ZENSHIN 2002/02/18(No2041 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2041号1面1)

ブッシュ訪日阻止! 羽田へ 有事立法粉砕・小泉超反動政権を打倒せよ
闘う春闘再生、国鉄決戦勝利へ02春闘総行動に立ち上がろう
 2・12〜13アフガン第3次出兵阻止を
 全国120ヵ所不当捜索徹底弾劾!

 日帝国家権力は2月8日、前進社本社・支社を始め全国31都府県120カ所への大がかりな一斉家宅捜索を強行した。2・17ブッシュ訪日阻止闘争への憎むべき予防反革命弾圧だ。闘いの大爆発に恐怖する国家権力の大弾圧を粉砕し、2・12〜13自衛隊艦隊第3次出兵阻止闘争(横須賀、舞鶴、佐世保)―2・17ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕闘争に全力で決起しよう。

 第1章 闘争団処分を策す国労本部を許すな

 02年1・1政治局アピールで武装したわれわれは、闘うイスラム諸国人民との連帯をかけて1・20〜21アフガニスタン復興会議粉砕闘争を闘い、さらに1・24狭山異議審棄却徹底弾劾の連日闘争、2・3国労拡大中央委決戦、2・3名護市長選の1月闘争を全力で闘いぬき、歴史的激闘の02年決戦に打って出た。すなわち、米帝を先頭とする国際帝国主義の侵略戦争拡大と、これと闘う国際的内乱の激化という激突情勢の中で、われわれは小泉政権打倒・自国帝国主義打倒−国際的内乱の勝利へ全力の闘いを開始したのである。
 2・3国労中央委決戦が示したものは、日帝の先兵と化した帝国主義的労働運動派との非和解性と激突性であり、闘う国労闘争団を先頭とした階級的労働運動派の正義性と勝利性である。
 国労本部・チャレンジは、4党合意が破綻(はたん)に追い込まれる中で、一方で新井・今井らが分裂を起こし、他方で本部の高嶋、寺内らは4党合意にしがみついて国労内部から帝国主義的労働運動を推進しようとしてきた。
 しかし、闘う国労の労働者は、秋田地本再建の闘いに立つとともに、国労闘争団員と遺族283人は鉄建公団を相手に解雇の無効と賃金支払いを求める新たな訴訟を起こした(1・28東京地裁)。また、JR採用差別訴訟では、最高裁への訴訟参加申立人の闘争団員を266人に拡大した。これらの決起は、4党合意を根底的に粉砕しようとする真に不屈の闘いである。
 これに対して本部・チャレンジと革同は、2・3拡大中央委開催に際してまたもや機動隊を導入し、傍聴者を排除し、裁判闘争の実質的な全面的取り下げと、闘う闘争団への査問委員会設置を強行した。二度の首切りに不屈に闘う闘争団を統制・除名処分にかけるという、戦後労働運動史上類例を見ない暴挙だ。絶対に認めるわけにはいかない。
 この採決で革同は、闘争団を切り捨てる裏切りの道を選択し、分裂と瓦解(がかい)を深めている。
 だが、階級的原則を貫いて闘う闘争団と国労の労働者は、きわめて鮮明な正義性を体現して登場した。そこに勝利の展望がある。国鉄労働運動は今や階級的労働運動の砦(とりで)として帝国主義的労働運動、ファシスト労働運動、スターリン主義反動と真正面から激突する情勢に入った。勝利する力もすでに生み出されつつある。チャレンジ・革同を打倒し、闘う国労の再生をともにかちとろう。

 沖縄闘争の新たな発展を

 闘う沖縄人民が全力で決起した2・3名護市長選は、残念ながら宮城康博氏の当選をかちとるまでには至らなかった。しかし、沖縄闘争の新たな一歩が踏み出された。ここに名護新基地建設絶対阻止の新たな闘いが始まったのだ。
 沖縄における革新共闘の弱体化と分裂化の中で、本当に多くの市民が宮城氏のがんばりに感動し、励まされ、勇気づけられて立ち上がった。闘う人民が全島全国から駆けつけ、ともに力を合わせた。そして、敗れたとはいえ11148人の名護市民が絶対反対派として立ち上がったのである。
 米帝と日帝の戦争政策に鋭く立ち向かうこの沖縄人民の決起は、日帝がどんな重圧を沖縄にかけようとも押しつぶせるものではないことが証明された。
 岸本は2万票をとって再選されたが、これで「住民投票を覆した」とはけっして言えない。逆である。住民を無視・抹殺して、着工を強行したら大変なことになることがはっきりと突きつけられたのだ。岸本の7条件(15年期限など)は完全に破綻している。
 小泉政権は、ますます露骨に暴力的強行を迫ってくるだろう。米帝にとって沖縄が、フィリピンや北朝鮮、そして中国―台湾への侵略軍事拠点であることはますます明白となっている。その最大の焦点が名護の新基地建設だ。この大きさと激しさを全面的に受けとめて02年沖縄闘争の新たな発展へ突き進んでいこう。

 世界大恐慌へと転落深める日米経済危機

 情勢はさらに危機と激動を深めている。
 第一に、米帝経済と日帝経済の動向である。
 米経済は恐慌を深めつつある。「GDPは0・2%増。プラスに転じた」という最近の派手な宣伝とは裏腹なのが実体経済だ。
 昨年10−12月期の実質GDP伸び率をプラスに見せたのは、崩壊し始めた消費バブルを強引に、無理に無理を重ねて引っ張ったからである。特に自動車でのローン金利ゼロ販売(通常9%金利)が個人消費を増加させた。しかしこんなやり方をいつまでも続けられるはずがない。需要の先食いの反動は激しい。
 アメリカの鉱工業生産は下り坂をたどり、失業率は昨年末に5・8%に上昇。全米第7位の大企業エンロンの破産は決定的な位置をもっている。それに続いて企業倒産が増加している。
 昨年1年間で11回もの利下げが行われ、史上最大級の金融緩和策がとられたが、銀行の貸し出しは減少し続けている。米経済も、バブル崩壊下の90年代日本経済と同様に、いくら金融を緩和しても銀行の貸し出しが増えないという状況に入っている。それどころか銀行の不良債権、企業と個人の膨大な過剰債務が急増している。
 他方、日本経済の危機はより激しく、恐慌の再爆発へ歯止めの利かない土壇場の事態に突入している。完全失業率は5・6%と戦後最悪を記録した。昨年末の鉱工業生産指数は87年11月以来の低水準に落ち込んでいる。昨年一年間でも鉱工業生産は7・9%も低下した。これは75年の11%に次ぐ大幅な低下だ。
 昨年政府は金融の量的緩和策をとって大量の資金を市場に供給したが、デフレ状態は続いている。株価はTOPIX、日経平均ともバブル後安値を更新し続けて、東証1部の株式時価総額は、昨年5月の414兆円から281兆円と、実に133兆円が消滅した。
 不良債権処理の焦点だったダイエーが1月に経営再建の新計画を進め、主力3行が債権放棄を含む4200億円の金融支援を決めたが、これも問題の先送りにすぎない。ダイエーの本格的処理をすると主力行が破綻してしまうのだ。銀行は戦後の蓄財をすべて失って、今や法定準備金=自己資本を食いつぶしかねないほどの危機にある。小泉は「金融危機回避に全力」と2〜3月金融危機爆発の恐怖に脅えている。
 これに対して米帝は、日帝金融危機の爆発が国際資金循環を破壊することに恐怖し、対日圧力を強め、不良債権処理の決着を激しく求めてきている。

 第2章 「悪の枢軸」と叫び戦争拡大狙う米帝

 第二に、米帝動向の激しさだ。1月29日のブッシュ大統領の一般教書演説は、米帝が世界危機の世界戦争への転化を路線化したことの宣言である。
 冒頭に「わが国は戦時下にあり、経済は不況、文明世界は前例のない危機に直面している」と述べたブッシュは、当面の目標として@対テロ戦争の勝利、A国土防衛の強化、B経済回復の3点を掲げ、「テロとの戦争は始まったばかりだ」と、戦争を世界的に展開していく方針を強調した。そして「生物・化学・核兵器を求めるテロリストや政権が、米国や世界に脅威を与えないように」封じ込めることが重要と言い、その対象は「イラク、イラン、北朝鮮の『悪の枢軸』」と名指しした。
 また、ブッシュは、この演説の中で「合衆国自由部隊」の創設を表明、翌30日には大統領令を出して自由部隊への参加を呼びかけた。この部隊は「米国民が本土防衛やイスラム諸国支援に自主的に奉仕する」とされているが、テロからの本土防衛を理由に、市民がそれぞれの地域で医療、警察、テロ情報収集、隣人監視、緊急事態対応などの活動に奉仕する「市民部隊」と、アフガニスタン再建を含むイスラム諸国への開発などに充てられる「平和部隊」に分けられ、後者は「より多くの米国人が、米国の真の価値を途上国に直接に示す」(ホワイトハウス報道官)という、侵略戦争と新たな植民地支配拡大の攻撃そのものである。
 さらに、1月31日に米国防大学で行われた講演でラムズフェルド国防長官は、極東と中東で同時発生する大規模紛争に勝利するための戦力構築を定めた「二正面戦略」について、「(テロ攻撃などの)予測不可能な脅威に対処できない。放棄することを決めた」と明言した。そして、@外国の首都進攻、体制転覆などを1カ所で行う、A2カ所で侵略勢力を短期に撃退する、Bきわめて重要性の高い4地域での紛争を抑止する――ことを同時に行える戦力再編計画を明らかにした。また、「米国が近い将来、同時多発テロより大規模な攻撃に直面するのは間違いない」「敵に対する先制攻撃も排除しない」と言い放った。
 そして2月4日、ブッシュは03会計年度(02年10月〜03年9月)の予算教書を発表し、国防費は前年度実績見込みから過去20年間で最大の伸び(15%増)となる総額3790億j(約50兆円)にもなることを明らかにした。
 ブッシュの一般教書演説以降、イラン、イラクや朝鮮民主主義人民共和国を名指しで警告する発言が相次いでいる。ブッシュ自身が連日の演説で「大量破壊兵器の開発国に警告する」「世界各国は米国と連携して国際包囲網を築け」と叫んでいる。ライス大統領補佐官は「北朝鮮は弾道ミサイルの商人」と呼んだ。ラムズフェルドは「イランはテロリストの逃亡を阻止しなかった」「北朝鮮はカネのためなら誰にも何でも売る」と非難した。世界最大の核大国・武器輸出国の米帝が何を言うのか。
 このようなむき出しの凶暴さは、侵略戦争・帝国主義間戦争・世界戦争なしに生きていけない帝国主義の絶望的危機性の現れである。闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民と連帯した国際的内乱で米帝と国際帝国主義こそが打倒されなければならない。

 第3章 有事立法・改憲阻止の全国的大運動を

 第三に、有事立法・改憲−戦争国家化に突進する日帝の動向である。
 2・4小泉施政方針演説の特徴の第一は、「小泉構造改革本番の年」と称して、日帝の危機を労働者階級人民に全面転嫁することをあらためて宣言していることである。
 施政方針の「むすび」の中で小泉は、「改革の痛みが現実のものとなりつつある今、…未来への希望を決して失わない強さを、改めて求めたい」と言っている。つまり、政府発表の完全失業率でさえ戦後最悪の5・6%を記録しているのに、これからいよいよ激しくなる「痛み」に人民は耐えよと言っているのだ。
 これに関連して重要なことは、施政方針演説の中で小泉が「ワークシェアリング」に言及したことである。「ワークシェアリングの実施」が初めて施政方針演説=政府基本方針に出されたのだ。これは、02年版日経連労問研報告で強く打ち出されたことに続くものだ。これは米帝の対日争闘戦の激化に対応するために、政財界あげて賃下げと大失業、労働運動圧殺の攻撃に出てきたことを意味している。
 この「ワークシェアリング」論を導いたのが、連合の全面屈服とカクマル松崎=JR総連なのだ。
 さらに小泉は、「雇用期間や労働時間に関する制度の見直し」を言っている。これは、労基法を始めとする戦後労働法制の全面解体を狙うもので、短期契約、深夜労働など、労働者を資本の思うがままに扱うことの制度化である。
 さらに、医療制度の改悪、公務員制度の改悪、税制改悪などを打ち出し、「特殊法人改革」や郵政事業公社化−民営化などをあくまでも進めようとしている。
 特徴の第二は、有事法制の推進と関連法案の今国会提出を宣言したことだ。
 これはまぎれもなく、戦後初の、有事法制化の政府提案である。小泉は「対テロ戦争に主体的に取り組む」ことを公式に第一義にすえ、そして「有事に強い国づくりを進めるため、…有事への対応に関する法制について、取りまとめを急ぎ、関連法案を今国会に提出します」と明言した。「有事に強い国づくり」とは、戦時=戦争に強い国家になることであり、実際に中国・朝鮮侵略戦争やアフガニスタン・中東侵略戦争に参戦する国家のことである。平素からの「備え」とは、つまるところ、平時から国家緊急権を有する緊急事態法を制定しておくということである。闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民と連帯して有事法制絶対阻止の巨大な闘いを組織していこう。
 さらに、この有事法制宣言と一体のものとして、沖縄新基地建設の推進を始めとしたSACO最終報告の貫徹を明言したこと、警察官4500人増員を始めとした治安体制強化を打ち出し、入管体制強化を宣言したことなどは断じて許しがたい。
 最後に、当面する方針を確認したい。
 第一に、米帝と日帝の世界的侵略戦争の攻撃と真正面から対決する2・112―13自衛隊艦隊第3次出兵阻止闘争、2・17ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕の歴史的大闘争に総決起しよう。
 自衛隊の第3次艦隊派遣は、2月12日に補給艦「ときわ」が神奈川県横須賀基地から、護衛艦「はるな」が京都府舞鶴基地から、13日に護衛艦「さわかぜ」が長崎県佐世保基地から、出航する予定だ。また、千葉県館山基地の哨戒ヘリ4機も護衛艦に搭載される。闘うイスラム諸国人民への血債にかけて全国で渾身(こんしん)の阻止闘争に立とう。
 第二に、有事立法阻止の大運動を猛然とつくり出すことである。3月包括法案提出攻撃に対し、今から直ちに学習会運動、クラス討論、職場討論、街頭演説などを広げていくことだ。労働者人民の決起は必ず爆発的に拡大する。そのことに確信を持って全労働者人民に呼びかけよう。
 第三に、アフガニスタン・パレスチナ反戦闘争−有事立法・改憲阻止の反戦闘争と一体的で02春闘総行動を闘うことだ。今年の日経連労問研報告と連合の屈服を怒りをもって暴露しよう。労働者階級の先頭で怒りの行動に立とう。
 第四に、星野文昭同志、爆取デッチあげ4同志ら超長期獄中同志奪還へ闘いをさらに強化しよう。
 第五に、3月3、4日の部落解放同盟全国連合会第11回大会へ! 三里塚暫定滑走路開港阻止決戦へ突き進もう。
 これらの実践の核心は、党生活の3原則の貫徹にある。『前進』を読み拡大し、財政闘争をねばり強く計画的に推し進めよう。9・11反米ゲリラ戦争の炸裂(さくれつ)とアフガン民族解放戦争、パレスチナ人民蜂起によって切り開かれた国際的内乱の時代に勝利するレーニン主義の労働者党を建設するために、ともに闘おう。

