ZENSHIN 2001/07/23(No2014 p06)

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週刊『前進』(2014号2面1)

「会長退任」の松崎追撃を
 「カクマル疑惑」追及で 資本に一層屈服し 延命を図る東労組
 第二の分割・民営化に協力誓う

 六月十七−十九日のJR東労組第一七回定期大会において、松崎明が会長を退任した。動労カクマルの頭目として八五年に動労委員長に就任し、国鉄分割・民営化攻撃の極悪の先兵となり、分割・民営化後には東鉄労−JR東労組の委員長、九五年から会長となって極悪のファシスト労働運動を推進してきた松崎。国鉄労働者と日本労働者階級にとって絶対に許すことのできない階級敵である松崎。この松崎が形式的にではあれ、「労働組合のトップ」の座から「顧問」に退いたのだ。松崎は、権力・資本の懐に一層深く飛び込んで延命しようと策している。松崎を徹底追撃し、その延命策をたたきつぶし、今こそ松崎・JR総連カクマルを打倒せよ!

 JR総連カクマル打倒へ大攻勢の時

 松崎は、五月十一日に「いつまでやってもきりがないので、今年はきりをつけさせていただこうと決めた」と会長退任の意志を表明し、翌十二日の東労組地本委員長会議で了承された。六月十七−十九日の定期大会で、松崎の退任が正式決定され、松崎は「顧問」に就任した。九五年にわざわざ組合規約を改定し、委員長の上に「会長」を新設するという異例の人事でトップに居座り続けてきた松崎が、ついに退くことになったのである。
 大会では、角岸委員長が「会長は、国鉄改革前史から常に組合員・家族の幸福と会社の発展のために先見性と鋭い洞察力をもって私たちJR東労組の進むべき方向を判断し、指導してくれた。今後は、顧問という新たな立場でご指導していただく」とあいさつし、千葉書記長も総括答弁で「(会長は)JR東労組を離れるわけではなく、引き続きご指導をよろしくお願いしたい」と述べた。
 JR総連は、松崎の存在抜きには成り立たない。松崎にとって代わる人物など誰ひとりいない。松崎体制に代わる新たな体制などあり得ないのだ。松崎が今後もJR総連カクマルの頭目として、ファシスト的支配を続けることは明らかだ。
 だが、やはり松崎が退任したということは、国鉄労働運動にとって歴史的な重大事態なのである。黒田カクマルからの松崎・JR総連カクマルの丸ごとの大分裂の問題を一層深刻化させながら、JR総連とりわけ東労組が崩壊の危機を深めることは間違いない。
 いよいよ松崎・JR総連カクマルを打倒し、闘う国労の再生と動労千葉・動労総連合の組織拡大を軸にして、国鉄・JR労働戦線を戦闘的に再編していくチャンスなのだ。
 ここで重要なことは、松崎の「会長退任」がJR完全民営化=第二の分割・民営化攻撃の中で起こっているということだ。
 JR東労組の大会は、六月十五日のJR完全民営化法(JR会社法の一部改定)の成立直後だった。五月に松崎が退任表明を行ったのは、法案の国会審議の真っただ中だった。五月二十五日、国会で「JR総連・東労組のカクマル疑惑」問題が大きく取り上げられ、扇国土交通相や警察庁警備局長が「JR東労組にカクマルが浸透」などと答弁した。
 他方で、参考人として国会に招致されたJR東日本の大塚社長は、「労働組合とは労使共同宣言を締結し、会社経営に協力してもらっており、その結果順調な経営である」と言ってしらを切った。
 権力・JR資本は、松崎・JR総連カクマルに対して「カクマル問題」を突きつけながら、より一層忠実な権力・資本の先兵となって奴隷の道を歩むことを要求したのである。
 この間、権力・資本は、“JR完全民営化達成の壁は、カクマル問題と千四十七人問題である゜としてきた。この中で、松崎・JR総連は、完全民営化=「国鉄改革完遂」の先兵となることを決断し、そのために黒田カクマルとの分裂を深めてきた。JR東日本の大塚新体制への移行をめぐって、JR総連とカクマルの矛盾・対立を激化させ、ついに昨年十二月九日には松崎が「カクマルと完全に手を切った」「カクマルの攻撃から会社を守る」と宣言するに至ったのだ。
 しかし権力・資本は、松崎に“それでもダメだ、もっとはっきりとあかしを立てろ゜と突きつけた。松崎の「会長退任」は、これに全面的に屈服することを権力・資本にアピールするものであり、JR総連カクマルが第二の分割・民営化攻撃の先兵となることを誓うものなのである。

