ZENSHIN 2001/07/23(No2014 p06)

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週刊『前進』(2014号1面1)

改憲・戦争・大失業の小泉政権と全面対決 8月広島・長崎・靖国闘争へ
 革共同集会に大結集かちとれ
 米兵の暴行事件糾弾・基地撤去 参院選オータ氏当選へ総決起を
 歴史歪曲教科書採択阻止へ

 改憲・戦争国家化と大失業などの無慈悲な「痛み」を強制する小泉反革命に激しく怒り、真正面から立ち向かって、労働者階級人民の荒々しい闘いを爆発させよう。七月六日、小泉は、沖縄県民の日米地位協定改定要求を拒否し、九日には、韓国と中国からの教科書修正要求に対してごう然と全面拒否の回答を行った。そして、あくまで八月十五日の靖国神社公式参拝を強行しようとしている。大失業や社会保障解体など人民に犠牲を強いる一方で、沖縄人民やアジア人民の叫びと怒りを無視・圧殺し、改憲と戦争の道にいよいよ本格的に突き進もうとしている。沖縄人民、アジア人民の煮えたぎる怒りと闘いに連帯して、参院選闘争を突破口に、小泉反革命を突き破る七〜八月決戦に猛然と決起しなければならない。七・二九東西革共同政治集会への大結集、大成功をかちとろう。
 没落の危機にあえぐ日帝支配階級は、日本を帝国主義間争闘戦に勝ち抜ける国家、金融独占資本が生き残れる国家、そして戦争のできる国家に変えるために小泉政権を登場させた。小泉は「聖域なき構造改革」というスローガンを連発し、あたかもそれが世直し大改革であるかのように見せかけ「小泉人気」をつくり出し、極右的・ファッショ的な国家改造を強行しようとしている。参院選へむけた神戸・大阪での街頭演説では「(自民党議員が改革の足を引っ張れば)その時は小泉が自民党をぶっつぶす」とまで叫んでみせた。
 この小泉のデマゴギッシュな、ファッショ的な扇動政治を切り裂き、その攻撃の階級的正体を全人民の前に暴き出し、階級的怒りを解き放って日帝打倒への闘いに転化しなければならない。その戦場は、七〜八月決戦そのものの中にある。

 第1章 都議選決戦の地平ひきつぎ参院選闘おう

 当面する第一の課題は、七月二十九日投票の参院選において、小泉反革命に対する人民の階級的総反乱を、東京・杉並区―全国から巻き起こすことである。そして、前沖縄県知事・オータ昌秀氏(比例区)と、沖縄社会大衆党書記長・新垣しげお氏(東京選挙区)の当選をなんとしてもかちとることである。
 今回の参院選は、小泉反革命との闘いという意味で、都議選に続く決定的な決戦場である。日帝・小泉は、マスコミを総動員して「小泉人気」を一層デマゴギッシュにあおり、小泉改革に賛成か否かの選挙にしている。そして与党三党で過半数の「勝利」、あわよくば自民党単独での過半数を狙い、その体制をもって大失業と改憲・戦争国家化の小泉「国家改造」攻撃を強行しようとしている。この決戦場において、小泉反革命に体当たりし、小泉の仮面をはぎ、階級的くさびをうち込む闘いを実現することが絶対に必要なのだ。
 六月二十九日未明に沖縄北谷町で起きた米兵による女性暴行事件に関して、容疑者の身柄引き渡しは起訴後に行うと定めた日米地位協定の改定を求める声が噴出していることについて、小泉は七月六日、「それは運用の改善でやるべきだ」「地位協定の改定は必要ない」などと発言した。これに対し、「国は沖縄の痛みを全然わかっていない」と小泉への怒りが噴出している。沖縄の暴行事件糾弾・基地撤去の怒りはもはや臨界点を超えている。
 こうした沖縄人民の根底からの要求と願いを体現して、オータ前沖縄県知事は参院選に挑んでいる。出馬に際してオータ氏は「沖縄戦を体験した私には、今の状況は戦争という、いつか来た道の再来と思えてなりません」「まず、現在の戦争準備につながる一連の流れを何としても食い止めたい。名護への移設は撤回し、グアムないしハワイへお引き取りいただくよう、アメリカ政府に対して強く主張していきます」と表明している。さらに、失業、増税、福祉切り捨てなど人民に犠牲を強いる攻撃に、強く反対している。
 都議選決戦の地平を引きついで、小泉政権の戦争国家化攻撃と対決するオータ氏の当選を、杉並―全国の人民の総決起で絶対にかちとろう。
 当面する第二の課題は、米兵による女性暴行事件を徹底的に弾劾し、沖縄基地全面撤去、名護巨大新基地建設阻止へ、猛然と決起していくことである。
 沖縄県が昨年夏に提出した、日米地位協定改定案の十一項目は、稲嶺県政がまとめたものとはいえ、沖縄県民にとって最低限の、当然の要求である。この中には、今回の事件に関連した「合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘禁の移転の要請がある場合は、これに応ずる旨を明記すること」という項目もある。この地位協定改定要求に込められた沖縄人民の怒りと連帯し、基地撤去・安保粉砕へともに闘わなければならない。
 先の日米首脳会談において、ブッシュが「今回のような事件(米兵による暴行事件)が日米関係を損ねることがあってはならない」と、米軍の沖縄駐留維持を強調したのに対し、小泉は「沖縄の基地の重要性を認識している。……在日米軍の駐留こそが日本の平和を維持してきた」と同調、基地の犠牲を一層沖縄に押しつける意志を表明した。
 沖縄闘争の新たな爆発をかけて、小泉反革命と徹底的に闘わねばならない。

 第2章 韓国と中国の修正要求拒否した小泉弾劾

 当面する第三の課題は、杉並―全国で「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止することである。
 七月九日、小泉政権は、韓国および中国の教科書修正要求に対して、「再修正には応じられない」と公式に拒否した。さらに同日の記者会見で遠山文部科学相は、両国がさらなる修正を要求する意向を示したことに対して「同じ項目ならば、再修正はしない」と明言し、小泉首相も「これだけいろいろ調整したんですから、再修正はないでしょうね」と開き直った。
 この修正拒否表明は、日帝・小泉政権の、アジア人民に対する公然たる敵対宣言であり、新たなアジア侵略戦争宣言だ。
 今こそ七・七自己批判の精神の貫徹をかけ、朝鮮・中国―アジア人民の怒りに連帯し、「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止するために闘いぬこう。
 小泉の本音は、「つくる会」教科書で子どもたちを教育すべきというものだ。これまでも小泉は、「大東亜戦争という呼称が当時の我が国での呼称だったことは歴史的事実」「(つくる会教科書は)審議をへて検定上認められたもの」と言い放ち、歴史歪曲・戦争賛美・皇国史観の教科書を全面擁護してきた。
 この事態に対して、南朝鮮・韓国の「日本の教科書を正す運動本部」は九日、ソウルで「日本政府の歪曲歴史教科書修正拒否糾弾大会」を開き、韓国政府の断固たる対応を要求した。挺身隊問題対策協議会など約八十の市民団体で構成された運動本部の代表ら約百人は、「世界の良心的勢力と力を合わせ、最後まで闘争していく」ことを誓った。
 参加者らは集会後、日本大使館前まで行進、四十万人の署名を大使館に渡そうとしたが、日本大使館側の拒否で実現できなかった。軍隊慰安婦とされた女性らは、日本大使館の要請で配置された機動隊の楯に激しくぶつかり、抗議した。
 われわれ日本の人民に問われていることは、朝鮮・中国―アジア人民の怒りと闘いに連帯し、血債にかけて、小泉政権の教科書攻撃―「つくる会」教科書の採択を阻止することだ。
 東京都教育委員会は六月十五日付で「教科書調査研究資料」を公表、採択地区の教育委員会などに送付した。これは、採択過程にある教科書の内容を、学習指導要領の九八年に改悪した部分と今年一月に改悪した部分をクローズアップして比べたもので、「つくる会」教科書の採択へ誘導しようという意図が明白である。事実、このペテン的な資料について都知事・石原は「各市区町村の教育委員に責任を履行してもらうためにも、その手助けになるようにわかりやすいリストを作った」(六月八日)と得意げに述べている。
 問われていることは、最も攻防になっているいくつかの採択地区において、とりわけ杉並区において、実際に「つくる会」教科書の採択を大衆運動の力で、教育労働者や保護者や子どもたちなど住民の決起で阻止することである。
 すでに徳島県や佐賀県、東京都狛江市では、「つくる会」教科書の不採択を決定している。しかし、いくつかの私立中学校では「公民」を含め採択した。栃木の下都賀採択地区(小山市、栃木市など)では採択する方針であることが明らかになっている。これを許さず、採択阻止へさらに闘おう。「つくる会」教科書は、次世代の意識を戦争の方向に変えるものだ。絶対に使わせてはならない。
 「つくる会」教科書採択阻止へ全力で闘おう。教育関連六法改悪を弾劾しぬき、闘う教育労働者とともに教育基本法改悪|教育改革攻撃を粉砕しよう。

 第3章 8月広島・長崎反戦反核闘争の大高揚へ!

 当面する第四の課題は、八・六広島−八・九長崎反戦・反核闘争の大高揚を切り開くこと、そして小泉・石原の靖国神社公式参拝を粉砕する八・一五闘争を爆発させることである。
 小泉は六・二三沖縄に続き、八・六広島、八・九長崎に訪れようとしている。小泉の狙いは被爆者の英霊化にあると同時に、“沖縄、広島、長崎にも行ったのだから、靖国神社に参拝してもいいじゃないか゜と人民を欺くペテンである。このふざけた手口を粉砕しなければならない。
 今夏八・六|八・九闘争の重大性は、米日帝によるアジア侵略戦争の切迫にある。二十一世紀冒頭の八・六|八・九に、ヒロシマ・ナガサキから新たな反戦・反核闘争のうねりをつくりだすことが決定的なのだ。
 アメリカ帝国主義は、新たな朝鮮・中国|アジア侵略戦争に向かって突き進んでいる。六月二十一日、ラムズフェルド米国防長官は上院軍事委員会で「二正面戦略」の見直しを宣言、北朝鮮や中国などの「新たな軍事的脅威」を押し出した「アジア戦略」重視の方向を示した。さらに「ミサイル防衛推進」を打ち出し、「同盟国を守るため前方展開戦力を維持する」として沖縄などの米軍戦力の維持・強化を宣言した。
 これに先立ち、米国防総省の委託を受けたランド研究所は五月十五日、「米国とアジア」と題する新戦略報告書を発表し、今後アメリカはアジア重視の姿勢を明確にするとした。そして「問題は日本がこれまでどおり日米同盟の枠組み内でそうした軍事力強化を図っていくのか、あるいは同盟離脱を念頭に置いているかだ」と言い、対日争闘戦を強化することを求めた。
 これに対して日帝・小泉政権は、この米帝の世界|アジア戦略に積極的に対応しながら、集団的自衛権の行使、日米ミサイル防衛の推進、PKO法改悪とPKF凍結解除、新安保ガイドラインの実効性を確保するための有事法制、さらには憲法改悪へと、日本を戦争のできる国家へ大改造しようとしている。早ければ九月下旬からの臨時国会にも直接の攻防が始まる。
 小泉反革命と対決し、八・六広島|八・九長崎反戦・反核闘争の歴史的大高揚をかちとろう。

 第4章 小泉の靖国公式参拝阻止へ総決起せよ

 さらに、今夏八・一五闘争は決定的に重大だ。
 小泉は自民党総裁選中の四月十八日、「尊い命を犠牲にして日本のために戦った戦没者たちに敬意と感謝の誠をささげるのが政治家として当然。まして首相に就任したら八月十五日の戦没者慰霊の日にいかなる批判があろうと必ず参拝する」と表明した。この発言は、靖国神社に関するこれまでの多くの論議や闘争を完全に無視抹殺し、“参拝して何が悪い゜と帝国主義の論理をふりかざして居直る横暴きわまりないものだ。しかしこれが小泉反革命のやり方であり、その強行に痛烈な反撃を加えなければ、過ちを繰り返さないために闘いとってきた地平が破壊されてしまうのだ。
 靖国神社をめぐる小泉の言動は、まさに「つくる会」教科書がめざす日本人と日本国家そのものであり、新たな侵略戦争に向かって「特攻隊」を賛美し、お国のため=天皇のために命を投げ出す青年をつくりだそうとするものである。絶対に許せない。
 闘うアジア人民と固く連帯して、小泉・石原の靖国神社公式参拝を粉砕する闘いに敢然と立ち上がろう。
 そしてさらに、石原の九・一「ビッグレスキュー二〇〇一」治安出動訓練粉砕闘争へ攻め上ろう。

 第5章 国鉄決戦勝利軸に戦闘的労働運動発展を

 当面する第五の課題は、今夏国鉄決戦の前進を切り開き、小泉反革命に立ち向かう労働者人民の隊列、戦闘的労働運動を全力で発展させていくことである。
 大恐慌と大不況がいよいよ現実のものとなりつつある。日経平均株価は七月十一日現在で一万二千円を割り込もうとしており、森政権末期の最安値の水準まで下がった。竹中経済財政担当相は七月の月例報告でも「景気は悪化している」と発表せざるをえず、景気後退とマイナス成長が現実のものとなっている。
 完全失業率も四・九%と過去最悪を記録し続けている。こうした中で小泉の不良債権処理を始めとした「構造改革」が進めば、中小企業などの倒産ラッシュが起き、新たに二百万から三百万人もの失業者が生まれる事態になる。いや、すでにそれは始まっている。
 「痛みを伴う」どころか膨大な労働者人民の血が流れる事態になるのだ。これはもう資本主義・帝国主義国家としての破産であり、日帝はいつか来た道=侵略戦争と帝国主義間戦争に突っ走る以外にないのだ。
 ところが小泉や竹中らは「競争力あるものが生き残る」と平然と言い放って、金融独占資本の延命のために労働者に激しい犠牲を強いようとしている。
 こうした小泉反革命に対して、労働者人民は団結して闘い、職場と生活と生命を守る以外にない。それは動労千葉のように、国労闘争団のように闘うことだ。
 元首相の中曽根康弘は、『新潮45』七月号の「誰が『小泉改革』を阻んでいるか」と題した特別インタビューで、「民営化を断行すれば国労はつぶれるだろう。同時に総評が解体され、日本の労働界や社会環境に大きな変化が起こるに違いないという大きな目標があったから、断固としてやった」と語っている。つまり中曽根は、国鉄分割・民営化のように「小泉改革」を断行せよ、戦闘的労働運動を絶滅せよと言っているのだ。
 日帝の全力をあげた攻撃と闘い抜いてきた国鉄闘争こそ、小泉の「構造改革」攻撃と闘う最前線である。膨大な労働者人民に犠牲を強いる小泉反革命を前にして、人間の尊厳と労働者の未来をかけた闘争団の闘い、国鉄労働者の闘いは絶対に負けられないのだ。国労大会に向け国鉄闘争の圧倒的前進をかちとり、小泉反革命に立ち向かう労働者階級の隊列を構築しよう。
 こうした闘いのただ中で、夏期一時金カンパ闘争を大成功させよう。七|八月決戦の勝利と党建設の前進をかけて、七・二九東西革共同政治集会に大結集することを訴えたい。

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週刊『前進』(2014号1面2)

“沖縄から基地をなくせ” 米軍犯罪に連日怒り沸騰

 六月二十九日未明に発生した米兵による女性暴行事件への沖縄県民の怒りは、急速に燃え広がりつつある。「今こそ島ぐるみの闘いを」と必死の闘いが繰り広げられている。日米両帝国主義は「兵士の引き渡し」をもって「円満解決」とし、事態の沈静化を図ろうとしている。小泉は「地位協定の改定は行わない」と明言し、その上「基地は必要悪」とまで言い、完全に開き直っている。
 しかし一方で、沖縄問題こそが小泉の最弱点であることがはっきりした。沖縄の闘いは完全に新たな段階へと進みつつあるのだ。沖縄現地では連日闘争が闘い抜かれている。

 米総領事館に抗議申し入れ 7・5 浦添 

 七月五日、沖縄労組交流センターは浦添市にある在沖アメリカ総領事館への抗議行動に立ち上がった。
 総領事館の中では女性団体の抗議行動が行われていた。労組交流センターは、総領事が抗議文を受け取りに出てくることを要求しシュプレヒコールを繰り返した。総領事側は「前例がない。要請は中で受ける」と回答してきた。「密室の中で、市民に見えない形で抗議を受けるというのは認められない」。労働者の怒りが爆発した。しかし総領事側はかたくなに認めようとしない。
 抗議行動を終えて出てきた女性団体とエールを交換しつつ断固として正門前で抗議声明を読み上げ、代表者二人が総領事館に入り抗議声明を突きつけた。(3面に申し入れ全文)

 第1ゲート前で抗議集会 7・6 嘉手納 

 六日夕、「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」の緊急抗議集会が地元北谷町職労を始め約百二十人が参加して行われた。嘉手納第一ゲート前には警察権力・ガードマン・米兵がバリケードをつくって、ゲート前での集会を妨害しようとしていた。その向こう側では迷彩服を着た米兵がビデオ撮影までしている。この警備を弾劾し、ゲートを封鎖させ座り込みで集会を開始した。
 集会の司会を崎原盛秀さんが行い、市民連絡会の新崎盛暉共同代表が、「アメリカは自国民の人権といっているが、地位協定は軍隊の特権を保証しているものであり話のすり替え」と弾劾した。平良修牧師、有銘政夫さん、安里英子さん、浦添市民の会の渡久山朝一さんらの発言が続いた。
 名護からも命を守る会の金城祐治さんが駆けつけあいさつをした。最後に抗議声明と「沖縄民衆自身の主体的力で、現状を打開しよう!」というアピールを読み上げ、嘉手納基地に向かって怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。