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週刊『前進』(2041号1面2)

名護市長選挙闘争の地平から決意新たに新基地建設阻止へ
 革共同沖縄県委員会

 (一)
 2月3日投・開票の名護市長選挙は、宮城康博候補11148票、岸本建男候補(現職市長)20356票(投票率77・66%)の結果となった。われわれは名護新基地建設阻止のために宮城康博候補当選をめざし、闘う名護市民とともに全力で闘いぬいた。しかし残念ながら当選を実現することはできなかった。岸本に真っ向から対決できる候補・宮城康博氏の持つ真の力を解き放つことができなかった。勝利をめざして闘った以上、この敗北は痛苦である。
 しかし、最後まで全責任を取りきるという立場に立って、この結果とともに選挙戦の全過程、全内容をごまかすことなく見すえた時、かけがえのない「勝利の核心」をつかみ取ることができる。今次選挙戦の結果にもかかわらず、いやこの結果こそ、人民が究極的勝利を手にすることが必ずできることを示している。われわれはこの確信をもって断言する。辺野古(へのこ)への新基地建設など絶対にできない! と。
 (二)
 今次市長選挙は、いかなる闘いであったのか。この選挙戦はけっして避けて通れない闘いであった。
 9・11情勢という世界史の大転換が、日帝・小泉、稲嶺知事、岸本市長に名護新基地建設の強行突破を「決断」させた。彼らにとって、昨年12月27日第8回代替施設協議会で新基地の建設位置を名護市・辺野古沖リーフ上に決定し強行突破することと、この名護市長選での岸本再選は一体不可分であり、まさに9・11情勢下の日帝の存亡をかけた反革命の側からの決戦、全体重をかけた「上からの内乱」攻撃であった。
 日帝・小泉は昨秋から、沖縄人民の怒りを恐れてぐらつく稲嶺、岸本に対し、「振興策の全面撤収」という最大級の恫喝を加え、彼らに「強行突破」の決断を促した。田中外相(「15年期限は困難」)、森山法相(「日米地位協定の改定は必要ない」)を年末から年始にかけて沖縄・名護に送り込み、自民党、政府閣僚が次々とのり込んだ。
 日帝のこの恫喝は、岸本陣営のあらゆる物質力をとおしてストレートに下ろされた。岸本は日帝国家権力のむき出しの先兵となった。表面上はともかく、市民の生活領域である地域において恐怖政治が敷かれた。それは沖縄差別の極致であった。
 その上に、企業経営者、警察、岸本派市役所職員などがぐるになって選挙干渉、買収など違法不当の限りが行われた。岸本反動市政4年間の積み上げ、しばりに加え、9・11情勢に突き動かされた日帝の総力投入の前に、「基地建設反対」の声を上げることさえはばかられるような状態の中で選挙戦は闘われた。
 (三)
 基地反対派の市長候補決定をめぐる苦闘の上に、投票1カ月前に宮城康博氏が候補者として決定された時点では、まさしく「ゼロからの出発」であった。準備期間を引けば実質の運動期間は2週間という超短期の選挙戦であった。国家権力をバックに4年間準備した岸本陣営に対し、宮城陣営の死力を尽くした蜂起戦が闘いぬかれた。
 選挙結果をどう見るか。11148人の名護市民が人生をかけ「決断」して宮城候補に投票した。決断なしには投票できなかった。1万余の新たな「絶対反対派」が生まれたのだ。投票翌日、辺野古のある住民は「この選挙で宮城やすひろに投票したことによって、今私はどこでも(誘致派の多い地域でも)胸を張って歩いている」と語っている。これらの人びとは、宮城候補落選の現実への残念さ、悔しさは当然としても、それを埋めて余りある、自らの良心に恥じなかったという「さわやかさ」と自信にあふれている。それは1997年市民投票の魂を確固として受け継ぐとともに、それを一歩も二歩も打ち固め前進した自己解放的立ち上がりであった。ここに今次選挙戦の最大の意味と意義がある。
 岸本陣営は「不在者投票で勝つ。投票率を上げるな」と広言してはばからず、ただただ脅迫と買収で守りの選挙を行った。岸本に投票した人びとの中にも基地建設そのものに賛成して投票した人はいない。
 (四)
 われわれはこの選挙戦を、全国の同志、闘う仲間の力を結集し力の限り闘いぬいた。とりわけ全学連の多くの闘う学生が名護に結集し、市民の中に飛び込んでいった。数万枚のビラをまき、名護市民と数千の真剣な会話を交わし、大きな力を発揮した。
 この選挙闘争を必死で闘いぬいたすべての人たちの中に敗北感はない。ここから基地建設阻止の新しい闘いが始まる! 誰もがこう実感している。ものごとは鮮明になってきたのだ。
 何が課題か。「なぜ沖縄だけが、国民として当然の生活を望むのに米軍基地と引き換えでなければならないのか」――これは賛成、反対を問わず、すべての名護市民の意識の中に流れている沖縄の怒りである。ここに立ちきって、現実(日帝)と真っ向から対決する者が11148人の絶対反対派として登場したのだ。
 であるとすれば、勝利への課題はおのずと明らかだ。大田知事の敗北、既成指導部の解体的惨状をのりこえるための課題、真の労働者党建設と本土プロレタリアートの階級的決起こそが待ったなしに問われている。革共同はこの責任を取りきって、決意も新たに名護新基地建設阻止の闘いに全力を尽くすことを誓う。

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週刊『前進』(2041号2面1)

国労中央委 査問委設置の暴挙を徹底弾劾 本部が“除名”叫び採決強行
 解雇者の首切り断じて認めぬ 怒りの総決起で執行部打倒を

 2月3日、東京・新橋の交通ビル(国労本部)で開かれた国労第172回拡大中央委員会は、闘争団に対する査問委員会の設置を決定した。国労本部は、闘争団への統制・除名処分に突き進もうとしている。解雇撤回を闘う組合員を労働組合が除名するなどということは、前代未聞の暴挙である。心の底からの階級的怒りを、その首謀者と加担者どもにたたきつけなければならない。国鉄決戦は、この一大反動を粉砕する新たな段階に突入した。この日もまた機動隊が導入され、当事者である闘争団員は暴力的に締め出された。中央委員の発言も制限され、まともな議論は封殺された。ただただ、闘争団への査問委設置を行うためだけの、国労史上最悪の中央委員会が強行されたのだ。高嶋−寺内執行部は、闘争団の切り捨てを強要する権力・資本の意志をそのまま体現して、内部からの国労解体に手を染めた。闘争団を始めとする国労組合員は、雨の中、機動隊と対峙して闘いぬいた。査問委設置をあらゆる手段で打ち砕こう。国労の団結と闘いを守りぬく道は、今回の暴挙を徹底弾劾し、本部執行部を打倒する組合員の総決起にある。

 “闘争団支援する組合員も処分”

 今回の中央委員会は、度を超えた国労本部の裏切りを突き出した。
 高嶋委員長は、委員長あいさつで闘争団圧殺の意志をむき出しにした。彼は、闘争団員の鉄建公団訴訟を「JRへの復帰という国鉄闘争の最大の目標を自ら放棄するもの」とののしり、「本部方針に従わず別組織、別方針、別行動、別財政のもとに、最高裁に対する参加申し立てや鉄建公団に対する雇用関係存続確認訴訟の独自行動をとる一部闘争団員の闘争破壊、団結破壊は絶対許すことはできません」「査問委員会の設置を提案せざるを得ないと判断した」と叫び立てた。
 「闘争団の首を切るのか!」傍聴席からの怒りの声が、高嶋の発言をさえぎった。
 新井・今井らの脱退・分裂問題は、闘争団に対する長々とした悪罵(あくば)の後にようやく言及された。高嶋は、「既に申し上げた査問委員会は、このJR東日本ユニオンの脱退に関する件も取り上げる」と述べた。査問委員会は、あくまでも闘争団の処分が主目的であり、分裂の首謀者への処分は付け足しでしかないということだ。いや、闘争団への統制処分を強行するための隠れみのとして、分裂問題を持ち出したに過ぎないのだ。
 寺内書記長が経過報告と運動方針案を提案した。寺内はまず、議案の一部を差し替えると発言した。闘争団への非難を一段と強めるために、わざわざ議案を書き換えたのだ。
 寺内は、闘争団による鉄建公団訴訟や最高裁への訴訟参加を「妨害活動」と言いなし、「組合員として・闘争団員としての資格も権利も自ら放棄した行為」と決めつけた。そして、「中心となっている闘争団員、申し立て闘争団員、新たな訴訟を起こした場合の原告と国労組合員支援者等について、除名を含めた統制処分等、国鉄労働組合の団結を守ると同時に方針に基づいた解決を図る上、やむをえない状況にきている」と言い放った。
 ついに本部は゛除名″を明言した。しかも、鉄建公団訴訟に踏み切った279人の闘争団員、最高裁への訴訟参加を申し立てた総計266人の闘争団員だけでなく、闘争団の正義の闘いを支持するすべての国労組合員が処分の対象だというのである。
 一般討論では、チャレンジの中央委員が、聞くに堪えない闘争団への悪罵を並べた。「一部闘争団の裁判はJR復帰を放棄するものだ。15年の闘いをすべて否定する裏切りだ」(北海道本部)、「一部闘争団の問題は残念では済まされない。厳しい対応が求められる」(東京地本)、「一票投票までして決めた方針を無視する行動は裏切りだ。身勝手な一部闘争団と、それを放置している国労の優柔さを指弾する声が組合員の大勢だ」(盛岡地本)、「査問委員会で厳正な対応を」(九州本部)。長野地本の委員に至っては、「説得を受け入れてもらえなかったので紋別・美幌闘争団への支援を凍結した」と放言するありさまだ。
 反動革同もそれに唱和した。「自分たちだけの主張による勝手な行動は許されない」(名古屋地本)、「組織原則を無視した利敵行為」(東京地本)
 一切の闘いを投げ捨て、国労の団結を根底から破壊しようとしている者たちが、解雇撤回闘争を闘う者を「裏切り者」と非難する。こうしたおぞましい光景が、中央委員会の名において展開されたのだ。
 他方、4人の中央委員が本部方針絶対反対の鋭い論陣を張った。
 高崎地本の委員は「闘争団に対する査問委員会は本末転倒だ」と本部を批判し、旭川地区本部の委員は「鉄建公団訴訟は当事者としてやむを得ない、純粋な選択だ。査問委員会には反対する」と弾劾した。さらに千葉地本と米子地本の委員が反対意見を表明した。
 議長団は、本部方針をやみくもに押し通す強権的議事運営を行った。まともな討論もさせないまま、早々と書記長集約が行われた。
 寺内書記長は、大阪・岡山採用差別裁判の上告放棄について、「4党合意に基づき解決を図る、裁判で判決を求める闘いはしないと決定してきた」、だから大会決定違反ではないと居直った。さらに、「採用差別事件の訴訟の取り扱いは、4党合意に基づく解決作業が進む中で、社民党から要請があれば直ちに手続きに入り、訴訟の取り下げを行う」と明言した。北海道・九州、本州の採用差別裁判も、本部の独断で取り下げるということだ。
 そして、鉄建公団訴訟に踏み切った闘争団について、「方針に反対し、無視し続ける原告闘争団員に対しては、国労の進める解決の救済対象者から除外せざるを得ない」「説得活動を引き続き行い、結果として応じない闘争団員については、国労規約に基づき厳正な対処を行わざるをえない」と言いつのった。
 議長団が、経過報告と運動方針の拍手承認を求めた。国労の歴史に泥を塗る無残な裏切り方針が、こうして強行採択された。

 大罪に手を染めた31人の賛成者

 続いて、寺内書記長が「査問委員会の設置について」とする議題を提案した。査問の対象は「@組合分裂の中心となった組合員、A一部闘争団員で結成した分裂組織・鉄建公団を相手に新たな訴訟等の分裂行動を起こした原告等」とする、というものだ。寺内は、闘争団に再度訴訟の取り下げを求め、その結果を見て処分案を中央執行委員会が判断し、査問委に諮問する、と説明した。
 新橋支部の委員が反対意見を表明した。「JRに法的責任がないなら誰に責任があるのか」という発言に、議長団が「査問委員会設置に限って発言を」と制約を加えた。仙台地本と旭川地区本部の委員は、まともに闘争団と話し合ったこともない本部が「闘争団を説得する」などとうそぶくペテンを弾劾した。
 議長団が、すぐさま採決を強行しようとする。しかも、分裂問題と闘争団問題を一括して採決するというのだ。反対派は分離採決を要求して抗議した。議長団は一括採決を譲らない。会場が騒然となる。寺内が再度発言し、「@項については全体で一致できるから採決の必要はない。A項についてだけ採決する」と言い出した。採決の必要がないなどということ自体、でたらめだ。結局、議長団は分離採決を認めた。
 @項の分裂の首謀者に対する査問委設置には41人の中央委員全員が賛成した。A項の闘争団への査問委設置は31人の賛成で可決された。チャレンジと反動革同は、闘争団を三たび処刑台に送り込んだのだ。傍聴席からの闘争団員の抗議が会場に響いた。賛成派は、許しがたいことに、これみよがしの拍手で応酬した。

 闘争団の正義の闘いを守れ

 闘争団への査問委設置の暴挙は、4党合意受諾が行き着いた帰結だ。本部は、闘争団の切り捨てを求める権力・資本の強圧に屈し、最悪の国労破壊に手を染めた。31人の中央委員がそれに加担した。その大罪を断じて許してはならない。心底からの怒りに燃えて本部を打倒し、闘争団の正義の闘いと国労の団結を守りぬこう。

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週刊『前進』(2041号2面2)

