ZENSHIN 2001/08/27(No2018 p06)

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週刊『前進』(2018号1面1)

靖国参拝強行し 改憲と戦争につき進む日帝・小泉政権を打倒せよ
 9・1自衛隊有事出動演習阻止を
 革共同6回大会路線で武装し 21世紀革命の勝利へ驀進せよ

 日帝・小泉の愛国主義、国家主義、排外主義の攻撃と真っ向から対決して闘わなければならない。新しい戦争に向かって労働者人民を動員し、「国家のため、天皇のために命を投げ出せ」と迫る小泉の八・一三靖国神社公式参拝の強行を断じて許すな。九・一防災訓練=自衛隊有事出動演習を阻止せよ。小泉反革命のもとで進む日帝の戦争国家に向かっての国家大改造攻撃を全力で粉砕しよう。国労大会決戦を軸に、小泉「構造改革」=大リストラ、労働組合破壊策動を粉砕し、十一月労働者集会に向かって闘いぬこう。

 第1章 靖国・教科書めぐり小泉反革命と激突

 靖国神社公式参拝を強行し、改憲=戦争国家づくりの本格的攻撃に踏み切った小泉に対して、日帝・小泉政権打倒の闘いを真っ向からたたきつけよう。日本の労働者人民の死力を尽くした大衆的決起を今こそつくりだそうではないか。
 小泉の靖国参拝の暴挙は、第一に、日帝の朝鮮・中国・アジアに対する侵略と侵略戦争および対米英の国家総動員戦争の全歴史を居直り、正当化するものである。「戦没者に敬意と感謝の誠をささげることのどこが悪いのか、反対の理由がわからない」とうそぶいて参拝したことは、アジア人民と世界人民に対する敵対そのものである。
 第二に、これは日本の労働者人民を他民族虐殺の侵略戦争に動員し、死に追いやったことを正当化し、開き直るものである。
 小泉は、「国難に殉じて、よくも尊い命を苦しくても犠牲にしてくれた方々に感謝をささげる」とも言っている(五月三十日の参院予算委員会)。
 ここには日帝が侵略戦争、不正義の戦争を強行してアジア人民を虐殺したのみならず、日本の労働者人民をも使い捨ての消耗品のように戦場で殺したことについての反省はない。「国難に殉じた」と美化することで国家の責任を回避しているのだ。
 第二次世界大戦の教訓はまさに人民が国家のために殺されることなどあってはならない、人民を殺さなければ延命できない帝国主義国家こそ、滅びなければならないということだ。「国家に命をささげる」思想の対極にある、この革命的祖国敗北主義の思想と実践が、すべての労働者人民の真に生きる道なのである。
 第三に、小泉の参拝は過去の歴史の評価の問題にとどまらず、今日現在の戦争に向かっての攻撃である。日帝・小泉は戦争国家化、国家改造攻撃の中心的攻撃として靖国参拝を公然と繰り返し繰り返し宣言し、それが当然のことであるかのように宣伝して、突破口を開こうとしたのである。憲法第九条改悪や集団的自衛権発動の発言、有事法制の本格化の攻撃など中国・朝鮮侵略戦争に向かう攻撃と一体のものとして、靖国参拝を強行したのである。
 靖国問題とは帝国主義戦争の総括の問題であり、日帝とアジア人民との、また日帝支配階級と労働者人民との非和解的対決点であり、かつ日帝と米帝との激突点である。この総括をめぐる対決は帝国主義の打倒を求めており、帝国主義を打倒する以外に解決しない問題なのである。
 このように小泉は、二十一世紀の冒頭にあたって、二十世紀の最悪の戦争であったアジア侵略十五年戦争−太平洋戦争を日帝国家として賛美したのだ。“天皇のもとに大東亜を一つにしようとしたアジア解放の聖戦に敬意をもて、国家のために喜んで死んだ戦死者に感謝せよ、米主導の東京裁判史観をひっくり返せ、アジアからの抗議など問題にするな゜という国家的表明をしたのだ。それは、ソ連崩壊以後の現代世界において、二九年型世界大恐慌−大不況の時代状況にあたって、日帝が、帝国主義諸国家による世界分割戦に絶望的に参入し、米帝ブッシュ政権以上の凶暴な戦争国家に変貌(へんぼう)し、第三次世界大戦の放火者になることを宣言したに等しい世界史的衝撃なのである。
 われわれは、八・一三参拝攻撃が日帝の戦争国家化の転回軸であること、第三次世界大戦か反帝・反スターリン主義世界革命かがぎりぎりと問われる時代の真っただ中にいることをはっきりさせ、反帝・反スターリン主義世界革命の旗を鮮明にさせ、その一環としての日帝打倒のプロレタリア革命の達成のため総決起しなければならない。
 実際、小泉のこの攻撃は、朝鮮・中国・アジアの人民の猛烈な怒りの決起を引き出した。南朝鮮・韓国では、小泉の靖国参拝強行に対して数千人の人民が怒りのデモに立ち上がった。北京や香港でも人民が決起した。そしてそれと連帯した日本の労働者人民の闘いを広範に生み出すことで、国論二分状況をつくり出した。小泉の狙いを本質的に打ち砕いたと言えるのだ。八月広島・長崎・靖国闘争の戦闘的・大衆的地平を引き継ぎ、小泉反革命粉砕へ勇躍決起しよう。

 「つくる会」教科書採択完全阻止

 この靖国問題と結合して、八月十五日が採択期限であった教科書問題において、「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史・公民の教科書が全国五百四十二の採択地区において百パーセント阻止された。侵略戦争賛美と皇国史観の教科書は、日本の労働者人民、在日朝鮮人・中国人の闘い、朝鮮・中国・アジアの人民の怒りの決起によって粉砕されたのである。
 しかし、東京都と愛媛県の教育委員会が養護学校などの教科書として「つくる会」教科書の採択を強行したこと、全国九校の私立中学が採択したことを断じて許すことはできない。
 東京都では、「つくる会」賛同者であるファシスト都知事・石原慎太郎が、ただただ「ゼロにしてはならない」との一念から、自分の側近やブレーンで固めた都教委に採択をさせた。愛媛県も、文部官僚をリクルート事件で辞任した経歴をもつ加戸守行知事が選んだ教育委員によって採択が強行され、広範な抗議を踏みにじって強行した。
 養護学校に「つくる会」教科書を押しつけるとは、弱肉強食と戦争を賛美する教科書を子どもたちに押しつけるもので、これ自体が差別主義的な攻撃である。
 「つくる会」教科書攻撃は、まさに日帝の戦争国家化攻撃の一環として打ち出され、文科省の検定合格となって、文字どおり日帝の攻撃として加えられてきた。これは教育改革攻撃、教育基本法改悪の攻撃と一体のものであり、これから一層日帝・小泉との対決点となっていく問題である。

 第2章 米帝の世界戦争戦略と日米争闘戦

 二十一世紀革命の勝利をめざしてかちとられた革共同第六回大会の綱領路線を掲げて闘うことを訴える。
 帝国主義の危機は末期に近づいている。世界経済の統一性は崩壊し、保護主義化・ブロック化への道にのめり込んでいる。中でも米帝は、自らの国益をむき出しに押し出し、残存スターリン主義や旧スターリン主義諸国への侵略と介入と取り込みを突破口にして、新たな帝国主義間対立の構図を形成しつつ、帝国主義戦争、侵略戦争の道に向かって突き進んでいる。
 米帝ブッシュ政権は、二九年型世界大恐慌を不可避として、新たな世界戦略を打ち立てようとしている。それは、@日米同盟を日米帝国主義間対立の激化ゆえに強化し、日帝を米世界戦略のもとに力ずくで組み伏せる、A「二大戦域同時対応」戦略の見直しと対中国−アジア重視を明確にする、Bミサイル防衛構想を大胆に推進する、というものだ。この転換は、対中国=対日帝政策を軸に、直接の戦争によって危機を打開するところに核心がある。米帝が世界大的戦争への突入をめざして動き始めたものとして、このことは決定的に重視する必要がある。
 日帝における小泉の登場は、この米帝ブッシュの世界戦略の転換に対する日帝の必死の対応としてある。没落帝国主義としての日帝の延命の道として選択されたのだ。
 日本経済は、実体経済面でも金融面でも恐慌が再激化している。
 景気はますます悪化している。日経平均株価は一万二千円を割り、日銀が十五日に発表した八月の金融経済月報では、「調整が一段と強まっている」という表現で景気判断を三カ月連続して下方修正した。
 政府のごり押しで日銀は十四日、金融の量的緩和を行った。しかし、金融機関が不良債権を抱えたままで貸し出しは増えておらず、緩和効果はまったくない。事実、金融緩和による株価への好影響はわずか一日だった。唯一の不況対策である金融緩和がダメだったら後はなすすべがないのだ。
 小泉がこの中で「痛みを伴う構造改革」と称して実現しようとしているものは、帝国主義間争闘戦における敗北的現実を突破するために、現状破壊的に反革命的国家改造を行うことである。不良債権処理による大失業攻撃を「労働市場の構造改革」をもって強行しようとしている。「民営化・規制改革」と「地方自立プログラム」をセットで打ち出し、公務員労働運動の破壊を強行しようとしている。また、戦後社会保障制度を全面的に改悪・解体しようとしている。
 小泉反革命は、金融独占資本のために、労働者人民に「痛みに耐えよ」と強制するものであり、労働組合の解体と階級的団結の破壊を進めるものである。
 だが問題は、小泉改革なるものを、真に徹底化しても、あるいは不徹底となっても、いずれにせよもはや日帝の経済・社会の景気悪化、大恐慌への転落はまったく不可避であり、階級対立の先鋭化と対外的・対内的破局は必然だということである。だから小泉は、問答無用のデマゴギッシュな帝国主義的国家主義・愛国主義・排外主義に訴え、労働者階級へのあらゆる形態での団結破壊の攻撃を加え、敗戦帝国主義日帝を再び戦争国家へと国家改造するしかないとしているのである。小泉改革−小泉反革命とは、日帝がのたれ死ぬか労働者階級が階級性を解体され死ぬかという極限的な攻撃なのである。
 それはまさに世界的規模での革命的情勢の急接近を告げ知らせているのである。革命党と革命的労働者は、前世紀一〇年代にかちとられたロシア革命の偉業を引き継ぎ、反帝・反スターリン主義世界革命の達成へ、万国の労働者と被抑圧民族の団結をかちとって闘うことこそ、勝利の道であることを確信しよう。
 この中で小泉反革命の正体をくまなく労働者人民に暴露し、革命的行動が必要なことを宣伝し、革命に勝利する党を建設しなければならない。その時はまさに今なのである。

 第3章 排外主義と戦争動員攻撃を粉砕せよ

 九月一日、七都県市(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、横浜市、川崎市、千葉市)で合同防災訓練(ビッグレスキュー2001)が行われようとしている。米日帝の中国・朝鮮侵略戦争の切迫情勢下で、日帝・自衛隊の実戦部隊化と労働者人民の総動員のための演習である。この演習で陸海空の自衛隊が全面的に出動し、訓練全体の指揮の中枢を担おうとしている。まさに自衛隊の新ガイドライン演習そのものであり、それに人民を動員するものである。
 これは小泉反革命の八・一三靖国参拝強行と一体となった攻撃である。靖国参拝攻撃は、将来の戦争への道を開くための攻撃である。それを受けて、実際の新たな帝国主義戦争を遂行する体制をつくるために軍事演習をするのが九・一防災訓練なのだ。中国・朝鮮を敵国とみなし、自衛隊兵士は侵略の戦場に突入し喜んで死ね、労働者人民はそれを支え尊敬せよというものなのだ。
 八・六広島―八・九長崎―八・一三〜一五靖国闘争を引き継ぐ連続的な小泉打倒闘争として闘おう。
 この闘いは、文字どおり血債がテーマとなった闘いである。小泉反革命―石原ファシストのもとでの国家的な排外主義攻撃との闘いだからだ。石原は、昨年四・九発言で何を言ったのか。陸上自衛隊の前で、排外主義的デマをもって「災害時には三国人による騒擾(そうじょう)事件すら想定される」と叫び、在日・滞日外国人を治安弾圧の対象として、防災訓練を治安訓練として遂行することを宣言し、扇動した。今年の四月八日にも同じ趣旨の扇動を繰り返した。
 一九二三年九月一日の関東大震災で何が起こったのかを想起する時、石原発言は実に恐るべき排外主義扇動であることは明らかである。関東大震災では、戒厳令のもと、軍隊と警察が「朝鮮人が井戸に毒を入れた」とか「暴動を起こした」などのデマを振りまき、地域に組織された自警団とともに在日朝鮮人・中国人に対する大虐殺を行った。恐るべき排外主義デマ扇動によって六千六百人と言われる在日朝鮮人・中国人が虐殺されたのである。それはまた社会主義者や労働組合活動家の虐殺と一体のものだった。
 この血塗られた歴史をけっして忘れてはならない。絶対に繰り返してはならない。在日朝鮮・中国・アジア人民と連帯し、小泉・石原の自衛隊有事出動演習を粉砕しなければならない。
 九・一自衛隊有事出動演習粉砕へ全力で決起しよう。そして八・一五靖国闘争に続く九・一を跳躍台に日帝・小泉政権打倒、改憲=戦争国家化阻止の一大大衆運動をつくりだそう。九月下旬からの臨時国会では、PKO五原則見直しとPKF凍結解除=自衛隊のアジア侵略戦争への派兵、東ティモール出兵に対する闘いが最大課題となる。また、有事立法攻撃が現実化してくる。
 沖縄では、中国・朝鮮侵略戦争の最前線基地化の攻撃、名護新基地建設攻撃との闘いが重大段階を迎える。沖縄人民と連帯して、闘いを強めよう。
 三里塚闘争は、今秋暫定滑走路完成・年内テスト飛行、千葉県収用委員会再建策動などをめぐって緊迫している。不屈の反対同盟を支え、十・七三里塚現地闘争の大成功をかちとろう。
 これらの闘いを「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の総路線のもとに闘おう。

