍基地・軍隊の撤退を要求します」と、首脳会談に臨むブッシュ大統領と小泉首相への抗議声明を発表した。(29日)
●「独自の情報収集」と防衛庁長官 中谷元・防衛庁長官は先の日米防衛首脳会談で「ミサイル防衛は主体的に運用する」と発言したことに関して、「わが国独自の情報収集システムを作りたい」と記者に語った。(29日)
●教育改革3法、改悪収用法が成立 教育改革関連三法と改悪土地収用法が、参院本会議で可決・成立した。(29日)
●「県民は基地誇るべき」と米海兵隊総司令官 米海兵隊のジェームズ・ジョーンズ総司令官が会見し、「沖縄県民は米軍基地の支援に多大な貢献をしてきたことに誇りをもつべきだ」と発言した。(29日)
●「靖国合祀やめて」と韓国人遺族らが提訴 太平洋戦争で日本軍に駆り出された韓国人の元軍人・軍属とその遺族二百五十二人が、戦争で受けた損害の賠償請求訴訟を東京地裁に起こし、うち五十五人が戦死した親族の靖国神社への合祀(ごうし)取りやめを求めて提訴した。(29日)
●石原が民間留置場を提唱
 東京都の石原慎太郎知事が、留置場の民間委託の実現に向け、国に監獄法などの改悪を働きかけることを明らかにした。(29日)
●日米首脳会談で日米同盟強化を確認 小泉首相はワシントン郊外のキャンプデービッドでブッシュ米大統領と初めて会談し、「安全と繁栄のためのパートナーシップ」と題した共同声明を発表した。両首脳は日米同盟の重要性を確認し、経済、安保、外交などの分野で戦略的対話を強化することを決めた。安保分野では、日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)を基礎に現実に機能する安保体制を目指していくこと、米軍の前方展開の重要性を確認し、沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)合意を貫徹することなどが合意された。名護新基地「十五年期限問題」の協議は米大統領に拒否された。(30日)
●船体射撃海上保安官も可能に 政府は「領域警備」で相手船舶を停船させるため自衛官だけでなく、海上保安官も船体射撃が行えるよう秋の臨時国会に海上保安庁法改悪案を提出する方針を決めた。(1日)
●臨時国会にPKO法改悪案 自民党の山崎拓幹事長は臨時国会に国連平和維持活動(PKO)協力法改悪案を提出し、PKO参加五原則を見直すことを明らかにした。(2日)
●扶桑社が歴史教科書を「訂正」 扶桑社は検定合格した中学歴史教科書について九カ所の訂正を文部科学省に提出した。同社側は韓国、中国の修正要求に応じたものではなく、これ以上「直すつもりはない」としている。(3日)
●首相公用車で靖国参拝へ
 政府首脳は、小泉首相が表明している八月十五日の靖国神社参拝について、公用車を使用し、「内閣総理大臣」と記帳するとの見通しを明らかにした。また近隣諸国からの反発に備え、参拝時に首相談話を発表する方向だという。(3日)

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週刊『前進』(2013号6面1)

