ZENSHIN 2001/11/12(No2029 p08)

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週刊『前進』(2029号1面1)

革共同の11月アピール
11・11労働者の階級的反撃へ 自衛隊出兵阻止−佐世保・小牧現地へ
 闘うイスラム諸国人民と連帯し 参戦阻止・日帝打倒の反戦闘争を

 九・一一反米ゲリラ戦争と日々激化する帝国主義のアフガニスタン侵略戦争は、今後の二十一世紀がどこに向かうかを決する重大な世界史的分岐である。この中で、闘うイスラム諸国人民と連帯してともに帝国主義のアフガニスタン―イスラム諸国への侵略戦争を阻止するために総決起するのか、それとも「テロ弾劾・根絶」などという反階級的スローガンのもとに動員されるのか――このことが日本と全世界の労働者階級の第一級のテーマとなった。同時に、米帝経済のバブル崩壊と陥没が明らかとなり、世界同時不況が深刻化している。日本の完全失業率はついに五・三%となり、ブルジョアジーは今後五〜八%が常態となるなどとうそぶいている。戦争の時代とは大恐慌・大失業の時代だ。それゆえにまた階級的労働運動破壊、労働組合圧殺、賃闘や反失業闘争の暴力的一掃が著しく強まる時代でもある。全日建運輸連帯関西生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の三労組が呼びかける十一・一一全国労働者総決起集会に、闘う労働組合・労働者の全国潮流は総結集しよう。第三次世界大戦と二九年型世界大恐慌がついに現実化しつつある。今こそ、国鉄決戦陣形を先頭に、戦争と大失業に反対し、労働者の階級的利益を守る労働組合運動の再生をかちとるために総決起しよう。

 第1章 アフガン人民皆殺しの戦争をただちにやめろ

 十一月労働者集会とそれを突破口とする労働運動、学生運動、反戦闘争の新たな大爆発のために訴える。
 第一は、米英軍のアフガニスタン侵略戦争、その無差別爆撃、皆殺し戦争を即刻やめろ、イスラエルのパレスチナ人民虐殺をこれ以上続けるな、そのために総力を結集して国際反戦闘争を日本の地から爆発させていこうということである。
 米英帝国主義によるアフガニスタン侵略戦争が残酷な皆殺し戦争として日々激化している。同時にイスラエルがパレスチナの六自治区への一斉軍事侵攻に打って出た。「パレスチナ暫定自治政府に代わってテロリストを取り締まる」などと傲慢(ごうまん)に開き直って、今もなお四つの自治区への軍事侵攻を続け、この二週間でパレスチナ人約六十人を虐殺した。アフガニスタン情勢とパレスチナ情勢が重なり合って進展しているところに、イスラム諸国人民への侵略戦争という、米帝の侵略戦争の本質が突き出されている。
 アフガニスタンへの連日の空爆によって、十月末で千五百人を超える死者(ほとんどが民間人だ!)が出ていると伝えられている。その実態はまさに無差別殺戮(さつりく)である。巡航ミサイルトマホークをすでに大量に使用している。低空飛行で地上砲撃をするガンジプAC130を投入するなど、連日百機以上がアフガニスタン人民を襲撃している。広範囲にわたる殺傷力をもつクラスター爆弾(集束爆弾)、地下貫通のバンカーバスター爆弾をがんがんと打ち込んでいる。北部の国境近くで集中的爆撃を繰り返している。
 攻撃を受けているのは、カブールなど都市の発電所や水道施設、ラジオ局、NGO事務所、ヘラートやカンダハルの病院、赤十字の食糧倉庫であり、避難する住民が満載になっているトラックであり、ジャララバードの村が丸ごと攻撃され、バザールまでも空爆されている。
 三年続きの干ばつ、水枯れにあえぎ二十余年の侵略と内戦の戦禍に苦しむアフガニスタン人民の上に襲いかかるこの侵略戦争をどうして許すことができようか。それはまさにアフガニスタンを焦土と化すものだ。
 しかも、米帝は、特殊部隊による作戦をすでに開始しており、地上軍による大規模せん滅戦に移行するとしている。また、十六日からのラマダンにも軍事攻撃を継続すると言い放っている。戦術核兵器の使用さえ取りざたされているのだ。
 米軍の軍事攻撃は、多くは横須賀基地、嘉手納基地など日本の基地からの出撃によるものである。とくに沖縄全島は戒厳体制を敷くに等しい事態となっている。日帝の参戦三法の成立によって、最新鋭の護衛艦、イージス艦が日本から出兵しようとしている。
 世界中の帝国主義がその持てる軍事力を総動員してアフガニスタン人民に無差別に襲いかかっているのだ。「テロリストを裁きにかけ、それを支援するタリバンを転覆する」と称してだ。この残酷で、凶暴で、正義のひとかけらもない侵略戦争をただちにやめろ! この事態に胸が張り裂けんばかりの怒りでいっぱいだ。帝国主義国でこそ、日本でこそ、あらゆる怒りを総結集して、国際反戦闘争の大運動を巻き起こそう!

 第2章 侵略戦争翼賛・首切り容認の連合中央と日共

 第二に訴えたいことは、〈闘うイスラム諸国人民と連帯しよう〉――この闘いを帝国主義国の階級闘争の大地から鮮烈に、大衆的につくり出していこうということである。言いかえれば、「テロ弾劾・根絶」の大合唱を打ち破ることなしに、アフガニスタン侵略戦争阻止の本当の爆発はつくり出せないということ、つまり九・一一反米ゲリラ戦争が十九人の自爆戦闘と六千人にのぼる死者を結果してもなおかつ訴えたその血叫びを真正面から受けとめ、そこにあるパレスチナを始めとするイスラム諸国人民の怒りと憎しみ、全世界の被抑圧諸民族の苦悩を、帝国主義国の労働者階級人民が自らの階級的魂でもってしっかりと受けとめること、なおかつ九・一一をのりこえる道を切り開くこと、このことを素通りしては、真の戦争反対の運動は成り立たないということである。
 日共や連合指導部の言う「テロ弾劾・根絶」は絶対に許すことができない。
 連合は、「九月十一日の卑劣なテロ攻撃を断じて許さない。日本の働く仲間を代表して、国連および各国政府に対し、テロを地上から根絶するために必要な行動をとることを強く要請する」(連合第七回大会決議)としている。こともあろうに、日本労働運動の名をかたって、帝国主義支配階級に向かってテロ根絶の軍事攻撃賛成と哀願しているのだ。
 日本共産党スターリン主義は、「軍事攻撃が有効だというたしかな見通しはどこにもないが、ビンラディンの容疑は明らか」、だから「国連が主体となって国連憲章第七章にもとづく強制措置……第四二条にもとづく軍事的措置をとる」べき(十・一一各国政府首脳への第二書簡)と声明を出した。その国連憲章第四二条は「空海陸軍による示威、封鎖その他の行動」を容認し、第七章全体は「個別的・集団的自衛権の行使」を国際法上合法としている。日共は、ついに米英軍にだけやらせるのではなく、日本も参加した国連を主体とした軍事攻撃=侵略戦争をやれと内外に公然と唱えるにいたったのだ。日共はイスラム諸国人民の闘い、被抑圧民族の決起に敵対して、国連軍による侵略戦争を「テロに対する正当な個別的・集団的自衛権の行使」として完全に是認した。
 それらには、被抑圧民族の存在と苦しみ、嘆き、怒りがなんら措定されていない。その必死の闘いへの決起と向き合うことをあらかじめ拒否している。この点で、不破が「中東の政治問題を解決しなければテロ問題が解決しないという形で、二つの問題を結び付ける態度はとりません。どういう名分でやろうと、国際的なテロは、たとえだれがやろうと許されないというのがわれわれの立場であります」(三中総)としたことは実に歴史的な反革命である。
 それは、パレスチナ問題という二十世紀初頭以来の歴史的・階級的テーマ、その反植民地主義、民族自決の願いと叫びを無視・抹殺してはばからないということだ。パレスチナを始めとするイスラム諸国人民が中東および中東石油支配のための帝国主義の抑圧と追放に苦しみ、怒りに燃えて決起していることを、帝国主義足下の労働者人民への告発と激励として受けとめることに反対し、被抑圧民族との連帯を拒否し、彼らの存在そのものを否定してもいいというのだ。
 日共は国際スターリン主義の一翼として、かつてイスラエルをいち早く承認したソ連スターリン主義にならって、今も「イスラエルの国家的生存権の承認」を党是としている。日共は、アフガニスタン情勢というぎりぎりと分岐を問う情勢にたまらなくなり、自らが一国社会主義路線をもって世界革命を絞殺し、被抑圧民族の存在と民族解放の闘いへの真正面からの敵となっていることを、ついにスターリン主義の本性丸出しに開き直って自認したのである。
 それだけではない。重大なことは、連合の大会決議も日共の二つの書簡も、労働者階級に向かってではなくて、世界の各国政府、帝国主義支配階級に向かって出されていることである。
 日帝によるテロの定義を見よ。それは、「本邦内にある施設および区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、または社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為」(改悪自衛隊法に新設された第八一条の二)というものである。これは、支配階級の側から、労働者人民の階級闘争あるいは階級闘争の内乱的発展、さらには帝国主義に対する被抑圧民族の怒りの闘いそのものを「テロリズム」と規定する以外の何ものでもない。しかも、それが米軍支援にからむテロ対策法にではなく、日帝自身の軍隊の法である自衛隊法に書き込まれたことが重大である。
 また、イタリア首相のベルルスコーニは、かの「十字軍」発言で「イスラム・テロリスト、そして地球的資本主義反対者は、すべてまったく同じく『文明の価値』のための『西欧十字軍』の攻撃目標である」と明言している。さらに、国連で米帝主導による包括的テロ防止条約の案文の審議がされているが、「テロ防止の名で民族自決までを否定するのは認められない」というアラブ諸国の反対で大もめにもめている。
 すなわち、ブッシュやブレアやベルルスコーニや小泉など世界の帝国主義者が「テロ根絶」の名で宣言していることは、全世界の労働者と被抑圧民族の帝国主義に対する闘いに反革命せん滅戦争と民族抹殺戦争を仕掛けるということなのである。階級闘争は冷徹である。「テロ弾劾」とはイコール帝国主義の侵略戦争支持以外の何ものも意味しない。
 加えて、自らの階級的解放の闘いそのものを究極的に絞め殺すものが「テロ根絶」のスローガンだということである。
 九・一一反米ゲリラ戦争は、まさに、連合や日共指導下の全労連のような帝国主義国の労働運動の腐敗した階級性喪失のあり方を根底から弾劾し、絶望的不信をたたきつけているのだ。パレスチナ人民を始めとする中東人民、イスラム諸国人民の苦しみは、強大な米帝など帝国主義国による暴力とその過酷さによってもたらされているだけではない。本来ともに団結して闘うべき帝国主義国の労働者階級人民が、自らの「平和」に浸り、帝国主義の民族抑圧に無自覚的・自覚的に加担し、彼らを裏切っているからこそ、その苦しみが倍加し、絶望と不信が極点にまで達したのである。
 われわれが、米英軍によるアフガニスタン侵略戦争の中で、ある意味で最も許せず腹の底からの怒りを抑えることができないことは、自国の既成労働運動指導部の「テロ弾劾・根絶」の絶叫である。「テロ弾劾・根絶」を唱えながら反戦を貫くことはけっして成り立たない。それは実は反戦闘争を圧殺する目的をもつものであり、それにくみすることは反戦闘争の自殺、階級闘争の自滅である。帝国主義戦争の問題はイコール帝国主義的労働運動の問題であり、すなわち排外主義・愛国主義と対決する階級的労働運動の問題であることは、レーニンが繰り返し強調してやまなかった、しかも現代の最先端のテーマなのである。
 今こそ、闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民との国際主義的連帯をかけて、連合中央や日共および全労連指導部を満腔(まんこう)の怒りで打ち倒せ! 戦争翼賛勢力と化した一切の既成労働運動指導部を今こそ打ち倒し、侵略戦争に打って出た帝国主義を打倒する労働運動、反戦運動を創造して闘おう!

 第3章 第三次世界大戦か反帝・反スタ世界革命か

 第三に訴えたいことは、米英日など帝国主義によるアフガニスタン侵略戦争が帝国主義の不正義の強盗戦争であること、それのみならず第三次世界大戦と二九年型世界大恐慌の道に確実に泥沼的にのめり込むしかないことである。
 この侵略戦争の展開はきわだった特徴を浮かび上がらせている。
 一つには、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争が長期化・泥沼化していかざるをえないこと、さらに帝国主義間対立や帝国主義と旧スターリン主義および残存スターリン主義との対立を同時に激化させ、それらの軍事的対立への発展が不可避であることを示し始めている。そして米帝および日帝の中国・朝鮮侵略戦争の新たな前面化は不可避である。
 アフガニスタン人民への皆殺し戦争は、同時にパキスタン侵略戦争でもある。加えて、米帝は、インドネシアのラスカル・ジハードやイスラム防衛者戦線、フィリピンのアブ・サヤフ、マレーシアのムジャヘディン団などを名指しにして軍事攻撃を予告している。イラクへの軍事攻撃をいつ、どのような口実で発動するか虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。戦場の拡大化は明白である。
 他方、米帝は「タリバン後」を画策し、親米かいらい政権のデッチあげを工作している、それをめぐっては、パキスタン、インド、イランを巻き込み、米帝、英帝、ロシア、中国スターリン主義、日帝がそれぞれの国家的利害をかけて、権益をもぎとろうと、強盗同士の争いをくりひろげている。米帝はとりわけ日帝の中央アジアへの介入を阻止しようとしている。それらのことは、この侵略戦争が帝国主義同士のつぶし合い戦であり、帝国主義的勢力圏分割戦であるという本質を隠しようもなく示すものだ。
 そして、米帝は国家をあげた総力戦争体制を構築しようとしている。トマホークの生産を再開し、八百基増産のために九億六千万jの予算案を出した。経済政策に新たに最大七百五十億j(うち六百億jがごく少数の資本家と独占企業を優遇する減税)、それに加えて緊急支出として四百億jの戦費、そして航空運輸業・航空機生産業への五百億jの支援費を出す。それは、没落一途の米帝経済の恐慌対策そのものである。
 さらに、米帝は国内戦時体制づくりを強め、盗聴、傍受、身柄拘束、口座凍結、支援すれば処罰などなどという反テロ法を成立させ、テロ防止戒厳体制をつくり始めた。
 以上のように、米帝はアフガニスタンから中央アジア、中東、東南アジア、東アジア、ヨーロッパ、ロシアを巻き込んだ世界大的戦争に突っ走っている。それは、ほかならぬ基軸帝国主義・米帝が世界戦争の放火者となり、スターリン主義の歴史的崩壊以後の世界支配の秩序の大破綻(はたん)の巻き返しのためになりふり構わず侵略戦争に訴えたという点で過去の第一次世界大戦とも、第二次世界大戦とも決定的に異なる。すなわち、没落期に陥った帝国主義がついに滅亡への道にはまりこみつつあるのである。
 二つには、帝国主義侵略戦争の革命戦争への転化が本質的・基底的につくりだされつつある。タリバンによる反撃というゆがめられた形態をとってアフガニスタン人民の民族解放戦争が燃え上がり始め、国際的なムスリム義勇兵の結集が続々と生み出されている。パキスタンでは連日のように数千、数万人のデモが渦巻いている。その中で、米帝の手先となったハクの拘束・処刑が敢行され、米帝に大打撃を与えている。アルカイダは、全イスラム教徒の総力を結集して反米ゲリラを敢行するという声明を発した。
 パレスチナで数千人が決起し、その中で四人が犠牲となった。PFLP(パレスチナ解放人民戦線)はイスラエルの極右虐殺者ゼービ観光相をせん滅した。エジプトで二万人のデモがくりひろげられ、インドネシアで広範な怒りの行進が繰り返されている。
 米帝社会の中にも八百数十万人のイスラム教徒が存在し、拡大し続けている。
 九・一一反米ゲリラ戦争は、アメリカ社会のあらゆる差別と迫害、搾取と収奪を受けている黒人を始め最底辺に押し込められたアメリカプロレタリアートの怒りと憎しみの発現でもあった。
 米帝内部、英帝内部で、労働者階級の行動が展開されている。ベルリンで中学生・高校生が三千人も決起し、ローマで十万人、ナポリで三万人、パリ、アムステルダム、アテネ、バルセロナで、陸続と侵略戦争阻止の運動が起こっている。
 これらの全世界の反戦運動がひとつに団結することに成功するならば、帝国主義を打倒することができるのである。
 三つには、日帝がアフガニスタン・中央アジア・中東を戦場とする帝国主義侵略戦争に一個の帝国主義軍事大国として参戦することは、戦後かつてなかった事態の出現である。
 それは、日本、ドイツ、イタリアの敗戦という結末をもった第二次世界大戦とそれ以後の世界およびアジアにおいて、まったく新たな歴史一変情勢である。
 小泉は「テロを撲滅する闘いに主体的に参加する」と言明した。このような動きに対して南朝鮮・韓国の五百五十三団体が米政府に突きつけた声明は「日本は、反テロ戦争を支援すると称して軍事活動の範囲をアジア全域へと拡大し、その軍事力増強を加速している。アジアと朝鮮半島の平和を深刻に脅かす日本のこうした動きこそ、危険である。いまだに侵略行為を美化し戦争犯罪者に免罪符を与え続けているこの日本の軍事大国化を防ごう。米国政府もまた、日本の再武装をあおる政策は、アジア民衆の強い抵抗にあわざるをえないことをはっきりと認識すべきである」と宣言している。
 われわれ日本の労働者人民は、アフガニスタン侵略戦争の問題が実は日本問題そのものであることを、もっと重く、もっとせっぱ詰まったものとして認識しなおさなければならない。
 四つには、結論的になるが、世界同時不況は完全に現実となった。アフガニスタン侵略戦争の過程は同時に二九年型世界大恐慌が爆発していく過程となる。
 以上のように、帝国主義戦争かプロレタリア革命か、民族抑圧か反植民地主義・民族自決か、戦争国家化と労働地獄か内乱・ゼネスト・蜂起かが、歴史と階級の最も切迫した問題として現実化しつつある。労働者階級人民が、反帝国主義・反スターリン主義世界革命戦略のもと、弾圧も投獄も恐れず、反革命の襲撃を迎え撃ち、生涯の一切をかけ、命をかけた革命的大衆行動に総決起するときが今や到来したのだ。

 第4章 参戦阻止・小泉改革粉砕・日本帝国主義打倒へ

 第四に訴えたいことは、日帝の文字どおりの侵略戦争政策の展開、それと一体の城内平和づくりと一大資本攻勢という上からの階級戦争を真っ向から打ち砕くために、立ち上がろうということだ。その先陣を切るものこそ学生運動であり、その最大の牽引(けんいん)力こそ「帝国主義を打倒する労働運動」である。
 この闘いの環は一つは反戦闘争だ。
 日帝は、テロ対策特措法・改悪自衛隊法・改悪海上保安庁法の参戦三法をもって自衛隊の本格出兵を強行しようとしている。それはこれまでの自衛隊派兵とはまったく意味と実態を異にする。日帝の安保・防衛政策の戦後史を一変させる大転換である。何よりも、虐殺が行われる戦時に、その戦場に出兵するものなのだ。小泉の「危険なところに行ってもらう」「多少の犠牲はやむをえない」、そして「自衛隊の活動範囲は無限定」、あるいは「自衛隊の活動は臨機応変に」「現場の指揮官の常識に」という発言がそれを激しく示している。
 国会論議では、「武力行使と一体化しない」「戦闘地域と一線を画す」などという答弁がなされたが、全部うそ、ペテン的なすり抜けである。
 しかも、日帝は帝国主義的勢力圏分割戦への参入を世界第二位という巨大な軍事力の投入をもって行うのだ。さしあたって、護衛艦三〜四隻、補給艦二隻、イージス艦、総計千人を派兵する。
 そして来年三月には、インドネシアの東ティモールに陸自六百人を派兵する。さらに、「タリバン後」にアフガニスタンの地にPKO派兵をする方針である。
 つまり、日帝は敗戦帝国主義としての五十数年を経て、ついに自前の帝国主義的国家戦略をもつ国として軍隊を世界の戦場に登場させるのだ。
 それに対して、@自衛隊出兵阻止の佐世保・小牧現地闘争、反戦反軍闘争、A爆弾テロ防止条約批准とその国内関連法である対テロ治安弾圧七法案による新たな戦時戒厳体制づくりを粉砕する国会闘争、B沖縄米軍基地撤去、名護新基地建設粉砕、アフガニスタン出撃基地化粉砕の沖縄闘争、C在日イスラム諸国人民、在日アジア人民への入管法改悪攻撃など排外主義・差別主義との闘い、D広範な共同戦線を労組、地域、大学から大きくつくり出す闘いを全力で闘い抜こう。
 今一つの環は、ついに本格化した大失業攻撃を真っ向から粉砕する闘いだ。
 完全失業率五・三%、完全失業者三百五十七万人、就職をあきらめた失業者を含めると一二〜一三%という情勢は、労働者階級にとって重大な情勢だ。鉱工業生産がすっかり落ち込み、個人消費が減退している。建設業、製造業、卸売・小売業を始めとしてリストラ・首切りが拡大し、電機・IT産業を始めとする大企業が激しいリストラを強行している。常用雇用が減少し、世帯主労働力が次々とリストラの嵐(あらし)を受けている。IT関連は新規求人が消失ともいうべき減少となっている。パートを含めてなりふり構わぬ大削減を強行しているのだ。
 日帝・総資本は、有期雇用契約を拡大し、裁量労働制や派遣労働者制度を強め、リストラ・首切りを強行し、全労働者を不安定雇用労働者にたたき落とそうとしている。それに呼応したJR東日本のニューフロンティア21をその先取り攻撃と位置づけている。
 既成指導部は何ひとつ闘おうとしていない。いやそれどころか、労働者の職場からの怒りの大衆的爆発を徹底的に抑圧している。一方では、連合指導部および日共スターリン主義・全労連指導部が「テロ弾劾・根絶」を掲げて恫喝し、「ワークシェアリングの合意形成を」「゛抗議゜から゛要求゜へ、そして゛参加゜へ」(連合)とか「職場にルールを」「民主的なルールある経済社会を」(日共)などと、労働者階級の反失業闘争や賃闘への決起、資本に対して独立した労働組合の権利と団結の闘いを、思想的・組織的に抑圧している。
 他方では、旧来の社民的・民同的な「平和と民主主義」の運動が内的・骨格的に崩壊してしまっている。
 十一・一一労働者集会は、反戦総決起大会であると同時に、既成労組指導部を敢然とのりこえ、新しい労働運動の潮流を結集する集会である。小泉「聖域なき構造改革」攻撃の最大の攻防軸となっている国鉄決戦を強力に進めよう。リストラ・首切り・賃下げ・団結破壊の攻撃に直面する労働者階級に、労働組合の復権の闘いを示し、国鉄決戦を先頭に、ともに決起して闘うことを訴え組織しよう。
 カクマル黒田・中央派のあらゆるファシスト的手段による妨害と敵対を完全に粉砕せよ。カクマルJR総連派を解体し、労働戦線から一掃しよう。
 最後に、革共同に結集して、反帝・反スターリン主義世界革命の勝利へ、その一環としての日本帝国主義打倒の日本革命の勝利へ、ともに生死をかけて闘うことを訴える。革共同に結集し、社・共に代わる党を建設しよう。