 「立ち上がろう女性たち」集会 7・7 北谷

 七日午後、北谷町中央公民館を五百人余で埋め尽くして緊急総決起集会「立ち上がろう女性たち」が開かれた。
 主催の北谷町婦人連合会の副会長が開会宣言を行い、主催者代表あいさつに立った会長の玉那覇淑子さんは、「まっ先に優先されるべき被害者の人権を守れない日本政府に怒りを覚える。この北谷の地から沖縄の人権を、女性の人権を守る声を全世界に発信しましょう」と呼びかけた。
 PTA会長の金城政幸さんが「こんな事件は絶対に許せない。祖国復帰はまやかしだ、中身は同じではないか。地位協定も小泉はまた小手先のことを言っている。二度と起こさないためにも基地の撤去しかない」と訴え、大きな拍手がおきた。母親代表の仲栄真恵美子さんは「深夜におきた美浜の事件に対して憶測でものを言う人もいますが、深夜に働く女性も大勢います。被害を受けた人に対してむち打つことはけっして許せません」と怒りを込めて訴えた。
 高校生代表として北谷高校の川畑美和子さんが、「私は沖縄が大好きです。自分が生まれたこの島に誇りを持っています。一人の勇気ある人間として、一人の誇りある女性として平和と人権を守っていくために訴え続けます」と決意を明らかにした。最後に抗議決議と要請決議を満場の拍手で確認した。

 県庁前広場で女たちの集会 7・9 那覇

 九日夕、「米兵による女性暴行事件に抗議する集会」が基地・軍隊を許さない行動する女たちの会と心に届け女たちの声ネットワークの共催で県庁前の県民広場で開かれ、沖縄全島から女性たちが駆けつけた。
 真志喜トミさんがこの間の女性たちの取り組みを報告した。そこで示された県の姿勢に抗議し、「日本はこのままでいいのか。私たち一人ひとりの力を集めて行動していかなければならない」と訴えた。
 行動する女たちの会の高里鈴代さんが「被害者の人権より兵士の人権ということは沖縄に生きているということで後回しにされるということ。これ以上の猶予は認められない。軍隊総体の撤退を」と訴えた。参加者からのアピールが次々と行われた。沖縄県母親大会連絡会の仲松さん、名護から参加した浦島さんが発言した。
 桑江テル子さんは九五年の暴行事件のときにA子ちゃんに出した手紙を紹介し、「二度とあなたのような犠牲者が出ないようにおばちゃんたちはがんばるからねと誓ったが、実現できず悔しいし悲しい。何名のA子ちゃんが出、何名のA子さん、B子さん、C子さんが出たらなくなるんでしょうか」と弾劾した。
 「(普天間基地の)県内移設を認めたら、今この瞬間生まれている女の子が二十年後被害者になる。だから絶対認めてはいけません」との訴えもあった。
 宜野湾市、名護市、浦添市からの女性の発言が続いた。宜野湾のカマドゥー小(グァ)の集いの国政美恵さんが知事公室長の「名護の基地はみなさんの財産なんですよ」という発言を取り上げ、このような県の感覚にもっと危機感を持つことが必要だと訴えた。

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週刊『前進』(2014号1面3)

戦争への道阻むため絶大な夏期カンパを

 すべての同志の皆さん。支持者、読者の皆さん。夏期一時金の支給の時期にあたり、闘う革共同に圧倒的なカンパをお寄せ下さることを切にお願いします。
 私たちは東京都議会議員選挙を全力で闘いましたが当選を果たせず、皆さんのご期待にこたえられなかったことを心よりおわびします。その総括の上に立って、直ちに次なる闘いを開始しています。
 異常に高い支持率の右翼・ファシストたる小泉と石原が手を携えて日本の政治を戦争に向かって切り替えようとしていることを決定的に重視し、なんとしても小泉政権を打倒しなければならないと決意しています。
 「聖域なき構造改革」を叫ぶ小泉のパフォーマンスとマスコミの大宣伝によって、今日の閉そく状況が打開できるかのような幻想が生み出されていますが、小泉の「構造改革」とは行きづまった日本帝国主義を再生・延命させるためのもので、徹頭徹尾、金融独占ブルジョアジーのための改革です。しかしそれとてアメリカのバブル経済の破たんが世界恐慌に向かう中で、景気は一層悪化し、きわめて困難です。
 構造改革の第一にあげられている「不良債権処理」は大銀行を救うために企業とうたを促進し、二、三百万人規模の失業者を生みだすものです。社会の隅々にまで断行される規制緩和という競争原理は国家社会のために、国益のためにという言葉で覆われ、帝国主義戦争の原理として完成させられていくのです。三〇年代がこうしてよみがえりつつあります。
 「つくる会」教科書に対する韓国・中国からの修正要求に応じない日本政府・文科省の態度も、教育改革や教育基本法の見直し、八・一五靖国公式参拝、「英霊」の賛美と自衛隊の押し出しも戦争動員のためです。沖縄の名護新基地建設も、日米安保の強化も、日米地位協定の堅持、集団的自衛権の行使、改憲も、すべて「戦争のできる国づくり」を軸にして出てきています。
 社会保障費や地方交付税交付金の削減も、他方で消費税一四%となり、戦費の調達へと転化させられるものです。「構造改革」とは戦争と大失業の攻撃なのです。
 この大逆流に抗して私たちは闘います。都議選につづく参院選の重大性から、また、沖縄圧殺と日米帝の戦争政策を打ち破るために、比例区でオータ昌秀前沖縄県知事と東京地方区で新垣しげお沖縄社大党書記長を推薦して闘います。皆さんもご支援下さい。
 今ほど革命党の存在と闘いが求められている時はありません。労働者階級の階級的決起をともにかちとり、労働者人民の新しい未来を切り開くために、皆さんの浄財をカンパしてくださるよう心からお願いします。

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週刊『前進』(2014号2面1)

「会長辞任」の松崎追撃を
「カクマル疑惑」追及で資本に一層屈服し延命を図る東労組
 第二の分割・民営化に協力誓う

 六月十七|十九日のJR東労組第一七回定期大会において、松崎明が会長を退任した。動労カクマルの頭目として八五年に動労委員長に就任し、国鉄分割・民営化攻撃の極悪の先兵となり、分割・民営化後には東鉄労|JR東労組の委員長、九五年から会長となって極悪のファシスト労働運動を推進してきた松崎。国鉄労働者と日本労働者階級にとって絶対に許すことのできない階級敵である松崎。この松崎が形式的にではあれ、「労働組合のトップ」の座から「顧問」に退いたのだ。松崎は、権力・資本の懐に一層深く飛び込んで延命しようと策している。松崎を徹底追撃し、その延命策をたたきつぶし、今こそ松崎・JR総連カクマルを打倒せよ!

 JR総連カクマル打倒へ大攻勢の時

 松崎は、五月十一日に「いつまでやってもきりがないので、今年はきりをつけさせていただこうと決めた」と会長退任の意志を表明し、翌十二日の東労組地本委員長会議で了承された。六月十七|十九日の定期大会で、松崎の退任が正式決定され、松崎は「顧問」に就任した。九五年にわざわざ組合規約を改定し、委員長の上に「会長」を新設するという異例の人事でトップに居座り続けてきた松崎が、ついに退くことになったのである。
 大会では、角岸委員長が「会長は、国鉄改革前史から常に組合員・家族の幸福と会社の発展のために先見性と鋭い洞察力をもって私たちJR東労組の進むべき方向を判断し、指導してくれた。今後は、顧問という新たな立場でご指導していただく」とあいさつし、千葉書記長も総括答弁で「(会長は)JR東労組を離れるわけではなく、引き続きご指導をよろしくお願いしたい」と述べた。
 JR総連は、松崎の存在抜きには成り立たない。松崎にとって代わる人物など誰ひとりいない。松崎体制に代わる新たな体制などあり得ないのだ。松崎が今後もJR総連カクマルの頭目として、ファシスト的支配を続けることは明らかだ。
 だが、やはり松崎が退任したということは、国鉄労働運動にとって歴史的な重大事態なのである。黒田カクマルからの松崎・JR総連カクマルの丸ごとの大分裂の問題を一層深刻化させながら、JR総連とりわけ東労組が崩壊の危機を深めることは間違いない。
 いよいよ松崎・JR総連カクマルを打倒し、闘う国労の再生と動労千葉・動労総連合の組織拡大を軸にして、国鉄・JR労働戦線を戦闘的に再編していくチャンスなのだ。
 ここで重要なことは、松崎の「会長退任」がJR完全民営化=第二の分割・民営化攻撃の中で起こっているということだ。
 JR東労組の大会は、六月十五日のJR完全民営化法(JR会社法の一部改定)の成立直後だった。五月に松崎が退任表明を行ったのは、法案の国会審議の真っただ中だった。五月二十五日、国会で「JR総連・東労組のカクマル疑惑」問題が大きく取り上げられ、扇国土交通相や警察庁警備局長が「JR東労組にカクマルが浸透」などと答弁した。
 他方で、参考人として国会に招致されたJR東日本の大塚社長は、「労働組合とは労使共同宣言を締結し、会社経営に協力してもらっており、その結果順調な経営である」と言ってしらを切った。
 権力・JR資本は、松崎・JR総連カクマルに対して「カクマル問題」を突きつけながら、より一層忠実な権力・資本の先兵となって奴隷の道を歩むことを要求したのである。
 この間、権力・資本は、“JR完全民営化達成の壁は、カクマル問題と千四十七人問題である゜としてきた。この中で、松崎・JR総連は、完全民営化=「国鉄改革完遂」の先兵となることを決断し、そのために黒田カクマルとの分裂を深めてきた。JR東日本の大塚新体制への移行をめぐって、JR総連とカクマルの矛盾・対立を激化させ、ついに昨年十二月九日には松崎が「カクマルと完全に手を切った」「カクマルの攻撃から会社を守る」と宣言するに至ったのだ。
 しかし権力・資本は、松崎に“それでもダメだ、もっとはっきりとあかしを立てろ゜と突きつけた。松崎の「会長退任」は、これに全面的に屈服することを権力・資本にアピールするものであり、JR総連カクマルが第二の分割・民営化攻撃の先兵となることを誓うものなのである。

 効率化・合理化推進叫ぶ「ビジョン21」

 松崎・JR総連カクマルが第二の分割・民営化攻撃の先兵となって延命しようとしていることをはっきり示すのが、JR東労組大会で決定された「組織*労働生活ビジョン21」である。
 松崎・JR東労組カクマルは、昨年十一月に策定されたJR東日本グループの中期経営構想「ニューフロンティア221」を「労働組合」の名をもって推進することを、この「ビジョン21」で公式に決定した。
 「ニューフロンティア21」は、二〇〇一|〇五年度の五年間で保守部門の全面外注化を始めとする一万人削減の大リストラを強行し、弱肉強食の競争に勝ち抜くためのむき出しの資本の論理で鉄道会社としてのあり方を抜本的に転換し、労働条件の改悪と安全破壊を極限的に進めようとする大攻撃である。
 JR東労組の「ビジョン21」は、これに完全に対応する「五カ年ビジョン」として打ち出されている。その名称も、全逓中央の「ビジョン221」など連合傘下の御用組合と同様のもので、内容においては、資本の攻撃をそのまま受け入れるだけでなく、それを積極的に推進するという点ではより悪らつな代物である。
 東労組定期大会でJR東社長の大塚は、「松崎会長に、心から、本当にご苦労さまでしたと申しあげたい」と述べるとともに、「完全民営化後のわれわれが進む道については、中期経営構想で明らかにしました。厳しいものもあるだろうと思いますが……新しい協力体制で努力をしていけば成し遂げられる目標であると確信をもっています」とぶち上げた。
 松崎は、この大塚との「新しい協力体制」のもとで、「ニューフロンティア21」の「厳しいもの」も積極的に受け入れ推進することを誓ったのである。
 小泉が「痛みに耐えよ」と二〜三百万人もの失業増を強制する「構造改革」を、東労組は資本と一体となって推進しようとしているのだ。松崎は小泉「構造改革」の最凶悪の先兵となることをも宣言したのだ。
 JR東労組の「ビジョン21」は、「ニューフロンティア21」について、「時宜を得た発表」と賛美している。そして「とはいえ……今後予測される厳しい経営環境に対応していく『中期構想』であるだけに、その実現過程においては『効率化・合理化』等、様々な問題が生起することも見通しておかなければなりません」と言う。「厳しい経営環境」だから、「効率化・合理化」も進んで受け入れなければならない、と組合員を恫喝しているのだ。
 JR東労組は、昨年三月の「シニア雇用に関する協定」の締結、今年三月末の「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸・車両関係)に関する協定」の締結に続き、六月十三日には「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」についても裏切り妥結した。六十歳以降の労働者を超低賃金でグループ会社に選別再雇用するという悪らつな「シニア協定」と一体となった、設備、検修・構内の保守三部門の全面外注化をすべてのんだのだ。
 「ビジョン21」でも「『必要な』効率化、機械化・システム化は進めるという基本姿勢」をあらためて確認し、「三次にわたる『労使共同宣言』の趣旨を踏まえ、会社の発展をめざし」取り組んでいくと資本に誓っているのだ。
 それだけではなく、「鉄道事業と生活サービス事業が同じ賃金体系でよいのか」と賃金体系の改悪に踏み込み、「雇用形態のあるべき姿を確立する」と、雇用形態の多様化(一部の長期雇用を除いて大部分を不安定雇用化)をも主張している。まさに日経連の雇用破壊・賃金破壊の攻撃を率先推進しようというのだ。これは、分割・民営化以降も基本的には国鉄時代の人事・賃金制度の枠組みを引き継いできたのを、全面的に転覆するということだ。
 これは「ニアリー・イコール論を豊富化し、さらに労使関係を強化します」と限りなく“労使はイコール゜にして、「JR東日本を名実ともに世界一の鉄道会社にするために全力を尽くす」ということである。
 JR東労組カクマルは、シニア協定や保守部門の全面外注化で国労・動労千葉破壊に突っ込んでくるとともに、東労組組合員をも犠牲にすることを、この「ビジョン21」で宣言したのだ。だが、全面外注化は、動労千葉を先頭とする反撃で破綻(はたん)は必至であり、東労組の中にも矛盾を拡大している。労働者に犠牲を押しつけて自分たちだけは生き残ろうなどという反階級的な路線がいつまでも成り立つはずがない。
 ストライキを始めとした現場からの闘いこそ、東労組カクマルの支配をガタガタにし、「ニューフロンティア21」=第二の分割・民営化攻撃を打ち砕くのだ。

 黒田カクマルとの大分裂は一層激化

 松崎の「会長退任」は、さらに黒田カクマルとの大分裂を一層泥沼的に激化させるものとなる。
 JR総連は六月三、四日の定期大会で、黒田カクマルによって八カ月も拉致・監禁されているJR総連OB・坂入充の「即時解放」を求めることを確認し、文書で申し入れ、六月二十九日には委員長の小田を先頭にしてカクマル解放社に抗議に押しかけた。
 JR北海道労組が六月十、十一日に開いた定期大会は「厳戒体制」のもとでカクマルへの「毅然(きぜん)たる対応」(委員長・佐々木)を確認した。カクマルの反革命通信『解放』はこの間、「JR北海道労組ダラ幹」への攻撃を続け、教組などのカクマルを動員して北海道労組への「組織介入」を強めてきた。
 こうした中で、カクマルは、「階級敵」「JR総連執行部打倒」とまで宣言しながら、「松崎に学べ」などと言って、いまだに松崎だけはカクマルの味方であるかのように装い続けている。松崎がJR総連ダラ幹の頭目であることを認めてしまったら、カクマルの死を認めるに等しいからだ。
 だが、黒田カクマルと松崎・JR総連カクマルという反革命同士の矛盾・対立はさらに激化し、泥沼化することは不可避である。
 いよいよ松崎・JR総連打倒、黒田カクマル打倒の絶好のチャンスが来た。
 この情勢のもとで迎える国労定期大会決戦に絶対に勝利し、国鉄|日本労働運動の新たな戦闘的発展の時代を切り開こう。

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週刊『前進』(2014号2面2)

