ZENSHIN 2001/11/26(No2031 p06)

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週刊『前進』(2031号5面1)

日帝のアフガン参戦阻止の大闘争へ
無差別爆撃で人民を大虐殺し民族対立・内戦あおる帝国主義
 不屈のアフガン人民と連帯を

 米英軍はアフガニスタンで、燃料気化爆弾などを使い、じゅうたん爆撃で無差別殺りくを繰り広げている。さらに日仏独伊なども参戦し、かいらい政権デッチあげと石油・天然ガス、勢力圏獲得をめぐる強盗戦争となっている。このような帝国主義の侵略と介入で内戦が再び激化している。しかしアフガニスタン人民、イスラム諸国人民の不屈の民族解放闘争を前に、帝国主義の侵略戦争の泥沼化は必至だ。日帝は千五百人の自衛隊を出兵、さらにPKO法改悪でアフガニスタン現地にも乗り込もうと画策している。闘うイスラム諸国人民と連帯して、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争、自衛隊出兵を阻止することを声を大にして訴える。

 戦術核並みの破壊力を持つ燃料気化爆弾

 米軍は、クラスター爆弾やBLU−82などの残酷な無差別虐殺爆弾を大量に使用し、じゅうたん爆撃を行っている。
 BLU−82は通称゛燃料気化爆弾″と言われる最大級の爆弾だ(写真左)通常使う爆弾の七〜十五倍の重量で、一瞬で五百b四方を火の海にする。その破壊力は、一発でサッカー場五つ分の巨大なクレーターが地面にできるほどだ。強烈な爆風と振動、轟音(ごうおん)とともにキノコ雲もできる。戦術核並みの破壊力だ。燃焼で無酸素状態になった地上の人間は窒息(ちっそく)死し、衝撃波で人間はその形をとどめないとも言われる。あまりの残酷さに燃料気化爆弾は廃止すべきとの声も強いが、米帝は拒否、平然と実戦で使っている。
 米統合参謀本部のペース副議長は「爆発すると地獄になる。目的は人を殺すことだ」と言い放った。燃料気化爆弾の使用とこの言葉に、この戦争の階級的性格が凝縮されている。帝国主義はその利害を貫くためには、どんな残酷なことでもする。平然と地上に地獄をつくりだすのだ。帝国主義の存在を一秒たりとも許すことができない。
 「ピンポイント攻撃」がウソであることは自明だ。燃料気化爆弾やクラスター爆弾には精密誘導装置は付いていない。これらの爆弾の性質とピンポイント攻撃はまったく相入れない。そもそも米軍が言うピンポイント攻撃とは、百発撃って半数が目標に着弾することを基準にしている。つまり百発の内、五十発が狙いから外れるということだ。米軍はわずかな数の「誤爆」を「謝罪」した。しかし「誤爆」を前提にしているなら、それは「誤爆」ではない。最初から百発百中のつもりなどないのだ。
 じゅうたん爆撃はどのようなものか。B52爆撃機(写真左)は、二百五十`爆弾を百発以上搭載している。二百五十`爆弾は、第二次大戦中、ゼロ戦などの特攻機が搭載し、命中すれば一発で空母を大破できたほどの爆弾だ。これを四〜六機の編隊で何百発も投下し、風景が一変するほど破壊するのである。地上では一瞬にして多数の命が奪われ、火の海の中を逃げ惑い、無傷であってもその恐怖は一生ぬぐえない。帝国主義は、東京大空襲のような空爆、いや空襲をアフガニスタンで連日繰り返しているのだ。
 カブールなどに残されているのは、逃げるお金や体力のない人たちだ。病院にいるけが人は大部分が一般の市民だ。空爆を逃れ、郊外や山間部へ向かった避難民は地雷を踏んで死傷している。クラスター爆弾の不発弾を米軍が投下した食糧と間違えて犠牲になる住民もいる。「アフガニスタンにはもう逃げるところがない。空爆は許せない」と悲痛な弾劾の声があがっている。一刻も早く空爆を止めなくてはならない。