国労本部前 機動隊と対峙し抗議
 “分裂放置した本部許せぬ” 闘争団が渾身の訴え

 闘争団を先頭とする国労組合員と支援の労働者は、国労本部による闘争団切り捨ての暴挙を弾劾し、雨の中、機動隊と対峙して交通ビル前での闘いを貫いた。
 朝7時過ぎ、国労組合員が次々と交通ビルに詰めかけた。警備に動員された組合員が玄関前を固めている。直ちに説得行動が開始された。「解雇された仲間を見捨てる本部に、君たちは手を貸すのか」
 様子をうかがっていた私服刑事が、「暴力行為があれば検挙する」と叫んで介入した。組合員同士が議論することも認めないというのだ。「お前たちには関係ない。帰れ」と弾劾する国労組合員に、私服刑事は「おれたちは主催者から頼まれて来ているんだ」と居直った。乱闘服の機動隊が、交通ビル前の公道をバリケードで封鎖した。
 中央委員会への機動隊導入は初めての事態である。国労本部はついに、組合員の団結の砦(とりで)である国労会館前にも権力を引き入れた。こうして権力は国労中央委員会を徹底的に蹂躙(じゅうりん)し、高嶋−寺内らに闘争団の切り捨てを強いたのだ。
 鉄建公団訴訟に踏み切った闘争団員も、本部による統制処分を許さぬ決意で交通ビルに駆けつけた。機動隊が彼らの行く手を阻む。
 機動隊と対峙しながら、闘争団員が次々とマイクを握って訴えた。「闘いを途中で投げ出したくない。節を曲げない」「国家権力・機動隊の力を借りて会議を開く。どうしてこんな組合になったのか。人として恥じない、正しいことは正しいと言い、社会正義を貫く、そんな国鉄労働組合はどこにいったのか」
 闘争団の訴えにこたえ、交通ビルに駆けつけた支援の労働者約200人が、力の限りのシュプレヒコールを上げた。
 午後1時過ぎ、「警備体制がとれない」という権力の指示で、中央委は予定より大幅に早く閉会した。会場内での抗議行動を貫いた組合員が、査問委設置の事実を報告すると、直ちに抗議集会が開かれた。
 闘う闘争団の内田泰博共同代表が、「自分の人生は自分で決める。その決意は変わらない」と訴えた。
 秋田の闘争団員は、新井・今井らの分裂を放置した本部が、闘争団への統制処分に突き進んでいることを語気鋭く弾劾した。
 「私は本当に許せない。分裂行動は前々から分かっていたのに、本部は何もしなかった。分裂してから、残って闘っている組合員に対して執行権を停止した。再建集会を組織することもオルグすることもできない。財産も凍結だ。自腹を切って会場費を払い、組合員を集めて秋田地本を再建してきた。分裂の動きがつかめたら直ちに執行権を停止し、中央本部が直接執行機能を果たすのが当たり前のやり方だ。しかし、分裂は自由にさせて、残った組合員をやりにくくさせた」
 「本部は、分裂問題を放っておいて『一部闘争団が解決を妨害している』と言っている。闘争団問題を言う以前に、分裂と闘うことが労働組合の一番重要な課題だ。そんな執行部があるのか。その一点で責任を問われてしかるべきだ。その責任は問われないまま、闘争団だけが処分される。ふざけるんじゃない。解雇された者はみんな必死で、あらゆる方法で闘おうとする。訴訟を起こしたのが悪いと言うなら、ほかの方法を教えてほしい。統制処分は許せない」
 さらに、JR本体の組合員が、闘争団を支えぬき、本体の決起をつくり出す固い決意を表明した。
 結集した国労組合員と支援の労働者は、抑えきれない怒りとともに、闘争団への統制処分を粉砕し尽くす決意を固めた。

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週刊『前進』(2041号2面3)

教基法改悪許さぬ 神奈川集会で決意新たに

 1月19日、横浜で行われた「『日の丸・君が代』の強制に反対し、教育基本法改悪を許さない神奈川集会」に参加しました。(写真)
 大失業と戦争攻撃が激化する中で、日教組運動の解体と教育基本法改悪攻撃が進められています。戦争国家づくりのためには、戦争参加・協力の法整備とともに、「国民」の反戦意識の解体と国のために命をささげる青年の育成が必要です。教育基本法改悪の狙いは、基本的人権・平和主義を基本理念とする教育基本法を国家主義に変え、教職員に国家主義教育を強制することにあります。
 日教組組合員は「教え子を再び戦場に送らない」というスローガンのもとに団結しています。パートナー路線で日教組中央が変質したものの、抵抗を続ける各県各地区の職場闘争・団結は解体されていません。
 人事考課・不適格教員制度・新たな主任制や職務命令・処分の恫喝を伴う「日の丸・君が代」の強制は、職場の分断・組織的な闘いの根絶をとおして日教組運動の解体を策すものです。
 集会では東京大学教授の小森陽一さんが「戦争と『日の丸・君が代』」と題して講演し、「つくる会」教科書の本質は「アメリカとともに戦争して勝ち、自信を取り戻すこと」にあると指摘し、軍隊慰安婦の授業に攻撃が集中するのは「再侵略にとって最大の桎梏(しっこく)がこの問題にあるからだ」と指摘しました。この授業者への攻撃は、デッチあげによるつるし上げ・嫌がらせなど地域ファシズムを大動員しての悪らつなものでした。
 東京の「指導力不足等教員」制度と立ち向かう教育労働者の闘いの報告とともに、小森さんらの地域での取り組みは、反ファシズムの陣形づくりをもって教育行政の民主化も展望するすばらしい闘いです。
 ところが日教組中央はなんら全国一斉の阻止闘争を構築しません。
 このような状況の中で今春の卒・入学式闘争があります。職場の団結をもとに、個にばらされないように原則として全員の合意による斉一な行動を基本に据えて、職場間交流による組合防衛(闘う執行部の確立も含め)・子ども・保護者・地域住民・労働者・全国連帯をとおして戦争国家化・改憲を阻止する観点から、全力で闘い抜きましょう。(投稿/教育労働者 K・T)

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週刊『前進』(2041号2面4)

 2002年1月18日〜31日
 01年平均失業率が5%を突破
 電機連合「副業自由化」へ
 JR貨物2割首切り案

●18日 厚労省は、民間の職業紹介事業者に原則としてこれまで禁止してきた求職者本人からの手数料徴収に関し、経営管理者や科学技術者について2月から解禁。
●19日 南海電鉄は4月から労働者の基本給と初任給を10%削減する方針を発表した。労働者も2割削減する計画。
●21日 日本鉄鋼連盟の千速晃会長(新日鉄社長)は定昇制度を見直すと発言。ワークシェアリングの鉄鋼業への導入と、鉄鋼労連が求める「雇用安定協定」の締結に対して否定的な見解を示した。
◇個別労働紛争処理法が施行された昨年10月から3カ月間で全国の労働局などに寄せられた相談件数が前年度より7割も多いことが分かった。
●23日 厚労省は裁量労働制と有期雇用契約の範囲を拡大するための省令「改正案」を決めた。裁量労働制は税理士など8職種を追加、有期雇用最長3年の対象となる労働者の範囲も拡大する。
◇東武鉄道は5年間で本体の労働者1250人の削減案を発表した。
●24日 電機連合は25日まで中央委員会を開き、春闘ベアゼロ方針や、ワークシェア導入、副業自由化要求などを決定。(要旨別掲)
◇キャノンは4月から定期昇給制度と家族手当などの諸手当を廃止する方針を明らかにした。
●26日 トヨタ自動車労働組合は今春闘の賃上げ要求額を過去最低水準の7500円(ベア1000円)にする方針を固め、各職場に提案。なお、定昇相当分を昨年より500円引き下げ、6500円としている。
◇日立造船は収益改善を受け、造船部門で実施してきた平均5%の賃金カットを取りやめる。
●29日 総務省発表の12月完全失業率は前月比で0.1ポイント悪化、5.6%と4カ月連続で過去最悪を記録。昨年平均も前年比0.3ポイント悪化して初の5%となった。厚労省発表の12月有効求人倍率は前月比0.02ポイント低下し0.51と6カ月連続悪化。
●30日 JR貨物は早期退職制度を利用して2004年度までの3年間で労働者を約2割削減する方針を決めた。同社の労働者数は2001年度初めで8970人、うち鉄道部門の人員は6810人で、いずれも2割程度減らす方針。早期退職制の導入は2回目。
◇ドイツの金属労組(IGメタル)は今年度の賃上げを6.5%とすることを決めた。
◇日立製作所は国内グループ労働者の削減数を、これまでの計画より4000人上乗せするとともに、早期退職優遇制度を導入することを明らかにした。
●31日 厚労省が発表した毎月勤労統計調査2001年分結果速報によると、昨年の平均月間給与総額は前年比1.2%減の35万1347円で2年ぶりの減少となった。また、所定外労働時間(残業時間)も、常用雇用者数も前年比で減少した。

 電機連合中央委員会の内容

●鈴木委員長あいさつ
 「電機産業にとって緊急かつ最大の問題は、国際競争力問題」
●ワークシェアリング
 (賃下げを補てんするために)「副業の自由化」を要求する
●春闘要求
・ベア要求放棄
・35歳標準労働者賃金(高卒・技能職)と30歳標準労働者賃金(大卒・事務技術職)から単組が選択。後者は新設。
●ワークシェアに中小から批判噴出
・「ワークシェアは大手との賃金、労働時間の格差がある中で賃下げになると生活に影響し、抵抗感が強い」
・「大手のワークシェアリング事例の中には、これまで中小として拒否してきたものも含まれている」

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週刊『前進』(2041号3面1)

名護市長選 基地絶対反対の11148票
 “新たな基地造らせない” 宮城やすひろ候補、大奮戦

 2・3名護市長選は、新基地建設反対を鮮明に掲げた宮城康博候補が、現職岸本に真っ向から挑戦したが、当選を果たせなかった。だが選挙戦の中であらゆる反動を突き破って、新しい闘いの展望を切り開き、11148票の基地絶対反対派を獲得した。宮城氏を先頭に全力疾走で闘った選挙戦だった。
 1月3日の出馬表明から1カ月の超短期戦だったが情勢は確実に動いた。2月2日、選挙戦最後の総決起集会が市街地のスーパー・オキマート前で開かれ、千人を超える人びとが詰めかけた。前知事の大田昌秀参院議員も応援演説に駆けつけた。
 「必勝! やすひろ!」のコールの中、宮城候補が登場した。宮城候補は、「軍民共用空港建設は認められない。基地を受け入れないという意思決定をして、しかる後に名護市の振興、未来をつくり出そう」と、世界に誇れる名護山原(ヤンバル)、ジュゴンのいる豊かな海こそが大切な資源だと指摘し、「軍民共用空港、基地を造らされて幾ばくかの振興策を得ようとしても名護の未来はありません!」「那覇と名護を結ぶ鉄道を造りましょう。どうして沖縄に鉄道がないんですか。戦後56年たって格差是正が終わってない! 在日米軍基地の75%を抱えたわが沖縄、この沖縄で軍事基地を造らないと振興策を与えない。市民の声が生きる新しい政治をつくりましょう!」と訴えた。結びは「宮城やすひろ市長誕生は市民、県民、沖縄の勝利です。勝ちましょう!」。
 万雷の拍手がこたえ、指笛、太鼓が鳴り響いた。琉球バスの運転手がクラクションで呼応、交差点には宮城カラーのオレンジののぼりが打ち振られる。絶対に勝つぞと誰もが勝利を確信した瞬間だった。
 この日午後、市民選対の「ぶりでぃの会」はヒンプンガジュマルから道ジュネー。歌手の喜納昌吉さんが先頭を歩き、「名護を変える一人になろう!」と歌声が響いた。岸本陣営の企業ぐるみ、地域ぐるみの選挙違反が告発される中、選挙戦は日一日と熱くなった。告示後の6日間で不在者投票は7700余!
 97年住民投票でかちとった基地反対の民意が踏みにじられた4年間、深まる不況と高い失業率、広がる閉塞(へいそく)感を市長選闘争は打ち破った。真っ先に女性、高齢者が、そして労働者、農民、市民へ輪が広がった。

 “闘いは続く”

 前日までの雨もあがり、3日の投票日は晴れた。投票箱が閉まるまで、全力の闘いが行われた。
 誰もが緊張して開票を見守る中、午後10時半すぎ、岸本当確が報じられ、選対本部で玉城義和選対本部長が落選を報告した。
 続いて宮城候補が「まだまだ闘いは続く。この結果は移設容認を市民が認めたことではない。沖縄にこれ以上米軍基地を造ることは認められないというのは、県民、市民の大きな意志だ。今後とも頑張っていく」と宣言した。渡具知裕徳後援会長も「基地は諸悪の根源。この結果は名護市の子や孫のためには不幸な選択だ。やすひろ君を中心に新しい闘いを再構築して平和のために頑張る」ときっぱりと語った。
 ぶりでぃの会では、「票では負けたけど、私たちは運動では勝った」「闘いはこれから。基地を造らせるわけにはいかない」「全国に訴えて闘おう」など、選挙後に向けて熱心な討論となった。東海岸の闘う住民が「負けられない。ここから始まるさあ」と語った。敗北は悔しいが、その場から新基地建設阻止へ、運動は新たな一歩を踏み出した。

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週刊『前進』(2041号3面2)

自治労臨大 怒り爆発、執行部を打倒 戦闘的再生の可能性示す

 自治労第72回臨時全国大会が1月31日から2日間、東京・新宿の東京厚生年金会館に2700人の中央委員、代議員、傍聴者を集めて開催された。昨年9月以来明らかになった38億9千万円の借入金、組合費の使途不明や共済事業の不正に対する中央本部弾劾の嵐(あらし)の中での大会となった。大会は大原義行中央執行委員長を始め5役7人を引責辞任に追い込み、地方本部出身者中心の新執行部を形成し、「自治労再生プログラム」や春闘方針を賛成多数で採択した。人事的には執行部は打倒された。しかし懸案の真相は核心部の20億円分が未解明であり、5月中央委員会―8月定期全国大会まで持ち越された。同時に100万人自治労の戦闘的再生に向けて党派的・路線的分岐が開始され、流動状況に突入した。

 使途不明金の解明は不徹底

 中央本部は一連の使途不明・不正使用に対する組合員の弾劾を抑え込めず、自治労再生委員会を昨年12月の中央委員会で発足させた。大会では、その「真相究明委員会報告」と「再生プログラム」をめぐって激しい議論が闘わされた。
 「答弁次第では8月の大会に県本部は参加しないぞ」(群馬)など本部への批判や真相究明の不徹底に対する批判が激しく、一気に臨時大会で幕引きしようとした中央本部の意図は粉砕された。一応の「自治労の団結」を維持したが、いまだ20億円にも上る未解明部分があり、自民党の村上正邦参議院議員やフィクサーM(匿名)などの暗躍が暴き出され、現執行部は臨時大会をのりきれず引責辞職に追い込まれた。再生方針の具体化は新執行部にゆだねられることとなった。
 選出された北岡勝征委員長(前三重県本部委員長)、竹花恭二副委員長(岩手県本部委員長)、君島一宇書記長(長野県本部委員長)は真相究明委員会などに関与し、多くが市町村職労出身者で占められた。
 新執行部は引き続き真相究明のための機関を新たに設置することを約束した。
 こうして再生問題は5月中央委員会―8月定期大会へ持ち越された。連合本隊として突き進もうとした自治労の翼賛化路線がいったんは棚上げされ、連合への影響力の低下は必至である。

 階級的団結なき再生プログラム

 「人事を一新します。借財の返済計画を立てます。財務管理を徹底します。財政規模を縮小管理します。専従役員を削減します」では、事後処理のプログラムに過ぎない。何が問題なのか「再生プログラム」ではまったく切開されていない。しかも「罰則規定が欠落していた。役員の倫理が欠如していた。善意が悪用された」と言うに及んで、批判が噴出した。
 労働組合は善意の倫理観で結集している慈善団体ではない。生きるための賃金と労働条件をかちとる団結体であり、資本家と激しく闘うことによってのみ団結は固められ、闘いによって生まれた団結こそが規律なのである。腐敗と不正は規約では正されない。組合員は階級的な切開と闘う団結を求めているのである。
 大会は、真相は解明されておらず、借財の返済に組合費を使って埋める本部方針に対しては不同意という見識を示した。
 さらに闘争資金として徴収した自治労基金287億円を崩し、50億円を県本部に還元し、さらに30億円程度を「社会的貢献」として使うとする本部方針に対しても、激しい批判が浴びせられた。「犠牲者救援資金を削減する情勢なのか。自治労基金を流用するな」「必要なら新たなカンパを提案するのがスジ。組合員の同意が得られないと見た本部の姑息(こそく)な考えだ」「社会的貢献など誰も期待していない。問題は自治労のあり方だ」
 再生プログラムの基底にあるのは、決戦情勢にある公務員制度改革攻撃と闘わない、賃下げ春闘と闘わない、犠牲者救援資金を必要とする闘いはしない、という考えだ。さらに社会的貢献として「テロ撲滅のような平和への貢献」を挙げた。ブッシュや小泉が随喜の涙を流して喜ぶことだろう。さすがに本部集約では「テロ撲滅」の言葉は消えたが、本音は変わらない。これも5月中央委員会まで継続討論とされた。
 臨大の白熱した論議によって、当面「腐敗の克服は原則的運動で返す」という左バネが働いた。