 10・13〜14国労大会決戦勝利へ

 国鉄決戦を軸に、十一月労働者集会の大勝利に向かって前進しよう。
 国労大会の日程が十月十三〜十四日と決定された。千四十七人問題の反動的決着を粉砕し、JR東のメンテナンス大合理化=第二の分割・民営化攻撃への総反撃に立つ決戦として大会までの二カ月間を闘いぬかなければならない。それは同時に、小泉「構造改革」のもとでの大リストラ、労働組合解体攻撃を粉砕する最前線の闘いである。
 小泉反革命の登場の中で、最も深刻な党派的危機に陥っているのがファシスト・カクマルである。黒田のむき出しの反米愛国主義、右翼国粋主義への転落に党派全体として追随するがゆえに、アリバイ闘争もままならず、路線的思想的危機は末期的に深まっているのだ。また黒田・カクマルとJR総連松崎・カクマルとの分裂と対立も、JR東日本の「二十一世紀労使共同宣言」の締結によってさらに決定的な危機を深めている。今こそカクマル打倒・JR総連解体に向かって闘いを強めよう。
 獄中同志奪還は、今秋の最大の闘いのひとつである。無実の罪で無期懲役や未決十五年という攻撃は絶対許せない、なんとしても打ち砕くのだ、という弾圧との闘いの原点に立って、全力で現状を打開しよう。
 レーニン主義で武装した革共同の党建設、党勢二倍化の闘い、財政決戦に取り組み、勝利しよう。ここに一切のかぎがある。かちとられた歴史的な第六回大会の成果を学び取り、六回大会路線のもと、二十一世紀の早い時期にプロレタリア革命をかちとるために勇躍奮起しよう。

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週刊『前進』(2018号1面2)

8・13靖国神社 小泉の参拝を徹底弾劾
 右翼・警察と対峙し闘う 大山全学連委員長が拝殿突入

 小泉の八月十五日の靖国神社公式参拝に内外の批判と参拝阻止の闘いが強まる中、小泉は十三日、二日前倒しの公式参拝を強行した。これに対し、闘う労働者人民は右翼や警察権力と実力で対峙し、猛烈な弾劾をたたきつけた。
▼午後2時
 テレビで小泉の参拝が臨時ニュースで流れる。突然の発表ではあったが反対派が靖国神社の境内に続々と集結。三時前には、反対派の宗教者や遺族が靖国神社の拝殿の手前の第二鳥居前に集まってくる。反戦共同行動委員会も合流した。
 全学連の学生が靖国神社へ出撃しようと法政大学を出たところで、警視庁公安部が法政大学の学生会館に捜索に。キャンパスからの弾劾放送を妨害するためだけの捜索だ。法大生一人が不当逮捕された。全学連は断固として靖国神社に登場した。
▼午後3時
 上空からはヘリコプターの爆音とせみしぐれ。数百人の警官隊が投入された。右翼が登場しマイクでがなりたてる。靖国神社が騒然たる状況になっていく。
 三時すぎに、警官隊が反戦共同行動委員会の排除に出てきた。激しく押し合う。怒りのシュプレヒコールが境内に響く。報道のカメラやテレビカメラが殺到。このニュース映像を見てともに闘おうと靖国神社に駆けつける人も。反戦共同行動委員会は、弾圧をはねのけ、大村益次郎像の背面の斜め前に陣取り、激しい弾劾を続けた。
 その横には、韓国から訪日した太平洋戦争犠牲者遺族会の人びとが「神社参拝反対」「朝鮮犠牲者靖国合祀反対」と書いたたすきをかけてすわりこみ。
▼午後4時30分
 小泉が神社に到着。二つの大鳥居をくぐって参拝できない。裏口のような拝殿横の入り口に車を着け、本殿に向かう。
 全学連の大山尚行委員長ら二人の学生は拝殿に突入し警官と激しくもみあう。文字どおり小泉に肉薄して弾劾した。
 第二鳥居前では、一斉に「靖国参拝反対」「小泉はアジアの声を聞け」と書いた布を手に持ち抗議の声をあげた。横断幕が二つ三つと広げられる。
 「小泉の参拝を許さないぞ」。激しいシュプレヒコールが続く。警官隊と小競り合いが再び始まる。
 動転し、いら立つ右翼が、太平洋戦争犠牲者遺族会や反戦共同行動委員会に突撃してくる。それに呼応して警官隊が部隊を排除しようとする。断固としてはねかえして弾劾を続ける。
 朝鮮・中国−アジア人民と日本の労働者人民の断固とした闘いによって、小泉の公式参拝は、裏口からのわずか三十秒の参拝となった。この日、闘う労働者人民は、神社境内で歴史的な靖国神社弾劾の大闘争を展開したのである。

 中止求め首相官邸に申し入れ

 十三日午前、全学連は小泉首相の靖国神社公式参拝の中止を要求して首相官邸に申し入れを行った。

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週刊『前進』(2018号2面1)

8・15小泉の靖国参拝に猛反撃
 “侵略戦争美化 絶対許すな” 右翼と激突し怒りの決起

 八・一五靖国闘争は、八・一三小泉の靖国神社参拝を弾劾する実力抗議闘争として爆発した。来日して闘いぬく太平洋戦争犠牲者遺族会、韓国全土で激発する抗議デモ、さらに中国、フィリピンなどアジア各地に広がる小泉弾劾の声。反靖国闘争を闘いぬく宗教者・市民と広範な実行委員会を形成し、右翼・警察と対峙し靖国神社境内に迫った。その最先頭で反戦共同行動委員会は戦闘的デモを闘いぬいた。

 反戦共同がデモ

 八月十五日午前、八・一三闘争を引き継ぎ、反戦共同行動委員会は靖国神社参拝弾劾を闘った。労働者や学生ら百八十人が結集。靖国神社に向かって戦闘的なデモを闘った。
 反戦共同行動委は、二日間九時間にわたる強力なデモ申請を闘い、靖国神社前を通るデモコースを警察に認めさせた。しかし、八・一三闘争の爆発に恐怖した都公安委員会は、デモコースを暴力的に変更。警察はデモ出発点の加賀公園から過剰な弾圧体制を取った。東京反戦共同行動委の三角忠代表や結柴誠一事務局長、新城節子杉並区議らを先頭に参加者全員でこれを弾劾、デモをかちとった。
 さらに十三日に続き、またも早朝から法政大学学生会館に不当な家宅捜索を強行! 怒りに燃えた全学連が闘いの先頭に立った。
 主催者を代表して結柴さんがあいさつ。アジア人民の抗議を踏みにじり、小泉が靖国神社を参拝したことを厳しく弾劾した。警察のデモコースの変更や集会妨害を弾劾し、改憲と戦争の道をひた走る小泉打倒へ新たな闘いを、と訴えた。
 全学連の松尾純一副委員長が基調報告に立ち、「靖国神社は国家と天皇のために戦死したものだけを“神゜として祭り、国家や天皇のために死ぬことがすばらしいという価値観を強制し、学生・労働者人民の侵略戦争動員の中心的役割を果たした軍事施設だ」と弾劾した。「靖国神社には、かつて日帝が行ったアジア民衆二千万人虐殺の侵略戦争に対する反省などない」と訴え、闘うアジア人民と連帯し小泉政権打倒を、と呼びかけた。
 続いて、広島大学と東北大学の学生から決意表明があり、広大生は、八月六日、小泉の祈念式典出席を二百八十人のデモで弾劾し、八・六ヒロシマ大行動も大成功したと報告した。
 最後に労組交流センターの労働者が決意表明。日本を戦争国家体制に持っていく動きに反撃して粉砕していくと訴えた。
 右翼の街宣車が走り回る中、デモ隊は加賀公園を出発した。市谷の防衛庁前では自衛隊の東ティモール派兵決定を弾劾した。さらに靖国神社に肉薄する戦闘的なデモを貫徹した。デモの途中、参拝反対を訴える人びととエールを交換するなど沿道の注目を集めた。

 宗教者らが抗議

 八月十五日午前、「八・一五小泉首相の靖国参拝抗議行動実行委員会」の呼びかけに応じて、千鳥ケ淵国立戦没者墓苑にキリスト者、仏教徒、市民など、多様な視点から戦争への道を阻もうと運動を続けている三百余人が集まった。
 午前九時半すぎ、参加者は「繰り返すな!侵略の過ちを」「政教分離の原則を守れ!」などのスローガンを掲げ、長蛇の列となって靖国神社に向かった。
 韓国から来日、連日の抗議行動を行っている太平洋戦争韓国人犠牲者遺族会は、金景錫(キムギョンソク)会長を先頭に「靖国合祭反対」の大横断幕を掲げて進んだ。
 横断歩道を渡り、靖国神社境内に迫る。大村益次郎像が見える鳥居の前で、背後の右翼どもを守って立った多数の警官隊が進路を阻む。塀(へい)沿いに拝殿方向をめざす。車道に陣取った右翼装甲車が「亡国のやからを許さんぞ」などと大音響でがなりたて、戦闘服の右翼らが「日の丸」を振り、襲いかかった。しかし参加者は一歩もひるまず立ち向かい、手に持ったスローガンを高々と掲げて抗議の意志を示した。
 右翼の暴力行為を容認し、抗議行動の妨害に終始した警察は、事態の加熱ぶりに恐怖し、ついには乱闘服の機動隊を投入、暴力的な排除に出た。
 だが小泉参拝強行に対する怒りは猛然とたたきつけられ、「天皇の靖国神社」は八月十五日のその日、労働者人民の波状的闘いでじゅうりんされたのだ。
 行動の後、抗議実行委員会は「日本の戦争責任を否定し将来に禍根を残す小泉首相の八・一三靖国神社参拝に抗議するとともに、新たな運動に向かって進むことを宣言します」と題された声明を発表、「再び戦争国家へ変えて行こうとする危険な動きと連動する、首相の靖国参拝に満腔(まんこう)の怒りを表明するとともに、更に運動を拡大して、このような動きに抗して闘う」と力強く宣言した。
 実行委世話人で日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会の森山つとむ委員長が「抗議行動をしなければ日本はだめになる。来年の参拝阻止を期して力を蓄えよう」と総括。
 次いで実行委員会の呼びかけで闘われた八月十三日の緊急抗議行動が報告された。急を聞いて小泉を迎え撃とうと午後三時前から続々と駆けつけ、第二鳥居前に五時すぎまで陣取って抗議行動を展開したのだ。
 準備中の違憲訴訟への参加が訴えられ、最後に日本キリスト教協議会の大津健一総幹事が、「日々の闘いを積み重ね、戦争を行う国ではなく、アジアの国々と信頼と正義に基づいた平和な国家となるために一層の努力を」と締めくくった。

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週刊『前進』(2018号2面1)

韓国で抗議デモが続発

 14日午前、全国連合などで構成する統一連帯がソウルで糾弾集会、学生ら1000人余りが戦闘警察と激突し日本大使館へ実力デモ。8・15光復節には挺身隊問題対策協議会など600人が日本の市民団体と韓日連帯デモを繰り広げた。

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週刊『前進』(2018号2面2)

8・15労働者市民のつどい “闘えば勝てる”確信 アジアの隣人と連帯して

 十五日午後、「許さない、侵略の美化−靖国・教科書 八・一五労働者市民のつどい」が東京の中野ZEROで開かれ五百二十人が集まった。(写真)
 二十一世紀最初の八・一五をどう過ごすのか、゛小泉政権に異議あり!゛の意志表示をしたいと思い、参加した。
 四時間近くの集会だったが、「戦争の動きが逆巻く中での集会」(司会/西村綾子相模原市議)として、「学ぶこと、知ることから始まり、毎日の活動の貴重な糧」(主催者あいさつ/葉山岳夫弁護士)となる話を聞きながら、「闘わなければならないとの確信、闘えば勝てるという自信を得ることができた」(まとめ/鈴木達夫弁護士)と、実感することができた。
 ビデオ「消えた14777人−南京大虐殺の真相を追って」が上映された後、製作者の森正孝さんは「アジアの民衆とともに闘っていく視点」を強調した。
 講演「天皇の神社・靖国」で平和遺族会全国連絡会の西川重則事務局長は、アジア侵略の歴史と靖国神社が果たした役割を暴き、「小泉首相は、来年も参拝することによって国家行事化−国家護持を狙っている」と警鐘を鳴らした。
 もう一つの講演「天皇制と二十一世紀の歴史認識」で高橋哲哉さん(東大助教授)は、四五年八月十五日に無条件降伏の「玉音」放送を聞いた西尾幹二が、「ラジオが憎らしくてたまらなかった」と書いた作文を紹介し、「なぜラジオの向こうの天皇に怒りがいかないのか。この思想が『つくる会』教科書に貫かれている」と指摘し、「戦前と戦後の連続性を断つべきだ。天皇の戦争責任を明らかにし、現在の日本とは別の日本をつくるために闘おう。それでこそアジアの隣人と和解し友情と連帯を結ぶことができる」と結んだ。
 コント「なんてったって小泉?」は絶妙な風刺。小泉にふんした松元ヒロさんは、「おしゃれと言われる小泉の三段活用、ファッション−ファッショ−ファシズム!」とズバリ。
 「つくる会」教科書の採択を阻止した杉並の闘いの報告、司法改革と闘う弁護士、「四党合意」粉砕へ闘う国鉄労働者、在日朝鮮人の立場から九・一自衛隊出動に鋭い危機感を表明したエッセイストの朴慶南(パクキョンナム)さんら、多彩な顔触れと豊富な内容だった。
 小泉政権と全力で闘うことの大切さ、その勝利の展望をがっちりとつかむことができた。
 (投稿 山岸いずみ)

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週刊『前進』(2018号2面3)