「一人80万円、75人再雇用」案の提示を懇願する国労本部
 チャレンジグループ 国労の名称変更も要求

 国労の第六八回定期全国大会(いまだ日程は未定)は、これまでのどの大会をも上回る分岐と激突の大会となろうとしてる。それは何よりも日帝国家権力と国労本部、チャレンジ一派と革同(本部中執の久保をキャップとする一派)が、今大会を、千四十七人問題の最後的決着をかけた大会と位置付け、暴力的に「ゼロ解決」受諾を決定しようとしているからだ。
 JR完全民営化法を成立させた通常国会会期末の六月二十九日、社民党・渕上幹事長と自民党・甘利副幹事長との会談で、「渕上案」なるものが出された。それはすでに暴露されているように、「和解金一人八十万円、JR東海・西日本・貨物のグループ関連会社への七十五人程度の再雇用」というもので、これ自体、およそ問題にもならない「ゼロ回答」だ。闘争団の十五年にわたる闘いを踏みにじるとんでもないものである。怒りを爆発させて絶対に葬り去らなければならない。
 この「渕上案」なるものは、運輸省OB(元事務次官)の黒野らが九九年六月に「運輸省メモ」で国労に「JRに法的責任なし」を認めることを迫った際にまとめた「解決試案」と同じだと言われている。
 その存在は、昨年七月の臨大後に明るみに出ていた。当時の宮坂書記長は、闘争団全国連絡会幹事会で、「九〇年三月三十一日の退職者と九〇年四月一日の解雇者との差額。これが八十万円と言われているもの」と説明した。要するに清算事業団から解雇される前に「退職」した労働者との「退職金の差額」だと言うのだ。宮坂前書記長は十月の定期大会の答弁でも、八十万円は、国鉄清算事業団が解散し、鉄建公団清算事業本部に移行する際に算出した金額だと、その存在を公式に認めている。
 六月二十九日、国労本部の要請で、なんとか「解決案」を出してくれと懇願した渕上に対し、甘利はこれを上回る回答を準備する意志がないとクギを刺した上で、これを「渕上案」として提示したらどうかと迫ったという。
 社民党・渕上は、当初「甘利案」として出してくれたら国労本部も了解すると伝えたらしいが、甘利はこれを蹴って「渕上案」となった。だが結局、正式な「解決案」としては提示されなかったということをこれは示している。国労本部の破産は明白である。
 実際にこの間の四党協議では「解決水準」をめぐる交渉など一切行われていない。甘利が五月十四日の四党協議で明言したように、「回答は一発で終わり、交渉するものではない」ということだ。ただ、この「八十万円、七十五人」をどうやってのませるかをめぐって、自民党と社民党(および国労本部)が醜悪なボールの投げ合いをやっていたに過ぎないのだ。
 四党合意に基づく「解決」では、これを上回ることは絶対にあり得ない。それを百も承知で、国労本部は全国大会でのむことを決めようというのだ。断じて許してはならない。

 単一体の解体、連合体化狙う

 七月六日に投票が行われた全国大会の代議員選挙で、秋田のチャレンジ一派の候補は、「『四党合意』に基づき千四十七人問題をすみやかに解決する。国労の改革を行う。本州三社の完全民営化により『国鉄労働組合』の名称を変更する。単一体から会社毎の連合体組織とする」と公然と主張した。チャレンジは、今度の大会で、国労の名称変更と解体(その先にはJR連合への合流)までも決めろと叫んでいる。
 九八年八月の定期大会で突如提起された「補強五項目」路線をそのまま実行に移そうとしているのだ。
 まさに今度の定期大会は、国労の自己解体か、国労の階級的再生かをかけた大激突となる。
 もはやあらゆる意味で破産した高嶋|寺内執行部を打倒し、チャレンジ一派、革同一派にとって代わる闘う執行部をつくり出すために全力を挙げて闘おう。

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週刊『前進』(2014号2面3)

小泉反革命打倒・党勢倍増へ 7・29革共同集会の成功を

 同志の皆さん。支持者の皆さん。七月二十九日の東西革共同政治集会への総結集を訴えます。
 われわれは、小泉反革命の登場と真っ向から対決し、革共同の飛躍をかけて東京都議選を軸に二〇〇一年前半の政治決戦を全力で闘い抜きました。しかし、けしば候補は九四五〇票を獲得しましたが、力及ばず敗北しました。われわれはこの冷厳な現実をしっかりと見据え、敗北から本当に学ぶ総括をなしとげて再決起し闘う決意です。
 小泉の登場で本格攻防情勢に入った改憲阻止の歴史的大決戦の主体的陣形をなんとしても切り開かなければならないし、そのためにも革共同の創成以来の全歴史を総括し、革命党・労働者党としての本格的な闘いをつくり出していかなければなりません。そして絶対に勝利の道を開かなければなりません。革共同政治集会をその第一歩としようではありませんか。これが集会の第一の課題です。
 小泉は、都議選・参院選を通じて、「小泉によって何か抜本的な改革が行われる」という幻想をさらにあおり立て、「聖域なき構造改革」という「改革綱領」が国民的に支持・承認された、後は実行あるのみだとして、労働者階級人民に全面的に襲いかかろうとしています。小泉は、自分が行う「改革」を、日本という国家のどうにもならない行き詰まりを打開する「革命」のようなものだと打ち出し、破産した戦後の日本国家を本来の帝国主義国家・戦争のできる国家へと脱皮させることによって救済するのだと正面から打ち出しています。したがってそれは、ストレートに民族主義・愛国主義・排外主義をあおり立てるものとなっています。
 小泉の特徴は、この「改革」が抜本的であるためには血を流す犠牲が必要だとして「痛みに耐えろ」と上からわめき、この「改革」を「抵抗勢力をたたきつぶして」でも力をもって貫徹するとしているところにあります。このこと自体が、小泉に「本当に何かを変えるのでは」という幻想を付与する力となっています。ところが、このような小泉の「抵抗勢力をたたきつぶす」という攻撃は、実は労働者階級人民に向かっているのであり、アジア人民に向けられているのです。
 今、小泉反革命に対する下からの全面的反撃がはっきりとした政治的表現をとりきれていない中で、労働者階級の怒りと不満は爆発的突破口を求めて渦巻いています。だが小泉の「教科書」「八・一五靖国」攻撃へのアジア人民の怒りと糾弾は小泉との非和解的な対決に向かいつつあります。このアジア人民の決起にこたえる闘いをつくり出せるかどうかに、小泉との全面対決を真に切り開けるかどうかのカギがあるのです。
 また、小泉の訪米・日米首脳会談と重なって起きた沖縄の女性暴行事件は、日米関係の危機的現実と沖縄問題の戦略的大きさを示し、小泉の「改革」なるものの反人民的な本性を突き出しています。そして、国鉄闘争を始めとする労働運動においても明らかにひとつの転換が生まれつつあります。こうした情勢が今ひとつ転回する時、労働者人民が、小泉が強要する「痛み」の階級的本質をつかみとり、死活の反撃に転じることは確実です。
 われわれは、厳しい現実をしっかり見据えるとともに、主客の攻防の内にはらまれている可能性をつかみとり、それをわれわれ自身の飛躍をとおして現実のものにしていかなければなりません。小泉反革命に対する階級的総反撃の道を切り開くこと、これが革共同政治集会の第二の課題です。
 今、主客の情勢は、革共同の党としての前進と飛躍、党勢の倍増的な発展をギリギリと求めています。革共同が創成以来の闘争の歴史を前提にして、九〇年代の十年間に切り開いてきたものは、これからその真価が試されます。反革命カクマルを歴史的な分裂と大破産状態にたたき込んだ今、反スターリン主義・革命的共産主義運動の全面的な発展期が切り開かれつつあるのです。
 革共同は権力・反革命との絶対的対峙をどこまでも貫き、本質的に非公然・非合法の党でありながら、大衆にとけ込み、労働者人民自身の闘争を全面的に推進できるような党として発展する課題に挑戦しています。だからこそ、運動を発展させる力と活動家を党に獲得する力を表裏一体のものとして、わがものにしていかなければなりません。
 ここですべての同志に訴えたいことは、革共同集会そのものを重視しようということです。それ自体を討議のテーマにし、ここに職場の仲間やオルグの対象者や重要な活動家を結集する闘いをしっかりと位置づけようということです。そしてそこに仲間を結集していくという運動それ自体が、党勢拡大=倍増闘争の柱のひとつとならなければいけないのです。
 そうしたものとして七・二九東西革共同政治集会に結集し、大成功を実現しようではありませんか。

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週刊『前進』(2014号2面4)

資本攻勢&労働日誌 6月23日〜7月5日
 ●NTT15−30%賃金ダウン
 ●カンタス労組が逆転勝利
 ●団結解体へ個別紛争処理
 失業率、最悪の4・9%に

●6月23日 政府は、特殊法人改革についての「中間とりまとめ」を発表。34法人の事業は廃止、統廃合を検討するとしている。
●24日 ニュージーランドのオークランド港を組織する労組がストライキに入り、労働者の臨時化(カジュアライズ)を進める港側に抗議している。
●25日 経団連と日経連が統合して発足する「日本経済団体連合会」の設立総会が、来年5月28日に行われることに決まった。
●27日 NTTのNTT東日本、西日本「グループ経営合理化策」実施にあたって、新たに導入する賃金体系案が明らかになった。(要旨別掲、28日読売)
◇全国一般東京南部カンタス航空客室乗務員組合は、東京高裁で客室乗務員12人の解雇を不当とする完全勝利判決をかちとり、東京地裁の反動判決を逆転させた。
◇住友生命の既婚女性労働者12人が、結婚や出産を理由とする未婚女性との昇給・昇格差別の是正を求め、大阪地裁で勝訴。
●28日 JAMの中央委員会で服部光朗会長は、小泉内閣の「聖域なき構造改革」路線を厳しく批判し、首相発言に拍手を送る民主党議員の言動について「大変な憤りを感じている」と発言した。
●29日 総務省発表の5月の完全失業率は前月より0.1ポイント増の4.9%となり、昨年12月、今年1月と並んで過去最悪の水準に。また、厚労省発表の5月の有効求人倍率は前月を0.01ポイント下回る0.61倍となり2カ月ぶりに悪化した。
◇「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が参院本会議で可決、成立した。厚労省は10月1日の施行を目指す。
◇政府の行政改革推進本部は、公務員制度改革の「基本設計」を決定した。天下りやキャリア制度を温存する一方、公務員に能力・実績主義の処遇制度を導入すること、現行の省庁枠にとらわれない「国家戦略スタッフ」を創設することなどを盛り込んでいる。労働基本権の扱いは先送りした。
◇新ガイドライン法反対で共同行動を重ねている陸・海・空・港湾20労組団体が有事法制をテーマに「学習の夕べ」を開いた。
◇鷲尾連合会長は定例会見で、経済財政諮問会議の基本方針について「まったく賛成できない」と述べ、民主党について「あいまいというより間違っている」と批判。
●30日 政府の総合規制改革会議の「雇用・労働」分野規制改革原案が明らかに。民間職業紹介事業で求職者からの手数料徴収解禁や有期雇用契約期間を5年に延長。
●7月4日 総務省・郵政事業庁は現在約30万人いる郵政3事業労働者を今後5年以内に2万人以上削減することを労組と調整する。
◇商業労連、チェーンストア労協、百貨店7労組連絡協議会の3組織が統合し、新たな産別「日本サービス・流通労働組合連合」(略称・サービス・流通連合、JSD)を結成した。組合員数は18万3000人で、連合と国際産別のUNIに加盟する。
●5日 全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は幹事会を開き春闘総括を行った。前年比で104円増にとどまった賃上げ結果について「春闘全体の否定的影響をのりこえるにはいたらず、全体としてはきわめて不十分」と、敗北主義的総括に終始した。

 NTTの新たな賃金体系案

子会社・孫会社に移される約6万人の労働者の異動後の勤務先に応じて賃金水準に大きな格差をつける。全国一律賃金制度を解体し、電機で始まっている「地域別賃金制度を徹底させた攻撃。
・東京都 15%削減
・大阪府、神奈川県 20%削減
・兵庫県、愛知県など12府県 25%削減
・北海道、島根県など32道県 30%削減

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週刊『前進』(2014号3面1)

改憲・戦争国家化と大失業 小泉反革命と徹底対決せよ 2
 中国・朝鮮侵略戦争への準備 集団的自衛権と有事立法

 人民の反戦意識を「戦争の後遺症」だと攻撃する小泉

 小泉首相の発言の数々は、日帝が過去に行ったアジア侵略戦争への反省を一切欠いたものだ。このこと自体を厳しく弾劾しなければならない。それどころか小泉は、「新世紀維新」などという右翼まがいのスローガンを掲げ、特攻隊を賛美し、靖国神社公式参拝を公言し、憲法違反の自衛隊を「いざという時に国のために命を捧げる自衛隊」とたたえて、これまでのどの自民党政権よりも激しく、改憲と戦争国家づくりの攻撃を進めているのだ。
 小泉は、時には人を欺くために「二度と戦争を起こしてはいけない」などと言う。冗談ではない。小泉が実際に行っていることは、まさに戦争準備そのものではないか! 小泉は再びこの二十一世紀において、日本と全アジアの労働者人民を戦争に引きずり込もうとしているのだ。
 何よりも、そのことを示す決定的な事実は、小泉が歴代首相として初めて、真っ向から改憲を主張したことである。小泉は自民党総裁選に当選した直後から次のように言っている。
 「憲法は将来改正すべきだ。自衛隊は軍隊でないという部分は不自然だ。侵略の抑止力として必要な自衛隊が解釈によっては憲法違反だと取れるのはおかしい。いざという場合には命を捨てる自衛隊に誰もが敬意を持つような憲法をもった方がいい」(四・二四記者会見)
 「憲法九条は、日本は戦争の後遺症が強いから政治課題に乗せるのは難しい。だが、侵略されたとき命がけで戦う決意を示すのが自衛隊だ。『自衛隊は憲法違反』と議論させておくのは自衛隊に失礼だ。命を捨てる覚悟で難しい訓練をしている。そういう集団に敬意を持って接することができるような法整備、環境をつくるのが、政治として当然の責務だ」(四・二七記者会見)
 このように小泉は、九条改憲を真正面から主張しているのだ。「政治課題に乗せるのは難しい」と言っているが、だからやめようと言っているのではない。労働者人民の抵抗が強いので困難だが、その困難はぶち破る必要があると言っているのだ。強烈な改憲の意志を「国民」に対してたたきつけている。
 ここには小泉の歴史観、戦争観がはっきりと表れている。「日本は戦争の後遺症が強い」とは、何という言いぐさか。「戦争は二度と繰り返さない」という、戦後の日本人民の反戦の誓いは否定されるべきものだと言っているのだ。小泉は、労働者人民の戦後反戦意識と闘いを憎悪し、これこそが改憲と戦争を阻む最大の壁であることを見てとって、ここに大攻撃をかけてきているのだ。そして〈軍隊と戦争〉を価値観転覆的に積極的に「国民」に受け入れさせるために、戦争賛美の「つくる会」教科書の採択を国家ぐるみで推進し、同時に闘う教育労働者への攻撃を強め、さらに靖国公式参拝を狙うなど、矢継ぎ早の攻撃を強めている。
 小泉が「戦争の後遺症」と言う場合の「戦争」とは、明治以降の日帝の侵略戦争とりわけ中国侵略戦争から第二次大戦に至る十五年戦争のことを指しているが、小泉はこの戦争を根本的に肯定しているのだ。否定する言葉は一言もない。
 「国のため」「国家の存亡のため」として正当化され遂行された近代日本の戦争の本質は、何だったのか。日帝がアジア諸国を侵略し、植民地化し、支配圏に組み入れるための戦争だった。それは、帝国主義支配階級の利益のために、帝国主義の支配体制の危機をのりきるために行われた戦争でしかなかった。日本の労働者人民は、この帝国主義の侵略戦争に動員されて、自らの手で中国・朝鮮|アジア人民を大虐殺し、侵略戦争と植民地支配の歴史的大罪に加担するという過ちを犯したのだ。
 またその結果、日本の労働者階級人民は、この十五年戦争をとおしてアジア諸国人民の反撃を受けるとともに、帝国主義の利益のためにアメリカの労働者人民とも殺し合いをさせられたのである。その中で膨大な戦死者を出し、戦争被害を被り、かつ沖縄戦、ヒロシマ・ナガサキを経験することによって、権力者の言うことを断じて信用してはいけないということを痛切に思い知ったのだ。
 だからこそ反戦平和の意識を守り、憲法九条を変えようとする動きを許さず今日まで来たのである。
 これは、後遺症などと言っていいようなものでは断じてない。小泉は、再び戦争をやろうと考えているからこそ、この人民の反戦平和の意識を敵視し、破壊しようとしているのだ。
 「侵略されたとき」などと、まるで自然災害がふりかかるかのように言うが、ここにもペテンがある。こんな言い方にだまされてはならない。日本は帝国主義国家であり、基本的に侵略する側の国家なのだ。近代百年の歴史は、常に日帝軍隊の側が侵略していって、戦争を始めたではないか。
 そして今再び、「侵略されないため」とか「侵略されたときに命がけで闘う自衛隊」などと言いながら、侵略戦争に本格的にのりだすための臨戦態勢づくりに全力を挙げているのだ。九条改憲の攻撃は、そのための決定的な攻撃である。

 「首相公選制」は改憲と強権支配

 「戦争の後遺症が強いから、難しい」と言いながら、改憲の突破口を開こうと狙っているのが、「首相公選制での改憲」だ。
 「『憲法はこうすれば改正できる』と国民に理解されやすいのが首相公選制だ。ほかの条文は一切いじらない。具体的な改正で、改正手続きも鮮明になる」(四・二七記者会見)
 改憲の核心は九条改憲にあるのだが、これをやりやすくするために首相公選制のための改憲から始めるのがいいと、実にふざけたことを言っている。そのために「首相公選制は、総理を選ぶ権利を国会議員から一般国民に移す政界の規制緩和だ」などという、人民を欺くうそを言っている。
 首相公選制の本質は、政治・経済・社会機構を握っているブルジョア支配階級が、扇動政治家を押し立てて強大な大統領的権限をもった首相をつくり出し、強引に支配階級の利益のための反動政治を行おうとするものだ。戦後民主主義体制を解体してボナパルティズム的な戦争国家体制を確立しようとするものだ。