 公務員制度改革・有事立法に反対

 臨大は第一に、8月定期大会で自治労の転向綱領「新綱領―自治労21世紀宣言」を採択し、組合名称を変更することについて「同意が得られない情勢で大会決定は難しい」と本部答弁をするまで追い込んだ。
 第二に、公務員制度改革に対する闘いが強調され、政府の公務員改革大綱に「反対する」と明確に本部集約させ、直ちに闘争に突入すると態度表明させた。
 第三に、連合春闘方針に対する批判が続出した。連合栃木では「ベア2800円」を決定し、電機連合やNTT労組をねじ伏せた報告まで具体的に出された。「率直に言って春闘方針は連合に引きずられて後退していた」という本部答弁を引き出した。
 第四に、有事法制に対する反戦平和運動の推進を沖縄・広島県本部が強く要請し、全体の認識となった。
 こうした中央に対する激しい100人を超える代議員の発言要求と40人余の発言は、自治労運動再生の可能性を示した。

 真相徹底究明、新綱領阻止へ

 われわれの立場は鮮明である。
 第一に、本部徹底弾劾・打倒を掲げ、「真相の徹底究明」=本部打倒の立場を鮮明にした。これは日帝・小泉政権の「聖域なき構造改革」の名による労働者への犠牲転嫁を粉砕し、公務員制度改革攻撃を阻止する闘いと完全に一体である。連合・自治労中央打倒、新潮流運動の形成を一層鮮明にさせよう。
 第二に、同時に「闘う自治労運動の再生を!」を打ち出した。政府・自民党、警察、検察、国税が一体となった自治労変質・翼賛・解体攻撃をはね返すために、腐敗を生み出す原因を路線的に批判しきらねばならない、と訴えた。
 「失われた10年と言われるが、自治労のこの10年こそ失われた10年だった。中央は闘いと関係ない所をさまよっていた」(岡山)という発言もあった。それは安保・自衛隊を容認し反戦平和運動を解体した自治労「新政治方針」、賃金闘争を解体した「新賃金政策」、現業合理化闘争を解体した「現業活性化方針」など連合加盟後の自治労運動の変質にある。
 「連合に加盟して連合の中から連合を批判する」と称して強引に連合加盟に踏み切った自治労は、今や連合の本隊として「連合・政治政策フォーラム提言」「連合・21世紀ビジョン」など翼賛化の中軸となって反動化している。これらの集大成こそ自治労「新綱領」にほかならない。自治労「新綱領」採択阻止へ闘おう。
 自治労の「自治体改革」論と対決し、公務員制度改革に対して処分にひるまず闘おう。また闘う春闘への自治体労働者の合流と総決起をかちとろう。

 交流センターの情宣がけん引

 大会第1日目に、全国労組交流センター自治体労働者部会は、練馬・渋谷区職労とともに横断幕を掲げて会場内外で圧倒的な宣伝戦を展開した。警察と結託して道路使用許可をとって登場したカクマルは、闘う労働者から完全にはじき飛ばされ、一層の混乱と危機に陥った惨状をさらした。
 本部の再生方針案を「階級的団結なき再生論」と一刀両断した交流センターのビラは、大会代議員の「このビラの内容に共鳴を覚える」という発言を引き出した。われわれの路線と方針が今ほど新鮮な響きをもつ情勢はない。
 もはや手練手管で事態はのりきれないのだ。各単組へ帰って今後討論が開始される。戦闘的自治労運動の再生か、翼賛団体への転落か。帝国主義と対決する自治体労働運動をつくりだす決定的好機が到来した。
 5月中央委員会―8月定期大会へ、有事立法阻止・公務員制度改革阻止の闘いとともに自治労決戦として闘おう! とりわけ有事立法阻止の大運動を職場からつくり出そう。
(マル青労同自治体労働者委員会)

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週刊『前進』(2041号3面3)

中四国と九州で革共同集会

 中四国 党勢倍増へ決起誓う 世界革命の熱気あふれ

 2002年の年頭を飾る革共同中四国政治集会が、「アフガニスタン復興支援東京会議」を翌日に控えた1月20日、広島市のRCC文化センターホールにおいて開催された。例年を上回る260人の圧倒的結集のもとに、アフガニスタン・中東侵略戦争への嵐のような怒りと世界革命へのたぎるような決意に満ちあふれてかちとられた。
 集会は12時半、「21世紀を反帝・反スタ世界革命の世紀にしよう」という開会宣言をもって開始された。
 初めに連帯のあいさつが行われ、反戦被爆者の会会長の大槻泰生さんと全国被青同委員長の友野幽さんが登壇し、「アフガニスタン・中東侵略戦争が開始された今、ヒロシマの反戦闘争の真価が問われている」と革共同への期待と自らの年頭の決意を表明した。続いて部落解放同盟全国連合会の代表、「障害者」解放委員会の北村洋さん、動労西日本の労働者からの発言があった。
 在日朝鮮人被爆者はメッセージで、「労働者階級の前衛としての誇りをもって、人類の敵に一撃を加えよう」と熱烈な国際連帯の檄(げき)を寄せた。
 続いて、不屈の獄中闘争と再審闘争を闘う諸同志、革共同沖縄県委員会、北原鉱治・三里塚反対同盟事務局長、都政を革新する会からのメッセージが紹介された。
 集会が最高潮を迎える中で、革共同中央を代表して仁科一同志が、「闘うイスラム諸国人民と連帯し、米日帝のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ!−反帝国主義・反スターリン主義世界革命の成否かけ、2002年決戦に総進撃しよう!」の演題で基調報告を行った。
 仁科同志はまず、アフガニスタン・パレスチナ・中東を中心に国際・国内情勢の年頭からの大激動を明らかにし、『前進』新年号アピールの革命的ガイストで武装して闘うなら必ず勝利できると、その核心点を次のように提起した。
 @9・11とそれ以後の全事態を「新たな7・7自己批判」の立場で受け止め、連帯の闘いをやり抜くこと、A世界危機の世界戦争への転化の過程が始まったという革命的時代認識、B民族解放闘争を軸とする国際的内乱、Cこの世界史的大激動を革共同が勝利する条件の成熟としてとらえる革命家魂、Dこの新しい地平に対応する革共同の革命的飛躍、E宣伝・扇動の大飛躍、F有事立法阻止闘争への全力決起、G春闘を突破口に帝国主義を打倒する労働運動の本格的爆発。
 仁科同志は最後に、このすべてを集約するものとして革共同の質量の圧倒的強化を訴えて基調報告を終えた。全参加者は圧倒的拍手でこの提起にこたえた。
 引き続いて、友岡慎二同志が「世界大恐慌・世界戦争過程への突入と革命党の任務」と題して特別報告を行った。さらに、国鉄決戦を闘う仲間からの特別アピールを受けた。
 最後に、決意表明が行われた。まずマル青労同を代表し、教労・全逓・自治労・電通・民間・女性労働者が登壇し、各産別・職場で連合指導部を打倒し、帝国主義を打倒する労働運動の大爆発をかちとる力強い決意を表明した。
 さらに日本原現闘本部から、反軍闘争が正念場を迎える中で、2・11日本原現地闘争への総決起が呼びかけられた。またマル学同の同志は、日本共産党スターリン主義の「テロ根絶」キャンペーンを粉砕し、全学連運動を再興し2002年決戦の先頭に立つ鮮烈な決意を表明した。
 中四国地方委員会の代表は、1・21「アフガン復興会議」粉砕闘争を突破口とした1−3月闘争の課題を明らかにし、9・11問題で分裂と混乱に陥っているカクマルの最後的解体の闘いを推し進め、党勢倍増闘争への総決起を呼びかけた。
 こうして画期的な集会をかちとった中四国の仲間は、警察権力の弾圧をものともせず、直ちに会場から1・21「アフガン復興東京会議」粉砕への代表団派遣と各地区街宣総決起をもって2002年決戦へ本格的に突入したのである。

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週刊『前進』(2041号3面4)

 九州 9・11論で党建設を “11・25佐世保の再現へ”

 1月27日、福岡市のアクロス福岡で革共同九州政治集会が開催された。戦争と恐慌−大失業の02年をプロレタリア世界革命に向かって力強い進撃をかちとる集会として大成功した。
 集会は、若い同志の力強い開会宣言で開始された。
 連帯のあいさつの冒頭に反戦共同行動・福岡の代表が登壇し、「9・11反米ゲリラの闘いにどうこたえるのか。それは11・25佐世保闘争のように体を張った実力闘争だ。有事法制反対を改憲阻止そのものとして闘う」とアピールがあった。
 続いて破防法団体規制に反対する連絡会議が、「国際的組織犯罪条約批准阻止・有事法制阻止を闘い戦争国家化を阻止する」と訴えた。部落解放同盟全国連合会甘木支部の代表は「東京高裁・高橋裁判長による狭山異議審棄却に対して、石川さんの化身となって1・28徹底糾弾闘争に立つ。棄却と同和対策事業打ち切り攻撃は戦争への挙国一致のための攻撃だ」と力強く訴えた。
 メッセージの紹介の後、革命的共産主義者同盟を代表して水谷保孝同志が基調報告を行った。基調報告は、まず現在の帝国主義の歴史的没落の危機−世界戦争・29年型世界大恐慌過程−国際的内乱という情勢の特徴を提起した。
 その上で、第一に9・11で切り開かれた国際的内乱の勝利へ、被抑圧民族への血債をかけて総決起しようと訴えた。02年春・夏・秋にわたる有事立法阻止・改憲粉砕の闘いを、戦後史上最大の政治決戦として爆発させ、日帝・小泉政権を実力打倒しようと提起した。
 第二に、帝国主義を打倒する労働運動を掲げ、階級的労働運動を再生しようと訴えた。そのためには連合と全労連、JR総連カクマルを打倒し、革命的指導部をつくり出すことであり、主要な労組への党の組織的影響力を強化し、党が労働者階級人民との生きた交通関係をつくり上げることを5月テーゼ路線の本格的な貫徹として訴えた。
 第三に、21世紀革命の展望を切り開く革命党=革共同の党勢拡大を死力を尽くして実現することを提起した。特に、青年労働者・学生を獲得し、党を建設し、一切を総括することが02年決戦の核心課題であると提起し、基調報告を締めくくった。基調報告は参加者の熱烈な拍手で確認された。
 無期・爆取攻撃と闘う獄中同志奪還のアピールが九州地方委からなされ、特別アピールが3人の闘う国鉄労働者から行われた。「4党合意派の脱退・分裂、裁判取り下げ、JR職場での大合理化攻撃など、闘う国労の旗を守るのか否かの激突・決戦期が到来した。原則を曲げずに闘い抜く」と熱烈に訴えた。
 決意表明の最初に革共同九州地方委員会の同志が立ち、「日帝・小泉は力ずくで労働者人民をねじ伏せ、戦争への国家総動員態勢をつくる攻撃をかけてきている。うまくすり抜けようとか、たじろいだら負けだ。11・25佐世保闘争のような反撃を何度もたたきつけることだ。そこで初めて労働者人民の心をつかむことができる」と訴えた。
 続いてマル青労同教労委員会の同志は「この一年は教育決戦だ。教育基本法改悪は戦争をやれる国づくりの攻撃だ」、自治労委員会から2人の同志が立ち「自治労組合費不正使用問題と公務員制度改革攻撃は9・11情勢下での自治労つぶしだ。連合・自治労本部を打倒し闘う」、民間産別で闘う労働者は「11・25佐世保闘争に感動した。ああいう闘いを労働者がやりたい」と決意を明らかにした。
 部落青年戦闘同志会は、「狭山闘争と部落解放運動つぶしに9・11精神で反撃する」、被爆者青年同盟は「日本の既成の被爆者団体が9・11ゲリラの口実にヒロシマ・ナガサキを使っていると抗議した。ヒロシマ・ナガサキを問い返し、イスラム諸国人民との連帯をかけた革命的反戦闘争を」と訴えた。マル青労同の代表は「階級的労働運動の再生をかけて今春闘を闘う」と発言し、最後にマル学同中核派の学生が「9・11論の精神で大学を反戦闘争の砦(とりで)にして闘う」と決意表明し、集会を締めくくった。

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週刊『前進』(2041号3面5)

 訂正

 前号3面のマル学同中核派・京大支部の報告中に「京大では97年以来、悪質きわまりない部落差別・民族差別の扇動が・・・・」を「98年以来」に訂正します。

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週刊『前進』(2041号4面1)