無実の水嶋同志の起訴弾劾 検察の暴挙に階級的反撃を
 小泉の治安弾圧攻撃粉砕せよ

 (一)
 七月三日、東京地検は、許せないことに、水嶋秀樹同志を八八年九月二十一日の千葉県収用委員会会長せん滅戦闘の指揮者としてデッチあげ起訴した。これは完全な政治的起訴である。
 水嶋同志は百パーセント無実であり、無実を示す数々の証拠がある。それを踏みにじって行ったデッチあげ起訴は、意図的な権力犯罪であり、革共同へのせん滅戦的な攻撃である。われわれは腹わたが煮えくりかえる怒りでいっぱいだ。権力のこの暴挙を、重大な決意をもって受けとめ、絶対に許さず、必ず階級的反撃に決起することを明らかにする。
 これは、戦争国家化に突き進む小泉反革命政権の新たな治安弾圧政策の強化を示すものである。また司法改革という国家改造政策の反動性を示すものである。
 米帝経済のバブル崩壊と二九年型世界大恐慌の危機にのたうつ日帝は、「聖域なき構造改革」を掲げた小泉反革命をもって、労働者人民に対する首切り・リストラ・大失業を強要し、朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争遂行のための国家改造と戦争準備を進めている。わが革共同は、こうした小泉反革命政権の侵略戦争と大失業路線に対して唯一対決し、闘う朝鮮・中国−アジア人民と連帯して闘い抜いている。
 水嶋同志への起訴攻撃は、水嶋同志とわが革共同に対する小泉反革命下の暴虐な階級弾圧である。われわれは絶対にこうした反動を粉砕する。
 無実の水嶋同志の起訴を許すことはできない。日帝・検察庁、とりわけこの決定をした公安検事・吉野通洋、瀧澤佳雄は、労働者階級人民の怒りの爆発を恐れをもって覚悟しておくがいい。革共同はこの新たな階級弾圧に対し満腔(まんこう)の怒りをもって弾劾するとともに、徹底してこれと闘うことをはっきり宣言するものである。
 (二)
 今回の水嶋同志への起訴攻撃は第一に、八八年の千葉県収用委員会会長せん滅戦闘が収用委員会を解体し、今にいたるも再建できず、三里塚二期工事を阻止していることへの日帝権力の階級的報復である。
 日帝はこの戦闘に打撃を受け、しかも誰によるものかを解明できない中で、勝手なシナリオを作り上げ、転向者・正井利明にそれにそった供述をさせることに依拠して政治的弾圧を加えてきた。九〇年の水嶋秀樹同志、神藤猛雄同志への指名手配攻撃は、まったくのデッチあげだったのだ。
 しかも、今回の水嶋同志への起訴攻撃は、検察が事実認定において誤った判断をした結果起こっているというような問題では断じてない。デッチあげ指名手配という日帝・権力が描いたシナリオを押し通す目的で、九・二一戦闘の指揮者が水嶋同志ではないこと、指名手配と逮捕がまったくのデッチあげであったことを十分承知の上で、起訴を強行したのである。
 第二に、成田空港暫定滑走路建設、二〇〇二年供用開始をめざす日帝の凶暴な三里塚闘争破壊攻撃と一体のものだということだ。
 新たな侵略戦争にとって、土地収用ができないことは、戦争国家としてまったく成り立たない。日帝は、有事における土地強奪を地権者の意志を無視して行えるように今国会で土地収用法を改悪した。また日帝・国土交通省、空港公団は、不法・違法を重ねて三里塚闘争破壊を重ね、六月十六日には東峰神社の立ち木を違法に伐採し、暫定滑走路の供用開始に突き進んでいる。
 空港公団は、東峰部落の総有財産である東峰神社の立ち木を、法的関係を無視して白昼、強盗のごとく切り倒し、それに抗議した萩原進反対同盟事務局次長を逮捕するという暴挙を行った。暫定滑走路をめぐる闘いは、権力自らが、法を破ってむき出しの国家暴力で農民の財産を強奪せざるをえないところまで、日帝権力を追い詰めたのである。こうした三里塚攻撃と一体の不法が水嶋同志へ加えられたのである。
 今、堂本千葉県知事は、収用委員会の再建を策動している。成田空港をめぐるこうした緊張の中で、権力は、「会長せん滅戦の指揮者」として指名手配した水嶋同志が「実は無実だった」とすることなどけっしてできないところに追いつめられ、さらなる凶暴化をもってデッチあげ起訴攻撃に走ったのだ。
 第三に、水嶋同志の闘いが権力の治安弾圧を根底的に粉砕してきたことによる権力の受けた打撃の大きさを示すものだということである。
 水嶋同志は、七四年の横国大カクマルせん滅戦闘で指名手配され、二十六年間の闘いをもって時効成立をかちとった。これ自身ものすごい闘いである。今また、水嶋同志への指名手配が完全にデッチあげであることが、完黙非転向の水嶋同志の闘いと、それと結合した全党の闘いで暴露されてしまったことは、権力を治安体制の重大な危機にたたき込んだのである。
 第四に、日帝国家権力によるデッチあげ弾圧と重罪攻撃を基本とした治安政策が、音を立てて崩れていくのを阻止したいという凶暴な階級意志を示しているということである。
 八四年自民党本部火炎戦闘でデッチあげ逮捕された藤井同志、八七年皇居砲撃戦闘を理由として指名手配され逮捕された内藤同志は完全無罪をかちとった。日帝権力がデッチあげ弾圧と重罪攻撃を治安政策にしていたことは歴史的事実として明らかになっている。
 今回、権力は、水嶋同志の無実がはっきりしていることを突き付けられた。この水嶋同志の無実は、神藤裁判に決定的な影響を与えることはあきらかである。無実の水嶋同志を不起訴にすることは、神藤同志の無実をも明らかにすることだからである。神藤裁判は、一審で無罪判決をかちとった。しかし、二審は何ら具体的根拠も示さないまま政治的に有罪判決を出した。この反動的な高裁の犯罪をも無実の水嶋同志の存在が突き出すのである。司法権力はこれに恐怖し、神藤同志無実の暴露を糊塗し、何とか逃れようと起訴に突っ走ったのである。罪の上に罪を重ねるものである。日帝権力の治安政策は根底において破産しているのだ。
 第五に、今回の起訴攻撃は闘う人民への階級的見せしめであり、労働者階級人民への新たな戦争国家化攻撃、侵略戦争遂行にむけた治安弾圧体制の反動的強化である。
 (三)
 しかし、労働者階級人民の闘いをこんな弾圧で押しとどめることはできない。むしろ権力のどのような弾圧にも負けない、より強固で鍛えられた不屈の闘いを成長させる。
 無実である人間を意図的に起訴するという犯罪行為は、必ず権力の支配そのものを解体する力へ転化する。支配の凶暴化は、本質的にも歴史的にも、人民によるその打倒を準備するものである。われわれは今回の検察の暴挙を、新たな階級攻撃としてしっかり見据え、対決し、逆に彼らを必ず打倒する力に転化させるために断固として闘う。
 小泉反革命政権の戦争国家化攻撃と対決し、闘う労働者階級人民の巨大な大衆運動の爆発で、絶対に無実の水嶋同志を奪還する。その闘いに全党は総決起することを宣言する。 
 (七月四日)