「つくる会」教科書 採択は全国で0.1%未満 絶版へさらに追撃を

 「つくる会」教科書採択をめぐる闘いは大勝利をかちとった。八月十五日、来年度から使われる教科書の採択結果が文部科学省に報告された。国公立学校では「つくる会」教科書の採択は東京と愛媛の養護学校の一部のみ、それ以外の全中学で阻止された。私立中学でも「つくる会」教科書の採択は歴史・公民をあわせて九校のみ。「つくる会」が目標とした「生徒数(約百二十四万人)の一割の採択」どころか、実に〇・一%にも届かなかった。
 「つくる会」教科書に反対した労働者人民の闘いが、日帝の凶暴な戦争政策の決定的一翼を敢然と阻んだ! この意義はとてつもなく大きい。「再び戦争を繰り返すな!」という労働者人民の闘いを根底的に解き放った時、日帝の攻撃は必ず破綻(はたん)することを突きつけたのだ。
 教科書攻撃は、日帝ブルジョアジーが総がかりでかけてきた攻撃だ。文部科学省が検定に合格させ、韓国・中国両政府の再修正要求を拒み、全国の地方自治体が採択制度を大改悪した。東京では「つくる会」賛同者のファシスト石原が知事の権力を振りかざして、教育委員に「愛国心を育てる歴史教科書を採択せよ」「自らの責任で選ばなければクビ」と恫喝した。日帝中枢から末端まで教科書攻撃に突進してきた。
 しかし労働者人民は、教科書攻撃が歴史の歪曲であり、新たな戦争に直結する攻撃であることを見抜き、全国で決起した。保護者、地域住民の決起はかつてない広がりを持った。教育労働者を先頭に多くの労働者が決起した。アジア人民・在日アジア人民との共同闘争が大きく発展した。この闘いが、密集する敵を打ち破って勝利したのだ。
 他方、この勝利を確認すればするほど、なおさら都教委(八月七日)と愛媛県教委(八日)が養護学校の一部で「つくる会」教科書を採択したことは、絶対に許すことができない。
 七月に栃木の採択決定が撤回され、杉並で採択が阻まれたことは、石原にとっては「大誤算」だった。石原は“なんとしても公立校で採択させなければ゜と、直接採択できる唯一の都立学校である「障害児」学校で採択を強行した。そのことによって、八日以降に採択を決める区市町村の教育委員会に最後の圧力をかけようとしたのだ。
 こんな政治目的のために「障害児」教育を利用するなど、極悪の「障害者」差別である。基本的人権や平等権を罵倒(ばとう)し差別主義・排外主義をあおる「つくる会」教科書を「障害児」に押しつけることは絶対許せない。都教委、愛媛県教委にさらに抗議を集中し、撤回をかちとろう。
 文科省は採択結果を受け、「公正な採択を保てるよう制度を見直す」検討を始め、「“外圧゜に左右されない制度を構築したい」としている。今回の大敗北に衝撃を受け、ただちに次の攻撃へ動き始めたのだ。また、多くの教科書会社が「つくる会」の右からの突出にひるみ、日本軍軍隊慰安婦問題などの記述を後退させた現実をしっかり見据えなければならない。小泉反革命の柱をなす教科書攻撃との対決をさらに強め、「つくる会」教科書の絶版へさらに追撃しよう。
 教科書闘争の大勝利を押し広げ、日帝・小泉の戦争政策を打ち砕こう。

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週刊『前進』(2018号2面4)

8・7都教委 養護学校の採択に怒り 数百人座り込む

 八月七日、東京労組交流センター、杉並区住民を始め闘う労働者人民が東京都教育委員会による「つくる会」教科書採択阻止の実力行動に立ち上がった。
 同日、都教委は臨時教育委員会を開き、密室審議で都立養護学校の一部(養護学校二校と青鳥養護学校梅ケ丘分教室。中学部の生徒数は約七十人)への「つくる会」中学校歴史・公民教科書採択を決めた。
 石原都知事は、次々と「つくる会」教科書の不採択が決まる中、都教委が採択する都立養護学校で「つくる会」教科書を採択しようとあがいた。しかも、養護学校義務化により分断された場で教育を受けざるをえなくされた子どもたちに「つくる会」教科書を差別的に強制する攻撃である。
 「つくる会」教科書の採択に反対し闘っている東京都障害児学校労働組合(都障労組)、杉並、国立などの住民、東京労組交流センターが、午前八時すぎから都教委の採択策動に反対するビラをまいた。都庁舎一階入口付近は数百人の反対派で埋まった。
 午前九時前、都障労組の組合員は都教委会場の第二都庁舎三十階に向かい、阻止線を張るガードマンとぶつかった。
 都教委は一階に受付を置き、怒りの声で審議が粉砕されることを避けようと必死となった。東京労組交流センター、関東「障害者」解放委員会など諸団体・個人が都教委に抗議の要望書を提出し、激しく糾弾・追及した。
 他方、都教委が密室審議を行っている第二都庁舎三十階のエレベーターホールと廊下には続々と労働者人民が集まり、審議公開を求めて約百人が座り込んだ。「『つくる会』教科書を使わせないぞ!」「戦争賛美、障害者差別の教科書採択を許さないぞ!」の声が何度も響き渡った。その場で集会となり、都障労組、杉並、国立などの闘いが報告され、決意が語られた。
 正午、都教委の採択結果とコメントが伝えられると、一斉に怒りの声がわき起こった。何が「生徒の実情を考慮し、慎重に検討・協議を重ね」だ! 直ちに怒りのシュプレヒコールがたたきつけられた。
 都障労組を始め実力行動に決起した労働者人民は、午後二時半から合同で記者会見し、抗議声明を発表。都教委の決定は石原知事と横山教育長の政治的な意図のもとに行われた暴挙であり、密室審議であり、とうてい許すことができないと弾劾した。
 闘争破壊を策動したカクマルは、労働者人民の弾劾の的となり、大破産した。

「障」解委が撤回要求 都教委を弾劾

 関東「障害者」解放委員会は八月三日、都立養護学校など「障害児」学校での「つくる会」教科書採択に反対し、東京都庁の横山教育長あてに採択の撤回を求める申し入れ行動を行った。「障害者」を先頭に、都庁二十七階の教育庁で窓口に立った総務部に申入書を手渡した。(写真)
 申入書は、「障害者」差別の「つくる会」教科書を弾劾し、「あせりにかられた石原都知事が、区市町村の教育委員会に最後の圧力をかけるという目的のために『障害児』教育を政治的に利用しようとするのは、まさに『障害者』差別」と糾弾した。            

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週刊『前進』(2018号2面5)

資本攻勢&労働日誌 7月19日〜8月8日
 ●参院選で連合3候補落選
 ●失業率最悪4・9%続く
 ●人勧2年連続ベアゼロに
 有期・派遣拡大を迫る 総合規制改革会議

●7月19日 日立製作所は国内の半導体主力工場で8月に14日間の生産を休止すると発表。一時帰休の間は基本給の約8割を支給。
●24日 政府の総合規制改革会議は、「重点6分野に関する中間とりまとめ」を了承した。重点6分野とは、医療、福祉・保育等、人材(労働)、教育、環境、都市再生。労働関係では、戦後の労資関係の転覆を狙う(要旨別掲)
●25日 「サービス・ツーリズム産業労働組合連合会」(略称=サービス連合)が結成された。連合加盟のレジャー・サービス連合とホテル労協(CSG連合など既存産別内のホテル関係労組による協議会)が組織統一、約5万人。
●26日 厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月26日、今年度の地域別最賃引き上げの目安を0.68%とする答申を行った。
●28日 松下電器が導入した賃下げをともなう「地域限定社員制度」は、対象となった3万4500人のうち65%が受け入れた。(朝日)
●29日 参議院選挙で連合は民主党の比例候補として9人を擁立したが3人が落選した。当選は、あさひ俊弘(自治労)、いけぐち修次(自動車総連)、若林ひでき(電機連合)、神本みえ子(日教組)、ふじわら正司(電力総連)、伊藤もとたか(全逓)の6人。柳沢みつよし(ゼンセン同盟)、前川忠夫(JAM)、高見裕一(情報労連)は落選した。
●31日 6月の完全失業率は4.9%と、過去最悪だった5月と同水準。6月の有効求人倍率も0.61倍と5月と同水準となった。
◇NTT労組委員長も兼ねる津田情報労連委員長は情報労連大会で、来年の春闘でもベアゼロとする方針を述べた。
◇NECの半導体・電子部品部門のリストラ計画が明らかに。九州にある3カ所の半導体組み立て工場を一つに統合するほか、欧米の半導体拠点を縮小して、国内外で3000-4000人の人員を減らす。
●8月1日 連合の役員推薦委員会は次期会長に笹森事務局長、次期事務局長に草野自動車総連会長を推薦することを確認した。
●3日 日経連のトップセミナーで、奥田会長は「3K職場で働こうとする日本人がいない」と、単純労働への外国人労働者の受け入れを解禁すべきだと討議で述べた。
●8日 人事院は一時金の0.05カ月削減と俸給表改定なしの勧告を行った。一時金の削減は3年連続、ベアゼロは2年連続。官民格差分(0.08%・313円)は「暫定的な一時金」として年額3756円を支給する考え。実施されると、平均で年間1万6000円のマイナスとなる。
◇産業能率大学の「2001年度新入社員の会社生活調査」で、全体の過半数の54.9%が終身雇用制度を希望すると回答。不況で安定志向が強まっている。(日経産業)

総合規制改革会議の労働分野の提言

 「円滑な労働移動」をキーワードに不安定雇用の全面化攻撃
●派遣制度の拡大
 ・派遣期間(現在1年)の延長
 ・製造業への派遣禁止の撤廃
●有期労働契約の拡大
 ・現行1年(一部3年)を5年に延長
●裁量労働制の拡大
 ・「専門業務型」の対象拡大
 ・「企画業務型」への規制の撤廃
●労働基準法の改悪
 ・ホワイトカラーへの労基法適用除外
●解雇の立法化
 ・解雇の基準やルールを立法で明示
 (=整理解雇4要件の否定)
●社会保険制度の改悪
 ・不安定雇用化に対応した「年金のポータブル化」(転職先へ持参可に)

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週刊『前進』(2018号3面1)

有事立法先取りした戦時態勢演習
小泉=戦争国家化阻止をかけ9・1防災訓練粉砕に立とう

 川崎と三多摩中心に有事即応の実戦演習

 九月一日に七都県市(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、横浜市、川崎市、千葉市)合同防災訓練が強行されようとしている。これは、小泉反革命政権による戦争国家づくりの重大攻撃である。全力で阻止闘争に立とう。
 小泉は八月十三日、靖国神社への公式参拝を強行し、新たな帝国主義戦争のための戦争体制づくりと労働者人民の動員への重大な踏み切りを強行した。米日帝の中国・朝鮮侵略戦争の現実性が切迫している中で、日帝にとって自衛隊の実戦部隊化は急務であり、小泉は新しい戦争で自衛隊を「国のため、天皇のため」「喜んで戦って死ぬ」軍隊にするために、靖国参拝を強行したのだ。そしてそれと一体のものとして、新ガイドライン発動に見合った実働訓練を火急の課題としている。九・一防災訓練は、まさにそのための「防災」に名を借りた自衛隊の有事出動演習であり、労働者人民の動員訓練であり、総じて有事立法の先取り演習である。
 しかもそれを一九二三年関東大震災−朝鮮人・中国人虐殺の血塗られた「九・一」に強行することは、在日を始めとする朝鮮・中国人民への排外主義の組織的襲撃に等しい暴挙である。断じて許してはならない。
 今年の九・一防災訓練は、昨年よりも一段とエスカレートしている。今年は川崎市が幹事都市となり、川崎市をメーン会場として実施される。昨年九月三日に東京都が実施した「ビッグレスキュー東京」は、今年は七都県市合同防災訓練の一環として実施される。より広域的な規模での三軍統合演習である。昨年七千百人を投入した自衛隊が、またもや大部隊を出動させるのだ。
 しかも、小泉ら政府視察団が陸自ヘリ「ピューマ」に乗って移動し、調布→川崎港→川崎中央会場を視察する計画である。
 このうち「ビッグレスキュー東京2001」の訓練会場とテーマは以下のとおりである。
 ▼JR八王子駅前〔中心市街地における初動対応〕
 ▼都立南多摩高校〔被災者に対する支援〕
 ▼調布基地跡地〔広域避難場所を活用した避難誘導、活動拠点設営〕
 ▼多摩川河川敷(調布市側)〔他県市との連携及び災害応急医療〕
 ▼立川広域防災基地〔人員・物資の搬送〕
 このほか、入間基地から羽田空港への自衛隊機による広域輸送訓練が行われる。また、米軍横田基地を負傷者搬送拠点とする演習を米軍に申し入れている。これらこそ中国・朝鮮侵略戦争訓練そのものだ。
 八王子駅前では、昨年銀座通りで行われたような装甲車を動員した避難誘導訓練や応急救護、ヘリによる救助訓練などが大がかりに行われる。南多摩高校では、なんと二学期の始業式を後日に変更し、自発的な「ボランティア活動」と称して二百人の生徒を炊き出しやトリアージ(戦時医療)訓練に動員することが狙われている。多摩川河川敷では、川崎市と合同で自衛隊による架橋訓練が計画されている。
 また川崎市では、新鶴見操車場跡地(新川崎)を中央会場として、川崎港(東扇島)、多摩川河川敷、幸スポーツセンターや川崎工業高校などを使って訓練が行われる。
 川崎港を使っての訓練は海自輸送艦「さつま」による物資・兵員輸送訓練、特務艇「はしだて」による医療訓練と搬送訓練、掃海艇「はつしま」による水難救助訓練などである。掃海艇とは機雷を除去するための艦船であり、戦争目的以外の何ものでもない。川崎港の公共埠頭(東扇島)に戦後初めて自衛隊艦船が入港するという重大攻撃だ。
 新鶴見の中央会場でも自衛隊を中心に、自主防災組織や小・中学生を動員した「炊き出し」や、救出・救助、医療救護訓練などが計画されている。川崎工業高校では自衛隊・警察・消防が集結する訓練が行われ、幸スポーツセンターでは、なんと死体収容(市、警察、医師会などによる検視・検案)訓練が行われる。こうした大演習で、川崎市内の自主防災組織、住民、市職の労働者を含め一万人以上が強制的に動員されるのだ。

 小中高生徒もボランティアの名で動員

 こうした訓練の本当の狙いは何か。軍事的には、@新ガイドライン協定で言う「ゲリラ・コマンドウへの対処」という都市ゲリラ戦対応の訓練であり、A自衛隊の指揮のもとに自治体・民間・医療機関・ボランティア・学校生徒を動員する国家総力戦的な戦争動員訓練である。新ガイドライン法(周辺事態法)第九条で規定する「国以外の者による協力」すなわち自治体、民間の戦争動員訓練そのものなのである。
 防衛庁が「周辺事態における自治体、民間の協力の具体例」として例示した中身は、地方公共団体の管理する港湾や空港の利用、救急搬送、人員・物資輸送や給水や医療協力などである。これは九・一演習の中身そのものだ。今回の演習がまさに周辺事態=侵略戦争のための訓練であることは明白なのだ。
 それだけではない。高校生や小学生・中学生までもがこの戦争訓練に「ボランティア協力」の名のもとに動員されるのだ。
 軍事優先での土地、道路、港湾の確保と、それによる軍事構築物の建設や自由な上陸、降下、渡河・架橋、行軍をやるための有事立法の先取り訓練なのだ。