長期獄中同志奪還の大闘争に立とう
爆取デッチあげ4同志早期保釈へ1億円基金達成の大運動を
 全党・全人民の総決起を訴える
 革命的共産主義者同盟政治局

 獄中同志の不屈の闘いをわがものに

 革共同は、昨年12月15日に開催された「爆取・無期攻撃と闘う長期獄中同志奪還大集会」で、党として自らの分身である獄中同志を今なお奪還できていない現実を自己批判し、新たな決意で総力を挙げた闘いに突入することを誓った。そして政治局の2002年1・1アピールで、戦時型治安弾圧粉砕の闘いを2002年の決戦の戦略的課題のひとつに押し上げるとともに、その最重要の環として、超長期獄中同志の早期奪還をなんとしても闘いとることを訴えた。
 日帝権力がわが同志たちに集中的に加えている許すことのできない長期拘禁と獄中弾圧は、もはや戦時下の予防拘禁や拷問の復活にも等しい、恐るべきものとなっている。とりわけ「無実の政治犯」として、無期攻撃を受け27年もの獄中生活を強制されている星野文昭同志と、15年・9年もの未決勾留によって裁判も終わらないうちから事実上の長期禁固刑を科せられている爆取4同志への弾圧は、これ以上、1日も放置することはできない。
 敵権力との非妥協的な死闘を日々貫いている獄中同志に今こそ全存在をかけて連帯し、同志の不屈の闘いに学び、同志の怒りをわが怒りとして、絶対に奪還しぬくために直ちに、新たな闘いにうってでなくてはならない。
 昨年9・11反米ゲリラ戦争として炸裂(さくれつ)した闘うイスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)の米帝・帝国主義に対する積年の怒りの爆発は、特殊的・極限的な形態をとった民族解放戦争として、帝国主義の世界支配に対する激烈な国際的内乱の火ぶたを切るものとなっている。大打撃を受けた米帝・国際帝国主義は、10・7をもってアフガニスタン・中東・パレスチナへの侵略戦争を一気に激化させ、世界戦争と世界恐慌の危機を促進している。日帝・小泉政権は参戦と有事立法・改憲への大攻撃に踏み切り、この中で、治安弾圧攻撃が猛烈な勢いで、闘う全人民に襲いかかってきている。
 狭山差別裁判の異議審棄却、三里塚や沖縄への攻撃の激化、労働運動や学生運動への破壊・解体攻撃の激化など、この間あいついでいる大反動はまさに、9・11―10・7情勢のもとで、あらゆる階級闘争の圧殺と戦時体制突入を狙って引き起こされているものだ。その最大の中心は、入管体制下の在日アジア人民・在日ムスリム人民への治安弾圧と排外主義襲撃の極限的な激化とともに、「テロ撲滅」をふりかざしたわが革共同に対する凶暴な組織解体攻撃にある。
 日帝はとりわけ、わが獄中同志に対する白色テロルの攻撃を、党と革命運動の解体を狙う最重要の攻撃として、今やむきだしで強めてきている。不屈・非転向で闘う同志を半永久的に獄中に閉じ込め、その肉体と生命の限界を超える危機にさらすことで、文字どおりの国家テロルを凶行している。
 革共同は、昨年12・15集会と本年1・1政治局アピールで提起したように、超長期獄中同志奪還の闘いが日本階級闘争の最重要の政治闘争課題そのものであることを、あらためてきっぱりと確認する。これまでの取り組みの弱さを自己批判し、党が反戦運動や労働運動に注いでいる力と同等の力をこの闘いに注ぎ込むことによって、早期奪還への道を実力で切り開き、戦闘的・良心的人士と労働者人民との共同の闘いとして必ずや勝利を闘いとる。
 そしてその全成果を、日帝が今日、有事立法・改憲攻撃の一環として戦闘的労働者人民に対してしかけている、あらゆる治安弾圧攻撃粉砕の勝利に結びつけるために闘う。日帝権力による卑劣な「反テロ」キャンペーンを断固として粉砕し、革命党としての責務にかけて、人民の闘いの大前進を切り開くことを誓うものである。
 そうした闘いの第一歩として、革共同はいま新たに重大な決意をもって、長期獄中同志奪還のための1億円基金の大運動を呼びかける。全党の同志がひとりの例外もなく、この長期獄中同志奪還1億円基金運動の担い手として総決起すること、そして闘う全人民がともに全力で決起されることを訴える。
 1億円という基金は巨額であるが、しかし獄中同志奪還を真剣に、本気でやりぬくためには絶対に必要な額なのである。爆取4同志の奪還のためには、保釈決定を実力でもぎとる闘いだけでなく、敵権力が必ずやしかけてくる不当な高額保釈金の攻撃と真っ向から立ち向かうことが不可欠である。これを財政的にも打ち破る力をもつことが、あらゆる弾圧を粉砕していく決定的な力となる。
 2002年前半の最大の決戦として、この1億円基金達成をやりぬこう。全党・全人民のありとあらゆる知恵と力をしぼり出し、総結集して闘うならば、1億円の達成は必ずできる。不退転の決意で闘おう。

 星野同志奪還へ党の死活かけ闘おう

 無期・爆取攻撃と闘う長期獄中同志の奪還は、わが革共同の革命党としての建設にとって絶対不可欠の闘いである。それは今日、ますます死活的で切迫した課題となっている。このことをあらためて強力に確認しなければならない。
 第一に、無期攻撃を受けて獄中27年を不屈・非転向で闘いぬいている星野文昭同志の再審貫徹・早期奪還をかちとるための大衆的闘争を、党の取り組みの画然とした変革をとおして、より一層広大につくり出すことである。
 星野同志は1971年、ペテン的沖縄「返還」協定批准阻止の11・14渋谷暴動闘争を、すべての闘う労働者・学生とともにその先頭で闘った。70年安保・沖縄決戦の爆発に大打撃を受けた日帝は、階級的報復として、機動隊員1人の完全せん滅を口実に、75年にデッチあげ逮捕した星野同志に死刑を求刑した。東京高裁は83年、「確定的殺意」を認定して無期懲役の判決を下した。だがその理由とされた「火炎瓶の投擲(とうてき)指示・殴打行為」を星野同志はまったくやっていない。むろん物証もない。星野同志はまったくの無実・無罪である。
 権力が持ち出してきた唯一の「証拠」は、デモに参加した6人の虚偽の供述のみである。しかもそのうち5人は公判廷でこの供述を、「取調官に強要されたもので、星野さんの行為は実際には見ていない」と撤回した。残る1人は法廷での証言を拒否した。にもかかわらず裁判所は、「取調官が誘導するはずがない」「公判での証言は信用できない」と許しがたいウソを用いて検察によるデッチあげを支持したのである。87年7月最高裁は上告を棄却、無期懲役が確定した。
 これに対して星野同志と弁護団は、96年4月、東京高裁に再審請求書を提出した。しかし高裁は00年2月再審請求を棄却、現在東京高裁12刑事部において異議審闘争が継続中である。
 この星野同志への無期弾圧は、絶対に許すことのできない権力犯罪だ。日帝は、星野同志を先頭に闘われた70年安保・沖縄決戦が、「闘うイスラム諸国人民と連帯し、アフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ!」を掲げた昨秋以来の闘いに確固として継承され発展していることに新たな恐怖と憎悪を抱き、星野同志を半永久的に獄につなぎとめる極悪非道の攻撃を強めている。星野同志の27年にもおよぶ獄中非転向の闘いは、逆にそこまで日帝を追いつめ、焦りに満ちた絶望的な凶暴化に走らせている。
 1月8日付朝日新聞夕刊は、検察庁が98年に通達を出し、特定の無期囚に対して現在の法律にはない事実上の「終身刑」の導入に踏み切っていたという恐るべき事実を報道した。現行法にない刑を、国会にもはからず、一片の通達で勝手につくりだして治安弾圧のとんでもないエスカレーションを図ろうというのだ。すべての闘う人びとと連帯してこの攻撃を打ち破ろう。星野無期弾圧粉砕の闘いを今こそ全力を挙げて大衆的に拡大し積み重ね、再審貫徹、星野奪還の勝利をなんとしても切り開かなくてはならない。
 昨秋の星野救援会全国総会で発せられた呼びかけにこたえ、星野暁子さんを先頭とする闘いに学び、全国・全地区に「救う会」を結成して闘おう。星野再審10万人署名の推進、星野再審・救援運動の大衆的爆発に向かって猛然と前進しよう。元共同被告で長期闘病中の奥深山幸男さんの免訴をこれと一体の闘いとしてかちとろう。

 4同志への勾留は戦時型治安弾圧だ

 第二に、爆取デッチあげ弾圧と闘う須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志、福嶋昌男同志に対する長期未決勾留を打ち破り、4同志の即時保釈・奪還を実現することだ。同時に4同志の無実・無罪を戦取するために、裁判闘争を圧倒的に強めることである。
 4同志は、1986年東京サミット時の迎賓館と米軍横田基地に対する革命軍のロケット弾戦闘を口実に、爆取(爆発物取締罰則)1条でデッチあげ逮捕・起訴されている。しかし4同志は両戦闘にまったくかかわっていない。百パーセント無実である。
 86年迎賓館・横田戦闘は、80年代中期の米帝レーガン、英帝サッチャー、そして日帝・中曽根による侵略と戦争と大反動の世界史的攻撃と真っ向から対決して闘われた偉大な戦闘である。中曽根が「戦後政治の総決算」を掲げて推し進めた三里塚二期攻撃や国鉄分割・民営化攻撃に対する労働者人民の階級的怒りの最先頭で闘われた戦闘でもあった。大打撃を受けた日帝権力は、「中核派なら誰でもよい」とばかりに4同志をデッチあげ逮捕し、爆取1条という「死刑・無期」を含む極刑・重刑攻撃を加えて党と人民を恫喝することで、90年天皇・三里塚決戦へとのぼりつめていく闘いの圧殺を狙ったのだ。
 東京地裁刑事11部で開始された須賀・十亀・板垣3同志への裁判は、検察立証に13年も費やしながら、3同志の関わりを示す証拠を何ひとつとして法廷で明らかにすることができなかった。刑事3部で続いている福嶋同志の裁判も、検察立証の完全な破産を示している。4同志の無実は今や明白であり、直ちに公訴を棄却するか、無罪の判決が出されなければならないところに来ているのだ。
 ところがこの間東京地裁は、検察側のウソ八百の「立証」に全面協力して不当な裁判を延々と続けてきた。しかもその間、4同志の保釈申請を幾度も却下して、3同志の身柄を15年、福嶋同志を9年もの間獄中に拘束し続けるという残忍きわまる仕打ちを重ねてきたのである。これが無法な権力犯罪でなくて何か!
 15年、9年もの未決勾留は実質的な刑の先取りであり、4同志は禁固刑と同じ状態に置かれているのだ。日光に当たる機会すらも極度に奪われている未決の独房での超長期勾留は、肉体的精神的拷問となって4同志に襲いかかり、健康をも破壊している。だが不屈の4同志は、この白色テロルに敢然と立ち向かい、対峙しぬき、自らの正義と真実を訴えて一歩も引かず闘いぬいている。
 こうした実状は、今やマスコミでさえ「東京地裁最古の事件」(朝日新聞01年11・5付)と問題視するまでに至っている。「無実を争えば保釈しない」という「人質司法」の典型例として、法曹界をゆるがす大問題に発展しようとしているのだ。
 われわれは、4同志の無罪判決をかちとるために獄中・獄外一体となって徹底的に闘いぬくとともに、戦闘的・良心的な諸人士によって担われてきた4同志奪還の10万人保釈署名運動を党として全力で推し進めなければならない。東京地裁を巨万の人民の怒りの声で包囲し、その力で保釈決定をもぎとる闘いに挑戦し、絶対に勝利しよう。

 労働者人民の決意ある拠金集めよう

 これらの闘いをやりぬく上で、1億円基金の達成は絶対に不可欠である。とりわけ、爆取4同志の保釈決定に際して予想される高額保釈金に対し、広範な労働者人民に訴えてこの保釈金を集めきる闘いなしには、真に保釈奪還を闘いとることは不可能なのである。
 異常に高額な保釈金額の決定は、それ自体が不当な攻撃である。保釈金は本来、身柄保釈後の公判・判決への出廷の保証金である。貧しい労働者人民に対し、とくに革命運動や階級闘争の中で弾圧を受けた政治犯に対して、その支払い能力をはるかに超える何千万円もの度外れた高額保釈金を課すことは、それ自体が権力による弾圧の一形態にほかならない。
 だからこそ断固としてこれを粉砕し、獄中同志奪還をかちとるための1億円基金運動を先制的・徹底的に展開していくことがきわめて重要なのである。「4同志を直ちに保釈せよ」の要求を、日帝権力の非道・無法に対する大衆の腹の底からの根源的な怒りの要求として引き出し噴出させ、10万人保釈署名の達成と一体となって、1億円基金運動を絶対に完遂しよう。
 獄中で生死をかけて闘う革命家の存在を知りながら、労働者人民が彼らを投獄させたままにしておくことなどありえない。全党の同志が本気で救援・奪還を訴えて闘いぬくならば、保釈金は必ず集まる。必要額をも超えて集まりうる。労働者階級が労働者階級であり、人民が人民であるかぎり、闘う労働者人民の一人ひとりが党と革命家を守るために、自分自身の乏しい財布の中から決意ある拠金を必ずやしてくれる。
 また、「身銭を切った」からこそ、人は党と革命家の行く手を見つめる。その中から新たな行動に立ち上がる人、党とともに闘う人、そして同志となることを志す人が確実に生まれてくるものだ。それは世界のすべての革命運動が歴史的に経験してきたものであり、真の革命党が必ずくぐりぬけるべき道なのだ。そのことに確信を持って大胆に人民の中に入り、訴えていこう。
 爆取4同志奪還のために、必要な保釈金を今から先制的に準備しよう。1億円基金をどんなことがあっても集めきろう。この基金運動の達成を基礎に、爆取4同志の保釈奪還を実力でかちとり、その勝利を同時に星野同志奪還への巨大な展望を切り開くものとして闘おう。
 長期獄中同志奪還の大運動化を柱に、すべての獄中闘争・裁判闘争の勝利へ前進しよう。富山保信同志の再審闘争、神藤猛雄同志の上告審闘争、水嶋秀樹同志と全学連M同志の裁判闘争を闘いぬき、すべてのデッチあげ弾圧を粉砕しよう。下獄して闘う倉持嘉之同志、片山武夫同志、浦山正博同志と連帯し、全獄中同志の奪還をめざし闘おう。デッチあげ指名手配の攻撃と長期にわたり闘う全同志を守りぬこう。
 9・11―10・7情勢下の日帝権力による無差別の家宅捜索を始め激化する不当・無法な政治弾圧を許さず、闘う全人民とともに戦時型治安弾圧粉砕の巨大な統一戦線を形成して反撃の闘いに打って出よう。「司法改革」攻撃粉砕、新治安立法制定阻止、有事立法・改憲阻止の闘いを強めよう。それら一切の突破口として、長期獄中同志奪還1億円基金運動の大展開へ突き進もう。

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週刊『前進』(2041号4面2)

今こそ「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて! 第3回 神奈川

 新井憲一さん(中学校)

 「高校改革」との闘い 「子どものための改革」はない
 労働力政策の転換と一体

 学校生活すべてが評価の対象に

 ――「高校改革」の現状を聞かせてください。

 新井 神奈川の「高校改革」は、「特色ある高校づくり」という名のもとに、入試における推薦制の導入と学区制の拡大として進められています。
 推薦制は5年前から導入されました。今は普通科にまで拡大され、定員数の20%が推薦枠になっていて、中学校側が一定数の生徒を高校に推薦するわけです。最大の問題は、教師と子どもが国策を基準に「評価する」側と「評価される」側に分断されるということです。
 さらに「特色づくり」です。「部活で成績をあげた子」とか「得意なものがある子」とか「多様」化を装ってはいますが、実態はそんなものじゃない。受験指導のために高校からくる資料には、入試や内申の点数配分の計算式が示されているんですが、理科系が強いとか文科系が強いとか、点数配分を移して生徒を合格させるように変わってきた。大学受験と同様、エリートをどう選抜するのかってことです。
 また来年度から新学習指導要領に移行し、成績評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わります。そこで今話題になっているのは「絶対評価」に客観性を持たせるために、学習指導要領を基準にするということです。「絶対評価」を水路にして、学習指導要領に「絶対性」を持たせる攻撃です。これをとおして教育内容を国家がストレートに統制し、評価者としての教師を国家権力の側に立たせようとするものです。
 もうひとつは学区制の拡大です。59年に法が改悪され、゛高校教育に適する人間を選抜する″という「適格者主義」が導入され、中規模の学区制になった。そうやって高校間の格差を拡大してきたわけです。
 今進められている学区制の拡大は、受験競争をますます激化させて、いわゆる゛ナンバースクール″を復活させるものです。神奈川は今18学区に分かれてますが、最終的には全県1学区を目指している。すでに2年前から、高校入学者のうち学区を超えて受験できる比率が25%に大幅に引き上げられました。

 ――「改革」の背景は。

 新井 日帝の労働力政策の転換です。高度成長期には、言われたとおりに仕事をする「均質な労働力」を必要としてきたわけだけど、バブルがはじけ、帝国主義間争闘戦が激化する中で、日経連の言う「雇用ポートフォリオ」、雇用の3形態に合わせた労働力養成のための教育に転換させようとしているんです。「子どもたちのための教育」という建前はかなぐり捨て、露骨に「教育は資本のため、国家のためのものなんだ」と。