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週刊『前進』(2029号1面2)

12・15獄中同志奪還大集会 革共同が主催、東京で

 革共同は、闘う全人民に呼びかけて「爆取・無期攻撃とたたかう長期獄中同志奪還大集会」を十二月十五日午後一時、東京・目黒区民センターで開催する。集会に結集し、爆取弾圧四同志への超長期勾留粉砕、無期攻撃と闘う星野文昭同志の奪還に向けた大闘争に立ち上がろう。

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週刊『前進』(2029号2面1)

都労連の闘う団結を固め今秋賃闘をストで闘おう 11・11労働者集会に結集し反撃へ

 3年連続の給与引き下げ叫ぶ最悪の人勧

 米日帝のアフガニスタン侵略戦争情勢下で、労働者の権利と団結をめぐる攻防も決戦局面に入った。今年の秋季賃金確定闘争は、こうした中で闘われる。
 人事院は八月八日、国家公務員給与の勧告をした。その内容は次のとおりだ。
 賃金については、民間との較差は三百十三円(〇・〇八%)、率と額で昨年度を上回ったが、昨年に続き俸給表(基本給与)の改定は行わない。ただし、官民給与較差に見合った年額相当額を「暫定一時金」として支給する。また、特別給与(一時金)を〇・〇五カ月引き下げる。これで、一時金は三年続連続で引き下げられ、合計〇・五五カ月、二十一万円前後のダウンとなる。政府は閣議で勧告の完全実施を決定した。
 これを受けて東京都人事委員会は十月四日、都職員の給与勧告を行った。民間との較差は四百二円(〇・〇九%)だが、昨年に引き続き俸給表の改定は行わない。また、「平均給与月額の千分の一をも下回るわずかな額なので、公民の給与はおおむね均衡している」として「暫定一時金」の支払いも拒み、国とは際立った違いを見せた。
 これに対して二十三特別区人事委員会は、公民較差四百二十五円(〇・一〇%)を「暫定一時金」として支給せよと、五千百円相当の支払いを勧告した。
 特別給与(一時金)は東京都、特別区ともに人事院勧告と同様、〇・〇五カ月引き下げる。さらに東京都の職員に関しては、二年間にわたり賃金を一律四%カットするという「臨時的時限的措置」により、さらに月額平均一万四千七百五十八円、二年間で三十五万四千百九十二円の賃金カットになっている。
 国や特別区と比較しても東京都の職員の賃金は格段に低く抑えられている。暫定一時金の支払いを否定した人事委員会勧告に、石原知事は「公民較差の取り扱いが国と異なる独自の判断に基づいている点で、特色のある勧告となった」と満足のコメントを表明した。
 これに対して都労連は、「勧告は史上最低の公民較差、しかも暫定一時金としても支給せず、特別給は三年連続マイナスで、年間総収入もマイナスになるきわめて不満の勧告」とした上で、「人事委員会はその責任を放棄したと見なさざるをえない」と、異例ともいえる都人事委員会批判の声明を出した。
 石原都知事が強行する「臨時的時限的措置」は、労働基本権はく奪の代償として成立した人勧制度そのものを崩壊させている。特別区の賃金確定制度も揺らいでいる。昨年、中野区を始め三区が東京都と同様に「臨時的時限的措置」の賃金カットを打ち出した。これは、特別区長と特区連(二十三区職労)との統一交渉を一方的に破るもので、今年も拡大する気配があり、そうなれば特別区の賃金決定交渉が崩壊する。

 賃金カットの延長を策す石原との激突へ

 二〇〇一年秋季賃金確定闘争の最大の焦点は、石原による賃金決定プロセスの破壊策動に対して、都労連・都庁職が敢然と拒否して闘えるのかどうかである。石原知事は、「臨時的時限的措置は二年」とした労使合意を破棄し、さらに延長する意向だ。それも六%に拡大したいと言う。
 しかしこの合意は、都労連の第二波二時間ストライキ中止と引き換えに妥結したものであり、破棄するのであれば再びストによる全面激突以外にあり得ない。
 この点で、都労連・都庁職の組合指導部にも、この二年間で何を総括し、いかに闘いの陣形を組織してきたのかが問われている。今秋賃闘には、都労連の存続か解体かを問う決戦性がはらまれているのだ。

 団結破壊狙う新人事管理

 秋季賃金確定闘争の今ひとつの焦点は、政府が六月に出した「公務員制度改革の基本設計」に基づき、人事委員会が新人事管理制度について勧告したことだ。
 その内容は、第一に、能力・業績主義の推進だ。年功部分の圧縮を狙い、総合給型賃金表の構造見直し、昇格昇給など給与制度全般の再構築、評価システムの充実などを挙げているが、具体的な攻防点は一般職員の勤勉手当への成績率の導入だ。従来、労使交渉事項であったことを無視し、一方的に踏み込んできた。
 第二に、複線型人事体系の構築として、主任、係長、管理職の選考基準を変え、選抜試験の全面見直しを図るとしている。従来のジェネラリスト育成に加え、各行政分野での政策形成能力を育成し重用する。任用試験をとおして、中間管理職のスリム化を図る。その一環として、教育委員会は教育職への主幹制度導入を狙っている。
 第三に、「柔軟で機動的な人材登用・人材活用」と称する安価で不安定な雇用形態への移行だ。具体的には、五十五歳定期昇給停止と再任用制度・再雇用制度の基準の厳格化である。
 再任用は一般職とし、選考は能力の実証(推薦と試験)を求める。全員採用ではない。「職」は退職時の局内での配置となる。その場合、現職ポストは増設しない(実質ポスト減)。短時間勤務職員は主任以下とし、原則として退職時における部から異動配置。定数管理はフルタイムは定数、三十二時間以内の常勤職員は定数〇・八換算とする。
 再任されたければ当局に従え、ということだ。年金支給年齢を六十五歳まで上げておいて、同じ職を低賃金で雇うということであり、定数管理で人員も抑えるという二重の仕組みだ。

 戦争体制の完成図る公務員制度改革阻め

 経済財政諮問会議は、構造改革の七つのプログラムの一つとして「個性ある地方の競争」を押し出した。また「公務員制度改革の基本設計」は、冒頭で「新しい政府で働く者は新しい公務員でなくてはならない」と、国鉄分割・民営化型の「血の入れ替え」をうたっている。さらに、十二月には「公務員制度改革大綱」を策定し、地方交付税の削減、国庫補助負担金の削減をちらつかせて政府主導で市町村合併を推し進め、戦後地方自治の根幹を破壊しようとしている。
 戦争国家化を急ぐ小泉政権にとって、国家行政機関の中に団結権を持った労働組合が存在することは、看過できない問題だ。特に教員と行政職公務員を戦争遂行の先兵としなければ戦争体制は完成しない。戦後、労働者階級の掌中にあったこの「聖域」を解体し、国家権力の末端機構にすることに公務員制度改革の狙いがある。
 そのために、@能力主義・業績主義で競争をあおって終身雇用・年功序列賃金を解体し、A信賞必罰の人事制度・抜てき・降格制度で屈服を強い、B総額人件費抑制、行革リストラで賃金と労働条件を切り下げ、C公務員の団結権や労働組合を解体・一掃して、国家に恭順を誓わせようとしているのだ。政府はけっして労働基本権を付与する、との言質を与えない。
 五百万公務員労働者をめぐる決戦が開始された。小泉「公務員改革」を粉砕しよう。十一・七現業統一闘争に決起しよう。

 戦争情勢下のストライキへ

 一昨年の石原都知事の「基本給四%カット」方針は、直ちに全国の自治体に波及した。しかし都労連は実力ストでこれに立ち向かい、ぎりぎりのところで団結を守り抜いた。今再び石原は、小泉構造改革と呼応して一層過酷な団結破壊にのりだしている。また国鉄闘争の中心的支援勢力である全労協、都労連、都職労など東京都の組合再編が始まった。これを左転回させるか、連合とともに翼賛組合に転落するか。決戦の時が到来した。
 戦後公務員賃金闘争は、国鉄闘争、勤評闘争、マル生闘争や反戦平和闘争と結びついた時、根底的な決起を実現した。米帝のアフガニスタン侵略戦争情勢下で、都労連は十一月十六日前後にストライキを配置する。全国公務員賃闘の天王山=都労連の秋季確定闘争をストライキで闘おう。
 十一・一一労働者集会の成功は、都労連の総決起に決定的に波及する。決戦の渦中でこそ総結集しよう。
 〔マル青労同自治体労働者委員会〕

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週刊『前進』(2029号2面2)

小泉「構造改革」の中心攻撃 特殊法人廃止・民営化を阻め

全労働者と団結して闘おう

 国鉄分割・民営型攻撃許すな

 十月五日、石原伸晃行政改革担当相は、特殊法人等改革推進本部(本部長・小泉首相)に、行政改革推進事務局がまとめた特殊法人・認可法人の組織見直し案を提出した。「廃止の方向で検討」が簡易保険福祉事業団、年金資金運用基金の二法人で、「他法人との統合を含め廃止の方向で検討、廃止を含め引き続き検討」が石油公団、日本育英会など十五法人、「民営化・民間法人化の方向で検討」は日本道路公団など道路四公団、都市基盤整備公団、住宅金融公庫など十五法人である。
 小泉が「廃止・民営化を前提にゼロベースからの見直し」を指示したにもかかわらず、対象の百六十三法人(特殊法人七十七、認可法人八十六)のうち五十四法人が「引き続き検討する」と先送りされたため、小泉は「面従腹背の面も多い。ますます抵抗が激しくなっているが、これは断固としてやらなくてはならない」と、より徹底した攻撃に踏み込もうとしている。十二月の特殊法人「整理合理化計画」の策定に向けて重大な局面を迎えたのだ。
 産経新聞社の『正論』十月号の石原行革担当相と加藤寛千葉商科大学学長(元国鉄再建監理委員会委員長代理)の対談で、石原は中曽根康弘から「特殊法人が秋の戦場の先端であり、斬り込み隊長として砲火を浴びよ。政局の焦点を作れ」との激励文をもらったと語っている。特殊法人改革は、小泉「聖域なき構造改革」の突破口として位置づけられているのだ。
 もともと国鉄分割・民営化時の臨調行革撃以来、国鉄の次は道路公団などの特殊法人がターゲットだと言われてきた。いよいよ国鉄分割・民営化型の大攻撃が始まったのだ。
 経済財政諮問会議が六月に策定した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」では、「七つの改革プログラム」のトップに「民営化・規制改革プログラム」を挙げている。「『民間でできることは、できるだけ民間に委(ゆだ)ねる』という原則の下に、国民の利益の観点に立って、特殊法人等の見直し、民営化を強力に推進し、特殊法人等向け補助金等を削減する。郵政事業の民営化問題を含めた具体的な検討、公的金融機能の抜本見直しなどにより、民間金融機関をはじめとする民間部門の活動の場と収益機会を拡大する」として、郵政民営化とセットで特殊法人改革を位置づけている。
 「国民の利益」を押し出しているが、実は公共住宅や住宅金融、奨学金など労働者人民の生活(特に低所得者の)にかかわる部門を民営化し、銀行・大企業に利潤追求の場として差し出そうというものなのだ。そして何よりも、そこで働く労働者の首を切り、労働組合を解体する攻撃である。
 特殊法人で働く労働者で組織された労働組合は、現在は連合系の政労連が約三万人、全労連系の特殊法人労連が約一万人である。総評時代は政労協として官公労の一翼を担った産別である。この労働運動を破壊し、関連法人の労働者、家族を含めて百万人の生活を直撃する攻撃なのだ。郵政民営化による全逓労働運動解体、公務員制度改革による公務員労働運動解体の攻撃と一体の攻撃である。

 政官財癒着は解体できない

 小泉は「天下り」「汚職」などの政官財癒着の腐敗に対する労働者人民の怒りにこたえるかのようなポーズをとっている。また、官はすべて無駄で非効率であり、民間ならすべてうまくいくかのようなキャンペーンを張っている。だが、これらはまったくのペテンであり、怒りをもって粉砕しなければならない。
 まず、特殊法人を廃止・民営化する場合に、百兆円とも言われる公的部門の不良債権の問題がある。特殊法人は、国の補助金などとともに、郵便貯金資金などからの財政投融資で運営されてきた。膨大な債務が過剰化(郵貯資金などが不良債権化)しているのだ。
 小泉らは、郵貯を解体することで特殊法人などへの融資の構造を解体すると言って、郵政民営化と特殊法人改革を一体のものとして位置づけているが、不良債権問題の解決策などありはしない。二十八兆円もの国鉄長期債務が結局「国民負担」とされたように、新たに膨大な「国民負担」となり、それが大増税となって労働者人民に犠牲転嫁されるのだ。
 しかも、それで民営化してうまくいくのか。JRでは三島・貨物会社の経営は破綻(はたん)的である。完全民営化が決まった本州三社とともに三島・貨物会社も特殊法人改革の対象であるが、完全民営化のメドはまったく立っていない。
 その上、整備新幹線建設が膨大な税金を投入して行われ、新たな利権の場となっている。
 また、官僚の「天下り」は、特殊法人をやり玉に挙げているが、他の民間企業にも行われている。公務員制度改革においては、これらは人事院の承認が必要だったのを改め、各省庁の大臣の承認にするとされている。これでは天下りの禁止にならないばかりか、政官財の癒着と利権構造を一層強めるものでしかない。

 労働者に犠牲転嫁絶対反対

 特殊法人とはもともと国が政策的必要性に基づいて法律により設立した法人であり、本来、国がやるべき事業の現業部門である。
 前出の『正論』の対談で加藤は、「とにかく政府が何かをやるということがよくない。これをまずやめて、政府がやるべきことはこれしかないんだというところまで行かなきゃだめ」とうそぶいているが、まったくとんでもないことだ。
 政府の公共政策とは、資本主義・帝国主義の危機のもとでプロレタリア革命に対する予防反革命的な労働者支配のために行われてきた国家独占資本主義的政策だ。赤字でもやらなければならない政策だから税金を投入してやってきたのだ。それをすべて廃止・民営化するということは、むき出しの搾取・収奪による労働者への攻撃と侵略戦争をやれる国家に転換するということなのだ。労働者階級は、そうしなければ延命できない帝国主義の国家こそ滅びるべきだという立場で闘わなければならない。
 現在の特殊法人の中には労働者階級にとって必要でないものもある(例えば日本政策投資銀行など)。だが、日本共産党のように「大企業の肩代わりか、支援のための法人は廃止」「公共事業の無駄を増長する法人は見直し」などとしてしまっては、特殊法人改革攻撃と闘うことはできない。大企業奉仕や無駄な事業ということは、そこに働く労働者には一切責任はない。労働者に犠牲転嫁する改革には絶対に反対しなければならない。首切りや賃下げ、権利のはく奪、労働組合破壊と徹底的に闘う立場が必要なのだ。
 その上で、その特殊法人が廃止・民営化されることによって犠牲を被る人びと、例えば公団住宅の居住者や奨学金の受給者など、広範な労働者人民との共同戦線を築いて闘うことが重要なのである。
 前号2面の特殊法人労働者の投稿をふまえ、全逓労働者を始め、すべての労働者と団結し、小泉「聖域なき構造改革」粉砕へ最先端で闘おう。十一・一一労働者集会に大結集しよう。

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週刊『前進』(2029号2面3)

ルポ 倒産と対決する港合同

不当労働行為を追及しぬく 労働者魂と執念で争議闘う

 失業率は五・三%に達し、倒産攻撃もすさまじい勢いで進んでいる。だが、倒産とは、労働者にとってあらがいえない現実、受け入れるしかないものなのだろうか。ひるむことなく敢然と反撃に立てば、倒産という資本の最後の攻撃は必ず弱点を露呈する。それを実践によって示しているのが全国金属機械労働組合・港合同の闘いだ。港合同は、田中機械支部にかけられた自己破産攻撃を打ち破った経験を生かしつつ、労働者の団結と権利を守るために闘い続けている。倒産攻撃に港合同はいかに立ち向かっているのか、その闘いをレポートする。(本紙・長沢典久)

 労働協約により直ちに工場占拠

 港合同は今、六支部が倒産攻撃との熾烈(しれつ)な闘いを貫いている。その一つが寿鋼管支部の闘いだ。
 大阪市大正区鶴町。大阪湾に臨む一帯には、電炉製鉄や鋼材加工の工場、鋼材倉庫が並ぶ。九九年四月、鋼管販売業を営む寿鋼管は糀谷(こうじだに)鋼管から手形の書き換えを拒否され、商品供給も打ち切られて倒産した。糀谷鋼管は住金物産の子会社で、寿鋼管に対しては実質的な親会社の位置にある。寿鋼管の倒産後、糀谷鋼管は同じ住金系列の平成鋼管に吸収合併された。住友資本は、対組合攻撃に軸を置いて、系列企業の再編を図ったのだ。
 寿鋼管支部は、工場使用占有協定に基づき、直ちに職場占拠を開始した。
 港合同のT執行委員は、「工場占拠・職場占拠は倒産攻撃に対する労働組合の避けて通れない戦術だ」と断言する。そして、「工場占拠を合法化する論理を常に考えておかなければならない。そのための労働協約を先行的に取っておく。労働債権があればその見返りに工場の譲渡協定を取る。きちんと闘えば使用占有協定なら取れる」と言う。労働債権を拡大するために退職金の倍増協定を結ぶことも有効だ、とも指摘する。
 港合同は、日常的活動の中でも「労働条件の変更は組合の同意がなければ行わない」という事前同意約款を取り付けることを重視してきた。倒産に対しては、事前にどのような協定をかちとっていたかが重要なポイントになるのである。
 今日の倒産攻撃は、会社もろとも確実に労働運動の拠点をつぶすという色合いを濃くしている。にもかかわらず、事実上の占有に対して資本の対応は必ずしも強くはない。かつて、田中機械支部に対する自己破産攻撃の中で、資本と司法権力は、明け渡しの仮処分申請と強制執行という暴力的手段に訴えることを辞さなかった。しかし、それを打ち砕いた港合同の闘いは、今日も資本の手をしばっている。「工場占有の労使協定があれば、相手もそれを認めざるをえないのが現実だ」とT執行委員は語る。
 労働組合が存在する以上、不当労働行為でない倒産攻撃などありえない。倒産攻撃に対しては団結権を対置する。不当労働行為の徹底追及こそ敵の最大の弱点を突く闘いだ――これが港合同の基本認識だ。
 なぜ倒産したのか、どのように倒産したのか。そこを徹底的に追及すれば、必ず組合敵視−不当労働行為の契機が現れる。どんな経営者であれ、組合にすべてを明らかにして倒産することはない。

 団結権を根拠に破産法つき破る

 Tさんは、「労働委員会への申し立ては、単なる戦術ではない。破産法の枠内での処理を許すのか、団結権を根拠に闘うのかの分かれ道だ」と言う。綿密な証拠を積み重ね、倒産攻撃にはらまれた組合つぶしの意図を地労委で暴くことは、破産手続きへの強力な反撃の武器になる。それはまた、倒産下での組合の団結を維持するための重要な闘いなのである。
 中小民間での倒産争議では、親会社、上部資本、関連会社、取引先、経営者個人などの不当労働行為を追及しなければ攻撃の根源には迫れない。いわゆる「使用者概念拡大」の闘いだ。
 寿鋼管の倒産攻撃に対して、港合同は大阪地労委で、住金物産と糀谷鋼管が寿鋼管への全面的な支配力を有し、その力をもって寿鋼管支部をつぶそうとたくらんできたことをつぶさに明らかにした。寿鋼管の倒産後、住金物産は糀谷鋼管に五億円の資金を投入した。「寿鋼管を切らなければ糀谷鋼管がつぶれる。倒産はやむを得なかった」と住金物産は居直るが、独占支配下の企業の経営危機とは、単なる不況の反映ではない。独占は、組合つぶしのために傘下企業を干上がらせることも平然とする。こうした事実を暴ききることが、独占に対する闘いの重要なポイントになる。
 地労委の場では「倒産は不当労働行為」という一般論を繰り返すだけでは通用しない。そう言いきれるだけの、資本の組合敵視の端的な証拠、少なくとも全体の状況証拠からして組合攻撃だと言えるような何かをつかまなければならない。
 そのためには、文字どおり地をはうような調査活動と、資本に対する事実糾明の闘いが必要だ。逃亡した社長の行方を掌握するために張り込みもする。閉鎖・逃亡後に資本が残した文書を逐一調査・分析して、不当労働行為の証拠をあぶりだす。会社が出すゴミも重要な情報源になる。港合同は、そうした情報収集にも精力を傾ける。こうして相手の弱点を見出すことが、つぼを押さえた争議を展開するための不可欠の条件になるのである。
 労働委員会闘争は、労組の執念と迫力こそが勝敗を決する。かつては、破産申し立てに対して裁判所も地労委で係争中という事実に配慮した。地労委の側からも裁判所に注文をつけた。だが、今は裁判所は地労委とは基本的に無関係に破産宣告を出す。地労委が、「破産は取引上の理由で不当労働行為ではない」「仮に不当労働行為であっても、原職復帰の可能性はもうないから、救済命令を出す必要がない」という姿勢を取ることもある。
 「使用者概念の拡大に地労委が強い抵抗を示すようになってきた」とTさんは語る。大熊鉄工支部への倒産攻撃の場合でも、住友銀行を不当労働行為の当事者として追加すると、地労委は「雇用関係にない住友銀行にどういう使用者性があるのか、その根拠は何か。文書で書け。これは労働委員会からの求釈明だ」としつこく迫ってきたという。
 「それは新民事訴訟法の物まねだ」とTさんは弾劾する。「当事者性があるかないかは審問の中で立証されるべき問題で、最初から当事者性の有無を明確に判断するというやり方は間違いだ。絶対に書かないという立場で押し切る」。これが港合同の闘い方だ。
 そこには、「地労委を闘争戦術として利用しながら、地労委に依拠するのではなく、地労委で暴露したことを利用して資本を攻める」という港合同の考え方が貫かれている。そうした形で地労委を活用しぬくためにも、地労委の後退・反動化とは実力で対決する必要があるということだ。
 その立場からも、港合同は国労の四党合意受諾を「労組が自らかちとった労委命令を否定するもの」と厳しく弾劾し、四党合意撤回の地労委闘争を自らの闘いとして闘っている。