 朝鮮人・中国人大虐殺の歴史を繰り返すな

 川崎市には一万人の在日朝鮮人が川崎区を中心に居住している。そこを自衛隊が制圧し展開するという訓練など、絶対に許されることではない。日本の労働者人民は、一九二三年の関東大震災時に六千人以上の朝鮮人、六百人以上の中国人が日帝軍隊、警察、自警団によって虐殺された史実を心から謝罪し、二度とこうした歴史を繰り返さない決意を固めなければならない。
 ファシスト石原の昨年の「三国人」発言に明白なように、関東大震災時の朝鮮人・中国人への襲撃・虐殺はけっして過去のこととして済まされるものではない。それはまさに今現在、小泉反革命−石原ファシストのもとでの帝国主義的国家主義・民族主義・排外主義の扇動として準備され具体化していることを、怒りをもって弾劾しなければならない。自主防災組織、防災ボランティアは、国家的な排外主義扇動と結びつく時、関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺に動員された「自警団」の道につながるのだ。
 各地で労働者、市民、学生が反対運動に立ち上がる。都や川崎市の労働組合も支部レベルで「自治体の戦争協力を許さない」と、闘いに立ち上がっている。九月一日を、朝鮮人・中国人虐殺に対する日本労働者人民の血債をかけた闘いの日としなければならない。戦争に突き進む小泉反革命粉砕・小泉政権打倒闘争を強力に巻き起こし、石原ファシスト打倒と結びつけ、九・一合同防災訓練粉砕に決起しよう。排外主義を粉砕し、闘うアジア人民と連帯して闘いぬこう。

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週刊『前進』(2018号3面2)

10・13−14国労大会決戦へ
第二の分割・民営化と対決し 裏切り執行部を打倒しよう
 メンテナンス合理化阻止を

 ついに決戦の日取りが決まった。国労本部は八月八日、第六八回定期全国大会を十月十三、十四日、東京・社会文化会館で開催することを決定した。大会に向けての二カ月間は、国労と国鉄闘争の存亡をかけた大決戦である。そして、本格化する小泉政権の改憲と戦争への国家改造攻撃、「構造改革」−大リストラと労働組合解体攻撃に対する労働者階級の死活をかけた総反撃の時である。国鉄闘争を、小泉反革命と対決する最前線の闘いとして発展させ、勝利させなければならない。千四十七人問題の反動的決着−闘争団切り捨てを粉砕すると同時に、JR東のメンテナンス大合理化−第二の分割・民営化攻撃への総反撃に立つことである。そのためにも高嶋・寺内執行部を打倒し、国労の階級的再生をかちとろう。

 小泉反革命と闘う一大総反撃の場に

 国労定期大会を十月にまで延期せざるを得なかったことは、日帝国家権力の国労解体攻撃と、国労本部執行部とチャレンジ一派、革同久保一派の危機と破産の結果である。だがそれは、彼らの国鉄闘争解体策動の後退を意味するものではない。あらゆる反動が密集して、この大会に襲いかかってこようとしている。昨年七・一臨大以来の四回の大会を上回る激しい激突の場となろうとしているのだ。
 今日の国鉄決戦の最大の攻防点は、小泉反革命による国労−動労千葉解体攻撃との対決にある。小泉の戦争国家化攻撃は、労働者階級の階級意識を解体し、排外主義・国家主義・愛国主義の洪水におぼれさせる以外になし遂げることはできない。そのためには、労働組合の階級的団結を根絶しなければならない。
 小泉「構造改革」の前身とも言うべき中曽根の臨調行革攻撃は、国鉄分割・民営化による国労・動労千葉解体攻撃を核心としていた。にもかかわらず、千四十七人闘争を先端に国労・動労千葉が階級的団結の砦(とりで)として不屈に存在している。小泉「構造改革」のもとで、これからリストラ・首切り・倒産の嵐(あらし)が吹き荒れようとしている時に、この国鉄労働運動の現状を一時も放置できないのだ。
 巨万の労働者が、小泉への怒りを高め、生きるためのぎりぎりの決起を開始しようとしている中で、今次国労大会を日帝・小泉の戦争と大失業の攻撃に対する一大総反撃の場に転化しよう。社会文化会館への国労組合員と支援の労働者の総決起で小泉反革命打倒の狼煙(のろし)を上げようではないか。
 今次国労大会の最大の課題は、四党合意に完全にとどめを刺し、闘争団切り捨てを粉砕するとともに、国労職場を解体する第二の分割・民営化攻撃−メンテナンス合理化を粉砕することだ。そして、チャレンジ・革同の現執行部を打倒し、闘う執行部を樹立することである。
 高嶋・寺内執行部、チャレンジ、久保革同は、あくまでも「ゼロ解決」を受諾し、千四十七人闘争を解体し、国労を内側から破壊しようとしている。とりわけチャレンジ一派は、あわよくば国労の分裂をも強行し、連合合流路線を突進しようとしているのだ。
 秋田地本の代議員は、「『国鉄労働組合』の名称を変更する。単一体から会社毎の連合体組織とする」と公然と主張している。秋田地本書記長の今井伸は、「今度の大会が紛糾したら、国労を出る」と明言し、国労からの分裂・脱退を画策している。盛岡地本でも、国労脱退の話が公然と出ている。
 この間、「総団結」を叫び、闘う闘争団を始めとする四党合意反対派の排除を画策してきた連中こそ、実は一刻も早く国労の旗を投げ捨て、分裂を強行したい連中なのだ。このような裏切り者をたたき出し、今こそ闘う国労の旗を守り抜かなければならない。
 チャレンジや久保革同らは「数の暴力」を頼みに、そして再び「国家暴力」を頼みにして突進してこようとしている。だが、このような不正義は、国労に脈々と息づく階級的底力を必ずや呼び覚ます。その底力を爆発的に発揮した時に、国労内の党派的力関係を一変させることは可能なのだ。その時に、国労を死の淵(ふち)からよみがえらせることができるのだ。

 闘う闘争団と共にJR本体の決起を

 今、その国労の底力がよみがえりつつある。国労を職場丸ごと一掃しようとするJR東日本のメンテナンス大合理化(全面外注化攻撃)に対し、国労組合員の怒りが爆発しているのだ。
 メンテナンス合理化は、JR東日本の「ニューフロンティア21」の核心的攻撃であり、小泉「構造改革」による一大資本攻勢、労働組合解体攻撃の最も鋭い攻撃である。これとの闘いは、まさに全労働者階級の命運をかけた闘いとなったのである。
 六月十三日、JR東労組が「設備部門のメンテナンス体制の再構築」について裏切り妥結したのを受けて、六月末から現在までにほぼ全支社で地方提案が強行された。保線区、電力区、信号通信区などを廃止し、それぞれ「技術センター」に集約、全体で三千人を削減し、二千人以上を出向に出すというのだ。外注化の対象となる職場では、本体に残る者と出向者の振り分けが始まっている。国労組合員を狙い撃ちにした攻撃である。
 いったん出向に出されれば、戻る職場はない。「転籍」による大幅な労働条件の切り下げが強行される。「出向」という形をとった新たな首切り攻撃なのだ。
 実施は十月一日、遅くとも来年三月までに強行されようとしている。
 だが国労東日本エリア本部は、東労組の妥結を受けて事実上交渉を終了し、議事録確認から協定締結を強行しようとした。七月三十一日に開かれた東日本エリアの地本書記長・業務部長・職協代表者会議では、これに対する怒りが爆発した。「地方交渉の足かせになるような議事録確認や協定は結ぶな」「春闘と結合してストライキで闘えなかったことに職場から不満が上がっている」などと、エリア本部を追及する発言が次々に出された。だが、佐藤勝雄エリア本部書記長は「急いで協定を締結したい」と宣言し、大激突となっている。
 八−九月は、十月実施阻止に向けた決戦の時である。「千四十七人問題があるから、合理化と闘えない」などと言っているチャレンジ一派こそ、メンテナンス合理化についても裏切っている。JR本体組合員の怒りと闘争団の怒りは一体となって、裏切り者に対する怒りとして爆発しようとしているのだ。

 JR東「21世紀労使共同宣言」弾劾する

 こうした中で、JR東労組カクマルは、八月一日にJR東日本会社と「二十一世紀労使共同宣言(新たな飛躍に向けて)」を締結した。九六年七月の第三次労使共同宣言に続く第四次の労使共同宣言である。
 それは「私たち労使は……『ニューフロンティア21』のもと……業務の徹底した効率化に不断に取り組み」と宣言し、「経営側にあっては、いかなる外部干渉をも排した自主自立の経営を堅持し、労働組合側にあっては、企業内労働組合主義の更なる徹底を図る」というものである。
 松崎・JR東労組カクマルは、黒田・カクマルとの分裂抗争の果てに、ついに第二の分割・民営化−「ニューフロンティア21」の先兵となって生き延びることを最後的に誓ったのだ。
 問題は、それにとどまらない。この事態は、JR東資本=大塚体制の踏み切りなくしてあり得ない。大塚は、従来の資本・カクマル結託体制のもとでのファシスト労働運動の独自的展開を一切許さず、東労組カクマルを完全な資本の先兵として抱え込み、第二の分割・民営化攻撃を貫徹することを決断したということだ。それは、そうまでしなければ資本も東労組も延命できない危機にあることを示している。
 これは同時に、資本や東労組カクマルと闘わず、四党合意などをもって資本にすり寄れば、資本が譲歩してくれるだろうというチャレンジ一派の「東日本民主化」=「労使正常化」路線の破産をも示している。
 まさに今、資本・東労組と真正面から対決し、徹底的に原則的に闘い抜くことが勝利の道なのである。
 「二十一世紀労使共同宣言」を徹底弾劾し、JR総連・東労組カクマル打倒へ総決起しよう。
 今こそ、メンテナンス合理化と闘うJR本体組合員と、闘争団の不屈の闘いとの大合流を実現し、十・一三−一四国労大会へ、国労の底の底からの怒りを組織し、闘い抜こう。

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週刊『前進』(2018号3面3)

“闘うことが勝利の道” 動労千葉支援する会 飛躍をかけて総会

 動労千葉を支援する会の二〇〇一年度総会が七月二十八日、DC会館で開かれ、八十人の会員や動労千葉組合員が参加した。闘う労働運動をともにつくり出す運動へと、支援する会を飛躍させようと誓い合った。
 まず、国労闘争団の労働者が、「低水準の解決を許さず、闘いぬく。動労千葉とともに国労の闘う部隊に支援を」とあいさつした。
 動労千葉弁護団の葉山岳夫弁護士が「動労千葉を語る」と題して講演した。葉山さんは、「動労千葉を原点から考える時に、@資本主義にノーと言える労働運動、A労働者の権利のために徹底的に闘う、B動労−JR総連カクマルとの闘い、C三里塚労農連帯、D連帯を求めて全国に羽ばたき、十一月に大集会を成功させて大きな労働戦線を形成することがある。『資本主義にノー』とは突き詰めれば『万国の労働者団結せよ』ということだ。『共産党宣言』の『プロレタリアは、革命において失うものは鉄鎖のほかに何もない。彼らが獲得するのは全世界だ』というプロレタリア国際主義がある」と指摘した上で、動労千葉の闘いを振り返った。
 特に、動力車会館を動労本部カクマルに一指も触れさせずに防衛して分離・独立をかちとった闘いや、分割・民営化反対の八五−八六年の大ストライキ、それに対する二十八人の公労法解雇をめぐる裁判で全員の解雇撤回をかちとった闘いなどを高く評価した。一方、裁判闘争にすべてをゆだね、それで負けたらもう勝てないと、四党合意に屈服した国労中央を痛烈に批判。「動労千葉のように階級闘争を原則的に闘うことが勝利の道だ」と訴えた。
 動労千葉からの提起を中野洋委員長が行い、「二十一世紀冒頭の一・二七国労大会に機動隊を導入して四党合意を強行したことに、労働運動に対する国家権力の強い意志を感じた。これに対抗したのが動労千葉の春闘百二十時間ストだ。小泉の登場も一・二七と符丁が合っている。これに対抗しなければ大変なことになる。闘う国労闘争団を中心とした五・三〇集会も、これに反撃する闘いだ。国鉄労働運動をめぐって、日本労働運動の左右の分岐が始まった」と述べた。
 そして、アメリカの国益を一方的に主張するブッシュ政権の登場と、憲法改悪をターゲットにした小泉政権の登場、そのもとでのJR完全民営化−第二の分割・民営化という、国鉄闘争をめぐる情勢の一変を明らかにし、二十一世紀を担う動労千葉の建設に向けた決意を明らかにした。
 その後、会員拡大を始めとした支援する会の運動方針を討論し、懇親会では多くの支援労組からの発言を受けて、交流を深めた。

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週刊『前進』(2018号4面1)

米日帝の戦争政策と全面対決し反戦反核闘争が大高揚
 小泉打倒へアジア人民と連帯

 被爆五十六年を迎えた八・六広島―八・九長崎反戦反核闘争は、「つくる会」教科書と靖国神社公式参拝への怒りがあふれる中、小泉の来広―来崎を糾弾し、戦争国家化=改憲攻撃と全面対決して闘い抜かれた。この勝利をバネに二〇〇一年後半戦へ躍り込もう。

 8・6広島 “憲法と教育の大改悪阻止” 3000人でヒロシマ大行動

 八月六日、広島県立総合体育館において「被爆五十六周年 再び戦争をくり返すな! 八・六ヒロシマ大行動」(主催・同実行委員会)が開催された。
 正午過ぎに始まったバンド演奏と歌が響く中、続々と結集してくる。司会は部落解放同盟広島県連女性部副部長の森原愛子さんと広島県教職員組合書記長の山根基嗣さんが務めた。
 共同代表の栗原君子さんが開会あいさつに立ち、「今年の三回目のヒロシマ大行動はとりわけアジアとの連帯を掲げる大行動です。集会の成功をかちとりましょう」と訴えた。共同代表の北西允さん、韓国の梅香里(メヒャンニ)米空軍国際爆撃場撤廃住民対策委員会委員長の全晩奎(チョンマンギュ)さんのメッセージが読み上げられた。
 「被爆者の訴え」として安佐北区被爆者友の会と高陽第一診療所医師の吉田良順さんが登壇した。友の会の代表が、多くの人が水をくださいと訴える中、水をあげることもできず逃げまどった体験を語り「あんな悲しいことは二度とあってはなりません。世界が平和であることを祈ります」と訴えた。吉田さんは「核と人類は絶対に相入れない。朝鮮人被爆者と連帯して闘おう」と訴えた。