 ―― 子どもたちにとっては。

 新井 今の「改革」の職場的実態は、゛学校の日常生活の中にどれだけ細かい評価の網を張れるか″ってことなんです。そうして子どもたちを抑え込み、「従順な子ども」をつくろうとしている。どれだけ教員に評価されるかがすべてで、友達同士が競争をさせられる。「内申に有利だから」と、生徒会役員に立候補する子どもが増えています。

 競争が「いい子」と「荒れ」つくる

 そういう中で子どもたちは、一言で言うと「いい子」になっている。評価が細かくなればなるほど、子どもはそう対応させられてしまうんです。その分教師は多忙になる。
 他方、校内暴力や喫煙、万引きなど「荒れ」と呼ばれる行動は増えています。子どもへのプレッシャーが強くなっているからです。今は「能力に差があって当たり前。貧富に差があって当たり前」と、競争原理がむき出しです。親の生きている社会を見ても夢も展望もない。自分たちの未来が荒れた社会であれば、子どもたちは「荒れ」て当然です。

 ――いかに対決していくのか。

 新井 教育労働者は70年代から80年代末ころまで、地域集中通学方式などの地元の高校に進学させる運動を展開して、能力主義的な受験制度に抗してきました。神奈川では「15の春を泣かせない」のスローガンを掲げ、進学をめぐり子どもたちが蹴落とし合い傷つくことがないよう実践してきました。だが、それも結局は資本の労働力要請にこたえる「教育」でしかなかった。そういう自覚を持てるかどうかが重要です。
 そして90年代半ばから、日教組自身が変質させられ、文科省のいう「教育改革」攻撃に完全にからめとられ、「文部省とともによりよい改革を推進する」立場になってしまったことは本当に犯罪的です。
 教育基本法が改悪されようとしている中で、教育基本法改悪阻止を軸に保護者も含めた教育闘争を復権していくということです。保護者も労働者だし、子どもたちも未来の労働者なわけで、ともに社会の変革者として立ち上がっていく闘いをつくり出さなければならない。逆に敵は、教育労働者がその立場に立って本当に運動を始めた時の恐ろしさを知っているからこそ、日教組運動を完全につぶそうとしているんですよ。

 子どもを資本の餌食にするだけ

 教育労働者が子どもたちを戦争に送り出す役割を担わないためには、「資本主義体制の中で子どものためになる教育を」ではなく、「帝国主義そのものを打倒する」闘いをまず自分が担うことが不可欠だと痛感します。
 今の「教育改革」をどう進めても、子どもを資本のえじきにするだけ、侵略の先兵にしていくだけです。その根本と対決する中で、初めて教組運動にも展望が見いだせると思います。

 ――反戦闘争について。

 新井 11月25日に「うらが」が横須賀から出港した。神奈川県教組は日教組の中では右派主流なんですけど、僕らの闘いが全県の教育労働者の司令塔の位置をもつような闘いをやらなくてはいけないと思います。
 米軍・自衛隊を抱えてきた神奈川はやっぱり反戦闘争、反基地闘争の伝統を持ってきたわけで、それがすべて屈服させられてしまうのか、あらためて本物の反戦闘争を神奈川の地からつくり出していけるのか、正念場だと思っています。
(聞き手/本紙 大西 晶)

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週刊『前進』(2041号4面3)

 1月29日〜2月5日
 小泉が「有事立法」明示 施政方針演説
 ブッシュが「悪の枢軸」発言

●「戦争は始まったばかり」 ブッシュ大統領が米議会で一般教書演説を行い、「(戦争は)アフガニスタンでは終わらない。まだ始まったばかり」と戦争の拡大・長期化と、本土防衛予算の倍増を明らかにした。さらに北朝鮮、イラク、イランを「悪の枢軸」だとして「対テロ戦争」の対象として視野に入れていることを示した。(29日)
●基地跡地から廃油 沖縄県北谷町美浜の民有地で工事中にコールタール状の廃油が地中から大量に見つかった。廃油が入っていたとみられるドラム缶20本近くには「米特許」と刻印され、米軍関係のものとみられる。現場は1981年まで米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)の射撃場として使用されていた。同町が返還前の写真を分析したところ、隣の国道よりも低かった土地が、国道とほぼ同じ高さまで米側によって土が盛られていることを確認した。日米地位協定では米軍が施設を返還する際の原状回復義務はない。(29日)
●米「合衆国自由部隊」創設命令 ブッシュ大統領が、「合衆国自由部隊」の創設を命じる大統領令を出した。20万人以上の参加を得たい意向。「テロからの本土防衛」を目的に、市民がそれぞれの地域で医療、警察、テロ情報収集、隣人監視、緊急事態対応などの活動に奉仕するという。(30日)
●収用委裁決不当と反戦地主が提訴 国の継続使用を一度は認めなかったにもかかわらず、土地の使用を容認した判断は不当だとして、反戦地主5人が、沖縄県収用委員会を相手に裁決の取り消しを求める訴訟を那覇地裁に起こした。5人の土地は、普天間飛行場や嘉手納基地など4施設にある地籍不明地で「地籍不明地は強制収用の対象外」として、収用委裁決の不当性を訴えている。(30日)
●米国防長官が新たな戦力構築を表明 ラムズフェルド米国防長官が国防大学で演説し、2正面戦略の「放棄」を初めて明言した。21世紀初頭の新たな戦力構築について、機動性と柔軟性を重視するとして@外国の首都進攻、体制転覆などを1カ所で行うA2カ所で侵略勢力を短期に撃退するBきわめて重要性の高い4地域での紛争を抑止する――ことを同時に行える戦略再編計画を明らかにした。(31日)
●東ティモール、8月20日まで派兵 政府は、東ティモールの国連平和維持活動(PKO)に自衛隊を派兵するための実施計画案をまとめた。派兵人員は680人で過去最大規模。女性隊員も初めて派兵する。計画は2月15日にも閣議決定し、8月20日までを派兵期間とする。3月上旬に先発隊50人を送り、4月中旬までに派兵を完了する。(31日)
●「ためらいはない」 ブッシュ米大統領が一般教書でイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と非難したことに関連して「各国もわれわれの側につく必要がある」「対アフガン戦が成功したからといって、本気ではないと思っている人たちが世界にはいるが、われわにためらいはない」と強調した。(31日)
●名護市長選、宮城候補が奮闘 名護市長選の投開票が行われ、現職で新基地建設推進派の岸本建男候補が20356票、基地建設に反対する宮城康博候補が11148票で、岸本が再選した。(3日)
●小泉が施政方針演説 衆参両院で小泉首相が就任後初の施政方針演説を行い、有事立法の関連法案を今国会に提出することを明示。これは歴代内閣で初めてのこと。(4日)
●有事立法、「包括法」で 政府と与党が、有事立法の基本方針で合意。自衛隊の防衛出動を対象に、有事対応の枠組みを示す「基本法」的規定と、自衛隊法改悪などの個別法を「武力攻撃事態への対処に関する法制」(仮称)として一体の「包括法」として扱う。米軍の行動のための法制も、間に合えば提出するという。(5日)

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週刊『前進』(2041号5面1)

極悪の高橋決定−−狭山異議審棄却(上)
でたらめな「心理的緊張」論で筆跡の違いを「同一」と居直る

 東京高裁の1・24狭山異議審棄却決定に対して29日、石川一雄さんは最高裁に特別抗告を申し立て、第2次再審闘争は特別抗告審闘争に突入した。石川一雄さんは青天白日無実である。1・24高橋棄却決定には一片の真実も正義もない。われわれは、石川さんとの血盟にかけて、全力で特別抗告審闘争を闘い、必ず最高裁に原原審・高木棄却決定、原審・高橋棄却決定を破棄させ、再審開始を決定させなければならない。怒りに燃えて棄却決定を全面的、徹底的に批判し、壊滅的に粉砕する。

 初めから棄却を前提の差別決定

 異議審棄却決定は、石川さんの無実の叫びを踏みにじり、権力の差別犯罪を隠蔽(いんぺい)し開き直る極悪の差別決定である。
 高橋省吾裁判長には、「無辜(むこ=無実)の救済」という再審制度の理念など毛頭なく、白鳥決定や財田川決定を踏襲する立場もさらさらない。最初から異議申し立て棄却の立場で、寺尾確定判決と高木原審決定を護持することのみを目的に密室審理を行い、「裁判所の合理的裁量」をたてにとり、「これは異議審(事後審)だから」必要ないと強弁して一度の事実調べも、検察庁への証拠開示の勧告・命令も行わず、反動的、差別的棄却決定を強行したのである。
 高橋棄却決定は、弁護側の新鑑定書・意見書や異議申立書・補充書によってぐらぐらになり事実上崩壊している原審・高木棄却決定を、まやかしとペテン、独断と推測という高木棄却決定と同じ手口で居直り、その破綻(はたん)を取り繕うことに終始している。異議審棄却決定までの2年6カ月の密室審理は、そのためにのみ費やされたと言って過言ではない。
 高橋棄却決定の一つの特徴は、検察側が再審段階で提出した検察官意見書に添付した高沢鑑定(筆跡)、石山鑑定(殺害態様)などを、開き直り的に、公然と引用して弁護側鑑定に対する反論の根拠にしていることである。高木決定もこれらの鑑定内容を用いて弁護側鑑定に反論しているが、公然とは引用していない。
 高橋棄却決定書(90n)の大半は、新鑑定書・意見書、異議申立書・補充書からの引用であり、高木棄却決定のくり返し、焼き直しでしかない。
 小名木証言や元警察官証言、脅迫状と封筒記載の宛名等の筆記用具、指紋関係など、原審提出の弁護側鑑定書・意見書・報告書、供述調書に対する高橋棄却決定の判示は、基本的に高木決定の繰り返しである。
 したがって高橋棄却決定の批判は、基本的に高木棄却決定批判と重なり通底する。高橋棄却決定と高木棄却決定をくし刺しにして粉砕しなければならない。
 異議審に提出された石川さん無実の新鑑定・意見書に対する高橋棄却決定のでたらめさを徹底的に暴露し断罪しなければならない。
 今号では、脅迫状の筆跡問題に関する高橋棄却決定を批判する。

 筆跡鑑定を自己崩壊させる暴論

 神戸筆跡鑑定を始めとする弁護側鑑定は、脅迫状と石川さんの文字・筆跡の違い、筆記能力、国語力の差異を明らかにし、脅迫状は石川さんが書いたものではないことを証明して、脅迫状は石川さんが書いたとする寺尾確定判決を根拠づけた検察側筆跡3鑑定の信用性を完全に否定した。
 何がなんでも確定判決を護持しようとする高木棄却決定は、寺尾確定判決が言ってもいない「書き手の置かれた環境、心理的状態によって筆跡には差異が生じる」「(筆跡鑑定の)対照資料にした上申書などは、捜査官の目を強く意識して心理的緊張の下で書いたものであるから、当時の石川さんの表記能力の常態を表していない」旨の新説を主張し、「(弁護側鑑定は)三鑑定の結論に影響を及ぼすものではない」として、鑑定人尋問もやらずに、神戸鑑定を始めとする弁護側鑑定の明白性を否定した。
 しかし、この論理では、筆跡鑑定そのものが成立しなくなる。少なくとも、同じ資料を使った検察側3鑑定の証拠価値も否定されることになる。
 高橋棄却決定はこの破綻を取り繕うために、高木決定が用心深く避けた具体論に踏み込み、墓穴を掘ったのである。
 すなわち、高橋棄却決定は、神戸鑑定と検察側高沢鑑定が鑑定対象にした脅迫状の「な」字(11行目)と、石川さんの狭山署長宛「上申書」の「な」字(6行目)を取り上げて両鑑定を比較し、神戸鑑定が異筆とする点は「心理的緊張」によって「書字速度が遅く渋滞した筆跡であるからこの点を重視するのは相当ではない」として否定した。
 同一文字の、一方の個所は「心理的緊張」の影響がなく常態の筆跡であり、他方の個所は「心理的緊張」の影響があるという、恣意(しい)的ででたらめな認定がどうして認められるか。そんなことがまかり通るなら筆跡鑑定など無意味である。
 まったく同じ「な」字の、高沢鑑定が同筆の判定根拠とする一部分(第3筆から第4筆の形態)は同一筆跡の証明であるとし、神戸鑑定が異筆の判定根拠とする一部分(第4筆)は、「心理的緊張」を理由にして否定するなどという、こんな高橋棄却決定の珍妙でアクロバット的な認定は前代未聞である。語るに落ちるとはこのことだ。
 しかも高橋棄却決定が取り上げているのは、「な」字一字のみである。神戸鑑定と検察側鑑定が同一資料で鑑定対象とした文字は、「に」「ら」「わ」「ツ」「2」「出」「山」「し」「じ」「を」「た」「は」「さ」「ま」「時」「札」「う」「い」「す」など多数に及ぶ。これらについてどちらの鑑定が正しいかの具体的検討を高橋棄却決定は放棄し逃げている。

 ご都合主義のごまかしで墓穴

 神戸第2新鑑定は、漢字を知らない者が「『りぼん』を手本にした」という条件や脅迫状の作為性をまったく考慮せずに筆跡を同筆と判定した検察側3鑑定は、「文字の形態鑑別以前にすでに致命的な欠陥をふくんでいる」と、信用性を明白に否定した。
 ところが、高橋棄却決定は、「(『りぼん』を見て脅迫状を書いたという)請求人の供述調書は、鑑定資料になっていないのであるから、(検察側)3鑑定が同供述調書を考慮していないのは当然であって、……(この)点をとらえて鑑定書として的確性に欠けるというのは、相当ではない」と神戸第2鑑定を否定した。ペテン的に問題をすり替えてごまかしたのだ。
 問題は供述調書が3鑑定の鑑定資料になっているかどうかではない。3鑑定が「『りぼん』を見て脅迫状の漢字を書いた」という条件を考慮していないことは高橋棄却決定も否定できない事実である。3鑑定書が鑑定としての的確性に欠けることは明白である。
 寺尾確定判決は「手本をみて書いたという点を看過した大野鑑定などはその立論の根拠を失う」と言って弁護側の大野鑑定を否定したが、それは3鑑定にこそ言われなければならない。
 また、高橋棄却決定も認めているが、関根・吉田鑑定書、長野鑑定書は、脅迫状に作為性はないと明記している。しかし、脅迫状には明らかに作為性がある。作為性がないことを前提にして行われた鑑定に致命的な欠陥があることは自明である。高村鑑定書は作為性の存在をほのめかしているが、作為性を前提に鑑定をしていない点は同じであり致命的欠陥を有している。この点でも3鑑定の信用性は否定されるのである。
 高橋棄却決定は、とにかくでたらめで、怒りなしに読むことができない。高木棄却決定もろとも粉砕あるのみだ。
 いくら無実の証拠を積み上げても、国家暴力で問答無用にこれを踏みにじり、真実を真実として認めず、無実を無実として認めない裁判所には、300万部落大衆と巨万の闘う労働者人民の大衆的実力闘争をたたきつけ、実力で認めさせ、再審を開始させるしかない。これが高木・高橋棄却決定に対するわれわれの回答でなければならない。
 全国連第11回全国大会の成功をかちとり、5万人組織建設路線を強力に推進し狭山第2次再審・特別抗告審闘争の大衆的戦闘的発展をかちとろう。(つづく)