 労組否定の短期倒産処理許さず

 昨年四月に民事再生法が施行され、資本と司法権力は短期処理型の倒産手続きへと舵(かじ)を切った。
 破産法を貫くものは、「管財人が管理するから組合は出て行け」「売却するから明け渡せ」「労働債権があれば認めるが、財源がなかったら配当できない」という管理・換価・配当の原理である。労組を徹底して排除し否定するそれらの論理を盾にして、超短期間で倒産処理を終えてしまうというのが今日の攻撃だ。
 これに対して、工場占拠と不当労働行為の徹底追及を軸としつつ、破産手続きの中でも徹底抗戦を貫かなければならない。資産隠しなどの詐害行為を暴露・追及し、営業廃止決議には「倒産そのものが不当労働行為だ。労働委員会で係争中だ」と立ち向かう。債権認否に対しては「労働委員会で係争中であり、未払い賃金・退職金は不確定だ」と阻む手立てもある。
 Tさんは「攻撃のパターンは千差万別。そこでは労働者魂と戦術の真価が問われる。倒産争議には人生をかけて食らいつく執念が必要だ」と言う。
 この気概に学び、団結を固めて戦争と大失業の時代を闘おう。港合同など三組合の呼びかける十一日の労働者集会に結集しよう。

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週刊『前進』(2029号2面4)

“闘う闘争団に力を” 熱気あふれ団結まつり

 十月二十八日、東京・亀戸中央公園で十五回目となる団結まつりが一万人を超える参加で開催された(写真)。「許すな! 首切り自由社会・改憲を、守ろう! 平和・人権・環境を」をスローガンに、国鉄闘争やアフガニスタン侵略戦争反対を闘う熱気があふれた。国労闘争団やJR組合員、争議組合、市民団体などの百十を超える模擬店でにぎわった。
 国鉄闘争支援中央共闘会議の二瓶正勝事務局長が実行委員会を代表して「四党合意は破綻した。国労の歴史と伝統を守り闘う方針への転換を求める」と訴えた。闘う闘争団からは内田泰博共同代表が「国労闘争団は永遠に不滅だ。敵より一日長く、納得いく解決まで闘う」と決意表明し、原田亘共同代表は「数を、力を下さい。私たちは闘い続けるから、勝利を下さい。その延長線に民主主義と平和をかちとろう」と熱烈に訴えた。

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週刊『前進』(2029号3面1)

参戦3法の1つ 海上保安庁法改悪に賛成した日本共産党
 日帝の侵略戦争に協力表明

 日本共産党は、十月二十九日に成立が強行された参戦三法(テロ対策特措法、自衛隊法改悪、海上保安庁法改悪)の一つ、海上保安庁法改悪にもろ手を挙げて賛成した。米帝のアフガニスタン侵略戦争が拡大の一途をたどる中で、日共は公然と戦争協力を宣言したのだ。徹底弾劾しなければならない。「テロ根絶」を叫んで労働者階級と被抑圧民族の反戦闘争に敵対する日共スターリン主義を許すな。

 無制限の武力行使合法化

 日本共産党は衆参両院の委員会・本会議ともに海上保安庁法改悪に賛成票を投じ、二十九日の参院可決・成立の先兵となった。
 まず、海上保安庁法改悪の中身を見てみよう。
 「領域警備のための武器使用の緩和」として、海保法第二〇条に新たな項を追加し、これまでは゛正当防衛や緊急避難でなければ船の乗員に危害を与えられない゜と規定していたものを、四条件を満たせば船体と乗員に危害を与える「危害射撃」を認めるとした。
 四条件とは、@無害通航でない航行を行っていると認められる、A放置すれば将来も繰り返し行われる蓋然(がいぜん)性がある、B重大凶悪犯罪の準備のために行われている疑いがある、C適切な措置を尽くさなければ将来の重大凶悪犯罪の発生を防止できないと認められる、というものである。こんなでたらめ極まりない恣意(しい)的判断にもとづいて「危害射撃」を強行するというのである(海上保安庁法改悪とセットで自衛隊法も改悪され、海上自衛隊の武器使用も緩和された)。
 日帝にはすでに「領域警備」の名目で武力攻撃を行った前歴がある。九九年三月二十四日、「不審船が日本海に侵入した」として、日本海から公海上に移動した二隻の船に対して、海上保安庁が千二百発の威嚇射撃を行い、さらに戦後初めて「海上警備行動」を発令、海上自衛隊が二十五回の警告射撃と十二発もの百五十`爆弾を投下した。海自が護衛艦四隻、P3C対潜哨戒機六機、海保が巡視船九隻、航空機二機を出動させ、陸海空三軍の総動員態勢に入った。
 しかしこの時は、法的には危害射撃は認められていなかった。それが今回の改悪で、船体も人体も射撃していい、船を沈めようと乗員を殺そうとかまわないという、無制限の武力行使が合法化されたのだ。人民を殺傷する文字どおりの戦争行為を海上保安庁が担うという、とてつもないエスカレーションである。

 「危害射撃は必要」と公言

 日共は海保法改悪に賛成したことについてなんと言っているのか。十月十八日付『赤旗』に「海上保安庁法改正案/主権侵害に対抗する警察力の強化は必要」という国益主義と排外主義に満ちた見解を載せた。
 まず第一に、「人に危害を与える危害射撃が必要」と公言してはばからない。「日本共産党は、『不審船』に対する立ち入り検査などは必要なものであり、停船命令に従わずに逃亡する場合には、危害射撃によって逃亡を阻止することが必要との立場から、今回の法改正に賛成したものです」と言うのである。
 現実にあてはめて考えれば、その主張の反革命性はますます明らかである。日帝の言う「不審船」「領海侵犯」行為とは、アジアやイスラム諸国からやってくる難民、実力渡航するアジア人労働者、また日帝の釣魚台(「尖閣列島」)略奪を弾劾する中国や台湾の人民が釣魚台に接近したり上陸することを指す言葉である。こうした難民やアジア人労働者、日帝の領土略奪と闘う人びとに対して、海保庁が「危害射撃」を行い殺傷することに賛成したのである。
 これは、九・一一以降、日共が絶叫している「テロ根絶」論とも完全に通じる問題である。日共にとって、帝国主義の支配秩序を突き破って闘う人民はすべて、自らのスターリン主義としての存立を揺るがす存在であり、「根絶」=抹殺の対象なのである。
 日共は帝国主義と一緒になって国益主義と排外主義を扇動し、かつ国際スターリン主義の被抑圧民族への歴史的な反革命的裏切りを開き直り、他民族人民の殺傷を公然と支持しているのである。

 海保はれっきとした軍隊

 第二に、「自衛隊ではなく海上保安庁なら賛成」という主張である。日共は「『不審船』などによる領海侵犯などがあった場合、軍隊である自衛隊ではなく、第一義的には警察力で主権の侵害を守るというのが、日本共産党の考えです。その海上保安庁の能力に問題があれば、きちんとした機能強化が求められます。たとえば、……巡視船の高速化、大型化が必要です」と言っている(前掲『赤旗』)。
 「海上保安庁は警察力だからOK」と言うが、海保庁でも自衛隊でも、アジア人民に銃を向けることになんら変わりはない。しかも海保庁とは、イギリスの軍事情報誌『ジェーン年鑑』が準軍隊として扱っているように、国際的には軍隊そのものである。海保庁は世界最大の巡視船「しきしま」を筆頭に、百二十三隻の巡視船、二百三十四隻の巡視艇、二十九機の航空機などを保有している。とりわけ巡視船はいずれも、海上自衛隊の駆逐艦と同じ四〇_単装機銃、二〇_多銃身機銃などの巨大な機関砲を複数装備した、まぎれもない軍艦である。
 海保庁はすでに十月三十一日にマニラ湾沖で武装訓練を行った。十二月にも再度巡視船を派遣することを決定している。「海賊対策」を掲げつつ、実際には「イスラム過激派のテロ犯罪を抑止するため」の「警戒・哨戒活動」=実戦を行っているのだ。自衛隊のインド洋―アフガニスタン派兵と一体の海外出兵、侵略戦争参戦行動である。海保庁が公然と戦争行動に踏み込もうとしている時に、日共は「海上保安庁は警察力だ」と言って、無制限の武力行使を認めたのである。
 わざわざ「第一義的には警察力で主権の侵害を守る」としていることも重大である。「第一義的」には警察力を発動するが、それでおさまらない場合は自衛隊を出動させるべき、というのが日共の本音なのだ。
 今日の日共は「有事の際の自衛隊活用」論に行き着いている。昨年十一月の第二二回大会決議では「憲法九条は、国家の自衛権を否定してはいない」「急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する」とした。
 しかし「日本の主権」とはいったい何か。ひと握りの資本家階級の利害を「国益」のベールで覆い隠し、あたかも労働者も含めた利害であるかのように描いて労働者人民を動員するための、帝国主義の虚偽のイデオロギーである。労働者にとって帝国主義国・日本の「主権」とは、守るべきものでもなんでもなく、断固粉砕すべきものである。
 この階級的立場に全力を挙げて敵対しているのが日共である。自衛隊が日帝支配階級の利益のための軍隊であり、自衛隊が行う戦争はすべて帝国主義戦争であり侵略戦争であることを覆い隠して、第三次世界大戦情勢に突入しつつある時に、日帝と自衛隊を擁護し全面賛美する立場を全面化させたのである。
 被抑圧民族の民族解放の闘いに敵対し、労働者階級人民を帝国主義支配のくびきのもとに組み伏せることを狙う日共スターリン主義を、今こそ労働者人民の決起で打倒しよう。

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週刊『前進』(2029号3面2)

年末一時金カンパアピール
世界革命の勝利へ闘う革共同に絶大な支援を
 革命的共産主義者同盟

 すべての同志の皆さん。支持者、『前進』読者の皆さん。革共同は年末一時金カンパ闘争への総決起と、革共同への圧倒的なカンパの集中を熱烈に訴えます。

 アフガン侵略阻止反戦闘争のために

 訴えたい第一の点は、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を絶対に阻止するために、カンパをお願いしたいということです。
 アメリカ帝国主義は十月七日、ついにアフガニスタン侵略戦争に突入しました。今現在も、アフガニスタン人民に対する大殺戮(さつりく)を行っています。日帝・小泉政権は直ちに米帝への支持を表明し、各国帝国主義と先を争って参戦しようとしています。自衛隊の大々的な出兵と戦闘行動を強行し、それをテコに戦争国家化、有事立法・改憲への道を一気に進もうとしています。
 九・一一反米ゲリラ戦への「報復」を口実にしたこの戦争は、まぎれもなく帝国主義による新たな勢力圏分割=石油・天然ガス資源争奪をめぐる強盗戦争です。ロシア、中国スターリン主義などをも巻き込んだ恐るべき世界的大戦争に発展することは明白です。九・一一―十・七をもって、第三次世界大戦が独特の形で始まったのです。
 革共同は、この帝国主義によるアフガニスタン侵略戦争に断固反対し、日本と世界の労働者階級人民に国際的反戦闘争に立ち上がることを訴え、その先頭で闘っています。これからも革命的祖国敗北主義の立場に立って、闘うイスラム諸国人民と連帯し、自国政府の戦争参加を阻止するために全力を挙げて闘う決意です。全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の団結した力で、帝国主義の侵略戦争を国際的内乱―世界革命に転化するために猛然と決起します。
 戦争に反対するすべての人びととスクラムを組んで闘うために、宣伝・扇動の闘いの圧倒的な飛躍が求められています。そのためには巨大な資金が必要です。ぜひとも皆さんの絶大な協力をお願いします。

 階級的労働運動の大飛躍かちとろう

 訴えたい第二の点は、この情勢の中で労働運動が重大な試練と大飛躍の時を迎えているということです。
 そもそも、米帝ブッシュのアフガニスタン侵略戦争への踏み切りの背後には、アメリカ経済のバブル崩壊による世界大恐慌の始まりがあります。第二次大戦後五十数年にして資本主義経済は最後的に行き詰まり、帝国主義の基本矛盾が全面的に爆発する時代に突入したのです。米帝ブッシュ政権は世界大恐慌の到来におびえ、侵略戦争に訴えて危機をのりきる路線にかじを切ったのです。
 他方、日帝・小泉政権は、米帝との争闘戦に追い詰められ、起死回生をかけて「聖域なき構造改革」攻撃を強めています。小泉「構造改革」は、金融資本の救済のために一切の犠牲を労働者人民に押しつけるもので、その内実は戦争国家化と一大資本攻勢です。「規制緩和、競争原理」の名のもとに、倒産・リストラ、首切りと低賃金、不安定雇用化のあらしが吹き荒れています。九月の失業率は過去最悪の五・三%にまで達しました。郵政民営化、特殊法人の廃止・民営化、「公務員改革」−大量人員削減、中小民間の倒産攻撃など、国鉄分割・民営化型の攻撃が激化しています。戦後社会保障制度の解体、労働組合・労働運動つぶしの激しい攻撃が吹き荒れています。
 ところが、許し難いことに連合はこの小泉「構造改革」にもろ手を挙げて賛成し、早々と二〇〇二年春闘での「統一要求の放棄」を宣言しました。十月の日経連との会談では「生産性向上、コスト削減など経営基盤強化に協力する」と裏切りを表明しました。小泉「構造改革」攻撃は連合や全労連の既成指導部の裏切りによって強行されているのです。
 労働者階級の怒りは堪えがたいまでに高まっています。国鉄闘争を先頭に、階級的労働運動の反転攻勢が始まっています。革共同は、国鉄闘争と連帯し、〈闘う労働運動の新たな潮流〉運動の大発展へ全力で闘います。ぜひとも圧倒的なカンパをお願いします。
 第三に訴えたいことは、この世界史的激動の中で、真に勝利する労働者党、強大な革命党をともに闘いとろうということです。
 革共同は第六回全国大会を今年前半期に開催し、世界史がついに「戦争と革命の時代」に突入したことを明らかにし、二十一世紀のできるだけ早い時期に反帝・反スターリン主義世界革命―日本革命の勝利を達成することを宣言しました。反革命カクマルとの四十年に及ぶ死闘に基本的に勝利し、日本階級闘争が全面的発展の時代を迎えたことをがっちりと確認しました。
 九・一一―十・七情勢こそ、革共同の分析と路線の正しさ、その勝利性・現実性を示すものであり、同時に私たちを厳しい試練にかけるものです。私たちはこの「勝利にむかっての試練」に真っ向から立ち向かい、命がけの飛躍をかちとる決意です。ファシスト・カクマルを最後的に打倒し、社民党や日本共産党に代わる真の労働者党を建設し、日本革命の全課題を発展させるために、死力をつくして闘う決意です。
 参戦三法の国会審議で明らかなように、既成野党はおしなべて戦争翼賛勢力に転落しました。とりわけ日本共産党は声高に「テロ糾弾」を叫びたて、被抑圧民族の民族自決・民族解放の闘いに全面的に敵対しています。カクマルは、権力の中核派破壊の手先になっています。絶対に許せません。
 革共同こそが、帝国主義による侵略戦争を断罪し、労働者階級とともに先頭で闘っている唯一の労働者党です。ぜひとも革共同の飛躍と強化のためにカンパを寄せてくださるよう心から訴えます。

 財政力の強化こそ勝利の絶対的土台

 最後に訴えます。あと一週間、十一・一一労働者集会の成功のために一切の活動を集中しよう。年末一時金カンパ闘争の勝利の核心は、この集会の大結集にかかっています。
 革共同が、さらに飛躍し勝利するためには、活動と闘いの基礎となる財政が絶対的な土台です。財政力の強弱で闘いの規模が決せられます。
 米・日帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止し、プロレタリア世界革命を実現するために、ぜひとも絶大な支援を寄せて下さい。

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週刊『前進』(2029号3面3)

全逓115臨中を弾劾する
郵政事業庁の首切り計画を丸のみした本部を打倒せよ

 全国の全逓組合員の皆さんに訴える。十月六日に開催された第一一五回臨時中央委員会において、中央本部は決定的な裏切り方針を決定した。九・一一反米ゲリラを口汚く非難し、小泉の郵政民営化の手先となり、一万四千人から数万人の組合員の首切りを郵政事業庁と一体となって行うことを決定したのだ。歯止めなく屈服し、腐敗し続ける中央本部を引きずり降ろし、職場組合員の力で中央本部をつくり変えなければならない。十六万組合員の共同闘争として全逓改革の闘いを熱烈に訴える。

 本務者削減する新集配システム

 中央本部は全国大会において、「郵便新生ビジョン」の具体的方針を決定することに失敗した。その痛手を取り戻すべく、事業庁とのすり合わせに全力を挙げ、三月末提示の一万三千人減員よりもさらに反労働者的な大量の人員削減を柱とした具体的施策をつくり上げ、その中身を事業庁より九月末提示として出させた。この内容たるや、三月末提示の「要員算出基準の見直し」のうち、外務で四千百九十二人の減員案を「取りまとめ中」として一時棚上げにした上で、まったく新たな減員計画である「普通局新集配システムの導入」を押し込んできた。
 この計画は、集配課において四〜五割の本務者を減員し、非常勤労働者に置き換えるものだ。集配課は、通常郵便の配達は非常勤、書留と小包は短時間、本務者は指揮・管理作業のために数人しか残らない職場へと激変させられる。
 この減員計画の第一弾として今回、本務者の四千二百人の減員と非常勤の四千八百人の導入が提示されたのである。この攻撃は、集配課の一万人を超す本務者の減員―首切りとなることは明白であり、減員攻撃が再度郵便課にかけられることも明白である。本務者をたたき出し、非常勤に置き換える計画を、なんと中央本部は労使共同作業の成果として打ち出したのだ。
 臨中の議案書において中央本部は「黒字体質への転換は至上命題であり、減員はトータルとして受ける」と減員を積極的に容認し、「複合型労働力構成、柔軟な労働力配置を」と日経連と同じ言葉で本務労働者の首切りを主張し、「新集配システムを出発点に、引き受けから配達に至る全てのシステムを見直し」として、今までのシステムは本務者を雇用していたから誤りであった、と主張している。そして「現在の仕事の有り様のままで全ての組合員の雇用を守ることは不可能である」など、職場で苦闘する組合員に対して公々然とけんかをしかけてきたのである。
 そして臨中当日、中央本部の石川委員長はあいさつで「『構造改革なくして景気回復なし』の小泉総理の考え方は一概には否定しない」とし、小泉改革を支持すると表明した。小泉の構造改革とは首切り、賃金破壊、社会保障制度の解体であり、大資本の救済のためには中小企業を倒産させ、労働者は賃下げ、首切りの痛みを我慢しろ、というものだ。そして小泉が構造改革の目玉としているのが郵政民営化であり、全逓労働運動の解体である。小泉から敵であると宣告を受けている当の全逓の委員長が、「小泉を否定しない」などと発言するとは何ごとだ。小泉への通敵行為であり、全逓組合員の敵となったことを証明するものである。
 そして「郵政民営化攻撃に対し、しなやかに、したたかに対処していく」というふざけきった発言をしている。組合員の首を差し出す「しなやかさ」と、その上で労働貴族としての腐敗した利益にはあくまでも食いつく「したたかさ」というのが石川委員長の本音なのであろう。
 中央本部の議案提案を受け、十人の中央委員が発言しているが、誰ひとり反対の発言をしていない。すべての中央委員が「新生ビジョンの理念を認め、改革のためには具体的施策である一万四千人の減員を認める」ことを表明しているのだ。中央委員もまた、中央本部と同罪である。
 しかし職場の組合員の怒りと闘いに規定された中央委員は、職場の実状を語ることに発言の大半を割かざるを得なかった。「新集配システムについて積極的な見方はとてもできない」「本務者の減員が際限なく繰り返されるとの不安が広がっている」「効率化計画の全体図を組合員が知り不安が拡大した」「全体で痛みを分かち合うと言いつつ、我々だけの痛みとなっているとの不満が多い」「人事交流の凍結を」などだ。職場組合員の不安と不満は、中央本部に対する怒りと弾劾に変わることは確実である。