 沖縄闘争と結び

 「基地・安保と闘う沖縄から」と題し、基地・軍隊を許さない女たちの会事務局長でうないネット・コザ主宰の桑江テル子さんが「普天間飛行場や那覇軍港は県内移設によってさらに優れた機能をもつ基地にされようとしています。女性への暴行、ひき逃げ、爆音被害などは、基地と軍隊を撤去しなければなくなりません」と訴え、八月一日、ヒロシマ大行動と連帯する沖縄集会を開催したことを報告した。反戦地主で読谷村議の知花昌一さんは「小泉は沖縄―広島―長崎を訪問し、最後に靖国神社に行って、戦没者を『国のために尽くした尊い犠牲』としようとしている。今が闘う時です」と訴えた。
 基調報告を共同代表の部落解放同盟広島県連合会顧問小森龍邦さんが行った。「小泉内閣のもと、自衛隊も安保もすべて戦争の方向に動こうとしている。今日の状況を正確に分析し、根底的に闘わなければならない。それが今日集まった人びとだ。八・六ヒロシマ大行動を、全国の平和運動、原水爆禁止運動の要をなす運動にしていこう。今年の三回目の八・六をステップに、四回、五回とさらに発展を遂げよう」と訴えた。
 原爆詩人の栗原貞子さんが登壇した。昨年に続いて再び、自作の詩『私は広島を証言する』(別掲)を朗読し、最後のフレーズにひときわ力を込めた。「わたしは生き残った広島の証人として/どこへ行っても証言します/そして「もう戦争はやめよう」と/いのちをこめて歌います」。
 続いて被爆三世の高校一年生が登壇し、栗原さんの詩『旗』を朗読した。「日の丸の赤はじんみんの血/白地の白はじんみんの骨/日本人は忘れても/アジアの人々は忘れはしない」。静まった会場に凛(りん)とした声が響いた。続けて「昨日、『集まろう!高校生八・五平和文化祭』を行いました。私は戦争には絶対反対です。栗原貞子さんの生き方を学び、引き継いでいきたいと思います」と発言し、栗原さんが「高校生が平和のため一生懸命に活動しているのを見ると、これくらいうれしいことはありません」と応じた。拍手が鳴りやまなかった。
 呼びかけ人である反戦被爆者の会の下田礼子さんがカンパアピールを行った。

 韓国からの訴え

 「歴史歪曲、戦争賛美の教科書を許さない韓国から」と題し、二人が発言した。初めに太平洋戦争被害者補償推進協議会事務局長の金銀植(キムウンシク)さん。「私の夢のひとつがヒロシマ大行動に参加することでした。今日、私の夢のひとつを達成しました」と日本語で話した後、朝鮮語で続けた。歪曲された教科書を正すため、文科省包囲行動や全世界一斉行動、日本と交流のある自治体への働きかけなどを行ってきたことを報告し、「植民地支配が韓国や台湾の人びとのためになったとする扶桑社の教科書を認めるわけにはいきません。小泉首相の靖国神社参拝は戦争につながる動きです。韓国人犠牲者が『天皇のために忠誠を尽くし死んだ人』として祭られることを私たちはけっして望みません。ともに闘いましょう」と訴えた。
 韓国の大邱(テグ)市から、原爆被害者と行動をともにする市民の会の四人が参加していることが報告され、代表して運営委員長が発言した。「日本帝国主義により日本に連れてこられて、多くの韓国人が被爆し亡くなりました。しかし被爆者も遺族も五十六年間何の補償もありません。今、アメリカと日本の両国は再び核戦争を起こす可能性があると思います。二度と戦争がないように、みなさんが一生懸命運動なさることを願います」。司会が韓国の全国歴史教師の会の「日本の軍国主義に告ぐ」と題したメッセージを読み上げ、各団体が金銀植さんに檄布(げきふ)を渡した。
 在日朝鮮人被爆者の朱碩(チュソク)さんは「私の家族七人は全員被爆者です。学徒報国隊に動員された弟は今日まで帰ってきません。二十世紀のアジアの戦争は、日露戦争、日清戦争、満州事変、上海事件、日中戦争、太平洋戦争、すべて日本が火をつけたものです。その結果二千万人のアジアの民衆が殺されました。私は何よりも戦争と原爆を憎みます」と訴えた。
 広島からのアピールに入り、まず「教育・憲法改悪と闘う」として広教組の山今彰委員長が登壇した。

 広島が最先頭に

 「広島で三年間吹き荒れた文部省の『是正指導』は、国家権力にあらがうことを一切許さない攻撃でした。しかし広島はこの攻撃を許さない。教育基本法改悪と改憲を許さず、今こそ声を大にして闘おう」と発言した。「靖国参拝を許さない」と題し、備後・靖国問題を考える念仏者の会の毛利慶典さんが「靖国神社公式参拝は、国に命をささげる国民をつくるため。靖国神社は忠君愛国思想の製造器です」と訴えた。「基地撤去の闘い」として、ピースリンク広島・呉・岩国世話人の湯浅一郎さんが「今年六月、呉の海上自衛隊の船がシンガポール沖で軍事行動を行った。九一年のペルシャ湾派兵以来二回目。基地のない広島と日本をつくろう」と発言した。
 「若者の決意」として二人が登壇した。広島大学の一年生が「私はみなさんに『もっと怒ってください』と訴えたい。アジアの民衆の闘いに連帯し、『二度とくり返さない』の闘いを世界中に広げましょう」と訴えた。広島県立世羅高校を卒業し沖縄大学に通う田丸尚絵さんのメッセージを妹の訓子さんが代読した。
 二つの特別決議と集会アピール(別掲)を採択した後、閉会のあいさつに広高教組副委員長の有田耕さんが立ち、「憲法九条まで危なくなっているという現状の中で、私たちはこの集会をさらに四回、五回と発展させて、全国に闘いを発信し続けなければなりません」と発言し、デモの途中で、県教育委員会の常磐教育長に対して「@『日の丸・君が代』強制のために強行した組合員の不当処分を撤回すること、A「つくる会の教科書を採択しないこと」の二点の申し入れ行動を行うことを提起した。
 団結ガンバローを広島県日本中国友好協会青年委員会事務局長の由木栄司さんの音頭で行い、とめよう戦争への道!百万人署名運動広島県連絡会の平岡誠さんが昨年を上回る三千人が結集したと発表した。
 デモの先頭で共同代表や発言者が横断幕を持ち、広島のメインストリートを長蛇のデモが進んだ。途中、代表六人が県庁舎東棟の県教委を訪れ、常磐教育長あての申入書を提出した。
 最後に、デモ解散地の原爆資料館前で栗原君子さんがまとめを提起した。「小泉首相は日本を戦争の道に引きずり込もうとしている。一年間、それぞれの持ち場でしっかり闘いを大きくして、その成果を来年の八・六ヒロシマ大行動に持ち寄ってください。広島も全国のみなさんに負けない闘いをします」。全参加者が熱い決意に燃えて団結ガンバローを三唱した。
 八・六ヒロシマ大行動は、日帝に屈服し破産を深める既成原水禁運動をのりこえ、小泉の戦争国家化攻撃と全面対決して、反戦・反核闘争の大きな前進をかちとった。

 集会アピール

 はばもう!教育と憲法の大改悪 アジア民衆と連帯し、戦争への道をとめよう!
 私たちは、二十一世紀最初の八月六日、「再び戦争をくり返すな!」の熱い思いをもって、ここヒロシマの地に結集しました。世界が再び戦争・核戦争へと向かう危機を前に、今度こそ戦争を阻む決意を込めてヒロシマからアピールを発します。
 米ブッシュ政権の新ミサイル構想は、中国・朝鮮・アジアへの戦争・核戦争の発動を強めるものであり、断じて許すことはできません。
 小泉政権はこの新ミサイル構想に参加を表明し、教育改悪から有事立法制定―憲法改悪へと突き進んでいます。歴史歪曲、戦争賛美の「つくる会」教科書検定合格、靖国神社公式参拝、沖縄の名護新基地建設の強行など、このファッショ的政治は、日本民衆を侵略戦争に引き込んだ一九三〇年代の再来ではありませんか。看過することはできません。
 教科書改悪―日本の再侵略とたたかう韓国の仲間の参加を得て開催した本日の第三回「ヒロシマ大行動」は、国際連帯の記念すべきスタートとなりました。皇国臣民として侵略戦争を担わされ、多くのアジア民衆に犠牲を強い、あげくの果てに原爆の惨禍をこうむったヒロシマ。「二度と過ちをくり返さない」の誓いを貫くことを、今改めて誓いあおうではありませんか。
 被爆者、沖縄県民、全国のみなさん、
 私たちの怒りと団結の力で、改憲・戦争への道にストップをかけましょう。
 日本の再侵略と真っ向からたたかいに立ち上がっている韓国・朝鮮、中国、アジアの民衆との連帯を強め、「アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ―オキナワをくり返すな!」の声をとどろかせましょう。改憲と戦争への道を阻む新たな民衆運動を創ろうではありませんか。
二〇〇一年八月六日
 再び戦争をくり返すな! 被爆五十六周年 八・六ヒロシマ大行動参加者一同

 栗原貞子さんが詩を朗読 私は広島を証言する

生き残ったわたしは
何よりも人間でありたいと願い
わけてひとりの母として
頬の赤い幼子や
多くの未来の上にかかる青空が
或日 突然ひき裂かれ
かずかずの未来が火刑にされようとしている時
それらの死骸にそそぐ涙を
生きているものの上にそそぎ
何よりも戦争に反対します
母がわが子の死を拒絶するそのことが
何かの名前で罰されようと
わたしの網膜にはあの日の
地獄が焼きついているのです
逃げもかくれもいたしません。
一九四五年八月六日
太陽が輝き始めて間もない時間
人らが敬虔に一日に入ろうとしている時
突然
街は吹きとばされ
人は火ぶくれ
七つの河は死体でうずまった。
地獄をかいま見たものが地獄について語るとき
地獄の魔王が呼びかえすと言う
物語りがあったとしても
わたしは生き残った広島の証人として
どこへ行っても証言します
そして「もう戦争はやめよう」と
いのちをこめて歌います。
(一九五二年九月 詩集「原子雲の下より」)

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週刊『前進』(2018号4面2)

 式典参加の小泉痛撃 被青同先頭に280人がデモ

 八月六日午前七時半、全国被爆者青年同盟と反戦被爆者の会を先頭に全国から集まった学生・労働者二百八十人が、小泉首相の平和祈念式典参加を糾弾する戦闘的デモを貫徹した。
 デモ出発前に、被青同の友野幽委員長が、新たな戦争を繰り返そうとして被爆者を英霊化=戦争動員のテコにしようとする小泉と真っ向から対決して八・六―八・九を闘い抜こうと呼びかけ、来春に平和公園内に完成予定の国立原爆死没者追悼平和祈念館の展示説明文から「国策の誤り」の文言を削除する攻撃を怒りを込めて徹底弾劾した。
 反戦被爆者の会の大槻泰生会長があいさつし、反戦共同行動委員会を代表して滝口誠事務局長が「小泉の祈念式典参加を許すことはできない。小泉反革命を切り裂いて闘おう」と力強く決意を表明した。
 デモ隊が祈念式典会場の平和公園に向かって出発。小泉との対決にデモ隊も気合いが入っている。元安川をはさんで平和公園に肉薄する。「小泉の祈念式典参加を許さないぞ! 靖国神社公式参拝を阻止するぞ! 戦争国家づくりを許さないぞ!」。シュプレヒコールが小泉を直撃する。
 デモ隊は原爆ドーム前に到着。式典会場から小泉の声が聞こえてくる。それをかき消して動労千葉の田中康宏書記長と婦人民主クラブ全国協の西村綾子代表が、小泉の靖国神社公式参拝を実力阻止しようと訴えた。結柴誠一前杉並区議が「つくる会」教科書を杉並で阻んだことと参院選の大田昌秀氏の当選を報告した。最後に怒りを込めて小泉に向かってシュプレヒコールを行った。

 被爆者と解同全国連が集会 小泉改革に怒り

 「被爆五十六周年 許すな! 小泉来広! 被爆者解放! 狭山異議審勝利! 八・六ヒロシマ集会」が午前十時から広島市内のアステールプラザで開かれた。反戦被爆者の会、全国被青同、部落解放同盟全国連が共催し、百八十人が集った。
 反戦被爆者の会の大槻泰生会長が「被爆により体に残る傷は、八月十五日まで何をしてきたかの問いかけだ」と、かつてアジア侵略に加担した自身を自己批判し、「二度と戦争は起こしてはならない」と訴えた。全国連広島支部の三浦文夫支部長は「私が見たのは、これが人間かという無惨な姿だった。小泉打倒へ頑張ろう」と檄をとばした。
 全国被青同の友野幽委員長、在日朝鮮人被爆者の朱碩さんらの発言が続き、基調報告を中田潔全国連書記長が提起した。建設中の平和祈念館の設立理念から「国策を誤り」の言葉を削除する攻撃を弾劾し、「小泉政権は社会的弱者に犠牲や権利侵害を強いる」と訴えた。金平通雄全国連共闘部長は、小泉の式典出席要請取り消しを求めた市への申し入れ行動を報告した。

 大槻さんの講演で誓い新たに 全国学生集会

 午前九時半、アステールプラザで八・六広大実行委員会主催の「八・六ヒロシマ学生集会」が行われた。原爆詩人・峠三吉の「題のないうた」の朗読から始まった。「いま/その時がきた/戦争に命をかけて反対すべきときが」。一九五〇年の朝鮮戦争のときに書かれた詩だ。
 反戦被爆者の会の大槻泰生会長が講演し、「アジア解放の戦争と信じ、本来仲間であるアジアの人に敵対した。被爆がアジア侵略への加担の結果だったことをとらえ返し、アジア人民への血の償いを果たすため闘ってきた」と訴えた。
 広島大学の学生が基調報告を行い、小泉は労働者民衆の「再び戦争をくり返すな」という思いを「国のために命をかける」に変えようとしていると弾劾した。広大自治会委員長は「ヒロシマに学ぶ学生として、再び戦争という過ちをくり返さない」などを理念に自治会を結成したと高らかに宣言。全国学生のアピールが続いた。