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週刊『前進』(2041号5面2)

 第3部 植民地支配の歴史(2)
 台湾@ 台湾出兵の強行
 絶望的な侵略戦争の基点

 欧米列強に遅れて帝国主義の道を歩み始めた日本は、明治維新の過程での近代国家的確立と、国内での資本主義的蓄積様式の形成・発展とともに、外に向かっての侵略・侵略戦争を激しく展開した。19世紀に入り、欧米列強による中国の市場分割を最大の焦点としたアジアの勢力圏争いは激化の一途をたどり、その戦場に深々と突入する以外に日本にとって帝国主義として生きていく道はなかったのである。
 台湾と朝鮮に対する植民地支配は、そうした日帝のアジア勢力圏化政策の中心軸をなし、ここを基点に日帝は絶望的な中国−アジア侵略戦争に突き進んでいった。しかも、日帝が行った植民地支配政策は、史上類例がない残虐性、凶暴性に満ちたものであった。

 牡丹社事件機に

 日本の台湾侵略は1874年の台湾出兵に始まる。1871年に琉球・宮古島の船が台風で台湾に漂着し、乗組員の大半が台湾・牡丹社の先住民族に殺されるという事件が起こった(牡丹社事件)。明治政府はこの事件を口実に、強硬な対清外交に乗り出した。その最大の目的は琉球処分の推進にあった。
 1853年ペリー来航以来の、鎖国から開国への国内激動−明治維新の中で誕生した薩摩、長州を軸とする明治政府は、日本の近代国家的自己確立の渦中に、征韓論と徴兵制の実施をめぐって危機を深めていた。
 この危機の排外主義的突破のために、征韓論の急先鋒(きゅうせんぽう)であった西郷隆盛の弟従道や副島外務卿、さらに後に初代台湾総督になる樺山資紀らを中心に、牡丹社事件に対して台湾出兵の動きが強まった。同時に、明治政府は71年に廃藩置県を実施し、中央集権国家の形成を目指すとともに、領土拡大のために琉球侵略を強めていった。廃藩置県の翌年、明治政府は琉球王国を琉球藩とし、強引に国王を琉球藩王に封じた。
 そして、73年の徴兵令を経て、74年5月、西郷従道率いる3700の兵力による台湾出兵が強行された。これは、近代日本の軍隊初めての海外派兵である。これに対し台湾の先住民族は部族をあげて闘い、日本軍に大打撃を与えた。また日本兵の中からマラリアに罹患(りかん)するものが続出するなど、日本は大苦戦を強いられた。その中で明治政府は大久保利通を清国に派遣し、イギリスに「和解」の仲介を要請した。
 当時、イギリスは、アヘン戦争での勝利以降、中国侵略を強めていた。イギリスの圧力下での日清交渉の結果、日本は台湾から撤退するものの、巨額の賠償金を得、琉球統治を清朝に承認させた(北京条約)。
 これによって明治政府は清と琉球の宗属関係を断ち切り、単独の琉球支配に突き進む。軍隊を派遣し、人民の抵抗を圧殺して、1879年琉球藩を沖縄県としたのである。(琉球処分)
 さらに日本は、こうした台湾出兵の翌年、江華島事件を引き起こし、朝鮮への軍事侵略を開始していく。

 台湾の要衝性

 19世紀に入り、欧米列強は東アジアへの侵略−市場分割戦を激しく展開していた。イギリスは、1841年アヘン戦争―南京条約によって香港を略奪するとともに、5港を開港させ、中国市場になだれ込んでいった。フランスは、そのイギリスと連合して1858年、広東攻略戦に突入し、領事裁判権や関税率協定、台湾の開港などを清朝に認めさせた。また、アメリカのペリー艦隊も日本来航の際に、軍艦を台湾に派遣し、調査の上、台湾占領を本国に建議している。
 1661年、中国から台湾に渡った鄭成功がオランダを放逐して以来、台湾は清朝支配下にあった。欧米列強は、その台湾がもつ@軍事・通商上の要衝性、A米、砂糖、茶などの農産物および石炭としょうのうの産出、B海難が頻発する台湾海峡での航路安全の確保などから、略奪を狙って互いに侵略戦争をくり返していた。これに対して、台湾の先住民族は武力をもってこれと対決し、何度も列強をたたき出した。

 主権線と利益線

 台湾出兵は、その後の日帝のアジア侵略、植民地支配と侵略戦争の原型をなしている。最高司令官・西郷従道は出兵にあたり、「みだりに兵を出し無実の土人を誅(ちゅう)するにあらず、その要は彼等をして我が国威を畏(おそ)れ、我が徳に懐き親しましめ、皇国の教育を被り……善良なる国民たらしめんと欲するがためなり」とする「告諭」を出した。植民地支配を目的とした出兵であることをはっきり宣言しているのだ。しかし、実際に台湾に上陸した日本軍は無類の残虐さを発揮している。
 例えば、当時の従軍医による回想録には、戦闘で殺した台湾人民の「十二の首級を得、その頭髪を青竹に縛りつけ、意気揚々これをかついで還(かえ)った」との記述がある。さらに降伏した相手に対しては「この御旗を賜うものは我皇国の大稜威(おおみいつ)に順し奉るあかしなれば、仮染(かりそめ)にも汚すことなかれと言うことしかり」と書かれた「日の丸」を与えたというのである。
 そして、この台湾出兵での戦死者は「対外戦争」における初の死者として東京招魂社(琉球処分の後に靖国神社と名称変更)に合祀(ごうし)された。日帝の靖国英霊化の出発点は、この台湾出兵にあるのだ。
 この台湾出兵後、日清戦争に至る20年間、日本は天皇制ボナパルティズム支配体制の確立と、大軍拡路線の道を突き進んでいく。とりわけ、山県有朋が「清国脅威論」を口実に陸海空軍の大増強を主張した「対清意見書」を1883年に提出し、本格的な軍備拡張が始まった。
 その中で、その山県有朋が第3代首相として1890年の第1回帝国議会で行った施政方針演説はきわめて重大なものであった。それは「主権線と利益線」論を打ち出し、こうした大軍拡の目的が朝鮮略奪にありそのために清との戦争も辞さずとするものである。
 山県は、「国家独立自衛の道に二途あり、第一に主権線を守護すること、第二には利益線を保護することである。その主権線とは国の領域をいい、利益線とはその主権線の安危に密着の関係ある区域」であるとし、「およそ国として主権線、および利益線を保たぬ国はござりませぬ」と、日本として他国領土略奪のための侵略戦争への大号令を発した。 (五十嵐茂生)

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週刊『前進』(2041号5面3)

共産主義者 131号
 12・15集会を大特集
 ●国際主義的連帯論の深化 米本論文
 ●6回大会路線学習の手引き 島崎論文

 本号は、9・11反米ゲリラ戦をもって始まった国際的内乱下での階級決戦の課題にこたえた。
 巻頭論文「帝国主義を打倒する労働運動の進路」(米本茂憲)は、今日の日帝危機の分析を通じ、小泉登場の歴史的意味、その構造改革と戦争国家化攻撃の不可分一体性を明らかにし、労働者階級にとって、もはや帝国主義打倒が戦略的テーマであることを訴えた21世紀の労働運動論である。新自由主義=市場主義の反動性を徹底的にえぐり、豊富な資料をもとに資本攻勢の実態をとらえた。労働者大衆の怒りの実態に的確に迫っている。
 注目すべきは、筆者自身が9・11によって受けた衝撃をもとに帝国主義国プロレタリアートと革命党としての階級的自己批判をする中から、現下の資本攻勢を批判する視点を形成し直していることである。これによって階級的批判の立場を力強く確立した。パレスチナ・中東人民の民族解放戦争をどう受け止めるか。小泉改革とは何か、それとどう闘うか。この昨年来の2大テーマと真正面から向き合い統一的につかみとった核心がここにある。労働者的感性を思想的・綱領的に高めよと提起している。
 こうした立場から 本論文は、革共同6回大会「第2報告(20世紀総括論と21世紀革命の展望論)」「第3報告(国際国内情勢・資本攻勢論)」にのっとってプロレタリア国際主義と革命的祖国敗北主義の実践的貫徹こそ労働運動論の核心であると結論づけている。革共同の綱領的前進をしっかり跡づけた力作である。

 治安弾圧粉砕を

 特集は、昨年12月都内で行われた「無期・爆取攻撃とたたかう長期獄中同志奪還大集会」の報告。
 本集会は、星野同志、爆取4同志を始め革共同の長期獄中同志を奪還する闘いが、日本階級闘争の新たな不可欠の柱のひとつであると位置づけ、この勝利の決意を内外に宣言するために行われた。天田三紀夫革共同書記長の総括的全面的提起、獄中同志のアピールを軸に救援連絡センター始め各界の連帯のあいさつなど全文を採録している。
 ポイントは、一つにこれまでの革共同の救援活動に対する取り組みの不十分性を痛苦に見据え、統一戦線を再形成して新たな時代に決起していくために、獄中同志と家族、そしてこれまで支援されてきた方々への率直な自己批判的表明である。
 二つに、獄中同志たちが身をもって先頭で担った闘争課題と救援運動そのものを、開始された国際的内乱の一端として爆発させることである。その核心が新たな党建設であることを突き出している。
 事実、星野同志へのデッチあげ無期刑が、70年決戦に対する報復弾圧であり、爆取4同志への1審未決15年、9年というデタラメな弾圧が、70〜80年代中期、三里塚・国鉄決戦に対する報復弾圧であるとともに、革命党と革命運動の破壊を目的とするものであり、それとの闘いは革共同を先頭とする日本階級闘争の内乱的前進そのものなのである。
 三つめに、実践上の確認として5同志奪還の闘いをそれ自身一個の大衆運動として労働運動・反戦闘争に持ち込み物質化し、星野再審貫徹・早期奪還、爆取4同志保釈・奪還を現実にかちとることである。
 獄中同志の各アピールは、国家権力の抹殺攻撃と最前線で激突する革命家の峻烈(しゅんれつ)かつ豊かな人間性を余すところなく伝えており、これそのものが百万言にまさるオルグの武器といえるだろう。
 「02年障害者解放運動の課題」(関東障解委)は、侵略戦争開始のもとでの新たな「障害者」差別攻撃との闘争論。70年代以来の「障害者」解放闘争の総括の立場から小泉による支援費制度を突破口とする措置制度解体、社会保障制度解体攻撃の全容を批判。労働者階級の自己解放をかけた「障害者」との階級的団結を訴えている。

 争闘戦の分析

 「アメリカ経済−超バブル崩壊から大恐慌へ」(秋月丈志)は、米の恐慌突入の実態的分析をとおして米帝崩壊=世界戦争―世界革命の時代という歴史的本質を暴いた。9・11と米の超バブルの崩壊の同時的一体性・必然性を解明し、世界革命の現実性に迫った。
 「帝国主義間争闘戦の激化と第三次大戦の危機」(島崎光晴)は、革共同6回大会路線の主体化(党建設)のための理論的指針である。第1報告(党史)と結合した第5・6報告(黒田哲学批判)から対カクマル戦争勝利の結晶としての〈革命的実践論〉を明確化し、そこから第2報告(世界観・革命戦略論)の意義を全面的に確認した。さらに任務・方針の報告を合わせ大会報告全体の革命実現綱領としての位置を鮮明にした。130号仲山論文に続いて大会報告集学習の手引きとして役立てたい。後半は、情勢論を2つのテーマで解明。中東・中央アジアを中心に米エネルギー政策を帝国主義間争闘戦と侵略の観点から明らかにしている。さらにアジアをめぐる争闘戦と日帝の没落を詳述。いずれも必須の課題の解明だ。

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週刊『前進』(2041号5面4)

福嶋君虐殺16ヵ年糾弾 京大で報復誓い集会

 京都大学の学生は、1月17日、「福島君虐殺16カ年糾弾、復興会議粉砕、名護新基地建設阻止」を掲げて、京大総合人間学部生協前で学内集会を行った。
 冒頭、全学連副委員長の宮城啓君が、「95年以来、沖縄人民は本土人民に基地撤去のために一緒に立ち上がろう、と呼びかけて闘ってきた。今こそこの呼びかけにこたえよう」と名護市長選勝利を訴えた。
 続いて京大部落解放研究会の学生が、「部落民への差別襲撃が始まっている。異議審勝利へ実力糾弾の思想で闘う」と発言した。
 次に別の学友が、「4月三里塚暫定滑走路開港を反対同盟と連帯する実力闘争で阻止しよう」と訴えた。
 これらの発言を受けて、「86年1・20福島慎一郎君虐殺糾弾、カクマル打倒」の戦闘宣言が発せられた。「カクマルは最悪の帝国主義的排外主義者だ。福島君虐殺に手を染めたカクマルは、被抑圧民族人民の闘いに敵対し、労働者階級の闘いの根絶をはかる反革命に純化した。全国学生運動の革命的再編を推進し、京大キャンパスを戦場にファシスト・カクマルを打倒しよう」と、全員が報復戦の決意を固めた。
 最後に全学連の倉岡靖子書記次長がアフガニスタン復興会議粉砕、有事立法阻止を内乱的闘いの開始として闘うことを宣言し、学内デモに出発した。門前に来た京都府警の公安刑事を徹底弾劾のシュプレヒコールでたたき出し、02年の闘いを、戦闘的に開始した。
(投稿 京都大学 吉川)

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週刊『前進』(2041号6面1)