 空爆と内戦で数百万人危機

 一方で、空爆援護と武器援助を受けた北部同盟軍は首都カブールに進攻し、アフガニスタンの過半を制したと言われている。タリバンの拠点と言われるカンダハルをめぐる激突が報道されている。マザリシャリフやカブールで、数百人のタリバン兵が処刑されるなど、略奪と殺りくが始まっている。カブールを脱出する住民もさらに増え、難民が激増している。国連やNGO(非政府組織)などが、空爆と内戦が続けば数百万人のアフガニスタン人民が生命の危機にさらされると警告している。
 帝国主義がアフガニスタン人民同士の分断・対立をあおり内戦を激化させる形を取って侵略戦争をエスカレートさせている。
 七九年、ソ連スターリン主義が侵攻した時、帝国主義は彼らに武器を与えて使い方を教え、ソ連軍と戦わせた。その後九〇年代半ばに内戦の血の海の中からタリバンが誕生した。これを事実上承認し、武器を与えて後押ししてきたのは米帝自身だ。米帝はタリバンを水路にパイプライン建設も計画していた。
 そして今度は空爆で無差別虐殺するのと同時に、北部同盟に内戦をけしかけ、帝国主義的利害のために利用しているのだ。タリバンは、激しい空爆によって少なからぬ打撃を受け、戦略的撤退を宣言し、南部の山岳地帯を拠点としたゲリラ戦の展開のために軍勢の立て直しに全力をあげていると言われている。アフガニスタン人民の帝国主義侵略戦争と対決し民族解放に向かう闘いは、新たな局面に入った。アフガニスタン人民が直面する過酷な現実に思いをはせ、民族独立闘争の歴史を持つ、誇り高きアフガニスタン人民に連帯する闘いを今こそ強めなければならない。

 資源と勢力圏めぐり殺到する帝国主義

 さらに許せないことに、「治安維持」を名目に、帝国主義が多国籍軍を首都カブールに進駐させようとしている。帝国主義は、残虐な兵器で無差別虐殺を繰り広げた上、アフガニスタン人民の民族自決権を無視して、タリバン後の新政権づくりを勝手に議論している。これはかつての日帝の「満州国」デッチあげと同じだ。空爆、無差別虐殺、かいらい政権、「焼き尽くし、殺し尽くし、奪い尽くす」――これこそが帝国主義の凶悪な正体だ。
 帝国主義各国は古典的とも言える争闘戦を展開している。「アフガニスタンへの人道援助と復興のため」と称する国際強盗会議の主導権をめぐって帝国主義の泥仕合が行われている。日米が共催で準備してきたが、英仏から異論が出て開催が遅れている。宮沢元首相は国連で「復興だけでなく、和平(かいらい政権づくり!)の段階から日本は積極的に関与する」と演説し、「年明けにも東京でアフガン復興会議を」と提唱している。
 米軍はすでに北部同盟軍とともに首都カブールに進軍した。英帝は先遣隊を急派し、数千人の兵力を待機させているという。日帝も基本計画で千五百人の自衛隊を参戦させたが、さらに新法やPKO法改悪で多国籍軍(占領軍!)に自衛隊を参加させようと動き始めた。かいらい政権デッチあげをめぐる主導権争いは過熱している。
 独帝は、シュレーダー首相が「今回の派兵は、ドイツが普通の国に一段と近づく歴史的な決定」と三千九百人の派兵を決定した。仏帝は、シラク大統領が特殊部隊派兵を表明し「フランスはすでに二千人を派遣している」と強調した。伊帝も二千七百人を派兵する。英帝はすでに二万四千人の兵士を送り込んでいる。
 米帝は三万二千人以上の兵士、空母四隻や原潜など三十八隻、三百五十機以上の爆撃機や戦闘機を投入している。パキスタンやウズベキスタンの基地をわが物顔で使用し出撃している。タジキスタンやアゼルバイジャンにも軍事拠点を構築しようとしている。中央アジア全域を軍事制圧し、中東のように居座り続けようとしている。
 そして早くもタリバン後をにらみ、カスピ海・中央アジアからアフガニスタンを経由してパキスタンに至る天然ガスの輸出パイプライン建設計画が、日米関係者らの間で再検討されている。同計画は米石油資本ユノカル社主導で、日本の伊藤忠商事、国際石油開発などが出資している。
 帝国主義各国が「乗り遅れるな」とアフガニスタンに殺到して侵略戦争を展開し、資源・市場・勢力圏獲得のための争いを繰り広げている。帝国主義の強盗戦争と強盗政治、資源略奪、死の商人の暗躍。まさにレーニンが『帝国主義論』で暴露し弾劾したことがリアルタイムに行われている。