 「テロ非難」叫ぶ委員長を許すな

 最後に、石川委員長あいさつの「九・一一テロは、宗教の名を借りた洗脳テロであり、断じて許されない」という言葉を徹底的に弾劾しなければならない。ブッシュや小泉ら帝国主義者とまったく同じ立場に立った発言であり、そこには侵略戦争に対する怒りもなければ、抑圧されている人民と必死に連帯しようとする労働者の階級性もない。「テロ対策法案が現行法の精神が歪められることなく国会で審議されることを願う」との発言は絶対に許されない。自衛隊をアフガニスタン―中東へ派兵し、日本が参戦することに石川は賛成しているのだ。他国の労働者を殺すことを良しとする労組指導者を帝国主義的労働運動派と呼ぶのだ。
 十月七日のアメリカ帝国主義によるアフガニスタン侵略戦争の開始は次のことを鋭く突きつけている。
 「日本の労働者よ、君たちは帝国主義の側にくみし、侵略戦争に加担するのか。それとも全世界の労働者と団結し、自国帝国主義の戦争を社会主義革命に転化し、被抑圧人民との連帯をかちとるのか」と。
 全国の全逓組合員の皆さん。私たち全逓は日本の労働者階級の先頭になってベトナム反戦闘争を担ってきた輝かしい歴史を持っている。この歴史を辱める中央本部を許してはならない。今こそ国際的なアフガニスタン侵略戦争阻止の反戦闘争をつくり上げよう。十一月十一日に東京・日比谷野音で行われる集会はその出発点だ。郵政民営化攻撃とアフガニスタン侵略戦争に反対する闘いの中で、小泉と中央本部を打ち倒そう。
〔マル青労同全逓委員会〕

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週刊『前進』(2029号3面4)

会場前で宣伝 民営化阻止訴え

 十月六日、全逓一一五臨中の会場である東京・水道橋の全逓会館前で、全国労組交流センター全逓部会に結集する全逓組合員や、四・二八被免職者らが、本部を弾劾し、郵便新生ビジョン粉砕を訴える宣伝行動を行った。(写真)
 全逓本部は、会館入り口にバリケードを築き、ガードマンを配置。さらに警察権力による弾圧態勢をとった。これをはね返し、中央委員に対するビラまきを貫徹した。
 一方、カクマルは、警察から会館周辺の道路使用許可をとりながら、労働者の怒りの決起で粉砕されることを恐れて、登場することさえできなかった。

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週刊『前進』(2029号3面5)

10・29三里塚 “暫定滑走路に展望はない” 反対同盟が敷地内デモ

 十月二十九日、三里塚芝山連合空港反対同盟は、緊急現地闘争に決起した。暫定滑走路に低空まで降下し再び上昇する「着陸飛行テスト」がこの日から強行されようとしていた。
 午前九時、反対同盟を先頭に八十余人が、市東孝雄さん宅南側の東峰部落開拓道路に集まった。
 鈴木謙太郎さんの司会で集会が始まり、冒頭、北原鉱治事務局長が発言した。「こんな飛行テストは噴飯ものだ。暫定滑走路北側地域(騒音被害に直撃される!)を情宣して回りマンツーマンで話した。残るのか出ていくのか、二者択一を迫られている。ある少女が『中学校は移転しなければならないのか』と聞いた。『そんなことはない。あなたの故郷が暫定滑走路によって奪われようとしている。どんどん思ったことを言いなさい。頑張れば必ず正義は勝つんだよ』と話した」と、周辺に拡大する反対闘争を紹介した。小川国彦成田市長は「二千百八十bの暫定滑走路はいずれ三千三百bに延長される」と公言、久住(くずみ)中学校の移転問題で説明会を開いた。その場には移転反対のプラカードを持った中学生も参加している。
 さらに北原事務局長は、「暫定滑走路の展望はまったく見えていない。今後ともこの態勢で闘っていく。正義はひとつ、必ず勝つ!」と力強く宣言した。
 支援の決意表明に移り、全学連は「飛行テストと同時に国会では参戦三法案を参院で強行しようとしている。アフガニスタン侵略戦争は民族抑圧の許しがたい戦争だ。全学連は日帝の侵略戦争絶対阻止へ全力で闘う」と決意を語った。
 シュプレヒコールをあげデモに出発した。小見川県道から東峰部落を周回し、東峰神社へ。東峰十字路北側の開拓道路の先端まで進み、集会をもった。
 反対同盟の鈴木幸司さんは、「私も侵略戦争に参加し三年間の抑留生活を送った。天皇の軍隊を繰り返してはならない」と訴えた。都政を革新する会の長谷川英憲さん、婦民全国協が連帯のあいさつをした。
 眼前が暫定滑走路だ。しかし飛行テストのYS−11など影も見えない。萩原進事務局次長が「俺らがここにいる限り飛ばせないよ」と語った。事実この日、暫定滑走路でのテスト飛行は実力阻止したのだ。
 暫定滑走路攻撃を粉砕するぞ! テスト飛行を実力阻止するぞ! 確信も固く復路をデモ行進した。

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週刊『前進』(2029号4面1)

インタビュー 反戦自衛官 小多基実夫さん
自衛官は出兵命令拒否を アフガニスタンの民衆は敵でない 

 参戦3法が成立し11月中旬にも出兵が狙われている。すべての自衛官に「侵略の銃を握るな」と命令拒否を呼びかけよう。反戦自衛官の小多基実夫さんに話を聞いた。写真は10月21日の国際反戦デー集会で発言する小多さん。(編集局)

 命と生活奪われ戦争の道具に

 ――テロ対策特措法などの参戦三法が国会で成立しました。
 自衛隊の活動内容や派兵地域、期間などを定める基本計画を作成し、十一月中旬にも派兵を強行しようとしています。しかもそれを「情報収集」名目で先行的に派兵しようとしています。防衛庁は自覚的に違法行為をやっている。
 ベトナム戦争の時、日本から出撃した米軍は、(日米地位協定の)事前協議の対象にならないように、訓練名目で出撃した後、任務を切り替え戦場へ行った。自衛隊の本格的な参戦をこんなこそくなやり方で始めようとしているのです。
 ――自衛官にとっても初の参戦と本格的出兵です。
 自衛官にとって三重の意味で許せない派兵です。一つは、(前述の)脱法的やり方。二つは、国会の事後承認の問題です。出兵について事前に国会で問うことさえない。民主党は、事前承認を主張したが、派兵に反対するためではないです。派兵には賛成です。ただ国会のお墨付きで、国民の総意という形で派兵させたいということなのです。与党側は、その程度の事前承認でも拒否しましたが。
 三つは、自衛官にとって初めての本格的参戦ということです。この戦争が、侵略戦争と思うかどうかにかかわらず、自衛隊に入る時には、想定していなかったことです。ほとんどの自衛官は、今までそんなこと考えもしないで、自衛隊生活を送ってきたはずです。実際私たちの反軍裁判でも、国や裁判所は、自衛隊問題で違憲になるのは、@核武装、A海外派兵、B徴兵制の三つだと言ってきた。つまり自衛隊が「専守防衛」の建前から離れると憲法違反になると。
 だから自衛官は誰も、戦争で外国に行くとは考えていなかった。十年前からPKO(国連平和維持活動)などで自衛隊が海外派兵されるようになってから、二十歳代の自衛官は少しは海外派兵は前提にしているかもしれません。でも三十から五十歳代は、そういうことはありえないと自他ともに信じて自衛隊に入隊し、人生設計も立ててきた。
 その世代の多くの自衛官は、家族も子どももいる。隊内では中堅クラスの人たちです。この世代抜きには自衛隊は成り立たない。この人たちは、これまで上官から「社会党や日本共産党が政権をとると、自衛隊は憲法違反で解散させられ失業する」と脅されてきた。だから自分の生活のためにも自民党に投票してきた。しかし今、その自民党が、自衛官の命や家族の生活を奪おうとしているのです。
 参戦三法案の審議で、「自衛官が危険な目に遭うのでは」という防衛庁官僚の発言に対して、自民党の議員が「腰抜け」と罵倒(ばとう)し、黙らせるということがありました。誰も自衛官の気持ちなどは考えない国会でした。
 このように二重三重の意味で裏切られ、他民族虐殺の侵略戦争に送られようとしている。自衛官が戦死すれば、家族は官舎からほうり出される。出兵する自衛官は、家族のことや生活の心配で心を痛め、一方で卑怯者呼ばわりされて戦場に行かされる。政府は、人間を戦争の道具としてしか考えていない。
 ――もう少し隊内の自衛官のイメージを。
 私は、五十歳代ですが、同世代は七〇年安保闘争を身近で体験した世代です。少し上は団塊の世代です。この世代は入隊前もあまり恵まれた生活をしていたとは言えないし、社会的にも裁判で自衛隊違憲判決が出るような空気の中で自衛隊に入隊してきた。「免許がとれる」とか言われて入隊した人たちです。戦争が始まれば゛わが世の春゜という人はいない。この人たちが、現在の自衛隊の中心を占めている。この数年から十年ぐらいが正念場です。
 ブッシュの言う「テロ根絶」は「テロ」をやる者を根絶するということです。米帝の抑圧下では生きていけない被抑圧民族の必死の闘いを根絶するということです。ブッシュは、この侵略戦争は長期にわたる戦争になると言っています。この戦争に自衛隊が本格的に参戦するというのです。
 こういう泥沼の侵略戦争をやる自衛隊に新たに志願して入ってくる人がどれだけいるでしょうか。戦争を続けていくためには、有事立法や改憲、さらに兵役の平等の名のもとに、徴兵制も必ず出てくる。だから反戦運動が社会の中心的な課題として必ず浮上してくる時代に入ったと言えます。
 同様にアフガニスタンの人びとについても知らなくてはならない。日本に来ているアフガニスタン人やパキスタン人は、戦争が始まり帰れなくなっている。家族の安否もわからないと言います。本当に胸が痛みます。空爆で命を落としているアフガニスタンの人たちのことを考えると……。
 米軍は、赤十字やNGO(非政府組織)の施設への攻撃を「誤爆」と言っています。本当にそうなのか。空爆の開始とNGO施設への爆撃などで、外国から来たボランティアはほとんど逃げてしまって配給もできなくなっていると報道されています。米軍は、住民への配給をできなくする一方で、食糧などを投下しました。しかしこれは軍隊による住民の懐柔、宣撫(せんぶ)工作でしかない。NGOなどの食糧配給とは根本的に違う、軍事作戦としてやっていることなのです。だから本当に「誤爆」なのか疑わざるをえない。
 ――自衛隊のC130輸送機もパキスタンに行きました。
 民間機を使えば、たくさん運べ、早いし、給油のためにあちこち寄らなくても良い、というのはみんな承知していると思います。ではなぜ自衛隊はC130にこだわるのか。
 米軍は低空からの地上攻撃、対人攻撃に、AC130という対地攻撃機を投入しています。さらにEC130という飛行機で上空からビラをまいたり、投降を呼びかけるラジオ放送をしています。
 名前がほとんど一緒なことからわかるように、元は同じ飛行機を改造したものです。補給−整備など、運用上の合理性という点で同型機にこだわっているのだと思いますが、専門家が見れば見分けがつくが、素人には同じように見える。だからアフガニスタンやパキスタンの人たちから見れば、自衛隊と米軍は同じに見えるんです。見かけからして、憎しみの対象です。
 これはある意味でオーソドックスな侵略のスタイルです。つまり自衛隊に殉職者を出して「英霊」化し、反対の声をつぶすのが狙いです。もちろん逆に闘い方次第では反戦運動の転機にもなりますが。
 医療部隊の派兵についても、負傷米兵やスタッフなども自衛隊が守ると言っているが、実際行けばそうするしかないだろう。戦場の最前線でやる挑発行為です。火種を作りに行くのと同じですよ。小泉首相は「自衛隊は危険なところに行け」「死んでこい」と言っている。
 許せないことに小泉首相は、自衛隊員が入隊するときに強制される「宣誓」をもちだし「命をかける自衛隊」と言った。確かに自衛官は、ソ連が攻めてきたら「専守防衛」で命をかけるというのは建前としてはある。しかしそれ以上のものではない。ところが小泉首相はこういう古い証文を持ち出して侵略の銃を自衛官に持たそうとしている。二十歳にもならない青年に、入隊時に無理やり書類に名前を書いてはんこを押させる。そして何十年もたってから、入隊時に宣誓したから戦争に行けというのは、あまりにひどい。
 だから、みんな内心、自分にだけは命令がこないでほしいと思っている。一方で「本当は怖い」とは口に出しては言えない。自衛官は訓練中はもとより、官舎など日常生活でも、上官や同僚と一緒です。なかなか自分の不安な気持ちを口には出せない。
 本当に自衛隊を戦場に行かせない反戦反軍運動が必要です。「自衛隊を出兵させない」で一致して力を合わせて本当にストップさせる運動です。苦しむ自衛官の味方になれるのは、もはや反戦運動だけです。反戦反軍運動が今までの枠を破って自衛官を獲得するチャンスです。
 ――武器の使用も大幅に緩和されています。
 小泉首相は「常識で武力行使」と言うけど、今までに武力行使したことのある自衛隊員はいない。戦争をやる軍隊の常識と、戦争をやったことのない軍隊の常識は違う。要するに小泉の言っていることはでたらめで、なんの原則も基準もないということです。ある意味で「攻撃されたら応戦する」のが軍隊の常識です。軍隊として戦場に行く自衛隊は当事者であって、けっして第三者ではありません。攻撃されるのは当たり前で、攻撃されれば反撃、攻撃される前に攻撃というように必ずなっていく。
 でも、戦争に関して別の「常識」もある。ロシア革命のように戦争を終わらせる兵士の行動です。敵兵を撃たない。敵国兵士との塹壕(ざんごう)での握手です。相手も同じ農民、労働者出身の兵士です。政府に反して民衆=兵士のレベルで平和をつくりだしていくのです。ロシア革命への干渉戦争でフランスの軍隊は反乱し革命に合流した。敵兵である人民と握手するのです。そういう反戦・平和の実現もまた「常識」です。
 アフガニスタンの民衆は敵ではなく、兵士や難民の人たちも本来、農民や労働者なのです。ところが軍隊とか戦争では、「敵」と「味方」になる。

 自衛官・家族を味方に運動を

 ――自衛隊の活動内容はどうでしょうか。
 後方支援が戦争ではないという議論は、あまりにも自衛官を愚弄(ぐろう)している。中谷防衛庁長官は、自衛隊の出身で、ああいう議論は通用しないことは分かってやっている。補給や輸送の議論もそうです。米軍の荷物は全部パッケージです。弾薬と食料や医薬品などが別ではなく、何人分かの必要な軍用品が全部一括でパッケージになっている。だから別に分ければ、同時に米軍が武器・弾薬だけ輸送・補給し、前線で再び合体させて配給しなくてはならない。そして米軍が戦闘するためにいる所に自衛隊が輸送すれば、米軍と自衛隊を区別する意味はまったくなくなる。補給・輸送は攻撃と不可分一体の活動なのです。自衛隊が戦争をやるということであり、支援とか手伝いではないのです。
 ここで強調したいのは、補給・輸送問題は、戦前の日帝が全然だめだった点であり、日帝が戦争国家になるためには絶対にクリアーしなくてはならない課題だということです。特にシーレーン防衛の問題です。マラッカ海峡を越えて、アラビア海まで護衛艦をどんどん行き来させる。C130輸送機なども恒常的に行かせて、給油などで各国と軍事的な関係をつくり拠点化していく。
 ――防衛秘密の条項が国家機密法の再来だと言われています。
 防衛秘密というのは、マスコミにも大本営発表以外には報道させないということです。裁判所はかねてから「統治行為」論で「違憲かどうかの憲法判断はしない」と公言しています。国会は見てのとおり無力化している。マスコミは「第四の権力」などと言われますが、それを防衛秘密でマスコミを縛り付けて戦争の下僕にするのです。自民党はかつて防衛秘密のところで死刑も主張していた。その本質はそのままです。
 こういうものがなぜ出てくるのか。侵略戦争をやるからです。戦争の実態が暴露されて論争になるようではできない戦争だからです。破防法や盗聴法の改悪もそうです。暗黒の戦争国家化です。
 「警護出動」では、すでに先取り的に自衛隊が銃に実弾を込めて日米共用の在日米軍基地や自衛隊基地を守っている。法的にはこれまで「武器防護」ということで弾薬庫や武器庫を武器をもって守ることはできたが、外柵に面したところで実弾武装で警備するのは完全に脱法行為です。「何かあれば人を撃つ」ということで自衛官は疑心暗鬼で非常に緊張しています。実弾の緊張感で周辺の住民や通行人が全部敵に見えてくる。
 沖縄では基地へカメラを構えた新聞記者が米軍に銃を突きつけられたということですが、米軍にとっては日本は前線に行く中継地点で、日本人には平時の感覚でも米兵には戦場・戦時に近い感覚だと思います。その沖縄の基地で、米兵に替わって自衛官が、沖縄の人びとに銃を向けることになる。耐え難い事態です。
 ――最後に一言。
 反戦運動の中には、「自衛官が嫌い」という空気が濃厚にある。自衛官や家族の人たちも逆に反戦運動をそう思っている。これからはそれではだめだ。「反戦運動は自衛官とその家族の味方だ」と言葉ではっきり言わないと。最初は信じてくれなくてもいい。何度も言い続ければ「なぜ味方なのか」と議論になる。「自衛官は戦争に行ってはならない。死んではならない、生活を守れ」「一緒に侵略戦争に反対し、他民族虐殺をやめさせよう」と言うのです。
 一番不安で困っている自衛官の力になることができるのは、自衛隊当局や政府、自民党や民主党でもなく、反戦運動だけなのだから、そこに確信を持って自衛官に働きかけ「一緒に戦争を止めよう」と訴えることです。

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週刊『前進』(2029号4面2)

パキスタン 米日帝に抗議のデモ 「小泉もブッシュも犬だ」

 帝国主義のアフガニスタン侵略戦争は民族皆殺しとタリバン政権圧殺の残虐極まる侵略戦争である。第三次世界大戦の危機が深まっている。全世界の反戦デモ、嵐(あらし)のように米帝との闘いに決起する闘うイスラム諸国人民との連帯をかけて、日本の労働者人民の革命的反戦闘争を爆発させなければならない。
 戦火からパキスタン北部に逃れたアフガニスタン難民は次のように日本人に問いかけている。
 「日本人は広島と長崎で原爆の悲劇を経験した。その日本が同じような攻撃をアフガニスタンで行っている米軍を支援すると聞き悲しい」(コンピューター技師のアブドラさん(28))
 難民でペシャワルの地元紙記者アシフ・ナンさん(30)は「米軍は食料の空中投下をしている。昼間に食事を与え、夜には爆弾で殺すわけだ。日本は同じようなことをやろうとしている」と批判し、「米軍の殺人を手伝いながら難民を助けても無意味だ。罪のない人を殺さないよう米国を説得するのが日本の責務」と訴えている。(以上、十月十七日=共同)
 十月七日夜(日本時間八日未明)に開始された米英軍の空爆に対して、翌八日にはパレスチナ自治区ガザでパレスチナ人学生ら二千人が「米国はイスラムの敵」「ビンラディン万歳」などのプラカードを掲げて抗議デモを行った。これに警察が発砲し、学生側も投石や銃撃で応戦したが、中学生、大学生ら四人が殺され、デモ隊百人、警官二十人が負傷した。
 同日、パキスタン中西部の都市クエッタでも学生ら一万人が「ブッシュに死を」と叫んで反米デモを行った。ここでも警察隊が発砲、パキスタン人男性(28)が殺され、双方に数十人の負傷者が出た。首都イスラマバードでも学生約千人が抗議デモを行った。
 イスラマバードのチャクララ空軍基地に「日の丸」を機体につけた航空自衛隊C130輸送機が到着したのは、まさに反米デモが燃え盛る八日のことだ。

●全世界に抗議広がる

 九日には抗議デモは一挙に全世界に広がった。インドネシアのジャカルタでは米大使館前で約四百人が反米デモ、警察は催涙ガスで弾圧に出た。南スラウェシ州マカッサルでは、米帝のアフガニスタン空爆に支持を表明した日本政府に抗議し、大学生らが日本総領事館に押しかけた。
 スーダンでも八日、米大使館に突入しようとしたデモ隊と治安当局が衝突。九日にもイスラム法学者らが先導した抗議デモが行われ、米大使館への突入が試みられた。エジプト各地の大学で学生がデモに立ち、さらにイラク、オマーンなどで反米デモが闘われた。
 連日、反米デモが闘われていたパキスタンでは、イスラム教徒の金曜礼拝日の十二日に全国規模の反米行動が計画された。パキスタンの全イスラム復興運動勢力が結集した「アフガン防衛評議会」が呼びかけた。反政府運動に直結するものと恐怖したムシャラフ政権は反テロ法を適用して徹底弾圧する構えをとり、十日には外務省が「政治活動にかかわった難民は強制送還する」と恫喝した。
 そして迎えた十二日、パキスタンを始めイスラム諸国で一斉抗議行動が闘われた。ペシャワルでは五日連続となる反米行動に約一万人が参加、「小泉もブッシュも犬だ」というプラカードが登場し、反日抗議が高まった。首都南部のラワルピンディで五千人、商業都市カラチ、クエッタでもそれぞれ一万人が集まった。インド、イラン、インドネシア、マレーシア、タイ、バングラディシュ、さらにエジプト、パレスチナ自治区、ケニアなど。米帝打倒、民族解放、民族自決を希求する被抑圧民族人民の怒りの爆発だ。
 続く十五日、パキスタンではゼネストが闘いぬかれた。公共バスなどの交通機関がストに突入、商店も呼応した。数十万人を組織する全パキスタン労働組合同盟は、九月二十八日の声明で「米国政府はその外交政策の再検討を」と要求し、「(九・一一の)あの虐殺が米国のこの地域への外交政策の結果」だと主張している。

●ムシャラフ政権に怒り

 十月二十九日現在、パキスタン北部にあるチラスの空港をイスラム武装勢力約二千人が占拠し、「米軍の軍事行動の中止、パキスタンの対米協力路線の転換」を求めている。
 パキスタン全土で反米デモが闘われた二十九日、ペシャワルの中心街では全パキスタン学生同盟の主催で大規模なデモを繰り広げた。数千人の学生が「米国からの自由を」「ムシャラフは操り人形だ」などのプラカードを掲げ、バザールの道幅いっぱいに座り込んだ。こぶしを突き上げ、「ジハードの準備はできている」と叫んだ。
 こうした闘いの先頭には学生とともに侵略・搾取と闘う労働者人民が立っている。今こそ闘うアジア人民、イスラム諸国人民と連帯し、米英帝のアフガニスタン侵略戦争阻止、日帝の参戦絶対阻止へ闘おう。