 米軍・多国籍軍と共に侵略戦争をする「集団的自衛権」

 次に日帝・小泉が、改憲と一体で進めているのが「集団的自衛権」攻撃だ。これは日帝が本格的に朝鮮・中国|アジア侵略戦争に突き進むための実に重大な、決定的な攻撃である。
 PKO法や新ガイドライン(周辺事態法)に基づく「後方地域支援」そのものが憲法違反の侵略戦争攻撃であるが、日帝がさらにそれをも越えて「集団的自衛権」行使に踏み切ることは、海外出兵、海外での武力行使、大型兵器(ヘリ空母、護衛艦、戦闘機、戦車など)を動員した公然たる侵略戦争に、ついに決定的に踏み込むということだ。
 「集団的自衛権」とは何か。「自国と密接な関係にある他国への武力攻撃を、実力で阻止する権利」と説明されている。だから「自衛」とは名ばかりで、それは日本軍(自衛隊)が米軍と共同で、あるいは多国籍軍として、「他国」に攻め込んでいって戦争をするということなのだ。
 日帝は、ソ連スターリン主義の崩壊以降、九〇年代をとおして帝国主義間争闘戦が非和解的に激化する中で、独自の戦争国家化のための決定的な攻撃として改憲|集団的自衛権を狙ってきた。このために九六年の日米安保共同宣言以降、新安保ガイドライン|周辺事態法へと突き進み、日米安保同盟の強化を日帝の側から積極的に推進することをてこにして、「集団的自衛権」行使への踏み込みを策動してきたのだ。新たに登場した小泉極右政権は、米帝ブッシュ政権の中国・朝鮮侵略戦争体制づくりのための対日要求(集団的自衛権の行使)をも決定的なてことして、それを一挙に進めようとしているのだ。
 小泉は「日本近海で共同活動をしている米軍が攻撃を受けた時、日本が何もしないことができるのか。……あらゆる事態を研究する必要がある」(四・二七記者会見)と言う。
 日帝はすでに日米新安保ガイドライン|周辺事態法を成立させて、「後方地域支援」という枠組みでの参戦体制を法的に作り上げている。これ自体が、絶対に許せない日米帝の中国・朝鮮侵略戦争体制である。だが、日帝・小泉は、もっと露骨に公然と中国・朝鮮侵略戦争に出兵し、参戦できる体制づくりを狙っているのだ。このことを自民党幹事長・山崎拓はもっとあけすけに述べている。
 「日米の協力関係が実際の効果をあげるためには、後方『地域』支援に限らず、後方支援、場合によっては正面でも、米国と共同行動をとることを可能にすべきだ。これにより……日本の発言力を高めることにもつながろう」(『憲法改正』)と。
 まさに、小泉政権は戦争突撃内閣なのだ。

 有事法制の立法化、PKF凍結解除の策動を許すな!

 こうした攻撃と一体のものとして、小泉政権は有事法制の立法化、PKO法改悪=PKF(国連平和維持軍)参加策動を強めている。こうした動きは、いよいよ自衛隊が実際に中国・朝鮮侵略戦争に突入する体制づくりに動き出したことを示している。
 小泉は、「治にいて乱を忘れずは政治の要諦(ようてい)だ。平時に有事のことを考えるのが政治で最も大事だ。そういう観点から有事の場合、どういう態勢をとったらいいのか研究することは大事だ。いつの時点で法整備をするかは、今後の課題だ」と述べ、就任早々直ちに中谷元・防衛庁長官に対して、「検討を進めてもらいたい」と指示を出した。内閣官房や防衛庁が作業チームを設置して、法制化のための作業が進められている。さらに、秋の臨時国会にはPKO協力法改悪案が提出されようとしている。これは、PKF参加を解禁し、海外での軍事行動に参加するための改悪である。
 日本の労働者人民は、かつて私たちの親や祖父母の世代が侵略戦争に屈服・加担させられていった歴史を厳しく総括し、侵略戦争の償いを果たし、再び日本が侵略戦争を繰り返さないためには、どうすればいいのかを今こそ真剣に考え、団結して立ち上がらなければならない。そのためには、「小泉改革は戦争の道だ。小泉自民党をぶっ飛ばせ」という声を全国にとどろかせて闘うことだ。
 闘うアジア人民と連帯して、小泉反革命を打倒しよう。参院選闘争に勝利し、「つくる会」教科書採択を粉砕し、小泉の八・一五靖国神社公式参拝阻止の闘いに立ち上がろう。
(中津次郎)

 【小泉の超反動語録】

●「憲法は将来改正すべきだ。自衛隊は軍隊でないという部分は不自然だ。侵略の抑止力として必要な自衛隊が解釈によっては憲法違反だと取れるのはおかしい。いざという場合には命を捨てる自衛隊に誰もが敬意を持つような憲法をもった方がいい」
●「憲法九条は、日本は戦争の後遺症が強いから政治課題に乗せるのは難しい。だが、侵略されたとき命がけで戦う決意を示すのが自衛隊だ。『自衛隊は憲法違反』と議論させておくのは失礼だ。命を捨てる覚悟で難しい訓練をしている集団に敬意を持って接することができるような法整備、環境をつくるのが、政治として当然の責務だ」
●「国益に一番大事なのは、日米の友好だ。日本近海で共同活動をしている米軍が攻撃を受けた時、日本が何もしないことができるのか。……あらゆる事態を研究する必要がある」(集団的自衛権)
●「『憲法はこうすれば改正できる』と国民に理解されやすいのが首相公選制だ。ほかの条文は一切いじらない。具体的な改正で、改正手続きも鮮明になる」
●「治にいて乱を忘れずは政治の要諦(ようてい)だ。平時に有事のことを考えるのが政治で最も大事だ。そういう観点から有事の場合、どういう態勢をとったらいいのか研究する」(有事立法)

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週刊『前進』(2014号3面2)

参院選マニュアル 比例区はオータ、東京選挙区は新垣
 29日以前に不在者投票に行こう 

▼オータ候補は、比例区(社会民主党)に立候補しています。比例区ですから全国どこに住む人でも投票できます。非拘束名簿式ですから政党名を書く必要はありません。比例区の投票用紙にオータ昌秀と書いて下さい。
▼新垣候補は、東京選挙区で立候補しています。選挙区(東京選挙区のみ)の投票用紙に新垣しげおと書いて下さい。
▼前日までに自分の不在者投票は済ませて、投票日当日まで組織化に全力を尽くそう。その上で東西の革共同集会に結集しよう。
▼職場の仲間や学友、家族・親類・友人・知人に投票を呼びかけよう。選挙は知人からの依頼が最も効果的です。直接あるいは電話・手紙で依頼して下さい。電話と直筆の私信には制約はありません。
▼オータ候補は、全国のすべての有権者が投票依頼の対象です。新垣候補は、東京選挙区ですから、東京都内在住の親類・友人・知人に投票を呼びかけて下さい。
▼全国各地でのオータ候補、都内での新垣候補の街頭演説や個人演説会に友人・知人を誘って参加しよう。
nオータ昌秀後援会
・那覇市字天久57番地
 電話098-941-6675〜8
・東京都港区赤坂2-18-19
 電話03-6229-2764
nオータ昌秀事務所
・大阪府茨木市新庄町1-2 白雲ビル201号 北摂市民ネットワーク内 電話0726-20-8007
・福岡市博多区千代4-29-51 河野ビル2階 電話092-651-6226
▼反戦共同行動委員会の街宣やビラまきに参加しよう。7月20-22日、28日に全国各地で街宣やビラまきが予定されています。

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週刊『前進』(2014号3面3)

“二期やめろ、廃港に” 関西新空港反対で全国集会 地元住民先頭に200人余

 照りつける太陽の下、泉佐野市末広公園で七月一日、関西新空港反対全国集会が二百四人の結集でかちとられた。集会場の真ん中には五十人を超す泉州住民の会の人びとが陣取った。
 主催者あいさつに立った森田恒一泉州住民の会代表が、年間四十兆円を超える軍事予算を持つアメリカの戦争戦略を批判し、関空二期事業が朝鮮・中国をにらんだ侵略戦争のための軍事空港づくりであることを明らかにし、「平和と正義を貫く信念を持って闘いぬこう」と訴えた。
 続いて、三里塚反対同盟本部役員の鈴木幸司さんが連帯のあいさつ。鈴木さんは、「政府の東峰神社立ち木伐採のやり方に、いつ戦争の体制になるかと危機感を持った。反対同盟はかつてない憤りをもって決起した」と報告し、特攻隊を賛美する小泉の攻撃は「戦争がわれわれの足下に来ている」ことだと警鐘を乱打し、「三十六年間の軍事空港反対の闘いを貫き、空港をつぶすまで闘う」と力強く決意を述べた。
 動労千葉の労働者の「分割・民営化は小泉がやろうとしている首切り・リストラの先取り。労働者は小泉を打倒しない限り生きられない。闘う闘争団を守りぬき、小泉打倒のために闘う」との決意と春闘ストライキの報告に、会場から大きな拍手が起こった。
 都議選の激闘を闘いぬいた都政を革新する会の結柴誠一氏が、都議選支援へのお礼と報告、「小泉、石原とただ一人真っ向から闘い、九四五〇票の支持を得た。介護保険闘争、教科書闘争、労組選対の闘いから無限の可能性が芽生えた。さらに倍する闘いに立ち上がる」と新たな決意を表明した。
 八・六ヒロシマ実行委員会から被青同の友野幽委員長があいさつ。「八・六は小泉との真っ向勝負としてある。特攻隊精神を賛美するやからが広島に何をしに来るのか。小泉の式典参加粉砕のデモに総決起を」と訴えた。
 続いて地元泉佐野の地で争議を闘う労働組合が、闘いの報告と連帯のあいさつに立った。「偽装閉鎖・全員解雇の攻撃に、自主営業で闘っている。争議勝利まで闘う」「関空の税金のムダ使い、軍事使用反対に今後も取り組んでいく」
 北富士忍草母の会と小西弘泰高槻市議からのメッセージが紹介され、基調報告に移った。
 泉州住民の会事務局長の国賀祥司・泉佐野市議が、冒頭に土地収用法改悪案、教育三法改悪案の採決強行と小泉訪米を弾劾し、小泉打倒に立つことを訴えた。続いて、関空計画が完全に破綻し、地盤沈下、赤字経営問題が解決不可能の段階に来ているとして、二期事業の中止を強く要求した。そして朝鮮・中国・アジア人民との連帯をかけて軍事空港を粉砕しようと訴えた。
 さらに「日米首脳会談で有事法制と集団的自衛権の行使を約束し、有事法策定に突進しようとする小泉は沖縄を中心に日本全土を出撃・兵站(へいたん)基地にしようとしている。関西新空港闘争と三里塚闘争は小泉政権の戦争政策との最前線の闘い。重大な決意で闘おう」と呼びかけた。
 婦人民主クラブ関西協議会によるカンパアピールに続き、参加各団体から決意表明が行われた。
 地元泉州住民の会からは二人の役員が「行き詰まった第三セクターの尻ぬぐいに税金を使うな。関空を有事の兵站基地にしようとしている。空港を廃港に」「今日は地元から五十人が決起した。関空は廃港に。沈んでいく空港に税金をつぎ込むのはお金がかかって仕方がない。二期はやめろ」と訴えた。
 神戸・東灘区住民の会の代表は「家島群島が関空の土砂取りで無残に島がつぶされている」「ムダな神戸空港もいざというときの軍事空港のため。神戸で一周り広い運動体をつくって工事の中止を求めていく」と明らかにした。
 部落解放同盟全国連合会は、「狭山異議審がこの夏正念場を迎えている」と訴えた。関西労組交流センターは、人事交流攻撃に反撃する近畿郵政局前での闘い、交流センター運動への不当弾圧に対する抗議行動の報告を行い、闘う教育労働者への処分粉砕と小泉打倒を先頭で闘う決意を示した。全学連は前日の「小泉打倒・つくる会教科書採択阻止」の京都・河原町でのデモの報告を行い、小泉の靖国公式参拝の阻止へ闘うことを明らかにした。
 明石住民の会が集会宣言を力強く読み上げ拍手で確認された。閉会あいさつは永井満・淡路町空港反対同盟代表が三十年にわたる関空闘争をふりかえり、「この時代に生きるものとして三里塚とともに関空の廃港まで闘う」と述べた。
 集会後、りんくうタウンまでデモ。途中、中学生が「がんばって」と大きな声援を送ってくれた。マーブルビーチでは多くの海水浴の若者の注目の中、関空に向かって「軍事空港を許さないぞ」「廃港まで闘うぞ」と大きなシュプレヒコールを上げた。

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週刊『前進』(2014号3面4)

米兵による女性暴行事件徹底弾劾! すべての米軍基地を今すぐ撤去せよ
 沖縄労働組合交流センター

 六月二十九日未明、北谷町において嘉手納基地所属の米兵軍曹による女性暴行事件が起きた。またしても、またしても絶対に許すことのできない事件が繰り返された。
 怒り! 腹の底からの怒りでこの身が張り裂けんばかりである。
 今回の事件は、明らかになっていることだけでも、米兵は介抱を装って暴行を働くという蛮行の上に蛮行を重ねる行為を行った。しかも、暴行に及んだ米兵は一言の謝罪がないどころか自らの容疑を否認し、事もあろうに「合意の上」でなどと言い放っている。「正義」を口にしながら、人民を虐殺している帝国主義軍隊の本性をそのままにさらけだすような犯行だ。さらに犯行現場に居合わせたほかの米兵も犯人の逃走の手助けをするなど帝国主義の軍隊の本性を余すところなくさらけ出した。米国防総省は「単独犯であり集団暴行事件ではない」などとコメントしていたが、女性を助けるのではなく一緒に逃走したということは共犯であることを自認するものではないか。そもそも「単独犯」であれば許されるとでも言うのか。米軍は、米国政府は、犠牲になった女性の血叫びが聞こえているのか。沖縄の怒りの声が聞こえているのか。米軍は沖縄において何をやってもいいとでも思っているのか。
 今回事件が起きた北谷町美浜はハンビー飛行場の返還から街づくりが進み、基地がなくなれば沖縄が本当に発展していくという事を現実のものとして示してきた街だ。多くの若い世代を始め、多くの県民がおとずれ、活気ある街として現在ある。しかし今回の事件は、沖縄の中で数少ない喜びある場所を不安と恐怖と絶望の場所とした。たとえ一部の基地が返還されようとも、沖縄に基地があり「基地の島」である限り、沖縄に安全なところも楽しめるところも全くなく、それどころか逆に沖縄の一切が奪われ続けてしまうという事が嫌というほど明らかになった。
 いまやだれも、「綱紀粛正」などということを信じるものはいない。もはや百パーセントも二百パーセントも居直りと開き直りの決まり文句である「綱紀粛正」を聞けば聞くほど怒りが倍加する。米軍はいますぐ、沖縄から出て行け! すべての米軍基地を撤去せよ! これこそが沖縄の望む事であり、沖縄が必要とすることである。
 この事件に対する日米両政府の対応は沖縄の怒りを逆なでにする対応でしかない。日米首脳会談の真っ最中におきたこの事件に対して日米両政府は首脳会談が終わるまで米兵の「逮捕」とならないように口裏を合わせる対応に終始した。日米両政府の取り引き材料としての沖縄のもとで、一人の女性の人間としての尊厳もまた、再び三度踏みにじられたのだ。ましてや「米軍兵士の人権」を理由にして米兵の引き渡しが先延ばしにされるとは一体どういうことなのか。ここには被害者の女性の「尊厳」も「人権」も全くないではないか!  はっきりさせなくてはならないことは「地位協定の改定」などが問題の核心では全くないということである。米兵による事件・事故を前提とした「地位協定の改定」論議ほど許し難いものはない。事件・事故の温床である基地の全面撤去こそが本当に求められているのだ。
 この事件の核心は、ブッシュ政権の進める対アジア戦略、とりわけ対中国侵略戦争発動に向けた沖縄米軍基地の強化のもとで起きた事件であるということだ。戦争前夜の軍隊が沖縄県民に牙をむいて襲いかかってきているのだ。われわれはブッシュ政権の進める対中国・対北朝鮮への侵略戦争策動を断じて許すわけにはいかない。
 同時にわれわれはこのブッシュ政権以上に、沖縄にこの現実を押しつけ続ける日本政府・小泉政権を絶対に許しはしない。小泉よ! 「冷静に話し合い」とは一体どういうことか。どうしてこのような事件を前にして冷静にいられるものか! 県民の怒りの前に「冷静に」などと言うのは怒りの激しさの前にたじろぐ加害者の言葉だ。
 まさしく小泉政権が現在進める戦争国家化への大攻撃がこのような事件を引き起こしたのだ。集団的自衛権の行使、靖国神社公式参拝、憲法改悪と矢継ぎ早に繰り出される小泉政権の新たな形の国家改造攻撃の行き着く先は戦争であり、第二の沖縄戦にほかならない。「お国のために」を連発する小泉よ! 今回の事件も日米安保体制のもとで「お国のために」沖縄は痛みを我慢せよと本音を言えばいいのだ。われわれは今回の事件こそ、「聖域なき構造改革」を絶叫し、「痛みを伴うが我慢せよ」と絶叫する小泉政権の真の姿として徹底的に断罪する。これ以上の「痛み」をどうして甘受できるものか、沖縄の怒りが何であるかを小泉その人に嫌というほど思い知らせるであろう。同時に「現実的路線」の名のもとで「基地容認・安保容認」の稲嶺県政と稲嶺県知事その人の責任も絶対に曖昧にしない。このような「沖縄の裏切り者」こそがもっとも悪質な主犯であることをわれわれは絶対に曖昧にしない。小泉もろとも稲嶺県政を沖縄県民の怒りで必ずや打倒するであろう。普天間基地の返還という沖縄県民の切実なる願いを基地の県内移設でもって踏みにじり、SACOの貫徹ということで名護市辺野古への新基地建設を行おうという事など絶対に許さない。
 わが沖縄労働組合交流センターはまたしても繰り返された今回の事件に腹のそこからの怒りを抑えることができない。暴行を行った米兵は、今すぐにでも沖縄県民の前に土下座し、謝罪すべきだ。被害者の女性にたとえ八つ裂きにされようとも、心底から謝罪すべきだ。そして沖縄に基地を押しつけ続ける日米両政府、ブッシュ・小泉は今までのあらゆる事件の責任も含め、沖縄に対して謝罪せよ。そしてすべての基地を撤去せよ!
 以上徹底弾劾し、申し入れる。
 アメリカ合衆国大統領   ジョージ・ブッシュ殿
 在沖アメリカ総領事    ティモシー・ベッツ殿
 二〇〇一年七月五日 
沖縄労働組合交流センター