 民族解放闘争の爆発は必至

 しかし、イギリスの侵略や帝政ロシアの重圧と闘ってきた不屈の歴史的伝統を有するアフガニスタン人民がこのまま帝国主義強盗どもの思うままになることは絶対にない。帝国主義の侵略戦争と無差別虐殺は、アフガニスタンのみならず、中東・アラブ・イスラム諸国人民の帝国主義への怒りと憎しみを生み、被抑圧諸国人民の民族解放闘争の長期にわたる巨大な、全世界的爆発をつくりだすだけだ。ベトナム人民の抵抗闘争が米帝を歴史的な没落過程にたたき込んだように、アフガニスタン・中東などイスラム諸国人民の闘いは、みぞうの体制的危機を深める米帝と帝国主義体制を一層の危機にたたき込むものである。そして帝国主義国の労働者階級人民の闘いと民族解放闘争の結合によって、帝国主義打倒−世界革命の現実性をつくり出していくのだ。

 PKF−多国籍軍への参加を狙う自衛隊

 十六日に自衛隊参戦の基本計画が閣議決定された。
 基本計画は、@米軍などを対象として協力支援活動、A海上での戦闘参加者らの捜索救助、B自衛隊艦船による難民救援のための輸送――からなる。海上自衛隊の護衛艦四隻と輸送艦二隻、航空自衛隊のC130輸送機七機、総勢千五百人の自衛官を派兵する。
 ついに日帝が、独・仏・伊帝などに並ぶ大軍でアフガニスタン侵略戦争に参戦する。この意味はとてつもなく大きい。輸送・補給も捜索救難も百パーセント戦争行動だ。補給艦二隻がシンガポールから燃料を運び、ディエゴガルシア島やペルシャ湾岸の米軍基地を拠点に輸送や洋上補給することなどが検討されている。米軍の軍事作戦と完全に一体化する。米英軍の無差別虐殺に自衛隊が直接加担するのだ。
 活動範囲はペルシャ湾からオーストラリアまでの広範囲である。自衛隊がペルシャ湾までのシーレーンを恒常的に往来、アジア・イスラム諸国人民の前に侵略軍隊として登場する。自衛隊が無制限の本格的海外展開を開始したのだ。
 日帝の参戦はこれにとどまらない。国連平和維持活動(PKO)協力法の改悪が、今臨時国会で画策されている。日帝はアフガニスタンPKO参加の野望を持っている。PKO法改悪案は、武器使用の大幅緩和を狙い、国連平和維持軍(PKF)本隊業務の参加凍結も解除しようとしている。「紛争当事者間の停戦合意」などのPKO五原則も踏みにじり、アフガニスタン人民の停戦合意も黙殺して強引にPKFに参加しようとしているのだ。さらに多国籍軍参加の新法制定も浮上している。日帝の参戦は猛烈に加速している。

 自国帝国主義打倒へ闘おう

 不正義の帝国主義侵略戦争を一刻も早くやめさせること、何よりも日帝・自衛隊のアフガニスタン出兵を阻止することをすべての労働者人民に訴える。
 アフガニスタン人民は、じゅうたん爆撃で無差別に虐殺され、家を焼かれ、生活を破壊されている。帝国主義の侵略戦争と介入で内戦は激化している。しかしこの中でアフガニスタン人民は、必死に生き、闘い続けている。米帝とイスラエルの残虐な攻撃で日々数多くのパレスチナ人民の命が奪われている。しかしパレスチナ人民は不屈に闘いを続けている。いや全世界の被抑圧民族人民が帝国主義を弾劾し闘っている。これが現実の世界なのだ。
 帝国主義国では世界大恐慌情勢の中で大失業と資本攻勢のあらしが吹き荒れ、帝国主義的排外主義と愛国主義が鼓吹され、労働者階級人民は泥沼の侵略戦争に動員されようとしている。
 侵略戦争に協力してはならない。それは労働者階級人民の立場ではない。労働者階級は、全世界、そしてアフガニスタン人民の友であり仲間なのだ。この帝国主義の侵略戦争を許したら、必ず世界戦争になる。戦争でしか延命できない帝国主義は打倒すべきだ。闘う被抑圧民族人民と連帯して、帝国主義下の労働者階級人民が自国帝国主義の打倒へ決起すべき時だ。
 十一・一一労働者集会で示された闘いの方向で前進しよう。「テロ弾劾」論で帝国主義に屈服し戦争に協力する日本共産党、連合を粉砕し、侵略戦争を阻む国際反戦闘争、帝国主義打倒に決起しよう。全国から佐世保現地に総結集し自衛隊艦隊の出撃を阻止しよう。 
〔片瀬 涼〕

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