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週刊『前進』(2029号4面3)

参戦3法絶対許さぬ 国会前 反戦共同など立つ

 本会議採決を弾劾 29日

 十月二十九日、参戦三法案の参議院本会議採決に対して反戦共同行動委は全力で闘いに決起した。早朝から国会前で参戦三法案の採決強行の策動を弾劾しぬいた。全学連の大山尚行委員長が「自衛隊が参戦し、アフガニスタン人民を虐殺する法案を絶対に許してはならない。参戦三法案阻止へ全力で闘おう」と訴えた。
 昼過ぎには続々と労働者、市民や宗教者が駆けつけ、自衛隊の侵略派兵、日帝の参戦法案に怒りが渦巻いた。午後零時半からはキリスト者平和ネットと日本山妙法寺、航空三団体(安全会議、航空連、日乗連)が呼びかけた集会が開かれ、反戦共同行動委も合流。集会では「日本が戦争国家になろうとしている」と怒りが沸き上がった。
 集会途中の一時五十四分、参院本会議の採決が強行され、法案が成立したことが知らされた。直ちに法案成立弾劾のシュプレヒコールをたたきつけた。「法案は成立したが、自衛隊の出兵を許さない闘いを巻き起こそう」と確認した。
 反戦共同行動委は、さらに参院議員面会所前に詰めかけ、権力の排除攻撃をはねのけて激しく怒りをたたきつけた。最後に大山全学連委員長が、自衛隊出兵阻止の佐世保現地闘争を始め、米日帝のアフガニスタン侵略戦争阻止の一大反戦闘争を訴え、全体で決意を固めた。

 参院委審議に怒り 26日

 十月二十六日、参院外交防衛委員会においてテロ対策特措法と自衛隊法改悪案の採決が狙われる中、全学連を先頭に反戦共同行動委員会は終日の座り込みと弾劾を闘いぬいた。
 午後二時からはキリスト者平和ネット、日本山妙法寺、航空三団体の三者が呼びかけた「テロにも、報復戦争にも、参戦法に反対する緊急行動」が行われ、二百五十人が集まった。航空労組連絡会の労働者は「戦争では何も解決しないと誰もが思っている。そう思っていないのは国会にいる人たちだけ。この法律を許したら次は有事法制と民間動員だ。断固闘おう」と訴え、強行成立の動きに怒りをたたきつけた。
 夕方の委員会採決強行時には、反戦共同行動委は議員面会所前で断固としたシュプレヒコールをたたきつけた。

 札幌で街宣

 北海道労組交流センターは十月二十一日、札幌市中央区大通公園の西三丁目で街宣を行った(写真)。
「報復に名をかりた侵略戦争と日本の参戦に反対しよう」と元気に訴え、市民の大きな注目を集めた。

 嘉手納へデモ 10月20、21日

 沖縄での十・二一国際反戦デー闘争は、二十日の嘉手納基地へのデモ、二十一日の北中城村の在沖米軍司令部メインゲートでの抗議闘争と連続して闘われた。
(前号既報)
 十月二十日夕方から沖縄市の社会福祉センタ−で「アメリカの『報復戦争』反対、日本の参戦許すな、沖縄の米軍基地撤去」の集会が実行委員会主催で開かれ、五十五人が結集した。
 読谷村議の知花昌一さんが「石油をめぐる新たな侵略戦争が始まった。日本政府も米国を全面支援し、戦争状態に入った。人殺しの基地に頼るような沖縄の経済構造ではだめ。観光客が激減している現実からの結論は基地撤去だ」とあいさつ。北中城村議の宮城盛光さんは基地警備の強化による出勤時の大渋滞などを報告しながら侵略戦争反対に立ち上がることを訴えた。全学連派遣隊の東北大学の学生は国会前での座り込みを報告した。
 集会後、嘉手納基地に向かってデモを行った。沖縄市の中心街−英語の看板の店の多い基地の街を「侵略戦争反対、日本の参戦許すな、基地撤去」のシュプレヒコ−ルが響いた。デモには、予備校から若者が大勢飛び出してきたり、米兵相手の商店の人たちなど、たくさんの市民が手を振り大きな共感と注目を集めた。

 在沖司令部弾劾

 二十一日、全学連派遣隊と沖縄労組交流センターが北中城村の在沖米軍司令部正面ゲート前に登場、果敢な弾劾闘争を行った。
 警備している本土派遣警察機動隊が大あわて。基地内外から応援の機動隊装甲車やパトカーがやってきた。これをはねのけ、英字の横断幕を広げて弾劾のシュプレヒコール。機動隊が襲いかかってきたが、戦闘的に対峙して貫徹した。
 沖縄の十・二一国際反戦デーは、平和市民連絡会や平和センター、女性団体などが取り組んた。

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週刊『前進』(2029号5面1)

アフガン人民虐殺の自衛隊参戦を阻止せよ
米帝の無差別爆撃許すな 帝国主義の侵略戦争の正体

 空爆・飢餓で大虐殺狙う

 米英帝国主義のアフガニスタン侵略戦争は、10月7日爆撃開始以来すでに1カ月になろうとしている。この凶暴な侵略戦争の本質は何か。この戦争の狙いについて明らかにする。
 米英帝のアフガニスタン侵略戦争は、連日の凶暴な無差別爆撃にもかかわらず人民とタリバンの不屈の抵抗と反撃の前に特殊部隊の投入も手痛い敗北を喫し、切り崩しの工作も次々失敗している。十月二十六日には米帝が反タリバン勢力結集のために送り込んだアブドラ・ハク元司令官が処刑され、反タリバン勢力の結集策動はとん挫している。
 それゆえ米帝は、さらに大規模な地上軍の投入も含めた泥沼的侵略戦争に突入しようとしている。
 こうした中で、米軍の無差別爆撃によってアフガニスタン人民の犠牲者も激増している。タリバンの発表ではすでに一般民衆の犠牲者が千人を超えている。病院が爆撃され、百人以上が死亡した。避難民のバスが爆撃され、市場が爆撃され、アパート群も爆撃された。赤十字の食料倉庫の爆撃については米軍は「誤爆」を認めたが、その後二回にわたって爆撃し、全焼させている。これは、単なる誤爆ではなく、食料を奪うための意図的な爆撃であったことを示している。
 米軍の爆撃によって負傷した人びとが次々とパキスタンの病院に移送されてきており、それを見ただけでどれほど多くの人びとが爆撃によって犠牲になっているかがわかる。米帝はこうした一般市民の犠牲について、「タリバンを壊滅するためには仕方ない」としてさらに無差別虐殺を強行することを宣言している。
 さらに重大な問題は、アフガニスタン国内には六百万人ともいわれる避難民がおり、マイナス三〇度にもなる本格的な冬の到来で餓死や凍死の危機にあることだ。三年にわたる深刻な干ばつで家畜が死に絶え、穀物も実らない中で食料がなくなり、多くの人が援助を頼って住んでいた村を捨ててキャンプ地でテント生活をしている。
 米軍の戦争突入で国連職員やNGOはアフガニスタンを離れており、パキスタンとの国境が封鎖されている中で、こうした人びとに食料援助が行われなくなっている。国連は「国境を越えて初めて難民なのです」(国連難民高等弁務官事務所報道官)としており、このまま米軍の攻撃が続けば、国外に避難する力のない人びとが何十万、何百万人という規模で死に追いやられる危険が迫っている。
 米帝を始めとした帝国主義はタリバンに対するあくどいキャンペーンで侵略戦争を正当化しようとしている。だがそれは悪意ある排外主義的デマ宣伝である。ウサマ・ビンラディンやアルカイダ、そしてタリバンが米帝・イスラエルのパレスチナ人民虐殺や米軍のサウジアラビア駐留に怒りを燃やし、米帝と闘っていることを戦争をもってたたきつぶすための宣伝である。
 アフガニスタンは内戦の中で百万を超える人びとが死んだ。今も周辺諸国への難民が四百万人もおり、さらに国内には六百万人もの避難民がいる。この事態の責任はアフガニスタン内戦をあくどく利用してきた米帝にあるのだ。
 米帝に対してアフガニスタン人民、アラブ人民、イスラム諸国人民、そして全世界の労働者人民と被抑圧民族人民の怒りが激しく高まっている。不屈の彼らの闘いと連帯し、米帝の侵略戦争を阻止しよう。

 パレスチナ圧殺が核心に

 米帝のアフガニスタン侵略戦争に、パキスタンを始め中東・イスラム諸国で激しい人民の闘いがまき起こっている。米帝の中東諸国への新植民地主義的侵略に対する人民の積もり積もった怒りがどれほどすさまじいかを示している。米帝のアフガニスタン侵略戦争はこうした中東・イスラム諸国人民の民族解放闘争を圧殺しようとするものだ。
 米帝の中東石油支配の暴虐は、パレスチナ支配を頂点としている。米帝は、第二次世界大戦後の民族解放闘争の高揚の中で、中東とそこにある戦略資源としての石油の独占的支配のために凶暴な民族解放闘争圧殺政策を強行してきた。米帝は、シオニストを使ってイスラエル国家をデッチあげ、パレスチナ人民をその土地から追放した。イスラエルはパレスチナ人民を大虐殺し、大量の住民を追い出していった。そして四度にわたる中東戦争やイスラエルのレバノン侵略によってパレスチナを始めとするアラブ人民の民族解放闘争を暴力的に圧殺してきた。
 パレスチナ人民は民族自決権と難民の帰還の権利を掲げて、この米帝、イスラエルのパレスチナ解放闘争の圧殺と闘いぬいてきた。その不屈の闘いに追いつめられた米帝は、暫定自治合意によってPLOのアラファト指導部を取り込み、抑え込もうとした。だが、インティファーダを始めとしたパレスチナ人民の不屈の決起によってそれが完全に破産に直面している。
 こうした中で登場した米帝ブッシュ政権は、パレスチナ人民の民族解放闘争を圧殺するために戦争政策に訴えることを公然とさせてきた。そしてイスラエルの極右シャロン政権の登場によって暴力的圧殺政策を全面化させた。石を投げる若者に対して銃撃によって虐殺し、PFLPの最高指導者を暗殺し、戦車、ヘリコプター、攻撃機を使って砲撃や爆撃を繰り返してきた。これへの報復としてのPFLPによるゼービ観光相処刑に対しては、イスラエルはパレスチナ自治区に侵攻し、五十人を超えるパレスチナ人民を虐殺した。
 ヨルダン川西岸やガザ地区には百六十一カ所のイスラエル入植地が建設され、それを守るイスラエル軍の銃口が絶えずパレスチナ人民に向けられている。
 イスラエルはパレスチナ人民虐殺の上に存続しているのであり、その歴史はテロに次ぐテロ、虐殺に次ぐ虐殺に血塗られている。米帝はこのイスラエルを全面的に支え、それによって中東支配を維持してきたのだ。まさに九・一一反米ゲリラの核心にこの米帝・イスラエルのパレスチナ人民虐殺に対するイスラム諸国人民の極限的怒りがある。
 国連のテロ防止条約をめぐって「テロとは何か」が問題となったことに対してパウエル国務長官は、その判断の重要な柱として「米国の価値に合う権利を求めているかどうか」を挙げている。゛アメリカのアフガニスタン人民無差別虐殺はテロではない、イスラエルのパレスチナ人民虐殺はテロではない、だがそれに対する人民の反撃はテロだ″というのだ。これが帝国主義支配の論理でなくて何か。
 パレスチナ人民の民族自決権と帰還の権利の実現は、イスラエル国家を打倒し、米帝を打倒する以外にはありえないのだ。

 中東支配と資源略奪戦争

 米帝は、九・一一反米ゲリラによって歴史的、壊滅的な打撃を受けた。それゆえにこそ九・一一を口実に凶暴極まる帝国主義的侵略戦争に突入したのである。基軸帝国主義としての延命をかけて、アフガニスタン−中東への侵略戦争から第三次世界大戦への過程に突入したのである。
 九・一一反米ゲリラの米帝に与えた衝撃は実に巨大なものであった。米経済のバブル崩壊が鮮明になる中で、世界帝国としての米帝がその中枢に根底的打撃を受けることによって、その支配が崩壊しかねないところに立たされたのである。
 ブッシュは事件後ワシントンにも戻れないうちからこれは戦争であると宣言し、マスコミはウサマ・ビンラディンの関与を取りざたすることによって、アフガニスタンへの侵略戦争に突進していく構図をつくり上げた。そして実行者とビンラディンの関与の証拠も示さないまま凶暴な侵略戦争に突入することによって、全世界を米帝のもとに屈服させようとした。
 ブッシュは「アメリカをとるのか、テロ組織をとるのか」として日欧帝を始め全世界に二者択一を迫って動員し、パキスタン、ウズベキスタン、タジキスタンをも取り込んだ。米帝は民族解放闘争を暴力的に圧殺し、アフガニスタンを軍事制圧する以外に後戻りのきかない侵略戦争に突入したのである。そしてそれはパキスタンや他の中東、イスラム諸国人民の怒りの決起の中で次々と侵略戦争を拡大し、ついには第三次世界大戦へと至る泥沼的過程への突入である。
 そして何よりもこの戦争は、アフガニスタン人民を民族丸ごと抹殺しようとする歴史上かつてなかったような残虐な侵略戦争である。米帝は、タリバン政権を強大な軍事力をもって転覆し、かいらい政権をデッチあげてアフガニスタンを支配しようとしている。このような侵略戦争をアフガニスタン人民、中東・イスラム人民が認めるはずがなく、膨大な人民の怒りの決起が不可避である。米帝はそうした人民の闘いをも民族抹殺的に圧殺しようとしている。まさに米帝を打倒する以外にアフガニスタン人民、中東・イスラム人民の生きる道はないのだ。
 さらにこの戦争はトルクメニスタンを始め中央アジアとカスピ海周辺の石油、天然ガス資源を略奪しようとする強盗戦争である。
 一九九七年十月二十五日にアメリカの石油メジャーの一つであるユノカル社を中心とした国際企業六社とトルクメニスタン政府との間でセント・ガス社設立のための調印式が行われている。同社はトルクメニスタンに埋蔵されている豊富な天然ガスをアフガニスタンからパキスタンを通るパイプラインによって供給することを目的としている。しかもトルクメニスタンからのパイプラインは、カスピ海沿岸のトルクメニスタンとカザフスタンの石油を輸送するルートの建設につながっていくものである。
 ところが九八年八月、米大使館連続爆破に対して米帝クリントン政権がウサマ・ビンラディンの組織が実行したとしてアフガニスタンを爆撃したことでこの計画はとん挫している。
 前述のセント・ガス社の計画には日帝も伊藤忠石油とインドネシア石油が二社併せて参加比率一三%で加わっている。日帝が何がなんでも自衛隊を派兵し、アフガニスタン侵略戦争に参戦しようとしている目的には、この石油、天然ガスに対する権益を確保しようという狙いがあるのだ。
 闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を国際的内乱に転化せよ。
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 イスラム・中東の学習参考文献 @

 「イスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を国際的内乱へ」の闘いのために猛然と学習しよう。批判的に学ぶものを含め、その一部を掲げる。(次号に続く)
1 アフガニスタン関連
▽アハメド・ラシッド『タリバン』講談社
▽田中宇『タリバン』光文社新書
▽中村哲『医は国境を越えて』石風社
▽中村哲『アフガニスタンの診療所から』筑摩書房
▽中村哲『医者井戸を掘る―アフガン旱魃との闘い』石風社
2 イスラム関連
▽宮田律『イスラム世界と欧米の衝突』NHKブックス
▽宮田律『現代イスラムの潮流』集英社新書
▽矢島文夫『アラブ民族とイスラム文化(人間の世界歴史H)』三省堂
▽片倉もとこ『イスラームの日常世界』岩波新書

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週刊『前進』(2029号5面2)

公調の手先となった反革命 カクマルのデマ攻撃許すな

 ファシスト・カクマルは、この間、中核派および闘う労働者に対して、悪らつなデマ攻撃をもって襲いかかってきている。十一月労働者集会を破壊するために、各地の戦闘的労組などに押し掛けてデマ宣伝を図っている。闘う労働者は、この介入攻撃を、階級的団結を固めるチャンスとして迎え撃ち、各所でカクマルを圧倒的に撃退している。
 カクマルは、今日史上最大と言って過言ではない危機にのたうち回っている。
 第一に、松崎・JR総連が完全に分裂し、もはやどのようにも修復できないこと。カクマルにとってJR総連こそすべてであり、その失陥はそれ自体がカクマルの死を意味する。今日では『解放』紙上でもJR総連に言及しなくなってしまったことに、その打撃の大きさが示されている。
 カクマルは、八月一日のJR東日本とJR東労組の第四次労使共同宣言についてまったく触れない。第四次労使共同宣言こそ、JR総連のJR資本への全面屈服と、労働者に対する犠牲転嫁の極致を示すものだ。これを批判しないことは、カクマルが完全にこれを容認したということだ。さらに、「九・一一ジハード」と賛美しながら、JR総連の「テロ弾劾声明」についてはまったく沈黙しているのだ。
 黒田・カクマルからのJR総連の離反が、いかにカクマルにとって重大な事態なのかが分かる。
 第二に、カクマルは、仲山良介同志の『共産主義者』一二七号の黒田哲学批判論文にダメージを受け、九カ月たった今日まで一言も答えられない。
 今やカクマルは、綱領的・思想的にも、組織的にも、どん詰まりの危機にあり、生半可な手段ではのりきることができないまでに追い詰められているのである。
 カクマルが八月以来、革共同に対する反革命攻撃に全組織を挙げてのめり込んできているのは、まさに自らの危機の排他的すりかえのためである。
 彼らは「宮崎学問題」につけこんでなんとか革共同に傷をつけられると錯覚している。公安調査庁の革共同破壊攻撃が明らかになった。それに対して革共同は当事者として原則的に闘ってこれを粉砕し、社会的にも明らかにした。権力と闘う革命党として当然のこの態度表明を、カクマルは「中核派は丸ごとスパイ」の証拠だと一八〇度逆のデマをもって宣伝しているのだ。
 カクマルは、権力、公安調査庁の最も忠実な手先となって、権力から攻撃を受け、それと真っ向から闘っている中核派に対して、今こそ中核派を破壊するチャンスだとして襲いかかってきているのだ。
 カクマルの攻撃の矛先が権力でも公調でもなく、中核派であること、これだけで、カクマルの反革命的正体は鮮明である。彼らは根っからK=K連合(警察=カクマル連合)志向であり、中核派に傷をつけられるために、権力のスパイ攻撃を「好機到来」と飛び付くのだ。新たな、だが末期的なK=K連合である。
 また、三角忠氏に対する「スパイ」呼ばわりも、本紙前号で報道した労組交流センターの声明にあるとおり、まったくのデマ宣伝である。十一月労働者集会の破壊を狙った攻撃であり、絶対に許すことはできない。
 カクマルの攻撃はこのように悪らつで卑劣なものだが、内的危機を外へ転嫁するという動機に規定されて実態はボロボロである。カクマルのビラまき隊は、どこでも正義の制裁への恐怖感にとらわれ、ビクビクし、浮き足立っている。
 十月五日、東京労働者集会にビラまきに現れたカクマル分子は、会場防衛隊が一歩踏み込んで一喝すると、真っ青になって体を震わせ、カバンやカメラを置いたまま一目散に逃げ帰った。このショックがあまりにも大きく、翌日の全逓中央委員会には、ビラまきの道路使用許可を取っていたにもかかわらず、闘う労働者が怖くてとうとう登場できなかった。さらに九日の日教組大会では、恐る恐る登場したものの、闘う労働者との接触を避けて、端っこでこそこそビラまきをした。このように、カクマル分子一人ひとりは、内面的に完全に崩壊している。
 この危機をのりきるためにカクマルは十月十四日に「ハンガリー革命四十五周年」と称して全国から根こそぎ動員して異様な集会を開き(五年前の黒田「辞任」の時以来!)、存亡をかけて革共同破壊に突入を号令している。だが、それは必ずカクマルの死に転化する。革共同第六回大会で先取り的に宣言した「黒田哲学の死」「カクマルの死」を階級闘争の舞台で現実のものにする時だ。
 カクマルの十一・一一日比谷野音に対する卑劣な介入・破壊攻撃を断じて許すな。彼らがもしも姿を現すならば、闘う労働者の団結した力で必ず粉砕されるだろう。カクマルの敵対を許さず十一・一一集会をかちとり、カクマル完全打倒に突き進もう。

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週刊『前進』(2029号5面3)

新刊紹介 コミューン 12月号 アフガニスタン侵略

 十月七日、「テロ根絶」を口実としたアフガニスタン空爆をもって米帝は、アフガニスタン・イスラム諸国に対する長期の残虐な侵略戦争に突入した。激しい無差別爆撃によって、大量のアフガニスタン人民を虐殺し、数百万人の難民を餓死の危機にたたき込む侵略戦争を絶対に許してはならない。
 特集の第一章では、七九年のソ連軍のアフガニスタン侵攻以来、今日に至るまでの米帝のアフガニスタン侵略政策の反革命的性格を全面的に暴露した。
 その背景には中央アジアにおける石油・天然ガス支配権をめぐる激しい帝国主義間争闘戦と米帝の独占策動があるばかりでなく、帝国主義の新植民地主義的支配体制を崩壊の危機にたたき込んでいるパレスチナを始めとしてイスラム諸国の民族解放闘争を圧殺しようとする反革命的意図があることを明らかにした。
 第二章では、「テロ撲滅」を口実とする日帝・小泉の参戦三法案を批判・弾劾している。九・一一からわずか一カ月余りで衆院本会議で可決、十・二九参院本会議で可決・成立した。その内容は侵略・戦争・暗黒を強制する法案である。さらに小泉の「国際的孤立」論の大ペテンを批判している。
 翻訳資料は、米帝戦略の基本文献であるQDRを掲載した。米帝が世界大的戦争に戦略的に踏み切ったこと、アフガニスタン侵略戦争が対中国戦略上も巨大な意味があることがわかる。

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週刊『前進』(2029号6面1)