 高校生が平和文化祭 ”何か行動を”と熱い思い

 八月五日午後、「集まろう! 高校生八・五平和文化祭」(同実行委主催)が広島市のアステールプラザで開催された。高校生を中心に約二百人が参加した。
 「好きな歌が歌えるのも好きな楽器を弾けるのも、みんな平和だから」。こんな思いで集まった高校生を中心に、十のバンドやフォークデュオが演奏した。
 反核ビデオ「カウントダウン」と「ゲルニカ」を上映。反戦被爆者の会の大槻泰生さんと下田礼子さん、太平洋戦争被害者補償推進協議会事務局長の金銀植さんも高校生に訴えた。
 実行委員会の高校生は、「何か行動しないと、天皇の写真の前でお辞儀させられる、そんな時が来てしまう。だから明日、おれはヒロシマ大行動に行きます。みんなも自分の意志で参加してください」と訴えた。
 最後に、この日のためにつくった八・五平和文化祭オリジナルテーマソング「DAY〜広島にて〜」を大合唱した。高校生たちの平和への真剣な思いが伝わってくる文化祭だった。

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週刊『前進』(2018号5面1)

8・9長崎 “式典出席・靖国参拝許さぬ” 雷雨突き小泉弾劾デモ

 被爆五十六周年を迎えた八月八〜九日の長崎闘争は、中国・朝鮮侵略戦争、世界核戦争へと突き進む日米帝国主義と真っ向から対決して闘い抜かれた。また小泉の来崎、平和祈念式典出席を激しく弾劾し、小泉の八・一五靖国神社参拝を絶対に阻止するという怒りに燃えた闘争となった。それは既成の原水禁・原水協の運動が、日帝・小泉の被爆者英霊化攻撃、戦争国家化攻撃への屈服を深める中で、ヒロシマ・ナガサキをくり返すなという原点に立って日帝の戦争責任を徹底的に追及し、新たな反核闘争の方向を指し示す画期的な闘争となった。
 八月九日、浦上天主堂下の天主公園には小泉の祈念式典出席に怒りを燃やして九十人が結集した。
 地元の人も「原爆記念日にこんなに雨が降ったのは記憶にない」という土砂降りの雷雨をものともせず、午前十時から全国統一実行委員会主催の集会を行い、小泉を直撃するデモをたたきつけた。
 十一時二分、原爆の投下時間だ。デモコースのすぐ近くの平和公園では祈念式典が行われている。「小泉の式典出席弾劾!」の声がひときわ響き渡った。爆心地の松山公園では、原水禁集会参加者の若い女性連れが手を振った。権力の不当な弾圧をはねのけてデモを戦闘的に貫徹した。
 デモに先立つ集会では、実行委員会を代表して九大自治会の学生が司会を務めた。
 まず部落解放同盟全国連合会が「最高裁での狭山上告棄却から二十四年目を迎えた八月九日、全国連は高裁要請行動に立った。戦争と差別の攻撃に立ち向かい小泉政権を打倒しよう」と特別アピールを発した。
 続いて被爆者青年同盟の友野幽委員長が、「小泉の式典出席は、広島・長崎の反核闘争つぶしの攻撃である。被爆者を英霊化し、新たな侵略戦争の先兵にしようとするものだ。一体あの原爆地獄は誰がもたらしたというのか」と弾劾し、三千人が結集した八・六ヒロシマ大行動の大成功を紹介し、「小泉政権打倒の階級的大反撃を」と訴えた。

 帝国主義戦争阻止こそ原点

 九大自治会の学生が実行委員会を代表して基調提起を行った。
 「ブッシュ政権は中国・朝鮮侵略戦争の発動に向かって、『二戦域同時対応』戦略を放棄してアジア重視戦略を打ち出し、新ミサイル防衛構想=核戦争推進に本格的に踏みだした。また日帝・小泉政権はこの米軍戦略に対応し、戦後的階級関係の全面転覆と改憲、中国・朝鮮侵略戦争参戦へと突き進んでいる。二九年型世界大恐慌の始まりの中で、帝国主義が経済・社会の全面的な危機を、侵略戦争、世界戦争で突破する方向へと完全にカジを切ったのだ。これは死の苦悶(くもん)にのたうつ帝国主義の最後のあがきだ。今こそ日本革命・世界革命に向かって闘おう」
 「かつての戦争とは何だったのか。帝国主義の延命のために侵略戦争、世界戦争を行い、二千万人ものアジア人民を虐殺し、三百十万人もの日本人民の命を使い捨てにしたということだ。この帝国主義への怒り、帝国主義の戦争を阻止できずに動員されたことの反省こそ、ヒロシマ・ナガサキの原点だ。革命的祖国敗北主義を貫き日帝・小泉政権を打倒しよう」
 この基調提起を受けて、ス労自主の組合員、福岡県労組交流センターの労働者、東北大、富山大、京都大と九大自治会の学生が決意表明した。そしてシュプレヒコールの後、直ちに小泉の式典出席を弾劾する怒りのデモに打って出た。
 デモ終了後、全国統一実行委員会呼びかけ人の三角忠さんが「小泉政権打倒が反戦反核闘争の正面課題となった。八・一五闘争を一連の闘争の集大成として闘おう。九・一〜二の首都治安出動演習粉砕に立ち上がろう」と勝利感にあふれ総括と方針を提起した。
 八・六―八・九闘争を引き継ぎ、新たな反戦反核闘争、安保・沖縄闘争の爆発と十一月労働者集会の五千人結集へ闘い抜こう。

 8・8 長崎反戦集会に200人 桑江さん槙枝さんが熱烈訴え

 八月八日午後五時から長崎県勤労福祉会館大ホールで行われた「被爆五十六周年 ヒロシマ・ナガサキ、オキナワは小泉の改革・改憲攻撃を許さない! 長崎反戦集会」には地元・長崎、九州、全国から約二百人が結集した。
 まず司会を務めた国労佐世保地区闘争団の高田末博さんが、「米帝ブッシュ政権、日帝・小泉政権の登場によって、昨年とは情勢が一変した。米帝ブッシュの世界核戦争政策、日帝・小泉の改憲、戦争と大失業と対決する集会としてやり抜こう」と開会を宣言した。
 実行委呼びかけ人の三角忠さんは、「二十一世紀最初の反戦反核闘争として、日米帝国主義が経済危機を核戦争政策で突破しようとする大攻撃と対決して闘わなくてはならない。被爆者の痛みを新たな侵略戦争への原動力にしようとする小泉政権を打倒しよう」と主催者あいさつを行った。
 続いて反戦共同行動福岡代表の石崎昭哲さん、婦人民主クラブ全国協議会福岡支部長の平井禮子さんが連帯のあいさつを行った。
 石崎さんは「長崎に原爆が落とされて五十六年、毎年八月を迎えるたびに鮮烈な記憶がよみがえる。それは風化するどころか、再び核戦争、侵略戦争に突き進む帝国主義に対する怒りと決意を高めている。小泉の言う『聖域』とは、憲法や、靖国参拝を許さない反戦の闘いのことだ。『抵抗勢力』とは国労闘争団などここに結集した人びとのことだ。小泉の戦争政策と正面対決する。批判だけではダメで、対決し、本当に打倒する」と訴えた。
 平井さんは「女性は子どもを生み育てる性、弱いものから殺していく戦争を体を張って阻止する」とあいさつした。
 ここで特別報告を部落解放同盟全国連合会中央執行委員の村上久義さんが行った。「石川一雄さんの高木裁判長への復讐精神に連帯し、異議審だから事実調べの必要はないと言う高橋裁判長を許さず勝利する。脅迫状に関する斉藤第三鑑定で石川さんの無実は一層明らかになった。これを武器に明日高裁闘争を闘う」と、気迫を込めて訴えた。
 さらに、「第二の分割・民営化ともいうべき検修部門の外注化を許さない」と動労千葉が、「国労大会で執行部を打倒し、闘う国労をつくる」と国労小倉地区闘争団が訴えた。
 続いて福岡県労組交流センター教育労働者部会が「福岡市長が『つくる会』教科書を『評価できる』と持ち上げたことに対し、怒りの抗議をたたきつけた」と採択を阻止した闘いを報告した。
 メッセージ紹介の後、実行委を代表して福岡県労組交流センターの労働者が基調報告を行った。
 「ソ連スターリン主義が崩壊し、二九年型世界大恐慌が進行する中で、世界経済のブロック化と帝国主義間の対立は、侵略戦争、第三次世界大戦=核戦争へと突き進もうとしている。米帝ブッシュ政権は、世界戦略、核戦略の体系的見直しを宣言し、世界大恐慌の爆発を、対中国・北朝鮮との戦争でのりきろうとしている。ブッシュは産軍複合体の利益、米帝経済の生き残りのために本気で戦争を構えているのだ。他方、米帝との争闘戦に敗北し、没落を深めている日帝・小泉政権も、米帝の戦争政策に必死で食らいつき、戦争国家への大改造を全力で追求している。ヒロシマ・ナガサキ、オキナワをくり返してはならない。今こそ、労働者人民は立ち上がり、核戦争の危機を阻止しなければならない」と提起した。
 カンパアピールの後、桑江テル子さんが「沖縄から『命どぅ宝』」と題した一人芝居と訴えを行った。沖縄戦、戦後の米軍支配、そして復帰後も日帝の沖縄差別政策に苦しめられながら、米軍基地の島に生きる沖縄民衆の受難と闘いを迫力をもって表現した。
 元日教組委員長の槙枝元文さんが「『教え子を再び戦場に送るな』今こそ!」と題して講演を行った。槇枝さんは「この集会に参加して二つの印象を持った。ひとつは女性と若い人の参加が多い、もうひとつは私が講演せずとも皆さんの発言で十分だと感じた」と前置きをした上で、教育の戦争責任という観点から自分の体験に基づいて講演した。「一九四一年に高等学校の二人の生徒を満蒙開拓義勇軍と航空少年兵に推薦した。後に戦死した航空少年兵の母親が『あの子を殺したのは先生だ』と泣きながら自分を殴った。この反省が私の原点」「五五年の保守合同以来、歴史認識を教えない教科書に変えられていった。今の若者は靖国神社とは何かということも教わっていない。この教科書が使われれば『教え子を再び戦場に送る』ことになる」と危機感を述べた。
 ここで元長崎市長の本島等さんが登壇した。「日本人だけを祭る点では靖国神社も広島、長崎も同じ。侵略戦争で二千万人ものアジアの民衆を殺しておいて、殺した方だけを弔うことが問題。またこの戦争で三百十万人の日本人民が犠牲になったが、二百三十万人の軍人・軍属の死者のうち六割が餓死と栄養失調によるものだった。このような無惨な死、玉砕戦に追いやりながら、その責任も明らかにせずに英霊として祭るとは何ごとか」と弾劾した。
 長崎県労組交流センターの青年労働者と九大自治会の学生が「小泉改革と対決し、労働者が本当の反戦反核闘争をつくる」「日帝のアジア侵略を内乱へ。全学連は八・一五小泉靖国神社参拝を阻止する」とそれぞれ決意表明した。
 長崎被爆者青年同盟からはナガサキ・アピールが発せられた。「日帝のアジア侵略阻止は日本人民の絶対的課題だ。原爆記念碑に書かれた『安らかに眠ってください。過ちはくり返しませんから』という誓いが踏みにじられようとしている。アジア人民と連帯し、小泉政権を打倒しよう」と訴えた。
 司会が再度明日の八・九闘争を呼びかけ、最後に国労闘争団の仲間の音頭で団結ガンバローを行った。

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週刊『前進』(2018号5面2)