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週刊『前進』(2013号6面2)

M同志デッチあげ起訴許すな
 都議選妨害と三里塚弾圧に裁判で無実・無罪かちとれ

 七月四日、東京地検は、M同志に対して、「有印私文書偽造・同行使」という名目でデッチあげ起訴を行った。東京陸運支局で十台の車の「登録事項等証明書」を偽名で請求したというものである。しかも、あたかも三里塚ゲリラ戦闘と関連があるかのようなサモサモの発表を行っている。
 しかし、この十台は、三里塚ゲリラとはまったく関係のないものであることがわかっている。警視庁・東京地検は、何をもって三里塚ゲリラのための私文書偽造だというのか。作り話は最初から破綻(はたん)している。要するに、三里塚ゲリラをやめてくれということなのだ。
 日帝・国土交通省は、三里塚の暫定滑走路の二〇〇二年供用開始を必死で追求し、六月十六日、違法を承知で、東峰神社の立ち木を強盗的に伐採した。日帝のこうした反人民的な農民殺しの国家暴力の発動は繰り返し行われてきた。
 三里塚ゲリラはこれに反撃する正義の闘いだ。反対同盟農民が、国家暴力に抗して正義を体現し、空港建設を不屈の闘いで粉砕し続け、血盟を結んだ革共同がそれを支援し、全国の人民と結びついてこの日帝の反人民的な暴力に怒り、真っ向から正義の大衆闘争とゲリラ戦闘をもって反撃しているのである。日帝はこの闘いをやめよと言って、今回の不当な起訴攻撃をしてきたのである。
 検察は、今回の私文書偽造デッチあげについて、「二月五日ころ」などと述べ、いつ行われたのか特定すらできていない。完全なデッチあげだからだ。そもそも、陸運局での交付申請にはなんの制限もない。誰でもできる行為であり、問題となるようなものではないのだ。
 M同志へのデッチあげ起訴や水嶋同志への政治的起訴でわかるように、日帝・検察は、小泉反革命のもとで明らかに治安政策の反動的転換をおこなったのだ。
 M同志の逮捕が、杉並での都議選告示三日前であり、わざわざけしば候補の街頭宣伝中に捕り物劇を演出したこと、四〜六月過程だけで「都政を革新する会」関連として四人の逮捕者と四回の家宅捜索を繰り返したこと、これらすべては明らかに選挙妨害そのものである。
 M同志への取り調べも被疑事実とされていることと関係のない転向強要に終始し、連日八時間にわたって行われた。しかも、岡山の母親をだまして東京へ連れて来るなど詐欺師まがいのことをやっている。
 デッチあげの証拠がないことから、警察は、鳥取のM同志のアパートから学習メモを押収し、「筆跡鑑定で断定してやる」などと言ったり、唾液(だえき)を採取した。さらに、「犬による臭気鑑定をやる」と言いだしたり、「ウソ発見器にかける」などとなんの科学性もない証拠ねつ造を次々と画策した。M同志が被疑事実にまったく関係していないことを自己暴露したのだ。だから執拗に転向−虚偽の「自白」を連日強要していたのだ。
 M同志は、こうした許せない攻撃と敢然と闘い、母親との面会を拒否し、完黙・非転向をもって敵の狙いを粉砕した。
 日帝・権力による今春の弾圧は、明らかに都議選決戦と三里塚闘争への反革命であった。関西の同志たちの闘いを含め、わが同志たち全員の完黙・非転向の闘いは、これを完全に粉砕した。日帝は組織破壊の糸口すらつかめなかった。
 日帝・権力は、革共同への集中的な弾圧を開始した。これを打ち破る原則的な闘いが、完黙・非転向であり、われわれはこの闘いに大勝利したのだ。
 こうした完黙・非転向の闘いに大打撃を受けた権力の凶暴な弾圧のエスカレーションが今回のデッチあげ起訴である。われわれは、小泉反革命の下で新たに始まった治安弾圧に対し、完黙・非転向の強固な闘いをもって完全に粉砕できることを再確認できた。
 デッチあげ攻撃を打ち破り断固として完黙・非転向で反撃しよう! M同志へのデッチあげ起訴を許さず、裁判での無罪をかちとろう!