革命的女性解放闘争の前進で帝国主義打倒への道を開こう
闘う女性に党への結集を訴える
 革共同女性解放組織委員会

 九・一一反米ゲリラと米欧日帝国主義の中東・アフガニスタン侵略戦争によって、世界史は新しい段階へ突入した。日帝・小泉の「九・一一」報復=侵略戦争参戦は、世界大の戦争、長期戦・泥沼戦・総力戦を遂行できる「国家づくり」「国民づくり」のための激しい国家主義・排外主義イデオロギーの嵐(あらし)と差別主義攻撃をもたらしている。その中で、家族と女性の支配・抑圧・差別・分断をめぐる階級的攻防が激化し、女性解放闘争の戦略的位置が重大化している。革共同第六回大会路線のもと、国際反戦闘争−革命的女性解放闘争の新たな発展が求められている。圧倒的な女性の革命的決起と党への結集をつくりだして闘おう。その一助として、女性解放闘争の直面する歴史的課題と綱領的諸問題について明らかにしたい。

 強まる女性差別と分断・動員の攻撃

 世界大恐慌と世界戦争の危機が切迫し、没落帝国主義と化した日帝は、小泉反革命政権を登場させ、参戦国家化と「聖域なき構造改革」攻撃を強行している。
 日帝・小泉は「日本経済(国益)のためには痛みに耐えよ」と連呼し、犠牲と矛盾のすべてを労働者人民に転嫁している。失業率は実質的に一〇%を超えている。
 労働者人民は家族総出で働いて生活している。女性労働者の六〇%近くは正規労働から排除されている。既婚女性の圧倒的多数が、低賃金で不安定、流動的なパート労働者や派遣労働者として働いている。家事・育児・介護などの家族責任を背負った女性がやむなく「選択した働き方」としてのパート労働や派遣労働ではない。失業した夫にかわって一家をささえる女性も、新卒女性も、パートや派遣以外の職につけないのである。
 今年の日経連「労問研報告」は、労働力の流動化(解雇)をして「女性、高齢者、外国人を活用する」という方針を出している。正規労働者を政策的に低賃金・不安定・無権利の労働者に置き換えているのである。日帝・資本はさらに、解雇と賃下げ、配偶者手当廃止、社宅の廃止等を容易にする「失業に耐える家族」「夫婦共働きで生計を支える家族」政策への転換を主張している。
 これを受けて政府・自治体は、「仕事と育児・介護の両立」「少子化対策」「保育などの子育て援助」などを政策化している。さらには戦後的な賃金制度や社会保障制度の基本になっている「家族単位の生活給与」「税や年金などの世帯単位」を、「業績主義賃金」「個人単位」化する構想がうちだされている。
 労働者人民の側からの「働く権利」「子どもを産み育てる権利」「家族単位ではなくすべての個人の年金権」などの要求は、当然である。だが政府・資本家階級の「改革」とは、労働者の要求にこたえるものではなく、労働者人民の賃下げと収奪強化であり、プロレタリア女性・女性大衆を頭割り的に例外なく搾取と収奪の標的とし、動員する攻撃である。従来、国と資本が、たてまえ的には「私的な領域」としてきた家族のありかたにいま新たな質の介入を始めたのである。
 戦争と大失業の時代は同時にプロレタリア家族の悲惨の時代であり、少子化・晩婚化・独居化・子どもの虐待と性暴力のまん延をもたらしている。これに対して「母親の自覚」「父権の復権」などの反動的攻撃がまきおこっている。権力・資本の手先でありファシスト運動である「つくる会」の公民教科書は、「国家公民としての義務」と「家族のきずな」を最高の価値として打ち出している。
 帝国主義の危機爆発の時代には、家族−女性問題が不可避に帝国主義社会の諸矛盾の集中点となり、階級的焦点となってくる。逆に言えば、女性労働者・女性大衆の決起が、労働者階級人民の丸ごとの革命的獲得のかぎを握る激動の時代が来たとも言えるのだ。
 そもそも、現在の一夫一婦制ブルジョア家族制度は、近代国家すなわち「階級対立の非和解性の産物としての国家」の支配の基本単位として明治以来強化されてきたものである。天皇制国家のもとでの「家制度」は、法的に女性差別を規定し、女性の政治活動を禁止し、女性を「性の対象」として売買する公娼制度を合法化していた制度であった。
 日帝は、アジア侵略戦争、総力戦としての帝国主義戦争遂行において、プロレタリア運動の解体の中で日本人女性を支配の側に分断的に取り込み、「銃後のまもり」「靖国の母」として差別・抑圧し動員した。そして、一九三七年の盧溝橋事件から南京大虐殺をへて絶望的に拡大した朝鮮・中国−アジア侵略戦争では、日帝・日本軍は「軍隊慰安婦」政策によって数十万のアジア人女性を組織的な戦時性暴力をもってじゅうりんしたのである。
 戦後革命の敗北によって、戦犯天皇を筆頭に戦争犯罪を開き直り、くぐり抜けた日帝は、GHQ(連合国総司令部)に従い、明治憲法下の家制度から女性を「解放」した。日帝は、戦後日本の法的男女同権を基礎にした「一夫一婦制核家族」のもとで、「一家の柱」としての男性を企業戦士(=賃金労働者)として酷使し、補助的に女性を活用・動員することで日帝経済の戦後的発展を可能としてきた。
 八〇年代半ば、日帝は、戦後労働運動−総評解体のための国鉄分割・民営化攻撃とともに、男女雇用機会均等法の制定=労働基準法解体の攻撃に着手した。それは、あたかも法によって男女の機会均等がもたらされるかのような幻想をあおって、現実には女性労働者の圧倒的多数を保護や規制のない「より安価」な労働力として分断的に位置づけて活用し、労働運動を内側から解体する攻撃であった。
 そして、世界大恐慌とブロック化−帝国主義による新たな世界戦争の時代を迎えた現在、日帝・小泉反革命政権は、中東・アフガニスタン侵略戦争に踏み出し、国家主義・排外主義と差別主義、家族主義の扇動とあわせて戦後的な家族制度の「改革」にのりだしたのである。
 スターリン主義は、三〇年代危機に対して祖国擁護とともに国家主義・家族主義に転換し、ロシア革命が獲得した女性解放の地平を公然と解体してきた。戦後革命を裏切った日本共産党スターリン主義は、いまや小泉反革命に屈服し、「テロ弾劾」の合唱に呼応して日帝の侵略戦争参戦を許している。そして闘う国労闘争団の切り捨ての「四党合意」を支持するという裏切りの先兵になっている。
 一九七〇年代以後のフェミニズム運動は、スターリン主義の家族制度と女性差別への屈服を暴きながらも、帝国主義とスターリン主義への批判の不徹底から、ブルジョア女権主義との階級的区別をあいまいにしている。八〇年代後半の均等法攻撃に対して労働者人民を武装解除し、敗北に導く役割を果たしてきた。
 日帝の新たな家族制度・家族イデオロギー攻撃、戦時型の家族主義と女性動員攻撃を許さず、女性差別攻撃と勝利的に対決できるのは、階級的・革命的立場と路線だけである。

 女性差別・抑圧の歴史的社会的根源

 反スターリン主義・革命的共産主義の女性解放論の原則、思想的・理論的学習と路線的一致を獲得しなければならない。

 階級社会と女性差別

 労働者階級自己解放と女性解放はどういう関係にあるのか。「家族とはなにか、女性解放とはなにか」があらためて問われている。
 「労働者階級の自己解放は、みずからの階級的原理にもとづく特殊的解放として実現されるものであるが、それは同時に、あらゆる人間的抑圧、差別からの解放、すなわち普遍的全面的解放として実現されるしかないものとしてある。労働者階級の自己解放闘争のもつ、この階級的=普遍的本質(階級的=国際主義的本質はその一環)について、われわれは絶対的確信をもち、それを一切の出発点、土台にすえていくのだということである」(九五年第一九回革共同全国委員会総会第五報告、『共産主義者』一〇七号所収)
 女性解放闘争は、帝国主義の階級分断と排外主義・差別主義攻撃と闘い、労働者階級の階級意識を高め、自己解放の力を内側から強化し、万国の労働者と被抑圧民族の団結をつくりだす闘いである。
 もともと、女性が女性であるということそのものの中に差別・抑圧の原因があるわけではない。社会生活の生産と再生産における自然発生的分業は必然的なものであり、これが女性の社会的差別・抑圧に転化するのは、社会の階級への分裂、私有財産制=階級支配の始まりと完全に一致する。
 生産力の発展と剰余生産物の社会的形成をテコに私有財産が発生し、他人の労働の搾取者と被搾取者への社会の分裂、階級社会への移行によって、女性の社会的地位に根本的な転換(エンゲルスの言う「女性の世界史的敗北」)が起こったのである。(エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』)
 生産手段の私有財産化と同時に、生命の再生産(妊娠・出産と乳児期育児)を担う女性があたかも生産用具=私有財産とみなされるようになった。私有財産の維持・相続のための家族は、妻を単なる生殖用具とした。自然的な男女の性的「差異」を、階級対立=社会的分業に従属的に包摂した家族制度・家族イデオロギーによって女性は「家内奴隷」となった。階級社会は個別家族に始まり国家に総括される。家族は、国家統治の基盤であり基本単位である。
 この家族主義のもとで社会構造としての性別役割分担が制度化され、制度的・イデオロギー的に「男性は性的欲求をもち、女性は性的対象である」「女性は性的存在である」などの女性蔑視(べっし)・差別意識が生産・再生産されてきたのである。

 ブルジョア社会とプロレタリアの家族

 私有財産は、資本によって完成し、私有財産の相続のための家族は、ブルジョア家族で完成した。一夫一婦制のブルジョア家族制度こそが、最も女性を差別・抑圧される存在にしたのである。
 「家族の廃止だと! もっとも急進的な人びとさえ、共産主義者はこんな恥知らずな意図をもっているといって激怒する。現在の家族、すなわちブルジョア家族は、いったい何に基礎をおいているか? 資本、私的営利に基礎をおいているのだ」「旧社会の生活諸条件は、プロレタリアートの生活諸条件においてはすでに破壊されている」「プロレタリアの妻や子にたいする関係はもはやブルジョア的家族関係とはなんの共通点もない」「近代工業が発達すればするほど、それだけ男性の労働は女性と子どもの労働によってますます駆逐される。性や年齢の違いは、労働者階級にとってもはや社会的な意味をもたなくなる。年齢や性の違いによって費用が異なる労働用具があるのみである」(『共産党宣言』)
 『共産党宣言』が明らかにしたように、階級性を抜きにして家族一般を語ることはできない。ブルジョアの家族とプロレタリアの家族は違う。にもかかわらず、プロレタリア家族もまた家族である。プロレタリア家族は全員が、労働力として資本の搾取材料とされる。その中でプロレタリア女性は、自分自身が賃金奴隷として搾取されながら、家庭にあっては労働力の生産=再生産(家庭の維持・出産と育児)の役割を主要に担わざるをえない「二重の抑圧」のもとにおかれる。妻や母が賃金労働者として動員され、資本の搾取が極限的に強められる中で、プロレタリアは無家族状態を強制される。
 資本主義・帝国主義の打倒によって、ブルジョア家族とその補完物であるプロレタリアートの強制された無家族状態と公的売買春がなくなり、単なる生産用具とされた女性が解放される。資本の支配、私有財産の支配が続き、プロレタリアートが賃金奴隷として抑圧されているかぎり、プロレタリア女性の「二重の抑圧」からの解放はない。だからブルジョア社会のもとでの女性差別・抑圧との闘い、革命的女性解放闘争は、資本主義・帝国主義を打倒する闘いに発展せずにはおかないのである。

 女性の真の解放はいかにして可能か

 家族制度・家族イデオロギーの本質

 家族制度・家族イデオロギーは、女性を「生産の用具」「性の対象」とみなす女性蔑視の根源である。家族主義は、国家主義・排外主義と根っこが同じであり、帝国主義のイデオロギーであり、さらにいえば侵略戦争・帝国主義戦争のイデオロギーである。国民総動員のために「靖国の母」「銃後のまもり」として家族を動員の単位とするのである。家族制度・家族イデオロギーは、帝国主義のもとでの女性差別・抑圧・分断・動員攻撃である。
 プロレタリア家族の現実の悲惨は、賃金奴隷制と結びついた家族ならざる家族を強制するブルジョア社会の家族制度の産物である。プロレタリア人民に家族愛がないから、家族の価値を否定しているから家族が崩壊しているのではない。個人主義やフェミニズムの思想と運動が家族を崩壊させているのでもない。資本主義・帝国主義がプロレタリア女性と子どもを安価な労働力として徹底的に動員し、搾取を強める中で、プロレタリア家族を崩壊に追い込んでいるのである。
 したがって、プロレタリア家族の悲惨の解決は、女性差別・抑圧と犠牲の上にある「家内平和」にはない。女性の「母性愛」「家族愛」を賛美するのは家族主義攻撃であり、姿をかえた女性差別・抑圧攻撃である。
 プロレタリアの家族を貫いているのは、賃金奴隷制、労働力商品化の論理である。

 プロレタリア女性の「二重の抑圧」からの解放と家族の廃止・止揚

 「家族の廃止」とはまずもって、ブルジョアジーにとってしか存在しない完全に発達した家族、いいかえると私有財産の相続を軸になりたっている一夫一婦制家族、または私有財産制度を支える重要な要素としての一夫一婦制家族である現代の家族の廃止である。そして、もともと家族そのものを破壊され、奪われているプロレタリアートにとっては、そうした家族ならざる家族の廃止ということである。
 家族の廃止・止揚とは、積極的に表現すれば、私有財産制から完全に解放された家族関係の形成(男女の関係、親子の関係)を意味する。賃労働から解放された男女の関係、親と子の新たな関係の構築、すなわち豊かな関係を形成していくこと、人間的共同性の回復をかちとっていくことである。
 このことは、遠い将来の課題としてあるのではない。戦争と大失業は、プロレタリア家族を無残に崩壊させずにはおかない。プロレタリア家族の子どもや高齢者、そして出産・育児期の女性たちの生活と権利を防衛することは、労働者階級の死活のかかった課題である。女性の解放と「家族の廃止・止揚」の闘いは、現在的には労働者人民の階級的団結の中で男女と親子が一つの隊列を形成し、階級的・革命的に決起することにある。

 30年代ドイツ階級闘争の敗北の教訓

 日帝・小泉の国家主義・排外主義と差別主義攻撃は、戦後革命の副産物としての「反戦教育」や「人権・平等・平和」意識の解体を標的にしている。あらゆる差別主義をあおりたてつつ、家族主義をつかって女性差別・抑圧・分断・動員攻撃を激しく強めている。
 日帝・小泉の攻撃と対決する上で、二九年世界大恐慌に続く三〇年代ドイツ階級闘争の敗北の教訓を学ぶことが重要である。
 一九三二年、ナチスは選挙で第一党にのしあがり、三三年にはナチス・ヒトラーのファシスト政権が成立した。このときナチスを選挙第一党におしあげたのは、「社会ファシズム論」でナチスへの武装解除を強制したスターリン主義の裏切りによるものであり、新しい指導部の未形成と労働者人民の絶望感、そして何よりも新有権者(青年男女)と女性票の動きだったと言われている。
 ナチス・ヒトラーは、権力掌握直後に憲法を停止し、国会放火事件をデッチあげ、共産党員と社民党員を逮捕し、労働組合を非合法化した。逮捕権を与えられたナチス突撃隊は、労働者人民数千人を逮捕し、白色テロで暗殺していった。
 ナチスを権力の座に押し上げた女性大衆は最初からナチス支持層だったわけではない。そもそもナチスは、一九一七年ロシア革命とそのもとで発展していた女性解放闘争を憎悪し、「女性解放なるものは、ユダヤの知性が発見したものだ。その内容には共産主義の精神がしみこんでいる」などと反共主義・排外主義と一体となった女性差別を扇動した。また「婦人参政権の廃止と女性の公職追放」「二重所得家族の摘発」を掲げ、女性大衆に真っ向から敵対した。当然、ナチス運動の初期には女性の多数派はナチス嫌いであった。
 では、何が女性大衆をナチス支持層に変化させたのか。当時のブルジョア婦人運動組織であるドイツ婦人団体連合は、十九世紀の創立以来、政治的中立主義(党派嫌い)をモットーとし、三〇年代初期に三十二万人以上の会員を擁していた。「市民は、崩壊状態にある労働者層の家族の正常化に熱意をもつべきである。家族は社会や国家の基盤である」「母性原理こそ家族の崩壊を救済する」との認識と路線を持っていた。この家族主義・母性主義は、ナチスの国家主義・排外主義と結合した「女性の役割は母親である」という扇動の前に無力であった。
 ナチスは「女性の主張に反対しているのではなく家族と国家に賛成している。女性はまず深刻な脅威にさらされた家族のために闘うべき」とブルジョア婦人運動を組み伏せていった。「母性原理は平和主義である」というスローガンも援用された。
 ナチスは、東方ヨーロッパへの侵略、旧領土の回復、反共主義、共産主義者への弾圧、思想弾圧のすべてを「家内平和」「国内平和」のための行動と宣伝した。ナチスの宣伝は、帝国主義の国家主義・家族主義の延長にあった。母性主義や家族主義に屈服したブルジョア婦人運動は、容易にナチスの国家主義・排外主義の扇動に動員されていったのだった。
 戦争と大失業の時代には、労働者人民は街頭にほうり出され、労働者家族は崩壊し、子どもや高齢者、女性に過酷で悲惨な現実が強制される。家族の悲惨は「母性原理」の回復によってではなく、家族とともに家族を超えた階級的団結によってしか解決しない。激動期においては、女性大衆の動向はまさに「革命か、反革命か」の成否を握るのだ。
 一九三〇年代のドイツにおいては、戦争への国民動員は典型的に、国家主義・排外主義と結合した家族主義の扇動をもって推進された。世界大恐慌と新たな世界戦争の時代が始まり、革命情勢が急速に接近してきている今日、家族主義と闘い、女性差別と闘ってプロレタリアートの階級的団結を強化し、女性大衆の巨大な革命的決起をつくりだすことは急務である。
 あらゆる女性差別・抑圧・分断を許さず階級的に団結して闘おう。原則的にブルジョア家族制度の「廃止・止揚」の旗をかかげて闘おう。プロレタリア国際主義の旗をかかげ、自国帝国主義の敗北・打倒の闘いに決起しよう。革共同第六回大会の路線のもと、革命的女性解放闘争の大前進をかちとろう。闘う女性は革共同に結集しよう。
〔参考文献『共産主義者』一〇七、一一一号 林佐和子論文〕 

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週刊『前進』(2029号6面2)

2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き 10月24日〜30日
 小泉「誤爆もやむをえない」 テロ対策特措法など3法成立

●自衛隊派兵2年超も 小泉純一郎首相が参院の連合審査会(外交防衛、国土交通、内閣委員会)で、自衛隊を派兵する期間について「テロリストは世界に何十人散らばっているか分からない。長期戦を覚悟している。二年で終わっていなかったら、その状況を見て判断する」と述べた。テロ対策特措法案は施行から二年で失効するが延長も可能。またアフガニスタンでの米軍の「誤爆」について「テロリストだけ攻撃できればいいが、軍事施設を狙っても百パーセント確実に標的に当たるとは限らない」と「誤爆」もやむをえないとの考えを示した。(24日)
●地位協定「運用改善で対応」と小泉 小泉首相は参院連合審査会で日米地位協定の改定問題について「運用の改善でできるだけ納得できる解決策を講じようということだ。今はうまく機能」と述べた。(24日)
●防衛秘密指定案件は非公表 防衛庁の首藤新悟防衛局長が参院外交防衛委で、自衛隊法改悪案に盛り込まれた「防衛秘密」について「個別の指定について公開することは考えていない」と述べた。(25日)
●米、ミサイル実験を延期
 ラムズフェルド米国防長官が会見で、ミサイル防衛(MD)開発の実験を延期する方針を発表した。米ロ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に違反するおそれがあるためと説明し、十一月の米ロ首脳会談で同条約の改廃問題が話し合われると語った。(25日)
●タリバン後に多国籍軍とパウエル パウエル米国務長官が上院外交委で、アフガニスタンのタリバン政権打倒後について、国連による暫定行政機構のもとで、アフガニスタン各派の戦闘停止を条件に「複数の国が自発的に治安維持部隊を派遣する多国籍軍方式実現に期待」と述べた。(25日)
●反テロ法案米上院通過
米上院本会議が、捜査当局に盗聴権限の大幅な拡大などを認める「反テロリズム愛国法」案を九八対一で可決。法案はすでに下院を通過しており、ブッシュ大統領が法案に署名し次第、法として成立する。(25日)
●イージス艦「一般的情報提供は可能」 中谷元・防衛庁長官が参院外交防衛委で、自衛隊のイージス艦が収集した情報を米軍などに提供することについて「結果として他国との武力行使との関連があっても、一般的な情報提供である限り、武力行使との一体化は生まれない」との見解を示した。自衛隊の艦艇は米軍と情報を瞬時に交換できる「データリンク・システム」を装備している。(25日)
●代替基地リーフ外案を除外 沖縄県にある米軍普天間飛行場の代替施設の三工法八案について、政府は建設費や工期、維持管理費のかかる名護市辺野古沖のリーフ外三案を、代替案から除外する方針であることが分かった。(25日)
●小泉「9条議論すると混乱」 小泉首相は記者団に「本格的な憲法論議をすると、ますます混乱してくるでしょう。自衛隊は違憲という人も合憲という人もいて。憲法論議を最初からするといろいろ問題が出てくる」などと述べた。(26日)
●自衛権行使「他国で可」と法制局 津野修内閣法制局長官が参院外交防衛委で外国で武力行使をすることが個別的自衛権の行使として許されるかについて「他国の領域における(自衛隊の)武力行動で自衛権発動の要件に該当するものがあるとすれば憲法上の理論としては許されないわけではない」と述べた。(26日)
●4隻をインド洋へ派兵
防衛庁が、インド洋で米軍の後方支援を行うための情報収集を目的として、護衛艦三隻、補給艦一隻を先行して派兵する方向で検討を始めた。早ければ十一月中にも出港し、二〜三週間でインド洋のディエゴガルシア島付近へ到着。(27日)
●キティホーク艦載機が嘉手納に飛来 米軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする空母キティホークの艦載機二十一機が相次いで沖縄県の米空軍嘉手納基地に飛来した。(27日)
●参戦3法案が成立 テロ対策特措法、自衛隊法改悪、海上保安庁法改悪の参戦三法が参院本会議で、自民、公明、保守の与党三党などの賛成多数で可決、成立した。政府は十一月中旬の閣議決定を目標に、具体的な活動内容などを定める基本計画づくりに着手した。(29日)
●米艦船と情報共有「憲法上問題なし」と防衛庁 防衛庁首脳は、米艦船と情報を共有し、自衛隊が提供した情報に基づいて米艦船が飛来したミサイルを撃ち落としたとしても、武力行使の一体化にはあたらず、憲法上の問題はないとする見解を示した。(29日)
●東ティモール自衛隊派兵は2月 政府は、来年二月に東ティモールで展開予定の国連平和維持活動(PKO)に自衛隊六百人派兵の方針を固めた。(30日)
●ヘリ搭載護衛艦を派遣
政府はインド洋派遣自衛艦の第一陣にイージス艦は見送り、ヘリ搭載護衛艦とする方針を固めた。(30日)