福嶋同志の保釈却下弾劾
9年の超長期未決勾留を居直る服部裁判官許すな

 去る1月29日、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)は、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧で9年にも及ぶ未決勾留を継続されている無実の福嶋昌男同志の保釈請求を却下するという不当極まる決定を下した。
 この決定は、8年間にわたる長期間の検察側立証が、今日、数人の警察官証人の反対尋問を残すのみとなったこの最終段階において、しかも検察官が被告と事件を結ぶいかなる証拠もついに提出できなかったという裁判審理の全経過を無視抹殺した実に許しがたいものであり、けっして容認できないものである。
 日帝・小泉政権は、戦後初めて自衛隊を戦闘が行われている戦場に派兵し、アフガニスタン・パレスチナ・中東侵略戦争に積極的に参戦し、米帝ブッシュ政権の新たな世界戦争突入情勢に対応した戦争国家への突進を開始している。その中で服部裁判長は、自ら最も悪らつな治安判事として、戦争に反対する革命的労働者人民を長期予防拘禁し、投獄することを使命とし、極反動的な決定を下したのだ。絶対に許さない。
 真摯(しんし)に裁判の審理経過を見れば鮮明になるように、もはや無罪判決以外考えられないほど検察立証が破綻(はたん)し去った中で、服部裁判長らはいかなる理由によって正当な保釈請求を却下したというのか。不当極まる長期の未決勾留を、この上さらに強制するいかなる理由も存在しない。そのようなものは絶対にあり得ない。
 われわれはこの審理経過を無視抹殺し、保釈却下の反動的決定を下した事実を決定的に重視し、この不当な決定を下した服部裁判長らを満腔(まんこう)の怒りをもって徹底弾劾する。
 服部裁判長は、この期に及んで保釈却下決定の理由として、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれをその根拠として挙げている。そのようなものなどどこにあるというのか。検察側立証はほとんど数人の警察官の反対尋問を残すだけなのに、いったい何を「罪証隠滅」するというのか。
 また、服部裁判長は、9年に及ぶ長期勾留を、「不当な長期勾留」に当たらないと開き直ってさえいるのだ。検察官によるデタラメ極まりない、被告とは何の関連もない岩手借家の押収立証や85年の羽田空港・成田空港ロケット弾発射事件の立証を延々と長期にわたって認め、さらに検察立証の不備を裁判所が指摘して、追加立証を促すという前代未聞の反動的訴訟指揮さえ繰り返してきたのだ。
 このような予断と偏見による、検察官のデッチあげに加担した訴訟指揮の結果として、無実の福嶋同志に検察側立証だけで8年間を費やしてもまだ終わらないという不当な長期勾留が強制されているのだ。
 現在、東京拘置所舎屋の全面的な治安的管理強化のための建て替えが行われており、そのために東拘に在監している人たちはきわめて劣悪な居住環境を強いられている。福嶋同志においても、これまで見えていた外の景色が仮舎房ではまったく閉ざされてしまい、さらに面会の往復にこれまで見えていたわずかな草花も見えなくなるという非人間的条件の中で、まさに拷問的な日々を強制されているのだ。このような劣悪な条件の東拘に、福嶋同志をこれ以上不当に勾留し続けることは絶対に許されない。
 2月5日の迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の法廷において、福嶋同志は極反動・服部裁判長の不当な保釈却下決定を徹底的に弾劾して闘い抜いた。われわれは、服部悟裁判長らの今回の保釈請求却下決定を絶対に許さない。デッチあげに加担し、予断に基づいた「有罪判決」を先取りしたかのような東京地裁刑事3部服部裁判長らの違法・不当な保釈請求却下=長期勾留の継続をすべての労働者人民の怒りで粉砕しよう。
 無実の福嶋昌男同志と、さらに須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志の3人を10万人保釈署名運動の力で絶対に奪還しよう。

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週刊『前進』(2041号6面2)

水嶋裁判に結集を(2月13日東京地裁)
正井を対面させよ! 遮へい措置でのデッチあげ粉砕を

 2月13日午前10時、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)において水嶋裁判の第4回公判が開かれる。今回の証人は転向分子の正井利明である。水嶋秀樹同志は百パーセント無実だ。権力は水嶋同志が無実であることを承知していながら、革共同と革命軍解体のために水嶋同志をデッチあげようとしているのだ。
 この裁判は転向分子を利用した革命党の組織への典型的なデッチあげによる報復裁判であり、権力犯罪そのものである。30年代を超える世界大恐慌情勢が深化する中で日本帝国主義は小泉政権のもとで米帝との争闘戦を激化させ侵略戦争に突入している。それに向け小泉は司法改革攻撃をもって国内治安維持体制を一挙的に確立しようとしており、それは有事立法攻撃と一体の戦争政策である。この攻撃の先端として水嶋同志に対するデッチあげ攻撃がかけられてきている。
 検察側は、この公判で正井証人に対して遮へい措置をとると申し入れてきている。正井証人を遮へい措置で隠して水嶋同志と会わせないというのである。水嶋同志は、正井とは一面識もない無関係な人間である。彼は、このデッチあげ裁判の冒頭陳述で怒りをこめて「正井に会わせよ。そうすれば正井は直ちに私と一度も会ったことがないことがわかる」と裁判所に要求した。実際、一度会わせれば水嶋同志とは正井にとっても一面識もないことがはっきりするのだ。裁判はここで終わるのである。検察がこれを拒否し遮へい措置をとるのはデッチあげのためであることは、このことだけでも極めて明白である。デッチあげを粉砕する道は水嶋同志と正井の直接対面を実現することである。
 検察は転向分子の正井が、水嶋同志を写真特定したと主張しているが、これからしてでたらめなデッチあげである。正井はこれまでの裁判において、「写真を特定したことはない」と証言している。写真特定をしたという調書も存在していない。正井に遮へい措置を要求するというのは、検察側が、このデッチあげの核心においてすでに破産していることを自己暴露するものである。正井が写真特定をしているのなら直接に対面させてみよ。いや、写真特定などはもはや問題ではない。水嶋同志は現に法廷にいるのだ。この現実の水嶋同志と正井を対面させよ。そうすれば、水嶋同志が正井証言の中に出てくる人物でないことはたちどころに判明するのである。
 第3回公判において、川口裁判長は証人である守屋医師に対して遮へい措置をとることを決定した。第三者証人である守屋に遮へい措置をとることによって正井証人に対する遮へい措置の実績づくりを行おうとしたのだ。裁判長の川口は、検察の言いなりになって被告の防御権・弁護権を奪うために法律的にもでたらめな恥ずべき決定を行い、検察のデッチあげに加担しているのだ。われわれは、川口裁判長のこの決定を弾劾する。水嶋同志と正井を対面させよ。これだけが裁判所の義務である。検察の遮へい措置によるデッチあげを何としても許してはならない。権力犯罪が今、行われようとしているのだ。
 次回公判に結集し、遮へい措置を許さず、直接対面を実現しよう。検察は転向分子を利用して革命党の破壊のためのデッチあげを行い、他方でこの転向分子そのものを人間として圧殺していくのだ。正井にこれ以上の階級的犯罪に手を染めさせてはならない。一度も会ったことのない人物がどうして正井証人に圧力を加えることができるのか。現在の状態においても無実の水嶋同志は半年以上も獄中に閉じ込められているのだ。無実の人間の命がけの叫びを無視することは許されない。水嶋同志の姿を見よ、声を聞いてみよ。
 水嶋同志を知る同志、正井を知る同志を先頭に2月13日の公判に結集しよう。

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週刊『前進』(2041号6面3)

爆取裁判 板垣宏同志の意見陳述
 長期勾留は命を奪うもの 抹殺攻撃をやめ保釈せよ

 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧被告4同志の公判での意見陳述を随時紹介します。4同志の闘いをわがものとし、デッチあげ弾圧粉砕・無罪判決戦取・4同志保釈奪還へ全力で闘おう。(編集局)
 「証拠」なき破産したデッチあげによる長期不当勾留を直ちにやめ、私たちを今すぐ保釈せよ。そして、被告・弁護側請求証人全員をすみやかに認めるよう要求します。
 02年の正月も過ぎ、私たちへの不当きわまりない未決勾留はなんと足かけ16年目(実質15年)に突入しています。この長期不当勾留で私たちの健康はすでに限界を超えるまでに破壊されています。これはもはやいかなる言い訳も許されない残虐で違憲・違法な権力犯罪そのものです。その責任が勾留を決定している木口裁判長らにあることを自覚して、このようなことを直ちにやめるべきです。
 この間、私の高脂血症の悪化に伴い、東拘は薬の投与のみは開始しましたが、根本的治療法である食事療法については「しないし、できない」と拒否しています。
 『専門医がやさしく教える高脂血症』にはこうあります。
 「高脂血症は、体の中の時限爆弾をオンにした状態」であり、「命にかかわる病気に一歩ずつ近づいている危険な状態です」。そして、高脂血症が続くと、動脈硬化が進行し、日本人の死因の2位、3位を占める心疾患や脳卒中などの命にかかわる怖い病気であると述べ、その原因として、運動不足なのに摂取エネルギーが高いこと、さらにストレスが原因となることを挙げています。
 つまりは、東拘の状態そのものであり、長期未決不当勾留こそが、私の命を縮めていることは明白です。
 さらにこの本は、「すでに高脂血症と診断されている人は主治医の指示に従って2〜3カ月ごとに定期的に検査を受けて下さい」「一般的に、総コレステロール値が220r/dl以上になると病院での治療が必要になり」、病院ではまず食事療法や運動療法などをすすめ、それでも改善しない場合に薬物療法を始める、と書かれています。
 しかし、東拘では、99年6月の検査で私の総コレステロールが290r/dl以上あり、高脂血症であると知りながら、その後も何らの対策も治療も行わず、昨年9月になって私が激しい強烈な頭痛と吐き気に見舞われ、脳卒中的症状かと疑われるまでは、治療と名のつくようなものはまったく行わず放置してきたのです。これ自体が殺人的行為でなくて何ですか。
 そして今回はいきなりの薬の投与です。ですから私は12月27日の診察時に、この点について東拘の医師に対し「食事療法もしないで、いきなり薬の投与をするというのはおかしいのではないか」と言ったところ、なんとその医師はこう言ったのです。
 「自分で食べなければいいではないか。(薬をのむ前より)数値も下がっているし、何か問題があるのか」と。この医師にあるまじき発言というより暴言に私はあぜんとしましたが、「しかしそれでは決まった食事しか出ない東拘では、エネルギー量は減らせても、代わりに食べる物がない以上、栄養が不足したり片寄ったりしてしまうではないか」と反論したところ、その医師は「ここは病院じゃないんだよ」と吐き捨てるように言ったのです。
 獄中者はきちんとした治療が受けられなくても当然とするこの東拘医師の、医師としてのモラルの欠如は明らかです。医者としても人間としても完全に失格ですが、本質的には東拘の医療体制が人の命と健康よりも治安対策上の拘禁を優先させていることが、この非人間性の原因です。
 ちなみに、私は東拘に拘禁されて以来、給食を全部食べたことは一度もありません。弁当の御飯は3分の1ないし2分の1、おかず類も、油っこいものは意識的に避けて半分程度しか食べていません。また、私たちは貧しいですから、いわゆるお菓子のたぐいを多量に買い食いしたり、差し入れが多くあるわけでもありません。入所時の私の体重は63s、現在は57〜59sが平均です。これによっても、本人の責任による食べ過ぎや不摂生によるものではなく、もっぱら、東拘の食事内容と運動不足が病気の原因であることは明らかです。
 さらに、これ以外にも、私がのどの痛みを訴え、11月27日に診察を受けた時、医者も、はれているので専門医の診察を受けた方がいいと認めながら、今日まで「専門医は1カ月1度しか来ず、順番が来ない」との理由で診察が受けられないままである。
 また、昨年秋口よりずっと続いている耐えがたいまでの頭痛の原因は歯にあるのではないかとして、歯科の診察も請求していますが、これもいつになるかわからないという状況です。
 このように、いかに獄中者が苦しんでいようが、東拘は「獄中者には人権はない。ここは病院じゃない」とばかりに開き直っているのです。断じて許せません。
 勾留している以上、被拘禁者の健康維持、病気治療の責任は東拘側にありますし、最後的責任は木口裁判官らにあります。本質的に言って東拘では病院以上に手厚い医療体制が取られなければなりません。
 それは、人間の自由を奪い、人を拘禁している以上、国家の側、拘禁している側が当然に行わなければならない義務です。しかし、今私が述べてきたように、そしてすでに毎回の公判で須賀さんが弾劾しているように、東拘の現状はそれとはまったく正反対です。アリバイ的な見せかけだけの、形ばかりの治療です。しかもそれは正しい治療法から見たら危険で乱暴な危ういものでしかない上に、それらさえも、時間がたっていよいよどうにもならなくなるまで病状が進まないかぎりやろうともしない。このような非人間的なやり方を許してはおけません。
 しかも、まだしも公判廷でどんどん問題点を明らかにできるだけの力を持ち、弁護人も必死の努力をして下さり、さらに支援者の方々も多数いて、東拘への申し入れ行動などもできる私たちはめぐまれている方なのです。そんなことすらできない被拘禁者、とりわけアジア系の被拘禁者がどのような取り扱いを受けているかを考える時、恐ろしさに身がふるえます。
 事実、東拘では病舎においてすら、高血圧者への減塩食はあるが、高脂血症に対する食事療法は行っていないと東拘医務職員は言っています。このことは、多くの収容者が私と同じ命の危険にさらされているということです。
 私たちは日一日と殺されているのです。勾留とはそういうことなのだということを木口裁判長らはもっと自覚し、そのことに対する責任を感じて下さい。
 その上で、何と言っても未決15年にもわたる不当勾留こそが、私たちの健康破壊の一切の原因であり、私たちへのデッチあげによる抹殺攻撃を直ちにやめ、私たちを釈放するよう要求します。そして、被告・弁護側請求証人をすべて採用せよ。
 (1月16日の公判から)

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週刊『前進』(2041号6面4)

杉並 住民の会が区交渉 老老介護死の責任追及

 介護と福祉を要求する杉並住民の会は1月23日、対杉並区交渉を行い、保険料や利用料の減免を始め介護保険によって切り捨てられた介護を回復するための助成措置などを要求した。特に交渉に参加した高齢者がそれぞれ自分や家族の実情を具体的に明らかにしながら介護保険によって逆に介護が受けにくくなっていることを追及した。これによって前回は勝手に席を立って交渉を打ち切った区の担当者を、「みなさんの声を聞き政策に反映させていく」と発言せざるを得ないところまで追いつめた。
 午後2時からの交渉は、新城せつこ杉並区議が窓口となって行われた。まず杉並住民の会の代表が「杉並区への要請事項」を手渡して「現場でどのような問題が起きているのかを良く知って、よりよい高齢者福祉を実現してほしい」と要求した。
 交渉は最初に、この1月7日に発見された老老介護の夫婦の孤独死について2度とこのような事件を起こしてはならないという思いを込めて区の責任を追及した。区の答えは、あいまいな表現を繰り返しながら要するに「区には責任がない」というものだ。杉並区が住民の介護・福祉に何も責任をとるつもりもないということだ。
 これに対して住民が次々と発言し追及した。特に、「昨年、心臓発作で2回救急車で運ばれた。緊急通報システムを申し込んだが『時間がかかりますよ』と言われ、まだ設置されていない」「(自転車にぶっつけられるなどして)2回骨折し、けがが回復してから介護保険を申請しようと、やっとの思いで区の窓口に相談に行ったら、パンフレットを渡されただけで何もしてもらえず、介護認定の申請ができなかった」など住民が具体的に経過を明らかにして追及した。これによって区が住民のためにいろいろやっているかのようなペテン的言い方が打ち砕かれた。
 利用料の問題では、減額・助成制度のない杉並区が都内でも介護保険利用率が最低レベルであり、そのために介護保険予算が40億円も使えなかったことを追及した。区はこの問題に対しても住民が家族で介護するからよいということで利用率が低かったかのように言い逃れようとした。しかし、親を介護施設に入れようとした区民が、杉並区に施設が少なく、他県や多摩地区の施設にあちこちと移さざるを得なかった事情を具体的に明らかにし、杉並区がいかに介護の充実のための施策を怠っているかを突き出した。
 保険料設定の問題では、「所得を考慮した段階設定」をしているという形式的回答を口では繰り返したが、「これほど不公平な設定はない」という住民の弾劾に何も答えられなかった。杉並区の保険料滞納者が今年1月15日現在で1359人に上っていることが明らかになった。介護保険がどれほど高齢者や住民を苦しめているかがここにも表れている。
 最後に、脊椎(せきつい)損傷のために下半身がまひしているBさんの問題で、度重なる介護事故で急激に状態が重くなったために利用限度額を大幅に超えることになったことについて、利用限度額を超えた場合の助成措置を要求した。
 交渉終了後、参加者は総括の話し合いを持ち、区の回答にまだまだ「血が通っていない」という感想、「介護に理解のある人を区長や区議に選ばなければだめだ」という意見が出された。

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