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週刊『前進』(2014号4面1)

被爆56周年 8・6広島−8・9長崎へ
 小泉の改憲・戦争国家化と対決する反戦・反核闘争を 靖国参拝阻止の闘いと一体で
 深沢 明夫

 世界史は二十一世紀初頭、完全に新たな転換点を迎えている。新たな帝国主義世界戦争の道を許すのか、それとも労働者階級人民と被抑圧民族人民の自己解放をかけた帝国主義打倒、スターリン主義打倒の根底的決起で新たな歴史を切り開くのか、その分岐点に立っているのである。極右小泉政権の登場は、日本の労働者階級人民にこの決定的歴史選択を問うている。今夏八・六広島―八・九長崎反戦・反核闘争を突破口に、革命的祖国敗北主義を貫く新たな革命的反戦闘争の大爆発をかちとろう。

 米日帝の中国・朝鮮侵略戦争の強まり

 帝国主義世界経済が二九年型世界大恐慌過程に突入し、帝国主義間争闘戦の全面的激化が進行する中で、米帝ブッシュ政権は全世界を世界戦争にたたき込む新たな米軍戦略を展開している。とりわけアジアを最大の標的にして、中国・朝鮮侵略戦争政策にきわめて挑発的に踏み込んできているのである。六月一日の「一夜明けたら大戦争が勃発している可能性は、欧州ではきわめて小さいが、アジアでは依然としてありうる」というアーミテージ米国務副長官発言を見よ。
 さらに、五月に発表された新ミサイル防衛構想では、米本土ミサイル防衛(NMD)と戦域ミサイル防衛(TMD)を統一し、核先制第一撃能力を高めて中国の核兵器を「封じ込め」「無力化」させようとしている。米帝は巨大な核軍事力を武器に、中国・朝鮮侵略戦争に踏み込むことを戦略化し、その観点からすべての米軍戦略と核政策を見直し、実行を始めているのである。
 六月三十日に行われた日米首脳会談において、ブッシュ政権は一切の問題をここから立てて、小泉に対して「新ガイドラインの実効性」とミサイル防衛構想への全面的協力を迫った。ロシアや中国・北朝鮮など残存スターリン主義に戦争的重圧を加えつつ、米帝の世界支配体制・新植民地支配体制の危機を立て直し、帝国主義間争闘戦(とりわけアジアをめぐる対日争闘戦)に打ち勝つために、新たな凶暴な世界戦争政策に踏み込んだのである。
 小泉は米帝ブッシュ政権の新たな軍事戦略に対して、積極的に、対米対抗的に対応しようとしている。日米争闘戦における日帝の敗勢的現実からの必死の巻き返しをかけて、安保強化をテコとした独自の中国・朝鮮侵略戦争参戦に打って出ようとしているのだ。
 小泉は就任以降、「集団的自衛権の行使」をくり返し強調しているが、これはブッシュの新戦略に対応し、日帝が主体的に参戦しようという意思表示にほかならない。首相の直属機関として中曽根元首相などをメンバーとして発足させた「国家戦略会議」では、集団的自衛権の行使について憲法改悪によらなくても国会決議によって認められるように検討を開始した。
 また、七月六日に発表された二〇〇一年版防衛白書では、中台情勢、朝鮮半島情勢の踏み込んだ軍事的分析と「中国脅威論」を強調し、「世の中の変化も踏まえつつ、幅広い議論が行われることは重要であり、集団的自衛権の問題について、さまざまな角度から研究してもよいのではないか」と言及している。
 さらに中谷防衛庁長官の「TMDは日本が主体的に運用する」(六・二二日米防衛首脳会談)という発言はきわめて重大である。これに関連して、「わが国独自の情報収集システムを作りたい」(六月二十九日付朝日新聞)とも公言しており、小泉政権のもとで対米対抗的な独自の中国・朝鮮侵略戦争への踏み込みを画策しているのだ。
 沖縄基地問題も、米帝のきわめて具体的な中国・朝鮮への侵略戦争の発動という軍事戦略にそって、新たに動き出している。五月十五日にランド研究所が国防総省の委託を受けてまとめた「米国とアジア―新たな戦略と軍の態勢に向けて」の中では、中国の軍事的台頭と中台武力衝突の可能性に言及し、沖縄・下地島などの米空軍力の大増強などを提言している。名護への新基地建設も、これまで提示してきた滑走路の二倍の長さのものをつくり、米海兵隊の最大の出撃拠点として建設をもくろんでいる。
 くり返されている米兵による女性暴行事件に対して、沖縄人民は新たな決起を開始している。この闘いと連帯し、名護新基地建設阻止・米軍基地撤去をかけて闘おう。
 事態は急切迫している。われわれの目の前で今、世界大戦級の新たな帝国主義侵略戦争が強行されようとしているのである。日本の労働者人民は今こそ、闘うアジア人民と連帯し、日本革命=朝鮮・中国・アジア革命を共同の事業として闘いとる思想と運動を日本階級闘争の中に本格的に登場させ、わが連帯戦略をアジア人民と真に血のかよった実践的で現実的なものに発展させなければならない。
 今次八・六広島―八・九長崎闘争を、今ひとつの世界史的惨劇の地である広島・長崎で、「全世界の労働者、被抑圧民族は団結せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」と高らかに宣言する場としよう。 

 「特攻隊精神」唱え愛国主義を扇動

 小泉反革命とは改憲・戦争国家化であり、金融独占資本の救済のために労働者人民に大失業など一切の犠牲を転嫁する攻撃である。日本帝国主義の没落と危機が激しく進行する中で、民族主義・愛国主義・排外主義の扇動をとおしてこの危機を侵略と戦争の方向に転化する過程が今、音を立てて進行し始めたのだ。
 小泉反革命の最大のターゲットは憲法九条である。
 小泉は「日本は戦争の後遺症が強いから、(憲法九条を)政治過程にのせるのは難しい」「だが、侵略されたとき命がけで戦う決意を示すのが自衛隊だ。『自衛隊は憲法違反』と議論させておくのは非常に失礼だ」(いずれも四・二七記者会見)と公言している。
 さらに新ガイドラインについて、「何が起きるかわからぬ」「ガイドライン法の『後方地域』をどう定義していくのか研究の余地がある」(六・六党首討論)とも言っている。小泉は中国・朝鮮への具体的な侵略戦争を想定し、これに「命がけで戦う自衛隊」として、侵略戦争の最前線に自衛隊を出兵させることを狙っているのである。
 そして「特攻隊の精神」で国民全体を組織し、憲法九条そのものを解体しようというのである。国会答弁での「特攻隊精神」なる言辞は、けっして単なる比喩(ひゆ)ではない。
 この小泉反革命の改憲=戦争国家化攻撃の最大の突破口こそ、教育改革関連法の強行成立から教育基本法を改悪し、教育を再び侵略戦争の道具に転換させる教育大改悪の攻撃である。
 「日本人としての誇りと自覚をもち新たな国づくりを担う人材を育てるための教育改革に取り組んでまいります」(五・七所信表明演説)。小泉は、「今の日本人は日本人としての誇りと自覚に欠けている」と言いなし、これを「人間としての誇りと自覚」に対してあえて対立的に押し出している。「日本人としての誇り」とはいったい何なのか。それは次の言辞の中にはっきりと表れている。
 「教育を考えるとき、日本が戦争に負けたため、大きく価値観が変わったことも影響していると言えそうです。戦前の教えはすべて悪いと否定されたため、礼に始まり礼に終わるという、人間形成に有効だった教育も否定されてしまいました」(『小泉純一郎の暴論・青論』)
 小泉は「敗戦によって戦前の教育・価値観が否定されたために、日本人としての誇りと自覚が奪われてしまった」と言いたいのだ。その核心は、小泉が何度となくくり返す「お国のために進んで命をさしだす精神」であり、教育勅語の精神の復活である。
 「つくる会」教科書の政府・民間右翼・マスコミ一体となった採択運動とともに、先の国会で成立した教育改革関連法は、完全にその突破口である。「不適格教員」として闘う教育労働者の首を切り、日教組運動の解体を策し、「青少年への奉仕活動の義務化」として子どもたちに徹底的な道徳教育をたたき込み、徴兵制の復活さえ狙っている。そして「問題をおこす子どもの出席停止」として、一方におけるエリート育成と、他方では「国家への奉仕の精神」という国家戦略にあてはまらない子どもたちの隔離・排除を策動している。まさに教育を戦前型の「国民教化」に転換しようとするものだ。
 この小泉の教育大改悪から改憲に向かう戦争国家化攻撃に対して、労働者人民は真っ向から小泉反革命粉砕を掲げて総決起しなければならない。戦争賛美教科書の採択阻止、教育基本法改悪阻止の大闘争を巻き起こそう。八・六広島―八・九長崎闘争を最大の突破口に、教育大改悪・改憲攻撃を粉砕する革命的大衆行動をたたきつけよう。
 夏秋決戦の大爆発で、小泉政権を打倒しよう。 

 小泉の広島・長崎訪問策動を許すな

 六月二十三日、沖縄「慰霊の日」に沖縄を訪問した小泉は、八・六広島―八・九長崎への祈念式典参加と慰霊碑参拝を行い、締めくくりとして八・一五靖国神社公式参拝を強行しようとしている。この反革命「全国行脚」について小泉は、「二度と戦争をおこさないために靖国を公式参拝する」「尊い命を犠牲にして日本のために戦った戦没者たちに敬意と感謝の誠を捧げるのが政治家として当然」と言い放ち、ここにある意味では自己の政治生命をかけて臨んできている。この小泉の恐るべき極右国粋主義的イデオロギー攻撃、労働者階級へのすさまじいイデオロギー攻撃を徹底的に暴露し、批判しなければならない。
 そもそも靖国神社とは何なのか。明治維新後、「招魂社」として出発した靖国神社は、戦前は陸海軍省の管理下に置かれ、天皇の命令で戦争を行い、その戦争で死んだ者を「英霊」としてまつってきた神社である。この「英霊」に直接天皇が参拝する、ということを根拠に「お国のため、天皇のために殉ずる」ことを栄誉として、国民総動員の侵略戦争を強行していったのである。戦後は、東条英機などのA級戦犯を「軍神」とし、十五年戦争を「聖戦」として全面的に美化してきたのである。
 公式参拝とは国家としてこの戦犯たちの名誉を正式に回復し、十五年戦争を「聖戦」として全面的に美化するものである。「日本の繁栄は尊い命の犠牲のうえに成り立っている。純粋な気持ちを参拝で表す」(五・三〇記者会見)とは、この戦犯たちの精神を引き継ぎ、「靖国の魂」で戦争国家への転換を成し遂げて、今日の日帝の帝国主義的敗勢を突破していこうという意味なのだ。
 「靖国神社を首相が公式参拝することを外交問題にするのはもうやめよう」(五・三〇国会答弁)とはなんたる言いぐさか! 一九八五年に中曽根首相(当時)が公式参拝を強行し、アジア人民の激しい抗議の闘いがたたきつけられた。それ以後十六年間、歴代の首相は公式参拝を断念せざるを得なかった。小泉はこれを「国辱」としてうけとめ、その全面突破をもくろんでいるのだ。まさに首相の靖国神社公式参拝自身が、新たなアジアへの侵略戦争宣言そのものなのである。
 小泉はこの靖国神社公式参拝を柱とした反革命的全国行脚で、戦後日本の労働者階級人民が持ってきた「再び戦争をくり返すな!」という精神的共同財産をたたきつぶし、戦後的階級関係そのものの転覆を狙っているのだ。

 帝国主義的侵略戦争の帰結

 そもそもヒロシマ・ナガサキとは労働者人民にとって何だったのか。
 一九四五年八月六日広島、八月九日長崎に人類史上初めて原爆が投下された。この原爆によって、広島十四万人、長崎七万人の市民が虐殺された。原爆炸裂の瞬間に放出される放射能が人体の細胞組織を破壊し、続いて超高温の巨大な火球が出現し、何千度にも及ぶ熱風が地上のものをことごとく焼き尽くした。火球は猛烈なスピードで膨張し、衝撃波と呼ばれる空気の塊が発生、この風圧によって頑丈なコンクリートの建物以外は跡形もなく破壊された。まさに「わずか十秒間で一つの街が消滅した」(『原爆投下・十秒の衝撃』ロバート・クリスティ証言より)のだ。
 またこの原爆投下によって、広島・長崎あわせて七万人の朝鮮人民が被爆、約四万人が虐殺された。
 こうした阿鼻(あび)叫喚の中を生き抜いた被爆者(労働者人民)の心からの叫びこそ、「核と人類は相入れない!」という血叫びなのである。核戦争にまで行き着いた帝国主義戦争、その恐るべき非人間的な実相を目の当たりにする中で、労働者階級人民は核と戦争に対する絶対拒否の立場をつかみ取ったのだ。
 現代における戦争とは帝国主義戦争であり、一切の元凶は帝国主義それ自身の危機の中にある。帝国主義者がふりまく「地域紛争の危険性」とか「侵略されたとき」などという概念は、帝国主義強盗戦争を合理化するためのものでしかない。帝国主義経済が破綻(はたん)し、帝国主義同士の勢力圏の奪い合い(ブロック化)が軍事的衝突にまで至っていること、それを根源として帝国主義世界支配の危機(とりわけ新植民地主義支配体制の危機)が爆発していることに、一切の戦争の根源がある。
 そして核兵器とは帝国主義戦争が必然的にもたらした最も非人間的な大量殺戮(さつりく)兵器である。
 広島・長崎への原爆投下に先立って、アメリカ・ネバダ州では、米軍兵士(労働者だ!)を被爆実験に動員したという事実も、この核兵器の階級的性格をはっきりと物語っている。JCO事故で大内さん、篠原さんという二人の労働者を虐殺しながらも、これを国家として居直りつつ独自の核武装に向け突進する今日の日帝もしかりである。
 だからこそ被爆者は、存在そのものが帝国主義戦争を告発するものであり、帝国主義と相入れないのだ。被爆者の自己解放とは、労働者階級の先頭に立って、戦争と核の元凶である帝国主義を打倒し、「核には核を」なる反人民的な対応で世界核戦争のもう一方の推進者となっているスターリン主義を打倒し、プロレタリア世界革命を貫徹していく中にしかありえない。
 逆に、帝国主義にとって被爆者とは抹殺すべき存在であり、帝国主義戦争の「英霊」として、再びこの戦争に動員して行く以外にない存在なのである。
 戦後の日帝による被爆者政策は、一貫してこのような攻撃としてあった。
◇ABCC(原爆障害調査委、一九四六年設置)による、被爆者のモルモット化―「調査すれど治療せず」と言われ、原爆投下の効果を確認し、残留放射能を確認することがABCCの目的だった。
◇天皇ヒロヒト発言―「(被爆は)戦争中のことであり、やむを得なかった」(一九七五年)
◇原爆被爆者対策基本問題懇談会〈通称『茅七人委員会』〉答申(一九八〇年)―「(被爆という犠牲も)それは国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民に等しく受忍しなければならない」
 しかし、被爆者はこのような英霊化・抹殺攻撃をはね返し、国の戦争責任・被爆責任をトコトン追及して闘ってきた。とりわけ朝鮮人被爆者の闘いは、その最先端の闘いとして特筆されなければならない。
 この被爆者の闘いをたたきつぶし、「靖国の魂」で被爆者を英霊化し、新たなアジア侵略戦争、帝国主義戦争に動員しようとしているのが小泉来広・来崎であり、今夏八・六広島―八・九長崎への祈念式典出席―慰霊碑参拝の大攻撃である。いわば敵の側からの十五年戦争と広島・長崎、沖縄戦の反動的総括として、小泉は反革命的全国行脚に踏み出したのである。
 これに対して、被爆者を先頭とした労働者階級人民の回答は、「再び戦争をくり返すな!」という戦後労働者階級人民の精神的共同財産を、プロレタリア革命のエネルギーへと高め、自国帝国主義の打倒へと組織して闘うことである。小泉反革命のこの戦後史の一切の転覆をかけた反革命的全国行脚に対して、根底的人間的な怒りをたたきつけ、祈念式典出席―慰霊碑参拝絶対阻止、靖国神社公式参拝絶対阻止の大闘争に立ち上がろう。 