 効率化・合理化推進叫ぶ「ビジョン21」

 松崎・JR総連カクマルが第二の分割・民営化攻撃の先兵となって延命しようとしていることをはっきり示すのが、JR東労組大会で決定された「組織*労働生活ビジョン21」である。
 松崎・JR東労組カクマルは、昨年十一月に策定されたJR東日本グループの中期経営構想「ニューフロンティア221」を「労働組合」の名をもって推進することを、この「ビジョン21」で公式に決定した。
 「ニューフロンティア21」は、二〇〇一−〇五年度の五年間で保守部門の全面外注化を始めとする一万人削減の大リストラを強行し、弱肉強食の競争に勝ち抜くためのむき出しの資本の論理で鉄道会社としてのあり方を抜本的に転換し、労働条件の改悪と安全破壊を極限的に進めようとする大攻撃である。
 JR東労組の「ビジョン21」は、これに完全に対応する「五カ年ビジョン」として打ち出されている。その名称も、全逓中央の「ビジョン221」など連合傘下の御用組合と同様のもので、内容においては、資本の攻撃をそのまま受け入れるだけでなく、それを積極的に推進するという点ではより悪らつな代物である。
 東労組定期大会でJR東社長の大塚は、「松崎会長に、心から、本当にご苦労さまでしたと申しあげたい」と述べるとともに、「完全民営化後のわれわれが進む道については、中期経営構想で明らかにしました。厳しいものもあるだろうと思いますが……新しい協力体制で努力をしていけば成し遂げられる目標であると確信をもっています」とぶち上げた。
 松崎は、この大塚との「新しい協力体制」のもとで、「ニューフロンティア21」の「厳しいもの」も積極的に受け入れ推進することを誓ったのである。
 小泉が「痛みに耐えよ」と二〜三百万人もの失業増を強制する「構造改革」を、東労組は資本と一体となって推進しようとしているのだ。松崎は小泉「構造改革」の最凶悪の先兵となることをも宣言したのだ。
 JR東労組の「ビジョン21」は、「ニューフロンティア21」について、「時宜を得た発表」と賛美している。そして「とはいえ……今後予測される厳しい経営環境に対応していく『中期構想』であるだけに、その実現過程においては『効率化・合理化』等、様々な問題が生起することも見通しておかなければなりません」と言う。「厳しい経営環境」だから、「効率化・合理化」も進んで受け入れなければならない、と組合員を恫喝しているのだ。
 JR東労組は、昨年三月の「シニア雇用に関する協定」の締結、今年三月末の「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸・車両関係)に関する協定」の締結に続き、六月十三日には「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」についても裏切り妥結した。六十歳以降の労働者を超低賃金でグループ会社に選別再雇用するという悪らつな「シニア協定」と一体となった、設備、検修・構内の保守三部門の全面外注化をすべてのんだのだ。
 「ビジョン21」でも「『必要な』効率化、機械化・システム化は進めるという基本姿勢」をあらためて確認し、「三次にわたる『労使共同宣言』の趣旨を踏まえ、会社の発展をめざし」取り組んでいくと資本に誓っているのだ。
 それだけではなく、「鉄道事業と生活サービス事業が同じ賃金体系でよいのか」と賃金体系の改悪に踏み込み、「雇用形態のあるべき姿を確立する」と、雇用形態の多様化(一部の長期雇用を除いて大部分を不安定雇用化)をも主張している。まさに日経連の雇用破壊・賃金破壊の攻撃を率先推進しようというのだ。これは、分割・民営化以降も基本的には国鉄時代の人事・賃金制度の枠組みを引き継いできたのを、全面的に転覆するということだ。
 これは「ニアリー・イコール論を豊富化し、さらに労使関係を強化します」と限りなく“労使はイコール゜にして、「JR東日本を名実ともに世界一の鉄道会社にするために全力を尽くす」ということである。
 JR東労組カクマルは、シニア協定や保守部門の全面外注化で国労・動労千葉破壊に突っ込んでくるとともに、東労組組合員をも犠牲にすることを、この「ビジョン21」で宣言したのだ。だが、全面外注化は、動労千葉を先頭とする反撃で破綻(はたん)は必至であり、東労組の中にも矛盾を拡大している。労働者に犠牲を押しつけて自分たちだけは生き残ろうなどという反階級的な路線がいつまでも成り立つはずがない。
 ストライキを始めとした現場からの闘いこそ、東労組カクマルの支配をガタガタにし、「ニューフロンティア21」=第二の分割・民営化攻撃を打ち砕くのだ。

 黒田カクマルとの大分裂は一層激化

 松崎の「会長退任」は、さらに黒田カクマルとの大分裂を一層泥沼的に激化させるものとなる。
 JR総連は六月三、四日の定期大会で、黒田カクマルによって八カ月も拉致・監禁されているJR総連OB・坂入充の「即時解放」を求めることを確認し、文書で申し入れ、六月二十九日には委員長の小田を先頭にしてカクマル解放社に抗議に押しかけた。
 JR北海道労組が六月十、十一日に開いた定期大会は「厳戒体制」のもとでカクマルへの「毅然(きぜん)たる対応」(委員長・佐々木)を確認した。カクマルの反革命通信『解放』はこの間、「JR北海道労組ダラ幹」への攻撃を続け、教組などのカクマルを動員して北海道労組への「組織介入」を強めてきた。
 こうした中で、カクマルは、「階級敵」「JR総連執行部打倒」とまで宣言しながら、「松崎に学べ」などと言って、いまだに松崎だけはカクマルの味方であるかのように装い続けている。松崎がJR総連ダラ幹の頭目であることを認めてしまったら、カクマルの死を認めるに等しいからだ。
 だが、黒田カクマルと松崎・JR総連カクマルという反革命同士の矛盾・対立はさらに激化し、泥沼化することは不可避である。
 いよいよ松崎・JR総連打倒、黒田カクマル打倒の絶好のチャンスが来た。
 この情勢のもとで迎える国労定期大会決戦に絶対に勝利し、国鉄−日本労働運動の新たな戦闘的発展の時代を切り開こう。

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