第61回全学連大会へ結集を
 中国・朝鮮侵略戦争阻止へ “新たな10・8”の大爆発へ
 全学連中央執行委員会

 全学連は八月三十日〜三十一日にかけて第六一回全国大会を東京都内で開催する。全学連中央執行委員会から招請状が発せられたので、全文を掲載します。(見出しは編集局)
 招請状
 全国の闘う学友諸君! 八月三十日〜三十一日に行われる全学連第六一回定期全国大会への総結集を呼びかける。
 世界史は今、一九三〇年代をも超える激しい情勢を迎えている。何よりも、米帝バブルの崩壊から二九年型世界大恐慌過程への突入のなかで、アメリカ帝国主義、日本帝国主義による中国・朝鮮への侵略戦争が現実のものになろうとしている。
 米帝ブッシュ政権は、二九年型世界大恐慌と大不況という危機的現実のなかで、その危機を対中国=対日政策を軸にして、直接の戦争によって打開する戦略に踏み切った。ブッシュ政権は、迎撃ミサイル実験を行い、二〇〇四年までに十基程度の迎撃ミサイルを配備すると表明した。また、地下核実験再開のための準備期間を大幅に短縮する研究を指示した。アメリカ帝国主義は、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からも、包括的核実験禁止条約(CTBT)からも離脱し、核軍事力独占体制をもって、一方的な核戦争の攻撃者となろうとしているのだ。「二戦域同時対応」戦略の見直し=アジア重視戦略に見られるように、その圧倒的な核軍事力を対日争闘戦的に中国・朝鮮に向けて発動しようとしているのだ。
 小泉政権は、こうした情勢の下で、中国・朝鮮侵略戦争参戦のために、伝統的な自民党政治が越えようとして越えることができなかった戦後的な制約の突破をかけて登場した。九七年以来のガイドライン体制の中で突破できなかった「一線」を突き破って、実際に戦場に突入し、血を流す戦争をやるために、集団的自衛権の行使や新ガイドラインの「後方地域」定義の見直し、PKF(国連平和維持軍)参加凍結解除に手をかけてきた。こうした小泉の戦争国家化攻撃の核心にあるのが、「国のために命をささげよ」という民族主義・愛国主義・排外主義の大扇動による、労働者人民の意識の総転換と反戦闘争圧殺の攻撃だ。ここに、森政権までの従来の自民党政治とは違う、画次元的踏み切りがある。八・一五を頂点とした「全国行脚」はまさに、小泉の改憲=戦争国家化攻撃の核心的攻撃だ。
 全国の学友諸君! 侵略戦争突入情勢を前にして、労働者階級人民のとるべき態度が今本当に問われている。国家のために「痛み」に耐え、国家のためにアジアを侵略し、国家のために命を投げ出すことが労働者人民の道か? 絶対に違う! 労働者人民を食わすこともできず、戦争をやらなければ生き延びられないような帝国主義国家こそが滅びるべきなのだ、労働者人民は侵略の先兵になることも、自らの命を投げ出すこともきっぱりと拒否して、今こそ帝国主義打倒の闘いに立つべき時なのだ! その事を本気になって提起する勢力は、今一人もいない。侵略戦争の切迫というこの情勢の下で、われわれがその事を提起しなくて、だれが提起するのか!
 すべての学友諸君! 今大会の意義は実に重大である。今秋決戦から二〇〇二年にかけた階級決戦の激闘のなかで、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の総路線を、全労働者人民の中へ打ち立てよう。重要なことは、革命的祖国敗北主義の思想を、侵略戦争切迫情勢下における命がけの実践的な問題として打ち立てることである。この戦争危機の深まりと革命情勢の急接近の中で、改憲・ガイドライン・沖縄の歴史的大決戦を、われわれ全学連の戦略的な力でこじ開け、「新たな十・八」といえるような闘いを準備していくのだ。さらに、対カクマル戦の歴史的勝利の趨勢を徹底的に促進し、カクマル完全打倒と全国学生戦線の革命的統一に向かって画然たる前進を実現しよう。これらを、今秋〜二〇〇二年前半決戦の実践方針として打ち立てるのである。
 全学連の今秋決戦の任務はなにか?
 第一に、全学連が先頭にたって、小泉反革命と真正面から対決し、九七〜九九年ガイドライン闘争をはるかに上回る反戦闘争の大爆発をきりひらくことである。
 一つに、教科書決戦を闘いぬき、八・六―八・九、八・一五を闘った力で、九・一〜二治安出動訓練阻止の闘いに総決起することである。
 二つに、臨時国会闘争―全国結集闘争を闘いぬき、「第二のガイドライン決戦」の爆発を切り開くことである。とりわけ、有事法制の中間報告と対決し、有事立法−改憲阻止の大決戦に本格的に突入することである。さらに、PKO参加五原則の見直し―PKF本隊業務への参加凍結解除に向けた、今秋臨時国会での関連法改悪を阻止することである。
 三つに、三里塚反対同盟の烈々たる決意と闘いに応え、成田空港暫定滑走路建設阻止の闘いに総決起することである。
 第二に、沖縄闘争の前進を切り開く、実践方針を確立することである。小泉政権と真っ向勝負して闘う沖縄人民の怒りをわがものにして、名護新基地建設阻止・米軍基地撤去の闘いを沖縄−本土を貫いて大爆発させよう。
 第三に、小泉反革命への既成勢力の総転向・総翼賛を突き破り、革命的祖国敗北主義を貫く反戦闘争の新たな潮流を全学連が最先頭でつくり出すことである。
 第四に、国立大学の独立行政法人化阻止の闘いを中軸とする、大学闘争のさらなる前進を切り開くための実践方針を確立することである。広島大学での自治会再建の勝利に続いて、全国大学に戦闘的自治会の旗を打ち立てよう。
 第五に、カクマルの国粋主義・愛国主義・排外主義的正体を暴ききり、黒田ファシスト哲学を粉砕し、全国大学からファシスト・カクマルを打倒・一掃しよう。
 すべての学友は、全学連大会に結集しよう! 労働者人民の未来を指し示す全学連運動の本格的登場をかち取っていこう!
 二〇〇一年八月六日

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週刊『前進』(2018号5面3)

2001年日誌 阻もう改憲=戦争への動き 8月1日〜14日
 9・1演習で横田使用を要請
 小泉靖国参拝を前倒し強行

●韓国が靖国合祀中止を要請 韓国外交通商省が旧日本軍の軍人・軍属となって犠牲になった朝鮮人を靖国神社に合祀しているのを中止するよう、日本政府に七月二十日に正式要請したことを明らかにした。「A級戦犯を合祀している靖国神社に、植民地政策の被害を受けた韓国人も合祀しているのは理にかなわない」としている。(1日)
●二正面戦略見直しの指針示す ラムズフェルド米国防長官が二正面戦略の見直しについて、一つ目の大規模紛争で敵地占領まで含めた勝利を期する点では現行戦略と同じだが、二つ目は戦線を維持できれば十分などとの指針を設けて作業を進めていることを明らかにした。しかし二つの紛争の発生に時間差を想定した「二段階戦略」へ移行するのかどうかについては言及を避けた。(3日)
●8・6広島の平和祈念式典に小泉が出席 一九四五年の被爆から五十六年を迎えた広島市の平和記念公園で「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式典」が開かれ、小泉首相らも出席した。(6日)
●米海兵隊が戦闘機の訓練を再開 米海兵隊が、沖縄のキャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブ(名護市など)上空で戦闘機の飛行訓練を再開した。今年二月から三月の同訓練では、名護市街地上空を再三通過し、騒音や事故の危険性が指摘されていた。(6日)
●都教委が「つくる会」教科書を採択 東京都教育委員会が「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書を養護学校の一部で採択することを正式に決めた。国公立校で採用が明らかになったのは全国で初めて。採択したのは、都立養護学校四十五校のうち病弱者二校と、病院内に設置されている分教室のみ。生徒数は現在、あわせて七十人。(7日)
●米が物品役務提供協定をフィリピンに要請 米軍の活動の円滑化をはかるため、「物品役務相互提供協定(ACSA)」の締結を米ブッシュ政権がフィリピン政府に求めていることがわかった。ACSAは軍事演習や有事の際、米軍に燃料や食料のほか輸送、修理・整備、施設利用などのサービスを提供する協定。米軍基地は、フィリピン上院で基地存続の新条約批准案を否決したことなどから、九二年に完全撤収した。その後、米軍は昨年、合同演習「バリカタン」を四年ぶりに再開した。今年からは多国間軍事演習「チームチャレンジ」が始まり、米軍への支援強化のためにはACSAが欠かせないと見られている。(7日) 
●愛媛でも「つくる会」教科書採択 愛媛県教育委員会が県立の養護学校二校とろう学校二校で「つくる会」の中学校歴史教科書を使うことを決定した。公立学校で同教科書が採択されるのは東京に続き全国二番目。(8日)
●8・9長崎、被爆から56年 長崎市の平和公園で「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が開かれた。六日の広島に続き、小泉首相も出席した。(9日)
●市街地上空で燃料捨てる
 米軍嘉手納飛行場を離陸した米海軍の戦闘攻撃機FA18ホーネット二機のうち一機が、約十五分後に同飛行場に着陸した。エンジントラブルを起こしたとみられるが、二機とも着陸前に飛行場周辺を旋回した際、民間地域上空でジェット燃料を捨てていた。(9日) 
●在沖米総領事館で毎週集会開催 「心に届け! 女たちの声ネットワーク」と「新たな基地はいらない、やんばる女性ネット」が、米兵の事件・事故に赤いリボンやレッドカードで抗議の意思を示す「沖縄金曜集会」を浦添市の在沖米総領事館前で開いた。今後、毎週金曜日の正午に継続して集会を開く。(10日)
●9・1演習で都が横田基地使用を要請 九月一日の「ビッグレスキュー東京2001」で、けが人や病人などを搬送する拠点として、米軍横田基地(福生市など)を使用する方向で交渉していることがわかった。合意すれば、「防災訓練」で米軍基地を使用する初のケースとなる。石原慎太郎都知事は、米軍横田基地の返還や軍民共同使用を主張している。(11日)
●名護のジュゴンで米機関がアセス勧告 沖縄米軍普天間飛行場の代替施設予定地とされる名護市沖に生息するジュゴン保護のため、米国の政府機関、海洋哺乳類委員会(MMC)が、米国防総省などに米国独自の環境影響評価(アセスメント)を実施して、計画見直しを含めて検討するよう勧告していたことがわかった。MMCは、海洋動物保護の観点から米政府の活動を調査し、勧告する専門家の独立行政機関。(12日)
●小泉が前倒しで靖国参拝
 小泉首相が靖国神社を公式参拝した。小泉は十五日の参拝を明言していたが、日程を前倒しして強行した。現職首相の参拝は九六年七月の橋本龍太郎首相(当時) 以来五年ぶりとなる。(13日)

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週刊『前進』(2018号6面1)

「重大犯罪精神障害者処遇法案」粉砕を
 国家的「精神障害者」差別許さず 保安処分粉砕・小泉政権打倒へ
  関東「障害者」解放委員会

 日帝・小泉政権は、来年通常国会に「重大犯罪精神障害者処遇法案」(仮称)という特別法案を提出する方針を打ち出した。殺人、放火、傷害など六つの容疑を対象に、被疑者が精神鑑定で「責任能力なし」と判定され無罪や不起訴になった場合、「司法精神病棟」または「特定精神病院」という名の保安病棟に隔離・収容する。また、「司法精神医療審判所」(仮称)を全国十カ所の地方裁判所に設け、入退院や処遇の決定に司法の判断を介在させる。「精神障害者」に対する実質的な保安処分攻撃だ。日帝は、大阪教育大付属池田小学校事件を契機に、「精神障害者」に対する実質的な保安処分攻撃を「触法精神障害者」対策という名で一気に拡大しようとしている。われわれはこれに断固として対決しなくてはならない。国家的な「精神障害者」差別に怒りを燃やし、保安処分粉砕・小泉政権打倒に立ち上ろう。

  改憲・戦争国家化と一体で保安処分導入

 保安処分攻撃粉砕のために第一に明らかにしなくてはならないことは、この「精神障害者」に対する保安処分攻撃が、日帝・小泉政権の改憲と戦争国家化攻撃の一環ということだ。
 二九年型世界恐慌が迫り、米帝ブッシュ政権による対日争闘戦が強まる中で、日帝・小泉政権は「聖域なき構造改革の断行」なるものを強行しようとしている。金融独占資本を救済するために膨大な企業倒産と失業者を生み出し、労働者人民に全面的に犠牲を強制しようとするものだ。
 同時に、帝国主義的国家主義や民族主義・差別主義をあおり、労働者人民の闘いの徹底的な破壊、その階級性の解体をとおして改憲と戦争国家化に突き進むものである。 
 「精神障害者」への実質的保安処分攻撃=「触法精神障害者対策」は、こうした小泉政権の戦争国家化に向けた攻撃の重要な一環であり、「精神障害者」差別の強化と、それをテコとした城内平和のための治安強化の攻撃にほかならない。
 大失業時代の到来の中で、「精神障害者」の数は九〇年代に六十六万人も急増し、現在二百十六万人と言われている。年間の自殺者が三万人を超えた事実が衝撃をもって受け止められているが、この中にもリストラや労働強化によってうつ病を発病し、自殺においこまれた労働者が相当数いる。
 労働や教育における能力主義の強化が、労働者や子どもたちを追いつめ、帝国主義社会における精神的抑圧を極限にまで強めているのだ。小泉の「構造改革」−競争社会の強化はこれをさらに激化させるものだ。絶対に許してはならない。
 小泉は、池田小事件の直後に「刑法の見直し」(刑法への保安処分の新設)を指示した。その後、日帝は刑法、精神保健福祉法改悪ではなく、新法制定という方針を打ち出したが、刑法改悪による保安処分新設は日帝の懸案であり、小泉発言はそれをストレートに打ち出したものだ。このことを徹底的に重視し、保安処分攻撃への踏み切りに満腔の怒りをたたきつけ、闘わなければならない。
 一九七四年、法制審議会が「改正刑法草案」を答申し、日帝は保安処分を新設する刑法全面改悪案の国会提出に動いた。保安処分は「再犯のおそれ」という「将来の危険性」に対して予防的に発動される予防拘禁制度である。七四年「草案」では、「精神障害者」に加えて「精神病質者」という概念を導入し、政治犯にも対象を拡大した。
 この刑法改悪・保安処分新設攻撃に対して、「精神障害者」を先頭に労働者、精神医療従事者、弁護士などが激しい反対闘争を展開し、当時の日弁連の屈服にもかかわらず、八〇年代半ばまでには、攻撃をいったん断念せざるえないところに追い込んだ。
 保安処分は、三○年代ナチス・ドイツのもとで「障害者」抹殺と人民弾圧の凶暴な手段となった。日帝も、四○年にナチス刑法をならって保安処分導入を図った。導入自体は見送られたが、一部が改悪治安維持法の予防拘禁制度となり、戦時中に政治犯の弾圧に使われた。戦争国家化をめざす日帝にとってはまさに懸案なのである。小泉発言は、「タブーへの挑戦」として保安処分に対する人民の歴史的な闘いの解体を狙った許しがたいものだ。