 8月反核闘争闘い 労働運動の飛躍を

 小泉の「痛みを伴う構造改革」とは、八〇年代米帝レーガンのあの非人間的資本攻勢に学んだ、戦争の論理をもってする「内への階級戦争」である。大失業攻撃・大資本攻勢を、「靖国の魂」「特攻隊精神」で強制し、ここをテコに一切の階級関係を転覆しようとしているのである。飢餓的大失業と軍需経済の道を労働者がどうして許すことができるだろうか。
 だが日本労働者階級は、至る所で労働者の最も基礎的で普遍的な団結形態=労働組合を砦(とりで)に不屈の抵抗闘争を展開し、その闘いは点から線、線から面になろうとしている。動労千葉を先頭に階級的労働運動の最大の拠点=国鉄決戦が、新たな階級的広がりをもって闘われている。
 さらに現下の教育決戦の渦中で、日教組の階級的再生をかけた新たな戦闘的胎動が始まっている。日帝・文科省=辰野(七月退任)ファッショ体制、右翼、日共の集中砲火との激烈な攻防を展開しつつ、日教組の戦闘的翼としてますます戦闘的団結を固めて闘いぬいている広教組・広高教組こそ、その一大拠点である。処分攻撃にひるむことなく、「日の丸・君が代」強制に敢然と立ち向かう教育労働者の闘いは、小泉反革命をその核心においてぶっ飛ばし、アジア人民との直接の連帯をつくりだしながら闘われている。
 産業と企業で分断された労働者が、単一の軍勢=階級として自覚し、プロレタリア一斉武装蜂起へ向かってソビエト的階級形成をかちとって行く上で、自国帝国主義の戦争政策に対し革命的祖国敗北主義をもって反戦政治闘争に決起することは、決定的な意味をもっている。八・六広島―八・九長崎闘争をその決戦場として、労働者階級の一大飛躍の場として闘おう。
 五〇年代後半以降、いや今日もなお日本共産党は原水禁運動で党勢を拡大・維持してきた。かつての総評労働運動にとっても、原水禁運動によるその戦闘性・階級性の維持・強化は決定的な意味を持っていたのだ。今日、この戦後原水禁運動を真に継承し、その破産と限界をのりこえ、核と戦争を廃絶する真のプロレタリア的解決に向かって、日本の労働者階級人民と世界の労働者人民を正しく導くことができるのはわが革共同をおいて存在しない。
 労働者階級自身が、小泉反革命との歴史的対決の中で、その前衛党的指導を真に求めている。ここでこそ真の労働者党としての歴史的飛躍をかちとろう。反革命カクマルと日共スターリン主義を政治的・イデオロギー的に打倒し、革命的共産主義運動勢力の圧倒的量的拡大をかちとろう。
 一九六一、二年、米ソ核実験が激しく再開される中で、全学連は国際的な反戦反核闘争に立ち上がり、一九六三年に広島の地で中核派全学連として革命的反戦闘争ののろしをあげた。七〇年安保・沖縄闘争の歴史的爆発も、この八・六広島反戦闘争が決定的飛躍の場となって情勢を切り開いた。とりわけ学生戦線はこの歴史的伝統を引き継ぎ、現在開始されている自治会運動―全学連運動の歴史的再興と全国学生運動の革命的統一の実現に向け、八・六―八・九闘争の大爆発の先頭に立とう。
 二十一世紀初頭、日本―アジア―全世界の階級的激動期が到来している。今夏八・六広島―八・九長崎反戦反核闘争に党の総力を挙げて決起し、日本革命―アジア革命―世界革命の荒々しい奔流をつくりだそう。

7・20反戦反核東京集会
 7月20日(金)午後1時開場
 文京区民センター大会議室
下田禮子(反戦被爆者の会事務局長)
「8・6広島大行動への大結集を訴える」
吉田義久(相模女子大教授)
「日本の核武装の現状」


 被爆56周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争


■8月6日(月)
祈念式典糾弾・小泉来広弾劾デモ
(全国被青同・全学連・労組交流センターほか)
午前7時 出発・東千田公園(旧広大本部正門)
階層別独自集会
許すな小泉来広! 狭山異議審勝利! 被爆者解放!
8・6広島集会

午前10時 アステールプラザ大会議室(広島市中区加古町)
共催 反戦被爆者の会、全国被青同、部落解放同盟全国連
小泉政権によるヒロシマつぶしを許さない!  8・6ヒロシマ全国学生集会
午前9時半 アステールプラザ中ホール 主催 8・6広大実行委員会
■8月8日(水)
8・8長崎反戦集会
講演「教え子を再び戦場に送るな」今こそ! 槙枝 元文(元日教組委員長)
 沖縄から「命どぅ宝」 桑江テル子(うないネット・コザ主催)
午後4時半開場 5時開始
長崎県勤労福祉会館大ホール(長崎市桜町9−6)
■8月9日(木)
8・9長崎反戦反核総決起闘争(集会とデモ)
午前10時 長崎市・天主公園(浦上天主堂前)
主催 被爆56周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2014号4面2)

再び戦争をくり返すな! ヒロシマ大行動へ

「8・6ヒロシマ大行動」のアピールが発せられた。これにこたえて全国から大結集しよう。(編集局)  

被爆56周年「再び戦争をくり返すな! 8・6ヒロシマ大行動」実行委員会参加の呼びかけ

▼アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワをくりかえすな!
▼教育改悪と有事立法―憲法改悪を阻もう!
▼沖縄基地撤去! 核と戦争のない世界を!


 反戦・反核、平和を願う全国のみなさん!
 改憲、そして戦争への道を阻むため、私たちの力を総結集すべきときがきました。ヒロシマから「―被爆56周年―再び戦争をくり返すな! 8・6ヒロシマ大行動」への参加を心より訴えます。
 一昨年、昨年と私たちは、急速に強まる改憲・戦争への策動に反対して精一杯たたかいました。本年いよいよ、戦後の民主教育を破壊し、改憲と戦争へと突き進もうとする勢力との対決の時だと認識しています。
 森政権の崩壊後生まれた小泉政権は、部分的に人気取り施策をちらつかせながらひとまずは高い支持を得ていますが、首相が叫ぶ「聖域なき構造改革」とははたして何でしょうか。日米軍事同盟のもとで戦争を起こすための憲法第九条の改変、平和・民主・人権教育の圧殺を狙う教育基本法と教育関連法の改悪、不況・財政危機からの脱却という名の労働者の首きり・弱者切り捨て強行―これらが、小泉政権のいう「改革」の核心ではないでしょうか。
 一方、アメリカのブッシュ大統領はNMD(米本土ミサイル防衛)とTMD(海外での戦域ミサイル防衛)を統一し、核ミサイルの先制発動体制を構築、さらには原発推進政策を強く押し出し、アジア重視外交への転換と称して戦争発動の姿勢を強めつつ、日本に対しては集団的自衛権の発動=改憲を要求しています。日本政府は、それをもテコとして戦争国家化への動きを強めているのです。
 改憲・戦争へと向かう一大焦点として、広島では「日の丸・君が代」強制との激しい攻防が続いています。「君が代」斉唱時に着席したことをもってする処分の乱発に、教育労働者は自らの生き方をかけて反撃に立ち上がっています。また、教科書改悪の攻撃に対してアジア各国から一斉に怒りの声が沸き起こり、日本における私たちのたたかいが求められています。
 皇国臣民とし 侵略戦争を担い数多のアジア民衆に犠牲を強い、そして原爆の惨禍を味わったヒロシマ。「二度と過ちをくり返さない」というヒロシマの誓いを守れるのかどうか、今こそ問われています。
 被爆者、沖縄県民、反戦・反核、平和・人権のためにたたかう全国のみなさん! アジアの民衆と固く連帯し、戦争への危険な動向に立ち向かううねりをさらに大きくしていこうではありませんか。二一世紀の幕開けの年、二〇〇一年の8・6を、戦争への道を阻む力強いたたかいの場として成功させましょう。
 二〇〇一年六月一日
【共同代表】秋光民恵/広島県教職員組合協議会議長 北西允/広島大学名誉教授、百万人署名運動広島県連絡会代表 栗原君子/前参議院議員 小森龍邦/元衆議院議員、部落解放同盟広島県連合会顧問 佐久川政一/沖縄大学教授、普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議共同代表 弓削達/東京大学、フェリス女学院大学名誉教授

8・6ヒロシマ大行動要項
被爆56周年再び戦争をくり返すな! ヒロシマ大行動
 とき/8月6日(月)正午
 ところ/広島県立総合体育館(広島市中区基町)
 ※集会後午後3時からデモ
 主催/8・6ヒロシマ大行動実行委員会
集まろう! 高校生8・5平和文化祭
(反戦・反核ライブトーク、映画、パネル展示)
※小・中・大学生、青年労働者の参加も歓迎
とき/8月5日(日)午後1時
ところ/アステールプラザ中ホール
主催/集まろう! 高校生8・5平和文化祭実行委員会

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週刊『前進』(2014号5面1)

中国・朝鮮への侵略戦争狙い「沖縄圧殺・安保強化」を確認
 日米首脳会談は“戦争会議”

 六月三十日ワシントン郊外のメリーランド州キャンプデービッドで、小泉首相はブッシュ大統領と初めての日米首脳会談を行った。今回の日米首脳会談は、日米争闘戦を新たな次元に押し上げ、中国・朝鮮侵略戦争への動きを決定的に加速させる画歴史的な戦争会談となった。それは日米帝国主義の未曽有(みぞう)の危機と争闘戦の激化が、日米安保の強化(=沖縄圧殺)をテコとする朝鮮・中国―アジア侵略戦争となって進むという構造を、はっきりと示した。この日米首脳会談を受けて、小泉は参院選後、戦争国家化と有事立法・改憲の攻撃をいよいよ本格化しようとしている。八月十五日の小泉靖国神社参拝阻止の闘いを頂点に、小泉反革命粉砕の七〜八月決戦を、アジア人民、沖縄人民、被爆者との国際的階級的連帯をかけた闘いとして歴史的な勝利をかちとろう。そして日米帝国主義の中国・朝鮮侵略戦争態勢づくりの攻撃と対決し、改憲・戦争国家化攻撃を粉砕する巨大な反戦闘争を爆発させよう。

 争闘戦激化を背景に安保同盟強化を合意

 キャンプデービッドで日米首脳会談が行われるのは、日米の経済対立が激化する中で行われた八三年の中曽根・レーガン会談以来のことである。この時、中曽根首相は、日米同盟を初めて「軍事同盟」と公言し、「日米は運命共同体」「日本列島を不沈空母に」と発言した。中曽根は米帝レーガンの対スターリン主義対決=帝国主義間争闘戦貫徹の大軍拡路線に対応し、軍事大国化、国鉄分割・民営化などの「戦後政治の総決算」攻撃を進めた。今日の小泉の動きは、これをさらにエスカレートさせたものである。
 まず小泉は、自分を「一貫して日本にとって米国との関係が最も重要だと説いてきた」親米派として押し出し、「個別の問題はあるが、最も重要なのは、日米関係が重要という認識で首脳間が一致していることだ」と、日米間の対立を認めながら日米同盟の重要性を述べた。ブッシュは「日米関係を損なうようなことはしない。それが指導者の責任である」と、日帝が対米対抗的な路線を強めることがないよう牽制(けんせい)しつつ、小泉に同意した。
 小泉訪米の当日未明、沖縄県北谷町で嘉手納基地所属の米軍曹が女性を暴行するという許せない事件がまたも起こった。ブッシュは、これに形だけの「遺憾」を表明し、「米国は、平和を維持するために(米軍の)前方展開を維持しなくてはならない」「今回の事件が日米関係を損ねることがあってはならない」と居直った。小泉はこの暴行事件に触れもせずに「沖縄の基地の重要性を認識している」と応じた上で、「普天間代替基地の十五年の使用期限」と「海兵隊訓練の海外移転」について、沖縄からの要請を伝達する形で述べた。
 さらに小泉は「在日米軍の駐留こそが日本の平和を維持してきたという事実を理解する日本人はまだ少ない」などと語り、沖縄を始めとする日本人民は米軍駐留の意義を理解すべきだ、との認識を語った。
 ブッシュは、十五年使用期限について「人為的な期限がありうるとは思えない」(米側報道)「困難な問題だ」(日本側報道)と強く否定した。海兵隊訓練の移転についても、具体的な回答はなかった。
 今回の首脳会談で、稲嶺沖縄県知事や岸本名護市長が掲げる名護新基地の十五年使用期限が完全に幻想であることがはっきりした。六・二九事件にも明らかなように、米軍基地がある限り米兵・米軍による事件、事故はなくならない。沖縄人民が人間としての尊厳や権利を貫くためには、名護新基地建設を阻止し、米軍基地撤去に向けて闘う以外にない。本土人民は沖縄人民の怒りを共有し、こうした現実を許していることへの痛みをもって闘おう。

 ミサイル防衛で研究・配備表明した小泉

 小泉は「ミサイル防衛の研究を理解するのは当然だ」と、日本政府の公式見解の「理解する」に「当然」を重ね、研究と配備をペテン的に切り離すことで、ミサイル防衛を推進することを表明した。先の防衛首脳会談で中谷元・防衛庁長官が「ミサイル防衛システムを保有することになれば、国土防衛のため主体的な運用を行う」と述べたように、日帝はミサイル防衛の日米共同研究を独自の核武装化へのステップにしようとしているのだ。
 ブッシュは「日米両国にとって中国との関係は重要だ。米中間の協議については緊密に日本に連絡したい」「(良好な日中関係は)強固な日米関係の文脈の中で実現すべきだ」と、日帝が米帝の対中国政策に従わずに独自の政策をとらないよう念を押した。
 ブッシュ新軍事戦略の最大のポイントは、中国スターリン主義の取り込みと転覆を狙い、中国との戦争を完全に構えきったことにある。そしてこの米軍戦略に日帝を組み込んで最大限動員することに、対日争闘戦の核心を据えたことにある。そうすることで米帝が日帝独自の軍事展開を押さえ込んでアジアを先制的に再編し、日帝のアジア勢力圏化を粉砕しようとしているのだ。
 ブッシュは続けて「彼(金正日総書記)は信用できない男だ」「北朝鮮が、米国だけでなく、周辺諸国にとって信頼できる国であることを彼らが証明しない限り、われわれは北朝鮮との間で軽々に合意しない」と述べ、金正日スターリン主義体制の転覆が米朝協議の真の狙いであることを表明した。
 経済問題では、小泉が公的部門の改革を強調し、「日本発の世界恐慌は引き起こさない。不良債権処理について米国の専門家の意見を聞いて成功させたい」と決意を述べ、「聖域なき構造改革」を対米公約にした。ブッシュは、これを支持した上で「外国からの直接投資の促進」を要求し、さらに自動車、農業を取り上げて日本市場の開放を迫った。
 環境問題では、「小泉首相はブッシュ大統領に対し米国の参加抜きで京都議定書を履行しないと述べ、この取り決めを事実上、葬り去った」(ワシントン・ポスト)。小泉は国際世論を敵に回してブッシュと完全に共同歩調をとったのである。またブッシュは「日本の捕鯨への懸念」を付け加えた。
 小泉とブッシュは、今回の首脳会談で日米同盟の強化を確認しあったが、随所でアジアと日本市場をめぐる日米激突を浮き彫りにした。日米帝国主義の危機の深さと、日米対立の激しさが、日米同盟の強化を押し出した争闘戦の軍事化を生みだしているのだ。それは会談後に発表された「安全と繁栄のためのパートナーシップ」と題する日米共同宣言を検討すれば、一層明らかとなる。