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週刊『前進』(2029号7面1)

佐世保・小牧に全国学生は総結集せよ
イスラム諸国人民の血叫びにこたえ 自衛隊アフガン侵略出兵阻止
 基地包囲する数千の大デモを
  マルクス主義学生同盟中核派

 十月二十九日、日帝・小泉政権はアフガニスタン侵略戦争に参戦する法律を参院本会議で可決・成立させた。そして十一月十六日をめどに基本計画を策定し、それに先だつ八日にも護衛艦など四隻を佐世保から派兵しようとしている。いまや日本階級闘争は、歴史的決戦を迎えている。この出兵は何のためか。アフガニスタン人民虐殺のためだ。人民の頭上にたたき込まれる殺人兵器を、自衛隊が米軍の基地や艦船に運び込むというのだ。こんなことを認めてしまうのかどうか、ここに全問題が凝縮されて突きつけられている。アフガニスタン人民は百万人規模の餓死と凍死を目前にして闘っている。イスラム諸国人民が警察や軍隊の銃撃にもひるまず立ち上がっている。この血叫びにこたえて、学生こそが命がけの決起をやり抜くときである。佐世保・小牧出兵阻止の大決戦を総力で闘おう。

 ストライキ闘争の爆発から現地大結集運動巻き起こせ

 日本帝国主義がついに本格的な侵略戦争に踏みきった。自衛隊を出兵させ、虐殺を担う。そこに向かって国家権力の全機構が転換していこうとしている。自衛隊はインド洋ディエゴガルシア島にある米軍基地に燃料や物資を輸送・補給するために、補給艦二隻と護衛艦三〜四隻で構成する千人規模の艦隊を佐世保から出兵させようとしている。また小牧基地からは米軍基地間をピストン輸送するC130輸送機三〜六機、百人弱の派兵が予定されている。さらに米軍基地の防衛として、イージス艦とP3Cの出兵ももくろまれている。この侵略出兵を実力で阻止しよう。
 闘いの方針は、第一に侵略出兵のその日、数千人の労働者・学生の大デモをたたきつけ、基地を包囲し、周辺一帯を騒然たる状況にたたき込んで派兵を阻止することだ。その最先頭に全学連の大部隊が立つのだ。十一月八日にも、自衛隊がアフガニスタン人民虐殺のために、日本を発つ。この瞬間に、腹の底からの怒りを爆発させよ。労学の大デモ隊で阻止闘争をたたきつけるのだ。佐世保―小牧に全国のキャンパスから根こそぎの決起をつくりだし、命がけの阻止行動をやるのだ。
 イスラム諸国人民が民族の権利と命を奪われ続けてきたことに対して、決死の思いで帝国主義に怒りの矢を突き刺した九・一一。あの怒りの決起になんとしてもこたえる決意を示そう。出兵のその時、機動隊と自衛隊の戒厳体制で抗議の声一つあげさせない暴力支配を打ち破り、「闘うイスラム諸国人民と連帯し、米日帝のアフガニスタン侵略戦争を阻止せよ」を掲げた労学の大部隊で基地一帯を包囲・制圧しよう。それが日本階級闘争の革命的転換と飛躍を切り開いていくのだ。その中でくり返し自衛隊の隊内決起を呼びかけ、自衛隊出兵を内部から解体する反軍闘争を組織しよう。
 第二に、大学キャンパスで自衛隊のアフガニスタン侵略出兵に対する態度を一人の例外なく突きつけ、行動を呼びかけることだ。その最大の闘いがストライキ闘争である。学生こそが先頭で行動し、情勢をこじあけていくのだ。
 第三に、十一・一一労働者集会が決定的である。自衛隊のアフガニスタン出兵と対決し、また戦時体制の構築を打ち破っていく労働運動の新たな潮流の歴史的登場となる。学生も全力で結集し大成功させよう。
 第四に、アフガニスタン侵略戦争の出撃拠点である沖縄米軍基地に対する闘い―本格的な侵略戦争に踏み出した日帝を打倒する戦略的な環である沖縄闘争を、派兵阻止闘争と一体で闘うことだ。日帝は名護新基地の工法を決定し、ついに建設に動き出そうとしている。全学連は名護新基地建設阻止を今こそ闘わなくてはならない。
 第五に、独立行政法人化阻止の大学闘争、自治会運営、党派闘争、党勢拡大などの闘いを、派兵実力阻止の現地闘争の大爆発・大結集とそこに向かってのキャンパス闘争の大爆発の力で前進させることである。

 大量殺りく兵器で民族虐殺くり広げる強盗戦争許すな

 出兵阻止決戦の爆発のために確認したい第一は、このアフガニスタン人民虐殺のための自衛隊出兵を許すのかどうかが、一人ひとりにごまかしようもなく突きつけられているということである。もはや論評しているときではない。断固として現地闘争に立つことがすべてなのだ。
 一つに、アフガニスタン侵略戦争の許しがたい実態を許せるのか、これを自衛隊が担っていくことを許すのか、ということである。アメリカ帝国主義は連日連夜、大虐殺をくり返している。その対象は飢えと水不足と寒さに耐えて生きぬいている子ども、老人、女性、男性たちである。この人びとにクラスター爆弾やバンカーバスターをたたき込んでいる。
 クラスター爆弾は落下する前に空中で分裂、中に入っている数百個の子爆弾が数百bの範囲にばらまかれ、あたり一面の人間を一人残らず殺傷するというものだ。ユーゴ侵略戦争でこれを大量に使用した米帝は、一万五千発もの不発弾を残し、戦闘終了後も何百人もが不発弾で死傷している。
 バンカーバスターは劣化ウラン弾の一種であり、地下壕に避難する人びとを皆殺しにし、爆破後も放射能汚染によって被ばく者を生みだす。大量の破壊と殺りくを行った上、その地域を人間が住めなくする兵器を使用しているのだ。それらを連日、民家、住宅地、避難する住民を満載したトラック、高齢者施設や病院などにも投下しているのだ。
 さらに十月三十一日からはB52戦略爆撃機によるじゅうたん爆撃をも開始した。米帝はアフガニスタン人民の無差別殺りくを目的とした爆撃を日々エスカレートさせているのだ。
 二つは、この戦争が中東・中央アジアの支配をめぐる争奪戦、帝国主義的な強盗戦争として強行されていることをどうして許せるのか、ということだ。日帝は対米対抗的にものすごいエネルギーを投入してアフガニスタン侵略戦争に参戦し、中東・中央アジアの再分割戦に参画しようとしているのだ。
 ソ連崩壊以降、支配の空白地として出現したこの石油と天然ガスの宝庫を、九・一一以前から、帝国主義各国はロシア・中国も巻き込みながら激しく分捕り合いを演じてきた。アメリカ帝国主義は、イラン・イラクといった湾岸地域の軍事的封じ込めを強力に展開する中で、タリバンを支援してアフガニスタンとの関係を形成し、パイプラインを建設することでこの地域を支配しようとなぐり込みをかけてきた。
 しかしこの地域はロシアがソ連時代からのパイプラインを維持し、中国スターリン主義がカザフスタンとのパイプライン建設を進めるなど、激しいやり合いの続く地域でもあった。日帝もまたこの間激しく介入を強めており、九九年のODA支援額はカザフスタン・キルギス・パキスタン・ウズベキスタンで日本が一位となっている。アフガニスタンに対しても今年に入ってからもタリバンと北部同盟両派を東京に招いたり、外務省がアフガニスタンを訪問するなど、必死で権益に食らいつこうとしてきたのだ。
 こうした状況にアメリカ帝国主義は激しい焦りを募らせ、圧倒的な軍事力でタリバン政権を転覆し、かいらい政権をデッチあげようとしている。そして豊かな資源を独占的に確保し、日欧との争闘戦での圧勝を狙い、さらには中国スターリン主義転覆の世界戦略にとっても決定的な足場を築こうとしているのだ。
 日帝もまた九・一一直後から動き始めた。パキスタンに四十七億円の支援を即座に決定し、タジキスタンに二億四千万円の支援を伝えた。さらに高村元外相をイランとサウジアラビアに、杉浦外務副大臣をパキスタン、鈴木宗男をタジキスタンとウズベキスタン、橋本をエジプト、森をインドへと派遣し、独自工作を激しく行っているのだ。
 そして何よりも、日帝がタリバン政権転覆後の「アフガン復興会議」を東京で開催し、そのヘゲモニーを握ろうとたくらんでいることは、日帝の勢力圏化の思惑を鮮明に映し出している。こんな出兵を許すわけにはいかない。
 三つに、自衛隊の現地での侵略活動を認めるのか、ということである。二十九日に成立した参戦三法は驚くべき内容である。テロ特措法は「国際的なテロリズムの防止および根絶」が目的とされ、帝国主義の世界秩序に刃向かうものを有無を言わさずせん滅する、という極悪の戦争法である。米帝はイラクや北朝鮮を「ごろつき国家」と呼んで戦争体制をとり続けているが、そうした戦争に今後参戦していく道を開くものだ。
 しかもその活動範囲は無限定だ。小泉は「危険なところにも行ってもらう」と言っている。危険なところとは、パキスタンなどの反帝闘争が燃え広がっている地域のことだ。小泉はそうした闘いが当然にも自衛隊にたたきつけられることを見越して、これに虐殺をもってこたえようとしているのだ。日帝はアフガニスタン人民、イスラム諸国人民を虐殺することをとおして、侵略軍隊に転換していくことを意識的に追求しているのだ。
 こうしたもくろみに立って、自衛隊はアフガニスタン人民の命と生活を破壊するための弾薬や戦時物資を、次々と米軍基地や艦船に運び込む役割を担っていくのだ。クラスター爆弾やバンカーバスターも輸送する。米軍基地や補給艦の護衛として、イージス艦の派兵が追求されている。
 四つに、この戦争の階級的歴史的本質は何か。これにどう立ち向かうのか。この戦争は米帝が二九年型世界大恐慌の現実化とブロック化、帝国主義間対立の非和解化の時代への突入に恐怖し、被抑圧民族人民の民族解放闘争を暴力的に圧殺する大規模な侵略戦争である。米帝の世界支配の危機を凶暴な軍事力で維持しながら、崩壊したスターリン主義と残存スターリン主義圏の取り込みをめぐる争奪戦に勝ち抜き、世界経済のブロック化の死闘の中で他帝国主義のたたきつぶしを図ろうとしているのだ。
 これによって帝国主義は、破産したスターリン主義の大混乱、被抑圧民族人民の怒りの爆発、そしてその支配をめぐる帝国主義同士の争闘戦の激烈化と非和解化として、帝国主義の基本矛盾を第三次世界大戦として爆発させていくしかない。反スターリン主義・革命的共産主義の闘いこそが、世界史の前面におどり出なくてはならない。

 第三次世界大戦の重大危機突き破る国際反戦闘争を

 出兵阻止決戦のために確認したいことの第二は、アフガニスタン人民、イスラム諸国人民、全世界のプロレタリアートの反帝決起がものすごい勢いで燃え広がっていることである。日本帝国主義は米帝とともに、この闘いを根絶する大戦争を先頭で担おうとしているのだ。出兵阻止決戦を命がけで闘うことこそ、イスラム諸国人民と連帯する唯一の道である。
 一つにイスラム諸国人民の決死の闘いの爆発に絶対にこたえよう。アフガニスタン人民は百万人規模の餓死と凍死を目前にして、空爆に怒りを爆発させて闘っている。パキスタン人民がものすごい闘いに立ち上がっている。万単位の義勇兵が国境を越えてアフガニスタンに乗り込もうとしている。二十九日には武装した二千人のパキスタン人民が北部の空港を実力占拠して闘った。さらにアフガニスタン侵略戦争と呼応してイスラエルがベツレヘムに侵攻し、パレスチナ人民の大虐殺を強行していることに対して、パレスチナ人民は連日銃を持ち、爆弾を持って、決死の闘いで迎え撃っている。ほかにも、インドネシアやフィリピンも含めて、イスラム諸国全土で怒りは充満し、ものすごい決起が始まっている。
 二つに、開始されたアメリカ労働運動の高揚に連帯して闘おう。アメリカ労働運動は、二十年以上の悪戦苦闘の中で、帝国主義的労働運動を瓦解(がかい)させ、既成大労組内に三分の一勢力のフラクションを持つ労働者活動集団がその核のひとつになって階級的前進を開始した。ここにアフリカ系アメリカ人社会と移民コミュニティーが合流し、内乱化していく構造が生みだされているのだ。これをたたきつぶす国内階級支配の抜本的強化の側面からも、米帝は排外主義を大扇動して「テロ根絶」を叫び、侵略戦争に突入しているのだ。
 労働組合活動家集団レイバーノーツは、報復戦争反対を打ち出し、米国内のポグロムと激しく闘っている。十月十四日には全米電機労組が戦争反対の声明を発表し、十六日にはカリフォルニア州バークレー市議会で戦争停止決議が上がった。全米で反戦闘争が巻き起こりつつある。これと昨年夏に十三大学で「反搾取労働」を掲げて学長室占拠闘争を闘ったアメリカ学生運動が結合したとき、一気に内乱が表面化していくのは必至の情勢なのだ。
 三つに、国際反戦闘争の重要な一翼として、世界革命の展望をかけて、日本帝国主義の侵略戦争を内乱に転化する歴史的決戦に決起していこう。
 米帝ブッシュは九・一一に対して「これはテロではなく戦争だ」と言い、「テロ組織を根絶するまでこの戦争は続く」として、数年〜数十年がかりの戦争をやるとしている。このことの重大性をしっかりとつかまなければならない。これは第三次世界大戦の始まりとも言うべき大戦争なのだ。
 アメリカ経済は昨年以来急速な崩壊の過程にある。企業業績は刻一刻と悪化をたどっている。設備投資もマイナスとなり、ここへきて一般消費も落ち込み始めた。七―九月期は八年半ぶりのマイナス成長となった。七四〜七五年恐慌以来、くり延べてきた過剰資本・過剰生産力の矛盾は、ついに九〇年代に入って軍事を前面にした帝国主義間争闘戦が軸となり、巨大な金融バブルが経済全体を支えるところにまで行きついた。そのバブルの崩壊が始まった今、世界経済の分裂化とブロック化から二九年型世界大恐慌は不可避である。帝国主義戦後世界体制はロシアやスターリン主義を巻き込んで、第三次世界大戦に行きつく以外ないきわめて深刻な危機に直面しているのだ。ブッシュ政権は、このことを見据えて先制的に侵略戦争、世界戦争に訴えることで延命していくことを基本戦略として登場したのだ。
 また同時に米帝の中東支配は危機と破たんを迎えていた。米帝は第二次大戦後、イスラエルを軍事基地国家とし、イランをかいらい国家としていくことで中東石油を思いどおりに支配しようとしてきた。七八年イラン革命が勝利すると今度はイラクをけしかけてイランと戦争をさせ、九〇年にイラクがクウェートに侵攻すると今度はサウジアラビアに米軍が直接駐留し、二十万人を虐殺するイラク侵略戦争を強行した。他方でイスラエルに対して投石とゲリラで闘い続けるパレスチナ人民には、九〇年代に入って「中東和平工作」としてパレスチナ全域のわずか一〇%の自治区域にパレスチナ人を封じ込め、一切の解放闘争を解体しようとしてきた。これは新たなインティファーダの爆発で粉砕されたが、イスラエルのパレスチナ人民虐殺はエスカレートし、今年だけでもすでに七百人以上が虐殺されている。八月にはPFLP議長であるムスタファ氏にミサイルを撃ち込んで命を奪う暴挙を行った。
 このように民族自決を否定し虐殺を繰り返す米帝に対して、中東人民、イスラム諸国人民の苦しみと怒りは完全に臨界点を越えた。それが九・一一として大爆発したのだ。米帝はグラグラになりながら民族解放闘争の絶滅までやり抜く戦争として、アフガニスタン侵略戦争を決断した。このことはさらに全矛盾を爆発させ、第三次世界大戦に行きつき、すべての労働者人民と被抑圧民族の帝国主義に対する怒りが全面的に燃え上がるものとなる以外ない。この巨大な情勢と真っ向から対決し、今こそ「闘うイスラム諸国人民と連帯し、アフガニスタン侵略戦争を阻止せよ」のスローガンを掲げ、国際反戦闘争の先頭で闘うときである。

 内乱情勢切り開く大闘争を

 出兵阻止決戦の爆発のために確認したいことは第三に、侵略出兵と一体で、国家に刃向かうこと自体が犯罪であり、罰則の対象であるとする戦前型の暗黒社会への転換が始まっていることである。これを正面から打ち破る出兵阻止決戦に立ち上がろう。
 侵略出兵とともに自衛隊法の改悪などの戦時体制の確立、そして国際組織犯罪条約を始めとする治安弾圧の激化、さらに一大資本攻勢の攻撃が一気に襲いかかっている。沖縄は最も激しい戦時治安体制下におかれている。
 日帝・小泉の階級戦争の攻撃に対して、日本共産党や連合などは労働者階級の利害を完全に売り渡し、帝国主義者の立場から「テロ弾劾」を唱和している。
 こうした戦時的情勢―社共、連合の翼賛状況を決定的に打ち破る闘いとして自衛隊の侵略出兵に対して、佐世保現地で、小牧現地で、公然と自国帝国主義の敗北を掲げた学生の大部隊を登場させよう。治安体制をずたずたにしてやろう。それは労働者人民の怒りの矛先を示し、必ずや壮大な内乱情勢をつくり出すものとなる。十一月、佐世保・小牧現地闘争をその突破口として打ち抜こう。

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週刊『前進』(2029号7面2)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
 番外編 証言
 在日朝鮮人被爆者 朱碩(チュソク)さんに聞く
 植民地の朝鮮から広島へ 差別と闘い反戦語り継ぐ