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週刊『前進』(2013号6面3)

“保安処分新設許さぬ” 阻止共 合同検討会に抗議

 六月十二日、法務省で「触法精神障害者対策」と銘打った、厚生労働省と法務省との四回目の合同検討会が開かれた。
 「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議(以下、阻止共)は、大阪・池田市の小学生殺傷事件をも契機に、一気に強められようとしており、日帝の長年のたくらみである強制入院制度強化と保安処分新設攻撃に断固反撃し、抗議行動を行った。「病者」先頭に四十人で検討会への傍聴闘争に決起し、門前でビラをまき、横断幕を掲げてシュプレヒコールをたたきつけた。
 午前八時すぎ、阻止共の抗議団は先着順の傍聴者の列に加わった。法務省前に結集したメンバーは、会場前と地下鉄霞ケ関駅入り口で午前十時から開催される検討会を弾劾する五百枚のビラをまいた。保安処分推進派の東京医科歯科大・山上皓(あきら)や日本精神病院協会(日精協)理事らの登場を弾劾し、医者や弁護士による治安的強化の下への「病者」売り渡しという裏切りを許さず、「保安処分粉砕!」を訴えた。
 一回目の山上の法務省主体の保安処分論提出と、二回目の法学者町野からの厚労省を主体とした保安処分案の提出、三回目の日精協理事・長尾からの保安処分賛成意見に続いて、この日の四回目の検討会は、池原(全国精神障害者家族会連合)、神(日弁連刑事法制委員会元副委員長)ら二人の弁護士からの意見表明で始まった。
 弁護士は、法務省主体の保安処分や刑法改悪に反対はしつつも、現行の医療的判断の問われる精神鑑定や退院判断、通院処遇などにおける司法介入を容認し、さらに患者分類による「処遇困難者病棟」の設置に代案を託す始末。しかも「国民の不安感」解消を掲げ、「精神障害者が犯罪を犯しても刑罰を受けず精神病院収容となるのは不公平だ」という「犯罪被害者の感情」を動員して、被害者意見を司法判断に加える提案さえ示すありさまだった。
 合同検討会は今年一月以来開催されている。九九年六月に国会で精神保健福祉法(精福法)が、医療保護入院等での患者移送制度の新設により(「家族・保護者依頼」を使った知事権限による車両での患者搬送制度)一層の強制入院強化の改悪法として成立した。その際に同時に、日帝は「重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方について幅広い観点から検討を進める」との衆参国会付帯決議をあげさせ、これを基に「触法精神障害者対策」を推し進め、数十年も反対運動によって阻止され続けてきた保安処分の復活とその導入さえ果たそうともくろんでいたのだ。
 検討会は森内閣当時の保岡法相が、「タブーを設けることなく」と呼号し、開催を指示したものだが、今日、小泉政権のもとではまさに保安処分検討会としての姿をさらけだしている。必ず中止に追い込まなければならない会合だ。
 日帝は精福法改悪以来、新潟少女監禁事件や西鉄バスジャック事件をも契機に、いくつかの県で「病者」の移送を強行し、力ずくで治安的強化による精神医療改悪を推し進めようとしてきた。しかし、再び池田市でも今回の小学生殺傷事件のような痛ましい事件が引き起こされた。これは絶対に繰り返されてはならない事件であることは確かだ。
 しかし、この事件を機に打ち出そうとしている保安処分制定を始めとした日帝の攻撃は「精神病者」の抹殺そのものであり、またそれをもテコとした大リストラ・大失業の強行、福祉切り捨て、労働法制の改悪、刑法・憲法改悪攻撃であり、また「危機管理」と有事立法制定を押し立て、治安弾圧強化と差別排外主義をテコにした人民の戦争動員を貫く戦争体制構築攻撃であることも、はっきりさせなければならない。
 すでに政府は、来年の通常国会に「司法精神病棟」なり「特定精神病院」という名で、保安病棟の新設を盛り込んだ「重大犯罪精神障害者処遇法案」(仮称)という特別法案を準備している。殺人、放火、傷害等六つの容疑を対象に被疑者が精神鑑定で「心神喪失」や「心神耗弱」状態で無罪や不起訴になった場合に、全国七〜八カ所に新設する「司法精神医療審判所」(仮称)による判断を介在させ、入退院や処遇決定を今までの医療的判断から司法判断介在へと転換させて病院隔離・収容を強行しようとするものだ。まさにこれは実質的な保安処分新設攻撃に匹敵する事態だ。
 ここでは病院収容が「医者の決める医療行為」ではなく、裁判官決定を含む「治安的命令」として行われる。「再犯の可能性がなくなるまで、あるいは被害者と社会が納得するまで拘禁し続ける」というおよそ予測不可能で非科学的・恣意(しい)的な判断を持ち込み、これを今回は「精神障害者」を対象に公然と立法化しようというのである。
 まさに「病院」とは名ばかりの「医療なき拘禁施設」「強制・矯正治療と人体実験推進の隔離施設」を横行させ、「病者」抹殺に行きつく攻撃なのだ。新法制定阻止、「病者」差別反対を掲げ闘おう。
 日帝の戦争と大リストラ、福祉切り捨て攻撃と一体のものとしての「病者」抹殺の保安処分新設攻撃を断固粉砕しよう。