 新ガイドライン基礎に機能的安保めざす

 日米共同宣言の最大の問題は、新ガイドライン(日米防衛協力の指針)を基礎に現実に機能する安保への転換を具体的に進めることを決定したことである。この共同宣言をもって新ガイドラインを基礎に中国・朝鮮侵略戦争の発動へと本格的に動き出したのだ。
 共同宣言はまず「首相と大統領は日米同盟が引き続きアジア・太平洋地域の平和と安定の基礎であることを再確認した。両首脳は、戦略対話の強化の重要性についての意見の一致を見、アジア太平洋地域および世界のその他の地域における協議を強化することを決定した」と、日米同盟関係の強化を図るために次官級の定例協議を開いて日米の「戦略対話」を緊密化することを明らかにした。続いて具体的に中国と朝鮮半島問題に言及、日本の常任理事国入りを支持した。
 次に、「両首脳は、日米防衛協力の指針(新ガイドライン)の継続的な実行を基礎として、安保協力における今後の方途につき、様々なレベルで安保協議を強化することを決定した」と、次官級協議に加え安保政策の具体的な詰めを行う次官・局長級会議を設けることを明らかにした。
 その具体的内容として@安全保障環境の評価A兵力構成・兵力態勢B安全保障戦略C緊急事態における両国の役割・任務D平和維持に関する協力の五分野が明記された。
 @では主に中国、朝鮮半島情勢の議論が行われ、Aでは自衛隊の役割分担が飛躍的に増大することに対応した防衛大綱の改定などが協議される。Bではミサイル防衛構想とアジア重視戦略に基づくブッシュ政権の新軍事戦略などがテーマになる。とりわけCは重大で、朝鮮・中国侵略戦争での日米の役割・任務の分担が協議される。さらにDは国連平和維持活動(PKO)参加五原則の見直し、国連平和維持軍(PKF)への参加凍結の解除が前提となって、PKO活動や救難活動、難民対策などの分野での日帝の役割拡大が図られる。CやDをめぐっては、集団的自衛権の行使や有事立法の制定が正面の課題となる。
 共同宣言はさらに「両首脳は、米国の前方展開が地域の安定に不可欠であることを再確認し」「日米特別行動委員会(SACO)プロセスの着実な実施」をうたい、沖縄を圧殺して日米安保を強化することを宣言した。またミサイル防衛についても「緊密な協議」「共同研究の重要性」を確認した。
 九六年の日米共同宣言は、日米安保を再確認(再定義)し、日米の朝鮮侵略戦争に向けた軍事的取り決めを、新ガイドラインとして締結することを決めた。今回はこれを踏まえ、日米安保を徹底的な軍事同盟として強化し、新ガイドラインを基礎に中国・朝鮮侵略戦争の発動を具体的に進める日米の態勢づくりを整えた。
 米バブルの崩壊が二九年型世界大恐慌となって爆発し始めた中で、米・日帝国主義は朝鮮・中国―アジア侵略戦争に向けて本格的に動き始めたのだ。
 経済分野では、日米新経済協議の創設で合意。「規制改革・競争政策」「財務金融」「投資」「貿易」の四分野での実務級作業部会を設置するとともに、全体を調整する「次官級会議」と民間代表の「官民会議」を設置することを決めた。
 その際、関係する民間業界の意見を取り込む必要性が強調されており、「米産業界が『日本たたき』をする場になりかねない」(経済官庁)との声が早くも上がっている。例えば「規制改革・競争政策」では情報通信、電気通信、医薬品など米資本の参入要求が強い個別分野で作業部会が設置された。日本の規制緩和や市場開放の進み具合などで厳しい対決となるのは必至だ。失効した「自動車・同部品」の協定復活やコメ開放なども要求される。
 米帝はこうした作業部会で日帝の制度的な障壁を取り除こうとしており、「問題解決がはかどらなければ具体的な政策介入も辞さない」態度だ。米バブル崩壊と経常赤字の超巨大化(二〇〇〇年度四千三百五十四億j)の中で、米帝ブッシュはブロック化と保護主義を強めつつ、対日攻勢を本格化しようと必死なのだ。
 このように小泉とブッシュの「日米同盟の強化」は、軍事・経済など全分野で日米争闘戦を一層激化させるものだ。日米が対立を深めれば深めるほど、その決定的な決裂まで日米同盟が日米双方から強化されざるをえない。その中で中国・朝鮮侵略戦争がいよいよ切迫しつつあるのだ。

 「構造改革」と戦争国家化が対米公約に

 米経済が株価下落と一層の景気下降に向かい、米帝ブッシュは階級支配の危機を深め、国民結集の統合力を失いつつある。その中で米帝ブッシュは、ミサイル防衛構想のぶちあげと包括的な核戦略、米軍戦略の見直しを進め、京都議定書から離脱し、さらには包括的核実験禁止(CTBT)条約からの離脱をも表明しようとしている。ブッシュ政権は、日米首脳会談をも契機に、むき出しの帝国主義の論理で、対中国・朝鮮を始めとする戦争政策と帝国主義間争闘戦にうって出ようとしているのだ。
 こうしたブッシュ政権に対し、「一方的外交(ユニラテラリズム)」だと独、仏を始め米国内外から激しい批判が起こっている中で、日帝・小泉はこれを露骨に支持し、日米同盟を完全な軍事同盟にすることを宣言した。そして「聖域なき構造改革」と中国・朝鮮侵略戦争に向かっての国家大改造、改憲と戦争の攻撃を「対米公約」として押しだし、参院選後から本格的に開始しようとしている。
 小泉政権が、日帝独自の立場から中国・朝鮮侵略戦争に参戦することを決断していることは、集団的自衛権への踏み込みや教科書、靖国攻撃に明らかだ。
 七月九日、小泉政権は南北朝鮮と中国の歴史教科書再修正要求を正式に拒否した。これに対し、韓国政府は「衝撃を禁じえず、絶対に受け入れることができない」(金大中大統領)、「何らかの対抗措置を取らざるをえない」(韓昇洙外相)と強く抗議した。朝鮮、中国人民の怒りは極限的に強まっている。にもかかわらず小泉は、再修正には応じず、靖国神社を参拝した後に関係修復を考えればよい、と言い放った。これは韓国や中国との国交断絶も辞さないという恐るべき態度だ。日帝のアジア再侵略の宣言そのものだ。
 もはやアジア人民と日帝とは絶対的に非和解となった。この事態はアジアとの関係、侵略戦争の問題にどういう立場をとるのかを日本人民一人ひとりに問うものだ。六七年十・八羽田がそうであったように、アジア人民との連帯を貫く革共同の不退転の実力闘争こそ、歴史の大転換をつくり出すのだ。逆に、ここで闘えなかったら、われわれ自身が小泉反革命に飲み込まれ、三〇年代における階級闘争の敗北の歴史が再び繰り返されてしまう。七〜八月の闘い、とりわけ八・一五闘争はそうした重みをもった、歴史の中で避けては通れない大決戦だ。
 小泉反革命と対決し、打倒する最大のチャンスが訪れた! 八月十五日の小泉靖国参拝を実力で阻止しよう! 小泉を震え上がらせ、アジア人民が心から感動し、日本人民の階級的魂を揺さぶるような闘いを実現しようではないか。
 七月「つくる会」教科書採択を絶対に阻止しよう。
 八・六広島、八・九長崎の祈念式典への小泉出席を粉砕し、新たな原水禁運動の再構築へ向けて闘おう。
 参院選にオータ昌秀氏、新垣しげお氏が、「本土で基地問題を問う」ことを掲げて出馬した。両氏の当選は、沖縄闘争、有事立法・改憲阻止闘争にとって決定的だ。本土人民の決起で絶対に当選させよう。
 六・二九米兵暴行事件のあいまいな決着を許さず、米軍基地撤去、安保粉砕までとことん闘い抜こう。
 東峰神社立ち木伐採に怒りを爆発させ、暫定滑走路建設粉砕へ闘おう。
 こうした七〜八月決戦の地平の上で、秋の臨時国会決戦を中国・朝鮮侵略戦争阻止をかけた「第二のガイドライン決戦」として闘おう。有事法制の中間報告(九月)と対決し、改憲阻止決戦の本格的爆発へ。
 侵略戦争の現実性をはっきりさせ、反戦闘争、安保・沖縄闘争、国際連帯闘争を強力に展開しよう。全学連はその先頭に立とう。
 〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2014号5面2)

7〜8月決戦の根幹に意識的な機関紙拡大を
 前進経営局

 『前進』武器に小泉と対決を

 われわれは、戦後史においてかつて経験したことのない情勢を前にしている。
 小泉政権が、金融独占資本の延命のために、労働者人民に「痛みに耐えよ」「国のために死ね」と扇動し、空前の支持を集めている情勢を絶対に打ち破らなければならない。
 この小泉政権は、日帝の没落と危機が生みだした反革命政権である。時代の閉塞(へいそく)感の打開を求める人民大衆を、疑似的変革の幻想で駆り立て、侵略戦争体制を構築しようとしている。
 この小泉反革命を絶対に軽視してはならない。小泉反革命こそ人民に犠牲を強制し、民主主義を破壊し、民族主義・愛国主義・排外主義をあおり、ついには再び侵略戦争、帝国主義戦争へと日本をひきずり込むものである。小泉フィーバーの行き着く先は大失業と改憲と侵略戦争であるとはっきりと言いきり、全面的に対決しなければならない。
 だがしかし、日本帝国主義が小泉人気に依拠してしか支配を維持できないことほど、体制の危機を証明するものはない。小泉の改革派幻想が打ち破られた時、小泉人気を押し上げていたものが反対物に転化し、小泉反革命は崩壊する。
 小泉幻想を生みだしている一つの要因は、小泉反革命に全面的に対決する原則的反対派の不在であり、既成政党への不信である。既成野党が無力なのは、小泉との対決を恐れ、体制内改良という同一の土俵で競っているからだ。
 だが革命派が強固に存在し闘う限り、小泉改革は成就しない。
 小泉反革命に勝利する綱領的展望を持っているのは、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗を掲げる革共同だけである。
 反帝国主義・反スターリン主義世界革命の党とその機関紙が今ほど威力を発揮する時はない。
 小泉人気に絶対にひるまずなびかない、闘う労働者を中心とした強固な反対派がおり、小泉人気に不安と危機意識をもつ広範な大衆がいる。闘うアジア人民の怒りの包囲がある。この闘いと革共同が結びつく時、小泉反革命を打ち破ることができる。
 小泉への幻想が社会を覆い、小泉反革命が吹き荒れている今、『前進』を大胆に広めることが、労働者人民の階級意識を呼びさまし、小泉反革命を打ち破る一撃になる。
 二十一世紀のできるだけ早い時期に共産主義社会への移行をかちとることを宣言した『前進』新年号アピールの提起を実践し、二十一世紀に勝利する党の建設に突き進もう。
 その核心は、機関紙の目的意識的拡大闘争をとおして、党勢倍増を闘いとることである。

 都議選踏まえ党建設前進へ

(一)今回の都議選決戦で、われわれは小泉反革命との決戦を闘いぬいた、唯一の党派である。
 だが死力を尽くして闘いぬいたにもかかわらず、小泉反革命に勝利することができず、敗北という厳しい現実を強いられた。この現実を見据え、この実践から学び、自己変革し、飛躍を期さなければならない。
 当選できなかったとはいえ、われわれは持てる総力をふりしぼって闘いぬき、介護保険闘争、教科書闘争を始め杉並区民の自己解放的な大衆闘争をともに闘いぬき、前進してきた。
 これ自身、小泉反革命を打ち破っていく力であり、党建設の基礎である。この力を機関紙拡大と党建設に生かしていこう。
(二)全党が都議選に総蜂起している中でも、全国的に機関紙配布活動をしっかりと維持しぬいたことは非常に大切である。
 さらにこの時期、投入できた力量は限られていたにもかかわらず、学生戦線を始め、いくつかの組織で、決戦下で日常的に機関紙を拡大するという課題にチャレンジし、少なからぬ拡大を実現したことは、非常に大きな教訓である。
 定購には結実していないものの、継続的な取り組みを続けてきた組織は多く、七−八月の展望を示している。
 これらの経験は、決戦期、特に選挙決戦時の機関紙活動の停滞・後退を、全党員の総決起で解決していく現実的展望を切り開いたものとして大切であり、ぜひとも教訓化していかなければならない。

 拡大は意識性 計画性がカギ

 実践的には、ただちに七−八月政治決戦の中で、機関紙拡大闘争に取り組むことが非常に大切である。
 われわれは通年の大方針として機関紙拡大による党勢二倍化方針を決定し、取り組んできた。
 夏季一時金決戦、オータ候補、新垣候補の当選をめざす参院選、「つくる会」教科書採択阻止の決戦、八・六−八・九反戦反核闘争、八・一五靖国参拝阻止闘争と、七−八月政治決戦の渦中にあるが、それらの闘いの根幹に機関紙拡大闘争をすえてやりぬこう。
 機関紙をあらゆる闘いの軸にすえ、日常的、通年的に闘いぬくことこそ、最もオーソドックスな党建設である。
 都議選決戦で知り合い、都議選後には定購読者になった青年労働者がいる。
 小泉政権の賛否を問う参院選過程は、より巨大な政治的流動過程となることは間違いない。
 小泉政権打倒へ、七−八月政治決戦を闘う中で、機関紙拡大闘争を根幹にすえて闘いぬこう。
 機関紙拡大は、意識性・計画性がカギを握る。計画をさらに練り直し全力で実践しよう。
 とりわけ、杉並の街宣で経験したように、小泉・石原・右翼ファシスト勢力と対決して、『前進』旗を掲げて街頭に登場し、夏の街頭宣伝戦に勝利し、青年労働者を獲得しよう。
 党のビラを職場、学園、街頭で配布しよう。

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週刊『前進』(2014号5面3)

2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き 7月4日〜10日
 「中国脅威論」の新防衛白書
 韓中の修正要求を全面拒否

●PKF凍結解除へ秋に法案提出 自民、公明、保守の与党三党の政調会長が会談し、国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結解除について与党内で協議を進め、合意が得られれば秋の臨時国会で関連法改悪などを行うことを確認した。(4日)
●沖縄県議会が抗議決議
沖縄県議会が本会議で「在沖米空軍隊員による婦女暴行事件に関する抗議決議」と意見書を全会一致で可決した。度重なる事件は「周辺住民はもとより県民に大きな不安と衝撃を与えている」と懸念を示し、「相次ぐ米軍事件の発生は、本県に米軍基地が集中していることに起因している」としている。(5日)
●「女性にもスキあった」と田中外相 田中真紀子外相が会合で、沖縄の米兵による女性暴行事件について「そんなところに夜中の二時にいたなんて、(被害者の)女性の方にもスキがあったのではないか」などと発言していたことが分かった。田中外相は「そのような発言はしていない」と居直っている。(5日)
●公明党がPKO5原則の見直し表明 公明党の神崎代表が、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)について、「五原則に該当しないPKOについても、参加できるよう議論する。憲法の枠内で参加できるものは参加してもいいのではないか」と述べ、PKO参加五原則の見直しに前向きな考えを示した。(5日)
●01年版防衛白書 中谷元・防衛庁長官が閣議で、二〇〇一年版の防衛白書を報告し、了承された。中国の戦力近代化が「防衛に必要な範囲」を超えると「中国脅威論」を強調し、有事法制や集団的自衛権などについて踏み込んだ表現を盛り込んでいる。(6日)
●米兵引き渡し逮捕 北谷町の女性暴行事件で、米国のベーカー駐日大使が、田中外相を外務省に訪ね、米空軍嘉手納基地所属の三等軍曹ティモシー・ウッドランド容疑者の身柄引き渡しに応じると正式に伝えた。これを受けて沖縄県警が同容疑者を強姦容疑で逮捕した。日米地位協定の運用改善で、凶悪犯罪容疑者の起訴前の身柄引き渡しについて米側が「好意的考慮」を払うと合意したのに基づく措置で、沖縄では初のケース。逮捕は事件から一週間後。(6日)
●地位協定の見直し求めずと小泉首相 日米地位協定の見直しについて小泉純一郎首相は「運用の改善で納得できるような解決がなされればいい」と述べ、見直しは求めないとの方針を改めて示した。(6日)
●米がCTBT離脱を検討
 ブッシュ米政権が包括的核実験禁止条約(CTBT)からの事実上の離脱を検討していることを米紙ニューヨーク・タイムスが報じた。同紙によると、ブッシュ大統領は二十日から始まる主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)で、この考えを正式に伝え代替的な案を示す可能性があるという。(7日)
●「有事法制の早期整備」と防衛庁長官 閣僚らによるタウンミーティング(対話集会)が奈良県橿原市で開かれた。中谷防衛庁長官が有事法制について「国民が安心できるためには、法律として整備しておかないといけない」と述べ、早期法制化が必要との考えを強調した。(7日)
●韓中の再修正要求を拒否  
 「つくる会」歴史教科書などに対する韓国、中国政府からの再修正要求について、文科省が内容の検討結果をまとめ、外務省を通じ両国に回答した。指摘通り「誤り」と認めたのは韓国が再修正を求めた三十五項目のうち二カ所。中国の全要求を含め、ほとんどの指摘を「学説状況に照らして明白な誤りとは言えない」などと退けた。韓国、中国両政府とも「受け入れられない」と拒否。(9日)
●「深い失望」と韓国政府声明 韓国政府が日本の歴史教科書問題での日本政府の正式回答に対し、「深い失望と遺憾の意を表する」との声明を発表した。「あくまで記述修正が実現するよう、すべての努力を傾けていく」という。(9日)
●関係修復「参拝後に」と小泉 靖国神社参拝や中学歴史教科書問題で悪化している日中、日韓関係について小泉首相は「(靖国神社に)参拝した後で協力関係を維持発展できるかということを考えた方がいい」と参拝強行を表明。(9日)
●衆院委で「抜本的」削除し決議 衆院外務委員会が、「日米地位協定の見直しに関する決議」を全会一致で採択した。「抜本的な見直し」の文言から自民の要求で「抜本的」が削除された。(10日)
●岸本「基地ある以上事件起こる」と抗議せず 沖縄県名護市の岸本建男市長が米軍普天間飛行場の移設に反対する市民らと公式に面会。北谷町での女性暴行事件について「基地が存在する以上、事件は起こり得る。だが(基地の)受け入れはやむを得ない」と述べ、市として同事件について抗議する考えはないと表明した。(10日)

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週刊『前進』(2014号6面1)

迎賓館・横田爆取裁判 3同志への保釈却下 東京高裁が抗告棄却
 「14年は長期ではない」?!