 「社会防衛」論による差別に貫かれた歴史

 第二に明らかにしなくてはならないのは、「触法精神障害者」対策が登場した背景には、八○年代以降の日帝の医療費削減−社会保障解体攻撃とそれにともなう「精神障害者」政策の反動的変更があることだ。
 池田小事件をめぐって「精神障害者」は「刑罰の対象にもならず、措置入院になってもすぐ出られる」とキャンペーンされているが、それは措置入院制度が果してきた歴史的役割から言えばまったくの偽りだ。
 五○年に制定された精神衛生法の下での日帝の「精神障害者」政策は、「精神障害者」全体を「社会にとって危険な存在」「犯罪予備軍」と見なし、精神病院への強制的な隔離を基本政策としてきた。それは「危険な『精神障害者』から社会を守る」という「社会防衛」論にもとづいて精神医療に治安政策を担わせるものだった。実際、精神衛生法は、措置入院(都道府県知事という公権力による強制入院制度)と同意入院(患者本人の同意がなくても家族の同意で強制入院させられる制度で、今で言う医療保護入院)を柱とした文字どおりの強制入院制度だった。「精神障害者」には、九五年の精神保健福祉法にいたるまで、たとえ形の上でも「福祉」と名のつく法律はなかったのだ。
 日本の精神病院は公立が少なく、大半が民間だ。措置入院制度は公費負担であるため、民間病院の経営にとっての重要な安定収入源をなしてきた。また、不起訴や無罪で措置入院になった患者をほぼ一生閉じ込めておく不定期刑の役割を担ってきた。
 さらにそれは、犯罪と関係ない「精神障害者」も含め全体を「危険な存在」と見なす隔離政策のもとで、国外には例をみない三十万人という膨大で長期の入院患者群を生み出してきた。また「薬漬け」と呼ばれた薬物療法ともあいまって「精神障害者」を医療資本のもうけの餌食(えじき)にするものでもあった。このもとで精神病院における悲惨な事件は跡を絶たず、「病者」を守るはずの医療が「病者」の人権を踏みにじるという転倒した精神医療の現実が生み出されてきたのである。
 八○年代に入って、中曽根の臨調・行革攻撃のもとで医療費抑制政策−病床削減政策が本格化した。一般病床や精神科病床の大幅な削減が日帝にとって必要になる中で、長期入院がやり玉にあがり、とくに高齢者と「精神障害者」の「社会的入院」に攻撃が集中した。高齢者に対しては後に介護保険制度が導入された。「精神障害者」に対しては、八七年に精神衛生法が精神保健法に改定され、強制入院制度が果たしてきた治安対策の根幹を維持しつつ、入院患者を減らすという新たな政策への転換が図られた。八四年の宇都宮病院事件が国連人権委員会で取り上げられ、日本の精神医療の「後進性」に対して国際的非難がまきおこったことも事態を促進した。
 それは、一方で「社会復帰政策」を掲げ「社会に危険がない」と見なした「精神障害者」を「医療」から安価な「福祉」に移行させ、他方で強制入院制度は対象をしぼりながらも制度として維持・強化するものだった。
 同時に、日帝は「処遇困難者専門病棟」新設のために厚生省厚生科学研究班を発足させ、「精神障害者」全体に対する隔離政策を「社会復帰政策」へと転換するための治安的保障として「社会に危険」で「やっかい(処遇困難)」と見なした「精神障害者」は専門の病棟=「処遇困難者病棟」に重隔離するという方針の検討作業を開始した。
 しかしこれは、罪を犯した「精神障害者」に対する保安処分施設の役割をめざしながらも、精神医療の水準の劣悪さを棚にあげ、病院にとって対応が困難な患者なども一方的に「処遇困難者」として隔離の対象にしようとするもので、そのデタラメさゆえに「処遇困難者」概念の規定をめぐって混乱におちいった。
 そして何よりも「精神障害者」や医療現場のねばり強い闘いによって、九三年に厚生省は「処遇困難者専門病棟」新設方針の白紙撤回を表明せざるをえなくなった。もちろんそれは、日帝が本当にあきらめたのではない。その後も精神科救急(PICU)や急性期病棟など形をかえて実質的な建設の策動が続いている。
 こうした中で、日帝が今回打ち出してきたのが、対象を「重大な犯罪行為をした『精神障害者』」にしぼることで突破口をひらくことを狙った「触法精神障害者対策」なのである。
 以上みたように、措置入院制度は刑罰にまさるとも劣らない隔離拘禁を「精神障害者」に加え続けてきたのだ。刑法への保安処分新設が阻止される一方で、精神保健福祉法の措置入院制度が実質的な保安処分制度の役割を果してきた。この歴史を不問にして、この間行われている「なんの罪も問われずに野放しにされている」という差別キャンペーンに絶対だまされてはならない。

 「触法精神障害者対策」を推進

 第三に、すでに日帝は九九年の精神保健福祉法改悪以来、「触法精神障害者対策」という名の保安処分の制度化作業を一貫して進めており、池田小事件の社会的衝撃を徹底的に利用する形で攻撃を一気にエスカレートさせようとしていることだ。
 九五年に制定された精神保健福祉法は、九九年の「制定五年後の見直し」で「触法精神障害者対策」を「今後検討する」という付帯決議がつけられた。それをうけて自民党プロジェクトは「二○○二年をメドに触法精神障害者対策に結論を出す」という方針を打ち出し、当時の厚生省精神保健課長・三嘴文雄も「入口、出口は司法が決め、治療は国公立精神病院を中心とし、保安要員を含め整備したい」と発言した。昨年五月の西鉄バスジャック事件を経て、七月に保岡法相が、重大事件を起した措置入院患者の退院後の「観察制度が必要」という見解を打ち出し、さらに十一月にも、「『触法精神障害者』の司法管轄の専門施設の新設を検討する」と表明した。こうした中で二○○一年一月から「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇」をテーマとした法務省・厚生労働省合同検討委員会が始まった。そして小泉政権は、六月の池田小事件をテコに「触法精神障害者」対策=保安処分攻撃を一気に強めてきたのだ。
 池田小事件は本当に痛ましい事件である。しかし、はっきりさせるべきことは、健常者も「障害者」も犯罪を犯しうるということ、にもかかわらず、たまたま犯罪を犯した者が「精神障害者」またはそうでないかと思われる者、あるいは通院歴がある者ということでストレートに「『精神障害者』は恐ろしい」「犯罪を犯す存在だ」「隔離し管理すべきだ」とすることは「精神障害者」へのすさまじい差別と偏見なのだ。国家・社会総がかりの差別キャンペーンが「精神障害者」に対する破壊的な重圧と迫害となっていることに心からの怒りをたたきつけなければならない。しかも、もしその障害ゆえに、その病気ゆえに、犯罪に追いつめられることがあるとすれば、国家・社会・地域社会の方にこそ問題があるということなのだ。
 今回の事件に心を痛める人びとの感情を差別主義の流れに動員して、日帝の延命をかけた戦争国家化のための「精神障害者」差別の扇動とそれをテコとした治安強化に利用することを絶対に許してはならない。

 日帝の「精神障害者」差別政策こそ弾劾を

 第四に、日帝の「精神障害者」差別政策こそ弾劾されなくてはならない。
 「精神障害者」が必要としている精神医療は今なお存在しない。あるのは治安政策の担い手としての精神医療=精神保健福祉法体制だ。他の一般医療と比較してもなお精神医療の現実は劣悪だ。日帝は、そうした劣悪さを規定している大きな要因の一つである精神科のみに認められてきた医師と看護婦の低い配置基準を定めた「特例」さえ改善しようとしていないのだ。
 六○年代に医療資本が民間精神病院を乱立させてゆく過程で、精神病院に関しては医師や看護婦の配置基準を一般病院に比べ低くした「特例」や、それさえなくてよいとした「特例はずし」の規定が設けられた。その改善が昨年の第四次医療法改定で課題になったが、日帝は、看護婦を一般なみに変更したのみで、医師は「一般科では患者十六人あたりに一人」に対して「精神科は患者四十八人に対して一人」という規定をあくまで温存したのだ。
 「精神障害者」福祉についても同様である。九五年に精神保健法は、精神保健福祉法に改定され、この時点で「精神障害者」は初めて法律上「福祉の対象」に加えられた。しかし日帝の社会保障解体攻撃が進む中で「精神障害者」福祉は他の「障害者」福祉とくらべてもほとんど実体がない。こうした日帝の「精神障害者」差別政策こそが弾劾されなくてはならないのだ。

 差別への人民動員を許すな

 最後に確認しなくてはならないことは、日帝の保安処分攻撃は、「精神障害者」と労働者人民の分断、「精神障害者」差別への労働者人民の動員をテコに、階級性解体の突破口を開くことを狙っているのだ。この差別主義との対決に保安処分攻撃との主体的な攻防点があることをしっかりと見据えて闘おう。
 日帝は、「保安処分が政治犯など労働者人民にかけられるのは許せないが『精神障害者』にはかまわない」というような労働者人民の中の「精神障害者」差別との闘いにおける思想的立ち遅れや弱さを常について分断を図ってくる。
 われわれは日帝の分断攻撃を断じて許さず、「精神障害者」に対する保安処分攻撃との闘いを全労働者人民の闘いの課題として闘わなくてはならない。まさに帝国主義は「障害者」を生み出しつつ、「障害者」問題を解決する能力を持たず、「障害者」の差別と抹殺によってしか自らも延命することができない。小泉が今回、池田小事件を利用した保安処分新設攻撃に踏み切ってきたことの中に、日帝の激しい没落化と差別の元凶たる凶暴化が示されているのだ。「精神障害者」と労働者人民の団結の力で、保安処分粉砕・小泉政権打倒をかちとろう。「精神障害者」への「触法精神障害者対策」=保安処分攻撃を阻止しよう。

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週刊『前進』(2018号6面2)

治安国家化との対決を G 再審へ決起する星野闘争
 冤罪は許しがたい権力犯罪 全獄中生活を非人間的に規制

 七一年十一月十四日の沖縄奪還闘争(渋谷暴動闘争)に決起し、そこでの「警察官殺害」デッチあげ攻撃と闘う星野文昭同志は、九六年四月十七日に東京高裁に再審を請求した。しかし、二〇〇〇年沖縄サミットを控えた二月二十二日、東京高裁は不当にも再審棄却を決定し、現在、異議審闘争が闘われている。
 国家権力は、星野同志をデッチあげ「殺人罪」で指名手配し、七五年に不当逮捕した。「証拠」は捜査当局によりねつ造されたデモ参加学生六人の「目撃供述」のみだが、一審では一人が証言を拒否し、五人が供述を撤回し、「実は見ていない」と証言したのだ。
 しかし、検察は、「組織責任論」をふりかざして死刑求刑を行い、裁判所も虚偽供述を採用して懲役二十年の判決を下した。さらに二審では無期懲役判決を行った。八七年上告棄却で無期が不当にも確定した。
 帝国主義打倒の現実性におびえる日帝が、日米安保体制維持の国家目的のために強行したデッチあげ大弾圧である。

 再審逆流

 帝国主義の危機・改憲情勢の中で、再審闘争の現場でも、「逆流現象」と言われる事態が続いている。
 一九七五年の最高裁白鳥決定、七六年の財田川決定以後、何件かの再審決定が出されたが、八六年島田事件(赤堀さん事件)の再審開始決定の後は、名張、袴田、日産サニーなど各再審事件の棄却決定が続いている。特に九九年には再審請求の四日後に請求中の小野照男さんが死刑を執行された。法務省は、「明らかに無意味な再審請求だと言い切れる場合には(執行を)決断することも必要」と傲慢(ごうまん)にも言い放ち、死刑制度絶対死守のために強行したのだ。
 日帝は、「冤罪をなくす。無実の人を救う」といった人権や良心の立場を司法現場から徹底的に一掃し、再審制度の空洞化によって確定判決を絶対化しようとしているのである。
 戦後だけでも、松川、三鷹、白鳥、財田川、八海、徳島、島田、仁保、名張、狭山、波崎、大森勧銀、野田、土田・日石・ピース缶、甲山、袴田、布川、日産サニーなど、冤罪事件が数知れない。治安抑圧機構を死守するために無実の人びとを犯人にデッチあげる冤罪は許しがたい国家犯罪である。その核心に、星野同志を始めとする政治犯へのデッチあげ弾圧があるのだ。冤罪との闘いは、帝国主義打倒の立場から取り組むべき階級的課題である。

 劣悪処遇

 星野同志の二十七年の獄中生活は当初から極悪な処遇との闘いの連続だった。
 七八年、星野同志は長期拘禁による強迫症状のため長時間の食器洗いを必要としたが、千葉刑務所当局の施設改善と称する給水量制限により生活リズムを壊され、病状を悪化させた。七九年には、「自殺防止房」への長期拘禁によって決定的に病状が悪化し、また今日まで悩まされているアレルギー性皮膚炎も発症した。
 共同被告の奥深山幸男さんも同時期「自殺防止房」拘禁によって病状を悪化させられ、今日まで闘病生活を強いられている。「自殺防止房」とは、「自殺防止」を名目に、より閉鎖的、より劣悪な拘禁を懲罰的に加えるものだ。全力で弾劾しなければならない。
 星野同志は、八一年七月から東京拘置所に移監されたが、当局は病状悪化に苦しむ星野同志の食事や薬を取り上げ、四次にわたる懲罰をかけた。星野同志は、獄死攻撃と対決し、八四年に治るまで六年間の「地獄をはいずるような」想像を絶する獄中処遇と闘いぬいたのである。
 八七年十月には、無期刑確定にともなって徳島刑務所に移監となった。極寒・酷暑の徳島刑務所で、冬はかじかんだ手を温めることすらできない。星野同志は、毎年手足のしもやけに悩まされている。
 そして、再審請求直後の九六年八月には、報復として、「ゴキブリをふんだ足を無断で洗った。抗弁した」という「理由」で、二十日間正座をして壁に向かうという懲罰を受けた。これに対して、国際的人権組織アムネスティの調査や市民の抗議などが行われた。
 また、星野同志は、刑務所の治安維持政策としてある累進制でも進級を意図的に遅らされ、面会や手紙のやり取りなどで不当な制限を受けている。さらに、獄中医療の実態は想像を絶する劣悪さである。星野同志の歯の治療は一年以上も待たされた。
 獄中では、自由に話すこと、見ること、体を動かすことなどすべてが禁止され、日常生活のあらゆる場面で非人間的規制が行われている。星野同志と家族は弁護団、支援とともに、国際的にも非難の集中している、拷問にも等しい人権侵害の獄中処遇と日々闘い、人間としての尊厳と命、健康を守っているのだ。星野同志は、長期のねばり強い闘いによって絵を描く権利をかちとっている。
 昨年七月十五日には、「塀の中にも人権を!」を合言葉に獄中者とその家族が子どもを生み育てる権利を求める会を、妻・暁子さんが支援とともに結成した。夫婦のプライベート面会の権利を求める闘いは、獄中者とその家族の注目を集め、新たな広がりを形成している。
 国際的にも、欧州やアメリカ、カナダで星野再審に取り組む陣形が形成され、数百筆の署名が送られてきている。
 星野同志は無実である。ただちに再審を開始させなければならない。無実の人間が二十七年間も人権無視の獄中に囚(とら)われていていいのか。゛ただちに無条件で釈放せよ!″という大きな世論をつくりあげ、星野同志を一日も早く奪還しよう。それは日帝政治警察との闘い、治安国家化との対決の最前線の闘いである。 (野田道子)(おわり)

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週刊『前進』(2018号6面3)

 訂正

 夏季特別号の政治局論文で、8面上から2段目左から5行目に「三・二七三里塚闘争」とあるのは「三・二五三里塚闘争」の、9面上から4段目右から18行目に「雇用は二十五人」とあるのは「雇用は七十五人」の誤りでした。訂正します。また、9面最上段左から13行目「頂点とする諸攻撃」の下に「との闘い」を挿入します。

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