◆十奪政策
 私は七十五歳です。一九二六年、日本帝国主義の植民地であった朝鮮に生まれました。一九四〇年、十四歳の時に日本に来ました。
 少年時代、当時朝鮮人が行く学校は普通学校と言いましたが、毎朝の朝礼では「東方遙拝(ようはい)」、天皇陛下に最敬礼をして「皇国臣民の誓い」です。
 日本は中国で「殺し尽くせ、焼き尽くせ、奪い尽くせ」という三光作戦をやりました。朝鮮植民政策は十奪(じゅっだつ)です。
 創氏改名、日本式に名前を変えろ。名前を変えなかったらどうなるか、配給もらえません。学校入れてくれません。差別です。
 朝鮮語を使うな。子ども同士で朝鮮語で話しているのを先生が聞きましたら、「何しゃべってるんじゃ、気をつけじゃ」、鼻血が出るほどたたかれました。
 日本語が国語、朝鮮語は国語ではありません。四年生の四月の終わりごろ、朝鮮語の先生が時間に来ない。がやがやしていたら日本人の校長先生が来た。「きょうから朝鮮語の授業はしない。机の間をずーっと通るから教科書をこの上に置きなさい」。教科書を取り上げられました。
 それから自由、人権を奪われ、生活、土地、文化、歴史、風俗を奪われ、資源を奪われました。保守系の政治家が「道路を造って、鉄道を敷いてやった」という。あれは善政じゃない、資源を没収するためです。積んで積んで朝鮮米をどれほどかっぱらいましたか。
 それから命を奪った。命を奪ったということでは、特に朝鮮人被爆者について触れます。朝鮮人が好き好んで日本に来たのかという問題です。
◆なぜ朝鮮人被爆者か
 おおもとは一九一〇年の韓日併合です。その次は朝鮮人強制連行です。どのくらい連行したか。鳥取県、島根県の総人口、二つの県が空っぽになるほど。百五十三万人を連れてきてこき使った。
 広島の高暮(こうぼ)ダム、中国山地の奥です。その雪深い谷に朝鮮人を二千人引っ張ってきた。板の間にむしろを敷いてセメント袋を被って寝たんです。追跡調査をやった高校の先生は、ダムの堰堤(えんてい)にはセメントの中に埋められた朝鮮人のミイラが二百以上あるはずだと断言しました。
 三菱造船にも強制連行。強制連行がなければ、朝鮮人被爆者は出ません。被爆当時、広島には約九万人の朝鮮人がいた。七万人の朝鮮人が被爆し、三万人が殺された。生き残った四万人のうち、二万人ほどが帰って行きました。在韓被爆者です。広島や長崎におった朝鮮人は被爆してもうひとつ悲しみが増えた。
◆生活できずに日本へ
 うちの場合は強制連行ではないんです。結婚して一反の田んぼをもらって分家しても、五人の子ども、私と弟、妹が三人、労働力がありません。日本に行けば一月に十円ぐらいは仕送りができると、父は三十円前借りをして日本に渡った。しかし生活のための十円は来ない。母が泣き、暗い家庭になりました。
 私だけが字を知っていますから「どうにも生活できません。私らを日本に呼んで下さい」と手紙を出す。それで日本に来ました。
◆8月6日被爆――弟よ!
 被爆の時は私、十九歳でした。爆心地から直線距離で十`ぐらいの所でした。
 私の弟は「学徒報国隊」でした。男子校の一年生で、貧乏な家から学校に行かせてもらい、弟も喜んで真面目に行きよったです。
 前日の八月五日は日曜日、天気晴れ。その夜は三十分おきぐらい、警戒警報のサイレンが鳴るんです。
 翌朝、私の左側で寝ていた弟が私の腹を揺すりながら「兄ちゃん、あんね僕な」と言う。「眠いんじゃ黙れ」と言うと手を引っ込めて、またやる。どうしても言いたいことがあるんです。「僕きょう休む」
 理由も聞かずに私は起き上がって「立て、なに休む!」と弟をたたいた。不良は学校をさぼることから始まるんだ、根性をたたき直そうと思ってたたいた。弟はセメントの玄関にばたんと倒れた。頭から血が出て、「にいちゃん、痛い」と大声で泣く。それでも「芝居するな、立て」と外に押し出した。
 弟はあの朝、朝ご飯を食べていない、弁当も持っていなかった。二回も三回も恨めしそうな顔で振り向くんです。その振り向く顔に、私が腹を立てて、石を投げた。
 私に追い出されて、そして弟はきょうまで帰って来んのです。
◆「原爆が弟さん殺した」
 「私が殺した」と修学旅行の生徒に話すと、涙をふきながら、「それは朱さんが殺したん違うよ。原爆が弟さんを殺したんよ、戦争が殺したんよ」と言ってくれます。
 私は長生きしました。でも死にたくない、怖いです。あの世に行ったら弟がいます。年に二、三回は夢を見ます。頭から血を噴き出し、腹わたを抱えて弟が「兄ちゃんが行けゆうてこうなったんじゃ」と。自責の念です。その朝のことを父にも母にも死ぬまで話せませんでした。
 弟を捜して、私はその日からずっと市内を歩いて、歩いて、くまなく捜しました。でもだめですよ。傷ついて倒れていても、顔を見ても弟だとわかりません。日が暮れて「兄ちゃん来たぞ、返事しいや、どこじゃーっ」と叫ぶ。声がこだまして、涙が出てね。
 二、三日たつと死体が腐ってウジがわいてハエがわいて。泣く人、うめく人、「お母さん痛いよ、助けて」。平和資料館で皆さんはぎょっとするものがあるでしょう。でもあの惨状は表現できません。何千度の熱が伝わりましたか、痛い、助けて、水を――あの悲鳴を聞きましたか。
◆韓国人慰霊碑を冒涜
 朝鮮人被爆者は被爆によって二重三重の民族差別を同時に受けている。
 被爆から二十五年たった一九七〇年に韓国人慰霊碑を建てようとカンパを集め、韓国の石を韓国で削って文字を書いて、船で運んできた。そして広島市長に頼みに行ったら「平和公園の景観が損なわれる」と言うわけです。平たく言ったら汚れるというんでしょう。強制連行したんだから国の責任で謝って補償すべきを、こんな差別をする。
 一昨年七月二十一日に韓国人慰霊碑はやっと平和公園に入った。ところが慰霊碑の(台座になっている)石で造った亀の頭から首へ赤と黄色のペンキを塗って塗って塗りたくった。こんな冒涜がありますか。
◆10万人に語りたい
 家族七人、全部被爆しました。全世界の核がゼロにならなければ、私は許しません。戦争は本能的にきらい。戦争反対です。
 植民地時代に生まれ育って、差別されて、被爆したこの私が、戦争に反対し、行動に表さなければならないと思っています。「広島を語る会」で修学旅行生を相手に広島の話をしています。十六年前から始めて、今まで約千三百校、聞いてくれた人数は約八万六千人です。
 死ぬまでに十万人に語ることが私の執念です。

◎朱碩(チュソク)さん
 一九二六年、朝鮮に生まれる。四〇年来日、四五年八・六広島で被爆。四八年から九三年まで民族教育に携わる。阪神教育闘争の中で奮闘。「ヒロシマの語り部」として修学旅行生らに体験を語る。著書『被爆朝鮮人教師の戦後史』『「皇国臣民」廃業宣言』

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週刊『前進』(2029号8面1)

9・11ゲリラとアジアの激動
 韓国やインドネシアで燃える反米・反日闘争
 連帯し世界革命の勝利の道開こう

 九・一一反米ゲリラ戦と、それへの米英帝のアフガニスタン侵略戦争突入―日帝の参戦は、アジアに未曽有の大激動をもたらしている。米帝バブルへの依存によって九七―九八年危機からの一定の「回復」を図ってきたアジア経済は、再び激しい危機に陥った。何よりも、南朝鮮やインドネシアを始めとする闘うアジア人民は、民族的・人間的怒りを爆発させて反米・反日闘争に決起している。今回の戦争は、中東と中央アジア・カスピ海の勢力圏再分割をめぐるロシア、中国を巻き込んだ帝国主義的強盗戦争である。それは同時にアジア勢力圏をめぐる日米欧の対立を激化させ、第三次世界大戦の危機を現実化させている。今こそ闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民と連帯して国際反戦闘争を爆発させよう。反帝・反スターリン主義世界革命の血路を切り開け。

 97−98年超える危機に入ったアジア経済

 九・一一以降、アジア経済は全面的な危機を迎え、九七―九八年通貨・金融危機を超える大恐慌情勢に突入している。
 @アジア諸国の株価は総じて全面安に転じ、ニューヨーク株式市場以上の下落率となった。九・一一後の約二週間で、ニューヨーク・ダウ指数の一〇・八%下落に対し、シンガポール一八・五%、台湾一三・二%、マレーシア一二・七%、韓国一二・五%の下落となっている。また香港ではハンセン指数が初めて一万の大台を割った。
 A対米輸出の減少に一層の拍車がかかり、アジア経済は大打撃を受けている。輸出全体に占める対米輸出の割合は、香港、フィリピンの約三〇%をはじめ、台湾、韓国、タイ、中国などアジア諸国は軒並み二〇%を超えている。半導体や電子機器などIT関連が主力であり、対米輸出の増大が危機突破の唯一の望みであった。しかし、頼みの米帝バブルが崩壊し、今年に入って対米輸出は大幅減少に転じていた。九・一一はそれに追い打ちをかけるものとなったのだ。
 B台湾とシンガポールの失速が決定的である。タイ、インドネシアを始め全アジアを襲った九七―九八年危機の時にも、この両者はプラス成長を維持していた。それは、他の諸国以上にIT主力型産業構造と米日などへの対外輸出に依存した経済体制だったからである。しかし、逆にそのために昨年来の米帝バブル崩壊の打撃を最も激しく受け、ついにマイナス成長に転落した。特に台湾は、年初来、輸出・生産ともに大幅減となり、史上初めてのマイナスとなった。
 C米帝バブルの崩壊、日帝の長期不況化の中で米日資本の大リストラが激しく進行し、その一環としてアジア諸国でも大失業攻撃が襲いかかっている。すでに九七―九八年危機以降、南朝鮮・韓国の整理解雇攻撃を始め労働者階級への犠牲の転嫁が強行されてきた。その上で今、日立や東芝といった日帝電機資本、あるいはヒューレットパッカードやゲートウェイなどの米帝IT資本で大量解雇が行われ、同時にその世界的リストラ計画の一環としてマレーシアやフィリピン、シンガポールなどで首切りや工場閉鎖が相次ぎ、失業率が悪化している。
 Dさらに、観光や航空、サービス業などでの後退が顕著である。特に観光産業は、タイ、香港、シンガポールではGDPの五%前後を占めており、観光客の激減などで受ける影響はけっして無視できない。
 E通貨ではインドネシアルピアとシンガポールドルの下落幅が大きい。とりわけインドネシアは、九八年スハルト打倒時に匹敵する下落幅であり、メガワティ政権の体制的危機と直結するものになっている。
 九七年通貨危機以降、アジア各国は米帝バブル経済への依存を深め、半導体などIT関連部門の対米輸出の増加によって回復を図ってきた。それは、米帝が日帝のアジア勢力圏化を阻止するために、直接投資の増加など急速にアジアへの介入を進めた結果である。また欧州帝の対アジア政策も著しい展開をみせている。これに対し日帝は九八年から連続して対アジア直接投資を減少させるなど、アジア勢力圏化をめぐって後退を余儀なくされてきた。
 今回のアジア経済危機は米帝バブル依存のアジア新植民地体制経済の破たんを示した。米帝経済危機の世界的波及の最も鋭い切っ先がアジアを直撃した。それは日米危機へ逆流する形で、世界経済全体の収縮と分裂化・ブロック化を促進し、世界大恐慌の本格的爆発をもたらす。米日帝のアフガニスタン侵略戦争は世界大恐慌と相互規定的に一体化しつつ激烈な世界戦争へと拡大・発展していく情勢を生み出した。
 九・一一は米帝体制としての世界体制を震撼(しんかん)させ、その世界支配のかなめであり、かつ最大の矛盾点であるアジア新植民地主義体制の決定的崩壊を招来させた。今やアジアが最大の発火点になろうとしているのだ。

 資源と勢力圏めぐる日米欧争闘戦の激化

 米日欧帝のアフガニスタン侵略戦争は、ロシア、中国を巻き込んだ、中央アジア一帯をめぐる帝国主義の勢力圏分割、カスピ海周辺の石油・天然ガス資源をめぐる争奪戦でもある。この戦争は帝国主義の強盗戦争そのものである。そのために国際帝国主義は「テロ撲滅」を掲げてイスラム諸国人民の民族解放闘争を血の海に沈め、かつ帝国主義国の労働者階級を侵略戦争に総動員しようとしている。
 十月一日に米国防総省が発表した「米国防戦略見直し」(QDR)は重大である。それは、@九・一一反米ゲリラに対して「通常の戦力では抑止や防御が難しい非対称的脅威への戦略が必要」だとする一方、A「アジアで強大な軍事力を持つ競争相手が生まれる可能性がある。特に東アジア沿岸は安定を脅かす地域」と、米軍事戦略のかなめがアジアにあり、中国侵略戦争政策を基底にすえ対日争闘戦を徹底的に貫徹していく姿勢を明確にさせた。Bさらに、「アジアは他の地域と比べ米軍基地の密度が低く、基地などの施設利用を容易にする協定が必要」「北東アジアの極めて重要な基地を維持する」と、一方でフィリピン、タイ、インドネシアなどASEAN諸国との軍事協力関係の再編を打ち出し、他方で沖縄米軍基地の維持・強化を鮮明にした。
 そして米帝ブッシュは、アフガニスタン侵略戦争に続き、「アルカイダとのつながり」を口実に東南アジアへの軍事的侵攻を狙っている。インドネシア、マレーシア、フィリピンなどでの反米闘争の高揚、アフガニスタンへの義勇兵派遣の闘いをたたきふせ、イスラム諸国人民の民族解放闘争を根絶するとともに、東南アジア―ASEAN諸国に対する排他的支配を確立しようとしている。英ガーディアン紙は「極東アジアでアフガニスタンに続く第二の戦線が開かれる」と報道しており、事態は切迫しており、第三次世界大戦へと発展していく危機を現実的にはらんでいる。
 これに対して日帝は十月二十九日、参戦三法を強行成立させ、基本計画の策定から自衛隊艦隊の派兵へと急ピッチでアフガニスタン侵略戦争への参戦に突進している。と同時に、PKO法改悪―東ティモールへの自衛隊派兵を決定し、東南アジア情勢への軍事的介入の意志をむき出しにした。
 「湾岸戦争の轍(てつ)を踏まない」とする日帝・小泉政権は、日米同盟をテコに戦後的な制約を取り払い、戦争国家化攻撃を全面的に激化させ、全アジア―世界に自衛隊を侵略出兵させる攻撃に踏み切っている。それは、勢力圏再分割―市場の独占的支配など、自己の経済的利害のためには軍事力を全面行使していくとする米帝ブッシュ政権に対して、日帝が本格的な対応能力の確保に挑戦しようとする点で重大なエスカレートである。アジアの勢力圏化をめぐって米日および欧州帝国主義が非和解的激突を深め、ロシアや中国など崩壊したスターリン主義圏と残存スターリン主義圏の取り込みと転覆をめぐって具体的な対決点が醸成されていく中で、帝国主義対帝国主義の対決が第三次世界大戦へと発火していく時代が始まったのだ。
 十月二十日からの上海APECはきわめて重要であった。米帝ブッシュは訪日、訪韓の日程をキャンセルする一方、対ロシア、対中国のシフトを圧倒的に強め「反テロ包囲網」の形成に全力をあげてAPECに乗り込んだ。アフガニスタン空爆へのロシア、中国の支持をとりつけると同時に、日帝の独自の軍事的突出を抑えつけ徹底的に自己の補完物として動員していくためである。
 米帝は、アフガニスタン侵略戦争での圧倒的力量を誇示し、その軍事重圧の力でAPECで「反テロ宣言」を出させることに成功した。米帝ブッシュは、一方で中央アジア・カスピ海をめぐる石油・天然ガス資源争奪戦のヘゲモニー確立を狙い、他方で中国市場の分割戦、ひいては全アジアの勢力圏争いで対日争闘戦を有利に展開しようとしている。まさに上海APECをめぐって米帝の争闘戦が激しく展開されたのだ。
 これに対して日帝は、日米同盟下での一定の独自的アジア政策を展開した。一つには、国会日程の合間をぬって強行された小泉の十・八訪中および十・一五訪韓である。小泉は、APECでの政治的プレゼンスの確保をも狙って「対中、対韓関係の修復」に乗り出したが、逆に中国人民、朝鮮人民の教科書・靖国問題での激しい怒りにさらされた。二つには、十月十二日のシンガポールとの自由貿易協定締結の合意である。円圏化構想、アジア勢力圏化の立ち遅れのばん回を図るものだが、世界経済の分裂化・ブロック化を促進するものである。
 三つには、タリバン崩壊後をにらんだ「アフガニスタン復興会議」の東京開催の策動である。中央アジアの石油権益を狙い、アフガニスタン情勢をめぐるヘゲモニー争いの一翼を担おうとするものであり、米英軍と一体の、日帝のアフガニスタン人民への虐殺宣言にほかならない。
 このように、上海APECをめぐって日米帝は戦争情勢を一層加速するとともに、アジア勢力圏争いを激烈化させたのである。

 労働者階級と被抑圧民族の国際的団結を

 九・一一反米ゲリラのさく裂、十・七米英のアフガニスタン空爆の開始に対して、アジア人民、イスラム諸国人民は猛然と反戦闘争、反米・反日闘争に決起している。
 南朝鮮・韓国では、民主労総が九月十七日、いち早く「テロ反対をのりこえ、戦争反対の平和運動へ」と題するアピールを発し、労働者が先頭に立って闘うことを表明した。このアピールで民主労総は「米国はテロに報復するために戦争を行うと言うが、今回のテロは米国が犯した犯罪に対する報復だった。米国が特に弱小民族にどれほどぬぐいきれない犯罪を犯し、今も犯しているか、被害者であるわが民族はよく知っている」と、被抑圧民族の立場から九・一一を受けとめると同時に、米帝の民族抑圧と侵略の歴史に対する怒りを明らかにした。
 そして、この民主労総を先頭に反戦闘争が連日、全人民的規模で大爆発している。九月二十七日には、全国五百五十三団体が「@米国政府は戦争を中止せよ、A金大中政権は戦争支援計画を撤回せよ、B日本の再武装を警戒する」との共同反戦声明を発表した。米英帝のアフガニスタン空爆開始後の十月十日には、さらに広大な統一戦線が形成され、七百六十五団体のあらゆる階層が結集し「反戦平和時局宣言大会と平和大行進」が闘い取られた。
 さらに南朝鮮人民は、十・一五小泉訪韓―独立公園訪問の暴挙に対して、自衛隊派兵阻止・軍国主義復活粉砕を掲げて闘争に決起した。日帝・小泉は、予定していた韓国国会訪問すら破産するなど大打撃を強制された。一方、金大中政権はこの間、タンビョンホ委員長の逮捕・収監をくり返すなど民主労総幹部への弾圧を強めており、韓国経済の危機再激化の中で労働者階級の生存権をめぐる攻防は一層激化している。民主労総は十一月十一日に労働者大会を開催し、大反撃に立とうとしている。
 人口約二億の九割近くがイスラム教徒という世界最大のイスラム教国のインドネシアでは、激しい反米・反日闘争が展開されている。九・一一直後のメガワティ訪米―ブッシュ会談での「反テロ協力表明」にインドネシア人民は怒りを爆発させ、各地で米帝の報復戦争反対の闘いに立ち上がった。また南スラウェシ州マカッサルでは日本総領事館に対するデモが闘われるなど、日帝の参戦に対する怒りがまき起こっている。こうした中で、通貨ルピアの暴落も追い打ちとなり、メガワティ政権は一気に動揺を深めている。
 九七―九八年危機でインドネシアはアジア諸国の中でも最も深刻な打撃を受け、以降、日帝からの直接投資が激減するなど経済危機にあえいでいる。加えて東ティモール問題を始め、アチェやイリアンジャヤなどの独立運動をめぐる泥沼的内戦の中で、スハルト打倒後、ハビビ、ワヒドと短命政権が続いた。その中で今年七月に誕生したメガワティ政権だが、IMF・国際帝国主義が融資を再開したものの、九・一一情勢の中で早くもピンチに陥っているのだ。
 さらに十・七アフガニスタン空爆開始を前後して、インドネシアを始めパキスタンなどイスラム諸国ではアフガニスタンへの義勇兵派遣の動きが活発化しており、地上戦に突入した米英軍との戦闘が始まろうとしている。
 今こそ、闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民と連帯し、米英日のアフガニスタン侵略戦争を阻止する闘いに立とう。日本共産党は、「テロ撲滅」を叫んで帝国主義の先兵になり果て、最悪の民族排外主義勢力としてイスラム諸国人民の民族解放闘争への敵対をあらわにしている。日本の労働者階級人民は、日共を打倒しなければならない。帝国主義国の労働者階級と被抑圧民族人民との国際的団結をかちとり、反帝・反スターリン主義世界革命の勝利へ進撃しよう。十一・一一労働者集会の圧倒的成功を実現しよう。
 〔五十嵐茂生〕

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週刊『前進』(2029号8面2)

機関紙活動 実践の中から
 革命派が街頭を制圧 1カ月間で200部販売 関西 F・K

 関西の中核派はこの間、連日街頭宣伝戦に決起しています。土日の昼間だけでなく、朝夕のビラまきにも『前進』を持って行き、アジテーションと署名、『前進』売りを行っています。ターミナル駅をはじめ、郊外の私鉄やJRの各駅頭、繁華街やデパートの近くなど、とにかく人の多いところを狙い、面的にもくまなく制圧していくようにしています。
 こうして、九・一一反米ゲリラの直後から十・二一までの約一カ月間で二百部を突破する『前進』の街頭販売を実現しました。

 「そのとおり!」街頭演説に拍手

 九・一一反米ゲリラ−十・七アフガニスタン空爆開始という、目もくらむ激動期に突入した今だからこそ、党の見解と闘う方針を示している『前進』は売れるのだ、と確信を持って販売してきました。
 アジテーションは「大衆の言葉」で語らないと誰も聞いてくれないことがよく分かりました。「身内の言葉」ではなく「大衆の言葉」で話すこと、分かりやすい言葉のはしばしに痛烈な帝国主義批判の党派性を貫き、実践・行動を提起していくことが大切だと思いました。私がマイクで必死に訴えていた時、ある中年の男性が「そのとおり、戦争反対!」と拍手してくれました。
 さらに情勢が煮つまれば、大衆がマイクを取り合って「戦争反対」「戦争賛成」と自分の声を発していく、そういう構図を私たちの街宣で作り出し、その場を一個の大衆集会的な場に転化させていくような扇動・宣伝の能力が問われています。着手し始めたばかりであり、失敗もしつつ、街頭で革命党(革命家)は鍛えられていくのです。まだまだアジテーションで何を言っているのか分かりにくいところはありますが、重要なことは侵略戦争(世界恐慌)の危機を相手の目線に合わせて訴えることではないでしょうか。
 ほとんどの人が「中核派を知らない」という状況の中で、「侵略戦争反対派」として中核派が街頭に再デビューするぐらいの意気込みで『前進』を売っていくことだと思います。

 “戦争反対の新聞を買って下さい”

 私が『前進』を売ったほとんどの人は十〜二十代の若い世代です。ストレートに「侵略戦争反対」を訴えれば署名もするし、意識的な人には「戦争反対の新聞『前進』を買って下さい」と訴えれば買ってくれます。やはり革命党は日常的に十〜二十代の若者と接していないとダメです。公園で二十代の女性に『前進』を売った時のことです。その人は、自分から署名をしに来て、「テロにも報復戦争にも反対」という感じでしたが、アメリカのこれまでのやり方を批判して獲得しました。
 また十代の男性は、「自分は戦争反対だけど、自分が直接反対をやるのはちょっと……」という意見。この若者には「みんながそう思ったら政府の思うつぼ。まず自分のできる範囲からやろう。この瞬間にもアフガニスタンで人民が殺されている」「『前進』には真実が書かれている。虐殺されるかもしれない人民の側からの視点で書いている」と訴えたら、「読んでみます」となりました。

 若者と接点広げ党勢の拡大を

 若者の圧倒的多数は潜在的に戦争に反対していると言えます。ただ足りないのは侵略戦争反対、帝国主義打倒を掲げる革命党との接点です。先の二十代の女性も現在失業中とのこと。リストラや賃下げ等の激しい資本攻勢について漠然と怒りを感じています。それが現下の「戦争と大失業」の時代認識と結びついた時に、彼女なりの行動が生まれてくるのだと思います。
 『前進』はその接点をつくり出します。街宣で、『前進』で、ビラで行動を提起して、それにこたえる若者(労働者階級)が出現する時代に私たちは今、到達しました。九・一一反米ゲリラ以降の中核派の街宣はそういう決起のプロローグ(序曲)です。再び革命派が街頭を制圧する、街頭こそは革命党と労働者階級との接点であり、交通を生み出す無限の空間です。
 労働者階級の決起に確信を持ち、街宣を貫徹して、機関紙拡大、党勢倍増につなげていく決意です。

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