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週刊『前進』(2013号6面4)

判定ミス隠蔽を弾劾 富山大自治会が抗議行動

 六月十五日に、文部科学省と報道機関に対する匿名の投書がきっかけとなって、富山大学人文学部と教育学部で九七年度と九八年度の二年にわたり入試の合否判定ミスがあったこと、およびその事実を九九年三月から二年以上にわたって隠ぺいしていたことが明らかになりました。
 この前後に山形大学や金沢大学での判定ミスも明らかになっていますが、隠ぺいという点で富山大学の事件は他の事件以上に重大なものです。受験生の人生を台無しにし、それを隠ぺいした事実に対して、当時「不合格」とされた受験生を始め、学生・教職員そして市民から怒りがたたきつけられています。
 富山大学学生自治会は、事件発覚後最初の月曜日である十八日に、直ちに大学当局に申し入れ行動を行い、翌日から全学署名運動を開始し、腐りきった大学を学生の力で変える行動に立ち上がっています。
 今回の問題ではまず何よりも、被害を受けた受験生への謝罪と補償を要求し、隠ぺい事件の真相究明と責任者処罰を徹底的に求めていかなければなりません。
 隠ぺいにかかわった教職員、当時の時澤学長や人文と教育の両学部長らを許すことはできません。
 時澤学長−能登谷学生部長は、九七年−九八年の理学部教官による科学研究費不正流用・女子学生に対する「セクハラ」・有害物質の垂れ流し事件の時にも、事件の隠ぺいに奔走した張本人なのです。
 また、当時の入試責任者であり学生部長だった能登谷教授の、「匿名の投書がなければ隠しとおすつもりだった」「当時、『学生寮に食器を入れろ』と学生が連日やってきて疲れ切っていた」などの暴言は、隠ぺいの責任を学生に転嫁しようとするものです。政府・文科省の学生運動破壊攻撃の水先案内人、富大学生運動の敵対者・破壊者としての発言以外の何ものでもありません。徹底弾劾あるのみです。すべての富大生は能登谷暴言に示される富大当局の反動性と徹底的に対決して闘い抜きます。
 今回の事件は、政府・文科省が戦争国家づくりのために進めてきた「大学改革」「大学自治解体」攻撃の結果として発生したものです。学生の主体を踏みにじり、都合の悪いことは「隠ぺい」するという腐りきった体質は、その中ではぐくまれたものです。真相究明に介入してきた文科省職員、政府・文科省の政策に加担してきた教職員にはこの大学のあり方を根底から変えることなど絶対にできません。
 腐りきった大学のあり方を変革し、大学自治を復権できるのは学生の団結の力だけです。
 富山大学の学生は合否判定ミス隠ぺい事件を絶対に許しません。また、戦争国家化のための「国策遂行大学」への転換をねらう「国立大学の独立行政法人化」絶対反対の取り組みと一体のものとして、腐敗した大学を根底から変革し、大学と学問を学生の手に取り戻すために闘い抜きます。
(投稿・富山大生 H)

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