 七月六日、東京高裁(第一〇刑事部・吉本徹也裁判長)は、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う三同志の保釈請求に対し、抗告棄却の決定を下した。六月十五日に東京地裁刑事一一部・木口信之裁判長が下した保釈却下の決定を、丸ごと追認した許すことのできない決定である。
 この決定によって、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志の三同志は、すでに十四年もの超長期の未決勾留を強いられてきたその上に、さらにいつ終わるともしれない拘禁生活を強制されようとしている。今秋十月には、三同志への未決勾留はついに十五年目を迎えることになる。
 これは、無実の同志たちに裁判が終わらないうちから(すなわち事実上、裁判抜きで)実質無期の禁固刑を加えるに等しい攻撃だ。反動的、反人民的であるだけでなく、実に残酷で非人間的な決定だ。戦後の憲法と刑事訴訟法のもとではおよそ考えられない攻撃であり、人権圧殺と暗黒裁判を地でいくものである。
 三同志へのこの攻撃は、もはや三同志だけの問題ではない。党の、そして闘う全人民の死活にかかわる問題だ。絶対に粉砕し、三同志を、獄中八年の福嶋昌男同志(東京地裁刑事三部係属)ともども、必ず奪還しなくてはならない。
 今回の東京地裁と東京高裁の決定は、保釈拒否の理由をあからさまに述べている点で、きわめて攻撃的である。しかもその中身は、憲法と刑事訴訟法の条文をその理念も含めて真っ向から否定し、完全に踏みにじるものとなっている。
 そこで挙げられているのは以下の三つで、@「刑事訴訟法八九条一、四号に該当する」、A「裁量による保釈も相当でない」、B「刑訴法九一条一項の場合に当たるとも認められない」というものである。
 @刑訴法八九条は、裁判所は保釈を原則として認めなければならないとした上で、例外的に保釈を拒否できる場合を挙げている。
 一号は被告人が死刑や無期を含む重罪重刑で起訴されている場合(したがって「逃亡のおそれ」がある)である。四号は「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」である。なんと裁判所は、六月十一日の公判で検察立証が終了したこの期に及んでも、「証拠隠滅のおそれ」を依然として保釈拒否の理由としているのだ。
 かつて、迎賓館・横田裁判の右陪席を担当していた中谷判事は、「証拠がないのは被告が隠しているからだ」という裁判官にあるまじき暴言を吐いた。今回の決定はこの中谷の暴言とまったく同じだ。憲法・刑訴法上の大原則である「判決確定までは被告人は無罪の推定を受ける」という考え方はここではすでに百パーセント否定されている。
 A「裁量による保釈も相当でない」とは、被告が健康を害していても、保釈して獄外の病院で治療を受けさせる必要はないという意味である。腰椎(つい)間板ヘルニアで三年以上も歩行困難な状態に置かれてさまざまな拘禁性症状を併発している須賀同志を始め、胃炎や白内障、難聴に苦しむ板垣同志、胃・十二指腸かいようを抱える十亀同志の全員に、“病気であっても勾留の継続には耐えられる゜と宣告しているのだ。
 さらに言語道断なのはBである。刑訴法九一条一項は、「勾留による拘禁が不当に長くなったとき」には裁判所は、「勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない」と義務づけている。だが東京地裁・高裁は、三同志への十四年もの超長期の未決勾留を「不当に長期とはいえない」と真っ向から開き直ってきているのだ。
 とりわけ東京高裁の決定は、順序をひっくり返してこのBを保釈拒否の第一の理由に掲げている点でより犯罪的である。「中核派革命軍による組織的、計画的犯行」であるという「事案の性質・犯行態様、審理の難易」などに照らせば「被告人の健康状態の推移、現状等諸般の事情を十分考慮しても、本件が刑訴法九一条にいう『勾留による拘禁が不当に長くなったとき』に該当する場合に当たるとはいえない」(高裁決定)と公然と言い放っている。
 要するに、被告が中核派であり、非転向の獄中闘争を不屈に闘う革命家であるかぎり、逮捕し起訴した以上は絶対に釈放しないと裁判所が自ら宣言したということである。無実であっても、証拠がなくても、この間の公判で明らかなように検察官の立証が最終的に破綻(はたん)しても、そんなことは一切問題ではない、ということだ。
 これまでも「人質司法」という言葉に示されるように、裁判で無実を争えば保釈しないという攻撃が横行してきた。藤井裁判や内藤裁判でも保釈が許可されたのは実際には無罪判決が出る直前だ。しかし今回の三同志への保釈却下は、それらと比べても次元を画する。一言でいえば、憲法・刑訴法を原理的にも完全に否定し、戦後の司法をそれとは異質なものに大転換させる攻撃をはらんでいる。
 今日、改憲と戦争と大失業に進む小泉政権の「構造改革」のもとで、憲法に掲げられた「平和」「平等」「基本的人権」といった思想・価値観とそれにもとづく諸制度の一切を公然と敵視し、破壊しようとする攻撃が強まっている。司法改革攻撃はその決定的な一環だ。今回の保釈却下はまさにそうした攻撃の最先端にほかならない。
 だが、こうした攻撃のあまりの反動性ゆえに、三同志をめぐる闘いは逆に裁判所をぐらぐらに揺さぶるものとなっている。昨年十一月の保釈請求以降、七カ月にわたって東京地裁が動揺に動揺を重ねてきた中に、そのことははっきりと示されている。追い詰められているのは日帝の側なのだ。
 保釈却下決定への断固たる怒りをたたきつけ、「直ちに保釈を! 獄外での医療を!」の声を、今こそ全人民の中に圧倒的に拡大して闘おう。

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週刊『前進』(2014号6面2)

7・8狭山中央闘争 高木決定粉砕の力ここに 部落差別と徹底対決

 七月八日、東京で部落解放同盟全国連合会の主催による「高木決定二周年糾弾! 異議審闘争勝利! 七・八狭山中央闘争」が闘い抜かれた。「無実の石川一雄さんの闘いにこたえよう」「何としても再審の扉を開き、石川さんの無罪をかちとろう」との必死の思いで、関東、関西、中四国、九州など全国から部落大衆、共闘団体の三百七十人が結集、国会近くの星陵会館で集会をもった後、都心をデモ行進した。
 集会は午後一時半から開始された。冒頭、滝岡廣治中執が主催者を代表してあいさつし、「全国連の力で必ず再審をかちとろう」と訴えた。
 続いて、三月の全国連一〇回大会の直後に不慮の事故で亡くなった亀井廣敏副委員長(山口・陶支部)を悼んで黙とうした。「おれは石川さんと同級生(同い年)。狭山闘争に命をかける」と常に激しい決意を語り、全国連を引っぱった亀井さんが、闘い半ばでたおれたことは、痛恨の極みである。陶支部の代表が、「遺志を引き継いで、最期の血の一滴まで闘う」と決意表明した。
 中田潔書記長が基調報告を行った。中田書記長はまず、「三十八年前、国家権力は石川さんの無実を百パーセント知りながら、『生きた犯人を部落からあげる』として、総力で石川さんを殺人犯人に仕立てた。石川さんが受けた仕打ちは、部落民三百万全員の問題だ」と、怒りを込めて〈無実・差別〉の原点を明らかにした。
 そして、「二年前の高木再審棄却決定は、あらかじめ『石川=犯人』と決めつけた極悪の差別裁判だ」と弾劾し、「『今も我 高木の暴挙に 血潮が騒ぐ 鉄槌なくして 勝利あらず』という激しい報復精神こそ、石川さんの本当の姿でありすべての部落民の魂だ」と訴え、“高木決定取り消せ゜の闘いに猛然と立ち上がることを呼びかけた。
 さらに、解同本部派が、「今度はいい決定が出るのではないか」などと幻想を振りまいている中で、高裁に対する大衆的な徹底糾弾闘争こそが事実調べ|再審をかちとる唯一の道であることを訴え、「夏の闘いが決定的だ。全力で立ち上がろう」と訴えた。
 また、中田書記長は、小泉政権の登場について、「戦争政治は一層の部落差別と抑圧を生む。『聖域なき構造改革』は社会的弱者に矛盾をしわ寄せする。狭山闘争の大きなうねりで小泉政権を打倒しよう」と檄(げき)を飛ばした。
 連帯のあいさつを同和住宅家賃値上げ反対全国連絡協議会(同住連)と、荒本地区介護と福祉を要求する会の代表が行った。住宅家賃の値上げと介護保険の強行は、部落の生活を直撃している。これに対して各地で部落大衆が団結して立ち上がって、差別行政を徹底糾弾し追いつめている。両代表の闘争報告と決意に大きな拍手が送られた。
 また九州と関西から、差別糾弾闘争の取り組みが報告された。差別発言、差別落書き、学校や職場での差別、結婚差別、インターネット上の差別など、許すことのできない差別の洪水に対して、差別徹底糾弾闘争こそが融和主義を粉砕し、本部派の屈服をのりこえて、部落大衆の新たな団結と決起をつくり出すものだ。各地の闘いの報告はそのことを鮮やかに示すものだった。差別への怒りと、熱い連帯の気持ちを込めた拍手が送られた。
 最後に、全国連の茨城県連、長野、奈良、広島の各代表と部落解放共闘会議の労働者が力強く決意表明し、熱気にあふれた集会を終了した。
 この後、参加者はデモにうってでた。全国連の若者が先頭でデモを引っぱり、元気な声を張り上げて、途中、東京高裁を糾弾し、日比谷公園まで意気高くデモした。

 高裁要請行動

 翌九日、全国連と解放共闘は東京高裁に対する狭山要請行動を五十人の参加で闘った。午前中の集会で全国連の楠木吉秀事務局長が、「棄却決定がいつ出されるかもしれない緊迫した局面だ。『差別者を絶対に許さない』という石川さんと、魂をひとつにして闘おう」と、要請行動を全力で闘うことを呼びかけた。
 昼休みデモの後、要請団は要請行動を行い、高木棄却決定の徹底弾劾と、村木判事の少女買春事件について三時間、高裁の責任を追及して闘い抜いた。
 高木決定は、石川さんを狭山事件の犯人と決めつけて逮捕した唯一の根拠である「筆跡の一致」の崩壊を認めておきながら、「それでも脅迫状は石川が書いた。石川が犯人だ」と強弁し、石川さんの無実の訴えを門前払いした。これを国家権力の極悪の部落差別と言わずして何と言うのか!
 要請団は、この高木決定がおよそ裁判の名に値しない極悪の差別文書であることを裁判所に突きつけた。そして、事実調べを直ちに行うように要求し、とことん闘い抜いた。
 七−八月棄却策動を許すな! 八・九要請行動に立ち上がろう。

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週刊『前進』(2014号6面3)

全国連茨城県連大会 団結と飛躍誓う 事業の打ち切り許さぬ

 部落解放同盟全国連合会茨城県連合会の第一〇回定期大会が七月一日、三百十人の参加で古河市のスペースU古河で開催された。
 会場には早くから多数の県連支部員、県市町村職員、共闘団体が県内各地からつめかけ、開会前に満席となった。
 午前十時、開会が宣言された。青年による「水平社宣言」の力強い朗読の後、石川辰衛県連委員長が主催者あいさつに立った。石川委員長は、「県内には依然として部落差別が残っている。同和対策事業打ち切りに断固反対する」「革命児という気持ちで、これからも勝利の旗を高々と掲げて闘っていこう」と呼びかけて大会の成功を訴えた。
 来賓あいさつに立った全国連中央本部の中田潔書記長は、大阪の大東市の公共施設十カ所に、「部落民は子を生むな」というような内容の差別落書きが行われたことをとりあげ、「解同本部派の糾弾闘争の放棄と同対法の打ち切りという中で、このような差別攻撃が強まっている」と弾劾した。そして、「部落差別できょうだいが命を絶たれるようなことを絶対に起こさないために全国連は闘う」「『昔は水平社、今は全国連や。全国連があるから頑張っていける』と語った婦人の思いにこたえよう」と、狭山闘争|差別糾弾闘争を軸にして闘うことを呼びかけた。
 続いて行政関係者、県内共闘団体と部落解放東日本共闘会議の山川博康事務局長、三里塚反対同盟の伊藤信晴さんらが来賓のあいさつを行った。
 井橋昌夫県連事務局長が、昨年度に県が実施した「部落実態調査」に基づき特別報告を行い、部落の仕事や生活、県民意識に依然として差別の現実があることを明らかにした。そして、「差別がある限り、同和行政の打ち切りは断じて許せない。同対事業を求めるのは私たちの権利だ」と、県の差別行政を徹底糾弾して闘う決意を述べた。
 午後から高橋昭一書記長が経過報告と運動方針の提案を行った。高橋書記長は狭山闘争や部落解放行政確立への取り組みなどこの間の茨城県連の闘いの着実な前進を報告した。そして、今日の解放運動の課題として、小泉政権との対決の重大性を強く訴えた。さらに今こそ部落解放運動の真価が問われており、「厳しくなったら互いに助け合い、差別と闘う、そういう運動体として全国連をつくり上げよう」と呼びかけた。
 この後、自由討論が行われた。ある婦人は「不況の中で同対事業が打ちきられるのは、死ねと言われるのと同じ。夫が病気のため妻が働きに出て、いつクビにされるかと脅えながらつらい仕事をしている婦人もいる。差別の現実が悔しい。情けない」と、涙をこらえながら差別行政を徹底弾劾し闘う決意を述べた。
 大会は石川辰衛委員長(再任)以下の新役員体制を確立。最後に、「私たちはさらに運動と組織を強化し、部落完全解放の未来に向かって大きく前進しよう」との大会宣言を発した。

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週刊『前進』(2014号6面4)

“富士を撃つな!” 忍草母の会 婦民全国協 山開きの日に訴え

 七月一日は、富士山の山開きだ。山肌にわずかに雪が残る富士山が、青空から浮き出るように私たちに迫ってくる。
 北富士忍草母の会と婦人民主クラブ全国協議会は、富士山五合目の登山道入り口に「富士を平和の山に」と書いたスローガンを広げ、三里塚・沖縄連帯と書かれた菅笠(すげがさ)をかぶって登場した。
 「富士を愛するみなさんへ。みなさんは、この美しい富士山に砲弾が撃ち込まれているのをご存じですか。富士を撃つな。富士を平和の山にしましょう」と、登山者や五合目を散策する一人ひとりに声をかけながらビラを手渡した。
 「少し行くと山中湖が眼下に一望できますが、その手前が北富士演習場なんですよ」「今年十一月には日米合同演習が予定されています。戦争のための軍事演習をやめさせましょう」
 砲弾に撃たれて、愛する富士が泣いている。この一点で会話が進む。千葉の館山から来たという女性は、「館山にも自衛隊の基地があります。事故が多いので心配。人ごとではありません」と語った。山梨の男性は、「忍野の人たちが小屋を立ててずっと反対しているのは知っている。頑張って!」と励ましてくれた。集団登山の中学生たちは「戦争反対!」のピースマークでこたえてくれた。
 数年ぶりに晴れ渡ったという山開きは、日曜日とも重なって大盛況だ。瞬く間に千枚のビラをまききった。母の会が振る舞ってくれた赤飯をいただき、母の会とともに十一月の日米共同演習阻止へ、闘う沖縄県民との連帯の思いを新たにした。 (投稿 Y・K)

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週刊『前進』(2014号6面5)

川田泰代さんを偲ぶ 不屈で非妥協の人 五十嵐 直之

 五月二十六日、川田泰代さんを偲(しの)ぶ会が、川田家のお墓がある青山墓地の近くのホテルで、盛大に行われました。故人の足跡を示す各界からの関係者百二十人が集まりました。びっくりさせられたのは、会ったことも見たこともない人たちが、大勢いたことです。私は十年以上おつき合いをしながら、川田さんの活動の一端しか知りませんでした。
 川田さんとの結びつきは、何よりも私たちの闘いが、戦後の日本を代表するような「政治犯」を生み出す闘いを担ってきたからです。政治犯救援の第一人者である川田さんと結びつく必然性がありました。
 「日本の法律には、政治犯は建前の上ではありません。刑法犯に引っかけて重罪・重刑攻撃をかけてくるのです。それが許せないんだ」と述べていらっしゃったのを覚えています。
 政治犯の一番の要件は不屈であることにつきます。もちろん革命家であることの必要不可欠の要件です。人格的なこと以上に、不屈であることの一点で革命家は革命家たりうるのです。その逆ではないのです。
 そして、川田さんその人が、ものすごく不屈の人だったのです。自由奔放で、ほとんど妥協のない方でした。率直なところ、それに振り回され悩まされ続けてきた晩年が、今となってはとてもなつかしい思い出です。納骨が終わった時、「もうこれ以上追いかけていく先はないんだ」と複雑な気持ちに襲われました。
 自己の生き方を貫き、地位とか肩書を持たず、頼ってくる者を決して裏切ったりしなかった方でした。そういった川田さんの生き方から不屈に闘う者への限りない援助があったのです。
 そのご恩に報いるべく精一杯のお世話をしてきました。特に晩年に体が弱り、入退院を繰り返したこの四〜五年は、それまでの活動もできなくなり、おつきあいするのも私たちだけとなりました。
 もともと外出して食事することが好きだったので、最後の半年は車と介護の体制をとって連れ出したのです。何を食べたいのかと聞くと、必ず「うなぎ」と答えられました。「これで長生きできる」と喜んでいただいたのが、最後になってしまいました。思うことの半分もできなかったのが残念でなりません。
 そのことがあり、ご遺族とともに、遺骨を拾わせていただくことになりました。不屈であること、頼ってくる者を裏切らないこと、闘う者への限りない愛情、敵に対する激しい憎しみ、川田さんの生き方は、私自身の生き方でなければなりません。骨を拾うということは川田さんのそういう生き方を引き継ぐことです。その決意をこめて追悼といたします。
  イラストは十亀同志にお願いしたものです。川田さんの一番元気であった時の精神のようなものを表現したかったそうです。『コミューン』の裏表紙のイラストはもともと彼が川田さんに描いて送っていたものを、「使いなさい」といただいてきたのが始まりです。

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